◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 決裁者が承認で最も重く見ていたのは明確な費用対効果で、金額と効果を隣り合わせに書くと判断しやすくなる
- 差し戻し理由は案件の種類で異なり、IT・SaaSではリスク、設備投資では費用対効果の説明を厚くする
- 回付先や合議、金額の区分に一般的な基準はなく、自社の規程と過去の承認例、総務・経理で確かめる
- 根回しは、費用対効果の前提とリスクの懸念を正式な回付の前に見つける作業として進める
- 注文書や契約書は確定申告書の提出期限の翌日から原則7年保存し、稟議書の扱いは経理に確認する
目次

稟議が差し戻される場面と、決裁者が見ているもの
見積書を受け取り、注文書を出す前に稟議を起案したものの差し戻された。
あるいは初めて起案を任され、何を書いて誰に回せばよいか分からない。
こうした場面は珍しくありません。
BtoB商材の導入稟議に関わった人への調査では、57.2%が差し戻しを経験していました1。
決裁者が承認で最も重く見ていたのは明確な費用対効果です1。
判断材料を決裁者が見る順に並べ、回付先は自社の規程で確かめ、費用対効果とリスクの擦り合わせは起案前に済ませておきます。
承認後の注文書や契約書は、法人税法上、原則7年保存です5。
差し戻しを経験する人の割合
稟議は、起案した担当者が、決裁者に可否を判断してもらうための材料をまとめて渡す書類だと考えると、差し戻しの意味が見えやすくなります。
差し戻しは「この材料では判断できない」という返事でもあるからです。
文章の巧拙を責められたと受け取るより、決裁者の手元にどの材料が足りなかったのかを考えるほうが、次の修正につながります。
冒頭で触れた差し戻し経験の割合は、ネオマーケティングが2026年に行った調査によるものです。
直近1年にBtoB商材の導入稟議へ、承認・提案・情報収集のいずれかの立場で関わった国内のBtoB企業の勤務者に聞いています1。
起案者だけでなく承認する側も回答者に含まれるため、稟議を戻された人と戻した側にいた人の経験が混ざっている可能性があります。
また、対象はツールやサービス、設備といった商材を導入する稟議です。
規程の変更や人事に関わる稟議では、決裁者が見る観点がそもそも違うため、この数字をそのまま当てはめることはできません。
それでも、新しい支出や契約の承認を求める稟議であれば、差し戻しは回答者の半数を超える人が経験している身近な出来事だと受け止めてよいでしょう。
決裁者が承認で重視する点
同じ調査で、稟議承認のポイントとして最も多く挙がったのは「明確な費用対効果」で、43.7%でした1。
続いて社内での優先度、経営課題との一致が挙がっています2。
なお商材別に見ると、コンサルティングだけは市場の成長性が1位でした2。
この並びは、決裁者が稟議書を読むときに抱く問いに置き換えると分かりやすくなります。
払う金額に見合う効果があるか、ほかの案件より先にやる理由があるか、会社として取り組んでいる課題とつながっているか、という三つの問いです。
起案者は自分の案件の良さを説明したくなりますが、決裁者は複数の案件や限られた予算と比べたうえで可否を決めます。
案件の中身の説明が丁寧でも、比べるための材料が無ければ判断は止まります。
費用対効果が最も多いとはいえ、半数に届く数字ではありません。
残りの決裁者は優先度や経営課題との関係を重く見ている可能性があり、費用対効果だけを厚く書けば通るわけではない点に注意が必要です。
稟議書に書く項目と、決裁者の判断順に並べる書き方
目的・内容・金額・効果・リスク・代替案の並べ方
ここからは、仮に営業部の担当者が、受発注の管理に使うクラウドサービスの導入を起案する場面で考えます。
担当者は販売元から見積書を受け取っており、承認が下りれば注文書を出して契約に進む予定です。
決裁者は部長、金額によってはその上の役員という想定です。
稟議書の様式は会社ごとに決まっている場合があり、欄の名前も順番もさまざまです。
ただ、様式の枠の中でどう書くかには工夫の余地があります。
前の節で見た決裁者の問いに沿って並べると、次のような順が一つの考え方になります。
- 依頼事項:何を、いくらで、いつから承認してほしいか
- 目的と背景:解決したい課題と、社内の優先度・経営課題との関係
- 内容:導入するもの、取引先、契約期間、支払条件
- 金額と効果:初期費用と継続費用、それに対して何が減り何が増えるか
- リスクと対策:起きうる問題と、その手当て
- 代替案:ほかの選択肢と、実施しない場合に続くこと
- 添付資料:本文の主張を裏付ける資料の一覧
先頭に依頼事項を置くのは、決裁者が最初に知りたいのが「自分は何を判断するのか」だからです。
背景から書き始めると、決裁者は最後まで読まないと承認の対象が分からず、途中の説明をどう評価してよいかも決まりません。
目的と背景の欄には、営業部の困り事だけでなく、会社として優先している課題とのつながりを一文で添えておくと、社内優先度や経営課題との一致という観点にも答えられます。
金額と効果は、隣り合わせに書くのが要点です。
金額の欄と効果の欄が離れていると、決裁者は自分で両者を結び付けて費用対効果を計算し直すことになります。
先の例なら、月々の利用料と初期費用に対して、注文の転記や確認にかかっている作業がどれだけ減る見込みか、その見込みを何から計算したかまで並べておきます。
そうすれば決裁者は、前提が妥当かどうかだけを確かめればよくなります。
リスクと代替案は、書くと案件が弱く見えるのではないかと省きたくなる項目です。
しかし決裁者の側から見ると、書かれていないリスクは検討されていないリスクに映ります。
代替案も同じで、他社の見積もりと比べた結果や、今回は見送った場合にいまの手作業が続くことが書かれていれば、なぜこの案なのかを決裁者が自分で確かめられます。
案件別に厚くする項目
どの項目を厚く書くかは、案件の種類で変わります。
同じ調査の解説では、差し戻しを経験した人に理由を聞いた結果が商材別に示されており、最も多い理由は商材ごとに異なっていました2。
| 案件の種類 | 差し戻し理由で最も多かったもの | 厚く書く項目の例 |
|---|---|---|
| IT・システム・SaaS | リスクへの懸念 | 情報の保管場所、障害時の対応、解約時のデータの扱い |
| 研修・教育 | リスクへの懸念 | 受講中の業務への影響、成果が出なかった場合の扱い |
| 設備投資 | 費用対効果が不明 | 投資額に対して減る費用・増える生産の試算と前提 |
| 業務改善ツール | 導入効果が不明 | 現状の作業の手間と、導入後に減る作業の範囲 |
| 広告・マーケティング | 予算不足 | 予算の出どころ、今期予算との関係、段階的な実施案 |
表の右端の列は、差し戻し理由から逆算した編集上の提案です。
たとえばIT・SaaSで最も多い理由がリスク懸念だったことは、効果の説明が十分でも、情報の扱いや障害時の対応が見えないと判断が止まりやすいことを示唆しています。
先の受発注管理のクラウドサービスであれば、取引先や注文の情報をどこに保管するのか、サービスが止まったときに注文の受け付けをどう続けるのかを、リスクと対策の欄に具体的に書くことになります。
一方、同じサービスを業務改善ツールとして捉えると、最も多い理由は導入効果が不明であることでした2。
同じ案件でも、決裁者がそれをシステムの導入と見るか、業務改善と見るかで、気にする点が変わる可能性があります。
どちらに見られそうか分からないときは、リスクと効果の両方を、欄を分けて書いておくほうが安全です。
ただし、商材別の回答者は十数人から数十人規模と少なく、この傾向が自社の決裁者に当てはまるとは限りません2。
過去に自社で差し戻された稟議の指摘内容が分かれば、そちらのほうが厚くすべき項目の手掛かりとしては確かです。
▼ 図の内容を文字で読む
- 費用に見合う効果があるか
- 金額と効果を隣り合わせに書く
- 効果の試算の前提を添える
- ほかの案件より先にやる理由があるか
- 目的と背景
- 代替案と実施しない場合
- 会社の課題とつながっているか
- 目的と背景に経営課題との関係を添える
- 起きうる問題は検討されているか
- リスクと対策
出典:株式会社ネオマーケティング「BtoB企業の社内稟議・承認プロセス実態調査2026」(直近1年にBtoB商材導入の稟議に関与した国内BtoB企業勤務者が対象)の承認ポイントをもとに編集上整理
回付先・合議・添付資料は案件と金額でどう変わるか
承認に関わる人数と時間の課題
回付は、稟議書を決められた順に関係者へ回し、確認や承認を受けることです。
合議(あいぎ)は、決裁者のほかに、関係する部署が内容を確認して同意や意見を付けることを指します。
先の例なら、部長の承認に加えて、情報システム部門や法務、経理が確認する会社もあるでしょう。
誰が回付先に入り、どの部署の合議が要るか、金額によってどこまで上の決裁者に上がるかは、会社ごとの規程で決まります。
一般的な金額の線引きがあるわけではないため、他社の例を自社に当てはめることはできません。
起案者が稟議の課題として感じているのは、回付先の多さとそこにかかる時間です。
弁護士ドットコムが2024年に電子契約サービスの利用者を対象に行った調査では、稟議の課題として「承認完了までに関わる人が多すぎる」が41.0%、「稟議書作成前の相談や根回しに時間がかかる」が35.9%でした3。
エイトレッドが2022年に、規模の大きい企業で稟議を繰り返し起案している人へ行った調査でも、悩みがある人の悩みは承認に時間がかかること、進捗が把握しづらいことが上位で、誰に申請すればよいか迷うという回答は少数でした4。
どちらの調査も、電子契約やワークフローのサービスを提供する事業者によるもので、回答者の顔ぶれには偏りがあります。
それでも二つを並べると、起案者の悩みの中心は「誰に出すか」より、「出したあとに関わる人が多く、どこで止まっているか分からない」ことにあると読めます。
回付先が規程で決まる以上、起案者が人数を減らすことはできません。
起案者に工夫できるのは、関わる人それぞれが何を確認するのかを先に知り、その人が見る箇所を稟議書の中で探しやすくしておくことです。
添付資料の考え方
添付資料は、多ければ丁寧というものではありません。
回付先が多い稟議ほど、一人ひとりが目を通す量が増えます。
考え方としては、本文に書いた主張ごとに、それを裏付ける資料を一つずつ対応させるのが分かりやすい方法です。
- 金額の根拠:販売元の見積書、比較した他社の見積書
- 効果の根拠:現状の作業量を集計した表と、効果の試算
- リスクの根拠:利用規約や契約書の案、情報の取り扱いを説明した資料
- 代替案の根拠:比較した選択肢を並べた表
合議先によって見る資料も変わります。
経理なら金額と支払条件、法務なら契約書の案、情報システム部門なら情報の扱いといったように、合議先が確認しそうな資料には、本文のどこに対応するかを書き添えておくと、探す手間が減ります。
どの資料の添付が必須かは規程や様式で決まっている場合があるので、回付先と一緒に確かめておくと二度手間になりません。
▼ 図の内容を文字で読む
- 起案(稟議書と添付資料をそろえる)
- 回付・合議(上長、関係部署、決裁者が順に確認する)
- 差し戻し(判断材料の不足を指摘される)
- 修正(指摘を反映し、金額や区分の変化を確かめる)
自社の決裁権限と承認ルートを確かめる手順
規程を確認する
回付先と合議の要否には一般的な決まりがなく、自社の規程が答えになります。
会社によって呼び方は違いますが、決裁規程や職務権限規程といった名前で、誰がどの範囲の案件を決裁できるかを定めた文書があるかを最初に探します。
社内ポータルや規程集にまとまっていることもあれば、総務部門が管理していることもあります。
規程を開いたら、自分の案件について次の点を拾い出します。
- 案件の区分:物品の購入、サービスの契約、設備投資など、どれに当たるか
- 金額の区分:初期費用だけで判定するのか、契約期間の総額で判定するのか
- 決裁者:その区分と金額で、最終的に決裁するのは誰か
- 合議先:経理・法務・情報システムなど、確認が必要な部署
- 添付の決まり:見積書の数など、必須とされている資料
迷いやすいのは金額の区分です。
先のクラウドサービスのように月額で払う契約では、月額で見るか、契約期間の総額で見るかで決裁者が変わる可能性があります。
規程の文面だけで判断がつかないときは、過去の例や担当部署で確かめます。
過去の承認例と担当部署で確かめる
規程は枠を定めた文書なので、実際の運用は過去の稟議を見たほうが早く分かることがあります。
同じ部署や近い部署が、似た種類・似た金額の案件をどのルートで回したかを探せば、回付先や合議先、添付された資料の実例が手に入ります。
ワークフローシステムで稟議を回している会社なら、過去の申請を検索できる場合もあります。
規程と過去の例が食い違っていたり、どちらも見つからなかったりしたときは、規程を管理する総務部門や、予算と支払いを扱う経理部門に尋ねます。
規程そのものが無い会社では、直属の上長に、誰の承認が必要かをまず確認するのが現実的です。
尋ねるときは、案件の中身と金額、契約期間を添えて「この案件はどの区分で、誰の決裁になるか」と聞くと、相手も答えやすくなります。
申請先に迷う人が少数だったという先の調査結果から考えると、この確認は大がかりな作業ではなく、起案の前に短く済ませる下準備と位置づけられます4。
ただ、ここを飛ばして書き始めると、合議先に必要な資料が足りずに途中で止まる、決裁者を取り違えて回付をやり直す、といった遅れにつながります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 規程で案件区分・金額区分・決裁者を確かめる
- 規程が無い場合は直属の上長に確認
- 過去の同種の承認例で回付先と添付資料を確かめる
- 規程と食い違う、または見つからない場合は総務・経理に確認
- 回付先・合議先・添付資料を確定する
- 稟議書を起案して回付する
根回しと事前修正で差し戻しを防ぐ
起案前に擦り合わせる内容
根回しは、稟議を正式に回す前に、決裁者や合議先へ案件の概要を伝え、意見を聞いておくことです。
先に見たとおり、根回しに時間がかかることは稟議の課題の上位に挙がっていました3。
手間がかかるのは確かですが、正式に回したあとで差し戻されれば、修正して回付の一巡をやり直すことになります。
ネオマーケティングの2026年の調査では、過去1年に稟議が通らず導入を断念した経験がある人も57.8%いました1。
修正を重ねても通らない案件があることを考えると、根回しの目的は承認を取り付けることより、通らない理由を正式な回付の前に見つけることにあると考えたほうが実務に合います。
擦り合わせる内容は、決裁者が重く見る費用対効果とリスクを中心に絞ると、時間をかけすぎずに済みます。
- 費用対効果の前提:効果の試算に使った数字や仮定に、決裁者が違和感を持たないか
- リスクの懸念:決裁者や合議先が気にしている点は何か、それに答える対策を用意できるか
- 予算の所在:今期の予算に入っているか、どの予算から出すのか
- 優先度:同じ時期に動いているほかの案件との関係
事前修正は、ここで出た指摘を正式な稟議書に反映させることです。
たとえば部長に概要を伝えたときに「サービスが止まったら注文の受け付けはどうなるのか」と聞かれたなら、その答えをリスクと対策の欄に書き込んでから回付します。
決裁者は自分が気にした点が稟議書で解消されているかを確かめればよくなり、合議先も同じ問いを繰り返さずに済みます。
こうした擦り合わせで承認が約束されるわけではありませんが、差し戻しの理由になりそうな点を起案前に一つずつ減らしていくことはできます。
承認までの所要日数の目安
回付にかかる日数も、起案の段取りに関わります。
弁護士ドットコムの2024年の調査では、稟議の承認までに1日以上かかるという回答が73.5%で、最も多かったのは2〜3日の52.5%でした3。
ただし、1日以上という割合がどの回答者を母数にしたものかは記事に明示されておらず、電子契約サービスの利用者に偏った調査でもあります。
エイトレッドの2022年の調査でも、申請から承認までは数日以内の区分が最も多い回答でしたが、対象も時点も区分の切り方も違うため、二つの数字を足し合わせたり比べたりはできません4。
目安として言えるのは、承認は即日では終わらないことが多く、回付先が多い案件や差し戻しが入った案件ではさらに延びる、ということです。
先の例で注文書を出したい日や、見積書の有効期限が決まっているなら、そこから逆算して起案日を決めます。
回付にかかる日数に加え、差し戻しが入った場合の修正と再回付の日数も見込んでおくと、期限に追われて判断材料の薄い稟議を出す事態を避けやすくなります。

承認後の記録の保存と実行への移り方
決裁から注文書の発行へ
決裁が下りたら、承認された内容のとおりに実行へ移ります。
先の例なら、販売元へ注文書を出し、契約を結び、利用を始める流れです。
このとき、承認された稟議書と、実際に出す注文書や結ぶ契約の内容が一致しているかを照らし合わせておきます。
見積もりの取り直しで金額が変わった、契約期間が延びたといった違いが出たときは、承認された範囲を超えていないかを確かめ、超える場合の扱いを規程や上長に確認します。
照合しやすくする工夫として、稟議の番号や件名を注文書の控えや契約の管理台帳に書き添えておく方法があります。
あとから経理や監査の担当者が「この支払いは誰が承認したのか」と確かめるとき、稟議書と取引書類を行き来できるからです。
稟議書は承認の判断を、注文書や契約書は取引そのものを記録したもので、両方がつながっていれば、支出の経緯を後から説明できます。
取引書類の保存期間
注文書や契約書などには、法人税法上の保存義務があります。
国税庁の案内では、法人は帳簿と、取引に関して受け取ったり作成したりした注文書、契約書、送り状、領収書、見積書などの書類を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存するとされています5。
青色申告書を提出した事業年度に欠損金が生じた場合などは、保存期間がさらに長くなります5。
起点が書類を受け取った日や出した日ではなく、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日である点に注意が必要です。
注文書を出した日から数えると、保存期間の終わりを実際より早く見積もってしまいます。
先の例で受け取った見積書、出した注文書の控え、結んだ契約書は、この取引書類として扱われます。
稟議書の扱いは経理に確認する
一方で、稟議書そのものの扱いは分けて考える必要があります。
国税庁の案内で保存対象の例として挙がっているのは注文書や契約書などの取引書類で、稟議書が同じ扱いになるかは、この案内からは読み取れません5。
取引書類と同じ期間残すのか、別の期間を定めるのかは、各社の文書管理の判断になります。

そのため、稟議書の保存期間と保存方法は、自社の経理部門や文書管理規程で確認するのが確実です。
電子のワークフローで回した稟議と紙で回した稟議とで保存のしかたが違う場合もあるため、確認するときは自社の稟議がどの形式で残っているかも伝えておくと話が早く進みます。
| 観点 | 注文書・契約書などの取引書類 | 稟議書 |
|---|---|---|
| 国税庁の案内での扱い | 保存対象の例として挙がっている | 案内からは扱いが読み取れない |
| 保存期間 | 確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間 | 自社の経理部門・文書管理規程で確認 |
| 記録している内容 | 取引そのもの | 発注に至った承認の判断 |
自社の案件で費用対効果とリスクのどちらを厚く書くべきかは、規程や過去の指摘と照らすまで判断しにくい部分です。
相談では、下書きの稟議書と案件の内容から、費用対効果・リスク・代替案のどこが薄いかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 並べ方 | 依頼事項を先頭に置き、金額と効果は隣り合わせに書く |
| 厚くする項目 | IT・SaaSや研修はリスクと対策、設備投資や業務改善は効果の根拠 |
| 回付先・合議 | 一般的な基準はなく、自社の規程と過去の承認例、総務・経理で確かめる |
| 根回し | 費用対効果の前提、リスク、予算、優先度を正式な回付の前に擦り合わせる |
| 日数 | 承認は1日以上かかる前提で、注文書を出したい日から逆算する |
| 保存 | 注文書・契約書など取引書類は原則7年、稟議書は経理に確認する |

承認後の注文書・契約書と稟議書のつなぎ方は、経理と現場の間で決めておかないと、後から探す手間が残ります。 相談では、稟議から発注、書類の保存までの流れのどこで転記や照合が発生しているかを確かめられます。
よくある質問
差し戻された稟議書は、修正して同じルートで出し直してよいのか
指摘を受けた箇所を直して再び回付するのが基本の流れですが、扱いは会社の規程や運用によります。
注意したいのは、修正で金額や契約内容が変わり、規程上の金額区分や案件区分が変わる場合です。
区分が変われば決裁者や合議先も変わる可能性があるため、修正後の内容で規程を見直し、差し戻した人に修正点を伝えてから出し直すと、同じ指摘での再度の差し戻しを避けやすくなります。
費用対効果を数字で示せない案件はどう書くか
金額に換算できない効果でも、判断材料にはできます。
現状の作業にかかっている手間や、起きている問題の件数など、いま測れるものを示し、導入後に何がどう変わる見込みかを書きます。
そのうえで、効果をどの指標で、いつ確かめるかを書き添えておくと、決裁者は見込みが外れたときの見直しまで含めて判断できます。
測り方と見直しの時期を示すことは、導入効果が不明という差し戻し理由への答えにもなります。
電子稟議と紙の稟議で、書く内容に違いはあるか
決裁者が判断に使う材料は形式が違っても変わらないため、書く内容の考え方は同じです。
違いが出るのは回付と記録のしかたです。
エイトレッドの2022年の調査では、ワークフローシステムで申請する人と、Word・Excelで作った書類を印刷して回す人がともに多く、形式は会社によって分かれていました4。
保存の方法は形式によって変わる可能性があるため、経理や文書管理の担当部署に確認します。
決裁規程が見つからない場合は誰に聞くか
規程を管理している総務部門か、予算と支払いを扱う経理部門に尋ねます。
規程そのものが無い会社では、直属の上長に誰の承認が必要かを確認します。
案件の中身、金額、契約期間を添えて聞くと、どの区分で誰の決裁になるかを答えてもらいやすくなります。
承認後の稟議書は何年保存するのか
注文書や契約書、見積書などの取引書類は、法人税法上、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間の保存が必要です5。
欠損金が生じた事業年度などでは、さらに長くなります5。
稟議書そのものの扱いは国税庁の案内からは読み取れないため、自社の経理部門や文書管理規程で確認します。
- 1 出典:株式会社ネオマーケティング「BtoB企業の社内稟議・承認プロセス実態調査2026」(2026年)
- 2 出典:株式会社ネオマーケティング「同調査 解説コラム(商材別の差し戻し理由・承認ポイント)」(2026年)
- 3 出典:弁護士ドットコム株式会社(プロフェッショナルテック総研)「社内稟議の実態調査」(2024年)
- 4 出典:株式会社エイトレッド(ワークフロー総研)「「稟議書」に関する実態調査」(2022年)
- 5 出典:国税庁「タックスアンサー No.5930 帳簿書類等の保存期間」(現行制度)
画像の出典元
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