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ショップバイヤーの費用と費用対効果|相場の見方と自社運用・委託・仕組み利用の選び方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • ショップバイヤーの費用は、人件費・委託料・システム利用料・在庫や値引きに表れる間接費の4欄に分け、同じ欄どうしで比べる
  • 公開されている料金はサービスごとの条件付きの値で、市場の相場ではない。料金が変わる境目を、自社の人数・仕入先数・発注回数と照らし合わせる
  • 費用対効果は、仕入原価率と粗利、在庫回転、発注・確認の工数を、体制を変える前後で同じ方法で測って判断する
  • 増えた工数が事務の手間なら仕組みの利用から、仕入の判断が追いつかないなら自社運用と外部委託の比較から検討する
  • 契約前に、無料枠の上限と切り替え条件、料金ページにない手数料、返品・支払期日・値引きの扱いを確かめる

50代後半の日本人女性が倉庫でのピッキングをしている場面

バイヤー業務の費用は何を足した金額で、どの欄に現れるのか

仕入先が増えるたびに、発注書づくりや単価の確認、在庫の調整に追われる。
それでもバイヤー業務に誰がいくらかけるべきか、決めきれない。
そうした場面でまず変えられるのは、「相場」の読み方です。
ショップバイヤーの費用は、人件費・委託料・システム利用料・在庫や値引きに表れる間接費に分け、同じ欄どうしで比べます。
費用対効果は、仕入原価率と粗利、在庫回転、発注・確認の工数で測ります。
そのうえで仕入先数や発注頻度に合わせて、自社運用・外部委託・仕組みの利用から選びます。

仕入先が増えたときに膨らむ工数

たとえば、仕入先が数社だった頃は、店長が空き時間に発注を済ませていた店があるとします。
取扱ブランドが増えて、仕入先も倍以上になりました。
仕入先ごとに発注書の書式が違い、FAXで送る先、メールで送る先、電話で済ませる先が混ざります。
新商品の案内を読み、単価改定の連絡を台帳に反映し、納品書と発注書を突き合わせ、請求書の金額をもう一度確かめます。
どれも一件ずつは短い作業ですが、仕入先と品目の数だけ繰り返されます。

困るのは、こうした時間がどこにも「バイヤー業務の費用」として記録されていないことです。
店長や販売スタッフの給与にまとめて含まれているため、損益計算書を見ても、仕入にいくらかけているかは分かりません。
そのため、外部に任せる見積もりやサービスの月額を見ても、比べる相手となる自社の数字がない状態になります。

ここでいうショップバイヤーの費用は、人を雇う費用や代行会社への支払いだけを指すものではありません。
店が卸やメーカーから仕入れるときの、選定・発注・価格交渉・在庫調整という仕入側の業務にかかる費用全体として考えます。
人を採用しても、外注しても、サービスを使っても、この業務のどこかを誰かが担っていることは変わらないからです。

費用の4欄(人件費・委託料・システム利用料・間接費)

仕入側の業務にかかる費用は、次の4つの欄に分けると比べやすくなります。
この分け方は会計上の決まりではありません。
やり方の違う選択肢を、同じ物差しで並べるための整理です。

・人件費:社内の担当者が仕入業務に使っている時間分の給与など
・委託料:仕入業務の一部または全部を外部に任せたときの支払い
・システム利用料:受発注サービスなどの仕組みの月額や初期費用
・間接費:過剰在庫の値引き、保管、発注ミスの手直しなど、仕入の判断や作業の結果として後から表れる費用

比べるときの約束は、金額を同じ欄どうしで並べることです。
サービスの月額と担当者の給与を直接比べるのは避けます。
片方には作業する人の時間が入り、もう片方には道具代しか入っていないため、安い・高いの判断がずれるからです。
サービスを使っても、発注の判断や仕入先とのやり取りは社内に残ります。
そのため、システム利用料の欄が増えたときは、人件費の欄がどれだけ減るのかを合わせて見る必要があります。

見落としやすい欄:発注・確認の工数と在庫・値引き

4欄のうち、金額として目に入りやすいのは委託料とシステム利用料です。
請求書が届き、毎月の支払いとして記帳されるからです。
反対に見えにくいのが、人件費に埋もれた発注・確認の工数と、在庫や値引きに表れる間接費です。

発注・確認の工数は、担当者が発注にかかった時間を記録していない限り、数字になりません。
仕入先が増えれば、発注書を作る回数だけでなく、単価が最新か、納品数量が合っているか、請求額が発注どおりかを確かめる回数も、仕入先の数だけ増えます。
確認を省けば工数は減りますが、誤発注や請求の食い違いが、後の手直しとして戻ってきます。

間接費には、さらに時間差があります。
多めに仕入れた商品が売れ残れば、しばらく後に値引き販売や保管場所の圧迫として表れます。
仕入の判断と結び付けて記録しておかないと、その原因が分からなくなります。
安い仕入値を取るために発注量を増やせば、仕入原価は下がります。
しかし売れ残りが出れば、そのぶん間接費の欄が増えます。
単価だけを見て判断すると、この相殺が見えません。

仕入先の増加が、バイヤー業務の費用のどの欄に表れるか
仕入先と品目が増えたときの費用の表れ方を示した図。発注・確認の工数は人件費の欄に、発注量の判断は仕入原価率と在庫・値引きの間接費に、確認漏れは手直しとして人件費と間接費に表れる
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 仕入先・品目の増加
    • 発注書の作成・送付が増える
    • 単価・納品・請求の確認が増える
    • 発注量の判断が増える
  2. 発注・確認の工数
    • 人件費の欄に含まれ、仕入の費用として見えにくい
  3. 発注量・仕入単価の判断
    • 仕入原価率に表れる
    • 売れ残れば値引き・保管として間接費の欄に表れる
  4. 確認漏れ・誤発注
    • 手直しの作業として人件費と間接費の欄に戻る

費用の相場はどう読み、どこまで公開情報で確かめられるのか

「相場」が指す金額を揃える

「バイヤーの費用相場」を調べると、さまざまな金額が同じ言葉のもとに並びます。
仕入担当者を採用したときの給与、仕入代行や買付代行の料金、受発注サービスの月額などです。
前の節の4欄でいえば、これらは人件費・委託料・システム利用料という、それぞれ別の欄の金額です。
欄が違えば中身も違います。
ある金額が別の金額より安くても、それだけでは費用対効果を比べたことになりません。

同じ欄の中でも、金額は条件で大きく変わります。
人件費なら、仕入業務に使う時間の割合と、担当者の経験や役割によって変わります。
委託料なら、任せる範囲が発注の事務だけなのか、仕入先の開拓や価格交渉まで含むのかで変わります。
料金を月額で決めるのか、発注額や件数に応じて決めるのかでも変わります。
システム利用料なら、使う人数、登録する仕入先の数、送る発注書の回数といった上限の条件で変わります。
相場の数字を見るときは、まずその金額がどの欄の、どんな条件の値なのかを揃えます。

公開されている仕組みの料金の例と読み方

4欄のうち、料金が公開されていて、条件まで確かめやすいのは受発注サービスのシステム利用料です。
一例として、ラクーンコマースが提供する受発注サービスCORECの、発注側(仕入れる側)向け料金ページを見てみます1。

このページによると、発注側の初期費用は0円です。
プランは、月額0円の無料プランと、月額1,480円(税別)のビジネスプランが示されています1。
無料プランを使えるのは会員登録した1名だけです。
発注書へ商品を登録できる仕入先は1社のみで、FAXの発注書を無料で送れるのは月5回までです1。
ビジネスプランでは、担当者を何名でも追加でき、商品登録は何社でも可能です。
FAXの無料送信は月200回までになります1。

この料金から読み取れるのは、市場の相場ではありません。
このサービスで料金が変わる境目です。
月額が変わる条件は、使う人数、登録する仕入先の数、FAXで送る回数に置かれています。
つまり、自社の担当者が何人いて、仕入先が何社あり、FAXでの発注が月に何回あるかを数えれば、どちらのプランに当たるかが決まります。
他のサービスの料金を見るときも、金額そのものより、どの数が料金の境目になっているかを確かめます。
そうすれば、自社の利用規模で比べられます。

料金ページに書かれていない費用にも注意が要ります。
このページには、手数料についての記載がありません1。
記載がないことは、無料であることと同じではありません。
取引金額に応じた費用や決済に関わる費用があるかどうかは、利用規約や問い合わせで別に確かめます。

人件費・委託料は自社の求人条件・見積もりで埋める

人件費と委託料は、業務範囲や条件をそろえた相場額として示せる公開資料が見当たりません。
そのため、本記事では金額を挙げません。
この二つの欄は、世間の平均値を探すより、自社の条件で埋めるほうが判断に使えます。

人件費の欄は、担当者がすでに社内にいる場合、給与と会社が負担している費用を合わせ、月の労働時間で割って1時間あたりの費用を出します。
そこに仕入業務に使っている時間を掛ければ、いまの体制でバイヤー業務にかけている金額の目安になります。
新たに採用する場合は、自社が出そうとしている求人条件の給与を起点に、同じ計算をします。

Euro bills under magnifying glass with calculator, symbolizing finance and analysis.
▽ 写真の出典元

委託料の欄は、見積もりを取って埋めます。
見積もりを頼む前に、依頼する業務の範囲を書き出しておきます。
そうすると、複数の依頼先の金額を同じ条件で並べられます。
発注の事務だけを任せる場合と、仕入先の選定や価格交渉まで任せる場合とでは、社内に残る作業も違います。
委託料と一緒に「社内に残る人件費」も見積もっておくと、欄どうしの比較が崩れません。

プラン 月額(円)
無料プラン 0
ビジネスプラン 1480

費用対効果は何の指標で測り、どの程度で見合うと判断できるのか

仕入原価率と粗利

4欄の費用が埋まったら、次はその費用で何が戻ってくるかを測ります。
回収の側を測る指標は、仕入原価率と粗利、在庫回転、発注・確認の工数の3つです。
どれも自社の帳簿や業務記録から出せる数字です。
外部の平均値と比べるより、自社の過去と比べるのに向いています。

仕入原価率は、売上に対して仕入の原価がどれだけの割合かを示す数字です。
粗利は、売上から売上原価を引いた額です。
価格交渉や仕入先の見直しで単価が下がれば、仕入原価率は下がり、同じ売上でも粗利が増えます。
バイヤー業務に費用をかける理由が「仕入値を下げたい」なら、まずこの数字が動いたかを見ます。

ただし、仕入原価率だけで判断しないようにします。
前の節で触れたとおり、まとめ買いで単価を下げても、売れ残って値引きすれば粗利は減ってしまいます。
同じ月どうし、同じ商品群どうしで比べ、値引き額も合わせて見ます。
そうすると、仕入値の改善が本当に粗利に残ったかが分かります。

在庫回転

在庫回転は、一定期間に在庫が何回入れ替わったかを見る指標です。
一般には、期間中の売上原価を、その期間の平均在庫額で割って求めます。
回転が遅くなっている商品は、売れる速さに対して仕入が多すぎる可能性があります。
その場合、後になって値引きや保管の費用として間接費の欄に表れます。

バイヤー業務の成果は、仕入値だけでなく発注量の判断にも表れます。
発注の頻度を上げて一回の量を減らせば、在庫は軽くなります。
その一方で、発注と確認の回数が増え、工数の欄が膨らみます。
在庫回転と工数は、片方を改善するともう片方が悪化しうる関係にあります。
両方を並べて記録しておくと、どちらか一方だけを見て判断を誤ることを避けられます。

「何回転なら適正か」という基準は商材によって異なり、一律の目安は示せません。
日持ちのしない商品と、季節をまたいで売れる商品とでは、同じ回転数でも意味が違います。
商品群ごとに、体制を変える前の値を記録しておき、変えた後の値と比べます。

発注・確認の工数を人件費に置き換える

3つ目の指標である工数は、そのままでは時間の数字です。
これを人件費の欄と同じ単位に置き換えます。
月の発注件数に1件あたりの作業時間を掛けると、月に発注業務へ使っている時間が出ます。
そこへ前の節で出した1時間あたりの人件費を掛ければ、発注業務の月額費用になります。

1件あたりの作業時間には、発注書を作って送る時間だけでなく、単価の確認、納品との照合、請求額の確認までを含めます。
最初から正確に測る必要はありません。
担当者に一定の期間、作業ごとの時間をメモしてもらえば、平均の目安が出ます。
仕組みを導入したり業務を委託したりした後も同じ記録を取ります。
そうすれば、どの作業の時間が減り、どの確認が社内に残ったかを比べられます。

では、どの程度なら費用に見合うといえるのでしょうか。
「費用の何倍の効果があれば十分」という倍率は示せません。
基本の筋道は、同じ期間について、増えた欄の費用、減った欄の費用、粗利の増減を並べ、差し引きがプラスかどうかを見ることです。
たとえば仕組みの月額が増えても、発注・確認の工数を人件費に置き換えた額がそれ以上に減っていれば、費用の面では見合っています。
ただし、効果がひと月で出るとは限りません。
何か月かの推移で見ること、そして変化の理由が体制の変更なのか、季節や品揃えの変化なのかを切り分けることが必要です。

測り方を決めたら、次の順に進めます。
体制を変える前の値を記録し、変えた後に同じ方法で測り直し、欄ごとの差を見て次の見直しにつなげます。
この繰り返しは、社内に費用の根拠を説明するときの材料にもなります。

費用対効果を、同じ指標の測り直しで確かめる流れ
変更前の値の記録、体制の変更、同じ方法での測り直し、欄ごとの増減の比較、次の見直し点の決定を一巡させ、最初の記録へ戻る流れを示した図変更前の値の記録、体制の変更、同じ方法での測り直し、欄ごとの増減の比較、次の見直し点の決定を一巡させ、最初の記録へ戻る流れを示した図変更前の値を記録する仕入原価率・粗利在庫回転発注・確認の工数体制を変える自社運用の見直し・外部委託・仕組みの利用同じ方法で測り直す同じ月どうし・同じ商品群どうしで比べる欄ごとの増減を比べる増えた費用の欄減った費用の欄粗利の増減次の見直し点を決める社内に残った確認作業仕入先の対応状況

▼ 図の内容を文字で読む
  • 変更前の値を記録する
    • 仕入原価率・粗利
    • 在庫回転
    • 発注・確認の工数
  • 体制を変える
    • 自社運用の見直し・外部委託・仕組みの利用
  • 同じ方法で測り直す
    • 同じ月どうし・同じ商品群どうしで比べる
  • 欄ごとの増減を比べる
    • 増えた費用の欄
    • 減った費用の欄
    • 粗利の増減
  • 次の見直し点を決める
    • 社内に残った確認作業
    • 仕入先の対応状況

仕入先数・発注頻度・商材の特性で、どのやり方から検討するのがよいのか

3つのやり方で増減する欄

ここまでで、費用を4欄で数え、回収を3つの指標で測る準備ができました。
残る問いは、自社運用・外部委託・仕組みの利用のどれから検討するかです。
3案の違いは、4欄のどこが増えて、どこが減るかで整理できます。

自社運用は、担当者を置くか、既存の社員の時間を仕入業務に充てる方法です。
委託料もシステム利用料も増えない代わりに、人件費の欄はすべて社内に残ります。
仕入先とのやり取りや売れ筋の感覚が社内にたまる点は、ほかの案にない利点です。

外部委託は、委託料の欄が新たに増え、そのぶん社内の人件費が減る方法です。
ただし、何を仕入れるか、どれだけ在庫を持つかの最終判断は社内に残ります。
委託先への指示と結果の確認も同じです。
委託先の判断は在庫や値引きの結果に表れます。
そのため、間接費の欄は委託先の働きと自社の確認の両方で決まります。

仕組みの利用は、システム利用料の欄が増え、発注書の作成や送付、転記といった作業の工数が減る方法です。
減るのは主に事務の手間で、何をどれだけ仕入れるかという判断の時間は残ります。
また、仕組みの効果は、仕入先がその仕組みで受注できるかどうかに左右されます。

比較表:4軸×3案

この表は、どの案が優れているかを示すものではありません。
自社の条件がどの行で効いてくるかを見つけるための整理です。
判断の分かれ目は、仕入先数と発注頻度が増えたとき、増えた工数が事務の手間なのか、判断の手間なのかという点です。

増えたのが主に発注書づくりや送付、転記といった事務なら、仕組みの利用から検討する理由があります。
システム利用料が増えても、減った工数を人件費に置き換えた額と比べやすいからです。
さらに、前の節で見たように、料金の境目は人数や仕入先数で決まっていて、自社の数と照らし合わせやすくなっています。

一方、仕入先の開拓や価格交渉、品揃えの判断が追いつかないのであれば、事務を減らしても問題は残ります。
この場合は、経験のある担当者を社内に置くか、判断の一部を外部に任せるかの比較になります。
人件費の欄と委託料の欄を、社内に残る確認の時間まで含めて並べます。
仕入先がまだ少なく、発注も月に数えるほどしかない場合は、費用を増やさない選択もあります。
自社運用のまま工数の記録だけを始め、増え方を見てから判断します。

仕入先が仕組みに対応しているかの確認

仕組みの利用を考えるとき、料金と同じくらい大切なのが仕入先側の事情です。
発注側だけがサービスを使い始めても、仕入先が従来どおりFAXや電話で受けるなら、どうなるでしょうか。
発注書の作成は楽になっても、受注確認や納期の返答は以前のやり取りのまま残ります。

CORECの例でいえば、無料プランで発注書に商品を登録できる仕入先は1社のみです1。
複数の仕入先との発注をまとめたいなら、ビジネスプランを前提に費用を見積もることになります1。
FAXで発注書を送る場合も、無料で送れる回数がプランごとに決まっています1。
FAXでしか受けない仕入先が多いほど、その上限に近づきます。

40代後半の日本人女性が整備工場の部品棚の確認をしている場面

仕入先に新しい仕組みへの対応を頼む場合は、相手の負担がどれくらいかも気になるところです。
中小企業庁のミラサポplusは、中小企業共通EDI標準(企業間で受発注データをやり取りするための共通の取り決め)について説明しています。
それによると、受注側企業は対応したプロバイダーと業務アプリを利用するだけで済み、大きな費用はかからないとされています2。
ただし、具体的な金額は書かれていません。
また、2018年時点の支援施策の情報を含む、受注側についての記述です。
発注側の費用の目安としては使えません。
同じ記事では、発注側企業も、対応したプロバイダーと契約すれば、独自に作ったシステムを使い続けられると説明しています2。
仕入先にどの方式なら対応できるかを聞いておけば、仕組みを入れた後も社内に残るやり取りを、前もって見積もれます。

検討の軸 自社運用 外部委託 仕組みの利用
仕入先数 少ないうちは負担が小さく、増えるほど工数が人件費の欄に積み上がる 任せる範囲と料金の算定方法を見積もりで確認する 利用人数や登録できる仕入先数の上限が料金の境目になる
発注頻度 頻度が上がるほど発注・確認の工数が増える 件数に応じた料金かどうかを見積もりで確認する 定型の発注が多いほど作成・送付の手間を減らしやすい
商材の特性 目利きや売れ筋の判断を社内に残せる 社内にない商材知識や仕入先とのつながりを補えるかを確認する 発注の事務は減るが、何をどれだけ仕入れるかの判断は残る
取引条件 仕入先との条件を自社で直接交渉・管理する 委託先の権限と返品・支払の扱いを契約で確認する 仕入先の対応状況と、料金ページ外の手数料を確認する

始める前に、取引条件や契約のどこを確認すれば想定外の費用を避けられるのか

利用プランの上限と切り替え条件

どのやり方を選んでも、想定外の費用は、契約の前に読んでいなかった条件から生まれます。
仕組みの利用では、無料枠の上限と、上位プランへ切り替わる条件がその代表です。

CORECの例では、2人目の担当者を加える、2社目の仕入先を発注書に登録する、といった使い方は無料プランの条件を超えます1。
FAXの発注書を無料で送れるのは月5回までです。
それを超えた場合の扱いは、料金ページの条件とあわせて確かめておく必要があります1。
ビジネスプランへの申込は、会員登録後の設定画面から行います1。

無料で試しに始めるのは、使い勝手を確かめる方法として有効です。
ただし、無料の条件のまま本番の発注を回すと、仕入先が増えた時点で切り替えが必要になり、その月から費用の欄が変わります。
始める前に、自社の担当者数・仕入先数・FAX発注の回数を数え、少し先の見込みも含めて、どのプランに当たるかを決めておきます。
そうすれば、社内で費用を説明するときにも食い違いが起きにくくなります。
相場の節で触れたとおり、料金ページに載っていない手数料は、利用規約や問い合わせで確かめます。

手数料・返品・支払期日・値引きの確認

外部委託や仕入先との取引では、確認する場所が契約書と見積書に移ります。
費用の欄でいえば、委託料に上乗せされる手数料と、在庫・値引きの間接費に効いてくる返品・支払・値引きの条件です。

・手数料:委託料とは別に、発注額や件数に応じた手数料や、交通費・送料などの実費が請求されるか
・返品:売れ残りや不良品を返せるか、返品の期限と送料をどちらが負担するか
・支払期日:締め日と支払日、請求書の発行が遅れた場合の扱い
・値引き:数量に応じた値引きの条件と、値引き分をいつ、どの書類で精算するか

このうち返品と値引きは、間接費の欄に直接つながります。
返品できる条件が広ければ、売れ残りの負担は軽くなります。
ただ、返品条件は単価や他の条件とセットで決まっていることがあります。
単価と返品条件を別々に比べるのではなく、両方を合わせた結果として間接費がどう変わるかを考えると、条件の良し悪しを取り違えにくくなります。

対象取引なら押さえる取適法の要点

委託や取引の条件を確認するとき、取引の種類によっては法律の規律がかかります。
公正取引委員会は、取適法(中小受託取引適正化法)の対象となる取引について、発注する側である委託事業者が守るべき点を示しています3。
ただし、店が卸やメーカーから商品を買う通常の仕入が、そのまま同法の対象になるとは限りません。
自社の取引が対象かどうかは、公正取引委員会が示す対象取引と事業者の定義で確かめてください。

対象となる取引であれば、次の点が契約や運用の確認項目になります3。

・代金の減額:発注時に決めた代金を発注後に減らすことはできない。
「歩引き」「手数料」などの名目でも同じで、例外は一定の要件を満たすボリュームディスカウントに限られる
・返品:相手に責任のない理由での返品はできない。
受入検査で不良と判断した物を、受領後速やかに返品する場合に限って認められる
・支払期日:受領後60日以内で、具体的な日が特定できる期日を定めて支払う。
請求書の提出が遅れても、この義務は変わらない
・やり直し:費用を負担せずにやり直しを求められるのは、保証期間が1年以内の場合、受領後1年まで

40代後半の日本人男性が町工場の資材棚の確認をしている場面

店が委託する側になる対象取引では、手数料名目の差し引きや、相手に責任のない理由での返品を前提に費用を組み立てても、その前提自体が成り立ちません。
見積もりの段階で、間接費を小さく見せるためにこうした条件を当て込まないことが、後から計算を作り直さないための備えになります。

自社の給与や発注件数を費用の欄に当てはめるときは、どの作業時間をどの欄に入れるかで迷いやすく、社内だけでは基準がぶれがちです。

相談では、いまの仕入業務の流れをもとに、費用の欄の分け方と、体制を変える前に記録しておく指標を整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
費用の数え方 人件費・委託料・システム利用料・間接費の4欄に分け、同じ欄どうしで比べる
相場の読み方 金額がどの欄の、どんな条件の値かを揃えてから見る
費用対効果 仕入原価率と粗利、在庫回転、発注・確認の工数を、変更の前後で同じ方法で比べる
やり方の選び方 増えた工数が事務なら仕組みの利用、判断なら自社運用と委託を比べる
契約前の確認 プランの上限と切り替え条件、ページ外の手数料、返品・支払期日・値引きの扱い
30代後半の日本人女性が工場の通路での資材確認をしている場面

仕組みの利用や委託を決める段階では、料金ページや見積書に載らない条件と、仕入先側の対応状況を同時に見る必要があります。 相談では、仕入先数や発注方法を前提に、契約前に確かめる条件を洗い出し、切り替え後に社内へ残る作業の見通しを確認できます。

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よくある質問

バイヤー業務を外部に委託するとき、見積もりで確認すべき項目は何ですか

見積もりを頼む前に任せる業務の範囲を書き出し、各社に同じ条件で依頼すると、金額を並べやすくなります。
確認したいのは、任せる範囲が発注の事務だけか、仕入先の選定や価格交渉まで含むかです。
あわせて、料金が月額か、発注額や件数に応じるか、委託料とは別にかかる手数料や実費があるかを確かめます。
委託後も社内に残る指示や確認の時間を見積もっておくと、人件費の欄と並べて比べられます。

仕入先が少ない段階でも、仕組みを使うメリットはありますか

仕入先が1社だけなら、CORECのように無料プランで使える仕組みもあり、発注書の作成や送付を整える目的で試せます1。
ただし、同サービスの無料プランは、利用者が1名、商品登録できる仕入先が1社までです。
仕入先が増えた時点でプランの見直しが必要になります1。
仕入先が少ないうちは、減らせる工数も小さめです。
まず発注・確認の時間を記録し、仕組みの月額と比べて判断するのが無理のない進め方です。

在庫が過剰かどうかは、どの指標で判断しますか

在庫回転で見ます。
期間中の売上原価を平均在庫額で割り、商品群ごとに、体制を変える前の値と比べます。
適正な水準は商材によって違います。
一律の基準を当てはめるより、回転が落ちた商品群に値引きや保管の負担が出ていないかを合わせて確かめるほうが判断しやすくなります。

仕入担当者の工数を、人件費に置き換えるにはどう計算しますか

まず、担当者の給与と会社負担の費用を合わせ、月の労働時間で割って1時間あたりの人件費を出します。
次に、月の発注件数に1件あたりの作業時間を掛けて発注業務の時間を求め、そこへ1時間あたりの人件費を掛けると月額になります。
作業時間には、発注書の作成だけでなく、単価・納品・請求の確認まで含めます。

無料プランで始めて、有料プランへ切り替える目安は何ですか

CORECの場合、担当者を2名以上にしたいとき、または発注書に商品登録する仕入先が2社以上になるときが、無料プランの条件を超える目安です1。
FAXの発注書は、無料プランでは月5回まで、ビジネスプランでは月200回まで無料で送れます1。
他のサービスでも、料金が変わる境目が人数・仕入先数・送信回数のどこにあるかを確かめ、自社の数と照らし合わせます。

仕入先との取引条件を見直すとき、先に確認すべき書類は何ですか

まず、仕入先との基本契約書と、個別の発注書・注文請書に書かれた条件を確認します。
次に、支払の締め日と支払日、返品の条件、値引きや手数料の精算方法が、契約と実際の請求書で一致しているかを見ます。
そうすると、見直す点を絞り込めます。
取適法の対象となる取引であれば、代金の減額や返品の制限、受領後60日以内の支払期日の定めなどの規律もあわせて確認します3。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:株式会社ラクーンコマース「COREC(コレック)発注側(バイヤー)向け料金ページ」(2026年)
  2. 2 出典:中小企業庁「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!(ミラサポplus)」(2020年)
  3. 3 出典:公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」(2026年)

画像の出典元

  1. Euro bills under magnifying glass with calculator, symbolizing finance and analysis./Photo by Pixabay on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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