◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 請求処理を取引の記録・締め・請求書の作成と送付・入金確認と消込に分けると、漏れや金額違いがどの工程で入り込んだかをたどれる
- 取引先ごとの違いは一枚の条件表に集め、インボイスの記載事項のような固定項目と、締め日や様式など取引先ごとに変わる項目を分ける
- 請求の締め日と売上の計上基準は別のルールで、締め後の取引は翌月の請求へ回し、計上基準は継続適用を保って顧問税理士に確認する
- 端数処理は方法を取引先ごとに変えられても、単位は請求書ごと・税率ごとに1回で共通にする
- 管理方法を見直すかどうかは、条件表のどの列に違いが集まり、どこに手作業が積み上がっているかで判断する
目次

締め日も様式もばらばらな請求処理は、どの工程で漏れや間違いが起きやすいか
A社は月末締め、B社は20日締め、C社は自社指定の様式で提出しなければならない。
取引先が増えるほど月末月初の請求作業は膨らみ、送り漏れや金額違いが気になってきます。
見直せるのは、作業の分け方と、取引先ごとの違いの持ち方です。
請求処理を、取引の記録、締め、請求書の作成と送付、入金確認と消込に分けます。
そのうえで、締め日・様式・支払サイト・端数処理などの違いを一枚の条件表へ集めます。
インボイスの記載事項のように取引先によって変わらない部分と、取引先に合わせる部分が分かれるため、手順をそろえやすくなります。
管理方法を変えるかどうかも、この表に表れる違いの大きさで判断できます。
請求処理の4工程
取引先ごとに条件が違う請求処理を、月末にまとめて「請求書を作る作業」として抱えると、どこで何を確かめたのかが分かりにくくなります。
そこで、毎月の流れを次の4つの工程に分けて考えます。
この分け方は法令で決まったものではなく、確認する場所を見えるようにするための整理です。
<ol><li>取引の記録:納品・出荷・作業完了などの事実を、日付と金額が分かる形で残す</li><li>締め:取引先ごとの締め日で区切り、その期間の取引を請求対象として確定する</li><li>請求書の作成と送付:取引先が指定する様式・提出方法で請求書を作って送り、控えを残す</li><li>入金確認と消込:入金を請求と突き合わせ、請求残高から消していく</li></ol>
4つに分けておくと、ミスが見つかったときに、どの工程で入り込んだのかをたどれます。
たとえば請求額が取引先の認識と合わないとき、原因は記録の段階で納品の数量を誤ったことかもしれませんし、締めの段階で翌月分を含めてしまったことかもしれません。
作成の段階で端数の扱いを取り違えた可能性もあり、どれが原因かで直す場所が変わります。
工程がひとかたまりのままだと、請求書を作り直すだけで原因が残り、翌月も同じずれが起きかねません。
取引先ごとの違いが入り込む工程
取引先ごとの違いは、4つの工程に均等に散らばっているわけではありません。
締め日の違いは「締め」に入り込みます。
様式や提出方法の違いは「作成と送付」に、支払サイトや振込手数料の扱いの違いは「入金確認と消込」に入り込みます。
支払サイトとは締め日から支払日までの期間のことで、「月末締め翌月末払い」のように表されます。
A社が月末締め、B社が20日締めという場面で考えてみます。
B社の分は20日で区切るはずでした。
ところが月末にA社と一緒にまとめて締めると、21日以降の取引が今月分に紛れ込みます。
逆にB社の締めを先に済ませたあとで20日以前の納品記録が遅れて届くと、その分が請求から漏れます。
どちらも請求書の作り方の問題ではありません。
締めの工程で、取引先ごとの区切りを持っていないことから起きるずれです。
C社のように独自様式を求める取引先では、作成と送付の工程で手作業の転記が増えます。
社内の請求データから数字を写し直す段階で、金額や品目を取り違えることがあります。
提出先のシステムや宛先を誤ることもあります。
入金確認の工程では、取引先ごとに支払日が違います。
そのため、入金がないのが遅延なのか、まだ支払日が来ていないだけなのかを見分ける手掛かりが必要になります。
こう並べると、漏れや金額違いは、請求書を作るその場だけでなく、前後の工程でも生まれることが分かります。
取引先ごとの違いを担当者の記憶に頼らず、工程ごとに参照できる形にしておく必要があります。
それを担うのが、次の条件表です。
| 工程 | 入り込む違い | 起きやすいずれ |
|---|---|---|
| 取引の記録 | 現場や営業から記録が届く時期 | 記録の遅れによる請求漏れ |
| 締め | 締め日(月末・20日・25日など) | 締め期間の取り違えや二重請求 |
| 請求書の作成と送付 | 様式・提出方法・端数処理の方法 | 転記時の金額違いや送付先の誤り |
| 入金確認と消込 | 支払サイト・振込手数料の負担 | 入金予定の見誤りや差額の放置 |
取引先別の違いを一枚の条件表にまとめる
条件表の項目
条件表は、取引先を行に、請求に関わる条件を列にした一覧です。
表計算で作っても、会計ソフトや請求書ソフトの取引先情報に持たせても構いません。
大事なのは、作業のたびに「この取引先はどうだったか」を思い出さずに済むことです。
表を見れば、工程ごとに何をすればよいかが分かる状態にしておきます。
列に入れる項目は、4工程に沿って考えると漏れにくくなります。
<ul><li>締め:締め日、請求の基準日(出荷日・納品日・検収日のどれで区切るか)、締め後に届いた取引の扱い</li><li>請求書の作成:様式(自社様式か取引先指定か)、宛名の表記、税率区分の書き方、端数処理の方法</li><li>送付:提出方法(郵送・メール・取引先のシステムなど)、提出期限、送付先の担当者、控えの保存場所</li><li>入金確認:支払サイト、振込手数料をどちらが負担するか</li><li>共通:取り決めの根拠(契約書・メールなど)の保管場所、最終更新日</li></ul>
最後の「取り決めの根拠」と「最終更新日」は見落とされがちです。
ただ、担当者が交代したときや、取引先から条件変更の連絡があったときに効いてきます。
なぜその端数処理になっているのか、いつから支払サイトが変わったのかを表から追えます。
そうすれば、前任者に聞かなくても判断できます。
固定項目と取引先ごとに変わる項目
項目を並べたら、取引先によって変わらない固定項目と、取引先ごとに変わる項目に分けます。
この区別が、手順をどこまでそろえられるかを決めます。
固定項目の代表は、インボイス(適格請求書)の記載事項です。
適格請求書には、買手の名称、売手の名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した対価の額と消費税額などを記載し、書類の名称は問われません1。
つまり、取引先が指定する様式で出す場合も、自社様式で出す場合も、満たすべき記載事項は同じです。
小売業・飲食業・タクシー業などが交付できる簡易な請求書は一部の記載を省略できます1。
ただ、取引先ごとに請求書を発行する企業間の請求では、まず通常の記載事項を基準に考えます。
一方、締め日、請求の基準日、様式、提出方法、支払サイト、端数処理の方法は、取引先ごとに変わり得る項目です。
端数処理は、切上げや切捨てといった方法は取引先に合わせられます。
ただし処理する単位には制度上のルールがあるとされており、この点は制度上の条件の節で扱います。
固定項目は、請求書の雛形やソフトの設定に一度組み込めば済みます。
毎月の確認は、取引先名や登録番号の表示が正しいかを見る程度になります。
確認の手間を集中させるべきなのは、取引先ごとに変わる項目のほうです。
取引先指定の様式は、記載欄の並びや名称が自社様式と違います。
初回に一度、法定の記載事項をすべて書ける欄があるかを照らし合わせ、その結果を条件表に残しておくと、毎月同じ確認を繰り返さずに済みます。
| 項目 | 区分 | 記入の例 |
|---|---|---|
| 買手の名称・売手の名称と登録番号 | 固定(インボイスの記載事項) | 全取引先で同じ基準で記載 |
| 取引年月日・取引内容 | 固定(インボイスの記載事項) | 全取引先で同じ基準で記載 |
| 税率ごとの対価の額と税額 | 固定(インボイスの記載事項) | 全取引先で同じ基準で記載 |
| 締め日・請求の基準日 | 取引先ごと | 月末で出荷日基準/20日で検収日基準 |
| 様式・提出方法 | 取引先ごと | 自社様式をメール送付/取引先指定様式 |
| 支払サイト・振込手数料 | 取引先ごと | 月末締め翌月末払いで手数料は先方負担 |
| 端数処理の方法 | 取引先ごと | 切捨て/四捨五入 |
締め日が違う取引先の売上は、どの単位で締めて請求書に反映するか
計上基準は継続して適用する
締め日が月末と20日の取引先が混在すると、ある疑問が出てきます。
20日締めの取引先へ21日から月末までに納品した分は、今月の売上なのか、来月の売上なのか、という疑問です。
ここで混ざりやすいのが、請求書をいつ締めるかという取引先との取り決めと、会計上いつ売上を計上するかという基準です。
この2つは、別のルールで決まります。
法人が商品などの棚卸資産を販売する場合の扱いは、法人税基本通達2-1-2に示されています。
売上は、出荷日・着荷日・検収日など引渡しの日として合理的な日のうち、その法人が継続して収益計上している日によるとされています。
期末の取引だけ別の基準に切り替えることは認められないと説明されています。
ただし、この扱いは法人の棚卸資産の販売についてのものです。
サービスなどの役務の提供や、個人事業者の場合には、別の考え方が当てはまることがあります。
請求書の締め日は取引先との支払の取り決めであり、売上計上の基準日とは役割が違います。
たとえば出荷日で売上を計上している会社が、20日締めの取引先へ25日に出荷したとします。
このとき、会計上は出荷した月の売上として扱いつつ、請求書としては翌月20日締めの分に入る、ということが起こり得ます。
請求の締め日に合わせて売上計上日を動かしてよいかどうかは、会社の計上基準や取引の内容によって判断が分かれるため、ここでは断定しません。
決算期をまたぐ取引の扱いを含め、自社の計上基準は顧問税理士に確認しておく必要があります。
締め後の取引を翌月へ回す運用
請求側の運用では、計上基準とは切り離し、締め日で区切った取引を請求の単位にします。
締め日を過ぎてから記録された取引は、その月の請求に無理に押し込まず、翌月の締め分へ回します。
この運用を取引先ごとにそろえておけば、「先月分に入れたか、今月分に入れたか」を担当者がその都度判断する場面が減ります。
運用の要は、条件表に取引先ごとの請求の基準日を記録しておくことです。
出荷日・納品日・取引先の検収日のどれで区切るかが取引先ごとに違えば、同じ取引でも締めの内側に入るか外側に入るかが変わります。
検収日を基準にする取引先では、出荷しても検収の連絡が届くまで請求対象が確定しません。
締め日直前の出荷は翌月分に回ることを前提に段取りを組んでおくと、取引先の支払処理と食い違いにくくなります。
締め後に届いた取引の扱いを決めておくと、請求漏れの見つけ方も変わります。
翌月へ回した取引を一覧に残し、次の締めのときに最初にその一覧を確かめます。
こうすれば、遅れて届いた記録が請求からこぼれていないかを見落としにくくなります。
回した取引が翌月の請求書に確かに入ったかを照らす作業が、毎月の締めの入口になります。
請求書の作成日と、締めの区切りは分けて考えます。
月末に全取引先の請求書をまとめて作る運用もあり得ます。
その場合も、20日締めの取引先には20日時点で区切った明細を使い、21日以降の取引は翌月分の一覧へ移します。
作業日をまとめることと、締めの区切りをまとめることは別の話です。
区切りさえ取引先ごとに守っていれば、作業日をそろえても二重請求や漏れは起きにくくなります。
表計算・会計ソフト・請求書発行や販売管理ソフトのどれで回すか
判断の観点
管理方法を変えるかどうかは、ソフトの機能から考えるより、条件表から考えるほうが判断しやすくなります。
条件表を見て、いまの方法でどの工程に手作業が集中しているかを確かめます。
同じ取引先数でも、締め日がそろっていて自社様式で済む会社と、締め日も様式もばらばらな会社では、負担のかかる場所が違うからです。
条件表から読み取る観点は、次の5つです。
<ul><li>締め日の種類の数:締めの作業が月に何回発生するか</li><li>様式の出し分け:取引先指定の様式へ転記する必要があるか</li><li>請求件数:毎月作成する請求書の数と明細の量</li><li>担当者数:作業を何人で分け、誰が確認するか</li><li>入金との突き合わせ:入金データと請求残高を照らす作業にどれだけ手がかかっているか</li></ul>
表計算で回せている会社でも、締め日の種類が増えると、期間ごとに集計を切り替える作業が増えます。
計算式の範囲を一つ誤るだけで、締めの外の取引が混ざります。
担当者が一人なら気づける誤りでも、複数人で分担すると誰がどこを直したかが分からなくなります。
逆に、締め日がそろっていて件数も少なければ、表計算と条件表で十分に回ることもあります。
何件を超えたら切り替えるべきという一律の線はありません。
手作業の転記と確認がどこに積み上がっているかで判断します。
状況別の選び方
候補となる管理方法は、表計算、会計ソフト、請求書発行や販売管理のソフトの3つに分けられます。
それぞれが向きやすい状況と、検討時に条件表で見ておく点を並べると次のようになります。
表の「向きやすい状況」は優劣ではなく、条件表のどの列に違いが集まっているかに対応しています。
締め日の列に違いが多ければ、締めの区切りを取引先ごとに持てる仕組みかどうかが判断の中心になります。
様式の列に違いが多ければ、取引先指定の様式へどう出力し、どこで転記が残るかが中心になります。
ソフトが対応している範囲は、提供者や製品、契約プランによって異なります。
導入を検討するときは、製品の説明を読む前に自社の条件表を手元に置きます。
そのうえで、各列の条件をその仕組みで表現できるかを一つずつ当てはめていきます。
20日締めと月末締めの取引先を同じ仕組みで区切れるか、取引先ごとに端数処理の方法を設定できるか、送った請求書の控えをどこに残すか、といった問いです。
仕組みを変えて減らせるのは、条件を思い出して手で当てはめる作業です。
取引先のシステムへの提出や、条件が変わったときの設定の更新のように、人が確かめる工程は残ります。
| 管理方法 | 向きやすい状況 | 条件表で見ておく点 |
|---|---|---|
| 表計算 | 締め日や様式の違いが少なく担当者も少ない | 締め日ごとの集計範囲を誰がどう確かめるか |
| 会計ソフト | 売上と入金の記録を帳簿と同じ場所で扱いたい | 取引先ごとの締め日や様式の違いを請求書へ反映できるか |
| 請求書発行・販売管理のソフト | 締め日や様式の出し分けが多く請求件数も多い | 条件表の各列を取引先ごとに設定できるか |
請求書の作成・送付・保存で守る制度上の条件(インボイス・電子取引)
記載事項と端数処理
取引先に合わせて変えてよい部分が多い一方で、請求書の制度上の条件は取引先によって動きません。
記載事項は条件表の固定項目として見てきました。
請求書を作る工程では、もう一つ、消費税額の端数処理のルールが関わります。
国税庁のQ&Aでは、消費税額の端数処理は一の適格請求書につき税率ごとに1回行うものとされています。
個々の商品ごとに端数処理をしてから合計する方法は認められないと説明されています。
端数の処理方法は、切上げ・切捨て・四捨五入のいずれでもよいとされています。
そのため、取引先ごとに切捨てや四捨五入と方法を変えることはできても、「請求書ごと・税率ごとに1回」という単位はどの取引先でも共通になります。
取引先指定の様式に明細ごとの税額欄がある場合は、その欄の使い方が端数処理の単位と食い違わないかを、初回に確かめておきます。
条件表には端数処理の方法を取引先ごとに記録し、単位は全取引先で同じと決めておきます。
月によって担当者が手計算で端数を調整すると、取引先の認識と請求額がずれる原因になります。
取引先の支払側も請求書の税額をもとに処理しています。
方法を途中で変えるときは、変更の時期を取引先と合わせ、条件表の最終更新日も書き換えます。
送った請求書の控えにも決まりがあります。
適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写しを保存する義務があります1。
取引先指定の様式で出した場合や、取引先のシステムへ入力して提出した場合も同じです。
何を交付したかを後から示せる形で、控えを残しておくことが前提になります。
電子で授受した請求書の保存
請求書をメールやPDFで送ったり、取引先のシステムに登録したりする電子のやり取りでは、控えの保存方法にも条件があります。
電子取引のデータの保存には、改ざんされていないことを示す真実性と、必要なときに表示・検索できる可視性の要件があるとされています。
検索は、取引年月日・取引金額・取引先の3項目で行えることが求められています。
この条件は受け取った請求書だけの話ではなく、電子で送った請求書の控えにも関わります。
実務では、送った請求書のファイル名や保存フォルダを、日付・金額・取引先で探せる形にそろえることが出発点になります。
取引先ごとに提出方法が違うと、保存場所が散らばりがちです。
メールで送った控えはメールソフトの中に、取引先のシステムに登録した分はそのシステムの中に残る、といった具合です。
条件表の提出方法の列に、控えをどこへ保存するかを一緒に記録しておくと、保存漏れと探す手間の両方を抑えられます。
一定の条件で検索の要件が不要になる扱いや、電子データを紙に出力して保存してよいかといった点は、条件によって扱いが変わる部分があります。
この記事では扱わないため、自社に当てはまるかは国税庁の案内や顧問税理士で確かめてください。
入金確認・消込と請求内容の誤りへの対処手順
月次の突き合わせ手順
請求書を送ったあとの工程は、入金を待つだけに見えます。
しかし実際には、取引先ごとの支払サイトの違いがいちばん表に出る場面です。
消込とは、入金があった請求を請求残高の一覧から消していく作業です。
これが遅れると、未入金の請求が他の請求に埋もれて見えなくなります。
条件表と請求の一覧を起点に、毎月次の順で突き合わせます。
最初に請求残高を一覧にするのは、入金から請求を探すより、請求から入金を探すほうが漏れを見つけやすいからです。
入金の側から見ると、入ってきたものしか目に入りません。
請求の側から並べておけば、入金予定日を過ぎても消し込まれていない行が、確かめるべき対象としてそのまま残ります。
入金予定日は、条件表の支払サイトから出します。
B社が20日締め翌月末払いであれば、20日で締めた請求は翌月末に入金予定となります。
その日を過ぎるまでは、入金がなくても遅延ではありません。
取引先ごとに支払日が違うことを一覧に反映しておかないと、まだ支払日が来ていない請求に催促をしてしまったり、本当に遅れている請求を見過ごしたりします。
入金額が請求額と合わないときは、すぐに取引先へ問い合わせる前に、差額の原因を切り分けます。
振込手数料が差し引かれていないか、条件表で手数料をどちらが負担することになっているかを見ます。
取引先の支払側の締めと自社の請求の締めがずれ、一部だけ先に支払われていないかも確かめます。
そのうえで、請求書そのものの金額が誤っていないかを明細と照らします。
差額が小さいからといって手数料だと決めつけず、実際の明細と取り決めを照らしてから判断します。
誤りが見つかったときの直し方
突き合わせの結果、請求書の金額や内容に誤りがあると分かったら、まず工程をさかのぼって、誤りがどこで入り込んだかを確かめます。
記録の誤りなら記録を、締めの区切りの誤りなら締めた範囲を、作成時の転記や端数の誤りなら請求書を直します。
請求書だけを直して原因の工程を残すと、翌月も同じ誤りが繰り返されます。
請求書を出し直す場合、再発行する書類もインボイスとして交付するのであれば、記載事項を満たしている必要があります。
適格請求書は書類の名称を問わず、所定の事項を記載していればよいとされています1。
訂正後の書類でも、買手の名称、自社の名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の額と税額がそろっているかを確かめます。
訂正の方法や、元の請求書との関係をどう示すかといった制度上の細かな扱いは、ここでは断定できません。
顧問税理士に確認したうえで進めます。
取引先への連絡では、何が誤っていたか、正しい金額はいくらか、どの請求書と差し替えるのかを一度に伝えます。
取引先の支払側では、すでに元の請求書で処理が進んでいることがあります。
差し替えの時期と方法を取引先の都合と合わせておかないと、二重に支払われたり、どちらも支払われなかったりします。
差し替えた請求書と元の請求書の控えは、どちらも保存しておきます。
誤りの原因が条件表の内容にあることもあります。
たとえば取引先の締め日や端数処理の方法が変わっていたのに、表が更新されていなかった場合です。
このときは条件表そのものを直し、最終更新日と変更の根拠を残します。
表を直しておけば、同じ取引先で同じ誤りが起きる余地を減らせます。
担当者が交代しても、表を見れば何がいつ変わったのかを追えます。
条件表を作ってみると、どこまでを手順でそろえ、どこを取引先ごとの対応として残すかの線引きで迷いやすくなります。
相談では、作成した条件表をもとに、いまの管理方法で回せる部分と見直したほうがよい工程を整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 工程 | 取引の記録、締め、請求書の作成と送付、入金確認と消込に分けて確かめる |
| 条件表 | 締め日・請求の基準日・様式と提出方法・支払サイト・端数処理・手数料負担・根拠と更新日を取引先ごとに記録 |
| 固定項目 | インボイスの記載事項は取引先指定の様式でも同じ |
| 締め | 作業日はまとめても区切りは取引先ごとの締め日で行い、締め後の取引は翌月へ回す |
| 計上基準 | 請求の締め日とは別のルール。継続適用を保ち、扱いは顧問税理士に確認 |
| 端数処理 | 方法は取引先ごとに変えられても、単位は請求書ごと・税率ごとに1回 |
| 管理方法 | 条件表のどの列に違いが集まっているかで判断 |
| 入金確認 | 請求残高から入金を探し、差額は明細と取り決めを照らして切り分ける |
管理方法の切り替えは、取引先ごとの条件をどこまで仕組みに載せられるかで負担が変わり、自社だけでは比べにくい判断です。 相談では、条件表の各項目を当てはめながら、切り替えで減る作業と、人が確かめる工程として残る部分を確認できます。
よくある質問
締め日が月末と20日の取引先が混在するとき、請求書は取引先ごとにまとめて作るべきか
請求書は取引先ごとに、その取引先の締め日で区切った取引をまとめて作ります。
作業日を月末に一度にまとめることはできます。
ただし20日締めの取引先の請求書には20日までの取引だけを入れ、21日以降の分は翌月の請求へ回します。
締めの区切りを取引先ごとに守ることが、二重請求や漏れを避ける前提になります。
取引先が自社の独自様式での提出を求めるとき、インボイスの記載事項はどう確認すればよいか
適格請求書は書類の名称を問わず、取引先の様式でも満たすべき記載事項は同じです1。
初回に、買手の名称、自社の名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の額と税額を書く欄がそろっているかを照らし合わせます。
足りない欄があれば取引先と相談します。
確認した結果を条件表に残しておけば、毎月同じ照合を繰り返さずに済みます。
端数処理を取引先ごとに切上げ・切捨てで変えてもよいか
国税庁のQ&Aでは、端数処理は切上げ・切捨て・四捨五入のいずれでもよいとされており、取引先ごとに方法を変えることは可能です。
ただし、端数処理は一の適格請求書につき税率ごとに1回とされ、商品ごとに処理して合計する方法は認められないと説明されています。
方法は取引先ごとに条件表へ記録し、単位は全取引先で共通にします。
メールで送った請求書の控えは、どう保存すればよいか
適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書の写しを保存する義務があります1。
メールで送った請求書は電子取引のデータにあたり、取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態で保存することが求められるとされています。
ファイル名や保存フォルダを、日付・金額・取引先で探せる形にそろえておきます。
紙に出力しての保存や検索要件の例外は、顧問税理士に確認してください。
担当者が交代しても請求処理が止まらないよう、最低限引き継ぐ情報は何か
取引先別の条件表、翌月へ回した取引の一覧、請求残高の一覧、請求書の控えの保存場所を引き継ぎます。
条件表には、締め日、請求の基準日、様式と提出方法、支払サイト、端数処理の方法、振込手数料の負担、取り決めの根拠と最終更新日を入れておきます。
これがあれば、前任者の記憶に頼らず、どの工程で何をすればよいかを表から追えます。
画像の出典元
- Businesswoman in formal attire reviewing and organizing documents at an office desk./Photo by KATRIN BOLOVTSOVA on Pexels