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電話受注から高齢の取引先に移ってもらう方法:卸売の担当者が関係を保つ進め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 廃止すれば取引に支障が出るという58.8%は受注側の想定で、取引先の意向ではないため、最初の一手を電話の廃止にしない
  • 電話を続ける理由を慣れ・商品相談・確認の安心感・操作不安に分け、取引先ごとに勧める受け方を変える
  • 電話を残す相手でも、通話中に入力して読み上げで確かめれば、メモからの転記と折り返しを減らせる見込みがある
  • 切り出しは日頃の窓口が担い、電話も続けて受けると伝え、先方の利点から話して数社で試してから広げる
  • 電話・入力・確認の件数と取引先ごとの注文の変化を同じ長さの期間で比べ、電話を残す基準を見直す

Business professional analyzing data charts on a computer while speaking on phone in an office setting.
▽ 写真の出典元

電話受注が重いのに言い出せない:まず「止める」のではなく「理由を切り分ける」

電話で受けた注文を聞き取り、伝票やシステムへ書き写す作業が重い。
それでも、長年電話で注文してくれる高齢の店主に切り替えを頼めば、取引に響きそうで切り出せない。
食品の小売・卸売の調査でも、FAX・電話で受注する担当者の58.8%が、廃止すれば取引に支障が出ると想定していました1。
ただし、これは受注側の見立てで、取引先の意向を聞いた数字ではありません。
まず、取引先ごとに電話を使う理由を聞き分けます。
次に、電話を止めずに負担の小さい受け方から段階的に移し、電話のままにする相手もあらかじめ決めておきます。

受注側の負担:手入力・注文確認・属人化

電話で注文を受けた担当者は、まず聞き取った品名と数量をメモに書きます。
通話を終えてから、そのメモを見ながら受注システムや伝票へ書き写します。
品名が似ていたり数量が聞き取りにくかったりすれば、取引先へ折り返して確かめることになります。
どの取引先がいつも何をどれだけ頼むかは、電話を受け慣れた人の記憶に頼りがちです。

食品の小売・卸売で受注業務に就く106人を対象にした2023年3月のインターネット調査では、受注方法としてFAXを使う割合が67%、電話が50%でした1。
同じ調査で受注業務の課題を尋ねた設問(n=90)では、手入力に手間がかかるが60%、注文確認が煩雑が41.1%、属人化が発生しているが38.9%でした1。
業種を食品に限った調査なので、ほかの品目の卸売にそのまま当てはまるとは言えません。
ただ、FAXを使う受発注が中小企業でいまも根強いことは、経済産業省の委託調査を引いた報道でも指摘されています3。

電話受注では、三つの課題は別々の問題ではありません。
電話の注文は、受けた瞬間には担当者の耳とメモの中にしかありません。
記録に残すには誰かが書き写す必要があり、書き写すときに聞き違いがあれば確認の電話が増えます。
しかも、取引先の言い回しや定番の注文を知っている人ほど聞き取りが速いので、電話はその人に集まり、属人化が進みます。
受注側の負担を減らしたいとき、手を入れる場所は電話そのものより、聞き取りから記録までの間にある転記と確認です。

「廃止すると取引に支障」という想定の読み方

それでも切り替えを言い出せないのは、取引先を失うことが不安だからでしょう。
先の調査では、FAX・電話で受注している担当者(n=80)の58.8%が、FAX・電話を廃止すれば取引に支障が出ると想定していました1。
同じ不安を抱えている受注担当者は、この調査の中でも過半数にのぼります。

ただし、この数字は受注側が予想した結果です。
取引先に、電話で注文できなくなったら取引を見直すかと尋ねた数字ではありません。
問われているのは廃止した場合の影響で、電話を残したまま別の注文方法を加えた場合の反応は分かりません。
読み取れるのは、電話を一方的に取り上げる進め方に、受注側の多くが危うさを感じているというところまでです。

支障として思い浮かぶのは、注文の回数が減る、他の仕入れ先へ移られる、担当者との関係がぎこちなくなる、といった変化でしょう。
このうち受注側が左右できるのは、頼み方と、移った後に先方が困らないかどうかです。
先方の事情に合わない方法を一律に求めれば、不満は出やすくなります。
合う方法を選べるようにして、困ったときに電話へ戻れる道を残せば、不満の種は小さくなります。
不安そのものは消せなくても、伝え方と支え方という手を打てる問題に置き換えることはできます。

そうであれば、最初の一手を電話の廃止にする理由はありません。
取引先が電話を使う理由はそれぞれ違い、理由が違えば移りやすい受け方も違います。
まず理由を聞き分け、電話を止めずに負担の小さい受け方から移し、電話のままにする相手も決めておきます。
この順に進めれば、取引先が嫌がる変化を避けながら、受注側の転記と確認を減らす余地を探せます。

電話受注で転記と確認の手間が生まれる流れ
電話で聞き取ってメモに書き、通話後に書き写し、聞き違いがあれば折り返して確かめる流れ

高齢の取引先が電話を使い続ける理由と、説得が要る相手・電話を残してよい相手の見分け方

電話を続ける4つの理由(仮説)

高齢の取引先が電話で注文し続けるのは、スマホやパソコンを使えないからだ、と考えたくなります。
しかし、高齢の取引先本人に電話を選ぶ理由を尋ねた調査は見当たらず、年齢だけで理由を決めつける根拠はありません。
手掛かりになるのは、受注側から見た課題です。
先の調査でペーパーレス化の課題を尋ねた設問(n=55)では、アナログな方法に慣れていることを挙げた回答が50.9%でした1。
これは受注担当者の回答で、取引先本人の声ではありません。

総務省の情報通信白書では、2023年のインターネット利用率が13〜69歳の各年齢層で9割を超える一方、70歳以上では顕著に低下する傾向が示されています2。
これは個人の利用状況で、店の発注にスマホを使うかどうかを測ったものではありません。
それでも、取引先の中に端末の操作そのものに不安を持つ人がいる可能性は考えておくべきです。
同時に、70歳以上でも使っている人はいますし、慣れの問題と操作の不安は別の話です。

そこで、電話を続ける理由を次の4つに分けて考えることを勧めます。
調査で確かめた分類ではなく、取引先ごとの事情を聞くための仮の枠です。
<ul><li>慣れ:長年同じやり方で困っていないので、変える理由がない</li><li>商品相談:入荷の状況や代わりの品を聞きながら注文を決めている</li><li>確認の安心感:声で受けてもらうと、注文が通ったと実感できる</li><li>操作不安:端末がない、画面の文字が読みにくい、押し間違いが怖い</li></ul>

4つのうち、説得の言葉が効きやすいのは慣れだけです。
商品相談が目的なら、電話は注文の手段である以上に情報を得る場なので、注文方法だけを移しても相談の電話は残ります。
確認の安心感が理由なら、新しい方法でも受け付けたことが先方に返る仕組みがあれば、移れる余地があります。
操作不安が理由なら、言葉を尽くすより、端末を使わない紙の注文書や、操作を一緒に行う支援の方が先です。
同じ高齢の店主でも、どの理由が強いかで、最初にかける言葉が変わります。

取引先ごとの聞き取りと分け方

理由を聞き分けるのに、改まったアンケートは要りません。
まず受注側の手元で、最近の電話の中身を振り返ります。
品名と数量だけを伝えて短く終わる電話が多い取引先と、入荷の様子や値段を尋ねてから注文を決める取引先とでは、電話の役割が違います。
前者は慣れの比重が大きく、後者は商品相談の比重が大きいと見当が付きます。

そのうえで、いつもの電話の終わりに軽く尋ねます。
たとえば、注文は店主が自分でしているのか、従業員や家族がスマホで連絡を取ることはあるか、注文した内容を後で見返したい場面はあるか、といった問いです。
答えから、発注する人と決める人が同じか、端末を使える人が店にいるか、控えが欲しいかが分かります。
相手を試すような聞き方は避けます。
受注側が注文の受け方を見直していることを正直に伝えたうえで聞く方が、後の切り出しも自然になります。

聞き取った結果は、働きかけてよい相手、段階を踏む相手、電話のままにする相手の3つに分けておきます。
慣れが主な理由で、店に端末を使う人がいる取引先は、働きかけてよい相手です。
確認の安心感や操作不安が強い取引先は、紙の注文書や受注側の入力支援から段階を踏む相手になります。
注文のたびに相談が欠かせない取引先や、注文の回数が少なく、移しても受注側の負担があまり変わらない取引先は、無理に移さず電話のままにする相手と考えてよいでしょう。
分けた結果は取引先の台帳などに残し、担当が替わっても同じ扱いができるようにしておきます。

電話を続ける理由 聞き取りで分かる手掛かり 最初の一手
慣れ 品名と数量だけの短い電話が多い 次の定番注文から別の方法を試してもらう
商品相談 入荷や代わりの品を尋ねてから注文を決める 電話を残し、通話中に受注側が入力する
確認の安心感 注文が通ったかを気にして念を押す 受け付けたことを返す方法を添えて移す
操作不安 端末がない、画面操作をためらう 定番品を印字した紙の注文書から始める
聞き取りの結果で取引先を3つに分ける(編集上の整理)
働きかけてよい相手、段階を踏む相手、電話のままにする相手の3つに当たる取引先の特徴

移行先の選択肢を取引先の状況別に選ぶ:紙・FAX・電話の併用、代行入力、スマホ・Web発注

選択肢を同じ4軸で比べる

取引先の理由が見えてくると、勧める受け方も一つではなくなります。
ここでは、電話のまま受注側が入力する方法、FAXや紙の注文書で受ける方法、LINEやWebで取引先が発注する方法の3つを、同じ4つの軸で比べます。
軸は、取引先の操作負担、受注側の入力負担、必要な機器、その方法の限界です。
特定の製品の仕様ではなく、受け方の性質から整理したものです。

表で判断が分かれるのは、電話のまま受注側が入力する方法の位置づけです。
電話を残す以上、受注側の負担は減らないように見えます。
しかし、電話受注の重さの多くは、通話後にメモから書き写す転記と、聞き違いを確かめる折り返しから来ています。
通話しながら受注画面に入力し、電話を切る前に品名と数量を読み上げて確かめれば、メモからの転記はなくなり、折り返しの電話も減らせる見込みがあります。
取引先には何も頼まずに済むので、商品相談が目的の相手や、切り替えを断った相手にも使えます。

FAXや紙の注文書は、操作不安のある取引先にとって、最も変化の小さい書く手段です。
品名と規格をあらかじめ印字し、数量の欄だけ空けた注文書にしておけば、先方は数字を書いて送るだけで済み、受注側も品名の聞き違いがなくなります。
ただし、届いた用紙を読み取って入力する作業は受注側に残ります。
手入力の負担を大きく減らせるのは、取引先が自分で入力するLINEやWebの発注ですが、これは端末と操作の慣れを相手に求めます。

前の節で分けた理由と重ねると、組み合わせの見当が付きます。
慣れが主な理由で、店に端末を使う人がいる取引先には、LINEやWebの発注を最初から勧められます。
確認の安心感が強い取引先には、受け付けた内容が先方に返る方法を選びます。
操作不安のある取引先は注文書から、商品相談が中心の取引先は電話のまま受注側が入力する方法から始めます。
同じ取引先でも、定番品は注文書、相談の要る品は電話というように、品目で使い分ける形もありえます。
全員を一つの方法に寄せるのではなく、取引先ごとに表のどこに置くかを決めると、負担の減り方が見えやすくなります。

事例にみる移行の割合と限界

では、別の方法を用意すると、取引先はどのくらい移るのでしょうか。
参考にできるのは、受発注システムのベンダーが公開している卸売企業の事例です。
LINEを使った受発注の仕組みを導入した事例では、FAXで届いていた注文の70%が移ったという例や、電話とFAXの注文が1日300件から30件に減ったという例が紹介されています4。

これらは、特定製品を導入した企業の事例を、提供するベンダー自身がまとめたものです。
各社の取扱品目、取引先の年齢構成、移行にかかった期間は分からないため、自社でも同じ割合で移ると見込むことはできません。
むしろ読み取りたいのは、うまくいった例でも注文がすべて移ったわけではない点です。
FAXの注文が7割移った例では3割が残り、1日300件が30件になった例でも、30件は電話やFAXのまま残っています。
移行を進めても、電話やFAXで注文する取引先は残る前提で受注体制を考える方が、実態に合います。

そこで受け方の切り替えは、一度に全員を移す計画ではなく、取引先ごとに段階を進める形で描いておきます。
次の図は、取引先の負担が小さい順に段階を並べたものです。
どの取引先も最後の段階まで進む必要はなく、途中の段階にとどまることも想定しています。

受け方 取引先の操作負担 受注側の入力負担 必要な機器 限界
電話のまま受注側が入力 今までと変わらない 通話中の入力で後の転記は減るが入力は残る 受注側の入力画面 電話の本数と通話時間は減らない
FAX・紙の注文書 品名が印字された用紙に数量を書いて送る 聞き取りはなくなるが読み取って入力する作業は残る 取引先のFAX機 手書きの読み違いや未着の確認が残る
LINE・Web発注 画面で品目と数量を選んで送る 受注の仕組みにつながっていれば先方の入力がそのまま記録になる 取引先のスマホやパソコンと受注の仕組み 操作に不安のある相手には支援が要る

最初に誰が何をどう伝えるか:関係を損なわない切り出し方

切り出す順序と担当

受け方の段階が決まったら、取引先にどう伝えるかです。
ここで示す進め方は、効果が確かめられた方法ではなく、受注側が抱く取引への不安を踏まえた提案です。
58.8%という数字が示していたのは、電話を廃止した場合への不安でした1。
それなら、最初の話から廃止の印象を外すのが筋です。

話すのは、ふだん電話を受けている窓口の人か、取引先がよく知る営業担当が向いています。
本社名の案内文が突然届くと、先方は一方的な通知と受け取りやすく、理由を聞き返す相手もいません。
時期は、先方と受注側のどちらかが忙しい時期を避け、注文の電話のついでに数分話せる日を選びます。
社内では、誰がどの取引先に話すかと、話す内容をそろえておきます。
担当によって、電話はいずれやめると言ったり、ずっと使えると言ったりすると、先方の不信につながります。

話す順序は次のように組み立てます。
<ol><li>これまでの注文へのお礼と、電話での注文はこれからも受けることを先に伝える</li><li>先方にとっての利点を話す(たとえば、営業時間外でも注文を送っておける、注文した内容が手元に残る、聞き違いの心配が減る)</li><li>次の定番の注文だけ、新しい方法で試してもらえないかと頼む</li><li>うまくいかなければ電話に戻ってよいと伝える</li></ol>

受注側の手間が減ることを最初の理由にすると、先方には、こちらの都合で頼まれていると聞こえます。
受注側の事情を隠す必要はありませんが、話の順番は先方の利点が先です。
また、最初から全取引先に話すのではなく、働きかけてよい相手に分けた数社で試します。
数週間、先方の反応と電話の件数を追い、言い方や用意した注文書に直すところがないかを見てから広げると、うまくいかなかったときの影響も小さく抑えられます。

断られたときの対応

切り出せば、断られることもあります。
そのときは理由を聞き、その場で受け入れて電話での注文を続けてもらいます。
重ねて頼むほど、先方は電話をやめさせたいのだと受け取ります。
断られたこと自体は関係が悪くなった印ではなく、先に分けた理由のどれに当たるかが分かったという収穫です。

断った理由は台帳に残しておきます。
操作不安が理由なら、端末を使わない注文書を後日改めて提案する余地があります。
商品相談が理由なら、電話のままにする相手として扱い、受注側は通話中の入力で負担を軽くする方へ切り替えます。
慣れが理由で、とくに困っていないという答えなら、急ぐ必要はありません。
店で発注を担う人が従業員や家族に替わった、取り扱う品目が定番品中心になったなど、先方の事情が変わったときが、次に声をかける機会です。

避けたいのは、電話で注文する取引先だけ扱いを悪くすることです。
電話の注文を後回しにする、受付の時間を急に短くするといった対応は、言葉では切り替えをお願いしていても、実際には電話の廃止と同じ受け取られ方をしかねません。
電話を残すと決めた取引先は、受注側にとっての例外ではなく、受け方の一つとして体制に組み込みます。

取引先へ話す順序(編集上の提案)
お礼と電話も受けることを伝え、先方の利点を話し、次の定番注文だけ試してもらい、合わなければ電話に戻ってよいと伝える順序
断られた理由ごとの次の手(編集上の整理)
操作不安、商品相談、慣れのそれぞれの理由で断られたときの次の対応

移行後に取引先が困らないための支援と、問い合わせ・誤注文への備え

初期の支援の範囲

取引先が新しい方法で注文し始めた直後は、受注側の手間がかえって増えます。
注文が正しく届いたか、先方が戸惑っていないかを確かめる連絡が必要になるからです。
先の調査で、受注業務の課題として注文確認が煩雑だと答えた割合は41.1%でした1。
移行の初めはこの確認がしばらく増えると見込み、誰がどの取引先を見るかを先に決めておくと、一人の担当者が抱え込まずに済みます。

支援の範囲は、取引先がつまずきそうな場面から決めます。
最初の1回は、担当者が電話をつなぎながら、または訪問したときに隣で、一緒に注文を送ってみます。
紙の注文書なら、先方の定番品を並べた用紙を作って渡します。
使う受注の仕組みに前回の注文を呼び出す機能があるなら、数量だけ変えて送る手順を教えると、先方が覚えることが減ります。
移行してしばらくは電話での注文も受け、先方が新しい方法で送れなかった日には、担当者が電話で聞いて入力する代行入力で受けます。

支援をいつまで続けるかも決めておきます。
先方が続けて問題なく注文できるようになったら確認の連絡をやめ、困ったときだけ連絡をもらう形に移ります。
支援が終わらないまま新しい取引先へ広げると、確認の連絡が積み重なり、電話受注のときより受注側の手間が増えることもあります。

誤注文・問い合わせへの備え

新しい方法で起こりやすい誤りは、電話の聞き違いとは種類が違います。
数量の桁を打ち間違える、似た品名を選び違える、同じ注文を二度送る、といった誤りです。
移行の途中では、新しい方法で送ったうえで、念のため電話でも伝える取引先がいて、同じ注文を二重に受けてしまうこともあります。
電話と新しい方法を併用する期間に特有の誤りです。

備えは、誤りを見つける場所を受注側に作ることです。
注文を受け付けたら、受け付けた内容を先方へ返します。
FAXなら控えを返信し、LINEやWebなら、使う仕組みに受付の確認を送る機能があればそれを使います。
確認の安心感から電話を使っていた取引先には、この返信が電話の代わりになります。
受注側では、その取引先のいつもの数量と大きく違う注文や、同じ日に同じ品目が二つの方法で届いた注文を見つけたら、出荷の前に電話で確かめます。
こうした確認で誤りがなくなるわけではありませんが、出荷してから気づく件数を減らす手掛かりになります。

問い合わせの窓口は一つに決め、電話番号と担当者の名前を注文書や案内に書いておきます。
高齢の取引先にとって、困ったときに誰へ電話すればよいか分からないことは、新しい方法をやめるきっかけになりかねません。
窓口に来た問い合わせの内容を記録しておけば、つまずきやすい手順が分かり、次に移ってもらう取引先への説明を直せます。

誤注文を出荷前に見つける手順
受け付けた内容を先方へ返し、いつもと違う注文や二重に届いた注文を見つけ、出荷の前に電話で確かめる手順

電話を残す取引先を含めた受注体制と、成果の見方

電話を残す基準

段階的に移しても、電話で注文する取引先は残ります。
どの取引先に電話を残すかは、受注側の負担の減り方と、先方にとっての電話の意味の両方から決めます。
次のどれかに当たる取引先は、電話のままにする候補です。
<ul><li>注文のたびに入荷や代わりの品の相談があり、電話が情報を得る場になっている</li><li>注文の回数が少なく、移しても受注側の入力や確認がほとんど減らない</li><li>切り替えをはっきり断られ、事情もまだ変わっていない</li><li>操作の支援にかかる手間が、電話で受ける手間より大きい</li></ul>

電話を残すと決めたら、残し方を変えます。
受注側が通話中に入力し、読み上げで確かめる受け方にすれば、メモからの転記はなくなります。
取引先ごとの定番の注文や言い回しを台帳に書いておけば、受け慣れた人でなくても受けられます。
調査では、属人化を課題に挙げた割合が38.9%、注文書などの保管義務が煩雑という割合が30%でした1。
電話や紙を残す限り、これらの手間はある程度残ります。
だからこそ、誰でも受けられる型と、記録を一か所にまとめる手順を作っておくことが、電話を残す費用を小さくします。

測る指標と期間

進め方がうまくいっているかは、電話の件数だけでは判断できません。
電話が減っても、確認の連絡やFAXの読み取りが増えていれば、負担が別の作業へ移っただけです。
次の指標を、切り出す前と後の同じ長さの期間で比べることを勧めます。
<ul><li>電話で受けた注文の件数と、受注に使った通話の時間</li><li>受注側が手で入力した注文の件数</li><li>注文確認のために取引先へかけた連絡の件数</li><li>取引先ごとの注文方法(電話、FAX・紙、LINE・Web)</li><li>取引先ごとの注文の回数と金額の変化</li></ul>

このうち、関係を損なっていないかを見るのは最後の指標です。
切り替えを頼んだ取引先の注文の回数や金額が、頼んでいない取引先より目に見えて落ちていれば、伝え方か支援に問題がある可能性があります。
早めに担当者が様子を聞き、必要なら電話に戻ってもらいます。
季節で注文量が動く品目なら、直前の期間だけでなく前の年の同じ時期とも比べると、季節の影響と取り違えずに済みます。

比べる期間は、取引先の注文の周期が何度か入る長さにします。
週に一度注文する取引先なら、短い期間では数回分の注文しか比べられず、たまたまの増減を成果と見誤りやすくなります。

数字がそろったら、段階を進める取引先、今の段階にとどめる取引先、電話のままにする取引先を見直します。
電話を残す基準もこのときに見直し、先方の事情が変わった取引先には改めて声をかけます。
電話受注の負担は一度の切り替えで片づくものではなく、測って、分けて、伝えて、支える手順を繰り返して少しずつ軽くしていくものです。

成果を見る3つの面と指標(編集上の整理)
受注側の負担、取引先ごとの注文方法、取引先との関係の3つの面に指標を分けた図

理由の分け方や受け方の段階は、注文の件数や取引先の構成によって組み合わせが変わるため、社内だけでは優先順位を決めにくいことがあります。

現在の受注方法と取引先の状況をもとに、どの取引先から、どの受け方を勧めるかの順序を一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
切り出す前 受注側の転記・確認・属人化の負担を数え、取引先ごとに電話を使う理由を聞き分ける
理由の分け方 慣れ・商品相談・確認の安心感・操作不安を仮の枠にする
受け方の選び方 電話のまま入力、注文書のFAX・紙、LINE・Webを、取引先の負担が小さい順の段階で考える
伝え方 日頃の窓口が電話も続けて受けると先に伝え、先方の利点から話し、数社で試す
移行初期 確認の連絡が増える前提で担当を決め、受付内容を先方へ返し、窓口を一つにする
電話を残す相手 相談が欠かせない、注文が少ない、断られた、支援の手間が大きい相手
成果の見方 電話・入力・確認の件数、注文方法、注文の回数と金額を同じ長さの期間で比べる

電話を残す取引先を含めた受注体制は、測る指標と見直しの時期を決めておかないと、負担が別の作業へ移ったことに気づきにくくなります。 切り替えの前後で比べる指標と期間の決め方、電話を残す基準の置き方を相談で確かめられます。

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よくある質問

高齢の取引先が「パソコンやスマホは使えない」と言うときの断り方は?

無理に勧めず、その場で電話での注文を続けてもらうのが基本です。
使えないという言葉には、端末がない、操作が不安、変える必要を感じないなど、いくつかの事情が含まれます。
端末を使わない方法として、定番品を印字した注文書をFAXや紙で送ってもらう案があることだけを伝え、決めるのは先方に任せます。
店で従業員や家族がスマホを使っているなら、その人が発注を担う形もありえますが、店主の了解を得てから話を進めます。

電話注文を代行入力する場合、誤入力の確認はどうするか?

通話中に受注画面へ入力し、電話を切る前に品名・規格・数量を読み上げて、先方に確かめるのが基本です。
入力後に別の人が見直せるなら、その取引先のいつもの数量と大きく違う注文だけを拾って確かめると、見直しの手間を抑えられます。
先方がFAXを使えるなら、受け付けた内容の控えを返すと、先方の手元でも確かめてもらえます。

切り替えを断られた取引先には、いつまで電話を残してよいか?

決まった期限はなく、取引先ごとに決めることになります。
注文のたびに相談がある、注文の回数が少ないなど、電話を残す理由が続いている間は残してかまいません。
先方で発注を担う人が替わったときなど、事情が変わった時点で改めて声をかけます。
将来、電話の受付そのものを終えると社内で決めた場合は、代わりの方法を用意し、時間に余裕をもって伝え、移る支援を先に済ませておくことが前提になります。

取引先の家族や従業員が発注する場合、誰に連絡すればよいか?

発注の方法を変える話は、まず取引の相手である店主に伝えて了解を得ます。
そのうえで、実際に注文を出している従業員や家族に、操作や注文書の書き方を説明します。
決める人と発注する人が違う店で、店主の知らないところで方法が変わると、注文の行き違いや不信のもとになります。
台帳には、決める人と発注する人の両方の連絡先を残しておきます。

電話を残す取引先の数が多いとき、受注担当の負担をどう減らすか?

電話の本数を減らすより、1本あたりの手間を減らす方が先です。
通話中に入力して読み上げで確かめる受け方にそろえると、メモからの転記と後の折り返しが減ります。
取引先ごとの定番の注文を台帳にまとめておけば、受け慣れた人に電話が集まる状態を和らげられます。
そのうえで、注文の回数が多く、慣れが主な理由の取引先から順に別の方法を勧めると、移ったときに減る手間が大きくなります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
  2. 2 出典:総務省「令和6年版 情報通信白書」(2024年)
  3. 3 出典:日経BP(日経クロステック)「中小企業の8割が「ファクスで受発注」の現実」(2019年)
  4. 4 出典:株式会社インフォマート「卸企業の事例まとめ~FAX受注の改善編~」(2022年以降)

画像の出典元

  1. Business professional analyzing data charts on a computer while speaking on phone in an office setting./Photo by Vitaly Gariev on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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