◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 電話受注の工数は、受付・聞き取り・入力・確認の連絡・変更や訂正の5つに分けて自社で測ると、見直す先が見えます。
- 電話受注に絞った削減率を示す公的な数字はなく、企業間データ連携の実証値も自社の見込みには使えないため、効果は同じ方法の前後比較で確かめます。
- 電話を残したままでも入力や訂正は減りうる一方、受付と聞き取りは電話の件数が減らないと減りません。
- 新しい手段では照合や得意先対応、移行中の二重運用が加わるため、減った工数から差し引いて判断します。
- 得意先は電話を残す前提で振り分け、一社から数社に限って電話を残したまま試します。
目次

電話が鳴るたびに手が止まる。電話受注の工数はどの作業に消えているのか
得意先から電話が入るたびに受注担当者の手が止まり、品番の聞き返し、システムへの入力、納期の折り返しと作業が続きます。
忙しいのは確かでも、どの作業にどれだけ時間を取られているかは意外と見えません。
電話受注の見直しで工数が減るかを判断するには、受付・聞き取り・入力・確認の連絡・変更や訂正の5つに分けて自社で測り、見直しの前後を同じ方法で比べることが土台になります。
電話受注に絞った削減率を示す公的な数字は見当たらないため、効果は自社の数字で確かめます。
得意先には電話をやめることに支障を感じる人も多いため、電話を残す範囲を決めて、一部の得意先から試すのが現実的です。
電話受注を5つの作業に分ける
電話受注の工数を「電話対応の時間」とひとまとめにすると、どこを変えれば減るのかが見えません。
同じ一件の注文でも、電話を取ってから伝票やシステムに入るまでには、性質の違う作業がいくつも挟まっています。
ここでは、受付・聞き取り・入力・確認の連絡・変更や訂正の5つに分けて考えます。
- 受付:電話を取り、得意先と担当者を確かめる。
手元の作業はここで中断される - 聞き取り:品番・数量・納期・納品先を聞き、聞き取れなかった部分を聞き返す
- 入力:メモや記憶をもとに、受注システムや伝票へ転記する
- 確認の連絡:在庫や納期を確かめ、得意先へ折り返したり内容を復唱したりする
- 変更・訂正:数量の変更や追加・取消、聞き間違いや入力ミスの直しに対応する
分ける理由は、減らす手段が作業ごとに違うからです。
受付と聞き取りは、電話そのものが減らなければ大きくは変わりません。
一方、入力や確認の連絡は、電話を受けた後の処理を変えるだけでも減る余地があります。
変更・訂正は、聞き間違いや転記のミスが原因なのか、得意先の都合による変更なのかで打ち手が分かれます。
見落としやすいのは、通話が終わった後の時間です。
受話器を置いてからメモを清書し、在庫を調べて折り返し、もとの作業に戻るまでが一件の電話受注の工数です。
通話の記録だけを見て「一件あたり数分」と考えると、入力や折り返しの時間がまるごと抜け落ちます。
中断された作業を思い出して再開する時間も、受注担当者の一日からは確実に削られています。
自社の数字で測る手順
測り方に公的に定められた手順はありません。
ここで示すのは、作業の偏りをつかむための本記事からの提案です。
大がかりな時間計測を始める必要はなく、受注担当者が手元の記録用紙や表計算に、作業の区分と時刻を書き留める程度から始められます。
- 記録する項目を決める(日付、得意先、作業の区分、開始と終了の時刻、訂正があればその原因)
- 受注担当者全員が同じ書き方で記録する
- 通常期だけでなく、月末など電話が集中する時期も含める
- 区分ごとに件数と合計時間を集計し、一件あたりの時間を出す
- 訂正の原因を「聞き間違い」「入力ミス」「得意先の都合による変更」に分けて数える
期間は、自社の注文の波が一巡する程度を目安にします。
週の初めに注文が集中する、月末に変更が増えるといった波がある会社で、電話の少ない数日だけを測ると、見直しの効果を小さく見積もることになります。
反対に、繁忙期だけを測ると、通常期には必要のない仕組みまで入れたくなります。
記録そのものが負担になるという声が出たら、すべての電話を細かく測る必要はありません。
区分ごとの偏りが分かれば判断には足ります。
大切なのは、見直しの後にも同じ書き方で測れることです。
測り方が変わると、前後の差が仕組みの効果なのか、測り方の違いなのか区別できなくなります。
得意先の欄を設けておくと、後で電話を残す得意先と移行を試す得意先を振り分けるときにも、同じ記録が使えます。
業界調査で挙がる煩雑な作業
自社の数字がどこに偏りそうか、見当をつける手がかりとして業界調査があります。
株式会社ハンモックが2023年3月に食品の小売・卸売業の受注業務担当者へ行ったインターネット調査では、受注方法として電話を挙げた人が50%(n=106)でした1。
同じ調査で、FAX・Eメール・電話で受注している担当者(n=90)に煩雑な作業を聞いたところ、注文書の手入力に手間がかかるが60%、注文確認の連絡に手間がかかるが41.1%でした1。
読むときの前提がいくつかあります。
対象は食品の小売・卸売業に限られ、回答者の数も多くはありません。
煩雑な作業の数字はFAXやメールで受ける人も含めた複数回答で、電話受注だけの割合ではありません。
そのため、食品以外の卸売業や自社にそのまま当てはめることはできません。
使い方としては、自社の5区分と突き合わせる材料にします。
手入力は「入力」に、注文確認の連絡は「確認の連絡」に当たります。
自社の記録でも入力と確認の連絡が大きければ、業界調査と同じ傾向だと分かります。
逆に、聞き取りの聞き返しや訂正のほうが目立つなら、調査の上位項目とは別のところに自社の工数があることになり、見直す先も変わります。
| 調査で挙がった作業 | 回答の割合 | 対応する作業区分 |
|---|---|---|
| 注文書の手入力に手間がかかる | 60% | 入力 |
| 注文確認の連絡に手間がかかる | 41.1% | 確認の連絡 |
電話受注を見直すと何が減るのか。効果の根拠と、言える範囲
入力と確認の連絡が減る可能性
自社の記録で入力と確認の連絡が大きかったとして、それは何をどう変えると減るのでしょうか。
入力が減るのは、注文の内容が最初から文字やデータで届き、人が聞いて書き写す工程がなくなるか短くなる場合です。
確認の連絡が減るのは、受け付けた内容や納期を得意先が自分で確かめられ、折り返しの電話を待たなくてよくなる場合です。
一方で、電話を残したまま受けた後の処理を整えても、受付と聞き取りの時間はあまり変わりません。
電話が鳴れば誰かが出て、品番や数量を聞く必要があるからです。
電話の件数そのものが減って初めて、受付と聞き取りが減ります。
どの作業を減らしたいのかによって、電話を減らす見直しが必要なのか、受けた後の処理を変えれば足りるのかが分かれます。
残る作業もあります。
在庫の引き当てや納期の判断、取引条件の確認は、注文がどの経路で届いても誰かが行います。
データで届いた注文にも、内容が正しいか、極端な数量が入っていないかを見る作業は残ります。
「入力がなくなる」と「受注の仕事がなくなる」は別のことで、見直しで減るのは主に人が聞いて書き写し、折り返す部分です。
企業間データ連携の実証から読めること・読めないこと
電話受注を見直したときの削減率を直接示す公的な数字は、確認できた資料のなかにはありません。
近い領域の数字として、中小企業庁のミラサポplusが紹介する企業間の受発注データ連携の実証があります。
平成28年度補正予算による12件の実証で、中小企業の業務時間は平均51.4%削減されたと説明されています2。
この数字から読めるのは、発注する側と受注する側が受発注のデータでつながると、業務時間が大きく減った例があるという方向です。
同じページでは、中小企業は既存の業務の流れを変えやすく、効果が出やすかったとも述べられています2。
読めないこともはっきりしています。
これは得意先と自社の双方がデータでつながった実証で、電話で受けた注文の処理を社内だけで効率化した場合の値ではありません。
測り方の詳細も示されていません2。
12件の平均でもあるため、自社の見直しで期待できる削減率や上限として使うことはできません。
前の節で見た業界調査の割合とも対象と測り方が違うので、組み合わせて効果を試算することもできません。
効果は前後比較で自社の数字にする
外部の数字が自社の見込みに使えないとなると、頼りになるのは見直しの前に取った自社の記録です。
見直しの後に同じ5区分・同じ書き方で測り直し、区分ごとに一件あたりの時間と件数を比べます。
訂正の件数も、原因別に前後で比べます。
聞き間違いによる訂正が減っていれば、聞き取りから入力までの流れが変わった効果だと読めます。
このとき、減った時間だけを数えると効果を大きく見誤ります。
見直しには、新しい手段の準備、得意先への案内、移行中の問い合わせ対応、新しい画面での確認といった作業が加わります。
判断に使うのは、減った作業から増えた作業を差し引いた残りです。
導入時に一度だけかかる工数と、運用で続けてかかる工数も分けておくと、一時的な負担なのか恒常的な負担なのかが見えます。
たとえば、注文の入力時間が短くなっても、取り込んだ内容を目で照合する時間が同じだけ増えたなら、差し引きはほとんど残りません。
反対に、入力の短縮は小さくても、聞き間違いの訂正と折り返しの電話がはっきり減ったなら、得意先とのやりとり全体では効果があったと考えられます。
どちらに当たるかは、作業を分けて測っていないと分かりません。
| 読めること | 読めないこと |
|---|---|
| 受発注の双方がデータでつながると業務時間が大きく減った例がある | 電話受注を社内だけで見直した場合の削減率 |
| 中小企業は業務の流れを変えやすく効果が出やすかったとされる | 自社で見込める削減率や上限 |
| 得意先と一緒に変えることが効果の前提になる | 業界調査の割合と組み合わせた効果の試算 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 受付
- 聞き取り
- 入力
- 確認の連絡
- 変更・訂正
電話を残す・FAX/メールを取り込む・Web受発注やEDIへ移す。何が減り、何が増えるか
3案を同じ軸で比べる表
受注の手段の見直しは、大きく三つの方向で考えられます。
電話を残したまま受けた後の処理を整える、FAXやメールで届く注文を取り込む、Web受発注やEDIへ移す、の三つです。
EDIは、企業間で受発注などのデータを決まった形式でやりとりする仕組みを指します。
どの作業が減るかは注文が届く形によって変わるので、減りうる作業・新たに生じる工数・得意先側の負担という同じ軸で並べます。
実際には、どれか一つに切り替える会社ばかりではありません。
先の食品業界の調査でも受注方法は複数回答で聞かれており、電話だけで受けている窓口ばかりではない様子がうかがえます1。
三つの案は択一ではなく、得意先ごとに組み合わせる候補として見るほうが実態に合います。
表は一般的な方式の類型を整理した本記事の仮説で、特定の製品の機能や料金に基づくものではありません。
判断が分かれるのは、下の案ほど受注側で減りうる作業が増える一方、得意先側の負担と移行の手間も増えるという点です。
どの案が自社に合うかは、自社の記録で大きかった区分と、得意先がどこまで手段の変更を受け入れられるかの組み合わせで決まります。
新たに生じる工数
減る作業は表で見えても、新たに生じる工数は見落とされがちです。
電話を残して受けた後の処理を整える案では、聞き取る項目の順番や入力のしかたを決め、担当者の間でそろえる準備が要ります。
準備は比較的軽い一方で、電話の件数は変わらないため、繁忙期に電話が回らない問題はそのまま残ります。
FAXやメールの注文を取り込む案では、転記の手間が減る代わりに、取り込んだ内容が注文書と合っているかを照合する作業が生じます。
手書きの注文書や、品番の書き方が得意先ごとに違う注文は、読み取りや問い合わせの手間がかかります。
電話で頼んだ後に念のためFAXも送る得意先がいると、同じ注文を二重に受けないための確認も必要になります。
Web受発注やEDIへ移す案は、うまく移れば受付から入力までの多くが得意先側の操作やデータのやりとりに置き換わります。
そのかわり、得意先と商品の登録、得意先への案内、使い方の問い合わせ対応が発生します。
最も重くなりやすいのは移行期間の二重運用です。
一部の得意先が新しい手段に移っても、残りの得意先は電話で注文してくるため、受注担当者は電話と新しい画面の両方を見ることになります。
移行が進まないまま二重運用が長引くと、見直す前より工数が増えることもあります。
得意先側の負担
受注側で減る入力の一部は、なくなるのではなく得意先側へ移ります。
電話なら話すだけで済んでいた注文が、注文書の作成や画面での入力に変わるからです。
得意先の担当者にとっては、これまでなかった作業が増えることになります。
EDIについて中小企業庁のミラサポplusは、一社だけが導入しても効果は得られず、取引先の状況を考慮して導入の要否を判断する必要があると説明しています2。
受注側だけで仕組みを用意しても、得意先が使わなければ電話の注文は減りません。
Web受発注でも、得意先が画面で注文してくれることが前提になる点は同じです。
そのため、得意先に移ってもらうには、得意先にとって何が楽になるのかを説明できるかが鍵になります。
注文した内容や納期を自分で見返せる、電話がつながるのを待たずに注文を出せるといった点が利点になる得意先もあれば、話して頼むほうが早いと感じる得意先もあります。
どちらに当たるかは得意先によって違うため、電話を残すかどうかは得意先ごとに判断することになります。
| 案 | 減りうる作業 | 新たに生じる工数 | 得意先側の負担 |
|---|---|---|---|
| 電話を残し、受けた後の処理を整える | 入力・訂正の一部 | 聞き取り項目や入力手順の整備と担当者間の共有 | ほぼ変わらない |
| FAX・メールの注文を取り込む | 聞き取りと入力の一部 | 取り込んだ内容の照合と読み取れない注文への問い合わせ | 注文書やメールを作る手間 |
| Web受発注・EDIへ移す | 移った得意先の受付・聞き取り・入力・確認の連絡の多く | 得意先の登録と案内、問い合わせ対応、移行中の二重運用 | 画面での入力。EDIは得意先側の仕組みも必要 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 電話を残し、受けた後の処理を整える
- 減りうる作業:入力・訂正の一部
- 新たに生じる工数:聞き取り項目や入力手順の整備と共有
- 得意先側の負担:ほぼ変わらない
- FAX・メールの注文を取り込む
- 減りうる作業:聞き取りと入力の一部
- 新たに生じる工数:取り込んだ内容の照合と問い合わせ
- 得意先側の負担:注文書やメールを作る手間
- Web受発注・EDIへ移す
- 減りうる作業:受付・聞き取り・入力・確認の連絡の多く
- 新たに生じる工数:得意先の登録と案内、問い合わせ対応、二重運用
- 得意先側の負担:画面での入力。EDIは得意先側の仕組みも必要
得意先の移行と、電話を残す判断
廃止すると支障が出ると見る担当者の割合
得意先の移行がどれほど難しいかを考える材料として、先の食品業界の調査には、FAX・電話で受注している担当者(n=80)に、FAXや電話を廃止した場合を聞いた設問があります。
取引に支障が出ると想定すると答えた人は58.8%でした1。
この数字は、実際に廃止した結果ではなく、受注を担当する側の想定です。
対象も食品の小売・卸売業に限られます。
それでも、受注の現場にいる人の半数を超える人が支障を心配しているという事実は、一斉に電話をやめる計画の危うさを示しています。
注文を出す側の調査にも、近い様子が表れています。
株式会社SBペイメントサービスが2025年に買い手企業・団体の従業員へ行った調査では、卸売業での注文の多くが、取引専用のツールではなくメール・FAX・対面などで行われているとされています3。
これは買い手側の回答で、卸売業の売り手の実態をそのまま示すものではありません。
ただ、得意先の側でも専用のツールを使わない注文が多いのであれば、受注側の都合だけで手段を変えるのは難しいと考えるのが自然です。
電話を残す条件の整理
電話を残すかどうかは、得意先ごとに決めるのが現実的です。
以下は、電話を残す判断の目安として本記事が提案する整理で、決まった基準があるわけではありません。
- 受注件数の少ない得意先:注文がたまにしかないと、新しい手段の案内や登録にかかる手間に見合う削減が生まれにくい
- 緊急の変更が多い得意先:当日の数量変更や納期の相談は、会話で調整したほうが早く確実な場面がある
- 取引条件が複雑な得意先:特別な価格や分納、納品先の指定などが注文ごとに変わると、定型の入力画面に収まりにくい
反対に、毎回ほぼ同じ商品を同じような数量で注文してくる得意先や、件数が多く入力や折り返しに時間を取られている得意先は、移行を試す候補になります。
ここで役立つのが、見直し前に取った記録です。
得意先の欄を設けて記録しておけば、どの得意先の電話にどの作業の時間がかかっているかが分かり、残す・試すの振り分けを自社の数字で行えます。
電話を残す得意先でも、入力や訂正の時間が大きいなら、受けた後の処理を整えることで受注側の工数は減らせます。
移行を急がない得意先
電話を残すと決めた得意先も、ずっとそのままである必要はありません。
「移行しない」と「いまは急がない」は分けて考えられます。
得意先の担当者が倉庫や売り場など画面の前にいない時間に注文することが多い場合、注文の手段を変えると得意先側の負担が大きくなります。
こうした得意先には、電話を受けた後の処理を整えるほうが、受注側の工数を減らす近道になることがあります。
自社の営業担当者が得意先との関係を電話でつないでいる場合も、受注窓口の判断だけで手段を変えると摩擦が生まれやすくなります。
電話での注文が、在庫の相談や新しい商品の紹介のきっかけになっていることもあるからです。
移行を急がない得意先については、試行で効果を確かめた手段を後から案内するという順番のほうが、得意先にも説明しやすくなります。
一度に全得意先へ案内しないことは、受注側の工数を守ることにもつながります。
移行期間の二重運用は、移る得意先が多いほど一時的に重くなります。
移行を試す得意先を絞っておけば、問い合わせ対応や照合の手間を受け止められる範囲で進められます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 読めること
- 受発注の双方がデータでつながると業務時間が大きく減った例がある
- 中小企業の業務時間は平均51.4%削減された
- 前提
- 得意先と自社の双方がデータでつながった実証である
- 測り方の詳細は示されていない
- 読めないこと
- 電話受注を社内だけで見直した場合の削減率
- 自社で見込める削減率や上限
- 業界調査の割合と組み合わせた効果の試算
どこから見直すか。小さく試して効果を確かめる
最初に試す対象の選び方
ここまでで、効果は自社の測定で確かめるしかなく、移行は得意先次第だということが見えてきました。
最初に何を試すかは、記録で見えた工数の偏りと、得意先の対応力の二つから決めます。
以下は本記事の提案です。
- 入力に偏っている:注文が文字やデータで届く形を増やし、転記を減らす取り込みの見直しから試す
- 確認の連絡に偏っている:受け付けた内容や納期を得意先へ返す方法を決め、折り返しの電話を減らす仕組みから試す
- 聞き取りの聞き返しや訂正に偏っている:電話は残したまま、聞き取る項目と順番をそろえ、通話中に入力する流れから試す
得意先の選び方は、電話を残すかどうかの振り分けを使います。
移行を試す候補のなかから、新しい手段に協力してくれそうな得意先を一社から数社選びます。
注文の件数がある程度あり、記録上も工数がかかっている得意先を選ぶと、前後の差が読み取りやすくなります。
件数が少なすぎる得意先だけで試すと、差が出ても偶然なのか仕組みの効果なのか判断しにくくなります。
試行の期間と測り方
試行の期間中も、電話は残します。
試す得意先が急ぎの用件で電話をかけてきたときに受けられないと、取引に支障が出るうえ、得意先が新しい手段に悪い印象を持ちかねません。
試行は電話を使わなくてもよい状態をつくるもので、電話を禁じるものではありません。
測り方は、見直し前と同じ5区分・同じ書き方を使います。
期間は、見直し前の測定と同じように、自社の注文の波が一巡する程度をとります。
試行の始めは得意先も受注担当者も慣れていないため、始めた直後の数字だけで判断せず、使い方が落ち着いた後の数字も見ます。
記録には、新たに生じた作業も加えます。
新しい手段で届いた注文の照合、得意先からの使い方の問い合わせ、電話と新しい手段の両方で同じ注文が届いたときの確認などです。
得意先が新しい手段を使ったか、途中で電話に戻ったかも残しておくと、効果が出なかったときの原因をたどれます。
続けるか止めるかの判断
判断に使うのは、試した得意先について、区分ごとに減った時間と新たに生じた時間を並べた結果です。
差し引きで工数が減り、得意先から支障の声も出ていなければ、同じ条件の得意先へ広げる候補になります。
効果が小さかったときは、すぐに止める前に原因を分けます。
得意先が新しい手段をあまり使わず電話に戻っていたなら、手段の問題ではなく移行の進め方の問題かもしれません。
新しい手段は使われたのに工数が減らなかったなら、照合などの新しい作業が重かったか、そもそも見直した作業が自社の工数の大きい部分ではなかった可能性があります。
原因によって、案内のしかたを変える、別の区分を狙う、試す得意先を変える、止めるといった次の手が変わります。
どこまで減れば続ける価値があるかについて、受注件数や得意先数ごとの公的な基準や実績値は示されていません。
受注担当者の人数や繁忙期の逼迫の度合いによって、同じ削減量でも意味が変わるからです。
差し引きで減った工数を、見直しを広げるときにかかる案内や登録の手間と比べ、自社にとって見合うかどうかで決めます。
うまくいかなかった試行も、どの作業が減らなかったかという自社の数字として、次の見直しの材料になります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 見直しの前後を同じ5区分・同じ書き方で測る
- 区分ごとに一件あたりの時間と件数、訂正の原因別の件数を比べる
- 準備・案内・問い合わせ対応・照合など、新たに生じた作業を数える
- 減った作業から増えた作業を差し引いた残りで判断する
記録をどう区分し、どの作業を見直しの対象にするかは、受注の流れや得意先の構成によって変わるため、社内だけでは判断の軸を決めにくいからです。
相談では、測定の区分や記録のしかたが自社の受注の流れに合っているか、どの作業から見直すと効果を確かめやすいかを整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 工数の測り方 | 受付・聞き取り・入力・確認の連絡・変更や訂正に分け、注文の波が一巡する期間を記録する |
| 効果の根拠 | 外部の削減率は自社の見込みに使わず、同じ方法で測った前後の差で判断する |
| 減る作業の見分け方 | 受付と聞き取りは電話が減らないと減らない。入力と確認の連絡は受けた後の処理でも減りうる |
| 得意先の扱い | 一斉に電話をやめず、件数・緊急の変更・取引条件で残す得意先と試す得意先を分ける |
| 試行と判断 | 一社から数社で電話を残して試し、減った工数から新たな工数を差し引いて決める |
▼ 図の内容を文字で読む
- 電話を残す
- 受注件数が少ない
- 緊急の変更が多い
- 取引条件が複雑
- 電話を残し、受けた後の処理を整える
- 電話の希望が強い
- 入力や訂正の時間が大きい
- 移行を試す
- 毎回ほぼ同じ商品を同じような数量で注文する
- 件数が多く、入力や折り返しに時間を取られている
▼ 図の内容を文字で読む
- 見直し前の測定
- 一社から数社への案内
- 電話を残して試行
- 同じ区分と書き方で測り直す
- 続ける・広げる・変える・止めるを判断
試す得意先の選び方や、試行後に続けるか止めるかの判断は、得意先との関係や移行中の負担も絡むため、外からの視点を入れると整理しやすくなります。 相談では、測定結果をもとに電話を残す得意先と移行を試す得意先の振り分け、試行の進め方と判断の材料を一緒に確かめられます。
よくある質問
電話受注の工数を測るには、最低どれくらいの期間と件数を記録すればよいですか。
公的に定められた最低の期間や件数はありません。
目安は、自社の注文の波が一巡する期間を含めることです。
週の初めや月末に注文や変更が集中する会社なら、その時期を外さずに測ります。
件数は、区分ごとの偏りが読み取れる程度あれば判断の材料になります。
それ以上に大切なのは、見直し後も同じ期間の取り方と書き方で測れるようにしておくことです。
電話を完全にやめずに、入力の手間だけ減らすことはできますか。
できる余地はあります。
聞き取る項目と順番をそろえ、通話しながら受注の画面へ直接入力すれば、メモから書き写す手間や聞き間違いによる訂正を減らせる可能性があります。
ただし、電話の件数は変わらないため、受付と聞き取りの時間はほとんど減りません。
自社の記録で入力や訂正の時間が大きい場合に向く方法です。
得意先が電話を希望し続ける場合、どう対応を分ければよいですか。
得意先ごとに分けて考えます。
受注件数が少ない、緊急の変更が多い、取引条件が複雑といった得意先は、電話を残す前提にするのが現実的です。
そのうえで、受けた後の処理を整えれば受注側の工数は減らせます。
移行は、試行で効果を確かめた手段を、協力してくれそうな得意先から案内する順で進めると、得意先にも理由を説明しやすくなります。
試行の結果、効果が出なかった場合はどう判断すればよいですか。
止める前に、原因を分けて確かめます。
得意先が新しい手段を使わず電話に戻っていたのか、使われたのに照合などの新しい作業が重かったのか、見直した作業が自社の工数の大きい部分ではなかったのかで、次の手が変わります。
記録から原因が分かれば、案内の方法や対象の区分、試す得意先を変えて再び試すこともできます。
原因を見直しても差し引きで工数が減らないなら、止める判断も妥当です。
FAXやメールの注文と電話注文は、工数の測り方がどう違いますか。
FAXやメールの注文は文字で届くため、聞き取りの区分がほぼなく、代わりに注文書を読み取り、内容を確かめる作業が入ります。
受付も電話のように手元の作業を中断させるものではないので、届いた注文をまとめて処理する時間として測ると実態に合います。
入力・確認の連絡・変更や訂正は電話と同じ区分で測れるため、手段ごとに一件あたりの時間を比べると、どの手段の注文に工数がかかっているかが見えます。
- 1 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 2 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)
- 3 出典:株式会社SBペイメントサービス「BtoB取引を行う事業者の決済・購買状況に関する調査」(2025年)
画像の出典元
- Professional male working at office desk reviewing important business documents./Photo by RDNE Stock project on Pexels