◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 運賃の増加は、運送会社からの値上げ要請という外の要因と、1回の運送に積む量が増えないという自社の出荷の要因に分けて見る。
- 運賃請求を拠点×届け先×出荷単位に分けると、原因が出荷のタイミング、荷姿・ロット、拠点と運送会社の組み合わせのどこにあるか当たりをつけられる。
- 国の判断基準が発荷主に求めるリードタイムの確保、納品日の集約などによる発送量の適正化、社内連携から着手し、届け先とは協議で条件を決める。
- 共同配送や混載は、運送会社が積み合わせを組めるだけのリードタイムを確保した後の選択肢になる。
- 全荷主には努力義務があり、取扱貨物の重量9万トン以上の特定荷主には2026年4月から指定と中長期計画の義務が加わる。
目次

多頻度小口の配送で運賃の増え方を説明できないとき、まず見る費用の発生箇所
多頻度小口の出荷を複数の拠点から続けていると、出荷件数の増加以上に運賃が伸びているように見えることがあります。
それなのに、拠点別・届け先別に見ても増え方を説明できない。
そのような場合は、運賃請求を拠点×届け先×出荷単位に分けてみてください。
原因が出荷のタイミング、荷姿・ロット、拠点と運送会社の組み合わせのどこにあるかが見えてきます。
打ち手は、国の判断基準が荷主に求める、実態に即したリードタイムの確保と、納品日の集約などによる発送量の適正化から始めます。
共同配送や混載は、締め時刻や納品日に余裕を持たせた後の選択肢です。
運送会社からの値上げ要請という外から来る要因
運賃の増加には、外から来る分と、自社の出荷が決める分が混ざっています。
外から来る分は、自社の出荷の仕方とは関係なく生じます。
この二つを分けずに請求額の合計だけを追うと、判断がそこで止まってしまいます。
「件数が増えたから仕方がない」とも「どこかに無駄がある」とも言い切れないからです。
外から来る分の代表が、運送会社からの運賃・料金の値上げ要請です。
JILSの2025年度物流コスト調査では、物流事業者から値上げ要請を受けた企業の割合は92.8%でした1。
同調査によると、売上高物流コスト比率は長期的に上昇傾向にあります。
背景には、運賃・料金の値上げ要請と、労働力不足による人件費の高騰があります1。
ただし、この調査は荷主企業の回答に基づく全業種の傾向です。
多頻度小口の出荷に絞った結果ではありません。
同じ企業を2年続けて比べた135社では、比率の平均値は前年度から変わっていません。
個社で見ると、比率が上がった企業は69社(51.1%)で、下がった企業の66社をわずかに上回りました1。
つまり、値上げ要請はほぼ共通して受けていても、物流コストが売上に対して重くなるかどうかは会社ごとに分かれています。
その差がどこから来るのかは、調査からは分かりません。
それでも、自社の出荷の仕方で左右できる部分を見ていく理由にはなります。
値上げ要請による増加は、単価の改定として請求書に現れます。
改定の前後で、同じ届け先・同じ荷姿の運賃を比べてみてください。
単価が変わったことによる増加分を、おおよそ切り出せます。
切り出した残りが、次に見る自社側の要因です。
便数と積載効率という自社の出荷が決める要因
自社側の要因を考えるときの軸になるのが、積載効率です。
国土交通省は、積載効率の向上を「1回の運送でトラックに積載する貨物量を増やすこと」と説明しています3。
逆に、1回の運送に積む量が増えないまま出荷の回数だけが増えるとどうなるでしょうか。
運ぶ荷物の総量に比べて、便の数が多くなります。
多頻度小口の出荷は、この状態を生みやすい形です。
たとえば、ある拠点が同じ届け先へ週に1回まとめて出していた荷物を、届け先の要望に合わせて毎日少しずつ出すようになったとします。
運ぶ総量が同じでも、出荷の回数は増え、1回あたりの荷物は小さくなります。
運賃が1回の出荷ごと、あるいは1個ごとに計算される契約なら、総量が変わらなくても請求額は増えます。
多拠点になると、これが拠点の数だけ重なります。
拠点ごとに締め時刻や運送会社が違えば、同じ届け先へ向かう荷物が別々の便で届くこともあります。
拠点ごとに見れば、一つひとつの出荷は小さな判断です。
しかし全体で見ると、1回の運送に積む量を増やせる機会を逃していることになります。
便の数や積載の状態が運賃にどの程度響くかは、運賃の計算方法と契約によって違います。
そのため、一般論で「どこに無駄があるか」を決めつけるのは危険です。
自社の請求データを分けて、どの組み合わせで1出荷あたりの運賃が高いかを見るほうが確実です。
拠点別・届け先別・出荷単位別に運賃を分けて、原因の当たりをつける
拠点×届け先×出荷単位の表の作り方
自社の出荷が決める部分を探すには、運賃請求を細かく分けた表が必要です。
ここで紹介する表の作り方は、公的な手順ではありません。
請求データから原因の当たりをつけるための、一つの提案として読んでください。
表の行は「拠点×届け先」の組み合わせにします。
列には、使った運送会社、期間内の出荷件数、個数や重量、運賃の合計を並べます。
そのうえで、運賃の合計を出荷件数で割った1出荷あたりの運賃と、届け先ごとの出荷頻度を計算します。
個数や重量も分かれば、1個あたり・1キログラムあたりの運賃も出せます。
期間は、月単位で複数か月分そろえると扱いやすくなります。
1か月分だけでは、たまたま出荷が集中した月の数字に引っ張られるからです。
月ごとの並びがあれば、後で繁閑の偏りを見るときにも使えます。
元になるのは、運送会社からの請求明細と、社内の出荷記録です。
請求明細に拠点や届け先が載っていれば、そのまま集計できます。
月次の合計額しか届いていない場合は、出荷ごとの明細を出してもらえるか、運送会社に相談するところから始めます。
社内の出荷記録(出荷指示や送り状の控えなど)に届け先と個数が残っていれば、それと突き合わせて運賃を割り付けることもできます。
出荷のタイミング・荷姿とロット・拠点と運送会社の組み合わせの見分け方
表ができたら、1出荷あたりの運賃が高い組み合わせから順に見ていきます。
見るべき兆候は、次の三つです。
<ul><li>出荷件数が多く、1回あたりの個数や重量が小さい組み合わせでは、出荷のタイミングを疑います。
同じ届け先へ間を置かずに出しているなら、まとめられる出荷があるかもしれません。</li>
<li>件数はそれほど多くないのに、1個あたりの運賃が高い組み合わせでは、荷姿・ロットを疑います。
発注や梱包の単位が小さく、1回に積む量が増えていないことがあります。</li>
<li>同じ届け先に、複数の拠点や複数の運送会社から別々の便が出ている場合は、拠点と運送会社の組み合わせを疑います。
拠点ごとに手配した結果、届け先から見ると荷物が分かれて届いている状態です。</li></ul>
ただし、これらの兆候だけで原因は確定しません。
1出荷あたりの運賃が高く見えても、届け先が遠ければ距離のせいかもしれません。
急ぎの便を使った月だけ高くなっていることもあります。
当たりをつけた組み合わせは、実際の明細で運賃の計算根拠と照らし合わせてください。
計算根拠とは、距離・重量・個数など、契約で決まっている要素のことです。
そのうえで、出荷の仕方で変えられる部分かどうかを見極めます。
複数の兆候が重なる組み合わせもあります。
その場合は、届け先と協議しなくても自社だけで変えられるものがどれかを考えると、着手の順番を決めやすくなります。
たとえば梱包単位の見直しは、社内で検討を始められます。
一方、出荷の頻度を減らすには、届け先の受け入れ条件が関わってきます。
| 列 | 入れる内容 | この列で分かること |
|---|---|---|
| 拠点 | 出荷した倉庫・店舗・工場など | どの拠点の出荷が重いか |
| 届け先 | 取引先・店舗・顧客などの受け取り先 | 届け先ごとの出荷の集中 |
| 運送会社 | その出荷を運んだ会社 | 同じ届け先へ複数の会社が向かっていないか |
| 出荷件数 | 期間内に出した回数 | 出荷の頻度 |
| 個数・重量 | 1回あたりの荷物の大きさ | 小口化の度合い |
| 運賃合計 | 請求明細の金額 | 費用の規模 |
| 1出荷あたり運賃 | 運賃合計を出荷件数で割った値 | 割高な組み合わせ |
リードタイム・納品日・発送量を見直す:判断基準が挙げる打ち手
リードタイムの確保と届け先との協議
原因が出荷のタイミングやロットにありそうだと分かったら、次は出荷のまとめ方を変えられるかを考えます。
手がかりになるのが、改正物流効率化法に基づいて国が定めた荷主の判断基準です。
判断基準は、荷物を送り出す側の荷主(第一種荷主)に対して、次の三つを求めています4。
実態に即した適切なリードタイムの確保、繁閑差の平準化や納品日の集約などによる発送量・納入量の適正化、そして物流・販売・調達など社内関係部門の連携の促進です。
リードタイムとは、注文を受けてから届けるまでに見込む時間のことです。
「今日の注文を明日届ける」前提で受注していると、拠点は荷物がまとまるのを待てません。
その日に出せる分を、その日に出すしかなくなります。
届けるまでの時間に余裕があれば、同じ届け先への注文を一度にまとめたり、決まった曜日の便に載せたりできます。
ただし、リードタイムは発荷主だけでは決められません。
届け先が翌日納品を前提に在庫を少なく持っているなら、納品が遅れると欠品の心配が出てきます。
判断基準は、荷物を受け取る側の荷主(第二種荷主)にも役割を定めています。
第一種荷主の取組に当たっての協議に応じ、必要な協力を行うことです4。
届け先には協議に応じる立場があります。
とはいえ、こちらの条件を一方的に押し通せるわけではありません。
相手の在庫や受け入れの事情を聞きながら決めていくことになります。
納品日の集約と繁閑差の平準化
納品日の集約とは、届け先ごとに納品する曜日や回数を決め、その日にまとめて届ける方法です。
毎日少しずつ届けていたものを週に数回にまとめられれば、1回の運送に積む量が増え、便の数は減ります。
積載効率を高める取組の例としても、納品日の集約が挙げられています3。
繁閑差の平準化とは、出荷が集中する時期と少ない時期の差を小さくすることです。
判断基準では、年・月・週の単位での平準化を求めています4。
月末や週明けに出荷が集中すると、その日だけ車両を追加で手配したり、急ぎの便を使ったりする必要が出ることがあります。
集計表で月ごと・曜日ごとの出荷件数を並べると、どの拠点にどの程度の偏りがあるかが分かります。
どちらの打ち手も、効果の大きさは届け先の数、距離、運賃の計算方法によって変わります。
そのため、削減幅を一律に言うことはできません。
実際にどれだけ下がったかは、見直しの前後で同じ集計表を作って比べることで確かめます。
社内の物流・販売・調達の連携
出荷のまとめ方を変えようとすると、物流部門だけでは決められないことが出てきます。
翌日納品を届け先と約束しているのは、営業や販売の部門かもしれません。
拠点への入荷が小口なのは、調達部門の発注単位のせいかもしれません。
判断基準も、発送量の適正化と並んで、物流・販売・調達などの社内関係部門の連携の促進を挙げています4。
具体的には、集計表で割高と分かった組み合わせを各部門に持ち寄ります。
販売部門には、届け先との約束(納期・納品回数)を確かめてもらいます。
調達部門には、発注単位と入荷の頻度を確かめてもらいます。
運賃の数字を共有すると、物流部門の都合ではなく、会社全体の費用の話として検討しやすくなります。
届け先へ協議を申し入れるのは、社内で変えられる条件と変えられない条件を整理してからのほうが、話が進みます。
「納品を週3回にできないか」と提案するとき、欠品時の対応や代わりの条件を添えられるかどうかは、社内の合意にかかっているからです。
運送会社の集約・共同配送・混載が向く場合と、先に要る条件
積合せ・共同配送・復荷の前提になるリードタイム
集計表を見て、同じ届け先へ複数の拠点や運送会社から別便が出ていると分かったとします。
そうなると、運送会社をまとめたり、共同配送や混載を使ったりして、便を一本にしたくなるはずです。
共同配送とは、複数の荷主や拠点の荷物を同じ車両で配送することです。
混載とは、行き先の近い荷物を1台に積み合わせることです。
どちらも、1回の運送に積む量を増やす方法です。
ここで押さえておきたいのは、こうした積み合わせを実際に組み立てるのは運送会社だという点です。
判断基準は、トラック事業者が複数荷主の貨物の積合せ、共同配送、復荷の確保などに取り組めるよう、実態に即した適切なリードタイムを確保することを第一種荷主に求めています4。
復荷とは、荷物を届けた帰り道に積む荷物のことです。
裏を返すと、締め時刻ぎりぎりに出荷が確定し、その日のうちに届ける必要がある荷物は、ほかの荷物と組み合わせる時間がありません。
運送会社を1社にまとめても、各拠点の出荷が当日ばらばらに確定するなら、便はまとまりにくいままです。
前の節でリードタイムや納品日を見直したことが、ここで効いてきます。
そのため、まず出荷のまとめ方を見直して便の数をある程度減らします。
荷量にまとまりが出た後で、積み合わせや共同配送を検討する。
これが自然な順番です。
共同配送や混載で運賃がどれだけ下がるか、どのような荷姿だと向かないかは、荷物の性質や運送会社の体制によって変わります。
一律の目安を置かず、個別に相談して見極める性質のものです。
運送会社へ拠点別の出荷実績を渡して相談する
積み合わせの余地があるかどうかは、荷主からは見えにくいものです。
どの車両がどの経路を走り、どこに空きがあるかを知っているのは運送会社だからです。
そこで、作った集計表をそのまま相談の材料にします。
渡す材料は、拠点別・届け先別の出荷件数、個数や重量、出荷する曜日と時刻、届け先の受け入れ時間です。
これに、見直し後に確保できるリードタイムを添えます。
たとえば「前日の何時までに出荷を確定できる」といった条件です。
そのうえで、積み合わせや共同配送に回せる荷物があるかを尋ねます。
複数の運送会社を使っているなら、同じ材料を渡して答えを比べることもできます。
運送会社の集約には、窓口が一つになり便をまとめやすくなる利点があります。
その一方で、1社への依存は強まります。
値上げ要請が回答企業の9割を超えて届いている状況では1、集約した後も運賃の改定を協議する場面は来ると考えておくほうが現実的です。
集約を判断するときは、運賃の水準だけを見ないでください。
拠点ごとの出荷条件にその会社が対応できるか、改定の際に比べられる材料を自社が持っているかも合わせて考えます。
自社に法対応は要るか:全荷主の努力義務と特定荷主の線引き
全ての荷主に課される3つの努力義務
ここまでの見直しは、法律が求めている内容とも重なります。
改正物流効率化法により、荷主と物流事業者には、物流効率化のための措置について努力義務が課されました。
この努力義務は2025年4月から適用されています2。
全ての荷主に求められるのは、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮の三つです3。
対象は、荷物を送り出す発荷主だけではありません。
荷物を受け取る着荷主も含まれます3。
つまり、納品日の集約を相談する相手である届け先も、同じ法律のもとで努力義務を負っています。
協議を申し入れる際に、お互いに求められている取組として話を切り出す材料になります。
努力義務の実効性を確保する取組としては、責任者の選任、社内教育、実施状況の把握、データの標準化、事業者間の連携も挙げられています3。
拠点別・届け先別に運賃と出荷件数を集計する作業は、このうち実施状況の把握に近いものです。
国は判断基準の解説書や取組のパターン集も用意しています2。
社内で説明するときの参照先として使えます。
特定荷主(9万トン以上)との違い
一方、一定規模以上の荷主は特定荷主に指定され、中長期計画の作成などの義務を負います。
特定事業者の指定と中長期計画の義務は、2026年4月から始まりました2。
特定荷主の指定基準は、取扱貨物の重量が9万トン以上です3。
自社がこの基準に当たるかどうかは、取り扱う貨物の重量を集計してみないと分かりません。
多拠点で小口の出荷をしている会社の場合、拠点ごとの重量はそれほど大きく見えないこともあります。
それでも全拠点分を合計すると、印象が変わる場合があります。
重量の数え方(どの期間の、どの範囲の貨物を合計するか)は、国の資料で確かめてから判断してください。
特定荷主に当たらない場合でも、努力義務は全ての荷主にかかっています。
ただ、全荷主向けの措置は努力義務として示されており、計画の作成が義務づけられる特定荷主とは扱いが違います。
そのため、法対応を急ぐ理由として読むよりも、見直しを社内や届け先に提案するときの裏づけとして使うほうが実情に合います。
打ち手の順番を決めるのは法律ではありません。
自社の請求データが示す、原因の位置です。
| 区分 | 対象 | 求められること | 時期 |
|---|---|---|---|
| 全ての荷主 | 発荷主・着荷主の全て | 積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮(努力義務) | 2025年4月から適用 |
| 特定荷主 | 取扱貨物の重量が9万トン以上の荷主 | 上記に加えて中長期計画の作成など | 2026年4月から指定 |
自社の状況別に、どの打ち手から着手するか
原因別の着手順の表
ここまでの切り分けを、原因の位置ごとに着手の順番として並べると、次の表のようになります。
これは、確認した制度と仕組みを踏まえた編集上の提案です。
どの会社でも同じ効果が出ることを示すものではありません。
表の三つの行はいずれも、届け先との協議か社内の連携を前提にしています。
違いは、最初に誰と話すかです。
出荷のタイミングが原因なら、最初の相手は届け先と販売部門です。
荷姿・ロットなら調達部門、拠点と運送会社の組み合わせなら運送会社になります。
複数の原因が重なっている場合は、出荷のタイミングとロットの見直しを先に進めると、後の打ち手につながりやすくなります。
便の数が減って荷物がまとまるほど、運送会社が積み合わせを組む余地も広がるからです。
反対に、同じ届け先へ別々の拠点から毎日荷物が出ている状態で、運送会社だけをまとめたとします。
出荷の確定が拠点ごとにばらばらなら、便は思ったほど減らないかもしれません。
拠点ごとの対策と全体の見直しのどちらを優先するかも、この表で考えられます。
割高な組み合わせが特定の拠点に偏っていれば、その拠点の出荷のまとめ方から手を付けられます。
同じ届け先へ複数の拠点から荷物が向かっているなら、話は変わります。
拠点を横断して出荷の割り振りや運送会社を見直すことになるので、全体で取り組む必要が出てきます。
効果を自社データで確かめる方法
見直しの効果は、最初に作った集計表を同じ形で作り直して比べます。
比べる指標は、原因の位置によって変えます。
納品日を集約したなら、届け先ごとの出荷件数と1出荷あたりの運賃を比べます。
荷姿を変えたなら、1個あたりや重量あたりの運賃です。
運送会社を見直したなら、同じ届け先へ向かう便の数と運賃の合計を比べます。
比べるときに気をつけたいのが、運賃単価の改定と出荷量の季節変動です。
見直しの期間中に値上げを受け入れていれば、出荷の仕方を変えた効果があっても、請求額の合計は下がらないことがあります。
改定の前後で単価を分けて見る、前年の同じ月と比べる、といった工夫をしておきましょう。
出荷の見直しによる変化と外から来る変化を分けておけば、社内に結果を説明しやすくなります。
結果が思わしくない場合も、集計表があれば次の手を考えられます。
件数は減ったのに運賃の合計が下がらないなら、運賃が重量や個数で計算される契約のため、まとめた効果が出にくい形になっていることも考えられます。
その場合は、計算方法を運送会社と確かめる段階です。
件数そのものが減っていないなら、届け先との取り決めが拠点の出荷の運用まで届いていないのかもしれません。
その場合は、拠点の締め時刻や出荷指示の出し方を見直します。
| 原因の位置 | 最初の打ち手 | 前提となる協議 | 確かめ方 |
|---|---|---|---|
| 出荷のタイミング | 納品日の集約と締め時刻の調整 | 届け先の在庫・受け入れ条件、販売部門の納期の約束 | 届け先ごとの出荷件数と1出荷あたり運賃を前後で比べる |
| 荷姿・ロット | 発注単位・出荷単位の見直しによる発送量の適正化 | 調達部門の発注単位、届け先の受け入れ単位 | 1個あたり・重量あたりの運賃を前後で比べる |
| 拠点と運送会社の組み合わせ | 運送会社への拠点別実績の共有と、集約・共同配送の相談 | リードタイムの確保、運送会社との条件の協議 | 同じ届け先への便数と運賃合計を前後で比べる |
拠点が多いほど、請求明細と出荷記録の突き合わせに手間がかかります。どの組み合わせが割高なのかを社内だけで見極めるのは難しくなりがちです。
手元の請求明細と出荷記録をもとに、どの拠点・届け先の組み合わせから見るべきか、誰との協議から始めるかを相談しながら整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 原因の切り分け | 運賃請求を拠点×届け先×出荷単位に分け、1出荷あたり運賃と出荷頻度を見る |
| 出荷のタイミング・ロット | リードタイムの確保、納品日の集約、繁閑差の平準化から着手し、届け先と協議して決める |
| 運送会社の集約・共同配送 | リードタイムを確保して荷量がまとまった後に、拠点別の出荷実績を渡して相談する |
| 法対応 | 全荷主は努力義務。特定荷主は取扱貨物の重量9万トン以上で、2026年4月から指定 |
| 効果の確認 | 同じ集計表で前後を比べ、運賃単価の改定による変化を分けて見る |
原因の位置や届け先との関係によって、どの打ち手から始めるかの判断は会社ごとに分かれます。 自社の出荷条件を前提に、着手する順番と、届け先や運送会社へ持っていく相談材料を確かめられます。
よくある質問
運賃請求の明細が合算でしか取れない場合、拠点別・届け先別に分けるにはどうすればよいですか。
まず運送会社に、出荷ごとの明細を出してもらえるか相談します。
項目は、出荷日、発送元の拠点、届け先、個数や重量、運賃です。
明細の提供が難しい場合でも、方法はあります。
社内の出荷指示や送り状の控えに届け先と個数が残っていれば、月ごとの請求額をその件数や重量で按分し、拠点別・届け先別のおおよその運賃を出せます。
按分した数字はあくまで目安です。
割高に見えた組み合わせは、後から明細で確かめる対象として扱ってください。
納品日の集約や締め時刻の変更を、届け先に受け入れてもらうにはどう進めればよいですか。
届け先は着荷主として、発荷主が積載効率の向上などに取り組む際の協議に応じ、必要な協力を行うことを求められています4。
ただ、協議に応じることと、提案どおりに受け入れることは別です。
まず届け先の在庫の持ち方や受け入れ時間を聞きます。
そのうえで、納品回数を減らしたときの欠品への対応や、代わりに確保できるリードタイムを示すと、相手も判断しやすくなります。
事前に社内の販売部門と、どの条件なら譲れるかをそろえておくことも欠かせません。
全ての荷主に課される努力義務を果たさないと、罰則はありますか。
全ての荷主に課されているのは努力義務です。
積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮に努めることが求められています3。
中長期計画の作成などが義務づけられる特定荷主とは、扱いが分かれています。
罰則の適用関係を含めた詳しい扱いは、国土交通省が公開している判断基準の解説書など2の原文で確かめるのが確実です。
自社が特定荷主(取扱貨物9万トン以上)に当たるかは、どう確かめますか。
特定荷主の指定基準は、取扱貨物の重量が9万トン以上です3。
まずは全拠点の出荷記録から、自社の取扱貨物の重量を合計してみることが出発点になります。
集計の対象期間や、どの貨物を算入するかといった数え方は、国土交通省の改正物流効率化法ポータルなどの資料で確かめてください。
特定事業者の指定は、2026年4月から始まっています2。
運送会社を1社に集約すると、運賃交渉や契約でどんな点に注意が要りますか。
1社にまとめると荷量がまとまり、便を組みやすくなります。
その反面、改定の協議の際に比べる相手がいなくなります。
物流事業者から値上げ要請を受けた企業が大半を占めるという調査結果もあり1、集約後も運賃改定の協議はあるものと想定しておくほうが現実的です。
拠点別の出荷実績と運賃の集計表は、集約後も手元で更新し続けてください。
あわせて、運賃の計算方法(距離・重量・個数など何で決まるか)を契約で確かめておくと、改定の提案を受けたときに中身を検討できます。
各拠点の締め時刻や届け先の受け入れ時間にその会社が対応できるかも、集約前に確かめておきたい点です。
- 1 出典:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)「2025年度物流コスト調査報告書(概要版)」(2026年)
- 2 出典:国土交通省「物流・自動車:物流効率化法について(荷主・物流事業者の皆様へ)」(2025年・2026年)
- 3 出典:国土交通省(改正物流効率化法ポータル)「5分でわかる物流効率化法の改正のポイント」(2025年)
- 4 出典:国土交通省(改正物流効率化法ポータル)「荷主(第一種・第二種)の判断基準等」(2025年)
画像の出典元
- Deliveryman writing on clipboard next to stacked cardboard boxes in a van./Photo by Artem Podrez on Pexels