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棚番の付け方|探す時間を削るルール設計の進め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 棚番はゾーン・列・連・段・間口の五階層で組み、階層ごとに2桁を確保した10桁の番号にすると増設に耐えます。
  • 物流効率化法は2025年4月1日に施行され、2026年4月1日からは判断基準を超える事業者に中長期計画の作成が求められます。
  • 固定ロケーションとフリーロケーションは併用が現実的で、出荷エリアは固定、保管エリアはフリーという分け方が扱いやすくなります。
  • 改善の可否は着手前の基準値で決まり、摘み取り時間・探索の発生率・歩行距離・誤出荷件数の四項目を10営業日ぶん記録します。

Vintage analog clock hanging on a historic building facade,
▽ 写真の出典元

棚番の付け方が探す時間を左右する理由

棚番の付け方とは、保管場所を一意に指し示す記号を設計し、現場と在庫データの双方で同じ表記を使えるようにする取り組みです。付け方が曖昧なままでは、データ上は在庫があるのに現物が見つからない状態が生まれ、探索と確認の作業が積み上がります。ゾーンから間口までを同じ桁数で表す体系を決めておけば、初めて棚に立つ担当者でも目的地までの経路を読み取れます。最初に着手すべきは、番号の桁数と区切り記号を社内で一つに揃える作業です。

棚番の番号体系は、広い範囲から狭い範囲へと絞り込む五つの階層で組み立てます。ゾーンは出荷口からの遠近で保管区画を分け、上位の桁に割り当てます。列は通路に沿った棚の並びで、進行方向へ番号が増える形で数えます。連は列の中の棚一本ずつを指し、同じ向きで連続して数えます。段は棚の高さ方向を下から順に数えます。間口は一つの段を区切った最小の保管単位で、ここに番号を与えると保管場所が一意に決まります。
棚番の番号体系における上位から下位への階層の並び

探す時間は、記憶に頼った保管から生まれます。棚に番号が無い、あるいは番号はあっても呼び名が人によって違う場合、担当者は自分の記憶をたどって歩き回るほかありません。担当者が休んだ日に出荷が滞り、応援に入った人が同じ棚を二度見る、といった事態が起こるのはこのためです。探索は付加価値を生まない移動であり、出荷量が増えるほど総時間が膨らんでいきます。

負担は時間だけにとどまりません。探した末に見つからず、隣の商品を出荷してしまえば、返品と再出荷の費用が発生します。誤出荷は取引先の検品工程にも手戻りを生み、次回以降の受注条件に影響することもあるでしょう。さらに、探す時間の長さは棚卸の精度にも跳ね返り、帳簿と現物の差異を膨らませます。

制度の側でも、荷主と物流事業者に効率化を求める動きが進んでいます。物流効率化法(荷主と物流事業者に物流の効率化への取り組みを求める法律)は2025年4月1日に施行され、効率化への取り組みが努力義務として課されました1。2026年4月1日からは、判断基準を超える規模の事業者が特定事業者に指定され、中長期計画の作成と物流統括管理者の選任が求められます1。指定の判断基準は、荷主であれば年間の取扱貨物重量9万トン以上、倉庫業者であれば年間70万トン以上です1。物流統括管理者は、物流に関する業務を統括管理する者として、経営に関与する立場から選任することが求められます1。

この動きは、倉庫内の作業とも無関係ではありません。荷待ちや荷役の時間を短くするには、庫内で現物にたどり着くまでの時間を削る必要があります。棚番の設計は、トラックの待機時間を短くする取り組みの土台に位置づけられます。制度への対応を社外への説明だけで終わらせず、庫内の番号設計から見直す価値があるのはこのためです。

言葉の整理も、設計に入る前に済ませておきたい作業です。棚番は棚の位置を指す番号、ロケーション(保管場所を指し示す位置情報)は保管場所そのものを指す語として使われ、現場では混用されがちです。物流用語を体系的にまとめた日本産業規格は2006年に改正された版が用いられており、用語の拠りどころになります2。この規格には、保管や荷役、包装といった領域の用語が体系的に収められています2。社内の呼び名を規格の用語に寄せておけば、委託先や新任者との会話で解釈のずれが減ります。

棚番の設計は、一度決めれば終わりという性質のものではありません。商品の入れ替えや棚の増設が起きれば、番号は揺さぶられます。だからこそ、設計の段階で改番の手順まで決めておく必要があります。ここから先は、前提の把握から番号体系、運用と計測、システム連携までを順にたどります。

Antique pocket watch suspended in air over a softly blurred river and falling leaves.
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棚番を決めるまでに踏む手順の優先順5点(順位根拠:着手順序の依存関係)

  1. 保管物の量と出荷頻度を集計し、品目ごとの直近3か月の出荷行数から動きの多い品目を切り分けます。
  2. 通路とレイアウトを歩いて記録し、入荷口から保管棚を経て出荷口へ至る動線を把握します。
  3. ゾーン・列・連・段・間口の五階層を定め、階層ごとに2桁を確保して10桁の番号体系にします。
  4. 固定ロケーションとフリーロケーションの適用範囲を、品目の入れ替え頻度と出荷頻度で分けます。
  5. ラベルとバーコードを掲示し、改番の手順を文書に残して引き継ぎと新任者の教育に組み込みます。

棚番を設計する前に整える現場の前提

Elegant vintage pocket watch resting on a rustic railroad tr
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棚番を設計する前に必要なのは、現物と動線の実態を数字で押さえることです。保管物の量と出荷頻度、通路とレイアウト、呼び名と表示のばらつきという三つを、順に確かめます。何がどれだけ置かれ、どの品目が1日に何回出ていくかを知らなければ、番号の粒度は決められません。実態を見ないまま机上で桁数を決めると、運用開始後に番号が足りなくなります。この三つを揃えてから番号体系に入ると、設計のやり直しを避けられます。

最初に数えるのは、保管している品目数と、それぞれの出荷頻度です。品目ごとに直近3か月の出荷行数を集計すると、よく動く品目と眠っている品目がはっきり分かれます。出荷行数が上位に集中する品目群は、出荷口に近いゾーンへ寄せる候補になります。この集計は在庫システムの出荷明細から取り出せるため、現場を止めずに準備できます。

量の把握では、間口あたりに何が入るかも確かめます。段ボール1箱で収まる品目と、パレット単位で動く品目では、必要な保管の単位が違います。単位が違うものを同じ番号の粒度で扱うと、番号が細かすぎたり粗すぎたりする箇所が出てきます。1間口あたりの寸法と、そこへ収まる入り数を品目ごとに書き出しておくと、必要な間口数を概算できます。保管単位ごとに区分を分けておくと、後の桁数設計が素直に進みます。

次に見るのは、通路とレイアウトから読み取れる動線です。入荷口から保管棚、保管棚から出荷口へと、現物が動く道筋を実際に歩いて記録します。折り返しが多い経路や、すれ違いで台車が止まる箇所は、番号の振り方で緩和できる場合があります。番号を通路の進行方向に沿って増える形にすると、担当者は数字が増える向きへ歩くだけで目的地に着きます。

動線の記録では、棚の向きも押さえておきます。両面から取れる棚か、片側からしか取れない棚かで、列の数え方が変わるためです。片側からしか取れない棚に両面前提の番号を振ると、現場は番号を読み替えながら作業することになります。読み替えが発生する時点で、番号の設計は目的を果たしていません。

三つ目は、いま使われている呼び名と表示のばらつきの洗い出しです。「奥の棚」「上の段」といった通称、伝票に手書きされた略号、古いラベルの残りを、一覧にして突き合わせます。同じ場所を指す言い方が三つも四つも出てくるようであれば、口頭伝達に依存した運用が続いてきた証拠になります。洗い出しの一覧は、新旧対応表の下地としてそのまま使えます。

前提を整える作業には、現場の担当者を巻き込みます。番号を決める側と使う側が分かれていると、運用開始後に「使いにくい」という声が後から出てきます。棚の前で15分だけ立ち会ってもらい、探しにくい箇所を指してもらう程度でも、設計の精度は上がるでしょう。この段階の対話が、後の定着を左右します。

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迷わない棚番の付け方と番号体系の組み立て

A monochrome street scene featuring bare tree branches and a
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棚番の番号体系は、ゾーン・列・連・段・間口という五つの階層で組み立てると迷いが減ります。上位の桁ほど広い範囲を、下位の桁ほど狭い範囲を表す並びにすれば、番号を左から読むだけで目的地が絞り込まれていきます。桁数は階層ごとに固定し、区切り記号は社内で一種類に統一します。将来の増設に備えて欠番を残しておけば、棚が増えても体系を組み直さずに済みます。この設計は、現場の紙のラベルと在庫システムの項目の両方で同じ形が使えることを前提にします。

五つの階層は、広い範囲から狭い範囲へと順に絞り込む並びです。ゾーンは出荷口からの遠近で保管区画を分け、上位の桁に割り当てます。列は通路に沿った棚の並びで、進行方向へ番号が増える形で数えます。連は列の中の棚一本ずつを指し、同じ向きで連続して数えます。階層の名前は現場の呼び名と合わせ、規格の用語から離れすぎないようにします。

段と間口は、棚の内側を表します。段は棚の高さ方向を下から順に数え、腰から目線までの作業しやすい高さを把握しておきます。間口は一つの段を区切った最小の保管単位で、ここに番号を与えると保管場所が一意に決まります。品目がパレット単位で動く区画では、間口を設けず連までで止める判断もあります。

桁数は、現在の棚数ではなく将来の棚数から決めます。列が9本しかないからと1桁にすると、10本目を増設した時点で番号がずれます。階層ごとに2桁を確保し、五階層で10桁とする形は、扱いが素直で伝票にも収まります。2桁あれば1階層あたり99まで表せるため、列や連の増設にも当面は耐えられます。区切り記号はハイフンなら社内すべてハイフンに統一し、端末の入力欄でも同じ形を受け付けるようにします。

区切り記号を混在させると、検索が当たらなくなります。ハイフンと空白が混ざった台帳では、同じ場所が別の場所として扱われます。表計算の並べ替えでも、桁数が揃っていない番号は意図した順序になりません。表記の統一は見た目の問題ではなく、データとして扱えるかどうかの分かれ目です。

余白の持たせ方は、体系の寿命を決めます。連番を1から詰めて振ると、棚を1本足すだけで以降の番号を振り直すことになります。列や連の番号を2つ飛ばしで振っておけば、間に新しい棚が入っても前後の番号は動きません。ゾーンについても、いま使っていない区画の記号を確保しておくと、保管エリアの拡張に対応できます。

余白を取りすぎると、今度は番号が読みにくくなります。使われていない番号が並ぶと、担当者は歯抜けの理由を毎回確認することになるためです。棚の増設計画が見えている範囲で余白を決め、計画の無い区画は詰めて振るという線引きが現実的でしょう。余白の考え方は、後述する改番の手順の文書にも書き残しておきます。

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固定ロケーションとフリーロケーションの選び分け

固定ロケーションとフリーロケーションは、どちらかを選ぶというより、在庫の性質で使い分ける対象です。固定ロケーションは品目ごとに保管場所を決める方式で、出荷頻度が高く定番の品目に向きます。フリーロケーションは空いている間口に随時格納する方式で、品目の入れ替えが多い在庫に向きます。判断の観点は、向く在庫、保管効率、探索のしやすさ、棚卸の手順、システムの前提の五つです。倉庫全体をどちらか一方に統一する必要はありません。

固定ロケーションが向くのは、出荷頻度が高く定番の品目です。場所が動かないため担当者が位置を覚えやすく、探索のしやすさという点で有利になります。棚の順に歩けば数えられるので、棚卸の手順も紙の帳票で回せます。半面、品目が欠品しているあいだも間口は空いたままとなり、保管効率は下がります。欠品している間口が常時どれくらいあるかを数え、割合が高い区画は方式の見直し対象とします。

固定の方式は、システムの前提が軽い点も見逃せません。品目と棚番の対応表さえあれば、読み取り端末が無くても運用を始められます。小規模な倉庫や、品目数の増減が緩やかな在庫では、この手軽さが利点になるでしょう。ただし品目が増え続ける場合、対応表の維持そのものが負担になっていきます。

フリーロケーションが向くのは、品目の入れ替えが多い在庫です。空いた間口を詰めて使えるため、保管効率は固定の方式より高くなります。季節商品や取り扱いを始めたばかりの商材のように、扱う期間が読みにくい品目とも相性が良いといえます。反面、どこに何があるかは端末の表示に依存し、システムの前提は重くなります。

フリーの方式では、格納時の記録が運用の生命線になります。間口へ置いた時点で読み取りと登録を済ませなければ、在庫データと現物がすぐにずれます。記録が遅れた在庫は端末上で見つからず、結局は探し回ることになります。読み取り端末の運用が定着するまでは、対象品目を絞って始める方法もあります。導入の可否は、格納の都度データを更新できる体制があるかどうかで判断します。

実務では、併用が現実的な解になる場面が出てきます。奥の保管エリアはフリーロケーションで詰めて置き、出荷口に近い出荷エリアは固定ロケーションで品目を決めておく形です。出荷エリアには出荷頻度の高い品目だけを並べ、切れたら保管エリアから補充します。この分け方なら、保管効率と探索のしやすさを両立させやすくなります。

併用を選ぶ場合、番号体系は共通にします。エリアごとに桁数や区切り記号を変えると、データを突き合わせるたびに変換が必要になります。方式が違っても番号の形は同じ、という原則を先に決めておくのが安全です。方式の違いは、棚番そのものではなく品目マスタ側の区分で表します。

観点 固定ロケーション フリーロケーション
向く在庫 出荷頻度が高く定番の品目 品目の入れ替えが多い在庫
保管効率 欠品中も間口が空き下がる 空いた間口を詰めて使え高い
探索のしやすさ 場所が動かず位置を覚えやすい 端末の表示に依存する
棚卸の手順 棚の順に歩き紙の帳票で回せる 格納時の読み取りと登録が前提
システムの前提 品目と棚番の対応表があれば足りる 格納の都度の更新が要り重い

棚番ルールを現場に定着させる表示と運用

番号を決めただけでは現場は変わりません。定着には、表示の整備、手順の文書化、教育の組み込みという三段階が要ります。表示の整備ではラベルの作成とバーコードの併記を進め、目と機械の両方が同じ番号を読める状態を作ります。手順の文書化では改番の手順と棚移設の記録を定め、番号が動いたときの扱いを決めておきます。教育の組み込みでは引き継ぎ資料と新任者の同行を用意し、担当が替わっても運用が続く形にします。

ラベルは、離れた位置から読める大きさで作ります。通路を歩きながら列の番号を確認できるよう、列の表示は棚の端の高い位置に、間口の表示は手の届く高さに置きます。読み取る距離のおよそ200分の1が文字の高さの目安とされ、5メートル離れて読むなら25ミリ程度が必要になります。上位の階層ほど大きく、下位の階層ほど小さくという原則で文字の大きさを決めると、視線の移動が減ります。色を使う場合はゾーンの区別に限り、意味を増やしすぎないようにします。

バーコードの併記は、入力の誤りを減らします。手入力では桁の読み違いが起こり、10桁の番号ではその危険が高まります。読み取りに切り替えれば、格納と摘み取りの記録が同じ精度で残ります。ラベルの材質は、冷蔵の区画や屋外に面した区画では剥がれにくいものを選びます。

改番の手順は、起きてから考えるのでは間に合いません。誰が改番を決裁し、いつラベルを貼り替え、在庫データをどの順で更新するかを、あらかじめ書き出しておきます。棚移設の記録には、旧番号と新番号の対応、切り替えの日、対象となった品目を残します。対応の記録が無いまま番号だけ変わると、過去の出荷履歴が追えなくなります。

切り替えの当日は、作業を止める時間帯を決めておきます。出荷の合間に少しずつ貼り替えると、旧番号と新番号が混在する時間が長引きます。混在している間に出荷が入れば、誤出荷の危険が跳ね上がります。半日でも作業を止めて一気に切り替えるほうが、結果として損失は小さく収まるでしょう。

引き継ぎ資料は、番号体系の設計意図まで書き残します。どの階層が何を表し、なぜ余白を取ったのかが分かれば、次の担当者は同じ考え方で棚を増やせます。新任者の同行では、実際に棚の前で番号を読み上げてもらい、迷った箇所を記録します。迷いが集中する箇所は、表示か番号のどちらかに改善の余地があるという合図です。

文書は、置き場所を決めて更新の担当を置きます。誰も更新しない手順書は、半年で現場の実態と食い違います。棚のレイアウトを変えたら文書も直す、という順序を作業手順に組み込んでおくと、記述の鮮度が保たれます。定着とは、番号を覚えることではなく、番号を直し続ける習慣が残ることを指します。

探す時間が減ったかを確かめる測り方

改善したかどうかは、着手前の記録が無ければ判断できません。棚番を変える前に、探索にかかった時間と歩行の距離、誤出荷の件数を記録し、基準値として残します。計測は全品目を対象にせず、出荷頻度の高い品目群と、探しにくいと申告のあった区画に絞ります。同じ条件で同じ期間だけ測り、前後を並べれば、社内の投資判断に使える数字になります。数字を持たない改善は、担当者の実感だけで語られ、次の予算につながりません。

基準値の記録は、特別な機器が無くても始められます。ピッキングの伝票に開始時刻と終了時刻を書き添え、10営業日ぶんを集めれば、1件あたりの所要時間が出ます。同じ帳票に「探した」「見つからなかった」の欄を作れば、探索の発生率も拾えます。記録する期間は、月末や特売のような偏りを避け、通常の出荷が続く週を選びます。

記録の担当は、作業者本人に固定しないほうがよいでしょう。自分の作業時間を自分で書くと、遅い日ほど記録が抜けます。第三者が立ち会う日を数日設けるか、端末の操作ログから時刻を拾う方法が取れます。取り方を先に決めておけば、改善後も同じ取り方で比べられます。

計測する項目は、四つに絞ると回しやすくなります。1件あたりの摘み取り時間、探索が発生した件数の割合、歩行の距離、誤出荷の件数です。歩行の距離は歩数計でも代用でき、レイアウト図に経路を書き込む方法でも傾向はつかめます。項目を増やしすぎると記録自体が負担になり、続かなくなります。

項目ごとに、誰のための数字かを決めておきます。摘み取り時間と探索の発生率は現場の改善に、誤出荷の件数と歩行の距離は経営への説明に効きます。説明の場では、削減できた時間を人件費に置き換えて示すと判断が進みます。置き換えに使う単価は自社の実績値を用い、外部の平均値を借りないようにします。

見直しは、周期を決めて回します。棚番の配置は取り扱い品目の変化に遅れて古びるため、四半期ごとに出荷頻度を集計し直す形が扱いやすいでしょう。集計の結果、出荷口から遠い区画に動きの多い品目が溜まっていれば、配置換えの検討に入ります。配置換えの対象は、出荷行数の上位2割の品目に絞ると効果が出やすくなります。配置換えは一度に全体を動かさず、区画を区切って進めます。

改善の効果は、物流コスト全体の中で位置づけて説明します。物流コストの調査では、輸送や保管を含む費目ごとの内訳が公表されており、自社の数字と並べる材料になります3。売上高に占める物流コストの比率は近年5%前後で推移しており、費目の内訳では輸送費が半分を超えます3。庫内の探索時間は費目の一部にすぎませんが、削減の可否を自社で決められる領域です。外部の要因に左右されにくい分、着手の順序としては前に置く価値があります。

棚番情報を受発注・在庫システムへつなぐ進め方

棚番は、紙のラベルで終わらせずデータとして持たせると効果が広がります。進め方は、棚番マスタの整備、在庫データとの紐づけ、出荷指示への反映、コード設計の標準化の四段です。棚番マスタの整備で番号の一覧を台帳にし、在庫データとの紐づけで品目と保管場所を結びます。出荷指示への反映では明細を摘み取り順に並べ替え、コード設計の標準化では情報標準の項目に合わせます。ここまで進むと、探す時間の削減は個人の慣れではなく仕組みの成果になります。

紐づけの単位は、品目と間口の組み合わせで持ちます。同じ品目が複数の間口に分かれる場合に備え、一つの品目に複数の棚番を持てる形にしておきます。入庫のたびに棚番を書き換える方式にすると、履歴が消えて追跡ができなくなります。追加と終了の日付を持たせ、いつどこに置いたかを残す設計が扱いやすいでしょう。

棚番マスタの整備では、実在しない番号を排除します。余白として空けた番号を有効な番号として登録すると、格納先の候補に現れて混乱します。棚の状態を「使用中」「空き」「廃止」で持ち、廃止した番号は履歴として残します。台帳は表計算から始めてもよく、更新の担当と更新の頻度を決めることが先です。

出荷指示への反映では、摘み取りの順序を番号で決めます。受注データを取り込んだら、明細を棚番の昇順に並べ替え、通路を往復しない順で指示書を出します。複数の受注をまとめて摘み取る場合も、並べ替えの基準は棚番に統一します。順序が番号で決まると、担当者ごとの歩き方の差が縮まります。

コード設計の標準化は、社外との接続を見据えた作業です。物流情報標準ガイドラインは2025年にver3.00へ改訂され、企業間でやり取りするデータ項目の並びが示されています4。ガイドラインでは、出荷や納品、受領といった業務ごとにデータ項目が整理されています4。自社の棚番は社内の位置を指す番号ですが、出荷先や納品場所を指すコードは社外と共通の体系に合わせる必要があります。事業所を識別する国際的なコードは13桁で、事業者コード9桁、ロケーションコード3桁、チェックデジット(誤入力を検出する検査用の数字)1桁で構成されます*5

この連携を内製で進めるには、必要な知識が広く分かれます。番号体系の設計、在庫システムの項目設計、読み取り端末の運用設計、受注データの取り込み仕様、企業間の情報標準の理解が同時に要ります。デジタル化の取り組みでは人材の確保が課題として挙げられており、社内だけで役割を揃えるのは容易ではありません*6。設計を担う人と現場を回す人が同一だと、日々の出荷が優先されて設計が止まります。

外部の支援を使う判断は、リスクの大きさで決めます。番号体系を作り直すと、在庫データ、出荷指示、取引先へ渡す納品書の三つに同時に影響します。切り替えに失敗すれば出荷が止まり、取引先の検品にも遅れが及びます。設計の経験がある相手と組めば、余白の取り方や改番の段取りを先に固められ、止まる時間を短くできます。

進め方としては、小さく始めて広げる順序が現実的です。一つのゾーンで番号体系と表示を試し、計測した結果を見てから全体へ展開します。一つのゾーンで3か月ほど運用し、計測した数字が改善していれば次のゾーンへ広げる、という刻み方が扱いやすいでしょう。最初から倉庫全体を切り替えると、混乱が起きたときの戻し先がありません。

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よくある質問

棚番のラベルはどのくらいの周期で貼り替えるべきですか

貼り替えの周期は、期間ではなく状態で決めます。文字がかすれて通路から読めない、角が剥がれているといった状態を点検の基準にし、四半期ごとの棚卸に合わせて確認する形が回しやすいでしょう。冷蔵の区画や屋外に面した区画は劣化が早いため、点検の対象を分けて記録します。改番したときは、旧ラベルを撤去してから新しいラベルを貼ります。

棚番を変更したら過去の出荷履歴はどう扱えばよいですか

過去の履歴は書き換えず、旧番号のまま残します。棚番マスタに旧番号と新番号の対応表を持たせ、切り替えの日を記録しておけば、過去のデータも新しい番号へ読み替えられます。履歴を一括更新すると、更新前に出力した帳票との突き合わせができなくなります。対応表には、廃止した番号も残す形にします。

小規模な倉庫でもバーコードの併記は必要ですか

品目数が少なくても、10桁の番号を手入力する場面があるなら併記の価値があります。手入力は桁の読み違いが起こり、誤った棚番が在庫データに残ると探索が発生するためです。読み取り機を導入する余裕が無い段階でも、番号の下に読み取り用の表示を印刷しておけば、後から機器を足せます。まず表示だけ先に整える進め方が取れます。

棚番の設計と在庫システムの導入はどちらを先に進めるべきですか

棚番の設計を先に進めます。番号体系が決まっていない状態でシステムを導入すると、既存の呼び名をそのまま登録することになり、後から桁数の変更が必要になるためです。桁数と区切り記号、階層の意味を先に固めてから、その形をそのまま項目定義へ持ち込むほうが手戻りは少なくなります。並行して進める場合も、番号体系の確定を先行させます。

取引先へ渡す書類にも棚番を記載すべきですか

社内の棚番は記載しません。棚番は自社の保管位置を指す番号であり、社外では意味を持たないためです。納品場所や事業所を社外と共有する場合は、事業者コード9桁とロケーションコード3桁、チェックデジット1桁からなる13桁の国際的な識別コードを用います*5。社内用と社外用のコードは、目的が違うものとして分けて管理します。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. *1 出典:国土交通省・経済産業省・農林水産省「「物流効率化法」理解促進ポータルサイト 荷主(第一種・第二種)の判断基準等」(2025) 経路
  2. *2 出典:一般財団法人日本規格協会「JIS Z 0111:2006 物流用語」(2006) 経路
  3. *3 出典:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会「2024年度物流コスト調査報告書(概要版)の公表」(2025) 経路
  4. *4 出典:国土交通省「報道発表資料「物流情報標準ガイドライン」をver3.00に改訂しました」(2025) 経路
  5. *5 出典:GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)「GLN(企業・事業所識別コード)「GLNの設定」」(2026) 経路
  6. *6 出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」(2025) 経路

画像の出典元

  1. Vintage analog clock hanging on a historic building facade,/Photo by Oktay Köseoğlu on Pexels
  2. Elegant vintage pocket watch resting on a rustic railroad tr/Photo by Таня Панченко on Pexels
  3. A monochrome street scene featuring bare tree branches and a/Photo by Mak_ jp on Pexels
  4. Antique pocket watch suspended in air over a softly blurred river and falling leaves./Photo by Kutlay Uyar on Pexels
  5. Elegant vintage pocket watch resting on a rustic railroad track./Photo by Таня Панченко on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

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