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食材発注の取引先複数化とFAX受注の限界

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 43.1%まで進んだ国内のBtoB-EC化率は企業間取引の全体をまとめた値であり、食品分野の受注が同じだけ電子化されたことを示すものではありません1
  • 67%がFAXで受注している食品業では、人を増やして処理量を上げるより、受注の入り口を一つに寄せるほうが先に効きます2
  • 50件まで無料で登録して試せる枠があり、主要な取引先から順に切り替えれば、いまの受注を止めないまま自社の様式で回るかを確かめられます3
  • 41.1%が手間を感じている確認連絡は、注文の内容が送り手と受け手の双方に同じ形で残る仕組みへ移すと減らせると考えられます2

40代前半の日本人男性がFAXの送信をしている場面
▽ 写真の出典元

食材発注に取引先複数が生む工数

受発注システムとは、取引先からの注文をウェブ上で受け取り、基幹システムへつなげる仕組みです。複数の取引先からの発注をFAXと電話で受けていると、増えるのは注文の数ではなく転記と確認の往復です。受発注システムへ移すときは、はじめに「登録できる取引先数」と「扱える商品点数」の上限を確かめます。取引先が増えた後も同じ仕組みで受けられるかが、分かれ目になります。

朝八時の受注席。届いたばかりのFAXが、まだ温かい紙のまま積み上がります。一枚ずつ束を繰り、取引先ごとに注文書を並べ替えるところから一日が始まります。取引先が増えたときに増えるのは、注文書の枚数だけではありません。書式が違えば読み取る順番も変わり、「この欄は商品コードか納品日か」を確かめる手が、そのつど止まります。締切の時刻も単位の書き方も取引先ごとに別々で、取引先の数だけ別の作業が並びます。電話が重なれば、手元の一枚は途中で伏せたままになります。

国内のBtoB-EC化率と食品業の実態

電子での受発注がどこまで広がっているかは、業種によってかなり違います。「うちの業界はもう電子化が進んでいる」と言えるかどうかは、全体の数字だけでは決まりません。企業間取引をまとめた割合と、食品の受注席で起きていることは、分けて見ておきます。

まず全体の広がりから見ます。43.1%が、2024年度の国内のBtoB-EC化率です1。これは企業間取引の全体をまとめた値で、食品分野だけを取り出した数字ではありません。では受注の現場はどうか。67%が、2023年の調査で食品業の受注にFAXを使うと答えた割合です2。回答者が限られた任意の調査ではありますが、「今日もFAXが鳴る」という日常が広く残っていることは読み取れます。

食品分野での導入事例

フーヅフリッジ株式会社は、業務用食材を扱うECサイトを立ち上げた一社です。飲食店からの発注をウェブで受ける形にすると、受注の入り口が一本にまとまります。「注文はサイトからお願いします」と伝えられる相手が増えるほど、紙で受け取る分は少しずつ減っていきます。

気になるのは、立ち上げにどれだけかかるかという点です。4か月が、このサイトの実質的な開発期間でした4。2017年の事例のため、いまの体制がそのままとは限りませんが、繁忙期を一度またぐかどうかという長さに収まっています。「どのくらいで動き始めるのか」という問いには、既存の商品マスタと取引先情報がどこまで整っているかが効いてくると考えられます。

注文書を読み直し、取引先へ電話をかけ直すこの往復は、受注担当者の時間という費用として毎日出ていきます。

FAXと電話が招く手入力と確認の手間

FAXと電話で受け取った注文は、そのままでは基幹システムに載りません。人が読み、人が打ち直して、はじめて在庫や出荷の情報とつながります。詰まるのは入力の速さではなく、読み取りと確認の往復だと見ます。「読みにくい一枚」が混じれば、その一枚のために手が止まります。

手入力にかかる手間

注文書を見ながら数量と商品コードを打ち込む作業は、一件あたりは短くても、件数の分だけ積み上がります。取引先ごとに様式が違えば、どの欄を見るかを毎回切り替えることになります。「慣れれば速い」という言葉は本当ですが、慣れた人が休んだ日には、速さも一緒に休みます。

では、どのくらいの人が負担と感じているのか。60%が、2023年の調査で注文書の手入力に手間を感じると答えた割合です2。同じ調査で確認連絡を挙げた割合より高く、「まず入力をどうにかしたい」という声が多く出ています。任意の調査のため幅を持って見る必要はありますが、打ち直しの負担が広く共有されている様子がうかがえます。

確認連絡にかかる手間

読み取れない字や、単位がはっきりしない欄があると、取引先へ確かめる連絡が要ります。電話はつながるまで待ち、つながっても担当者が席を外していれば掛け直しです。「折り返します」の一言で、その注文は午後まで宙に浮いたまま残ります。

確認の往復はどれだけ広がっているか。41.1%が、2023年の調査で注文の確認連絡に手間を感じると答えた割合です2。手入力を挙げた割合には届きませんが、無視できる少数でもありません。「聞き直さなくても分かる注文」を増やすには、内容が送り手と受け手の双方に同じ形で残る仕組みが効いてきますね。

60%が手間を感じると答えた手入力は、続けるかぎり毎日の人件費として払い続ける項目です2

FAXで届いた注文が出荷指示へ進むまで
FAXで届いた注文が出荷指示へ進むまで

受発注システムが定める取引先数の枠

受発注システムを選ぶとき、画面の使いやすさや月額に目が向きます。見落としやすいのは、登録できる取引先数と商品点数の上限です。選ぶときに見るのは月額か初期費用かではなく、上限がいまの取引先の数を上回っているかどうかです。「今の取引先は全部入りますか」と、最初に確かめておきたい項目になります。上限に当たってから乗り換えると、マスタの移し替えと取引先への案内をもう一度やり直すことになります。

無料トライアルと有料プランの上限

試してから決めたい場合は、無料で使える範囲にどれだけ登録できるかを見ます。主要な取引先だけを先に登録し、いつもの発注を一巡させると、自社の様式で回るかどうかが分かります。「全社で切り替える」判断の前に、一部の取引先で確かめる進め方です。

登録できる数には上限が定められています。50件が、無料トライアルで登録できる取引先数の上限です3。10000件が、有料プランで扱える取引先数の上限で、試す段階と本格運用とでは扱える規模が大きく変わります3。いずれも2026年時点のプラン条件であり、今後変更される場合があります。

商品点数の上限との関係

取引先の数が足りていても、商品点数で引っかかることがあります。業務用食材では、同じ品目でも規格や入数が違えば別の商品として登録します。「まだ登録していない規格」が残れば、その分は結局、電話で受けることになります。

では商品側はどこまで載るか。30000SKUが、有料プランで扱える商品数の上限です3。取引先数の上限と同じく2026年時点の条件で、季節品や規格違いを数え上げると、想定より早く積み上がる点には注意が要ります。冷凍と常温で在庫を分けている場合は、その分も見込んでおくと安全です。

切り替えを決めても、取引先の側には紙で送りたい先が残ります。58.8%が、FAX受注を廃止すると取引に支障が出ると想定した割合です2。回答した人の半数を超えており、紙を残す判断は珍しくありません。「全部やめる」を目標に置くのではなく、ウェブで受ける先を少しずつ増やし、紙は受け口として残す形が現実的だと見ます。上限と様式の自由度、既存システムとの連携を確かめてから選ぶと、後戻りが減りますね。

ここから先は、取引先の数と商品点数に応じた進め方を、確かめる項目とあわせて詳しく見ていきます。

登録できる取引先数と商品数の上限
登録できる取引先数と商品数の上限
40代前半の日本人女性がFAXの送信をしている場面
▽ 写真の出典元

取引先ごとに様式も締切も異なる食材の受注では、上限や連携の条件が自社の取引先数と商品点数に合うかを、実際の注文書を見ながら確かめる必要があります。

手元の注文書と取引先の一覧を持ち寄り、どこまでそのまま載るかを一緒に見てもらうのが近道です。無料相談で要件を整理する

取引先が増えても回る受注のつくり方

  • 登録できる取引先数と商品点数の上限を確かめてから受発注システムを選ぶ
  • 発注量の多い取引先から順にウェブ受注へ寄せ、紙は受け口として残す
  • 取引先ごとに違う様式を、注文画面の入力項目へ寄せてそろえる
  • 規格違いと入数、温度帯を含めた商品の数え直しを切り替え前に済ませる
  • 確認の電話が多い項目を、注文画面の必須入力に組み込む

この並びに優劣の順序はありません。

どこから手を付けるかは、いま抱えている取引先の数と、これから増える見込みによって変わります。

取引先の数で変わる進め方

進め方 当てはまる受注の状況 登録する取引先の数 先に確かめること
小規模試行型 主要な取引先から試したい 無料で登録できる範囲に収まる いつもの発注を一巡させられるか
大規模運用型 全取引先を載せて運用したい 有料プランの10000件まで見込める3 商品点数と既存システムとの受け渡し

小規模試行型

取引先の一部から切り替えたい場合に向く進め方です。全社で足並みをそろえる前に、発注量の多い先だけを登録し、受注から出荷指示までを一巡させます。先に挙げた上限の確認は変わりませんが、ここで見るのは上限の大きさよりも、無料で試せる範囲にいまの主要な取引先が収まるかどうかです。「まずはこの取引先から」と決めれば、日々の受注を止めずに動けます。

試す段階では、扱える商品点数よりも様式の相性を確かめます。ふだんの注文書に並ぶ品目を登録し、単位や入数の書き方がそのまま載るかを見ます。ここで引っかかる項目は、たいてい後からも同じ顔で出てきます。「運用で回避できるか、設定で直せるか」を切り分けておくと、本格運用の判断が速くなります。

作業の難しさは低めで、主要な取引先の登録とひと通りの受注を試すだけなら、通常の受注業務と並行して進められる範囲に収まると考えられます。

確かめる場面 見るところ
最初に登録する先 発注の頻度が高く、様式が安定している取引先
試す期間の使い方 いつもの発注を受注から出荷指示まで一巡させる
切り替えの判断 単位や入数がそのまま載るか、運用で回避できるか
30代前半の日本人女性が店舗カウンターでの受注をしている場面
▽ 写真の出典元

一部の取引先から試す場合は、どの先を最初に載せれば自社の様式で一巡できるかという見極めが、その後の判断を左右します。

試す範囲の決め方から相談し、最初の一巡までを伴走してもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む

大規模運用型

すべての取引先をシステムに載せ、受注の入り口を一本化したい場合の進め方です。ここで必要なのは試す枠ではなく、取引先と商品の両方を受け止める上限です。取引先の登録が済んでも、規格違いの商品が載り切らなければ、その分はFAXと電話に戻ります。「全部を一つの画面で受ける」ことが目標になります。

上限が現実の壁になるのはここからです。30000SKUという商品数の上限が効いてくるのも、この段階です3。冷凍と常温、業務用の大容量と小分けを別々に持つと、品目数は見込みより早く伸びます。「まだ入る」と思った時点で、季節品を含めた棚卸しをしておくと安心できます。

立ち上げにかかる時間も見込んでおきます。4か月で業務用食材のECサイトを立ち上げた例があり4、2017年の事例ではありますが、商品マスタと取引先情報が整っているほど短く収まると考えられます。基幹システムへ受注データを渡す部分は、要件を早めに固めておくと手戻りが減ります。

作業量は小さくなく、マスタの整備と取引先への案内まで含めると、専任に近い担当を置ける体制が要ると見ます。

確かめる項目 運用に入る前の見どころ
取引先の登録 全社分が上限に収まり、増える見込みも入るか
商品の登録 規格違いと入数、温度帯を含めた品目数
既存システムとの連携 受注データを基幹側へ渡せるか
紙で受ける分 FAXと電話の注文を同じ画面へ集約できるか
20代前半の日本人女性が店舗カウンターでの受注をしている場面
▽ 写真の出典元

全取引先と全商品を載せる段階では、規格違いを含めた品目数や基幹システムへの受け渡しまで含めて組み立てる必要があります。

商品マスタの棚卸しと連携の要件を早い段階で持ち込み、規模に見合う構成を描いてもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む

要点の整理

確かめる項目 選ぶときの見どころ
取引先数の上限 いまの取引先数と、増える見込みを上回るか
商品数の上限 規格違いと入数、温度帯を含めて数えたか
試せる範囲 主要な取引先で、いつもの発注を一巡させられるか
紙で受ける分の扱い FAXと電話の注文を同じ画面へ集約できるか
既存システムとの連携 受注データを基幹側へ渡せるか
切り替えの順序 発注量が多く様式の安定した先から始められるか

食材の受注は繁忙期がおおよそ決まっているため、切り替えの時期を逆算して動けるかどうかで、現場の負担が変わります。 繁忙期の前後を見ながら、いつ何を進めるかの段取りを一緒に組んでもらうのが近道です。

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よくある質問

FAXでの受注をすべてやめる必要がありますか。

すべてやめる必要はありません。ウェブで受ける取引先を増やしながら、紙の受け口を残す形でも効き目は出ます。取引先の側にも、発注の手順を変えにくい事情を抱えた先があります。まずは発注量の多い先から移し、紙で残る分は様式を一つに寄せておくと、読み取りの手間が下がります。

取引先が増えたときに、あとから上限を広げられますか。

扱える取引先数と商品数はプランの条件で決まるため、上限に近づいた段階で契約の見直しが必要になります。無料で試せる範囲から有料プランへ移る流れは用意されていますが、2026年時点の条件は今後変更される場合があります。見積もりの段階で、増える見込みを含めた数を伝えておくと後の作業が減ります。

確認の電話を減らすには、どこから手を付けるとよいですか。

確認が必要になった項目を、しばらく書き出すところから始めます。単位の取り違え、納品日の抜け、商品コードの相違など、繰り返し出る項目が見えてきます。それらを注文画面の必須入力に組み込めば、受け取った時点で情報がそろいます。手を入れる先を絞れるため、少ない直しで効き目が出ます。

取引先から「FAXのままにしてほしい」と言われた場合はどうしますか。

無理に切り替えず、当面は紙で受ける前提で組み立てます。58.8%が、FAX受注を廃止すると取引に支障が出ると想定した割合で2、紙を残す判断は特別なものではありません。社内での転記をすぐになくせなくても、ウェブで受けた分と同じ画面に集約すれば、確認の手順は共通にできます。

商品点数はどう数えておけばよいですか。

同じ品目でも、規格と入数、温度帯が違えば別の登録になります。冷凍と常温を分けている場合や、季節限定の品を毎年入れ替える場合は、その分も足して数えます。登録の直前に数えると上限に当たりやすいため、システムを選ぶ段階で概算を出しておくと安全です。

小さく試す場合、どの取引先から始めるとよいですか。

発注の頻度が高く、様式が安定している先から始めます。頻度が高いほど短い期間で判断材料がそろい、様式が安定していれば設定の作り込みも少なく済みます。反対に、例外の多い先を最初に選ぶと、個別対応の可否ばかりを見ることになり、仕組みそのものの判断が遅れます。

受注データを既存の基幹システムへ渡せますか。

渡せるかどうかは、出力できる形式と項目の対応で決まります。商品コードや取引先コードが両方で同じ体系になっているかを、早い段階で突き合わせておきます。コードが揃っていない場合は、変換表を作るか、どちらかに寄せる作業が発生します。この確認を後回しにすると、登録が済んだ後で手戻りが出ます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」(2025年) 経路
  2. 2 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年) 経路
  3. 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo 料金・プラン条件」(2026年) 経路
  4. 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例 フーヅフリッジ株式会社様」(2017年) 経路

画像の出典元

  1. 40代前半の日本人男性がFAXの送信をしている場面/画像:生成AI(自社)
  2. 40代前半の日本人女性がFAXの送信をしている場面/画像:生成AI(自社)
  3. 30代前半の日本人女性が店舗カウンターでの受注をしている場面/画像:生成AI(自社)
  4. 20代前半の日本人女性が店舗カウンターでの受注をしている場面/画像:生成AI(自社)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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