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電話受注の工数を減らす方法|小規模事業で手入力と確認連絡から見直す手順

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 食品の卸・小売の受注担当者への調査では、FAX・Eメール・電話受注で手間の上位は手入力(60%)と確認連絡(41.1%)で、どちらも電話を切ったあとの作業です。
  • 電話受注だけの削減幅を示す第三者のデータは見当たらないため、導入前後に1〜2週間ずつ、同じ項目で自店の工数を記録して比べます。
  • 電話は残して別の経路を足す併用を基本にし、電話の注文もフォームと同じ項目の型で記録して、記録を一つにまとめます。
  • 通話を録音する場合は利用目的を決めて通知・公表する必要があり、録音していることを伝える義務までは負わないとされています。
  • 補助金は、インボイス枠・持続化補助金とも、電話受注の見直しが対象になるかを公募要領で確かめてから検討します。

Delivery worker in apron packing food in container for customer. Indoor setting.
▽ 写真の出典元

電話受注の手間は「応対」より「手入力と確認連絡」に出やすい

注文の電話を受けるたびに梱包や仕込みの手が止まります。
電話を切ったあとは、メモを台帳へ打ち直し、在庫を確かめて折り返す。
人は増やせないので、どこから減らせばよいのか迷う場面です。
食品の卸・小売の受注担当者への調査では、FAX・メール・電話の受注で手間が大きいのは、手入力(60%)と確認連絡(41.1%)でした1。
減らす候補は、この二つに絞れます。
ただし、電話受注だけの削減幅を示す第三者のデータは見当たりません。
まず1〜2週間、自店の工数を作業別に記録します。
そのうえで電話は残したまま別の経路を足し、同じ記録で前後を比べるのが確かな進め方です。

電話受注の工数を5つの作業に分ける

電話受注の負担を「電話が多い」とひとまとめにすると、どこに手を打てばよいかが見えません。
電話1本の注文は、受話器を置いた時点では終わっていないからです。
たとえば、なじみのお客様から「いつもの品を3箱、来週火曜に届けてほしい」と電話が入った場面を考えます。

受けた人は、話しながら品名・数量・届け日をメモに書きます。
電話を切ったあと、そのメモを受注台帳や表計算、受注の管理画面へ打ち直します。
在庫や配送の都合を確かめ、問題があれば折り返して確認します。
翌日に「やはり5箱に」と電話が来れば、先に入れた記録を探して直します。

この流れは、次の五つの作業に分けられます。

  • 応対:電話に出て用件を聞き、話を終えるまで
  • 聞き取り:品名・数量・届け日・届け先などをメモに残す
  • 転記(手入力):メモの内容を台帳や画面へ打ち直す
  • 確認連絡:在庫や内容を確かめ、お客様へ折り返す
  • 変更対応:数量や日付の変更を受け、記録を直す

電話が鳴って手が止まるのは、応対と聞き取りの時間です。
一方で転記・確認連絡・変更対応は、電話を切ったあとに別の時間を使って片付けることになり、忙しさの原因として意識されにくい部分です。
工数を減らす手を考えるときは、まずこの五つのどこに時間が出ているかを分けて見ることが出発点になります。

食品業の調査が示す課題の並び

どの作業に負担が集まりやすいかについては、受注管理の仕組みを提供する株式会社ハンモックが2023年に公表した調査が手がかりになります1。
食品を扱う小売・卸売業の受注業務担当者106名へのインターネット調査で、FAX・Eメール・電話での受注業務について、手間がかかる点を複数回答で聞いています(この設問の回答者は90名)1。

結果は、注文書の手入力が60%で最も多く、注文確認の連絡が41.1%、注文の変更対応が40%、オペレーションの属人化が38.9%、注文書の管理(保管義務)が30%と続きました1。
上位二つは、どちらも電話を受けている最中ではなく、受けたあとの作業です。
先ほどの五つで言えば、転記と確認連絡にあたります。

属人化とは、特定の人しか処理のしかたを知らない状態のことです。
電話受注では、常連のお客様の「いつもの」が何を指すかを受けた本人しか知らない、といった形で起こります。
その人が休むと、ほかの人は電話を受けても処理できず、結局本人に確かめる連絡が増えます。
手入力や確認連絡とは別の課題に見えて、確認の手間にもつながっています。

ただし、この数字をそのまま自店に当てはめることはできません。
設問はFAX・Eメール・電話をまとめた受注業務についてで、電話だけの内訳ではありません。
対象は食品の卸・小売の担当者で、小規模事業者に限った調査でもありません1。
選択肢に誤受注は含まれていないため、聞き間違いによる誤りがどれほどあるかも、この結果からは分かりません。
受注の仕組みを提供する企業の調査である点も踏まえると、読み取れるのは、受けた注文を打ち直す作業と内容を確かめる連絡に手間が集まりやすい、という傾向までです。

自店の工数を1〜2週間で測る

傾向が分かっても、自店でどの作業が重いかは注文の形によって変わります。
毎回同じ品を同じ量だけ注文するお客様が多ければ、聞き取りも転記も短く済み、確認連絡はほとんど要らないかもしれません。
反対に、品目が多く届け日の指定も細かい注文なら、聞き取りと確認連絡に時間がかかります。

電話受注だけを取り出して、見直しでどれだけ工数が減ったかを示す公的なデータや第三者のデータは見当たりません。
そのため、自店の数字が、何から手を付けるかを決めるいちばん確かな根拠になります。
期間は1〜2週間あれば、曜日による偏りをある程度ならして内訳をつかめます。
記録する項目と導入後の比べ方は、最後の節で具体的に説明します。

手間がかかる点 回答の割合
注文書の手入力 60%
注文確認の連絡 41.1%
注文の変更対応 40%
オペレーションの属人化 38.9%
注文書の管理(保管義務) 30%
電話1本の受注を五つの作業に分ける
応対、聞き取り、転記(手入力)、確認連絡、変更対応の順に作業が続く流れ1応対2聞き取り3転記手入力4確認連絡5変更対応

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 応対
  2. 聞き取り
  3. 転記(手入力)
  4. 確認連絡
  5. 変更対応

電話以外の経路や記録方法で減る工数と、言えない範囲

手入力と確認連絡に効く手段

転記と確認連絡に手間が出ているなら、減らす手段はその二つに向けて選びます。
ここで挙げるのは、調査で上位だった課題から考えて効きそうな手段であり、効果を測った結果ではありません。

一つ目は、お客様が自分で注文内容を入力する経路を用意することです。
注文フォームやメール、ウェブ上の注文画面などがこれにあたります。
お客様が書いた品名や数量がそのまま記録として残るので、電話のメモを打ち直す転記がその分なくなります。
ただし、届いた注文をさらに別の台帳へ写しているなら、転記は形を変えて残ります。
注文が届いた先から、出荷や提供の準備に使う記録までに何回写しているかを数えると、この経路で本当に減る作業が見えます。

二つ目は、電話の聞き取りを決まった項目の型で残すことです。
品名、数量、届け日、届け先、連絡先、支払い方法など、毎回必要な項目を並べた注文票を電話のそばに置き、上から順に聞いていきます。
聞き漏れが減れば、切ったあとに「届け先はどちらでしたか」と折り返す確認連絡が減ります。
誰が受けても同じ様式で残るので、受けた本人に聞かないと処理できない状態、つまり属人化もやわらぎます。

三つ目は、変更を同じ記録の上で扱うことです。
数量や日付の変更が来たとき、元の注文と別のメモに書くと、どちらが新しいかを確かめる手間が生まれます。
元の注文票に変更日と変更内容を書き足す形にすれば、記録を探す時間と食い違いの確認が減ります。
また、電話の最後に注文内容を読み上げて確かめる復唱は、聞き間違いをその場で直す手段として、型と組み合わせやすい方法です。

削減幅が言えない理由

では、これらの手段で工数が何割減るのか。
この問いには、根拠を持って答えられる数字がありません。
受注の仕組みを提供する企業の導入事例には削減時間が書かれていることがありますが、その数字は、その会社の注文件数や以前のやり方、導入した範囲を前提にしたものです。
注文の形が違う店にそのまま移すと、見込みを大きく外すおそれがあります。

もう一つの理由は、新しい経路を足すと増える作業もあることです。
注文フォームを用意すれば、届いた注文を見落とさないよう確かめる作業や、入力のしかたをお客様に案内する手間が加わります。
電話とフォームの両方から注文が入るようになれば、二つの入口を見張る必要も出てきます。
減る転記・確認連絡と、増える確認・案内の差し引きが実際の効果で、その差はお店ごとに違います。

だからこそ、導入の前後を同じ物差しで測る意味があります。
削減幅を先に見込んでから導入するのではなく、自店の記録で内訳を見て、時間が出ている作業に向けて手段を選び、あとで同じ項目で比べる順番にすると、判断を外しにくくなります。

手段 主に減る作業 残る作業
お客様が入力する経路 電話メモの転記 届いた注文の確認・別台帳への写し
聞き取りの型(注文票) 聞き漏れによる確認連絡・属人化 型への記入そのもの
変更を同じ記録に書き足す 変更前後の照合・記録探し 変更の電話を受ける応対
電話の最後の復唱 聞き間違いによる確認連絡 復唱にかかる通話時間
手段を足したときに減る作業と増える作業(模式図)
減る作業と増える作業を分け、差し引きが実際の効果になることを示す図減る作業と増える作業を分け、差し引きが実際の効果になることを示す図減る作業転記確認連絡増える作業届いた注文を見落とさないための確認お客様への入力のしかたの案内二つの入口の見張り実際の効果差し引きで決まるお店ごとに違う

▼ 図の内容を文字で読む
  • 減る作業
    • 転記
    • 確認連絡
  • 増える作業
    • 届いた注文を見落とさないための確認
    • お客様への入力のしかたの案内
    • 二つの入口の見張り
  • 実際の効果
    • 差し引きで決まる
    • お店ごとに違う

費用と手間は小規模でも見合うか:公的支援の使える範囲

小規模事業者の定義

費用と手間が見合うかは、減らせそうな時間と、導入にかかるお金・準備の手間を並べて考えます。
注文票の型や変更の書き足しは、様式を作る時間があれば大きな費用はかかりません。
一方、お客様が入力する経路やソフトウェアを使う場合は、利用料に加えて、設定やお客様への案内の手間がかかります。
製品ごとの料金は条件で大きく変わるため、ここでは相場を示さず、公的な支援で負担を軽くできる範囲を整理します。

公的な支援の多くは、小規模事業者であることを条件にしています。
中小企業基盤整備機構の整理では、小規模企業者は、商業・サービス業では常時使用する従業員が5人以下、工業・鉱業・運送業などその他の業種では20人以下の個人事業主や会社とされています2。
サービス業のうち宿泊業と娯楽業は、20人以下の区分に入ります2。
ただし、これは法律上の定義で、補助金ごとの対象要件は各制度の公募要領で決まります。

デジタル化・AI導入補助金の対象機能

受注の仕組みにソフトウェアを使う場合に候補になるのが、デジタル化・AI導入補助金2026のインボイス枠(インボイス対応類型)です。
対象となるソフトウェアは、インボイス制度に対応し、会計・受発注・決済のいずれかの機能を1種類以上持つものとされています4。
小規模事業者の場合、補助額のうち50万円以下の部分は補助率が4/5以内です4。

注文を受け付けて記録するソフトウェアは、受発注の機能に重なる可能性があります。
一方で、電話応対の自動化や電話代行のサービスが対象になるかは、制度のページからは判断できません。
検討しているツールが対象になるか、どの経費が補助されるかは、申請前に公募要領で確かめる必要があります。
公募の回ごとに要件が変わることもあります。

持続化補助金の補助率と上限

小規模事業者持続化補助金は、補助率2/3、補助上限は最大250万円です5。
小規模事業者が自ら経営計画を作り、商工会議所・商工会の支援を受けながら行う取組が対象で、制度ページではチラシ作成や広告掲載、店舗改装など販路開拓の経費が例として挙がっています5。

この制度の軸は販路開拓なので、電話受注の手間を減らすことだけを目的にした取組が当てはまるとは言えません。
たとえば、新しい注文の受付経路を設けて、これまで注文しにくかったお客様にも注文してもらう計画として組み立てられるかどうかは、経営計画の内容と公募要領の経費区分次第です。
ウェブサイト関連の経費の扱いも制度ページだけでは確認できないため、計画づくりの段階で商工会議所・商工会に相談するのが近道です。

どちらの制度も2026年度時点の記載で、申請しても採択されるとは限りません。
補助を前提に大きな仕組みを入れるより、まず型や変更の書き足しのように費用のかからない手段で効果を確かめ、そのうえで足りない部分にソフトウェアを検討すると、補助の有無で判断が揺れにくくなります。

小規模事業者の範囲と二つの補助金(2026年度時点の記載)
従業員数の基準、デジタル化・AI導入補助金、小規模事業者持続化補助金の要点と確認が必要な点を分けた図従業員数の基準、デジタル化・AI導入補助金、小規模事業者持続化補助金の要点と確認が必要な点を分けた図小規模事業者の範囲商業・サービス業は従業員5人以下工業・鉱業・運送業などは20人以下宿泊業と娯楽業は20人以下デジタル化・AI導入補助金小規模事業者は50万円以下の部分が4/5以内対象は受発注などの機能を持つソフトウェア電話応対の自動化が対象かは公募要領で確認小規模事業者持続化補助金補助率2/3、上限は最大250万円軸は販路開拓電話受注の手間だけが目的だと当てはまるとは言えない

▼ 図の内容を文字で読む
  • 小規模事業者の範囲
    • 商業・サービス業は従業員5人以下
    • 工業・鉱業・運送業などは20人以下
    • 宿泊業と娯楽業は20人以下
  • デジタル化・AI導入補助金
    • 小規模事業者は50万円以下の部分が4/5以内
    • 対象は受発注などの機能を持つソフトウェア
    • 電話応対の自動化が対象かは公募要領で確認
  • 小規模事業者持続化補助金
    • 補助率2/3、上限は最大250万円
    • 軸は販路開拓
    • 電話受注の手間だけが目的だと当てはまるとは言えない

注文の件数・複雑さ・顧客層で、始め方を分ける

件数と内容の複雑さで見る

記録が取れたら、自店の注文を件数と内容の複雑さで見ます。
件数は、1日にどれだけ電話注文が入るか。
複雑さは、1件あたりの品目の数、届け日や届け先の指定の細かさ、あとから変更が入る頻度です。
どちらも何件以上なら多いという基準はなく、記録の中でどの作業に時間が偏っているかを見るための目安です。

件数が少なく内容も単純なら、聞き取りの型と変更の書き足しを整えるだけで足りる場合があります。
転記の量そのものが小さいので、新しい経路の準備や案内の手間のほうが重くなりかねません。

件数が多く、毎回似た内容の注文が続くなら、1件ごとの転記は短くても合計の時間がかさみます。
この場合は、お客様が自分で入力する経路が、転記の積み重なりに効く候補になります。

内容が複雑で変更が多いなら、先に手を付けるのは確認連絡と変更対応です。
調査でも、変更対応(40%)と属人化(38.9%)は、手入力・確認連絡に次ぐ課題として挙がっていました1。
品目や指定が多い注文ほど聞き漏れが起きやすく、変更のたびに元の記録を探す手間も増えます。
項目の多い注文票と、変更を同じ記録に書き足す運用を先に整えておくと、どの経路で受けても使える土台になります。

顧客層で見る

同じ件数でも、注文してくるお客様の顔ぶれで進め方は変わります。
決まった取引先から定期的に注文が入るなら、相手ごとに話し合い、注文のしかたを一緒に決めやすい関係にあります。
メールやフォームに慣れた取引先に別の経路を案内すれば、無理なく移ってもらえる可能性があります。

一方、一般のお客様が思い立ったときに電話してくる形なら、全員に新しい経路を案内することは難しく、電話を使い続ける人も残ります。
一般消費者の電話注文がどの程度ほかの経路に移るかを示すデータは確認できていないため、移ってもらえる前提で計画を立てないほうが安全です。
この場合は、電話のまま受けても転記と確認が減るように、型を整えることを優先します。

記録の中で、どのお客様が別の経路を使ってくれそうかに印を付けておくと、案内する相手を選ぶ材料になります。

注文の様子 時間が出やすい作業 先に整えること
件数が少なく内容が単純 聞き取りの漏れ 聞き取りの型と変更の書き足し
件数が多く内容が似ている 転記の積み重ね お客様が入力する経路を足す
内容が複雑で変更が多い 確認連絡・変更対応 項目の多い注文票と変更の書き足し
電話を好むお客様が多い 聞き取りと転記 電話は残し、型で記録する
注文の様子と顧客層で分ける、先に整えること(模式図)
件数が少ない単純な注文、件数が多い似た注文、複雑で変更が多い注文、一般のお客様中心の四つに分け、先に整えることを示す図件数が少ない単純な注文、件数が多い似た注文、複雑で変更が多い注文、一般のお客様中心の四つに分け、先に整えることを示す図件数が少なく内容が単純聞き取りの型変更の書き足し件数が多く内容が似ているお客様が自分で入力する経路内容が複雑で変更が多い項目の多い注文票変更を同じ記録に書き足す一般のお客様が中心電話のまま受けて型で記録する移ってもらえる前提で計画しない

▼ 図の内容を文字で読む
  • 件数が少なく内容が単純
    • 聞き取りの型
    • 変更の書き足し
  • 件数が多く内容が似ている
    • お客様が自分で入力する経路
  • 内容が複雑で変更が多い
    • 項目の多い注文票
    • 変更を同じ記録に書き足す
  • 一般のお客様が中心
    • 電話のまま受けて型で記録する
    • 移ってもらえる前提で計画しない

電話を使い続けるお客様がいる場合は、併用で進める

廃止すると支障が出るという想定

電話をやめて別の経路に一本化すれば、手間はもっと減るのではないか。
そう考えたくなりますが、慎重にしたほうがよいことを示す結果があります。
同じ調査で、FAX・電話で受注していると答えた担当者80名に、受注を止めると取引に支障が出ると思うかを聞いたところ、「はい」が58.8%、「いいえ」が25.0%、「わからない」が16.2%でした1。
自由回答には、取引先が対応していない、お客様の了承を得られていないといった声もありました1。

これは実際に止めた結果ではなく、担当者の想定です。
対象も食品の卸・小売の受注担当者で、一般消費者を相手にする店の事情は含まれていません。
それでも、受ける側の半数を超える人が支障を見込んでいることは、電話をやめるかどうかが自店だけで決められる話ではなく、お客様側の事情に左右されることを示しています。

そこで、電話は残したまま別の経路を足す併用を基本にします。
併用なら、移れるお客様から順に移ってもらい、移れないお客様の注文はこれまでどおり受けられます。

電話を残したまま型で記録する

併用で気をつけたいのは、入口が二つになることで記録まで二つに分かれてしまうことです。
電話の注文は紙のメモ、フォームの注文は画面、と別々に残ると、出荷や提供の準備をするときに両方を見比べる作業が新しく生まれます。

これを避けるには、電話で受けた注文も、フォームで届く注文と同じ項目の型で残します。
フォームの項目と注文票の項目をそろえておけば、書き写す先が一つになり、受け手が誰でも同じ形で記録が並びます。
共有の表計算や受注画面へ電話中に直接入力できる環境なら、メモを経由しない分、転記が一回減ります。

別の経路の案内は、注文の電話の終わりに一言添える程度にとどめ、使うかどうかはお客様に任せます。
無理に移そうとして関係を損ねるより、電話の受け方を整えるほうが、電話のまま残る注文の手間も軽くできます。

電話と別の経路を併用するときの受け方と記録のそろえ方(模式図)
電話で受ける注文と別の経路の注文を同じ項目でそろえ、記録を一つにまとめる考え方を示す図電話で受ける注文と別の経路の注文を同じ項目でそろえ、記録を一つにまとめる考え方を示す図電話のまま受ける注文注文票の型で記録する電話の終わりに別の経路を一言案内する別の経路で届く注文フォームの項目と注文票の項目をそろえる記録を一つにまとめる書き写す先が一つになる誰が受けても同じ形で並ぶ

▼ 図の内容を文字で読む
  • 電話のまま受ける注文
    • 注文票の型で記録する
    • 電話の終わりに別の経路を一言案内する
  • 別の経路で届く注文
    • フォームの項目と注文票の項目をそろえる
  • 記録を一つにまとめる
    • 書き写す先が一つになる
    • 誰が受けても同じ形で並ぶ

通話録音や自動化を入れるときの個人情報の条件

録音の告知と利用目的の通知・公表の違い

聞き間違いをあとから確かめられるように、通話の録音を考える人もいるでしょう。
注文の電話で話される名前や連絡先、届け先は個人情報にあたりうるため、録音するなら扱い方を先に決めておく必要があります。

個人情報保護委員会のガイドラインQ&A(2025年の更新版)では、顧客との通話内容が個人情報に該当する場合、個人情報取扱事業者は、その利用目的を通知または公表する義務を負うとされています3。
一方で、録音していること自体をお客様に伝える義務までは負わないとされています3。

この二つは混同しやすい点です。
「録音しています」と告げるかどうかと、録音した内容を何に使うかを示すことは別の話で、Q&Aが義務として示しているのは後者です。
たとえば「受注内容の確認と、聞き間違いがあった場合の照合のため」といった利用目的を決め、店のウェブサイトなどで公表するか、お客様に通知する運用が必要になります。
通話の冒頭で録音を伝えるかどうかは、お客様との関係を考えて店が決められる部分です。

なお、このQ&Aが答えているのは録音の告知についてです。
電話応対を自動化するサービスや、電話の受付を外部に任せる場合の扱いまでは示していないため、そうした手段を選ぶ場合は、個人情報の取扱いを別に確かめる必要があります。

事柄 Q&Aでの扱い 店がすること
利用目的の通知・公表 義務を負う 目的を決めて公表するか通知する
録音していることの告知 伝える義務までは負わない 伝えるかどうかを店が決める

効果の測り方と見直しのタイミング

記録する指標

導入前の1〜2週間と導入後で、同じ項目を同じ期間だけ記録します。
外部に比べられる基準がないので、物差しをそろえることが何より大切です。
電話1本ごとに、次の項目を一行で残します。

  • 受けた日時と受けた人
  • 通話にかかったおおよその時間
  • 切ったあとに転記したか、かかったおおよその時間
  • 折り返しの確認連絡が必要だったか、その理由(聞き漏れ・在庫確認など)
  • あとから変更が入ったか

時間は分単位のおおよそで構いません。
一人で受けている店なら、注文票の端に印を付けるだけでも、週の終わりに数えれば内訳が見えます。
確認連絡の理由まで残しておくと、型にどの項目を足せば折り返しが減るかが分かります。

導入後は、別の経路で届いた注文の件数と、その確認にかかった時間も同じ表に加えます。
新しく増えた作業を数えないと、差し引きの効果が見えないためです。
これらの項目と期間は公的な基準ではなく、作業の内訳と前後の差を見るための提案です。
店の注文の形に合わせて項目を足し引きしても、導入前と後で同じものを使うことだけは守ります。

見直しの合図

比べてみて変化が出ない作業があれば、そこが見直しどころです。
確認連絡が減らないなら、理由の欄を見て、型に足りない項目や聞く順番を直します。
別の経路を使うお客様の割合が伸びないなら、案内のしかたや、その経路の入力のしにくさを見直します。
別の経路の確認にかかる時間が減った転記の時間を上回っているなら、届いた注文を見る時刻を決めるなど、確認の手順を整えます。

見直しをしたら、もう一度同じ期間だけ記録を取り、前回と比べます。
一度で終わらせず、記録・変更・比較をくり返すことで、自店の注文に合った受け方に少しずつ近づけていけます。

記録・手段の追加・比較・見直しをくり返す手順
導入前の記録、手段を一つ足す、同じ項目で比べる、減らない作業を見直す、の順に進み、再び記録へ戻る流れ1導入前に記録する2手段を一つ足す3同じ項目で比べる4減らない作業を見直す

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 導入前に記録する
  2. 手段を一つ足す
  3. 同じ項目で比べる
  4. 減らない作業を見直す

記録で作業の内訳が見えても、型を先に整えるか、別の経路を足すかは、注文の形とお客様の事情が絡むため、一人では決めにくいところです。

記録した内訳と注文の様子をもとに、どの作業から減らすか、電話をどこまで残すかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
まず見る作業 転記(手入力)と確認連絡に時間が出ていないか
測り方 導入前後に1〜2週間、電話ごとに同じ項目で記録する
件数が少なく単純な注文 聞き取りの型と変更の書き足しから始める
件数が多く似た注文 お客様が入力する経路を足す
内容が複雑で変更が多い注文 項目の多い注文票と変更の書き足しを先に整える
電話を好むお客様 電話は残して併用し、同じ型で記録する
通話録音 利用目的を決めて通知・公表する
補助金 対象経費を公募要領と商工会議所・商工会で確かめる

導入後の記録で転記や確認連絡が思うように減らないとき、原因が型の項目なのか経路の案内なのかを切り分けるには手間がかかります。 前後の記録を見比べながら、見直す箇所と次に試す手段を確かめられます。

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よくある質問

電話受注を減らすと、お客様が離れることはありますか

実際に電話受注を止めてお客様がどれだけ離れたかを示すデータは見当たりません。
食品の卸・小売の受注担当者への調査では、FAX・電話の受注を止めると取引に支障が出ると想定する人が58.8%いました1。
想定にすぎませんが、お客様側の事情で電話が必要な場合があることは分かります。
電話は残して別の経路を足す併用にすれば、移れないお客様の注文もこれまでどおり受けられます。

通話を録音するとき、お客様に伝える義務はありますか

個人情報保護委員会のQ&Aでは、通話内容が個人情報に該当する場合、利用目的を通知または公表する義務はありますが、録音していることを伝える義務までは負わないとされています3。
録音を使うなら、まず利用目的を決めて公表するか通知します。
録音の告知をするかどうかは店が決められます。

一人で受注している店でも、工数の記録は必要ですか

一人の店ほど、受けながら転記や折り返しもこなすため、どこに時間が出ているかが見えにくくなります。
注文票の端に、転記・確認連絡・変更の有無を印で残すだけでも、1〜2週間分を数えれば内訳がつかめます。
導入後も同じ印で比べれば、効果があったかを自分で確かめられます。

補助金は電話受注の見直しに使えますか

使えると言い切れる制度は確認できていません。
デジタル化・AI導入補助金のインボイス枠は、会計・受発注・決済の機能を持つソフトウェアが対象で、小規模事業者は補助額50万円以下の部分が4/5以内です4。
電話応対の自動化や代行が対象になるかは分かりません。
持続化補助金(補助率2/3、最大250万円)は販路開拓の取組が対象で5、受注の見直しが当てはまるかは公募要領と商工会議所・商工会への相談で確かめます。

電話の聞き間違いを減らす簡単な方法はありますか

品名・数量・届け日・届け先・連絡先など、毎回必要な項目を並べた注文票を電話のそばに置き、上から順に聞く方法があります。
電話の最後に内容を読み上げて確かめる復唱を組み合わせると、聞き間違いをその場で直しやすくなります。
どちらも費用をかけずに始められ、折り返しの確認連絡を減らす手段にもなります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:株式会社ハンモック(調査実施:IDEATECH「リサピー」)「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
  2. 2 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業・小規模企業者の定義」(2026年)
  3. 3 出典:個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」(2025年)
  4. 4 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)」(2026年)
  5. 5 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「小規模事業者持続化補助金」(2026年度)

画像の出典元

  1. Delivery worker in apron packing food in container for customer. Indoor setting./Photo by Norma Mortenson on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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