◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 問い合わせの前に、品目ごとの週あたり使用量と納品の条件を数字で言える状態にしておくと、断られる理由が量なのか配送なのかを切り分けられる
- 卸売市場、専門卸、生産者、業務用通販は分類ごとに決めつけず、最低発注金額・配送・価格の決め方・欠品時の扱い・書類の受け渡しという同じ項目を一件ずつ確認して比べる
- 一社集中と複数分散は、条件を話す土台を重くみるか、届かなかったときの手当てを重くみるかで選ぶ。主要な品目だけ二社目を持つという混ぜ方も選べる
- 小ロットの値引き幅に相場はないため、納品回数をまとめる、受け取り時間に幅を持たせるなど、自店が出せる条件と発注実績を用意して話す
- 基準期間(2課税年度前)の売上高が5,000万円以下の保存義務者は、ダウンロードの求めに応じられる場合や日付・取引先ごとに整理した書面を提示できる場合、電子取引データの検索要件を満たす必要がない
目次

発注量が少ない自店でも対応してくれる食材の仕入れ先の探し方
「その量だと配送に乗せられません」と断られたり、届いた見積もりの単価が思っていたより高かったり。
少量しか使わない食材ほど、取引してくれる相手を見つけること自体に時間がかかります。
ただ、最初に変えられるのは相手ではなく、自店の条件の出し方です。
週にどれだけ使い、いつ届けばよく、支払いと請求書の受け渡しはどうできるのか。
これを数字で言えるようにしてから、卸売市場、品目を絞った卸、生産者、業務用の通販と窓口を分けて当たると、断られる理由が「量」なのか「配送」なのかが見えてきます。
そのうえで一社に絞るか複数に分けるかを決め、価格と納品の条件を話し、発注と請求のやり取りをどう残すかまで決めれば、仕入れ先選びは自分で判断できる作業になります。
自店の規模を整理する
「うちは量が少ないので」という言い方だけでは、問い合わせを受けた側は取引できるかどうかを判断できません。
相手が知りたいのは、どの品目を、どれくらいの頻度で、一回あたりどれだけ届ければよいのか、どこへ何時に届けられるのか、という具体的な条件です。
ここが曖昧なまま話すと、相手は自社の標準的なロットと配送ルートに当てはめて考えるしかなく、その結果として断りや高めの単価が返ってきます。
数字を作る材料は、すでに手元にあります。
直近一、二か月の納品書を品目ごとに並べ、週あたりの使用量と、多い週と少ない週の差を出します。
この作業をしておくと、問い合わせ先が変わっても同じ説明ができ、仕入れの担当が店主から別の人へ移っても引き継げます。
逆にここを飛ばすと、相手ごとに言うことが少しずつ変わり、あとで条件を比べられなくなります。
あわせて、自店が公的な区分でどの位置にあるのかも一度整理しておくと役に立ちます。
小規模企業者の基準は業種によって分かれていて、商業(卸売業・小売業)や、宿泊業等を除くサービス業では常時使用する従業員が5人以下、工業・鉱業・運送業その他の業種では20人以下とされています1。
これは中小企業基本法の体系上の定義であって、この区分に当てはまるからといって仕入れ先が小ロットに応じてくれるわけではありません。
それでも、支援制度の要件を確認するときや、後半で触れる電子取引データの扱いを判断するときに、同じ「自店の規模を言葉にする」作業が繰り返し必要になります。
小ロット対応の窓口を洗い出す
断られる理由は、発注量だけとは限りません。
配送ルートから外れている、掛け売りの与信が判断できない、そもそもその品目を扱っていない、といった事情でも同じ「お受けできません」という返事になります。
理由が分からないまま同じ種類の相手に当たり続けると、時間だけが減っていきます。
窓口の種類を分けて当たると、どこで引っかかっているのかが見えてきます。
卸売市場では、せりや相対で仕入れた品を分けて販売する事業者と取引できる場合があります。
ただし、誰が場内で買い受けられるか、どのような手続きが必要かは市場ごとに定めが異なるため、対象の市場の開設者や、取引したい事業者に直接確認するのが確実です。
品目を絞って扱っている卸も候補になります。
魚だけ、青果だけ、乾物だけというように取扱いが限られている分、少量でも扱いに慣れている場合があり、配送の組み方も一般的な総合卸とは違うことがあります。
生産者から直接買う方法は、品質や価格の理由が分かりやすい反面、数量と出荷時期が生産の都合に左右されます。
ある時期は十分に届いても、別の時期は出荷そのものが止まることがあるため、その品目を切らせない仕組みを別に用意しておく必要があります。
業務用の食品通販は、注文の締め時間や配送料の条件が画面上に示されている場合があり、問い合わせる前に条件を読み比べられるのが利点です。
一方で、届く日が固定されていたり、少量だと配送料の負担が相対的に重くなったりすることがあるので、単価だけでなく届くまでの合計で見ます。
大事なのは、同じ分類の中でも事業者ごとに条件がまったく違うという点です。
「卸は小ロットに弱い」「通販なら少量でも大丈夫」といった分類ごとの決めつけで候補を削らず、一件ずつ条件を聞くほうが結果的に早く進みます。
一度断られた相手でも、納品曜日をこちらでまとめる、受け取り時間に幅を持たせるといった条件の出し方を変えると返事が変わることがあります。
問い合わせ時に確認する条件
問い合わせの時点で聞く内容を毎回そろえておくと、返ってきた答えをそのまま横に並べて比べられます。
逆に、ある相手には価格だけ、別の相手には配送だけを聞いてしまうと、後から「どちらが自店に合うのか」を判断できず、聞き直しが発生します。
最初のやり取りは、価格を引き出す場というより、比較できる形で条件を集める場だと考えると組み立てやすくなります。
この中でも後から食い違いやすいのが、価格の決め方と欠品時の扱いです。
同じ「単価」でも、契約期間中は動かさない前提の価格と、市場の相場に合わせて毎週変わる価格では、見積もりの読み方がまったく違います。
時価で動く品目がどれなのか、価格が変わるときにいつ・どういう方法で知らせてくれるのかまで聞いておくと、後で請求書を見て驚く場面が減ります。
欠品についても、連絡が来るのか、代わりの品を送るのか、その場合の単価はどうなるのかで、店の当日の動き方が変わります。
請求書と発注の受け渡し方法も、最初のうちに聞いておきたい項目です。
紙で持ってくるのか、メールにPDFを添付するのか、相手のサイトに明細が出る形なのかで、店側に残る保存の手間と照合の手順が変わります。
ここは取引を始めてから変えようとすると相手の運用にも関わるため、条件を比べる段階で聞いておくほうが後が楽になります。
断られた場合も、理由を一言聞いておくと次に活きます。
配送エリアの問題なら別の地域の事業者を、最低金額の問題なら発注をまとめる工夫を、というように次の一手が変わるからです。
| 確認する条件 | 確認しておく理由 |
|---|---|
| 最低発注金額・最低数量 | 自店の一回の発注が下回らないかをその場で判断できる |
| 配送の曜日・時間帯・対応エリア | 店の受け取り体制と合うかを他社と横に並べて比べられる |
| 価格の決め方 | 固定か時価か、見直しがいつ入るのかで見積もりの意味が変わる |
| 欠品時の連絡と代替の扱い | 届かなかったときに店側で何をする必要があるかが分かる |
| 支払方法と締め日 | 資金の出入りと請求処理の手間を事前に見込める |
| 請求書・発注の受け渡し方法 | 紙かデータかで、店側に残る保存と照合の作業が変わる |
取引先は一社集中と複数分散、どちらが向いているか
価格交渉力を重視する場合
候補が見つかってきたら、次に決まっていないのは「一社にまとめるか、複数に分けるか」です。
どちらが有利かを一般化できる公的な調査は今回見当たらなかったため、ここから示すのは効果の裏付けではなく、自店の状況を当てはめて選ぶための判断の枠組みです。
軸は二つあります。
価格や条件を話す土台を重くみるか、届かなかったときの影響を避けることを重くみるか、です。
一社にまとめると、同じ金額の仕入れでも一件あたりの発注がまとまります。
相手側から見ても、一回の配送で届けられる、請求も一本になるという状態になり、条件を話し合う際の材料が増えます。
ただし、これは「まとめれば安くなる」という保証ではありません。
相手の配送ルートや扱い品目によっては、量が増えても単価が動かないこともあります。
一社にまとめる利点としてはっきりしているのは、店側の運用が軽くなることです。
発注先が一つなら、注文の締め時間を覚えるのも一種類、納品の受け取りも一回、請求書も一通、支払いも一件で済みます。
常時使用する従業員が数名という規模では、この差がそのまま人の時間として効きます。
仕入れ担当を専任で置けない店ほど、管理の本数を増やさない選択には意味があります。
弱点は、比較材料が手元に残らないことです。
値上げの連絡が来ても、それが相場の動きによるものか、自店だけに向けられた条件なのかを判断できません。
一社にまとめる選択をするなら、取引を続けながらでも、年に何度か他の候補に同じ条件で見積もりを取っておくと、判断の材料を切らさずに済みます。
供給停止のリスクを避けたい場合
届かない事態は、相手の都合だけで起きるわけではありません。
天候で入荷が細る、流通が止まる、相手側の人手が足りない、といった事情でも同じ結果になります。
一社にまとめている状態でそれが起きると、その日の朝に代わりの仕入れ先を探すところから始めることになり、価格を選ぶ余裕はありません。
分散といっても、すべての品目を二社に割り振る必要はありません。
切れると営業そのものが成り立たない品目、たとえば看板料理に使う主要な食材だけ、二社目を持っておくという持ち方があります。
口座を開いて少量でも定期的に買っておくと、取引実績がまったくない相手に急に頼むよりも話が通りやすい場面があります。
ここも「必ず対応してもらえる」という話ではなく、頼める相手の数を事前に増やしておくという意味です。
分散には代償があります。
発注の締め時間が二種類になり、検品も二回、請求書も二通、支払いも二件になります。
誰がどの品目をどこへ発注するのかを決めていないと、同じ品を二重に頼んだり、どちらにも頼んでいなかったりという抜けが起きます。
分けると決めたなら、品目ごとに発注先を固定し、その割り当てを店内で見える形にしておくところまでを一続きの作業として考えたほうが安全です。
どちらの軸を重くするかは、その品目が切れたときに営業がどれだけ止まるかと、いまの人数で管理の本数を何本まで持てるかで決まります。
主要食材は二社、それ以外は一社という混ぜ方も選べます。
一度決めた形を固定する必要はなく、店の規模や品目が変われば見直す前提で決めておけば十分です。
| 比べる観点 | 一社に集中する | 複数に分散する |
|---|---|---|
| 条件を話す土台 | 発注がまとまり材料は増えるが単価が動く保証はない | 一件あたりの発注は小さくなる |
| 届かなかったときの手当て | その日に代わりを探すことになる | 頼める相手が事前にある |
| 店側の管理 | 発注・検品・請求・支払いが各一本 | 本数が増え割り当ての取り決めが要る |
| 条件の妥当性の判断 | 比較材料が手元に残りにくい | 他社の条件と突き合わせやすい |
小ロット発注でも価格・納品条件を交渉できるか
交渉前に整理する条件
発注量が少ない状態で「もう少し安くなりませんか」とだけ伝えても、相手には応じる理由がありません。
相手の側で費用がかかっているのは、多くの場合、品物そのものより配送の回数、小分けの手間、代金が回収できるかどうかの管理です。
だとすれば、交渉の入口は値引きの依頼ではなく、こちらがその手間をどこまで減らせるかを示すことになります。
たとえば、これまで週三回に分けて受け取っていた納品を二回にまとめる、受け取り時間に幅を持たせてルートの都合に合わせる、いくつかの窓口に散らしていた品目を一社に寄せる、支払いの方法や締め日を相手のやりやすい形に合わせる。
どれも店側の運用を少し変えるだけで、相手のコストに直接効く項目です。
これらを先に整理しておくと、話が「安くしてほしい」から「この条件ならどうなるか」という形に変わります。
もう一つ用意しておきたいのが、発注の実績です。
過去数か月に何をどれだけ買ったのか、今後どのくらいの見込みなのかを数字で出せると、相手も自社の中で条件を検討しやすくなります。
「これから増やすつもりです」という言葉だけでは、判断の材料になりません。
第一節で作った品目ごとの使用量の整理が、そのままここで使えます。
値引き幅や成功率の相場を示す公的な資料は今回確認できませんでした。
ですので、「小ロットならこのくらいは下がるはず」という前提を置いて交渉に臨むことはおすすめできません。
むしろ、価格そのものより、条件がはっきり決まっていない部分を明文化するほうが、あとの支出の振れ幅を抑える効果が見込めます。
交渉で確認しておきたい項目
価格については、単価がどう決まるのかを先に確かめます。
一定期間は動かさない品目と、市場の相場に合わせて動く品目が混ざっていることがあり、混ざっているなら、どれがどちらなのかを品目ごとに聞いておきます。
そして、価格を見直すときの通知が、いつ、どういう方法で来るのかも決めておきます。
納品書に反映されてから気づくのか、事前に連絡が来るのかで、店側が売価を調整できる余地が変わります。
納品については、最低発注金額と最低数量、配送の頻度と注文の締め時間、追加で届けてもらう場合の扱いを確認します。
とくに追加配送は、急に必要になったときに条件を聞いていないと頼みにくく、結局その日だけ別の店で買い足すことになりがちです。
欠品したときに連絡が来るのか、代替品が入るのか、代替品の単価はどう扱うのかまで決めておくと、当日の判断が速くなります。
支払いと書類については、支払方法と締め日に加えて、請求書をどの形で受け取るのかを決めます。
明細に品目ごとの単価が出るかどうかも、後から請求の中身を確認するときに効いてきます。
単価の記載がない合計だけの請求書だと、値上げがあったのか数量が増えたのかを店側で切り分けられません。
話がまとまったら、その内容を残る形にしておきます。
口頭だけで決めた条件は、双方の担当者が変わった時点で消えてしまい、次に確認しようとしても「そういう話でしたか」というやり取りからやり直しになります。
正式な契約書という形でなくても、確認した条件をメールで送って返信をもらうだけで、後から見返せる記録になります。
発注・支払いのやり取りで気をつけたい電子取引データの扱い
電子帳簿保存法の検索要件
取引先が増えると、まず散らかるのは請求書の受け取り方です。
ある先は納品時に紙を置いていき、別の先はメールにPDFを添付し、通販で買った分は相手のサイトに明細が出る。
こうなると、月末に支払いの一覧を作るだけでも、探す場所が三か所に分かれます。
ここは取引先を増やすと必ず起きる部分なので、条件交渉と同じタイミングで決めておきたい項目です。
そのうえで、電子でやり取りした請求書などのデータには、保存にあたっての決まりがあります。
電子帳簿等保存制度では、電子取引データを保存する義務者について定めがあり、保存したデータを後から探せる状態にしておく検索要件が問題になります。
ここで、規模の小さい事業者向けの取扱いが設けられています。
基準期間(2課税年度前)の売上高が5,000万円以下の保存義務者は、税務職員のダウンロードの求めに応じられる場合、または日付・取引先ごとに整理した書面を提示できる場合には、電子取引データの検索要件を満たす必要がないとされています2。
これは令和6年1月から始まった取扱いで、判定に使うのは基準期間の売上高です。
自店が該当するかどうかは、その年の売上ではなく2課税年度前の数字で決まるため、売上が動いている店では年によって扱いが変わりえます。
また、この取扱いは検索要件についてのものであって、電子取引データの保存そのものが不要になるという意味ではありません。
自店がどの扱いになるか、どの書類がどこまで対象になるかは、所轄の税務署や顧問の税理士に確認してください。
基準期間売上高5000万円以下の代替対応
該当する場合にすべきことは、大きく二つのどちらかです。
一つは、保存しているデータを税務職員のダウンロードの求めに応じて出せる状態にしておくこと。
もう一つは、日付・取引先ごとに整理した書面を提示できるようにしておくことです2。
どちらの形をとるにしても、前提として、受け取ったデータが残っていて、必要なときに取り出せることが必要になります。
仕入れ先が複数になると、この「取り出せる状態」が崩れやすくなります。
メールの受信箱に埋もれる、担当者の端末にだけ保存されている、サイトからダウンロードし忘れて閲覧期間が過ぎる、といった形です。
取引先ごとにフォルダを分け、ファイル名に日付と取引先名を入れておくといった整理は、制度がその形式を指定しているわけではありませんが、日付と取引先で探すという要件の考え方に沿っています。
これで請求内容の誤りがなくなるわけではありませんが、月末に「どこにあるか探す」時間と、探し直しのために取引先へ再送を頼む手間は減らせます。
新しい取引先と取引を始めるときに、請求書と納品書の渡し方を最初に聞いておくと、後から数か月分をさかのぼって集め直す事態を避けられます。
第一節の問い合わせ項目に書類の受け渡し方法を入れておいたのは、この作業を後回しにしないためです。
紙で受け取ると決めるのも一つの選択ですが、その場合も相手の運用が途中でデータに変わることがあるため、変更の連絡をもらう約束をしておくと安全です。
取引先を追加・切り替えるタイミングの見極め方
価格・納期・対応の変化を確認する
取引先を替えるかどうかは、その時の感情ではなく、条件がどう変わったかで判断したいところです。
ここで言う条件とは、取引を始めるときに確認した項目そのものです。
最低発注金額、配送の頻度と時間、価格の決め方、欠品時の扱い、支払いと書類の受け渡し。
この記録があるからこそ、「今の状態は当初と何が違うのか」を具体的に言えます。
価格では、単価が上がったように見えたときに、請求書の明細と発注時の条件を突き合わせます。
支払額の差が大きいことは、値上げが起きた手掛かりにはなりますが、それだけで原因は決まりません。
数量が増えていた、時価で動く品目の相場が上がっていた、規格が変わって内容量が違っていた、配送料が別建てで加算されていた、といった理由でも同じように金額は動きます。
品目ごとの単価と数量を前月の明細と並べて、どの行で差が出ているかを見てから、相手に確認する内容を決めます。
納期では、欠品の回数そのものより、連絡の早さが判断材料になります。
前日に連絡が来るなら、店側で代わりの手当てができます。
納品時に初めて分かる状態が続くなら、その分の手当てが毎回営業時間に食い込みます。
配送時間が当初より後ろにずれてきた場合も、仕込みの開始時刻に影響するので、記録に残しておく価値があります。
対応では、問い合わせへの返事が来るまでの時間と、担当者が交代したあとに条件が引き継がれているかを見ます。
以前の担当者と決めた納品条件が新しい担当者に伝わっていないというのは起きやすい話で、そのときに交渉時の記録が残っていれば、話し直しではなく確認で済みます。
既出の判断軸で振り返る
変化に気づいたら、これまで使ってきた軸に戻して考えます。
条件を話す土台をどこに置くかという軸、届かなかったときの影響をどこまで避けたいかという軸、そして請求と保存を店側でさばけるかという軸です。
たとえば単価の上がり方に納得がいかないなら、まず比較材料が手元にないことが問題なので、他社に同じ条件で見積もりを依頼するところから始めます。
欠品が増えているなら、切り替えの前に、その品目だけ二社目を持つという選択が先に来ることもあります。
切り替えを決めた場合も、いきなり全量を移す必要はありません。
新しい相手とは、口座の開設と条件の確認から始めて、まずは一部の品目で試します。
この並行期間があると、届く時間、品質、欠品時の連絡といった、条件表には出てこない部分を実際に確かめられます。
そのうえで移す品目を増やしていけば、切り替えた直後に供給が不安定になるという事態を避けやすくなります。
「何か月続けたら見直す」といった期間の目安は、それを裏づける資料が確認できていないため、この記事では示しません。
代わりに使えるのは、取引を始めるときに確認した条件と、その後の変化の記録です。
条件が変わったとき、または変わっていないのに自店の必要が変わったときに見直す、という形にしておけば、判断の理由を自分で説明できます。
その意味で、最初の問い合わせで条件をそろえて聞き、決めた内容を残る形にしておく作業は、取引を始めるためだけでなく、続けるか替えるかを後から判断するための材料づくりでもあります。
ここまでの条件の整理は、取引を始めた後も、増やすときも替えるときも同じ形で使えます。
| 気づいた変化 | 照らし合わせる判断軸 | 見直す点 |
|---|---|---|
| 単価が上がった | 条件を話す土台をどこに置いているか | 他社に同条件で見積もりを取り、明細と発注条件を突き合わせる |
| 欠品や遅れが増えた | 届かなかったときの手当てがあるか | 切れると営業が止まる品目に二社目を持つか |
| 請求書の形式や渡し方が変わった | 保存と照合が店側でできるか | データの受け取り方と保存の形を決め直す |
| 連絡が取りにくくなった | 条件の記録が残っているか | 交渉時に決めた条件を書面やメールで確認する |
仕入れ先ごとに発注の方法と請求書の渡し方が違うまま取引先を増やすと、注文の控えと納品書と請求書を突き合わせる作業が店側の手作業として残ります。自店の受発注の流れを一度外から並べて見てもらうと、どこで同じ内容を二度書いているのかが具体的に見えてきます。
取引先ごとの発注手段と請求データの受け取り方を並べたうえで、どの照合を仕組みで減らせるのか、どこは人の目を残すべきかを整理してお伝えします。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 自店の条件整理 | 品目ごとの週あたり使用量、納品曜日、受け取れる時間を数字で言えるか |
| 窓口の広げ方 | 分類で決めつけず、卸売市場・専門卸・生産者・通販に同じ項目を個別に確認する |
| 一社に集中 | 管理は一本で済むが、条件が妥当かを比べる材料が手元に残らない |
| 複数に分散 | 切れたときに頼める相手があるが、発注と請求の割り当てを決める必要がある |
| 交渉の準備 | 値引き幅の相場ではなく、納品回数や受け取り時間など自店が出せる条件と発注実績をそろえる |
| 電子取引データ | 基準期間の売上高が5,000万円以下なら、ダウンロードの求めへの対応か整理した書面の提示で検索要件に代えられる |
| 切替の判断 | 期間の目安ではなく、当初の条件と現状の差を明細で突き合わせて決める |
取引先を追加したり切り替えたりした直後は、発注先も請求書の形式も増えた状態で、月末の確認作業が最も重くなります。どこから手をつければ負担が下がるかは、いまの店の運用を見ないと判断しにくい部分です。 現在の発注と請求のやり取りを一覧にし、データの受け取りと保存をどう揃えるか、どの順番で手をつけるかを一緒に確認できます。
よくある質問
仕入れ先との契約書は必ず交わすべきか
書面を交わす必要があるかどうかは、取引の内容や相手の運用によって異なり、一律には言えません。
実務の面から言えるのは、価格の決め方、価格を見直すときの通知、最低発注金額、配送の頻度、欠品時の扱い、支払いの締め日といった、あとで食い違いやすい項目が残る形になっているかどうかが要点だということです。
正式な契約書という形でなくても、確認した条件をメールにまとめて返信をもらう方法なら、担当者が交代したときにも同じ内容を示せます。
卸売市場から直接仕入れることはできるか
市場の中で誰が買い受けられるか、入場や手続きにどのような定めがあるかは、市場ごとに異なります。
そのため、一般論として「できる・できない」を決めることはできず、取引したい市場の開設者や、場内で販売している事業者に直接確認するのが確実です。
確認するときは、扱っている品目、一回あたりに買える量、引き取りが必要か配送があるか、代金の支払い方法までまとめて聞いておくと、他の仕入れ先と同じ土俵で比べられます。
現金払いにした方が価格交渉で有利になるか
支払方法と価格の関係について、有利さを裏づける調査は今回確認できませんでした。
そのため「現金なら安くなる」という前提で交渉するのはおすすめできません。
ただし、支払いの条件が相手にとっての回収の手間や риск に関わる項目であることは確かなので、価格だけを切り離して話すより、支払方法や締め日を含めて一緒に相談する形にしたほうが、話は進めやすくなります。
自店の資金の出入りに無理のない範囲で、どの形なら対応できるかを先に決めておくとよいでしょう。
複数の仕入れ先を使う場合、発注や請求の管理はどう分担すればよいか
人数が少ない店では、担当者で分けるより、品目で発注先を固定するほうが抜けが起きにくくなります。
どの品目をどこへ頼むかを一覧にして、締め時間と配送曜日を併記しておけば、当番が変わっても同じ手順で発注できます。
請求については、受け取り方法が先ごとに違うことが管理を難しくするので、紙かデータかを先ごとに把握し、データのものは受け取った時点で日付と取引先が分かる形に保存しておくと、月末にまとめて探す作業が減ります。
電子帳簿保存法の対象は請求書だけか、発注書や納品書も含まれるか
制度で使われている言い方は「電子取引データ」であり、請求書という書類名だけを指す言葉ではありません。
ただし、どの書類がどこまで対象になるかは、この記事で確認した資料の範囲では特定できないため、国税庁の案内や顧問の税理士に確認してください。
この記事で確認できたのは、基準期間(2課税年度前)の売上高が5,000万円以下の保存義務者は、税務職員のダウンロードの求めに応じられる場合や、日付・取引先ごとに整理した書面を提示できる場合に検索要件を満たす必要がない、という取扱いまでです2。
- 1 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業・小規模企業者の定義ページ」(2026年)
- 2 出典:財務省「令和6年1月スタート 令和5年度の税制改正により見直された電子帳簿等保存制度の内容と中小企業の対応策」(令和6年)
画像の出典元
- food, japanese meal, class b gourmet, takoyaki, cooking, shop/shio_design_jp on Pixabay