◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 電話受注の負担は通話そのものより、通話後の手入力・確認の折り返し・控えの作成に集まっている
- FAX・電話で受注する担当者の58.8%が廃止時の支障を想定しており、反対は自社特有の抵抗ではなく織り込んで設計する前提になる
- 全面禁止ではなく、電話窓口を残したまま定型・リピート注文から移し、相談や急ぎは電話に残す切り分けが現実的
- 社内には自社で測った電話件数と通話後の作業時間を、取引先には窓口が残る前提と変わる手順の具体を示す
- 外部調査は業種・地域・回答者の枠を保って使い、異なる調査の数値を合算したり時系列で並べたりしない
目次

電話受注をやめたいのに動けないのはなぜか
受話器を置いてからメモを読み返し、品番を引き当て、受注システムに打ち直す。
この繰り返しを減らしたいのに、「あの取引先は電話しかしない」「長年の付き合いを壊すな」で話が止まる。
実際、FAX・電話で注文を受ける担当者の58.8%が、廃止すると取引に支障が出ると想定しています1。
ですから最初の一手は全面禁止の宣言ではなく、通話の後にどんな作業が積み上がっているかを自社の数字で掴むことです。
そのうえで電話窓口は残したまま、内容が決まっている定型注文から順に経路を移す。
反対する相手に見せる材料も、取引先向けと社内向けで別々に用意します。
手入力・確認連絡・管理でどこに手間がかかっているか
「電話を減らしたい」と思ったとき、最初に浮かぶのは通話に取られる時間かもしれません。
ただ、受注担当者が実際に重いと感じている場所は、もう少し後ろにあります。
受話器を置いてから、走り書きのメモを読み返し、聞いた商品名を品番に置き換え、受注システムへ打ち直す。
電話が一本鳴るたびに、この後工程が必ず一回ぶん増えていきます。
食品業(小売・卸売)で受注業務に携わる担当者への調査では、FAX・メール・電話で注文を受ける90人のうち、注文書の手入力に手間がかかるとした回答が60%、注文確認の連絡が41.1%、注文書の管理(保管義務)が煩雑だとした回答が30%となっています1。
2023年3月に実施された調査で、対象は食品業の受注担当者に限られます。
業種や品目数、取引先の数が違えば割合も動きますが、負担が「通話」ではなく「通話の後始末」に集まっているという構図は、自社の状況を言葉にするときの下敷きになります。
手入力が残る理由ははっきりしています。
電話で受けた注文は、その瞬間には音声としてしか存在しません。
紙のメモに落とし、システムに入れ直して、ようやく社内の他の人が見られる形になります。
途中に人の手が二回入るので、聞き間違いと打ち間違いという別々の誤りが起こりえます。
しかも録音していなければ注文そのものの証跡が社内に残らないため、数量が違ったときに確かめる材料もありません。
確認の折り返しが増えるのも、同じところから来ています。
「いつものやつ」で通っている注文、単位が箱かバラか曖昧な数量、納期の希望が言葉のまま流れた注文。
受けた本人は分かっていても、伝票にする段階で決められない項目が出てきて、もう一度こちらから電話をかけることになります。
この折り返しは自社の手間であると同時に、取引先の手も止めます。
電話受注をやめたいという相談の裏には、たいていこの往復が積み上がっています。
控えの作り方も電話特有です。
FAXやメールなら、受け取った時点で注文内容そのものが記録として残ります。
電話は、受けた側が書き起こした二次的な記録しか残らないため、注文書に相当するものを自分で起こして綴じる作業が発生します。
誰がどの様式で残すかを決めていないと、後から探すときの手間まで一緒に増えていきます。
この負担が社内で共有されにくいのにも理由があります。
電話一本あたりで見れば、通話も入力も数分で終わる作業です。
日報には残らず、残業として表に出るころには「最近忙しい」という言葉に丸められてしまいます。
さらに、電話を受けられる人は限られがちで、品番と取引先の癖を覚えている担当者に集中します。
その人が休んだ日に何が起きるかを思い浮かべると、これが人手の問題ではなく経路の問題だと見えてきます。
もう一つ押さえておきたいのは、電話が単独で使われているわけではないことです。
同じ調査では、受注方法としてFAXを使っている担当者が67%、電話が50%でした(回答者106人)1。
電話とFAXが並んで使われている以上、電話だけを止めても、紙を読み取って打ち込む入り口はそのまま残ります。
ここで目的を「電話をやめること」から「転記と確認の往復を減らすこと」に置き直しておくと、この後の社内説明が通りやすくなります。
念のため、電話が何も生んでいないわけではありません。
曖昧な注文をその場で確定できる、在庫や納期をすり合わせながら数量を決められる、相手の事情が分かる。
電話が担っているのはこうした機能で、やめる話をする前に、自社の電話注文のうちどれがこの機能を必要としていて、どれが単に習慣で電話なのかを分けておく必要があります。
この仕分けをせずに「電話をやめる」とだけ言うと、必要な会話まで一緒に捨てる話に聞こえます。
社内の反対の火種は、たいていここにあります。
全面廃止ではなく何を残し何を変えるべきか
廃止で取引に支障が出ると答えた担当者は58.8%
では、負担の中身が分かったとして、そのまま電話とFAXを止めてよいのか。
同じ調査で、FAX・電話で注文を受けている80人に廃止したら取引に支障が出ると思うかを尋ねたところ、58.8%が「はい」と答えています1。
過半数です。
ここで大事なのは、これが実際に廃止して支障が出た記録ではなく、現場の担当者がそう想定しているという回答だという点です。
想定にすぎないから気にしなくてよい、という話にはなりません。
受注担当者は、どの取引先がどんな頼み方をしてくるかを一番近くで見ている人たちです。
その人たちの過半数が同じ懸念を持っているなら、少なくとも懸念が出てくること自体は織り込んで設計するほうが現実的です。
逆に言えば、社内で反対されても慌てる理由はありません。
その反対は自社だけで起きている特殊な抵抗ではなく、同じ受注方法を使っている現場に共通して出てくる反応です。
実務では、この「支障」を一段掘り下げておくと話が進みます。
注文そのものが入らなくなることを指しているのか、注文は入るが手間が相手に移って関係が悪くなることを指しているのか、あるいは急ぎの依頼に即応できなくなることなのか。
中身によって打ち手が変わります。
急ぎの即応が理由なら電話窓口は残す判断になりますし、相手の手間が理由なら入力を誰がどう担うかの問題になります。
誰がその懸念を口にしているかも、分けて聞いたほうがよいところです。
先の数値はあくまで受注業務に携わる担当者の回答ですが、社内で反対する人が営業であれば、見ているのは取引先との関係のほうかもしれません。
同じ「支障が出る」という言葉でも、作業が回らなくなる話と、関係が冷えるという話では、必要な材料がまったく違います。
反対の言葉をそのまま受け取らず、何が起きると困ると思っているのかを一度言い換えてもらうところから始めると、議論が具体になります。
段階移行・併用という選択肢
負担は実在し、廃止への懸念も過半数。
この二つを同時に扱う進め方は、全面禁止の宣言ではなく、注文の性質ごとに扱いを分ける段階移行になります。
切り分けの軸として使いやすいのは、注文の中身がどれだけ決まっているかです。
毎週同じ品目を同じ単位で頼んでくる定型注文は、電話で受けても入力する内容がほぼ固定されています。
ここをデジタル側へ寄せても、相手が新しく判断することは増えません。
一方、規格の相談を伴う注文、在庫を聞いてから数量を決める注文、当日出荷の依頼は、やり取りそのものが注文の一部です。
こちらを無理に画面へ押し込むと、結局あとから電話で補足が入り、経路だけが二つに増えます。
「電話窓口を残す」という言い方も、少し具体にしておきます。
残すのは電話をかけられる先があることで、変えるのはかかってきた後に誰がどこへ入力するかです。
受けた担当者が紙に書いてからシステムへ打ち直す形を、受けながら注文画面に直接入れる形に変えるだけでも、転記は一回減ります。
取引先から見れば何も変わっていませんが、社内の作業は変わります。
反対が強い会社ほど、この「相手に見えない範囲の変更」から始めたほうが動きます。
経路を分けるときに一緒に決めておきたいのが、記録の置き場所です。
電話で受けた注文だけが手元のメモに残り、入力された注文は画面にある、という状態になると、今日の受注全体を見るために二か所を突き合わせる作業が新しく生まれます。
入り口は複数でも、注文が最終的に集まる場所は一つにする。
これが決まっていれば、電話を残すこと自体は負担の温存になりません。
併用には併用のコストがあることも、先に社内で共有しておくほうがよい点です。
経路が二つあるあいだは、どちらにも同じ注文が入っていないかを確かめる手間が残ります。
いつまで併用するのか、どの状態になったら次へ進むのかを決めずに始めると、併用がそのまま最終形になります。
期限を切ることと、うまくいかなかったときに戻す条件を先に決めておくことは、反対する側への誠意にもなります。
移行の順番も、取引先を一律に並べる必要はありません。
注文の頻度が高く、品目が毎回ほぼ同じ取引先ほど、移したときに減る作業量が大きくなります。
逆に、年に数回しか注文がなく、そのつど内容が違う相手は、後回しにしても失うものが少ない。
最初に声をかける先を、付き合いの長さや言いやすさではなく、この二つの軸で選ぶだけでも、社内に示せる効果が変わってきます。
電話窓口を残す前提そのものについても、設備側の変化を一つ織り込んでおきます。
NTT東西の加入電話とISDNは2024年から段階的にIP網へ移行が進められ、2025年までの移行完了が予定されていました4。
緊急通報や番号ポータビリティは維持されるとされており、電話番号が使えなくなるという話ではありません。
ただし対象は加入電話・ISDNであるため、FAXを含めて回線に依存した運用を長く続けるつもりなら、自社の契約がどの形になっているかは回線側の窓口で確かめておく範囲になります。
この進め方であれば、反対している相手に約束するのは「電話をやめる」ではなく「決まった注文から順に移す」になります。
約束の内容が小さくなるほど、試すことへの同意は取りやすくなります。
業界は電話・紙の受注からどこまで脱却しているのか
東京の中小企業の受注手段の実態
社内で「うちは遅れているのか」と問われたとき、感覚で答えると議論が止まります。
外の数字を二つ置いておくと、自社の位置を言葉にしやすくなります。
東京商工会議所が東京23区内の中小企業1218社に対して2024年10〜11月に行った調査では、デジタルシフトの段階をレベル1「口頭連絡、電話、帳簿での業務が多い」と回答した企業は17.7%で、前回調査から1.1ポイント減っています2。
電話と紙が業務の中心という状態は、少数派の側へ寄ってきている、という読み方ができます。
ただしこの数字は、業務全般の段階を企業が自己評価したもので、受注業務だけを取り出した割合ではありません。
対象も東京23区の中小企業に限られます。
「電話で受注している企業は17.7%しかない」と社内で紹介してしまうと、後で別の資料と突き合わせたときに食い違います。
業務全般の段階という枠を外さずに使うほうが、話が長持ちします。
卸売業の受注手段の実態
もう一つは、受注の経路そのものに寄った数字です。
SBペイメントサービスがBtoB取引の買い手側企業に属する387人へ2025年7〜8月に行った調査では、卸売業のBtoB受注のうちメール・FAX・対面などの通信手段が占める割合が約70%とされています3。
買い手側の回答である点と、卸売業についての値である点は、そのまま添えて伝える必要があります。
この二つを並べると、向かっている方向は同じでも、速さは業種によって違うことが見えてきます。
電話と紙が業務の中心という企業は減っている。
一方で、事業者間の受注では人が介在する経路がなお厚い。
自社が卸売に近い取引形態なら、取引先の側も同じ事情を抱えているはずで、移行の相談は相手にとっても他人事ではありません。
注意点も一つあります。
この二つは地域も業種も調べ方も違い、片方は企業の自己評価、もう片方は買い手担当者への調査です。
17.7%と70%を足したり、時系列で並べたりはできません。
社内で使うときは「電話・紙が中心の会社は減っている」「事業者間の受注では人手の経路がまだ厚い」という別々の傾向として置くのが安全です。
そのうえで結局必要になるのは、自社の内訳です。
直近一か月の受注件数を、電話・FAX・メール・入力画面といった経路別に数える。
件数だけでなく、金額と、その注文にかかった処理時間も並べてみる。
上位数社で件数の大半を占めているなら、全社一斉の案内は要らず、その数社と話すだけで状況が変わる可能性があります。
外の数字は自社の位置を測る物差しであって、移行の順番を決めてくれるのは自社の内訳のほうです。

高齢の顧客・社内の高齢の担当者への説明はどう組み立てるか
顧客向けに示す材料
ここまでで、負担の中身と、廃止への懸念と、業種による温度差が並びました。
残るのは、目の前の相手にどう話すかです。
まず前提を一つ置きます。
年齢を理由に「この取引先は無理だろう」と決めてしまうと、打ち手が最初からなくなります。
電話をかけてくる理由は、たいてい年齢そのものではなく、もっと手前にあります。
品番が分からないから口頭で伝えたい、在庫を聞いてから数量を決めたい、急ぎだから届いたことをその場で確かめたい、単に長年そうしてきた。
理由が違えば必要な手当ても違います。
品番が分からないのなら、その取引先がいつも頼む品目だけを並べた注文の形を用意すれば済むことがありますし、在庫を聞きたいのなら、電話をやめる話より先に在庫が見える状態をつくるほうが順序として自然です。
相手に最初に伝える内容にも、順番があります。
「電話をやめます」ではなく「電話の窓口はこれまで通り残ります」から入る。
そのうえで、変わるのは何かを具体的に示します。
注文の書式、締めの時刻、注文番号の伝え方、控えがどこに残るか。
変わらないことを先に言うほうが、変わる部分の説明を最後まで聞いてもらえます。
移行の負担を相手に全部渡さない工夫も要ります。
最初の数回はこちらで入力を代行し、控えの画面を見てもらう。
紙の注文書と同じ並びの入力画面にして、書き写す感覚で使えるようにする。
担当者が交代したときのために、注文の手順を一枚にまとめて渡しておく。
いずれも提案であって、どれが要るかは取引先ごとに違います。
始める前に、注文の頻度、品目数、いま使っている経路、実際に注文しているのは誰かを取引先単位で確かめておくと、無理のない順番が見えてきます。
誰がいつ伝えるかも、意外と結果を左右します。
受注担当から事務連絡として届くのと、いつも訪問している営業から直接説明があるのとでは、受け取られ方が変わります。
相手の繁忙期と重なる時期を外すことも含めて、案内そのものを一つの取引行為として扱ったほうがよい場面です。
それでも「今まで通り電話がいい」と言われることはあります。
そのときは無理に押さず、例外として電話のまま残す。
ただし、例外を何社まで、どの条件で認めるのかは社内で決めておきます。
線を引かないまま個別に認めていくと、例外が積み上がって元の状態に戻り、社内では「やっぱり無理だった」という記憶だけが残ります。
例外を許す代わりに、その注文の入力を誰が担うかだけは決めておく、といった形にしておくと運用が崩れにくくなります。
社内向けに示す材料
社内の反対は、たいてい理由が一つではありません。
取引が減るのが怖いのか、今のやり方で回っているから変える理由が分からないのか、移行の作業負荷を自分たちが被るのが嫌なのか。
この三つは反対の言葉としては似た形で出てきますが、差し出すべき材料は別物です。
取引が減るという懸念には、外の数字が効きます。
FAX・電話で受注する担当者の58.8%が廃止時の支障を想定しているという結果1は、反論の材料ではなく「その心配は一般的なもので、だからこそ全面廃止はしない」と示すために使います。
懸念を否定された相手は動きませんが、懸念を設計に取り込まれた相手は話を聞きます。
変える理由が分からない、に対しては、自社の実測が要ります。
外部調査の60%や41.1%1は、負担が自社特有の問題ではないことの裏づけにはなりますが、自社の時間や人数にはなりません。
二週間ほど、電話を受けた件数、通話の長さ、通話後に発生した作業(入力、確認の折り返し、控えの作成)を記録するだけでも、会議に出せる数字になります。
件数が分かると、時間帯の偏りも見えてきます。
出荷前の一時間に集中しているのなら、それは人を増やす話ではなく経路を分ける話だと説明できます。
移行の負荷を誰が被るのかという不安には、範囲と戻し方で答えます。
最初に移すのは定型注文だけ、対象は数社、期間は決めておく。
この条件に届かなければ元の運用に戻す、という線も一緒に共有する。
「やってみて駄目なら戻す」が言葉として決まっていると、反対していた人でも試行の同意だけは出しやすくなります。
長く電話で商売をしてきた人に話すときは、これまでのやり方を否定しないことも実務上の要点です。
電話で受けてきたからこそ拾えた急な依頼や、崩さずに済んだ関係は確かにあります。
変えたいのはその関係ではなく、通話の後に一人の担当者へ集まっている転記と確認だと伝える。
記録が同じ場所に残るようになれば、担当者が休んだ日でも別の人が注文の状況を追えます。
属人化の解消は、経営の側から見ると負担削減よりも通りやすい論点になることがあります。
業界の数字は、危機感をあおる材料ではなく、自社の位置を確かめる物差しとして出すほうが穏当です。
電話と紙が中心の企業が減っていること2も、事業者間の受注では人が介在する経路がなお厚いこと3も、それ単体では「だから今すぐ全部やめるべきだ」という結論にはつながりません。
結論を運ぶのは、自社で数えた件数と時間、そして戻す条件まで含めた進め方のほうです。
電話受注のどこに時間が使われているかは、取引先の構成と品目数と経路の組み合わせで変わるため、一般的な負担の内訳だけでは自社の移行順序までは決まりません。
いまの受注件数を経路別に分け、定型注文がどれくらいを占めるかを一緒に洗い出せば、最初に声をかける取引先の候補と、電話のまま残すべき注文の線引きを具体的に確かめられます。無料相談で要件を整理する
受注業務で負担が大きい作業はどれか
食品業(小売・卸売)でFAX・メール・電話により注文を受ける担当者90人が挙げた負担を、2023年3月時点の回答割合が高い順に並べています。
- 注文書の手入力に手間がかかる:60%
- 注文確認の連絡に手間がかかる:41.1%
- 注文書の管理(保管義務)が煩雑:30%
自社で同じ項目を数えると順位は入れ替わりえます。品目数の多い取引先が中心なら手入力が、規格や納期の変更が多ければ確認の折り返しが上位に来ます。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 何を減らすのか | 通話そのものではなく、通話後の手入力・確認の折り返し・控えの作成 |
| 進め方 | 全面禁止ではなく、電話窓口を残したまま定型注文から段階的に移す |
| 残す注文 | 在庫確認や規格の相談を伴う注文、当日出荷などの急ぎ |
| 社内に示す材料 | 自社で測った電話件数と通話後の作業時間、戻す条件を含む試行範囲 |
| 取引先に示す材料 | 窓口が残る前提と、書式・締め時刻・控えの残り方など変わる点の具体 |
| 外部数値の扱い | 調査の業種・地域・回答者の枠を保ち、異なる調査を合算・時系列比較しない |

取引先ごとに注文の頻度も品目数も注文する人も違うので、案内の順番や併用の期間、例外を認める範囲は自社の取引構成に合わせて決める必要があります。 受注の内訳と社内で出ている反対の理由を整理したうえで相談すれば、どこから試して、どの条件になったら元の運用に戻すのかまで含めた進め方を検討できます。
よくある質問
電話注文を完全に廃止せず一部だけ残す場合、どこで線引きすればよいか
注文の中身がどれだけ決まっているかで分けるのが扱いやすい線引きです。
毎回ほぼ同じ品目・同じ単位で入る定型注文は、入力側へ移しても相手の判断は増えません。
逆に、在庫を聞いてから数量を決める注文、規格の相談を伴う注文、当日出荷の依頼は、やり取り自体が注文の一部なので電話に残します。
取引先ごとに一律で分けるのではなく、同じ相手でも注文の種類で分けるほうが現実に合います。
FAXでの受注も電話と同時にやめるべきか
同時である必要はありません。
食品業の受注担当者への調査では、FAXの利用が67%、電話が50%で、両方が並んで使われていました1。
電話だけを止めても紙を読み取って打ち込む入り口は残るため、負担が思ったほど減らないことがあります。
まず自社の受注を経路別に数え、件数と処理時間の大きいほうから手を付けるのが順序です。
どちらを先にするかは、取引先の使っている経路の偏りで決まります。
移行の第一歩として何から着手すればよいか
経路別の受注件数と、通話後に発生している作業の記録です。
二週間ほど、電話を受けた件数、通話の長さ、その後に行った入力・確認の折り返し・控えの作成をメモするだけでも、社内の会議に出せる材料になります。
ここで時間帯の偏りや、特定の担当者への集中が見えると、議論の対象が「電話をやめるかどうか」から「どの工程を誰の手から外すか」に移ります。
取引先への案内はその後で構いません。
社内の反対が根強い場合、まず何を測定して示せばよいか
自社の電話受注の件数と、通話後の作業時間の二つです。
外部調査では注文書の手入力に手間がかかるとした回答が60%、注文確認の連絡が41.1%ありますが1、これは負担が自社だけの問題ではないことの裏づけであって、自社の数字ではありません。
あわせて、廃止時の支障を懸念する回答が58.8%に上ること1も示し、全面廃止をしない前提で話していると伝えると、反対の論点が絞れます。
取引先が入力を嫌がった場合、その相手は例外として残してよいか
残して構いませんが、例外の条件を先に決めておくことが前提です。
何社までか、どの注文なら電話のままか、その注文の入力を社内の誰が担うかを決めずに個別対応を重ねると、例外が積み上がって元の状態に戻ります。
最初の数回だけ入力を代行する、紙の注文書と同じ並びの画面を用意するといった手当てで解ける場合もあるため、断られた理由が操作の不安なのか、急ぎへの不安なのかは確かめておきたいところです。
- 1 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 2 出典:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(2024年調査)
- 3 出典:株式会社SBペイメントサービス「BtoB取引を行う事業者の決済・購買状況に関する調査」(2025年)
- 4 出典:総務省「固定電話網の円滑な移行」(2026年時点の公開情報)