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卸売の預託在庫と消化仕入|管理と会計の設計

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 預託在庫と消化仕入は別の論点であり、在庫の置き方と売上の立て方を分けて整理します。
  • 預けている在庫が自社の棚卸対象になるかどうかは、置き場所ではなく所有権とリスクの持ち方で判断します。
  • 消化仕入の収益計上は本人か代理人かの判定によって総額か純額かが変わるため、契約条件をシステムの管理項目として持つ必要があります。
在庫のイメージ
▽ 写真の出典元

預託在庫と消化仕入は何が違うのか

卸売における預託在庫とは、自社が所有権を保持したまま取引先の倉庫や店舗に置いている在庫のことです。消化仕入とは、その預けた商品が取引先で売れた時点で売買が成立する取引形態のことを指します*1

図
預託在庫は置き方の論点、消化仕入は売買成立の論点であり、両者は別の軸として同時に成り立つ。

置き方の論点と売買成立の論点は別の軸

預託在庫は在庫をどこに置くかという論点であり、消化仕入は売買がいつ成立するかという論点です。この2つは別の軸でありながら、同時に成り立つ場面があります。取引先に預けた在庫が売れた瞬間に、消化仕入として売買が成立するという流れになります。

買取仕入・預託(委託販売)・消化仕入という3つの取引形態

企業会計基準委員会(ASBJ、収益認識に関する会計基準の適用指針を定める民間の会計基準設定主体)は、適用指針の[設例30]「小売業における消化仕入等」を公表しています*2。同設例は3つの契約形態を示しています。

買取仕入契約では、商品の納品時に検収し、その時点で法的所有権が移転します。保管管理責任と商品リスクも移転先が負う契約です。

返品条件付買取仕入契約は、一定期間の返品を認める点が異なりますが、自社の責任による不良品は返品できず、棚卸ロス等の在庫リスクを引き続き有します*2。消化仕入契約では、店舗にある商品の法的所有権は仕入先が保有したままであり、保管管理責任と商品リスクも仕入先が負います。品揃えや販売価格の決定権も仕入先にあります*2

判断の軸は置き場所ではなく在庫リスク

3つの形態を分けるのは、商品がどこにあるかではなく、在庫リスクと価格決定権をどちらが持つかです。この論点は次章で会計基準の判定基準として詳しく取り上げます。まず押さえておきたいのは、置き場所だけで自社の棚卸資産かどうかを判断してはいけないという点です。

預けた在庫は誰の棚卸資産か

この章では税務側の要求を確認します。会計上の本人・代理人の判定とは別に、税務は「棚卸の範囲」という切り口で預け在庫を扱っています。

国税庁が名指しする確認項目「預け在庫、未着品」

国税庁の「大規模法人における税務上の要注意項目確認表」(令和8年2月提供分)は、棚卸資産の確認項目として次を掲げています。「事業年度終了の時において、預け在庫、未着品を棚卸しの対象としていますか」という項目です*3

預け先にあることは棚卸対象外の理由にならない

同確認表は理由も明記しています。「事業年度終了の時において外注先や仕入先へ預けている商品等や購入した商品等のうち運送途中にある未着品についても、数量等を把握し、棚卸しの対象とする必要があります」という記載です*3。物理的にどこにあるかは関係がなく、所有権が自社にある限り自社の棚卸資産として扱う必要があります。

実地棚卸の原則と部分計画棚卸という代替手段

法人税基本通達5-4-1は、各事業年度終了の時における実地棚卸しを原則としています*8。ただし、業種・業態及び棚卸資産の性質等に応じた合理的な方法もあります。実地棚卸しに代えて部分計画棚卸しその他合理的な方法により在高等を算定する場合、継続適用を条件として認められます*8

預け先へ毎期末に人を出せない卸売業にとって、この「合理的な方法と継続適用」の設計が実務上の論点になります。預け先からの残高報告をどう証跡化するかが、後述のシステム設計に直結します。

棚卸差異の切り分けは法令ではなく契約と運用ルールで決める

預け先で棚卸差異が発生した場合、自社の在庫台帳と預け先の残高報告の差分をどう切り分けるかは運用設計に委ねられます。これは法令が定める要求ではなく、契約と運用ルールの整備で対応する領域です。タイトルに掲げた「管理」は、この管理項目をどう持つかという後述の章で具体的に回収します。

消化仕入の売上は総額か純額か

ここからは会計処理の中核である、収益を総額で認識するか純額で認識するかという論点を取り上げます。「消化仕入は売れた分だけ仕入を立てる」という説明は、収益側の論点を欠いています。

本人と代理人の区分——総額か純額かを決める分岐点

企業会計基準委員会の適用指針は、顧客との約束が財を自ら提供する履行義務であれば「本人」に該当し、対価の総額を収益として認識すると定めています(第39項)*1。他の当事者によって提供されるように手配する履行義務であれば「代理人」に該当します。この場合は、報酬または手数料の金額、あるいは受け取る額から支払う額を控除した純額を収益として認識します(第40項)*1

判定は支配しているかどうかで行う

本人か代理人かの判定は、顧客に提供する前にその財を支配しているかどうかの評価によって行います(適用指針第42項・第43項)*1。「支配」とは、財の使用を指図し、財からの残りの便益のほとんどすべてを享受する能力のことです。

支配を示す3つの指標

適用指針第47項は、支配の有無を判定する際の指標として次の3点を挙げています*1

  1. 企業が財またはサービスを提供するという約束の履行に対して主たる責任を有していること
  2. 財またはサービスが顧客に提供される前、あるいは支配が顧客に移転した後において、企業が在庫リスクを有していること
  3. 財またはサービスの価格の設定において企業が裁量権を有していること

ただし、適用指針は「代理人が価格の設定における裁量権を有している場合もある」と明記しています*1。価格を決められるからといって本人であると短絡的に判断してはいけません。3つの指標はあくまで判断材料であり、これを満たせば必ず本人になるという要件ではないのです。

図
顧客に財を提供する前に支配しているかどうかを起点に、3つの指標を経て総額か純額かが決まる。

設例30が示す3つの契約形態の判定結果

[設例30]「小売業における消化仕入等」は、小売業を営むA社を主体に3つの契約形態を比較しています*2。判定結果を整理すると次の表のとおりです。

契約形態 前提(設例30) 判定 収益の計上
買取仕入 納品時に検収し、法的所有権がA社へ移転。
保管管理責任・商品リスクもA社が負う。
本人 総額
返品条件付買取仕入 一定期間の返品を認めるが、自社の責任による不良品は返品できない。
棚卸ロス等の在庫リスクをA社が有する。
本人 総額
消化仕入 納品時に検収せず、店舗にある商品の法的所有権は仕入先。
品揃えや販売価格の決定権も仕入先が持つ。
代理人 純額

出典:企業会計基準委員会「改正企業会計基準適用指針第30号 収益認識に関する会計基準の適用指針」[設例30](2021年3月26日公表)*2より作成

設例30の仕訳が示す収益の差

設例30には具体的な仕訳が示されています*2。買取仕入では、商品Xを5,000円で購入し、10,000円で顧客に販売した場合、売上高は10,000円、売上原価は5,000円として総額で計上します。

消化仕入では、商品Yを10,000円で顧客に販売し、仕入先への買掛金を8,000円計上した場合、手数料収入は差額の2,000円として純額で計上します*2。同じ売価10,000円でも、損益計算書に載る収益は10,000円と2,000円という差が生まれます。

卸売=納入側から見た読み替え

設例30は小売業を営むA社、つまり買い手側の設例です*2。ここを卸売側のルールとして読み替えてはいけません。卸売が商品を預託し、消化仕入の形で納品している場合、卸売側は在庫リスクと価格決定権を保持している側に当たります。

つまり、卸売から見れば、自社は本人として総額で収益を認識する側です*1 *2。取引先である小売側の損益計算書の見え方が変わるだけであり、卸売側の売上が消えるわけではありません。この読み替えを取り違えているケースが見られます。

加えて、この判定は設例30の前提条件のもとで示されたものにすぎません。適用指針は「仮定として示された前提条件の記載内容は、経済環境や各企業の実情等に応じて異なり得るものであり、異なる前提条件のもとでは会計処理が変わる可能性がある」と明記しています*2。「消化仕入なら必ず純額」ではなく、「設例30の前提のもとでは代理人と判断された」という理解が正確です。

適用指針はさらに2点を述べています*2。設例における勘定科目の名称は便宜的なものであること、そして我が国に特有な取引等についての設例([設例29]から[設例32])はIFRS第15号の解釈を示すものではないことです。IFRS適用企業に一般化して読むことはできません。

設例30の前提条件を自社の契約と照らし合わせる作業は、書面だけでは判断しにくい部分もあります。誤って純額計上を適用すると売上規模の開示が実態と食い違う恐れがあるため、無料相談で自社の契約条件を整理するのも一つの手段です。

売上と仕入をいつ計上するか

仕入のイメージ
▽ 写真の出典元

本人・代理人の区分が決まったあとに残る論点が、いつ収益を計上するかというタイミングの問題です。ここは税務通達が扱う領域であり、会計基準の総額・純額の論点とは見出しを分けて整理します。

原則は受託者が販売をした日

法人税基本通達2-1-3は、委託販売に係る収益の帰属時期を定めています。「棚卸資産の委託販売に係る収益の額は、その委託品について受託者が販売をした日の属する事業年度の益金の額に算入する」という原則です*4

売上計算書による特例と到達日の考え方

同通達には、原則の例外となる特例も定められています。「当該委託品についての売上計算書が売上の都度作成され送付されている場合において、法人が継続して当該売上計算書の到達した日において収益計上を行っているときは、当該到達した日は、その引渡しの日に近接する日に該当するものとして」法人税法第22条の2第2項の規定を適用するという内容です*4

さらに通達の注記には、「受託者が週、旬、月を単位として一括して売上計算書を作成している場合においても、それが継続して行われているときは、『売上の都度作成され送付されている場合』に該当する」とあります*4。つまり、「取引先からの報告が来た月に売上を立てている」という運用にも法令上の根拠があります。ただし、継続適用が条件になる点は変わりません。

月次締めをまたぐ在庫の扱い

預託分は自社在庫として残り、消化した分だけが売上に変わります。この境界こそが月次の締め処理そのものであり、締め後の照合の設計は別記事で扱います。

引当ロジックとの関係

預託在庫を他の受注に引き当ててよいかは、所有区分と契約次第で判断が分かれます。引当ロジック自体の詳細は別記事に委ねることとし、ここでは「所有区分によって引当可否が変わる」という設計上の要点だけを押さえておきます。

局面 在庫の所在 所有権 会計上の処理
預託時 取引先倉庫・店舗 自社 自社の棚卸資産として保有*3
消化(販売成立)時 取引先店舗 自社(納入側)から顧客へ移転 卸売=納入側は在庫リスクと価格決定権を保持するため本人として総額で認識。取引先=小売側は設例30の前提のもとで代理人として純額*1 *2
請求時 売上計算書の到達日等で計上*4
期末棚卸時 取引先倉庫・店舗 自社(消化前の残数) 預け在庫として棚卸対象に含める*3 *8

表:預託在庫と消化仕入の4局面(卸売=納入側から見た整理。国税庁・企業会計基準委員会の一次情報*1 *2 *3 *4 *8より作成)

消化仕入と消費税・インボイスの扱い

消化仕入は委託販売の一種であるため、適格請求書(インボイス、税額を正確に伝えるための請求書の様式)の交付主体にも専用の扱いがあります。インボイス制度全般の要件は別記事に譲り、ここでは委託販売に固有の特例を取り上げます。

本来は委託者が適格請求書を交付する

国税庁のインボイスQ&A問48は、委託販売における適格請求書の交付方法を扱っています。購入者に対して課税資産の譲渡等しているのは委託者であるため、本来は委託者が購入者に適格請求書を交付しなければなりません*5

代理交付と媒介者交付特例

受託者が委託者を代理し、委託者の氏名または名称および登録番号を記載した委託者の適格請求書を相手方に交付することも認められています(代理交付)*5。加えて、次の2つの要件を満たせば媒介者交付特例が使えます(消令70の12①)*5。受託者が自己の氏名または名称および登録番号を記載した適格請求書を、委託者に代わって購入者に交付する方法です。

  1. 委託者および受託者が適格請求書発行事業者であること
  2. 委託者が受託者に、自己が適格請求書発行事業者の登録を受けている旨を取引前までに通知していること

通知の方法は、個々の取引の都度、事前に登録番号を書面等で通知する方法のほか、基本契約等により委託者の登録番号を記載する方法などが認められています*5

受託者側に求められる保存・交付の対応

媒介者交付特例を使う場合、受託者には2つの対応が求められます*5。交付した適格請求書の写しまたは提供した電磁的記録を保存すること、そしてそれを速やかに委託者に交付または提供することです。

写しそのものの交付が大量になり困難な場合は、相互の関連が明確な精算書等で差し支えないとされていますが、この場合は交付した精算書等の写しを保存する必要があります*5。つまり、委託販売精算書が売上計算書とインボイスの控えを兼ねる設計になり、システム上どの帳票をどう保存するかという要件がここで決まります。

在庫リスクを押し付けないための線引き

ここからは、卸売=納入側の視点で、取引条件がどこから問題になるかを整理します。取引先から返品や在庫調整を求められる場面を想定した内容です。

優越的地位の濫用に当たり得る行為

独占禁止法第2条第9項第5号ハは、受領拒否・返品・支払遅延・減額を、優越的地位の濫用につながり得る行為の例として掲げています。公正取引委員会の「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」はこの条文の考え方を整理したガイドラインです*6。2010年(平成22年)11月30日に策定され、2026年(令和8年)6月17日に改正されています。

期末の在庫調整のための返品は想定例そのもの

同ガイドラインは、返品に関する問題となる行為の想定例として「月末又は期末の在庫調整のために返品すること」を挙げています*6。預託在庫を期末の調整弁として使う運用は、この想定例に正面から当たる行為です。商慣習として無批判に受け入れる前に、契約上の位置づけを確認する必要があります。

受領拒否に該当する行為の範囲

ガイドラインが定める「受領を拒む」とは、商品を納期に受け取らないことです。納期を一方的に延期すること、発注を一方的に取り消すことにより納期に商品の全部または一部を受け取らない場合も含まれます*6

問題とならない場合の3条件

一方で、次の3つの条件のいずれかに当たれば、受領拒否や返品は問題とならないとされています*6。第一に相手方の責めに帰すべき事由がある場合、第二に購入に当たって合意により受領しない場合の条件を定め、その条件に従って受領しない場合が該当します。

第三に、あらかじめ同意を得て、かつ通常生ずべき損失を負担する場合も問題とされません*6

「通常生ずべき損失」とは相当因果関係の範囲内の損失を指します*6。例として、市況の下落や使用期限の短縮に伴う価値の減少に相当する費用、物流に要する費用、商品の廃棄処分費用が挙げられています。この3条件は、あらかじめ条件を契約に書き、損失負担を決めておくことがそのまま契約マスタの項目になることを示しています。

中小受託取引適正化法(取適法)との関係

2026年1月1日には、旧下請法を改正した中小受託取引適正化法(略称:取適法。令和7年法律第41号、令和7年5月23日公布)が施行されました*7。この法律は対象取引として製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託を定めています*7

ここで注意が必要です。卸売業の単純な物品売買は、取適法が定める対象取引には当たりません*7。在庫の押し付けや期末返品を論じる根拠は、あくまで独占禁止法の優越的地位の濫用に置くべきであり、取適法は該当する取引がある場合の補足として扱う必要があります。

預託在庫と消化仕入をシステムでどう持つか

卸売のイメージ
▽ 写真の出典元

ここまでの会計・税務・取引条件の論点を、システムが持つべき項目に落とし込みます。タイトルに掲げた「管理」は、この章で管理項目として具体的に回収します。

持つべき在庫属性

在庫マスタには4つの属性を持たせる必要があります。所有区分(自社/預託=自社所有・他社保管/預り=他社所有・自社保管)、保管場所(自社倉庫/取引先倉庫/取引先店舗)、引当可否、棚卸対象フラグです。

「出荷したら在庫から消す」という設計では、預託在庫を正しく表現できません。出荷というイベントと、所有権移転というイベントを別々に記録する設計が求められます。

持つべき取引条件(契約マスタ)

契約マスタには、売買形態(買取/返品条件付買取/消化)、所有権移転時点、在庫リスクの負担者、価格決定権、返品条件と損失負担を持たせます*2 *6。これらは第3章と第6章で確認した判断材料そのものです。

持つべき計上ルール

計上ルールとしては3点を持たせます。収益認識の単位(総額/純額)*1、計上日(受託者販売日/売上計算書到達日)*4、インボイス交付主体(委託者/代理交付/媒介者交付特例)*5です。総額・純額の判定と計上日の運用は、継続適用が条件になる点を運用ルールに明記しておく必要があります*4

証跡として残すべきもの

預け先からの在庫残高報告、売上計算書(委託販売精算書)、その写しの保存が証跡として必要です*5 *8。実地棚卸に代えて合理的な方法を用いる場合は、この証跡が継続適用を裏づける記録になります。

所有区分 保管場所 棚卸対象 引当可否 収益認識
自社在庫 自社倉庫 対象 総額(本人)
預託在庫 取引先倉庫・店舗 対象*3 契約次第 消化時に判定*1 *2
預り在庫 自社倉庫 対象外 原則不可 対象外

表:所有区分別の在庫・棚卸・引当・収益認識の対応(卸売=納入側から見た整理。収益認識の欄は本人・代理人の判定結果に依存し、契約条件が変われば結論も変わる。国税庁・企業会計基準委員会の一次情報*1 *2 *3より作成)

導入・移行の5ステップ

最後に、これまでの論点を移行手順として整理します。導入工程全体の進め方は別記事でも扱っています。

預託在庫・消化仕入の移行5ステップ/順位根拠:実施順序

  1. 取引先ごとに売買形態を棚卸しします。買取・返品条件付買取・消化のいずれかを、契約書と実運用を突き合わせて確認します。
  2. 在庫リスクの負担者を契約で確定します。設例30の4つの前提条件、すなわち所有権移転時点・保管管理責任・在庫リスク・価格決定権を点検表として使います*2
  3. 所有区分を在庫マスタに持たせます。既存の在庫テーブルに区分を追加するか、預託分を別テーブルにするかを判断します。
  4. 計上ルールを決めます。総額か純額か*1、計上日をどうするか*4、インボイスの交付主体をどこにするか*5を確定し、継続適用が条件であることを運用ルールに明記します。
  5. 期末棚卸の手順を整えます。預け先からの残高報告の様式と期日を定め、実地棚卸に代える場合は合理的な方法と継続適用を条件とします*8

図
移行は契約の棚卸しから始め、在庫マスタと計上ルールを固め、期末棚卸の手順に至る5段階で進める。

この移行を自社だけで進める場合、会計基準の判定・税務通達・インボイス特例という3分野の知識を横断して扱える担当者が必要になります。契約棚卸しの工数は、取引先数に応じて増えます。専門知識を持つパートナーに依頼する場合との差は、この横断的な確認作業を短い期間で終えられるかどうかにあります。

まとめ:在庫区分・支配の判定・計上ルールの3点

本稿では、預託在庫と消化仕入という2つの商慣習を、在庫の持ち方と売上の立て方という別々の設計問題として整理しました。要点を3つに集約すると次のとおりです。第一に、預けている在庫は置き場所に関わらず自社の棚卸資産であり、国税庁が誤りやすい事項として名指ししています*3。第二に、消化仕入の収益は本人か代理人かの判定によって総額か純額かが変わり、判定は在庫リスクなど3つの指標で行います*1 *2。第三に、これらの判断材料は在庫属性・契約マスタ・計上ルールという3種類のシステム項目として、別々に持たせる必要があります。


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よくある質問

預けている在庫は自社の棚卸に含めますか。

含めます。国税庁の確認表は、外注先や仕入先へ預けている商品等も数量等を把握し、棚卸しの対象とする必要があると明記しています*3。物理的な置き場所ではなく、所有権が自社にあるかどうかで判断します。

消化仕入の売上はいくらで計上しますか。

代理人に該当する場合は純額で計上します。設例30では、売価10,000円のうち仕入先への支払8,000円を除いた、手数料収入2,000円を収益として認識しています*2

本人か代理人かはどう判定しますか。

顧客に提供する前にその財を支配しているかどうかを、主たる責任・在庫リスク・価格の設定における裁量権という3つの指標で評価します*1。3指標はあくまで判断材料であり、いずれかを満たせば必ず本人になるという要件ではありません。

委託販売の売上はいつ計上しますか。

原則は受託者が販売をした日です。売上計算書が売上の都度作成・送付され、法人が継続してその到達した日に収益計上している場合は、到達日に計上することも認められています*4

消化仕入で適格請求書は誰が交付しますか。

本来は委託者が交付します。代理交付という方法もありますが、委託者・受託者の双方が適格請求書発行事業者であることが前提です。加えて委託者が受託者へ登録を受けている旨を取引前に通知していれば、受託者が自己の登録番号で交付する媒介者交付特例も使えます*5

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:企業会計基準委員会「改正企業会計基準適用指針第30号 収益認識に関する会計基準の適用指針」(2021年3月26日公表)第39項・第40項・第42項・第43項・第47項
  2. *2 出典:企業会計基準委員会「改正企業会計基準適用指針第30号 収益認識に関する会計基準の適用指針」設例集 [設例30]「小売業における消化仕入等」(2021年3月26日公表)
  3. *3 出典:国税庁「大規模法人における税務上の要注意項目確認表」(令和8年2月提供分)
  4. *4 出典:国税庁「法人税基本通達2-1-3(委託販売に係る収益の帰属の時期)
  5. *5 出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問48(媒介者交付特例)」(令和5年10月改訂)
  6. *6 出典:公正取引委員会「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(平成22年11月30日策定・令和8年6月17日改正)
  7. *7 出典:公正取引委員会・中小企業庁「中小受託取引適正化法テキスト」(令和7年11月)
  8. *8 出典:国税庁「法人税基本通達5-4-1(棚卸しの手続)
  9. *9 出典:経済産業省「2025年小売業販売を振り返る;5年連続の増加となった小売業販売」(経済解析室ニュース・商業動態統計、2026年4月14日)

画像の出典元

  1. 在庫のイメージ/Photo by Luke Heibert on Unsplash
  2. 仕入のイメージ/Photo by Alberto Rodríguez on Unsplash
  3. 卸売のイメージ/Photo by Iain on Unsplash

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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