◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 切り替えを頼む前に、電話受注の負担を入力・確認連絡・変更対応・担当者依存に分けて注文単位で数え、目的を決める
- 食品の小売・卸売の受注担当者の58.8%が電話・FAXを止めると取引に支障が出ると想定しており、一斉廃止ではなく電話を例外受付として残す進め方が現実的
- 得意先を注文の頻度・夜間や休日の注文・定型度・端末の利用状況で分け、得意先側で減る手間に結び付けて切り替えやすい先から頼む
- 電話で受けた注文もWebと同じ受注データに入れ、Web注文の比率や電話件数などの指標で見直す
- 電話を残す得意先は理由別に3つに分け、支援の範囲と手間を取引規模と比べて線を引く
目次

電話受注の負担を注文単位で測ってから、切り替えの目的を決める
電話注文が特定の担当者や締め時間の前に集中し、聞き間違いや折り返しの漏れが出ている。
それでも得意先に切り替えを頼めば関係が悪くなりそうで、電話受注からの脱却に踏み出せない。
食品の小売・卸売の受注担当者への調査では、6割近くが電話・FAXを止めると取引に支障が出ると想定しています1。
そのため、一斉に廃止するのではなく、電話を例外受付として残しながら比率を下げる進め方が現実的です。
まず注文単位で負担を測ります。
そのうえで、夜間や休日の注文、履歴の再確認といった得意先側の利点に結び付けて、切り替えやすい先から案内します。
入力・確認連絡・変更対応・属人化の4つに分けて数える
得意先に切り替えを頼む前に、自社の電話受注で何が負担になっているのかを、注文1件ごとの単位で書き出します。
「電話が多くて大変」という感覚のままでは、得意先には自社の都合にしか聞こえません。
どの注文で、どの作業に、どれだけ手間がかかっているかが分かれば、切り替えで何を減らしたいのかを具体的に言えるようになります。
その言葉が、のちほど得意先へ伝える利点の材料にもなります。
電話で受けた注文1件が出荷手配に届くまでを追うと、作業はいくつかに分かれます。
まず受話器を取ってメモを取り、受注システムや販売管理の画面へ打ち込みます。
品番や数量があいまいなら、得意先へ折り返して確かめます。
入力のあとで「やはり数量を変えたい」と電話が入れば、入力済みの注文を探して直します。
さらに、いつもの受け方を知っている担当者が休むと、ほかの人では得意先の言い回しや通常の注文内容が分からず、対応が止まります。
この流れに沿って、負担を次の4つに分けて数えることを提案します。
- 入力:電話で聞いた内容を受注画面へ打ち込む作業。
1件あたりの入力時間と、品目数の多い注文の割合を見る - 確認連絡:聞き取りの不明点や在庫・納期を確かめるための折り返し。
1件あたりの往復の回数を見る - 変更対応:受注後の数量・品目・納期の変更。
変更の回数と、出荷手配の前か後かを見る - 属人化(担当者依存):誰が受けたか。
特定の人に件数や時間帯が偏っていないか、その人がいないと処理できない得意先がどこかを見る
記録は、注文ごとに得意先名、受けた時刻、受けた人、入力にかかった時間、折り返しの回数、変更の有無を一行で残す程度で足ります。
期間は締め日の前後や繁忙期を含むように取ると、平常時だけでは見えない偏りが分かります。
厳密な時間の計測が難しければ、入力時間は「5分未満」「5〜15分」「15分以上」のような幅で残しても構いません。
大事なのは、あとで得意先ごとに並べ直せる形で残すことです。
数え終えると、切り替えの目的が絞れます。
入力時間が大きいなら、得意先が自分で注文内容を入れることで転記をなくすのが主な目的になります。
確認連絡や変更対応が多いなら、得意先が注文内容を画面で確かめ、変更も同じ画面で受け付けられる形にすることが目的です。
担当者依存が目立つなら、電話の件数を減らすことに加えて、どの得意先が何をいつ頼んだかを誰でも見られる状態にすることが目的になります。
目的が違えば、どの得意先から頼むべきかも変わります。
入力の重い得意先と、変更の多い得意先は、同じとは限らないからです。
調査に見る受注業務の課題の現れ方
同じような課題は、ほかの売り手でも挙がっています。
受発注の仕組みを提供するハンモックが2023年3月に実施したインターネット調査では、食品の小売・卸売業でFAX・Eメール・電話による受注業務に携わる90名が、課題を次のように答えています1。
最も多いのは手入力の手間で、6割が挙げています。
ただし、確認連絡(41.1%)、変更対応(40%)、属人化(38.9%)もそれぞれ4割前後あり、入力だけを片付ければ済む話ではないことが読み取れます1。
Webで得意先が自分で入力するようになれば転記は減ります。
しかし、在庫や納期の確認、注文後の変更をどこで受けるかを決めていなければ、確認と変更の電話は残ります。
負担を4つに分けて数えるのは、このためです。
数値を読むときの条件もあります。
この設問はFAX・Eメール・電話をまとめた受注業務への回答で、電話だけの数値ではありません。
対象は食品の小売・卸売業に限られ、母数も90名と小さく、発表元は受発注の仕組みを提供する事業者です。
扱う商材や得意先の数が違えば割合も変わり得るため、自社の負担の大きさは、先ほどの記録から判断するのが確実です。
出典:株式会社ハンモック(調査実施:IDEATECH「リサピー」)「食品業の受注業務に関する実態調査」(2026-11-07取得・同上・食品の小売・卸売の受注担当者、FAX・Eメール・電話受注業務、n=90、2023年3月)
得意先が電話を続けたがる理由と、切り替えに応じる条件を見立てる
売り手の6割近くが取引への支障を想定している
負担が数字で見えても、切り替えを頼む段になると手が止まります。
その迷いは、多くの売り手に共通しています。
同じ調査で、FAX・電話で受注している担当者80名に、FAX・電話による受注を止めると取引に支障が出るかを尋ねたところ、「はい」が58.8%、「いいえ」が25.0%、「わからない」が16.2%でした1。
注意したいのは、この58.8%が売り手側の担当者の想定だという点です。
得意先本人に「電話がなくなったら取引を見直すか」を聞いた結果ではありません。
得意先が本当に切り替えを拒むかどうかは、この数値からは分かりません。
とはいえ、日々得意先と話している担当者の6割近くが支障を想定している以上、電話とFAXを一度に止める進め方は、社内でも受け入れられにくいと考えられます。
受注担当者が納得していなければ、得意先への説明にも迷いがにじみやすくなります。
「わからない」が16.2%ある点も見逃せません1。
得意先の反応を予想できないまま切り替えを検討している担当者が一定数いるということで、見立ての材料が足りていない状態とも読めます。
その材料は、業界の調査よりも、自社の受注履歴と得意先を知る人の話から集めるほうが確かです。
チャネルが併存している実態
受注の手段は、どれか一つに決まっているわけではありません。
同じ調査で受注方法を尋ねた設問(n=106、複数回答)では、受発注システムが58.5%、電話が50%でした1。
複数回答なので、システムを入れていながら電話でも受けている売り手が少なくないと読めます。
受発注の仕組みを導入しても、電話が自然に消えるわけではないということです。
買い手側から見ても、専用の仕組みに発注が寄っているとは言えません。
SBペイメントサービスが2025年にBtoB取引のバイヤー立場の387人へ行ったインターネット調査では、卸売業での発注について、「メール」「FAX」「対面」など、取引専用のツールではないコミュニケーションの手段による発注が約7割を占めたと記されています2。
卸売業に絞った回答者数は示されておらず、正確な割合も記載されていないため、目安として受け止めるのが妥当です。
二つの調査は対象も時期も違うため、数値を足したり比べたりはできません。
それでも、売り手の側では電話・FAXをやめると支障が出ると考える担当者が多く、買い手の側でも通信の手段による発注が中心だという点は、同じ方向を向いています。
得意先に頼むのは、自社の受付窓口の変更であると同時に、得意先の社内に根付いた発注の習慣を変えてもらうことでもあります。
一斉に止めるより、使い分けながら移る前提で計画を立てるほうが、この実態に合っています。
得意先ごとの理由を確かめる方法
得意先がなぜ電話を続けるのかは、得意先ごとに違います。
業界全体の傾向から決めつけず、まず自社の受注履歴を見直します。
注文単位の記録を得意先ごとに並べると、次のような違いが見えてきます。
- 注文の時刻:営業時間の終わり際や朝一番に集中しているか、時間に関係なくばらついているか
- 注文の中身:毎回ほぼ同じ品目と数量か、その都度入れ替わるか
- 電話中のやり取り:在庫・納期・代替品の相談が混じっているか、品番と数量を読み上げるだけか
- 変更の多さ:注文後に数量や納期の変更が繰り返されるか
履歴だけでは分からない事情は、その得意先を担当する営業や、電話をよく受けている受注担当者に聞きます。
たとえば、発注するのが店舗や現場の担当者で事務所のパソコンを使わない、発注の前に上長の確認が要る、品切れのときの代替品をその場で相談したい、といった事情は、電話の向こう側を知る人でなければ分かりません。
ここに挙げたのはあくまで確かめるための候補で、どの得意先に当てはまるかは聞いてみるまで決められません。
理由が分かると、切り替えに応じてもらえる条件も見えてきます。
品番と数量を読み上げるだけの得意先なら、画面で同じことができ、しかも注文内容が手元に残ると分かれば移りやすいと考えられます。
相談が注文と一体になっている得意先なら、注文はWebで出し、相談は電話やメールで受けるという分け方を示せるかどうかが条件になります。
現場にパソコンがない得意先なら、スマートフォンで注文できるかどうかが分かれ目です。
こうした見立てを得意先ごとに一行で書き留めておくと、次の振り分けにそのまま使えます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 品番と数量を読み上げるだけの得意先
- 画面で同じことができ、注文内容が手元に残ると分かれば移りやすい
- 相談が注文と一体になっている得意先
- 注文はWebで出し、相談は電話やメールで受ける分け方を示せるか
- 現場にパソコンがない得意先
- スマートフォンで注文できるかどうか
得意先を切り替えやすい先と電話を残したい先に分け、頼み方を変える
分類の軸
見立てがそろったら、得意先を「先に案内する先」と「当面は電話を残す先」に分けます。
分ける軸として、次の4つを提案します。
- 注文の頻度:頻繁に注文する得意先ほど、1件あたりの手間が減ったときの効果が双方で大きくなる
- 夜間・休日の注文の有無:営業時間外にFAXや留守番電話で届く注文がある得意先には、時間を問わず注文できる利点がそのまま伝わる
- 注文内容の定型度:同じ品目を繰り返し頼む得意先は、前回の内容をもとに注文できる形と相性がよい(その形が取れるかは導入する仕組みによる)
- 発注担当者の端末の利用状況:日常的にパソコンやスマートフォンで業務をしているかどうかで、操作の説明に要る手間が変わる
4つの軸をすべてそろえて点数を付ける必要はありません。
頻度が高く、内容が定型的で、担当者が画面の操作に慣れている得意先は、最初に案内する候補です。
反対に、注文のたびに相談が入り、発注者が現場で手を離せない得意先は、急いで切り替えを求めるより、電話を残しながら別の負担から減らすほうが関係を保ちやすいでしょう。
その中間にある得意先は、先に移った得意先の様子を見てから案内しても遅くはありません。
たとえば、毎週ほぼ同じ品目を同じ数量で頼み、閉店後にFAXで注文書を送ってくる飲食店の得意先があるとします。
この得意先は、翌朝に受注担当者から確認の電話が来るまで、注文が通ったかどうかが分かりません。
Webで注文した時点で内容が画面に残り、受け付けたことも確かめられるなら、得意先の側にも分かりやすい利点があります。
一方、季節ごとに品目が入れ替わり、毎回「今週は何がおすすめか」と相談しながら注文する得意先では、同じ説明は響きにくいはずです。
同じ切り替えでも、得意先によって伝わる利点が違うことが、分けて頼む理由です。
得意先の利点に結び付けた依頼の言い方
頼み方の基本は、「システムを使ってください」ではなく、得意先の手間がどう減るかから話すことです。
自社の受注入力が楽になるという理由は、得意先にとっては直接の利点ではありません。
ただし、聞き間違いや入力ミスが減ることは、誤った品物が届くのを防ぐという意味で、得意先の利点でもあります。
自社の事情を隠す必要はなく、双方に関わる部分を前に出すのが自然です。
最初に数えた4つの負担は、得意先の側では別の不便として現れています。
受注側の確認連絡は、得意先にとっては折り返しの電話を待つ時間です。
受注側の担当者依存は、いつもの担当者がいないと話が通じないという不便として、得意先にも見えています。
自社でどの負担が重かったかによって、得意先に伝えるべき利点も決まります。
なお、過去の注文履歴をいつでも見返せることや、価格・在庫を注文前に確かめられることを利点として挙げる場合は、導入する仕組みで実際に表示できる範囲に限って伝えます。
案内では、変わることと変わらないことを分けて伝えると、得意先の不安が小さくなります。
変わるのは注文の出し方で、変わらないのは取引条件や担当営業、困ったときに電話で相談できることです。
電話をすぐになくすわけではないと最初に伝えておけば、「電話が使えなくなるなら取引を考え直す」という反応を招きにくくなります。
そのうえで、いつから使えるか、最初の登録を誰が手伝うか、操作で困ったときの問い合わせ先を書き添えます。
書面だけで送るより、普段その得意先と話している営業や受注担当者が一言添えるほうが、頼みごととして受け止めてもらいやすいでしょう。

電話・FAX・Webの併存期間を設計し、電話を例外受付にする条件を決める
電話を例外受付にする運用
得意先を分けると、しばらくは電話・FAX・Webの注文が並んで届く期間が続きます。
この期間をなりゆきに任せると、受注担当者は三つの窓口を見張ることになり、かえって手間が増えかねません。
そこで、Webを標準の窓口とし、電話は受けるけれども例外として扱う、という位置付けを決めておきます。
例外受付とは電話を断ることではなく、電話で受けた注文も最終的にはWebと同じ受注データに載せる、という意味です。
電話で受けた注文の扱いは、大きく二通りが考えられます。
一つは、受注担当者がWebの受注画面に代わりに入力し、得意先の注文として登録する方法です。
もう一つは、注文は受けたうえで、次回からWebで注文できることを案内し、必要なら操作を一緒に確かめる方法です。
前者は得意先に手間をかけずに受注データを一本にでき、後者は少しずつ得意先の習慣を変えていけます。
代わりに入力できるかどうかは導入する仕組みによりますが、どちらの方法でも、電話分だけが別の帳票やメモで残る状態を避けることに意味があります。
電話分もWebと同じ受注データに入っていれば、得意先は電話で頼んだ注文も画面の履歴で確かめられます。
受注側も、誰が受けたかに関係なく同じ場所で注文を探せます。
担当者依存の負担が減るのは、この点です。
一方で、電話を聞き取って入力する段階の聞き間違いは残ります。
入力した内容を読み上げて確かめる、登録後の注文内容を得意先がメールや画面で見られるようにする、といった確認の手順は、電話を受け続ける限り必要です。
電話とWebで締め時間や受付の条件を変えるかどうかも、この段階で決めておきます。
たとえばWeb注文は夜間も受け付けるが、電話注文は営業時間内に限るといった違いは、得意先から見れば取引条件の変更に当たります。
条件を変えるなら、案内の時点で理由とあわせて伝え、担当営業にも同じ説明をしてもらうことで、窓口ごとに言うことが違うという混乱を防げます。
見直しの指標
電話をいつ例外扱いに寄せていくかは、期日ではなく指標で決めることを提案します。
得意先の事情は一様ではなく、一律の期限を切ると、移りにくい得意先にとっては突然の打ち切りに映るからです。
見る指標は、最初に始めた注文単位の記録の延長で足ります。
- Web注文の比率:全注文のうちWebで届いた割合を、得意先別と全体で見る
- 電話注文の件数:得意先別の推移と、時間帯の偏り
- 聞き間違い・変更の件数:電話分とWeb分に分けて数え、どちらで多いかを見る
- 対応者の偏り:電話を受けている担当者が特定の人に戻っていないか
これらを月ごとなど一定の間隔で見返し、Web注文の比率が伸び悩んでいる得意先には、操作の案内をやり直すか、移れない理由を改めて聞きます。
電話の件数が十分に下がった得意先が増えてきたら、電話受付の時間帯を絞る、電話を受ける担当を決めるといった次の段階へ進めます。
目標とする比率に業界の目安があるわけではないので、自社の実績から無理のない水準を決め、見直しのたびに調整します。
なお、段階的に移る進め方が一斉に切り替えるより優れていることを、比べて確かめた資料はありません。
得意先が少なく、全員から事前に了承を得られている場合などは、期日を決めて一度に切り替えるほうが、併存期間の二重管理を避けられます。
段階移行を勧めるのは、売り手の6割近くが支障を想定している状況1と、得意先ごとに事情が違うことを踏まえた判断であり、どの会社にも当てはまる正解ではありません。
▼ 図の内容を文字で読む
- 注文単位で記録する
- Web注文の比率や電話件数などの指標を見る
- 得意先ごとに手を打つ
- 電話分も同じ受注データに入れて運用する
切り替えに応じない得意先・操作に不慣れな得意先への対応の線引き
理由別の3分類
案内を重ねても電話を続ける得意先は残ります。
そうした得意先を「応じてくれない先」とひとくくりにせず、電話を残す理由ごとに分けて扱うことを提案します。
- 操作支援で移れる先:Webで注文する意思はあるが、登録や最初の操作でつまずいている
- 条件調整が要る先:相談しながらの注文、発注前の社内確認、現場での発注など、今の注文の出し方がWebの形に合っていない
- 当面電話のままの先:注文の頻度が低い、端末を使う環境がないなど、切り替えを求めても双方の手間に見合わない
操作支援で移れる先は、手間をかければ移れる見込みがあるため、支援を集中させる価値があります。
条件調整が要る先には、注文はWebで出し、相談は電話で受けるといった分け方や、発注者を事務所の担当者に寄せられるかといった、得意先側の段取りも含めた話し合いが必要です。
ここで無理に合わせてもらうと、得意先の社内に新しい手間を生むことになりかねません。
当面電話のままの先は、例外受付の運用に乗せ、電話分を同じ受注データに入れることで、受注側の担当者依存だけでも減らします。
電話を残す得意先にかかる手間は、見直しの指標で使った電話の件数と入力時間から把握できます。
その手間を、その得意先との取引の規模と並べてみると、どこまで支援を続けるかの線が引きやすくなります。
取引の大きい得意先なら、電話の手間を受注側で引き受け続ける判断も十分あり得ますし、小口で手間のかかる得意先には、条件の見直しを相談する余地があります。
電話を残すかどうかは得意先との関係を左右する判断なので、受注担当者だけで決めず、営業や経営層と基準を共有しておくことが大切です。
支援の分担
切り替えの支援は、初期登録の代行、操作の案内、問い合わせの窓口に分けて考えます。
どれを誰が担うかを決めておかないと、得意先からの質問が受注担当者と営業の両方に届き、どちらも答えないまま放置されることが起こり得ます。
初期登録の代行は、操作に不慣れな得意先の最初の壁を下げる手段です。
得意先の会社名や配送先など、自社が把握している情報をあらかじめ登録しておけば、得意先は最初の注文から迷わずに済みます。
よく頼む品目を事前に用意しておけるかどうかは、導入する仕組みによります。
ただし、ログインのためのパスワードを自社が決めて預かり続けると、誰が注文したのか分からなくなるおそれがあります。
パスワードの設定は得意先自身にしてもらうなど、代行する範囲に線を引いておくと安心です。
操作の案内は、最初の1〜2回の注文に立ち会うのが手厚い方法ですが、すべての得意先に訪問や電話で付き添うのは負担が大きくなります。
操作支援で移れる先に絞って手厚くし、ほかの得意先には簡単な手順書を渡す、といった濃淡を付けます。
問い合わせの窓口は、操作の質問は受注担当、取引条件や品目の相談は営業、というように内容で分けておくと、得意先にも伝えやすくなります。
| 分類 | 電話を残す主な理由 | 主な支援 | 見直しの目安 |
|---|---|---|---|
| 操作支援で移れる先 | 登録や最初の操作でつまずいている | 初期登録の代行と最初の注文への立ち会い | Web注文の比率が伸びているか |
| 条件調整が要る先 | 相談込みの注文・発注前の社内確認・現場での発注 | 注文と相談の分け方や発注者の段取りの話し合い | 電話が相談中心に移り注文の電話が減っているか |
| 当面電話のままの先 | 注文の頻度が低い・端末を使う環境がない | 例外受付で電話分を同じ受注データに入れる | 電話の件数と入力時間を取引の規模と比べる |
▼ 図の内容を文字で読む
- 操作支援で移れる先
- 理由:登録や最初の操作でつまずいている
- 支援:初期登録の代行と最初の注文への立ち会い
- 見直し:Web注文の比率が伸びているか
- 条件調整が要る先
- 理由:相談込みの注文・発注前の社内確認・現場での発注
- 支援:注文と相談の分け方や発注者の段取りの話し合い
- 見直し:注文の電話が減っているか
- 当面電話のままの先
- 理由:注文の頻度が低い・端末を使う環境がない
- 支援:例外受付で電話分を同じ受注データに入れる
- 見直し:電話の件数と入力時間を取引の規模と比べる
注文単位の記録から得意先をどう分けるか、電話で受けた注文を受注データへどう載せるかは、自社の受注の流れと使う仕組みによって答えが変わり、社内だけでは判断が付きにくい部分です。
現在の受注経路と得意先の傾向をもとに、どの得意先から案内を始めるか、電話分をどの画面で受け付ける運用にできるかを一緒に確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 切り替えの目的 | 注文単位で入力・確認連絡・変更対応・担当者依存を数え、重い負担から決める |
| 電話をやめるか | 一斉に止めず、電話を例外受付として残す。得意先が少なく全員の了承があれば一斉切替も選択肢 |
| 案内する順 | 注文の頻度、夜間・休日の注文、内容の定型度、端末の利用状況で切り替えやすい先から |
| 頼み方 | 得意先側で減る手間から伝え、変わらないことも明記する |
| 電話で受けた注文 | Webと同じ受注データに入れ、読み上げや登録内容の送付で確認する |
| 見直し | Web注文の比率、電話件数、聞き間違い・変更件数、対応者の偏りを定期的に見る |
| 電話を残す先 | 操作支援・条件調整・当面電話の3つに分け、手間を取引規模と比べる |

併存期間の指標や、電話を残す得意先への支援の範囲は、始めてから見える課題も多く、外から整理すると判断しやすくなります。 見直しの指標の取り方、得意先への案内の内容、初期登録の支援をどこまで担うかを、自社の体制に合わせて相談できます。
よくある質問
電話注文を例外受付にしたあと、電話で受けた注文はどう処理すればよいですか。
受注担当者がWebの受注画面に代わりに入力し、得意先の注文として同じ受注データに載せる形が基本です。
電話分だけを紙のメモや別の表で管理すると、履歴が二か所に分かれ、担当者依存が残ります。
入力した内容はその場で読み上げて確かめ、登録後の内容を得意先が画面やメールで確認できるようにしておくと、聞き間違いに気付く機会が増えます。
あわせて、次回からWebで注文できることを一言案内します。
代わりに入力できるかどうかは導入する仕組みによるため、導入前に確かめておきます。
得意先に切り替えを依頼する際の案内文には何を書くべきですか。
注文の出し方が変わること、取引条件・担当営業・電話での相談は変わらないこと、得意先側で減る手間、開始時期と電話の受付の扱い、初期登録の支援と問い合わせ先を書きます。
特に、電話をすぐになくすわけではないと最初に伝えると、取引の見直しを心配されにくくなります。
得意先に伝える利点は、自社の記録で重かった負担に合わせて選び、導入する仕組みで実際にできることに限ります。
書面だけで送らず、普段その得意先と話している担当者が一言添えると受け止めてもらいやすくなります。
Web受発注を使ってもらえない得意先の担当者への初期登録は、どこまで自社が代行しますか。
得意先が最初の注文をすぐに出せる状態までを目安にすると、効果と手間の釣り合いが取りやすくなります。
会社名や配送先など自社が把握している情報の登録は代行し、ログイン用のパスワードは得意先自身に設定してもらう、といった線引きが考えられます。
手厚い代行は、Webで注文する意思があるのに操作でつまずいている得意先に集中させ、ほかの得意先には手順書と問い合わせ先で対応すると、支援の負担を抑えられます。
電話受注の聞き間違いや変更対応は、どんな指標で数えればよいですか。
注文単位で、聞き間違いによる訂正の有無、受注後の変更の回数、変更が出荷手配の前か後かを記録します。
聞き間違いは、折り返しで品番や数量を直したものと、出荷後に得意先から指摘されたものに分けておくと、どの段階で起きているかが見えます。
電話分とWeb分を分けて数え、切り替えた得意先で訂正が減っているかを見ると、切り替えの効果を社内に説明する材料にもなります。
FAX注文とあわせて切り替える場合、電話とFAXのどちらから進めるべきですか。
どちらを先にすべきかを比べて示した資料はないため、自社の記録で負担の大きいほうから考えるのが現実的です。
FAXの注文書は品目と数量が書面に並んでいるため、同じ内容をWebの入力項目に置き換えやすい面があります。
電話は相談と注文が混じりやすく、注文だけを先にWebへ移し、相談は電話で受ける形を示す必要があります。
同じ得意先が電話とFAXを使い分けている場合は、窓口ごとではなく得意先ごとに両方まとめて案内すると、説明が一度で済みます。
- 1 出典:株式会社ハンモック(調査実施:IDEATECH「リサピー」)「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 2 出典:SBペイメントサービス株式会社「BtoB取引における決済・購買に関する調査」(2025年)
画像の出典元
- Two businessmen having a productive conversation in a modern office setting./Photo by Mikhail Nilov on Pexels
- Close-up of a businesswoman organizing files in a black box in an office setting./Photo by RDNE Stock project on Pexels