◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 50件までの取引先で試す形から始めれば、電話・FAX受注からの脱却は社内の合意を取りやすくなります。
- 2か月から10か月まで、公開事例の構築期間には幅があり、この幅そのものが説得の材料になります。
- 400万円と1500万円、小規模と大規模のカスタマイズで初期費用の目安は大きく分かれます。
- 3日で受注の受け皿を用意できる形もあり、初期費用100000円から始める道も示されています。
目次

電話・FAX受注が限界を迎える現場の実情
電話・FAX受注とは、取引先からの注文を電話や紙のFAX用紙でやり取りする受注方式です。この方式からの脱却を社内で通すには、「いつまでに、いくらかかるのか」を数字で示すことが要になります。2か月から10か月まで、構築期間は事例ごとに幅があります。費用もカスタマイズの規模で分かれます。まずは取引先50件までの小さな運用で実績を作る進め方が現実的です。
その現場を、朝九時の受注センターに見てみます。複合機が紙を吐き出す音が続き、担当者は一枚ずつ受付番号を書き込んでいきます。傍らの電話は鳴り止まず、聞き取った品番をその場で紙へ書き写す作業が重なります。受注の入口が「声と紙」である限り、聞き間違いと書き写しの誤りは一定の割合で残り続けます。
この誤りを正す負荷は、人手の限られた部門ほど重く効いてきます。受注を担う人数が増えないまま取引先だけが増えれば、注文の受け口は増えても処理する手は増えません。複合機の紙詰まりを直す時間まで受注業務に数えたくはありません。「人を増やして乗り切る」という前提が置けない以上、入口の形そのものを変える話になります。
一件の聞き間違いを直すたびに折り返しの電話と伝票の訂正が発生し、その時間は請求書に載らない人件費として静かに積み上がります。詳しい仕組みは受発注システム導入ガイドで確認できます。
説得が進まない本当の理由
移行が止まるのは、必要性が伝わっていないからではありません。受注部門ほど紙と電話の限界を身をもって知っています。止まるのは「いつまでに、いくらで、どこまで変わるのか」に答える材料が手元に無いからだと考えられます。決裁を求められる側は、期間と金額の見当が付かない案件に判を押せません。反対の正体は抵抗ではなく、情報の不足であると見ます。
もう一つの壁が、取引先への説明です。長年電話とFAXで注文を受けてきた相手に、画面からの発注をお願いすることになります。「これまでどおりで構わない」と言われたときに返す言葉が無ければ、話はそこで止まります。ここで効くのは理念ではなく、他社が実際にどれだけの期間で切り替えたかという事実です。
材料は、すでに公開された事例の中にあります。数字を一つ出してみます。4か月で法人向けのECサイトを立ち上げた記録があり、一年がかりの大工事という社内の想像とは開きがあります6。期間の見当が付けば、議論は「やるかやらないか」から「どの規模で始めるか」へ移ります。
費用も同じです。上限だけが独り歩きすると、話は現実味を失います。80000円が全プラン共通の初期費用として示されており、部門の備品購入と変わらない桁から入口が始まります1。これは2026年時点の条件であり、前提が変われば金額も動きます。示すべきは桁の見当です。
いまの受け方を一か月続けるごとに、月額88000円で動かせたはずの受注の受け皿を一つ見送っている計算になります。
導入までの期間で示す移行の実現性
説得の場で最初に出すべきは、期間の実例です。構築にかかる時間は事業者の前提条件で変わるため、どの数字も目安として扱う必要があります。それでも「他社はこのくらいで動いた」という幅が示せれば、議論の土台ができます。最短の一点だけを強調するより、幅ごと示すほうが信用されます。
記録を並べてみます。2か月から10か月まで、公開された事例の構築期間には相当な開きがあり、2016年から2018年にかけての条件にあたります74。この差は扱う商品数や既存システムとの連携範囲によるものと見ます。決裁者が漠然と抱く「何年もかかる話」という印象は、この幅で置き換えられます。
フーヅフリッジ株式会社の例は、中間の目安になります。4か月が実質的な開発期間として2017年時点で記録されています6。短さの背景には「まず動かす範囲を決めてから作る」という進め方があると考えられます。
事例が示す踏み出しやすさ
期間の幅が見えたら、次は「どこから触れるか」です。契約の前に試せる枠があるかどうかで、慎重派への説明はまったく変わります。全取引先を巻き込む前に限られた範囲で動かして見せられれば、反対意見は「やってみてから判断する」へ着地しやすくなります。
用意されている枠を確かめます。30日の無料トライアルが設けられており、繁忙期を一度またいで検証できます2。この期間に登録できる取引先は50件が上限で、主要な卸先だけを選んで実地に試す規模にあたります。申込から3日で利用を開始できる条件も示されており、いずれも「まず動かす」ための2026年時点の内容です2。
体制の面でも、小さく始める形は説明しやすくなります。5名が登録できるユーザー数の上限として示されており、受注担当の中核だけを充てる想定に合います2。部門の人員配置を崩さずに試せる規模が見えたら、残る課題は費用の見当をどう示すかになります。
カスタマイズ規模による費用の分かれ目
費用の話は、規模の線引きから始めると通りやすくなります。同じ「カスタマイズ」でも、画面の文言を整える程度と、基幹システムと在庫を突き合わせる改修とでは桁が違います。どちらの話をしているかを先に決めなければ、社内の議論は噛み合いません。
金額の前提を先に置きます。ここで挙げる費用は2026年時点で公開されている下限であり、要件や取引先の数が変われば上下します。「確定額」として社内に配ると、後で数字が動いたときに信用を落とします。目安である断りを添えておくのが安全です。
小規模カスタマイズという選択
小規模カスタマイズは、既存の仕組みを大きく触らずに整える範囲です。400万円が初期費用の下限として示されており、部門単位の設備投資と並べて検討できる水準にあたります1。月額の負担も併せて示す必要があり、170000円がベースエンジン利用料の下限として提示されています1。経理部門には「初期と月額を合わせた総額」で語るほうが、話は早く進みます。
大規模カスタマイズという選択
大規模カスタマイズは、基幹システムとの連携や独自の価格体系まで作り込む範囲です。1500万円が初期費用の下限とされ、小規模の場合と比べて桁が一つ上がります1。200000円が標準的なプランの初期費用として示されており、この水準から始めて後から作り込む順序も取れます1。「最初から完成形を作る」か「動かしながら足す」か、社内の体力に合わせて選ぶ話になります。
| 区分 | 範囲 | 始め方 |
|---|---|---|
| 小規模カスタマイズ | 既存の仕組みを大きく触らずに整える範囲 | 部門単位の設備投資と並べて検討できる水準 |
| 大規模カスタマイズ | 基幹システムとの連携や独自の価格体系まで作り込む範囲 | 小規模の場合と比べて桁が一つ上がります |
| 標準的なプラン | 標準的なプランの初期費用として示される水準 | この水準から始めて後から作り込む順序も取れます |
商品点数の壁を越えた事例に学ぶ
商品点数の多さは、移行を諦める理由として最もよく挙がります。数万点の登録作業を思い浮かべれば、腰が重くなるのも無理はありません。ただ、公開されている事例はいずれも相当な点数を抱えたまま切り替えています。「うちは点数が多いから無理だ」という説明は、事実の前では通りにくくなります。
日東電工CSシステム株式会社は、粘着テープを扱う法人向けの販売サイトを運営しています。点数を見てみます。3800品種が2018年時点で扱われ、業務用サイトには25000品が2020年時点で初期掲載されました34。3000社が全国の販売加盟店数として示されており、紙の受け口で保てる規模ではありません3。1巻から買える小口の注文まで扱う以上、「電話で一件ずつ」では手間が積み上がる一方です3。
株式会社ポディウムの例は、絞り込みの手本になります。20000点が精査前に登録されていた商品点数の概数で、2025年時点の記録です5。全点をそのまま載せ替える前に、「まず動かす範囲を決める」判断が取られました。30000SKU(在庫管理の最小単位)までを扱える条件も2026年時点で示されており、点数そのものが着手を止める理由になりにくいと考えられます2。

小さく始めて実績を作るという選択
選ぶ基準は、規模ではなく順序に置くのが現実的です。全社一斉の切り替えを最初の議題にすると、反対の声は必ず大きくなります。取引先を絞った運用で受注件数と誤りの減り方を記録し、その紙を持って再び諮る手順なら、話は前に進みます。「実績で押す」やり方は時間がかかるものの、覆りにくいのが利点です。
始め方の目安を置いておきます。100000円が初期費用として示されており、部門の予算で決裁できる範囲に収まる場合もあります2。これは2026年時点の税抜の条件です。小さく動かした結果が出れば、「勘で決めた」と言われずに次の投資判断へ進めます。積み上げた記録こそ、次の一手を通す材料。
電話受注からの脱却を社内で通すには、自社の取引先数と商品点数に合わせた期間と費用の見当が要り、その見当は実際の移行を数多く見てきた相手と詰めるのが確実です。
小さく始める範囲と必要な改修の線引きを、一緒に引いてもらうのが近道です。無料相談で要件を整理する
社内を説得するときに示す材料
- 取引先を絞った運用で得た受注件数と誤りの記録
- 先に挙げた構築期間の幅を示す他社の事例
- 小規模と大規模で分かれる初期費用の下限
- 初期費用と月額を合わせた一年分の負担額
- 無料で試せる期間と、その間に登録できる取引先の上限
この並びに優劣の順序はありません。
もっとも、どの材料が効くかは受注部門の規模と取引先の数で変わるため、条件ごとに整理しておきます。

受注部門の条件別に見る始め方
| 受注部門の条件 | 最初に動かす範囲 | 費用の見当 |
|---|---|---|
| 少人数で受注を回す部門 | 主要な卸先だけの試験運用 | 標準プランの範囲 |
| 基幹システムとの連携が要る受注部門 | 受注データの受け渡しまで含む改修 | 小規模カスタマイズの範囲 |
| 数万点の商品を抱える卸・メーカー | 掲載点数を絞った先行公開 | 大規模カスタマイズも視野 |
少人数で受注を回す部門の始め方
受注担当が数名しかいない部門では、移行作業そのものに人手を割けません。ここで効く基準は、構築期間の長さより「今の受注を止めずに試せるか」という一点になります。既存の電話窓口を残したまま、主要な卸先だけを画面へ移す並走の形が取りやすくなります。
試用の枠を使い切る段取りを組みます。30日の無料トライアルが用意されており、月末の締め処理を一度含めて確かめられます2。「繁忙期に耐えるか」を見るには、この長さが要ります。88000円が月額利用料として2026年時点で示されており、部門の経費で判断できる場合もあります2。
| 確かめる項目 | 試用の期間内にできること |
|---|---|
| 受注の受け口 | 主要な卸先からの注文を画面で受ける |
| 入力の手間 | 電話から転記していた品番の登録を省く |
| 締め処理 | 月末の締めを一度またいで確認する |
受注担当が数名の部門では、限られた試用の枠で何を確かめれば社内が納得するのかを、外から具体に助言してもらうほうが説得は早く進みます。
試用の期間中に記録しておく項目を、あらかじめ詰めておくのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む
基幹システムとの連携が要る受注部門の進め方
受注データを基幹システムへ流し込む必要がある部門では、試用だけでは判断が付きません。ここでの基準は始めやすさより、「既存の在庫と価格をどこまで突き合わせるか」という要件の深さになります。連携の範囲が決まらないまま見積りを取ると、金額は上にも下にも大きく動きます。
範囲を決めてから金額を出す順序が要ります。先に挙げた小規模カスタマイズの下限は、連携の範囲を絞り込んだ場合の目安にあたります。80000円の共通の初期費用に、連携範囲に応じた改修費用が上乗せされるため、どこまで作るかで総額は変わります1。「連携は後回しにする」と割り切れば、公開の時期は前倒しできます。
難易度は高く、工数は要件定義の段階に厚く積む必要があり、情報システム部門の関与が前提になります。
| 決めておく要件 | 先送りしたときに起きること |
|---|---|
| 受注データの受け渡し方法 | 公開後も手作業の転記が残る |
| 取引先ごとの価格の持ち方 | 画面の金額と請求額が食い違う |
| 在庫数の反映の頻度 | 欠品の注文をそのまま受けてしまう |

連携の深さによって費用の桁が変わるため、どこまで作り込むかの線引きを、同様の改修を手がけた相手と突き合わせる必要があります。
要件を固める前の段階で、連携の可否と概算の幅を確かめておくのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む
数万点の商品を抱える卸・メーカーの手順
商品点数が数万に及ぶ会社では、登録作業そのものが最大の関門になります。ここでの基準は費用の桁より、「どの範囲から載せるか」を決められるかどうかです。全点を一度に移す前提を外せば、公開までの道筋は一気に見えてきます。
絞り込みの実例が参考になります。20000点が精査の対象となった記録が、株式会社ポディウムの例として2025年時点で公開されています5。30000SKUまで扱える条件も示されており、点数の上限そのものが壁になる場面は限られます2。「よく出る商品から載せる」順序なら、初回の公開は早まります。
難易度は中ほどで、工数は商品情報の整備に偏るため、受注部門と商品管理の担当が並走する体制が要ります。
| 先に載せる商品 | 後から足す商品 |
|---|---|
| 注文の多い定番品 | 年に数えるほどしか動かない品 |
| 価格の決まりが単純な品 | 取引先ごとに条件が分かれる品 |
| 在庫を常時持つ品 | 受注生産や取り寄せの品 |
数万点の商品情報をどの順で載せるかは自社だけでは決めにくく、同じ規模の移行を支えた相手の手順を借りるほうが確実です。
掲載する範囲の絞り込み方から相談を持ちかけるのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 判断の場面 | 選ぶときの目安 |
|---|---|
| 社内へ最初に示す材料 | 他社の構築期間の幅と、試用で得た受注件数の記録 |
| 費用の示し方 | 初期費用と月額を合わせた一年分の負担額 |
| カスタマイズの規模 | 既存の在庫と価格をどこまで突き合わせるか |
| 商品点数の扱い | 注文の多い定番品から載せ、条件の細かい品は後回し |
| 取引先への案内 | 電話の窓口を残したまま画面の発注も選べる形 |
電話・FAX受注からの脱却は、社内と取引先の双方を説得する材料が揃って初めて動き出すため、その材料の作り方から一緒に組み立てられる相手が要ります。 自社の受注件数と取引先の数を手元に置いて、進め方から相談してみるのが近道です。
よくある質問
取引先から「これまでどおり電話でよい」と言われた場合、どう説明すればよいですか。
一度に切り替えを求めず、電話の窓口を残したまま画面からの発注も選べる形として案内するのが現実的です。先に試した取引先の注文が滞りなく流れている事実を添えると、話は進みやすくなります。締め日の直前など電話がつながりにくい時間帯でも発注できる利点を具体で伝えると、納得を得やすくなります。
導入までの期間はどのくらい見ておけばよいですか。
公開されている事例の構築期間には先に挙げたとおりの幅があり、扱う商品数と既存システムとの連携範囲で変わります。小さな枠組みなら申込から数日で利用を開始できる条件も示されています。いずれも事業者ごとの前提で動く目安であり、自社の要件を並べたうえで見積りを取る必要があります。
費用はどのように社内へ説明すればよいですか。
初期費用だけを出すと、稼働後の負担が説明から抜け落ちます。初期費用と月額を合わせた一年分の負担として示すと、他の経費と並べて判断できます。カスタマイズの規模で金額の桁が変わるため、どこまで作るかを先に決めてから見積りを取る順序が要ります。金額はいずれも前提条件で動く目安として断りを添えます。
無料で試す間に、何を記録しておくべきですか。
画面から入った注文の件数と、電話やFAXで残った件数を並べて記録します。あわせて、聞き間違いや転記による訂正がどれだけ減ったかを日ごとに残します。この二つが揃えば、社内への再提案を感想ではない形で組み立てられます。試用の枠で扱える取引先の上限に達した時期も、拡大の判断材料になります。
商品点数が多く、登録作業に手が回りません。
全点を一度に載せる前提を外すところから始めます。注文の多い定番品から公開し、条件の細かい品は後から足す順序であれば、初回の公開は早まります。精査の工程を経て掲載範囲を絞った事例も公開されており、点数の多さだけで断念する必要はないと考えられます。
情報システム部門の人手が足りない場合はどうしますか。
基幹システムとの連携を初回から求めない形にすると、関与の度合いを下げられます。受注データの受け渡しを当面は手元の作業で吸収し、件数が増えた段階で連携の改修を検討する順序も取れます。ただし手作業が残る期間は、誤りの入り込む余地も残る点を社内で共有しておく必要があります。
小さく始めた後、どの段階で規模を広げればよいですか。
画面からの受注が電話の件数を上回り、試用の枠で扱える取引先の上限に近づいた時点が一つの目安になります。ここまで来れば、社内には実際の記録が揃っています。広げる範囲を決めてから、カスタマイズの規模と費用を見積もる順序が安全です。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
- 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
- 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社様)」(2018年) 経路
- 4 出典:株式会社ロジザード/EC-Rider B2B「導入事例 日東電工CSシステム株式会社様(業務用通販サイト ハルイチ)」(2018年) 経路
- 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年) 経路
- 6 出典:株式会社イーシー・ライダー「EC-Rider B2B 導入事例(フーヅフリッジ株式会社様)」(2017年) 経路
- 7 出典:株式会社イーシー・ライダー「EC-Rider B2B 導入事例(フリュー株式会社様)」(2016年) 経路
画像の出典元
- 50代後半の日本人男性が倉庫事務所での受注対応をしている場面/画像:生成AI(自社)
- 60代前半の日本人男性が店舗カウンターでの受注をしている場面/画像:生成AI(自社)
- 40代前半の日本人男性が店舗カウンターでの受注をしている場面/画像:生成AI(自社)
- A person analyzing a return on investment report with a pen in hand on a desk./Photo by Kindel Media on Pexels