◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 電話受注の手間は受電・聞き取り、入力・転記、確認連絡、変更・訂正に分かれ、受注担当者の調査では手入力60%、確認連絡41.1%、変更対応40%が挙がった(FAX・メール・電話をまとめた集計)
- 工数が減るかどうかは受け口の種類より、注文が届いた後の転記と確認がどこまで不要になるかで決まる
- 51.4%は企業間の受発注データ連携の実証の平均で、電話受注を見直したときの削減率としては使えない
- 取引先が電話を続けたまま窓口を足すと確認や突き合わせが増えることがあり、電話を残した省力化や電子化できる取引先からの段階移行が選択肢になる
- 1〜2週間の計測で欄ごとの時間を出し、新しく生まれる確認の時間と移行期の負担を差し引いて見積もる
目次

電話受注の手間はどの作業に溜まるのか:受電・入力・確認・変更を分けて見る
注文の電話が鳴るたびに手元の作業が止まり、聞き取った内容を入力し、折り返して確認し、変更が入ればまた直す。
電話受注の工数はこうした作業に分かれて溜まるため、「電話をやめれば何割減る」とは一律に言えません。
食品の小売・卸の受注担当者への調査でも、手間として多く挙がったのは手入力、確認連絡、変更対応でした1。
電話受注だけの削減率を示した資料は確認できないため、まず作業ごとに自社の時間を測ります。
そのうえで、取引先が電話をやめにくいなら電話を残して入力と確認を省力化する道も含めて、始め方を選ぶのが確実です。
受注担当者が挙げる手間の上位
食品の小売・卸で受注を担当する人を対象にした2023年のネット調査では、FAX・Eメール・電話で受注している担当者(n=90)の60%が「注文書の手入力に手間がかかる」と答えています1。
続いて「注文確認の連絡に手間がかかる」が41.1%、「注文の変更対応に時間がかかる」が40%、「オペレーションの属人化が発生している」が38.9%でした1。
上位に並んだのは、電話を受けている最中の作業よりも、受けた後に続く作業です。
ただし、この集計はFAX・メール・電話をまとめたもので、電話で受けている人だけの内訳ではありません。
対象は食品の小売・卸の担当者に限られ、調査を企画したのは受注システムを提供する事業者です。
他の業種や、電話だけで受けている会社にそのまま当てはまる数字ではないため、「どの作業に手間が集まりやすいか」の手掛かりとして読むのが妥当です。
それでも、この並びから言えることがあります。
注文の受け口を電話から別の方法に替えても、届いた注文を販売管理や台帳へ打ち直す作業、内容を取引先に確かめる連絡、届いた後の変更への対応が残るなら、手間の大きい部分はそのまま残ります。
工数が減るかどうかは、受け口の種類よりも、注文が届いた後の転記と確認がどこまで不要になるかで決まります。
電話では聞き取りと復唱の時間が見えにくい
電話受注には、FAXやメールにはない時間の使い方があります。
電話が鳴ると担当者は手元の作業を止め、商品名や数量、納品日を聞き取り、復唱して確かめ、メモを残します。
この間、担当者は通話から離れられません。
FAXやメールなら届いた注文を手の空いた時にまとめて処理できますが、電話は相手の都合に合わせて対応するしかありません。
このため電話受注の負担は、1件ごとの通話時間を足し合わせた以上に大きく感じられることがあります。
注文が締め時間の前に集中すれば、その時間帯は他の業務がほとんど進みません。
途中で止めた出荷準備や請求の作業に戻るたびに、どこまで進めたかを確かめ直す時間もかかります。
こうした中断の影響は、先の調査のような課題の集計には表れにくい部分です。
聞き取った内容がメモに残るだけだと、入力の段階で数字や商品名の聞き違いに気づいても、確かめるには取引先へ折り返すしかありません。
これが確認連絡の手間につながります。
さらに、常連の取引先が「いつもの」と言えば通じる、締め時間を過ぎても受ける相手が決まっている、といった運用が担当者の頭の中だけにあると、その人が休んだ日に受注が回らなくなります。
調査で38.9%が挙げた属人化は1、電話受注ではこうした形で現れやすいと考えられます。
作業別に測る4つの欄
削減の見込みを立てるには、電話受注の時間を一つの塊として測るのではなく、次の4つの欄に分けて記録するのが分かりやすい方法です。
・受電・聞き取り:通話の開始から終了までと、その場で書くメモの時間
・入力・転記:メモや注文書を販売管理、在庫表、出荷指示へ打ち込む時間
・確認連絡:聞き取った内容や在庫・納期を取引先へ確かめる折り返しの時間
・変更・訂正:受注後の数量・納期の変更や、聞き違いを直す作業の時間
欄を分ける理由は、置き換えの方法ごとに減らせる欄が違うからです。
取引先に画面から注文してもらう方法なら受電と入力の欄に働きかけますが、通話を文字に残す方法は、メモの手間は減っても通話そのものの時間は変えません。
どの欄に時間が偏っているかが分かれば、検討すべき方法もおのずと絞られます。
| 項目 | 割合(%) |
|---|---|
| 注文書の手入力に手間がかかる | 60 |
| 注文確認の連絡に手間がかかる | 41.1 |
| 注文の変更対応に時間がかかる | 40 |
| オペレーションの属人化が発生している | 38.9 |
電話受注を減らす・自動化する方法と向く注文の形
減らせる作業と向く注文の形の対応
電話受注を減らす、あるいは自動化する方法として検討に挙がりやすいのは、Web受発注、FAX/メールのAI読み取り、音声のテキスト化・自動応答、電話を残したまま入力を省力化する方法の4つです。
どれが合うかは、先の4つの欄のどこに時間が溜まっているかと、注文の形が定型の再注文か、都度の相談を伴うかで変わります。
以下の対応は各方法の一般的な仕組みから編集部が整理したもので、製品ごとの機能や効果を示すものではありません。
Web受発注は、取引先が画面から商品と数量を選んで注文する方法です。
注文が最初からデータで届くため、受電と入力・転記の欄に直接働きかけます。
向いているのは、同じ商品を決まった単位で繰り返し注文する定型の再注文です。
一方、「今回は納期が厳しいが間に合うか」「代わりの品はあるか」といった相談を伴う注文は画面だけでは完結しにくく、結局は電話がかかってきます。
また、取引先が画面を操作する手間を引き受けてくれることが前提になります。
FAX/メールのAI読み取りは、届いた注文書の文字を読み取ってデータにする方法です。
電話の注文そのものを減らすものではなく、すでにFAXやメールで届いている注文の転記を減らします。
読み取り結果が正しいかを人が確かめる作業は残るため、減るのは入力・転記の欄の一部です。
取引先ごとに注文書の様式がばらばらだと、確かめる手間がかえって増えることもあります。
音声のテキスト化は、通話の内容を文字に残す方法です。
通話そのものの時間は変わりませんが、メモを書く手間や、後から「数量はいくつと言っていたか」を思い出す手間に働きかけます。
聞き違いを巡る確認や訂正の原因を記録で追えるようになる点は、確認連絡と変更・訂正の欄にも関わります。
自動応答は、電話に機械が応じて決まった項目を受け付ける方法で、定型の再注文の一部を人が受けずに済む可能性があります。
ただし相談を伴う注文は人につなぐ必要があり、都度の相談が多い会社では人が受ける電話はあまり減りません。
電話を残して入力だけ省力化する場合
取引先が電話で注文する習慣を変えにくいなら、受け口はそのままにして、受けた後の作業を減らす道があります。
先の調査では、電話・FAXで受注している担当者(n=80)に、FAX・電話を続けたままペーパーレス化するサービスへの期待を尋ねており、「非常にそう思う」「ややそう思う」と答えた人が多くを占めました1。
これは期待を尋ねた回答で、導入後に工数が減ったという結果ではありません。
それでも、取引先の行動を変えずに社内の手間だけを減らしたいという考えが、受注の現場で珍しくないことはうかがえます。
具体的には、電話を受けながら紙のメモではなく受注画面へ直接入力する、あるいは通話の記録をもとに入力する流れに変えます。
紙のメモから販売管理へ打ち直す二度手間がなくなれば、入力・転記の欄が縮みます。
受注した内容を確認書として取引先へ返す流れを決めておけば、聞き違いがあっても取引先の側で気づく機会が生まれ、後からの訂正を早い段階で拾える可能性があります。
この方法で変わらないのは、受電・聞き取りの欄です。
電話が締め時間前に集中して他の業務が止まるという悩みは、受け口を変えない限り残ります。
入力と確認に時間が偏っている会社には効きやすく、通話そのものに時間を取られている会社には効きにくい方法だと言えます。
確認すべき連携条件
どの方法を選んでも、工数が減るかどうかを左右するのは、受けた注文データがその先の仕組みへどうつながるかです。
新しい受注の画面でデータを受け取っても、販売管理や在庫の表、出荷指示が別の仕組みのままなら、担当者はそこへ打ち直すことになります。
転記がなくなったのではなく、転記する場所が移っただけという結果になりかねません。
導入前には、少なくとも次の点を提供元に確かめておくと、残る転記が見えてきます。
・受けた注文を、いま使っている販売管理や会計の仕組みへ取り込めるか、取り込むならどの形式か
・取引先ごとの商品コードや単価、締め日の違いをどこで管理するか
・受注後の変更を、取り込んだ後のデータへどう反映するか
・読み取りや音声の文字化を使う場合、結果を人が確かめる画面と手順がどうなっているか
これらは製品や既存の仕組みによって答えが違うため、一般論では決められません。
回答を聞いたら、4つの欄のうちどれが消え、どれが形を変えて残るかを書き出しておくと、後の見積もりにそのまま使えます。
▼ 図の内容を文字で読む
- Web受発注
- 減らせる作業:受電と入力・転記
- 向く注文:定型の再注文
- 残る手間:相談を伴う注文は電話が残る
- FAX/メールのAI読み取り
- 減らせる作業:入力・転記の一部
- 向く注文:すでにFAXやメールで届く注文
- 残る手間:読み取り結果を人が確かめる作業
- 音声のテキスト化・自動応答
- 減らせる作業:メモの手間、定型の再注文の一部
- 向く注文:聞き違いの確認や訂正が多い電話受注
- 残る手間:通話時間は変わらず、相談を伴う注文は人につなぐ
- 電話を残した入力省力化
- 減らせる作業:入力・転記と確認連絡
- 向く注文:取引先が電話の習慣を変えにくい場合
- 残る手間:受電・聞き取りは変わらない
工数削減はどのくらいと言えるのか:確認できた幅とその限界
企業間データ連携の実証で示された幅
受発注の電子化で業務時間がどのくらい減るかを示す公的な資料として、中小企業庁のミラサポplusが紹介している実証があります。
平成28年度補正の事業で12プロジェクト・6業界を選び、発注側と受注側の企業の間で受発注のデータをつないだところ、中小企業の業務時間は平均して51.4%削減されました2。
同じ資料は、中小企業の削減率が大企業より高かった要因として、中小企業は限られた期間でも業務の流れを変えやすかったことを挙げています2。
企業の受け止め方の面では、東京商工会議所が主に東京の中小企業を対象に行った2024年の調査で、デジタルシフトの効果として「業務効率化(コスト削減、時間短縮、ミス防止等)」を挙げた企業が81.0%と最も多くなっています3。
これは受注業務に限った削減の実績ではなく、デジタル化全般について企業が効果として挙げた内容を集計したものです。
二つの資料から言えるのは、受発注の電子化には削減の例があり、効率化を効果として挙げる企業も多い、というところまでです。
この数字を社内の入力削減に当てはめない理由
51.4%は目を引く数字ですが、電話受注を見直したときの削減率として使うことはできません。
実証で変えたのは、発注側と受注側の双方の仕組みです。
発注側が注文をデータで送り、受注側がそれを取り込む形になれば、受電も聞き取りも転記もまとめて不要になりえます。
一方、電話を残したまま社内の作業を整える場合に変わるのは受注側だけで、取引先が電話をかけ続ける限り受電の時間は残ります。
また、51.4%は複数のプロジェクトをならした平均で、資料には削減が小さかった例や、うまくいかなかった条件は示されていません。
自社の受注時間に51.4%を掛けて削減見込みとすると、取引先の協力や連携の範囲の違いを無視した数字になります。

この実証から自社の判断に持ち帰れるのは、数字よりも削減の要因のほうです。
資料が要因として挙げたのは、仕組みを入れたことそのものではなく、業務の流れを変えられたことでした2。
電話受注に置き換えて考えると、新しい受け口を足しても、紙のメモを経由する流れや折り返しの確認の仕方が変わらなければ、減る時間は限られると考えられます。
だからこそ、削減の見込みは公的な平均値ではなく、自社の作業を欄ごとに測った数字から立てる必要があります。
| 観点 | 受発注データ連携の実証 | 電話を残す自社の見直し |
|---|---|---|
| 変える範囲 | 発注側と受注側の双方 | 受注側の社内作業 |
| 取引先の行動 | 注文をデータで送る形に変わる | 電話で注文を続ける |
| 減る可能性のある作業 | 受電・聞き取りから転記まで | 主に入力・転記と確認連絡 |
| 数値の性格 | 12プロジェクト・6業界の中小企業の平均51.4% | 自社の計測でしか分からない |
▼ 図の内容を文字で読む
- 変える範囲
- 実証:発注側と受注側の双方
- 電話を残す見直し:受注側の社内作業
- 取引先の行動
- 実証:注文をデータで送る形に変わる
- 電話を残す見直し:電話で注文を続ける
- 減る可能性のある作業
- 実証:受電・聞き取りから転記まで
- 電話を残す見直し:主に入力・転記と確認連絡
- 数値の性格
- 実証:中小企業の平均51.4%(削減が小さかった例は資料に示されていない)
- 電話を残す見直し:自社の計測でしか分からない
削減が小さくなる・手間が増える場面:取引先と移行期
取引先が電話をやめられない場合
電話受注を減らす計画で最初につまずきやすいのは、社内ではなく取引先の側です。
先の調査では、FAX・電話で受注している担当者(n=80)の58.8%が、FAX・電話による受注を止めると「取引に支障が出る」と想定していました1。
これは実際に廃止して起きた結果ではなく、食品の小売・卸の担当者が事前に見込んだ想定です。
ただ、取引先と日々やり取りしている受注担当者が、相手の事情を踏まえて答えている点は軽く見られません。
取引先が電話を手放せないまま新しい受け口を足すと、窓口が増えます。
たとえば、取引先の一部はWeb受発注で注文し、残りは今までどおり電話をかけてくるとします。
担当者は電話を受けて入力しながら、Webの注文が入っていないかも画面で見に行くことになり、受注の締めでは両方を突き合わせて漏れを確かめます。
Webで注文した取引先が念のため電話でも伝えてくれば、同じ注文が二重に入っていないかを確かめる手間も生まれます。
置き換えた取引先の分だけ受電は減っても、確認の欄はかえって増えることがあります。
削減が見込めるのは、置き換えた取引先の注文が、確認や突き合わせなしでそのまま処理できる状態になったときです。
電話を続ける取引先が多い間は、窓口を増やすより、電話を残した省力化を軸にしたほうが手間が分散しにくくなります。
属人化した確認ルールの引き継ぎ
調査で38.9%が挙げた属人化は1、移行のときに別の形で影響します。
電話で受けていた担当者は、通話の中で取引先の言葉を補っています。
「いつもの」と言われればどの商品を何ケースかが分かり、欠品していれば代わりの品を提案し、締め時間を過ぎた注文を受けるかどうかを相手ごとに判断しています。
注文を画面や書面で受ける形に変えると、こうした補いは通話と一緒に消えます。
取引先は画面の項目どおりに入力するだけなので、これまで担当者が通話中に拾っていた確認が抜け、後から問い合わせや訂正として戻ってくることがあります。
入力・転記の欄が減っても、変更・訂正の欄が増えれば、差し引きの削減は小さくなります。
移行の前に、担当者が電話で何を確かめているかを書き出しておくと、この漏れを減らせます。
取引先ごとに決まっている単位や単価、受け付ける時間、欠品時の扱いなどが挙がれば、それを入力画面の項目や取引先ごとの設定に置き換えるのか、人の確認として残すのかを決められます。
書き出した内容は、担当者が休んだときの引き継ぎにもそのまま使えます。
移行期の二重運用を確かめる方法
電話と新しい方法を併用する期間がどのくらい続き、どれだけの負荷になるかを示す資料は、今回確かめられた範囲にはありません。
取引先の数や注文の形によって大きく違うはずなので、自社で確かめるしかない部分です。
確かめ方としては、試験的に一部の取引先で新しい方法を始め、その期間中に次の数を記録する方法があります。
・受け口ごとの注文件数
・同じ注文が二つの受け口から届いた件数
・新しい方法で受けた注文への問い合わせ・訂正の件数
・受注の締めで、受け口をまたいで突き合わせた時間
あわせて、併用をいつ終えるか、あるいは計画を見直すかの目安を、始める前に決めておきます。
たとえば、新しい方法の注文で訂正が電話のときより多いままなら入力画面の項目を見直す、二重の注文が続くなら取引先への案内を改める、といった具合です。
目安がないまま始めると、併用が長引いても止める理由が見つからず、窓口が増えた状態が続きやすくなります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先が電話を続ける
- 廃止すると取引に支障が出ると想定した担当者は58.8%(n=80、事前の想定)
- 新しい受け口を足し、窓口が増える
- 一部はWeb受発注、残りは電話
- 画面と電話の両方を確認する
- 受注の締めで両方を突き合わせる
- 同じ注文が二重に入っていないかを確かめる
- 確認の欄が増える
- 置き換えた分だけ受電は減っても、確認の手間は増えることがある
導入前に自社の削減効果を見積もり、始め方を選ぶ
計測する項目と期間
ここまでの話を自社に当てはめるには、まず受注の作業時間を測ります。
以下は編集部が提案する手順で、相場の数字に頼らず、自社の記録から削減の見込みを出すためのものです。
期間は1〜2週間程度が目安です。
曜日によって注文の量が違う会社は各曜日を含め、月末や締め前に注文が集中するならその時期も入るように期間を選びます。
記録するのは、注文1件ごとの次の項目です。
・受け口(電話・FAX・メールなど)と取引先
・受電・聞き取りの時間(通話とメモ)
・入力・転記の時間
・確認連絡の有無と時間
・変更・訂正の有無、原因(取引先の都合か、聞き違い・入力違いか)、直すのにかかった時間
・定型の再注文か、相談を伴う注文か
集計では、欄ごとに「件数×1件あたりの平均時間」で合計を出し、変更・訂正は「発生件数×1回あたりの時間」で出します。
そのうえで、検討している方法ごとに、どの欄がなくなり、どの欄が残り、どの欄が新しく生まれるかを当てはめます。
たとえばAI読み取りなら入力・転記の欄は縮みますが、読み取り結果を確かめる時間が加わります。
削減の見込みは、なくなる欄の時間から、新しく生まれる確認の時間を差し引いた差として見積もるのが現実的です。
記録に手間をかけすぎると続かないため、最初から細かさにこだわる必要はありません。
担当者が受注のたびに手元の表へ印を付ける程度の粗さでも、どの欄に時間が偏っているかは十分に見えてきます。
結果から始め方を選ぶ
計測の結果は、全面移行・段階移行・電話を残した省力化のどれから始めるかを選ぶ材料になります。
入力・転記と確認連絡に時間が偏っているなら、電話を残した省力化から始めるのが筋です。
取引先に何も頼まずに始められ、効果も測った欄の変化で確かめられます。
取引先の中にすでにWebやデータで注文できる相手がいるなら、その取引先から段階的に移すと、二重運用の負担を小さく保ちながら効果を確かめられます。
計測で受け口と取引先を記録しておけば、定型の再注文が多く、注文件数も多い取引先がどこかが分かります。
置き換えたときに受電と入力の時間が大きく減るのは、そうした取引先です。
相談を伴う注文が多い場合は、注文を画面へ移しても電話は残りやすく、受電の欄は大きく減りません。
この場合は、通話の記録や受注内容の確認書で、聞き違いによる訂正や属人化を減らす方向が合います。
全面移行は、取引先の大半が新しい方法に応じられ、担当者の確認ルールを画面や設定に置き換えられる見通しが立ってから検討しても遅くはありません。
費用項目の確認リスト
削減できる時間が見えたら、それと比べる費用を見積もりで確かめます。
受注の仕組みの費用は製品や規模で大きく違うため、ここでは相場の金額ではなく、見積もりで漏れやすい項目を挙げます。
・導入費:初期設定、商品や取引先の情報の登録
・運用費:月ごとの利用料など、使い続ける間にかかる費用
・連携費:販売管理や会計など既存の仕組みとつなぐための費用
・移行期の負担:二重運用の人手、取引先への案内や操作の説明にかかる時間
・社内の準備:担当者が操作を覚える時間、確認ルールを書き出す時間

最後の二つは請求書には載りませんが、移行の時期に担当者の時間を確実に使います。
計測で出した削減の見込みが、移行期の負担を差し引いても残るかどうかを比べると、始めるかどうか、どこまで広げるかを判断しやすくなります。
計測で時間の偏りが見えても、取引先ごとの事情や既存の仕組みとのつながりまで含めて始め方を決めるのは、社内だけでは判断が分かれやすいところです。
計測の記録をもとに、電話を残した省力化と段階移行のどちらから始めるか、どの転記が残りそうかを整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 手間の所在 | 受電・聞き取り、入力・転記、確認連絡、変更・訂正の4つの欄に分けて時間を測る |
| 方法の選び方 | 時間が偏る欄と、注文が定型の再注文か相談を伴うかで絞る |
| 公的な削減率 | 51.4%は企業間の受発注データ連携の実証の平均で、自社の電話受注には当てはめない |
| 取引先の事情 | 電話を続ける取引先が多いなら、窓口を増やさず電話を残した省力化を軸にする |
| 見積もり | なくなる欄の時間から新しく生まれる確認の時間を差し引き、移行期の負担を含む費用項目と比べる |

見積もりで挙がった費用項目と自社で測った削減見込みを比べる段階では、連携の範囲や移行期の負担の読み方で結論が変わります。 見積もりの内容と計測結果を並べ、移行期の負担を差し引いても削減が残るかを確かめられます。
よくある質問
電話受注をやめられない取引先が多い場合、どこから手を付けるべきか
まず1〜2週間ほど作業時間を記録し、入力・転記や確認連絡に時間が偏っていないかを見ます。
偏っていれば、取引先の注文方法は変えずに、受けた後の転記と確認を減らす省力化から始めるのが無理のない順番です。
食品の小売・卸の担当者への調査では約6割がFAX・電話の受注を止めると取引に支障が出ると想定しており、窓口を急に増やすと突き合わせの手間が増えることがあります。
すでにデータで注文できる取引先がいれば、その相手から段階的に移す方法を並行して検討します。
電話を残したまま、入力や確認の手間だけを減らせるか
減らせる余地はあります。
電話を受けながら受注画面へ直接入力する、通話の記録をもとに入力するなどして紙のメモを経由しなくなれば、入力・転記の欄が縮みます。
受注内容を確認書として返す流れを作れば、聞き違いを早く拾える可能性もあります。
一方、通話そのものの時間は変わらないため、締め前に電話が集中して他の業務が止まる悩みは残ります。
受けたデータを販売管理などへ取り込めないと転記が別の場所に移るだけなので、連携の条件を事前に確かめておくことが前提です。
自社の電話受注の工数は、何を何日測れば試算できるか
1〜2週間程度、注文1件ごとに、受け口と取引先、受電・聞き取り、入力・転記、確認連絡、変更・訂正の時間と原因、定型か相談を伴う注文かを記録します。
曜日や月末で注文量が変わる会社は、その時期を含めるように期間を選びます。
集計は欄ごとに件数と平均時間を掛け、検討中の方法でなくなる欄の時間から新しく生まれる確認の時間を差し引いて見積もります。
音声のテキスト化や自動応答は、都度相談の多い注文にも向くか
音声のテキスト化は通話の時間を短くはしませんが、メモの手間や、聞き違いを巡る確認・訂正の原因を記録で追う点では、相談を伴う注文でも役立つ可能性があります。
自動応答は決まった項目を受け付ける仕組みのため、定型の再注文の一部には向きますが、相談を伴う注文は人につなぐ必要があり、人が受ける電話はあまり減りません。
製品ごとの機能は導入前に確かめてください。
移行期に電話と新しい方法を併用すると、かえって手間が増えないか
増えることがあります。
取引先の一部だけが新しい方法に移ると、担当者は電話と画面の両方を見て、締めで突き合わせる必要があり、同じ注文が二重に届いていないかの確認も生まれます。
併用の期間や負荷を示す資料はないため、試験期間中に受け口ごとの件数、二重に届いた件数、訂正の件数、突き合わせの時間を記録し、併用を終える目安や見直しの条件を始める前に決めておくと判断しやすくなります。
- 1 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 2 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)
- 3 出典:東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(2025年)
画像の出典元
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