◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 80%から50%へ移る控除割合に備え、仕入先ごとの登録番号の有無を、卸価格表と同じ台帳から引ける形にします
- 5階層までが得意先の組織階層で卸価格を切り替えられる上限で、本社と支社と部署のどこで分けるかを先に決めます
- 20000点規模の商品を扱うなら、端数処理の単位を決め、適用を始めた時期とともに文書へ残します
- 514.4兆円に達したBtoB-EC市場のもとで、卸価格の管理と税区分は電子での受発注を前提に組み直します
目次

BtoB-EC市場514兆円と卸価格管理の現在地
卸価格管理とは、得意先階層別の価格表と、仕入先ごとの控除割合を同じ台帳で持てるかどうかで手間が変わる実務です。経過措置の段階が下がる前に、階層の数と商品点数の上限を数え、端数処理の決めを「いつから、どの単位で」まで書き残します。
朝九時前の卸売の事務所。受注票の束をめくる紙の音が続くなか、担当者は得意先の名前を目で追っていきます。株式会社ポディウムのように、BtoB向けのサイトで扱う商品点数が万の単位に届く会社では、名前を見た瞬間に「この先はどの価格表か」を思い出す必要があります。卸価格は一物一価ではなく、得意先ごとに変わります。
規模の話から入ります。514.4兆円という額が、2024年のBtoB-EC市場規模として示されています1。43.1%というEC化率は、前年から3.1pt伸びた値です1。紙の注文書は残ったまま、電子での受発注が積み上がっているのが、卸売の「現在地」にあたります。
その現在地のなかで、価格表の取り違えで請求を出し直す時間は、「訂正と再発行」の手数となり、そのまま粗利から差し引かれていきます。
得意先階層別の卸価格設定と会計処理
得意先ごとの卸価格は、一社に一つの掛率を置けば済むとは限りません。本社と支社と部署で仕入の条件が分かれる得意先では、どこで価格を切り替えるかを先に決めておく必要があります。注文を受ける画面の側で卸価格が決まるのか、受注後に経理が金額を直すのか。この二つでは、経理へ回る訂正の件数が変わります。「訂正の多い得意先はどこか」を直近一年の件数で数えてみると、切り替えの位置が見えてきますね。
切り替えの幅には上限があります。5階層までという上限が、得意先の組織階層で卸価格を切り替えられる範囲として2026年時点で示されています3。本社と支社と部署と担当まで分けても四つですから、余地は残る計算です。ただし階層を深くするほど、価格表の版を管理する手間は増えます。「どこまで分けるか」は、値引きの決裁が誰の手にあるかで決めてください。
階層ごとの卸価格切り替え上限
階層を設計するときは、価格表そのものより先に、商品の数を数えてください。扱う点数が増えるほど、階層ごとの価格表の掛け合わせも増えていきます。掛率で持つ方法と、品目ごとの単価で持つ方法があります。掛率なら版の管理は軽くなり、単価なら得意先との約束をそのまま書けます。放っておくと価格表の版だけが静かに増えていきますので、「どちらで持つか」を決めた時点で、月次の突き合わせの重さも決まりますね。
上限は商品数の側にもあります。30000SKUという商品数の上限が、EC-Rider Primo の有料プランの条件として2026年時点で示されています5。階層を深く取っても、品目が上限に近づけば、価格表の行数は一気に伸びます。「いまの点数」と「一年後の点数」を並べ、上限との差を数えておいてください。
30000SKUというEC-Rider Primo の上限へ商品数が近づくほど、「手で直す欄」は増え、いまの進め方のままでは月次の締めが後ろへずれていきます5。
商品点数の増加が生む消費税処理の負荷
商品点数が増えると、消費税の処理は「税率の区分」と「端数処理」の二つで重くなります。区分は商品の登録内容に紐づき、端数処理は請求の組み立て方に紐づきます。品目ごとに端数を処理するのか、請求書の単位で処理するのか。決めを文書に残さないまま担当者が入れ替わると、同じ得意先へ月ごとに違う金額の請求書が出ます。取引先ごとに、直近の請求書を並べて確かめてください。
商品点数が増えるときの端数処理の決め方
点数の多さが効いてくるのは、登録のときよりも、決めを変えるときです。税率区分の付け替えや端数処理の切り替えを一括で行える仕組みかどうかで、作業の量は大きく変わります。一件ずつ開く進め方であれば、時間は点数に比例して伸びていきます。「一括で直せる欄はどれか」を、いま使っている画面で確かめておいてください。
規模の目安を一つ置きます。20000点という商品点数が、株式会社ポディウムのBtoB向けサイトで2025年に扱われた規模として示されています4。自社の登録済み商品数と並べると、どのあたりに位置するかが見えてきます。「一件ずつ画面を開く」進め方で回るかどうかは、点数と担当者の数を並べれば見当がつきますね。
仕入税額控除、80%から50%への移行
経過措置の段階が下がると、仕入先の区分が請求のたびに効いてきます。適格請求書を出す仕入先か、そうでない仕入先か。登録番号の有無を仕入先台帳に持ち、請求書を受領した時点で突き合わせる形にしておけば、消費税の計算の段階で迷いません。「番号のない仕入先はどこか」を、支払先の一覧から数えてみてください。
割合そのものを確かめます。80%という控除割合が、免税事業者等からの仕入れについて2023年10月からの取扱いとして示されています2。50%は、2026年10月からの段階に当たる割合です2。割合が段階を追って下がる仕組みですので、「締め日をまたぐ請求」から順に確かめてください。
実務で時間がかかるのは、割合の理解よりも「どの仕入先が対象か」の把握です。支払先の一覧を開き、登録番号の欄が空の行を抜き出してください。そのうえで年間の支払額を合計し、金額の大きい順に話し合いの順番を決めます。免税事業者からの仕入れへの対応をどこまで作り込むかは、得意先の数や商品点数といった、他の規模の要素と合わせて決めることになります。
規模で分かれる卸価格と税処理の対応

どこまで作り込むかは、得意先の数と、商品点数と、免税事業者からの仕入れの多さで決まります。得意先が少なく組織階層も浅いなら、卸価格表は表計算でも回ります。得意先が増え、階層が分かれるほど、受注の画面の側で価格が決まる形にしたほうが、訂正の件数は落ち着きます。「表計算のままで回るか」は、自社の得意先数と訂正件数を並べて決めてください。
外の動きも基準になります。43.1%というEC化率が2024年に示され、前年からの伸び幅は3.1ptでした1。得意先の側が電子での受発注へ寄るほど、こちらの卸価格表と税区分には、人の判断を挟まずに出せる形が求められます。「注文をどの経路で受けているか」を数え、電子と紙の比率を出しておくと、手を入れる順番を決めやすくなります。
決め手になるのは、これから増える見込みのある数。「どこが伸びるか」を先に押さえると、手をつける順番が決まります。
ここから先は、見直しに着手する順番、得意先の規模ごとの進め方、よくある問いの順に、「実際にどう動くか」を細かく見ていきます。
得意先の数と商品点数と免税事業者からの仕入れの比率は会社ごとに違い、卸価格の設計と消費税の処理をどこまで作り込むかは、自社の数字を並べてはじめて決まります。
階層の設計と商品数の上限、仕入先台帳の整備をどの順で進めるかについて、自社の条件に照らした見当を確かめられます。無料相談で要件を整理する
卸価格と消費税の見直しで先に手をつけること
- 得意先階層別の卸価格表と仕入先の登録番号を、同じ台帳の上で引けるようにする
- 端数処理を品目ごとに行うか請求書の単位で行うかを決め、適用を始めた時期とともに文書へ残す
- 支払先の一覧から登録番号の欄が空の行を抜き出し、年間の支払額を合計する
- 商品点数の伸びと、扱える商品数の上限との差を数え、一括で更新できる欄を確かめる
- 得意先の組織階層をどこまで分けるかを、値引きの決裁の所在から決める
この並びに優劣の順序はありません。
ここからは、得意先の数と商品点数と仕入先の構成の組み合わせごとに、どの手から入るかを分けて見ていきます。

得意先の規模と仕入先の構成で分かれる進め方
| 読み手の条件 | 先に固めること | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 得意先が少なく組織階層も浅い卸売 | 卸価格表の更新の履歴 | 版ごとに適用を始める月をたどる |
| 商品点数が万の単位に達する卸売・メーカー | 税区分と端数処理の一括更新 | 区分が空の商品の件数を出す |
| 免税事業者からの仕入れが残る事業者 | 仕入先台帳の登録番号の欄 | 空欄の行の年間支払額を合計する |
得意先が少なく組織階層も浅い卸売の進め方
得意先の数が限られ、組織階層も浅い会社では、価格表そのものよりも更新の履歴の残し方が問題になります。「誰がいつ掛率を変えたか」が残っていないと、月次の照合で金額の根拠をたどれません。ここでの基準は、変更の履歴を一行ずつ追えるかどうかに置きます。表計算のままでも、変更のたびに別名で保存する運用にすれば足ります。
行動としては、卸価格表の版に「適用を始める月」と決裁した人の名を欄として持たせます。消費税の側では、仕入先台帳に登録番号の欄を一つ足しておくと、経過措置の段階が変わったときの確認が早く終わります。難易度は低く、工数は既存の価格表へ欄を足し、運用の取り決めを文書にする範囲にとどまります。
| 確かめる欄 | いまの状態 | 足す内容 |
|---|---|---|
| 卸価格表の版 | 一つのファイルを上書き | 適用を始める月を欄で持つ |
| 決裁の記録 | 口頭とメールのやり取り | 決裁した人の名を欄で持つ |
| 仕入先台帳 | 支払先の一覧のみ | 登録番号の欄を足す |
得意先が少ない段階では、卸価格表へ欄を足すだけで消費税の確認まで回るのか、受注の画面の側へ移したほうがよいのか、見極めの難しいところが残ります。
表計算のまま続けた場合と、受注の画面で卸価格が決まる形にした場合とで、月次の照合にかかる手数の違いを比べられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
商品点数が万の単位に達する会社の進め方
商品点数が万の単位に達すると、一件ずつ直す進め方は成り立たなくなります。ここでの基準は、税区分と端数処理の決めを一括で書き換えられるかどうかです。区分の欄を商品の登録画面に持つ形と、請求の側に持つ形があり、前者なら商品の一括更新、後者なら請求の組み立ての修正が作業の中心になります。「区分が空の商品」がどれだけあるかを、先に数えておいてください。
行動は二つに分かれます。まず、税区分ごとに商品を抽出して件数を出し、区分の付いていない商品を洗い出します。次に、端数処理の決めを請求書の単位でそろえ、得意先へ通知する文面を用意します。点数が多い会社ほど、「決めを変えた月」を記録に残しておくと、後の照合が軽くなります。難易度は中くらいで、工数は商品データの棚卸しが大半を占め、次に確かめる規模の要素は仕入先の構成になります。
| 作業 | 対象 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 税区分の棚卸し | 登録済みの全商品 | 区分が空の件数を数える |
| 端数処理の決め | 得意先ごとの請求書 | 直近の請求書を並べて金額をたどる |
| 一括更新の可否 | 商品の登録画面 | 更新できる欄の名を控える |
商品点数が万の単位に達すると、税区分と端数処理の一括更新がどこまで効くかは、いま使っている画面の欄の作りに左右されます。
一括で書き換えられる欄と、一件ずつ開くしかない欄の区別を、自社の商品データに当てて洗い出せます。無料相談で自社の条件を持ち込む
免税事業者からの仕入れが残る会社の進め方
仕入先に免税事業者が残る会社では、卸価格の設定よりも先に、仕入の側の区分が効いてきます。ここでの基準は、「登録番号のない仕入先」が年間の支払額に占める割合です。割合が小さければ経費の処理の中で吸収できますし、大きければ卸価格の見直しと合わせて検討する話になります。
行動としては、支払先の一覧に登録番号の欄を足し、空欄の行の支払額を合計してください。そのうえで、控除の割合が下がる段階に入る前に、取引条件を話し合う時期を決めます。取引をやめる話ではなく、「価格と条件の置き直し」の話として持ちかける形になります。難易度は中くらいで、工数は台帳の整備よりも仕入先との連絡に多く割かれます。
| 仕入先の区分 | 支払額の把握 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 登録番号のある仕入先 | 従来どおりの処理 | 請求書の保存を徹底する |
| 登録番号のない仕入先 | 空欄の行を合計する | 価格と条件を話し合う |
| 新規の仕入先 | 取引開始時に確認する | 登録番号を台帳へ記録する |

登録番号のない仕入先が年間の支払額にどれだけ含まれるかによって、卸価格の見直しの必要度も、仕入先台帳を整える急ぎ方も変わってきます。
台帳の欄の持たせ方と、控除の割合が下がる段階に向けた確認の段取りを、自社の支払の構成に合わせて組み立てられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 確かめる事柄 | 判断の目安 |
|---|---|
| 得意先の組織階層の数 | 値引きの決裁がどこにあるかで、分ける深さを決める |
| 卸価格の切り替え上限 | 5階層という上限と、いま使っている階層数との差を数える |
| 商品数の上限との差 | 30000SKUという上限に対し、いまの点数と一年後の点数を並べる |
| 免税事業者からの仕入れ | 控除割合が80%から50%へ移る段階に向け、登録番号の空欄を合計する |
| 端数処理の決め | 品目ごとか請求書の単位かを文書に残し、適用の時期を記録する |
| 受発注の電子化の度合い | 43.1%というEC化率を目安に、自社の電子と紙の比率を出す |
卸価格の設定と消費税の処理は、受注から請求と仕訳までひと続きで動くため、片方だけを直すと別の場所で手戻りが出ます。 受注から請求までのどこで卸価格と税区分を確定させるかを、自社の締め日に合わせて描き出せます。
よくある質問
得意先ごとに卸価格を変えると、売上の計上金額も得意先ごとに変わりますか
受注時に適用した卸価格が、そのまま売上の計上金額になります。問題が起きるのは、受注後に金額を直したときです。請求書の金額と計上済みの金額がずれると、月次の照合で差額を追う作業が生まれます。「価格が確定するのはどの時点か」を社内で一つに決め、受注の画面の側で卸価格が決まる形にしておくと、差は出にくくなります。
端数処理は品目ごとと請求書の単位のどちらで行うとよいですか
どちらを選ぶにしても、得意先ごとにばらつかせないことが先です。同じ得意先へ月ごとに違う扱いの請求書が出ると、先方の経理からの問い合わせが増えます。決めた内容と「適用を始めた時期」を文書に残し、担当者が替わっても同じ扱いが続く形にしておいてください。
登録番号のない仕入先とは取引を続けられますか
続けられます。控除できる割合が段階を追って下がるため、こちらの負担がどれだけ増えるかを金額で把握したうえで、価格や支払条件を話し合う形になります。支払先の一覧から「登録番号が空の行」を抜き出し、年間の支払額を合計してください。金額の大きい順に話し合いの順番を決めると進めやすくなります。
得意先の組織階層は、どこまで分けておけば足りますか
本社と支社と部署のどこで価格が変わるのかを、実際の値引き決裁の所在から決めてください。決裁が本社に集まっているなら、階層は浅くても足ります。支社ごとに条件が違うなら、その単位まで分ける必要があります。「先に深く取っておく」進め方は、価格表の版が増えて管理が重くなりますので、勧めにくいところです。
商品点数が増えたとき、税区分の付け替えはどう進めますか
区分ごとに抽出して一括で書き換える進め方を前提にしてください。まず、区分が空の商品を抽出して件数を出します。次に、新しく登録する商品については、区分を「必須の欄」として設定します。入口をふさいでおけば、後からの棚卸しは一度で済みます。
経過措置の段階が変わる前に、いつ着手すればよいですか
割合が変わる月をまたぐ取引が出る前に、仕入先台帳の整備を終えておくと落ち着きます。月末締めの取引では、締め日をまたぐ請求の扱いが論点になります。自社の締め日と支払日を並べ、「どの請求から新しい割合が関わるか」を先に確かめてください。
- 1 出典:経済産業省 商務情報政策局情報経済課「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年) 経路
- 2 出典:国税庁「適格請求書等保存方式(インボイス制度) タックスアンサーNo.6498」(2026年) 経路
- 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える」(2026年) 経路
- 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年) 経路
- 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
画像の出典元
- Low angle of high business towers with glass mirrored window/Photo by Laura Tancredi on Pexels
- Aerial photo showcasing suburban Lisle, IL with roads, trees/Photo by Choco Kitty on Pexels
- 20代前半の日本人女性が来客の案内をしている場面/画像:生成AI(自社)
- Low-angle shot of New York City’s towering skyscrapers piercing a cloudy sky./Photo by Tomáš Malík on Pexels