◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
目次

電話・FAX中心の受発注に感じる負担と、電子化でまず変わること
仕入先から届いたFAXの注文書を見ながら、数量と品番を自社の台帳に打ち直す。
読み違いがあれば電話で確認し、訂正が入ればまた打ち直す——この往復を減らしたくて、あるいは取引先から電子でのやり取りを打診されて、費用を調べ始めた方が多いはずです。
電子受発注システムの月額費用は、提供形態によって月額数千円台のクラウド型から、月額十数万円以上の本格的なBtoB ECプラットフォーム型まで幅があります。
金額を動かすのは、定額制か従量課金制かという料金体系、取引先数やアカウント数、月間の注文件数、そしてカスタマイズの規模です。
自社の店舗規模と、これから取引が増える見込みをどう見るかで、目を向ける価格帯が決まります。
費用の話に入る前に、いまの受発注のどこに手がかかっているかを分けておくと、見積書の読み方が変わります。
負担は大きく三つの場所に溜まりがちです。
一つは、注文が電話・FAX・メールとばらばらの経路で届き、受け取ったことの確認だけで時間が過ぎること。
二つ目は、届いた注文を自社の台帳や発注システムへ手で入力し直す工程。
三つ目は、数量違いや欠品の連絡が結局電話に戻り、どこまで確定したのかが担当者の記憶や手元のメモにしか残らないことです。
電子受発注システムで真っ先に変わるのは、二つ目の「もう一度入力する」工程です。
注文の内容がデータとして届けば、品番や数量を画面から画面へ転記する必要がなくなり、入力時点での読み違いは起きにくくなります。
一方で、欠品時にどの代替品を入れるか、納期を前倒しできるかといったやり取りは、システムを入れても人が判断して伝える部分として残ります。
「何の転記が減り、どの確認が残るのか」を先に切り分けておくと、月額に含まれる機能が自社の負担のどこに効くのかを見積もりの段階で確かめられます。
もう一つ押さえておきたいのは、取引先側もまだ紙と電話のままである可能性です。
中小商業・サービス業を対象にした調査では、『電子文書での商取引や受発注情報管理』の導入率は18.5%で、2割を下回っていました1。
これは2018年時点の中小商業・サービス業全体の数値で、小売業だけを取り出したものではなく、現在の水準をそのまま示すものでもありません。
ただ、自社が電子化しても相手が対応できるとは限らない、という前提で検討する必要があることは読み取れます。
取引先にどう使ってもらうか——アカウントを配るのか、FAXの受け取りも併用するのか——は、このあと見るアカウント数や取引先数による費用の変動に直結します。
だからこそ、機能の比較より先に費用の幅を把握しておくほうが、検討は進めやすくなります。
同じ「電子受発注システム」という呼び名でも、想定している取引規模と構築方式が違えば、月額は桁ごと変わるからです。
クラウド型・SaaS型・カスタムBtoB EC型の価格差
公開されている料金を並べると、価格帯はおおよそ三つに分かれます。
金額の差は機能の多い少ないだけで決まるのではなく、取引先が使う画面や商品データをどこまで自社の仕組みとして持つか、という構築方式の違いから生まれています。
比較的小さい帯から見ていきます。
受注管理システムの料金相場として、月額3,000円〜20,000円前後を目安とする解説があります3。
同じ記事では、自社サービスであるGoQSystemの月額を15,000円〜と示しています3。
ただしこれは受注管理システムを提供する事業者が自社ブログで示す目安であり、業界全体を対象にした公式の統計ではありません。
対象も、小売の店舗運営で使う受注管理という範囲で語られたものです。
次の帯は、業務システムとして提供されるSaaS型です。
受発注システムの選び方を解説する資料では、SaaS型は毎月の運用に20万円程度かかる想定として説明されています4。
こちらも運営事業者による目安で、対象業種や企業規模を限定した調査結果ではありません。
先ほどの数千円台との差は、利用者数や取引先数が増えた状態での運用を前提にしているかどうかによるところが大きく、同じ「月額」という言葉でも数えている単位が違います。
もっとも高い帯は、自社のBtoB ECサイトとして受発注基盤を構築する場合です。
BtoB EC受発注システムEC-RiderのB2B IIプランでは、モデルケース構成でベースエンジン利用が月額170,000円〜、ASP利用が月額260,000円と示されています5。
この月額は固定ではなく、サーバー構成・月間転送量・リクエスト数・ストレージ容量といった要件の変更に応じて変動します5。
提供対象は企業間EC・BtoB向けで、小売業向けと明記されたプランではありません。
三つの数字は、それぞれ別の提供元が、別の対象範囲と構築方式について示した金額です。
横に並べると「相場の上下」のように見えますが、同じ条件で比べた価格ではありません。
自社がどの帯に当てはまるかを判断するには、金額そのものより、月額を動かしている条件のほうを先に押さえる必要があります。
| 提供形態 | 月額費用の目安 | 金額が示された対象・条件 |
|---|---|---|
| クラウド型の受注管理システム | 月額3000円〜20000円前後 | 受注管理システムの料金相場としての目安(2025年) |
| 同上・提供元の自社プラン | 月額15000円〜 | GoQSystem自社プランの下限(2025年12月) |
| SaaS型の受発注システム | 月額20万円程度 | 毎月の運用にかかる想定額(2026年) |
| カスタムBtoB EC型 | 月額170000円〜(ベースエンジン利用) | EC-Rider B2B IIのモデルケース構成(2026年) |
| カスタムBtoB EC型 | 月額260000円(ASP利用) | EC-Rider B2B IIのモデルケース構成(2026年) |
出典:GoQSystem「受注管理システムの料金相場に関する解説記事」(2025年)、株式会社竹田印刷(TS-BASE)「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)、株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider料金プラン・費用ページ」(2026年)。いずれも提供元が示す目安・モデルケースであり、共通の基準で比較された相場ではない
月額費用を左右する条件——料金体系・取引先数・注文件数
定額制と従量課金制の違い
月額の内訳は、件数によらず一定額を払う定額制と、注文件数に応じて加算される従量課金制に大きく分かれます。
従量課金型では、受注1件ごとに5円〜35円程度が加算されると説明されています3。
この単価は幅があり、同じ件数でも単価次第で加算額は変わります。
仮に月200件の注文を扱うなら、1件5円なら加算分は1,000円、1件35円なら7,000円という計算になります。
基本料金が同じでも、単価の違いだけで月々の差が生まれるということです。
ここで見積もりのときに食い違いやすいのが、「1件」の数え方です。
一回の注文を1件と数えるのか、注文の中の明細行ごとに数えるのかで、同じ取引量でも加算額は変わります。
1回の発注で20品目をまとめて頼む仕入れなら、この違いは小さくありません。
単価だけを聞いて比べるのではなく、何を1件として数えるのかを揃えてから比較すると、金額の意味が同じになります。
料金体系は、同じサービスの中でも立場によって変わることがあります。
『BtoBプラットフォーム受発注』では、発注側にあたる飲食店・ホテル・給食施設はセットアップ費用と本部・店舗ごとの月額費用、受注側にあたる卸売業・メーカーは月次受領金額に応じた従量課金という体系が示されています2。
具体的な金額は非公開で問い合わせが必要とされており、小売業向けプランの明記もないため、金額の参考ではなく料金体系の型として読むのが妥当です。
小売業の担当者にとって重要なのは、自社が仕入先へ注文を出す発注側として使うのか、店舗や取引先からの注文を受ける側として使うのかで、当てはまる体系が変わりうるという点です。
どちらの立場で使うつもりなのかを先に決めておかないと、提示された料金表のどの行が自社の負担になるのかが読み取れません。
取引先数・アカウント数による変動
注文件数と並んで月額を動かすのが、システムを使う人と拠点の数です。
SaaS型の受発注システムについては、アカウント数に応じて月額料金が加算される従量課金制として説明されています4。
この仕組みでは、店舗が増える、パート社員にも入力を任せる、といった運用の広がりがそのまま月額の増加につながります。
先に挙げた発注側の体系で本部・店舗ごとに月額費用がかかるとされているのも2、同じ考え方です。
そのため、いま必要なアカウント数だけで比べると、導入後に金額が動きます。
本部の担当者だけで運用を始めても、店舗ごとに発注させる運用へ広げた時点でアカウントは店舗数だけ増えます。
逆に、複数の担当者が一つのアカウントを共有する運用にすれば月額は抑えられますが、誰がどの注文を出したのかが追いにくくなります。
費用を抑える設計と、後から取引内容をたどれる設計は、ここで一度ぶつかります。
どちらを取るかは、仕入先とのやり取りで「誰が発注したか」を確認する場面がどれだけあるかによって判断が分かれます。
取引先にアカウントを配る場合も、数え方の確認が要ります。
取引先側が使う画面の利用料を自社の月額に含めるのか、取引先の負担として数えるのかは提供元によって異なるため、見積もりの段階で内訳を分けて出してもらうと比較しやすくなります。
取引先が数社のうちは差が出にくく、十数社を超えたあたりから月額の構成比が変わってくる部分です。
初期費用や導入時の追加コストはどの程度か
提供形態別の初期費用の目安
初期費用も、月額と同じく提供形態で幅があります。
受注管理システムの解説記事では、GoQSystem自社プランの初期費用を30,000円〜と示しています3。
SaaS型の受発注システムについては、導入までに50万円程度かかる想定と説明されています4。
自社のBtoB ECとして構築する場合は、カスタマイズ開発費用がカスタマイズレベルに応じた見積もりとされ、金額は要件ごとに個別に算出されます5。
数万円台から数十万円台、さらに要件次第で個別見積もりへと、初期費用の性格そのものが帯によって変わっていきます。
独自開発を選んだ場合の規模感も押さえておくと、判断の幅が分かります。
同じ解説では、フルスクラッチは数千万円、ハーフスクラッチは数百万〜数千万円の初期費用規模になるとされています4。
ただしこれはサービス事業者によって異なるという留保つきの目安で、対象業種や企業規模は明記されていません。
既成のサービスを使うか作るかで初期費用が二桁近く変わりうる、という大きさの感覚として受け取るのが適切です。
見積書を比べるときに差が出やすいのは、初期費用に何が含まれているかです。
同じ「初期費用」という項目でも、アカウントの初期設定までなのか、既存データの移行や取引先への案内準備までを含むのかは提供元で異なります。
金額の大小だけを並べる前に、含まれる作業の範囲を揃えて見比べると、安く見えた見積もりが実は別途費用を前提にしていた、という取り違えを避けられます。
既存のPOSや在庫管理システムとの連携も、費用が動きやすいところです。
連携の要件によっては別途費用が生じる場合があり、金額は要件と提供元によって変わります。
この部分について業界共通の目安を示せる資料は本記事では扱っていないため、金額は提示できません。
代わりに、見積もり依頼の時点で「どのシステムと、どの項目を、どの頻度で連携するか」を書き出して渡すと、初期費用の内訳に連携分が含まれているかどうかが判別できます。
品番のマスタを片方向で同期するのか、在庫数を双方向でやり取りするのかで、作業量は別物になるためです。
| 提供形態 | 初期費用の目安 | 金額の性格 |
|---|---|---|
| クラウド型の受注管理システム | 初期費用30000円〜 | GoQSystem自社プランの下限(2025年12月) |
| SaaS型の受発注システム | 導入までに50万円程度 | 運営事業者が示す想定額(2026年) |
| カスタムBtoB EC型 | カスタマイズレベルに応じた個別見積もり | 要件ごとに算出(2026年) |
| ハーフスクラッチ開発 | 数百万〜数千万円 | 事業者により異なるとの留保つきの目安 |
| フルスクラッチ開発 | 数千万円 | 事業者により異なるとの留保つきの目安 |
月額と初期費用の幅、そしてそれを動かす条件がそろいました。
残るのは、自社の取引規模をどの帯に当てはめるかという判断です。
出典:GoQSystem「受注管理システムの料金相場に関する解説記事」(2025年)、株式会社竹田印刷(TS-BASE)「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)、株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider料金プラン・費用ページ」(2026年)
月額の目安は公開されていても、自社の注文件数・店舗数・取引先の対応状況を当てはめた金額までは、資料からは出せません。どの帯が自社に合うかは、いまの取引条件を並べて初めて判断できます。
現在の注文件数と取引先数、連携したい既存システムをお伝えいただければ、どの費用帯で検討するのが妥当か、BtoB EC受発注システムの構成例をもとに具体的な条件を一緒に確認できます。無料相談で要件を整理する
定額制と従量課金制、自社の注文件数に合うのはどちらか
自社の月間注文件数とアカウント数が、月ごとにどれだけ動くかという条件で並べています。
- 定額制は、月間の注文件数が増減しても支払額が変わらない。件数が跳ねる月でも予算が動かない代わりに、注文が少ない月も同じ額を払う
- 従量課金制は、受注1件ごとに5円〜35円程度が加算される形が示されている3。件数の少ない月は負担が軽くなり、件数が伸びるほど加算分が積み上がる
- 従量課金はアカウント数に対してかかる形もある4。この場合は注文件数ではなく、店舗数や入力する人数の増え方が月額を左右する
- 料金体系は立場によっても分かれる。発注側はセットアップ費用と本部・店舗ごとの月額、受注側は月次受領金額に応じた従量課金という体系の例がある2。自社がどちら側で使うかで当てはまる行が変わる
件数の振れ幅が小さく、今後も緩やかに増える見込みなら定額制のほうが年間の予算を組みやすく、季節で大きく上下するなら従量課金制のほうが閑散期の負担を抑えられます。ただし単価と「1件」の数え方が提供元で違うため、実際の注文件数を当てはめて計算してから比べる必要があります。
価格帯・構築方式で選ぶ電子受発注システムの選び方
| 費用帯・構築方式 | 検討が向く状況 | 費用の目安(提供元・時点) | 見積もりで確かめること |
|---|---|---|---|
| 汎用クラウド型(小規模店舗向け) | 取引先数が少なく、まず転記の手間を減らしたい段階 | 月額3000円〜20000円前後、従量なら受注1件5円〜35円程度(2025年) | 1件の数え方と、定額・従量のどちらを選べるか |
| SaaS型(複数店舗・中規模向け) | 店舗や利用者が増え、運用コストの増加を見込める段階 | 月額20万円程度、初期費用50万円程度(2026年) | アカウント数の増え方と、月額への反映のされ方 |
| カスタムBtoB ECプラットフォーム型 | 自社ECサイト構築を伴う受発注基盤を求める段階 | ベースエンジン利用は月額170000円〜、ASP利用は月額260000円(2026年) | サーバー構成などの変動要因と、カスタマイズの見積もり範囲 |
取引先が少ない段階で、まず転記を減らす
はじめに断っておくと、ここで並べる三つの価格帯は、対象範囲も規模の定義も異なる三社の公開資料を、取引規模の小さい順に本記事で並べ直した整理です。
各社が同じ基準で規模を区切っているわけではありません。
それでも並べる意味があるのは、自社がいまどの段階にいるかを言葉にすると、見るべき見積もりの範囲が一段絞れるからです。
もっとも軽い帯が想定しているのは、月間の受注件数がおよそ100〜200件程度という規模です3。
この区分は受注管理システムの料金解説で示されているもので、小売の店舗運営を想定した目安として読めます。
取引先が数社で、注文の経路も電話とFAXが中心という段階なら、まず狙うのは前半で見た二つ目の負担——届いた注文を打ち直す工程——を減らすことです。
この帯で判断が分かれるのは、料金体系の選び方です。
月200件前後の注文なら、従量課金の加算分は単価5円で1,000円、35円で7,000円という計算になり、基本料金に対して無視できる額ではありません。
繁忙期と閑散期で件数が倍近く動く商材を扱っているなら、従量制のほうが年間では収まることもあります。
逆に件数が安定しているなら、定額制のほうが翌年度の予算を組みやすくなります。
もう一つ、この段階で先に確かめておきたいのが、取引先に何を求めるかです。
取引先が専用画面から注文を入れてくれるなら転記はほぼ消えますが、相手が従来どおりFAXを送ってくる場合、自社側での入力は残ります。
電子文書での商取引や受発注情報管理の導入が中小商業・サービス業全体で18.5%にとどまっていた調査結果1を踏まえると、全取引先が一斉に切り替わる前提では考えにくいところです。
最初は主要な数社から始め、残りは従来の経路と併用する——その運用で費用に見合うかを、件数で見積もっておくと判断がぶれません。
店舗と利用者が増え、運用費が積み上がる段階
次の段階として示されているのは、月商100万円以上で複数モールを展開する店舗という区分です3。
小売の実店舗運営に置き換えれば、本部と複数店舗で発注を分担している、あるいは仕入先が十数社に増えて締め時間の管理が煩雑になってきた、といった状況が近くなります。
この段階で費用の性格が変わるのは、月額を押し上げる要因が注文件数からアカウント数へ移るためです。
SaaS型の受発注システムは、アカウント数に応じて月額料金が加算される従量課金制として説明されています4。
つまり、店舗を一つ増やす、発注担当を一人増やすという運用の判断が、そのまま翌月の請求額に出ます。
毎月の運用に20万円程度という想定額4も、特定のアカウント数を前提にした金額ではなく、運営事業者が示す一つの目安です。
自社の見積もりを取るときは、現在の必要数ではなく、一年後に想定される店舗数と担当者数を入れて出してもらうほうが、判断の材料になります。
この帯で悩ましいのは、費用が上がった分だけ何が変わるのかが見えにくいことです。
小規模帯との違いは、複数拠点の注文を一か所でまとめて見られること、誰がどの注文を出したかが記録として残ることにあります。
店舗が個別に電話とFAXで発注している状態では、本部が今月の仕入れ状況を知るには各店舗に聞くしかありません。
その確認作業がどれだけ発生しているかを数えてみると、月額の差を自社の言葉で評価できます。
逆に、店舗数が少なく本部が発注を一括して行っているなら、この帯へ上がる理由は薄くなります。
自社のBtoB ECとして受発注基盤を持つ場合
もっとも重い帯は、自社ECサイトの構築を伴う本格的な受発注基盤です。
BtoB EC受発注システムEC-RiderのB2B IIプランでは、モデルケース構成でベースエンジン利用が月額170,000円〜、ASP利用が月額260,000円と示されています5。
この帯を検討する状況は、これまでの二つとは性質が違います。
手作業を減らすためというより、取引先が自社の画面から商品を探して注文する形そのものを事業の仕組みとして持ちたい、という段階です。
月額が固定ではない点も、前の二つの帯との違いです。
サーバー構成・月間転送量・リクエスト数・ストレージ容量といった要件の変更に応じて月額は変動し、カスタマイズ開発費用はカスタマイズレベルに応じた個別見積もりとなります5。
取引先が増えてアクセスが伸びれば、注文件数とは別の経路で費用が動くということです。
提供対象は企業間EC・BtoB向けで、小売業向けと明記されたプランではないため、自社の取引形態に当てはまるかは要件を並べて確認する必要があります。
この帯へ進むかどうかの分かれ目は、取引先の数と、注文のやり取りに自社固有の条件がどれだけあるかです。
掛率が取引先ごとに違う、店舗ごとに発注できる商品が決まっている、納品先が本部と店舗で分かれる——こうした条件を運用でカバーしきれなくなったとき、既成のサービスの設定範囲を超えて個別の作り込みが必要になります。
逆に、条件が単純で取引先も限られているなら、上の帯の機能は使われないまま月額だけが発生します。
金額を比べる前に、自社の取引条件のうち何が標準機能で収まり、何が収まらないのかを書き出しておくと、個別見積もりの内容も読めるようになります。
要点の整理
| 判断の軸 | 確かめる基準 |
|---|---|
| 月額の幅 | 月額数千円台のクラウド型から月額十数万円以上のカスタム型まで。提供形態と対象範囲がそろっているかを見る |
| 料金体系 | 定額制か従量課金制か。従量なら単価と「1件」の数え方(注文単位か明細行か)を揃えて比較する |
| アカウント数 | 店舗数・利用者数の増え方が月額に反映される体系かどうか。現在ではなく一年後の想定数で見積もる |
| 初期費用 | 数万円台から数十万円台、カスタマイズは個別見積もり。含まれる作業の範囲を揃えて比べる |
| 連携費用 | POSや在庫管理と連携する項目・頻度を書き出し、初期費用に含まれるか別途かを分けて出してもらう |
| 立場の確認 | 仕入先へ発注する側として使うか、注文を受ける側として使うか。料金表のどの行が自社の負担かが変わる |
取引先ごとの掛率や発注できる商品の範囲といった自社固有の条件は、標準機能で収まるかどうかで見積もりが大きく変わります。この切り分けは、条件を実際に照らし合わせないと判断できない部分です。 自社の取引条件のうち、どこまでが標準の設定で運用でき、どこからカスタマイズの検討になるのか。月額が変動する要因も含めて、要件に沿った費用の考え方をご説明します。
よくある質問
電子受発注システムの月額費用は、注文件数が少ない月でも定額でかかりますか
料金体系によります。
件数によらず一定額の定額制であれば、注文が少ない月も同じ額がかかります。
従量課金制の場合は、受注1件ごとに5円〜35円程度が加算される形が示されており3、件数が少なければ加算分は小さくなります。
ただし従量制でも基本料金が別にかかる構成は珍しくないため、基本料金と加算分の内訳を分けて確認してください。
また、加算の対象が注文1回なのか明細行なのかで金額が変わるので、単価と一緒に数え方も揃えて比べる必要があります。
複数店舗を運営している場合、月額費用は店舗数やアカウント数に応じて加算されますか
加算される体系があります。
SaaS型の受発注システムについては、アカウント数に応じて月額料金が加算される従量課金制として説明されています4。
また、発注側が本部・店舗ごとに月額費用を負担する料金体系の例も公開されています2。
後者は飲食店・ホテル・給食施設を発注側とするサービスの体系で、小売業向けプランの明記はないため、料金の組み立て方の例として見てください。
いずれにしても、現在の店舗数ではなく、一年後に想定される店舗数と利用者数で見積もりを取っておくと、後から金額が動きにくくなります。
初期費用を抑えて始められる電子受発注システムはありますか
提供形態によって初期費用の水準は異なり、受注管理システムでは初期費用30,000円〜という例が公開されています3。
一方、SaaS型の受発注システムでは導入までに50万円程度という想定が示されています4。
初期費用の比較で注意したいのは、含まれる作業の範囲です。
初期設定までなのか、既存データの移行や取引先への案内準備まで含むのかは提供元で異なります。
既存のPOSや在庫管理システムとの連携が必要な場合、要件によって別途費用が生じることもあるため、連携する項目と頻度を先に書き出して見積もりを依頼すると比較しやすくなります。
自社ECサイト構築を伴うBtoB ECプラットフォームへの切り替えが必要になるのは、どのような場合ですか
取引先ごとの掛率や、発注できる商品の範囲、納品先の分かれ方といった自社固有の条件が増え、既成サービスの設定範囲で運用しきれなくなったときが一つの目安です。
この帯では、モデルケース構成でベースエンジン利用が月額170,000円〜、ASP利用が月額260,000円という金額が公開されています5。
月額はサーバー構成・月間転送量・リクエスト数・ストレージ容量などの要件で変動し、カスタマイズ開発費用は個別見積もりになります5。
取引条件が単純で取引先も限られている段階では、機能が使われないまま月額だけが発生することになるため、切り替えの必要性は条件の複雑さから判断してください。
公開されている月額の目安を、そのまま自社の予算として使ってよいですか
目安として参考にはできますが、そのまま当てはめるのは避けたほうが安全です。
本記事で扱った金額は、受注管理システム・受発注システム全般・BtoB EC構築という、対象範囲の異なる提供元が公開しているものです。
業界共通の相場として調査された数値ではなく、想定している取引規模も各社で異なります。
自社の月間注文件数、必要なアカウント数、連携したいシステムを具体的に並べたうえで見積もりを取り、そこで出た金額と公開されている目安を照らし合わせる、という順序で使うのが実際的です。
- 1 出典:中小企業庁「中小商業・サービス業のIT利活用に関する紹介記事(日本政策金融公庫総合研究所レポート引用)」(2018年)
- 2 出典:インフォマート株式会社「BtoBプラットフォーム受発注 料金ページ」(2026年)
- 3 出典:GoQSystem「受注管理システムの料金相場に関する解説記事」(2025年)
- 4 出典:株式会社竹田印刷(TS-BASE)「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)
- 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年)