◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 欠品と過剰在庫は同じずれから生まれます。2024年度の食品ロス量461万トンのうち事業系は237万トン、外食産業は70万トンです。
- 見直しは欠品の記録と原因の分類から始め、発注ルールと発注締め時刻、定番品と変動品の発注方式の順に進めます。
- 人手の不足が欠品への対応の余力を削ります。2025年の調査で、飲食店の非正社員の不足は53.4%でした。
- 標準形式の受け渡しは広がり、流通BMSを導入した卸・メーカーは21,600社以上と公表されています。
目次

食材発注における欠品とは
食材発注における欠品とは、発注した食材が必要な時点で使える状態にない状況を指します。伝票の上では発注済みでも、調理の開始に間に合わなければ、現場では欠品と同じ扱いになります。まず言葉の範囲をそろえることが出発点です。
欠品を避けようとすると在庫は増え、廃棄と表裏の関係に入ります。2024年度の国内の食品ロス量は461万トンと推計され、うち事業系は237万トン、家庭系は224万トンです1。欠品対策は、この両側を見ながら組み立てます。
欠品・未納・納品遅延の区別
欠品と未納と納品遅延は、現場では同じ困り事に見えますが、手当ての方向はそれぞれ異なります。欠品は納品そのものがない状態、未納は数量が足りない状態、納品遅延は納品の時刻がずれた状態を指します。記録の欄をこの三つに分けておくと、後から件数を数えて、どこに重みがあるかを比べられます。
区別のないまま「また欠品した」と書き残すと、発注量の見立ての問題と、伝達の途中で止まった問題が同じ束に入ります。束が混ざれば、発注点を引き上げる対応だけが繰り返され、在庫だけが積み上がります。言葉の定義は、対策の入口にあたります。
欠品が売上と現場作業に及ぼす影響
欠品の影響は、提供できない品目の売上にとどまりません。献立の差し替え、近隣店舗からの融通、代替食材の買い出しといった作業が新たに生まれ、その時間は本来の調理と接客から引かれます。来店の動機になっている品目が欠けた場合、影響はその日の売上を越えて残ります。
人手の余裕が小さいほど、欠品時の振り替えは負担になります。2025年10月時点の調査では、飲食店において非正社員が不足していると回答した企業は53.4%にのぼりました4。手空きの人員で吸収できる前提は置けません。
欠品と過剰在庫は同じ原因から生じる
欠品と過剰在庫は逆の現象に見えますが、出どころは同じです。どちらも、これから出る数量の見立てと、いま手元にある数量の把握が実態からずれたときに現れます。ずれの向きが下に出れば欠品、上に出れば過剰在庫になります。
そのため、欠品を発注量の上積みだけで抑えると、廃棄が増えます。2024年度の事業系の食品ロス量は237万トンで、家庭系の224万トンを上回っています1。見立てと把握の精度を上げる方向でしか、両方は同時に下がりません。
欠品対策に着手する順序の5点(順位根拠:前の段の結果が次の段の前提になる実施順序)
- 欠品の記録を一行の様式で残します。品目、数量、気づいた時点、代替の手当て、推定の原因の欄を決め、発生のたびに書き足します。
- 貯まった記録を、需要の見立て、判断のばらつき、在庫情報、伝達手段の四つに分類します。件数の厚い側から手を付けます。
- 発注ルールと発注締め時刻を一枚にまとめます。担当が替わっても同じ数量が出る書き方にし、取引先の受付の締めから逆算します。
- 商品マスタと発注単位を統一し、棚卸の記録と理論在庫を突き合わせます。差異の原因を書き残し、発注点の判断へ戻します。
- 受発注を標準形式へ寄せます。流通BMSを導入した卸・メーカーは21,600社以上と公表されており、取扱高の大きい取引先から確かめます。
食材発注で欠品が起きる四つの原因
食材発注で欠品が起きる原因は、需要の変動、発注の判断のばらつき、在庫情報の分断、伝達手段の分断の四つに分けられます。四つは別々に現れるとは限らず、重なって一件の欠品になります。
原因を分けないまま「気をつける」と決めても再発します。人手の不足はこの四つすべてを重くしており、2025年の調査では正社員が不足していると答えた企業は51.6%、非正社員では28.3%でした4。切り分けから始めます。
需要の変動と発注量の見立てのずれ
需要の変動と発注量の見立てのずれは、欠品の入口にあたります。天候、近隣の催し、曜日の並び、予約の入り方によって出数は動きますが、発注の数量は前週の感覚のまま置かれることがあります。平常時に当たる方法でも、変動の大きい日には外れます。
対応の起点は記録です。出数を品目ごとに残し、外れた日の理由を短く書き添えると、次の見立ての材料が貯まります。天候や催しの予定は発注の締めより前に共有し、見立ての前提として渡します。感覚だけの共有は、担当が替わった時点で消えます。
発注担当者による判断のばらつき
同じ品目でも、発注の担当が替わると数量が動きます。前任者は在庫の残りを数えてから発注し、後任者は前回と同じ数量を写す、といった違いが積み重なると、欠品と余剰が交互に出ます。ばらつきは、担当の力量ではなく基準の不在から生まれます。
発注点、発注の単位、締めの時刻を文書にすると、判断の幅は狭まります。人手の細い体制ほど、基準の文書化が引き継ぎの速さを左右します。書き出す量は一枚で足り、迷った時に開ける場所へ置くことが条件になります。
在庫情報が共有されていない状態
在庫情報が共有されていない状態では、発注の前提が人によって変わります。冷凍庫の奥に残っていた在庫が数えられずに二重で発注される、逆に別の部門が使った分が引かれておらず欠品する、といったずれが生まれます。
紙の在庫表と表計算ソフトと記憶が併存すると、どれが正しいかを決められません。理論在庫を持たない運用では、棚卸の日にしか実態が見えないため、途中のずれは欠品として表に出ます。可視化は、発注の判断より前の工程にあたります。
電話・FAXなど伝達手段の分断
伝達手段が取引先ごとに分かれていると、発注の控えが一箇所に集まりません。電話は言葉が残らず、FAXは送信の成否が受け手の側でしか分からず、表計算ソフトの添付は版が枝分かれします。
控えが分かれていると、欠品の原因が発注の漏れなのか、受注の側で止まったのかを切り分けられません。2024年時点でクラウドサービスを利用する企業は80.6%に達しており5、記録を一つの場所へ集める土台は広がっています。
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欠品を減らす発注業務の見直し手順
欠品を減らす見直しは、記録、基準、方式の順に進めます。原因を分類しないまま発注点だけを引き上げると、在庫と廃棄が増え、欠品は形を変えて残ります。2024年度の外食産業の食品ロス量は70万トンです1。
先に欠品の記録を残して原因の分類へ進み、次に発注ルールと発注締め時刻を決め、最後に定番品と変動品で発注方式を分けます。前の段の結果が次の段の前提になるため、着手の順序そのものが成果の出方を分けます。
欠品の記録を残し原因を分類する
最初に取り組むのは欠品の記録です。品目、数量、気づいた時点、代替の手当て、推定の原因の欄を決め、発生のたびに一行ずつ残します。欄が決まっていれば記入は短時間で終わり、忙しい日でも続きます。
記録が貯まると、原因の分類ができます。需要の見立て、判断のばらつき、在庫情報、伝達手段の四つに仕分けると、自店でどこが厚いかが見えます。厚い側から手を付ければ、少ない労力で件数が下がります。
発注ルールと発注締め時刻を決める
次に決めるのは発注ルールと発注締め時刻です。品目ごとに、どの数量を下回ったら発注するかという発注点、いくつ発注するか、いつまでに送るかを一枚にまとめます。基準がなければ、判断は毎回ゼロから始まります。
発注締め時刻は取引先の受付の締めから逆算し、店舗の作業の谷にあたる時間帯へ置きます。締めの直前に慌てて数える運用では、在庫の数え落としが混ざります。担当が替わっても同じ数量が出ることを狙って書きます。
定番品と変動品で発注方式を分ける
最後に、発注方式を品目の性格で分けます。出数の安定した定番品は発注点と安全在庫で機械的に回し、変動品は出数の見立てを毎回置いて数量を決めます。同じ手間をすべての品目に配ると、変動品に手が回りません。
日持ちのしない品目は、欠品を恐れて安全在庫を厚くすると廃棄に直結します。品目を保存性と出数の安定度で仕分け、厚くする品目と絞る品目を先に決めておくと、現場の判断が速くなります。
発注データの整備と在庫の可視化
発注の基準を決めても、データが整っていなければ運用は続きません。商品マスタの表記が店舗ごとに違えば集計できず、単位が混在すれば数量を比べられません。在庫の可視化も、名前と単位がそろってはじめて成り立ちます。
整備は、商品マスタの統一、理論在庫の突き合わせ、標準形式の受け渡しの順に進みます。2024年時点でクラウドサービスを利用する企業は80.6%です5。土台を持つこと自体は、特別な選択ではなくなりました。
商品マスタと単位の統一
整備の最初は商品マスタの統一です。名称の表記が店舗ごとに揺れると、同じ食材が別の品目として数えられ、発注量の集計が実態からずれます。揺れは、取引先の呼び名と社内の呼び名が併存する場面で生まれます。
発注単位も同時にそろえます。ケース、バラ、重量のどれで数えるかを品目ごとに決め、換算の値を持たせると、店舗の発注と取引先の出荷が同じ数量で語れます。単位の取り違えは、欠品と過剰の両方に出ます。
棚卸と理論在庫の突き合わせ
次は理論在庫の突き合わせです。前回の在庫に入荷を足し、出庫を引いた数量が理論在庫にあたり、棚卸の記録と比べることでずれの大きさが分かります。頻度を上げるほど、ずれは小さいうちに見つかります。
差異の原因は、記録の漏れ、廃棄の未計上、単位の取り違えなどに分かれます。差異を放置すると、発注点の判断が実態から離れ、欠品と廃棄の両方が増えます。突き合わせは、品目を絞ってでも定期の作業として残します。
受発注データを標準形式でやり取りする
発注データと納品データを標準形式で受け渡すと、転記の手間と読み違いが減ります。流通業界の共通の形式である流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準。企業間の受発注データをやり取りする通信と項目の取り決め)を導入した卸・メーカーは、21,600社以上と公表されています3。
直近半年間の増加は700社以上と公表されており3、取引先の側の対応は広がりつつあります。ただし全ての取引先が同じ形式に対応しているわけではないため、当面は標準形式と従来の手段が併存します。併存を前提に、控えの集約先だけは一つに寄せます。
事業系237万トンの内訳から見る発注のずれ
2024年度の食品ロス量は461万トンで、事業系が237万トン、家庭系が224万トンと推計されています1。事業系の内訳は、食品製造業110万トン、外食産業70万トン、食品小売業48万トン、食品卸売業9万トンです1。
このうち外食産業の70万トンには、発注と実際の消費の差が形になった数量が含まれます。欠品への対策と食品ロスの削減は、いずれも見立ての精度という同じ土台に乗っています。
業種別に見た食品ロスの分布
事業系の237万トンを業種で分けると、食品製造業が110万トン、外食産業が70万トン、食品小売業が48万トン、食品卸売業が9万トンです1。数量の並びは、食材が川上から川下へ移る間に、どこで余剰が生まれているかを示します。
卸売業の9万トンは、他の業種と比べて小さい数量です。在庫の滞留が短い段では余剰が積み上がりにくいと読めます。国民一人当たりの年間の食品ロスは37キログラムと推計されており1、事業と家庭の双方に分布します。
外食産業70万トンが示す発注と消費の差
外食産業の70万トンには、仕入れた食材のうち提供に至らなかった分が含まれます。仕込みの量、規格外の廃棄、食べ残しなど複数の要素が混ざるため、発注のずれだけを取り出すことはできません。
それでも、欠品を恐れて安全在庫を厚くする運用は、この数量を押し上げる側に働きます。欠品を減らす取り組みと廃棄を減らす取り組みを別々の担当が進めると、片方の成果がもう片方の悪化になります。
欠品対策と食品ロス削減を同時に設計する
二つを同時に設計するには、指標を並べて置きます。品目ごとの欠品の件数と廃棄の数量を同じ期間で並べ、どちらか片方だけが動いていないかを定期に確かめます。並べるだけで、偏りは見えます。
片方だけを目標に置くと、現場は達成しやすい側へ寄せます。欠品の件数を下げる指示だけを出せば発注は厚くなり、廃棄の数量を下げる指示だけを出せば発注は薄くなります。一枚の表で見る運用が、釣り合いを保ちます。

単独店・小規模店の食材発注
単独店では、発注が店長一人に集まります。人手の不足がこの集中を強めており、2025年の調査では、飲食店で非正社員が不足していると回答した企業は53.4%、正社員の不足は全体で51.6%でした4。
規模の小さい体制では、仕組みを大きく入れ替えるより、取引先の発注手段に合わせながら控えを残す進め方が現実的です。控えが残れば、担当が替わっても判断の基準は引き継がれます。
店長一人に発注が集中する事情
単独店では、在庫の確認、発注、検品、支払いの確認までを同じ人が担います。営業時間の合間に判断するため、発注は閉店後や開店前の短い時間へ押し込まれます。速さは出ますが、代わりが利きません。
担当が休んだ日に発注が止まる、あるいは数量が普段と変わることは、そのまま欠品の要因になります。判断の材料を一枚の紙にしておくと、代理の担当でも同じ数量を出せます。属人化は、記録の有無で決まります。
取引先の発注手段に合わせる選び方
取引先ごとに、受け付ける発注の手段は異なります。電話、FAX、取引先の専用サイト、電子メールが混在する状況では、店舗の側だけで手段を一つに寄せることはできません。
現実的な進め方は、手段は取引先に合わせたうえで、控えの残し方を自店でそろえることです。発注の内容を同じ帳票へ書き写してから送れば、手段が分かれていても、後から一覧で見返せます。
属人化を防ぐ記録の残し方
記録の様式は簡素で足ります。品目、発注の数量、送った時刻、届いた数量、欠品の有無を一行で書ける形にすると、記入は続きます。欄の多すぎる帳票は、忙しい日に飛ばされます。
一行の記録が貯まると、発注点の見直しに使えます。欠品の出た品目と廃棄の出た品目を並べれば、厚くする品目と絞る品目が分かれます。記録は、引き継ぎの資料としても働きます。
複数店舗を持つ中規模チェーンの食材発注
複数の店舗を持つ体制では、店舗ごとに発注ルールが分かれている点が出発点の課題になります。同じ食材を別の名称で発注していれば、本部は数量を束ねられず、取引先との交渉の材料も作れません。
発注の区分ごとに、本部が担う範囲と店舗が担う範囲を、定番品の発注と変動品の発注に分けて決めます。2024年時点でクラウドサービスを利用する企業の割合は80.6%であり5、店舗の数量を束ねる土台は整いつつあります。
店舗ごとに発注ルールが異なる事情
店舗ごとの違いは、放置の結果とは限りません。立地によって出数の傾向が違い、厨房の広さによって置ける在庫の量も違うため、同じ発注点をそのまま当てはめると別の不具合が出ます。
一方、名称と単位まで店舗ごとに分かれると、本部は集計ができません。そろえる部分と店舗の判断に残す部分を切り分けずに一律化を進めると、現場の負担だけが増えます。線引きを先に決めます。
本部集約と店舗裁量の線引き
線引きの基準は、店舗ごとの差が成果に効くかどうかです。取引先の選定、価格の枠組み、商品マスタと単位の定義は本部へ寄せ、日々の数量の最終判断は店舗へ残す形が扱いやすくなります。
定番品の発注は発注点と安全在庫の基準を本部が示し、店舗は実地の在庫の確認に集中します。変動品の発注では、催しや予約の情報を持つ店舗が数量の最終判断を持ちます。欠品の記録は店舗が残し、分類と集計は本部が担います。
仕入データを本部で束ねる選び方
本部で束ねるには、店舗の発注データが同じ形式で集まる必要があります。表計算ソフトの回収でも集計はできますが、版の枝分かれと転記の誤りが残り、締めのたびに確認の手間が積み上がります。
取引先との受発注を標準形式へ寄せると、本部の集計と店舗の発注が同じデータの上で動きます。流通BMSを導入した卸・メーカーは21,600社以上と公表されており3、取扱高の大きい取引先から対応の可否を確かめる価値があります。

広域・多拠点チェーンの食材発注
拠点が広域に散る体制では、取引先ごとに接続の可否が分かれます。地域の卸や生産者は電話とFAXが中心で、全国規模の取引先は標準形式に対応している、という併存が常の姿になります。
進め方は、取引先の仕分け、発注経路の使い分け、移行の順序の三段です。流通BMSを導入した卸・メーカーは21,600社以上、直近半年間の増加は700社以上と公表されています3。
取引先ごとに接続可否が分かれる事情
対応の可否は、取引先の規模と、扱う商品の性質で分かれます。定型の商品を大量に扱う取引先では標準形式の利点が出やすく、少量多品目や当日の相場で数量が動く取引先では、電話での確認が残ります。
取引先の事情を一方的に評価せず、現在の手段を把握することから始めます。扱う品目、発注の手段、締めの時刻を一覧にすると、取引先の仕分けの土台ができます。商慣行に関する実態調査も公表されています2。
発注経路を取引先の対応状況で分ける
発注経路の使い分けは、標準形式に対応する経路と従来の手段を残す経路の二本立てにします。すべてを一度に寄せる計画は、対応できない取引先の発注を止めるおそれがあります。
二本立てでも、発注の控えは同じ場所へ集めます。控えが一箇所にあれば、欠品が起きたときに、発注の記録があるかどうかを経路によらず確かめられます。切り分けの速さが、代替手配の速さにつながります。
移行の順序を決める基準
移行の順序は、取扱高と発注の件数が大きい取引先から決めます。件数の多い経路ほど転記の手間が集まっており、切り替えの効き目が早く表に出ます。
同時に、取引先の側の準備の状況も見ます。対応の予定がない取引先を先頭に置くと、待ちの間に社内の関心が薄れます。準備の整った取引先から始め、成果の見える段を先に作ります。
発注の見直しを進めると、判断の基準について同じ問いが繰り返し出ます。欠品をどこまで下げるか、安全在庫をどこまで厚くするか、記録をどこまで残すか、仕組みでどこまで解くかが、その中心です。
ここでは本文で扱いきれない補足の疑問を整理します。数値は公表された推計や調査に限り、確かめられない値は置きません。2024年度の食品ロス量461万トンのうち、外食産業は70万トンです1。
欠品をどこまで下げるかという問いに、単独の答えは置けません。品目の日持ち、取引先の納品の頻度、店舗の保管の余裕によって、釣り合う水準は動きます。廃棄の数量と並べ、両方が下がる範囲を探します。
安全在庫の厚みは、品目ごとに変えます。日持ちのする乾物や調味料は厚く持っても廃棄になりにくく、生鮮は薄く持って納品の頻度で補う考え方が扱いやすくなります。分かれ目は保存性と出数の安定度です。
記録をどこまで残すかという問いには、続けられる範囲という答えになります。欄を絞った一行の記録でも、件数が貯まれば原因の分類には足ります。細かい帳票を作って途切れるより、粗くても続く形が結果につながります。
仕組みで解く範囲にも線引きが要ります。名称と単位、在庫、受発注の控えは仕組みが持ち、当日の数量の判断は人が持つ分け方が現場に合います。2024年時点でクラウドサービスを利用する企業は80.6%です5。
取引先との調整は、発注の締めの時刻から始めます。締めの時刻と納品の時刻を書面でそろえるだけでも、遅延と欠品の切り分けが進みます。商慣行については実態調査が公表されており2、公表の範囲で確かめられます。
食材発注と欠品に関するよくある質問
欠品が起きたとき、まず何から記録すればよいですか
品目、数量、気づいた時点、代替の手当て、推定の原因の五つを一行で残してください。欄を絞ると記入が続き、件数が貯まった段階で原因の分類に使えます。原因が分からない件は、不明のまま残して差し支えありません。
安全在庫を厚くすれば欠品は減りますか
数量の面では減る方向に働きますが、廃棄が増えます。2024年度の事業系の食品ロス量は237万トンで、うち外食産業は70万トンです。日持ちのする品目は厚く、生鮮は薄く持って納品の頻度で補う分け方が扱いやすくなります。
発注をシステム化すると、どこまでが解決しますか
名称と単位の統一、在庫の可視化、発注の控えの集約は仕組みで解けます。当日の出数の見立てと数量の最終判断は、人の側に残ります。2024年時点でクラウドサービスを利用する企業は80.6%で、土台を持つ敷居は下がっています。
取引先が電話とFAXのままでも、見直しは進められますか
進められます。手段は取引先に合わせたまま、発注の控えを自社の側で同じ形にそろえる方法があります。標準形式に対応する卸・メーカーは21,600社以上、直近半年間の増加は700社以上と公表されており、取扱高の大きい取引先から確かめてください。
本部と店舗で発注の役割はどう分けますか
商品マスタと単位の定義、取引先と価格の枠組み、欠品の記録の分類と集計は本部が担い、実地の在庫の確認と当日の数量の最終判断は店舗が担う分け方が扱いやすくなります。立地や厨房の広さの差は、店舗の判断で吸収します。
- 1 出典:農林水産省「食品ロスとは(食品ロス量の推計値)」(2026年) 経路
- 2 出典:公正取引委員会「フードサプライチェーンにおける商慣行に関する実態調査」(2025年) 経路
- 3 出典:流通システム標準普及推進協議会(一般財団法人流通システム開発センター)「第28回 卸・メーカーの流通BMS導入企業数推計」(2025年) 経路
- 4 出典:株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」(2025年) 経路
- 5 出典:総務省「令和7年版 情報通信白書(クラウドサービス)」(2025年) 経路
画像の出典元
- Close-up shot of two glasses with fascinating reflections an/Photo by Alexey Demidov on Pexels
- A luxury magnifying glass with a gold frame and red handle o/Photo by Kader D. Kahraman on Pexels
- A black coffee mug on an office desk with a blurred laptop i/Photo by Pavel Danilyuk on Pexels