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現場・移動中のスマホ発注|BtoB受発注の設計

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • スマホ発注は現場での起票をそのまま受注データにする経路で、受注側の入力代行と折り返しの電話が減ります。
  • 2024年のBtoB-EC市場規模は514.4兆円、EC化率は43.1%です。
  • 要件は片手操作と視認性、表示速度、承認と権限の3区分です。表示はLCP2.5秒以内、INP200ミリ秒以下が目安です。
  • 電子で授受した注文書は電子のまま保存し、取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態を保ちます。
  • 導入は棚卸し、絞った試行、定着の確認の3段で、標準化されたデータ交換とは6業務・8種の範囲で住み分けます。

Aerial view of expansive industrial warehouses in Serang, Ba
▽ 写真の出典元

スマホ発注とは

スマホ発注とは、現場や移動の前後にスマートフォンから発注データを起票し、そのまま受注側へ届ける発注のかたちです。電話やFAXのように相手の受け取りの作業を挟まないため、起票から受注データ化までが1つの経路でつながります。国内のBtoB-EC市場規模は2024年に514.4兆円、EC化率は43.1%と公表されており、受発注のデータ化は取引金額の4割を超える水準です1。現場の発注をこの経路へ載せられるかが、手待ちと発注漏れの減り方を分けます。

現場と移動中で使われる発注のかたちは、事務所の据え置き端末を前提にした発注とは条件が違います。作業の合間や停車中といった短い時間で操作でき、片手でも扱える画面が求められます。世帯のスマートフォン保有割合は2024年度の調査で90.5%に達しており、端末そのものは行き渡っていると言えます2。ただしこれは世帯単位の保有割合であり、業務での発注利用の割合を示す数値ではありません。

電話・FAX・メール発注との違いは、受注側の入力代行が残るかどうかに表れます。電話やFAXでは、受注側が内容を読み取って基幹システムへ入力し直す作業が挟まります。スマホ発注では発注側の入力がそのまま受注データになるため、二重入力と読み取りの行き違いが減ります。同じ数量を2回入力すれば、そのたびに取り違えの余地が生まれます。

発注の受け渡しは、現場での起票、社内の承認、受注側での取り込みという3段に分けて考えられます。現場での起票は品目と数量の選択までを担い、社内の承認は金額と取引条件に応じて挟みます。受注側での取り込みでは、届いたデータを受注として処理へ引き継ぎます。段ごとに担い手が違うため、どの段で止まりやすいかを分けて確かめられます。

発注側と受注側それぞれで起きる変化は、対称ではありません。発注側では事務所への帰着を待たずに起票でき、発注漏れの確認も履歴から追えます。受注側では入力代行が減る一方、品目の登録や単位の整備といった準備の作業が増えます。準備を省くと、現場が品目を探せずに電話へ戻ってしまいます。

なお、スマホ発注は電話やFAXをすべて畳むための仕組みではありません。取引先と品目が固定した継続取引では、標準化されたデータ交換のほうが照合まで含めて向いています。現場からの少量・随時の発注を受け止める経路として位置づけると、選定の判断がぶれにくくなります。

デジタル化の進み方は日米独の3か国を比べた調査でも継続して追われており、国内の企業の間でも推進の段に差があると示されています4。自社の発注のどこが紙と口頭に依存しているかを言葉にすることが、最初の手がかりになるでしょう。

現場での起票で品目と数量を選び、社内の承認で金額と取引条件を確かめ、受注側での取り込みで受注として処理へ引き継ぐ3段の受け渡しです。
現場からの発注が受注側へ届くまでの受け渡しの順序

着手順序の依存関係で並べたスマホ発注の検討5点(前の段が済まないと次の段の判断ができない順)

  1. 現場の発注実態の棚卸し。誰がどの手段で発注し、どこで基幹システムへ入るかを1件ずつ書き出し、待ちが生まれている段に印を付けます。
  2. 記録と保存の要件の確認。電子で授受した注文書は電子のまま保存し、取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態を保ち、原則として7年間残す前提で設計します3
  3. 表示速度と通信の条件の検証。LCPは2.5秒以内、INPは200ミリ秒以下、CLSは0.1以下を目安に、モバイル側の75パーセンタイルと現場の回線で確かめます6
  4. 承認・与信・権限の扱いの取り決め。金額の段、代理承認、与信と取引条件の参照の範囲を決めてから画面の設計に入ります。
  5. 既存の経路との住み分け。発注・出荷・受領・返品・請求・支払の6業務、8種の標準メッセージに収まる継続取引は標準化されたデータ交換が担い、現場からの随時の発注をスマホ発注が受けます5

現場と移動中の発注でつまずく理由

現場と移動中の発注がつまずく理由は、端末の有無ではありません。発注できる場所と時間が事務所に固定されている点にあります。必要が分かった時点で起票できなければ、発注は帰着後の作業として積み上がります。テレワークを導入した企業の割合は2024年度の調査で47.3%と公表されており、働く場所は事務所の外へ広がっています2。発注の入口だけが事務所に残ると、そこが待ちの発生点になります。

事務所に戻るまで発注できない手待ちは、発注の遅れだけでは終わりません。翌日の作業に要る部材が押さえられず、人と車両の段取りまで組み直しになります。作業の合間や移動の前後に起票できれば、この待ちの一部は前へ倒せます。ただし運転中の操作は前提にせず、停車中や作業の合間に限る取り決めが要ります。

口頭とメモに頼る伝達では、型番と数量の行き違いが起きます。現場で見た品名と発注の台帳上の名称がずれていると、受注側が推測で補うことになります。電話の折り返しが1件増えるたびに、双方の担当が手を止めます。伝達の途中に人を挟む数だけ、確認の往復が増えていきます。

受注側から見ると、折り返しの電話とFAXの読み取りが業務の山を作ります。締め時間の直前に問い合わせが集中すると、入力代行がそのまま残業の要因になります。発注側の入力がそのままデータになる経路が増えるほど、この山は平らになるはずです。

通信が不安定な場所での操作のしづらさは、仕組みの選定で見落とされやすい点です。地下や屋内の奥、山間の現場では、画面の読み込みが途中で止まることがあります。入力の途中で通信が切れると、書きかけの内容が消えてやり直しになります。1度やり直しを経験すると、現場は紙と電話へ戻ります。

発注漏れは、記録の残らない伝達から生まれます。口頭で頼んだ発注は、頼んだ側と受けた側のどちらの控えにも残りません。起票の履歴が1件ずつ残る経路にしておけば、漏れの確認が当日のうちに済みます。

発注の入口を誤ると、影響は発注の1件では収まりません。品目の取り違えは返品と再手配を招き、電子で授受した注文書は保存義務の対象にもなります3。取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態を保てなければ、後の照会に応えられません。仕組みを入れる前に、記録の残り方まで見ておく必要があります。

つまずきは現場の手際ではなく、発注の経路の置き方から生じます。誰が、どこで、どの端末から起票できるのかを書き出すと、待ちの発生点が見えてきます。棚卸しをせずに仕組みを選ぶと、事務所の作業がそのままスマートフォンへ移るだけになります。

A detailed view of industrial structures and machinery at an
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スマホ発注で変えられる業務と変えられないこと

スマホ発注で変えられるのは、発注の起票を待たせている時間と、入力の取り違えです。変えられないのは、品目の整備、承認の取り決め、在庫と与信の情報の正しさです。前者は端末と画面の設計で短縮できますが、後者は運用と基幹側の整備に依存します。2024年のBtoB-EC市場規模514.4兆円という水準は受発注のデータ化が進んだ結果を示すもので、データ化と社内の整備は別の作業です1

発注リードタイムと手待ちの短縮は、起票の場所を移すだけでも得られます。作業の合間に起票できれば、帰着後に回していた入力の山が消えます。締め時間に間に合う発注が増えるほど、翌日の段取りが立てやすくなるでしょう。

型番・単位・数量の取り違えを防ぐには、入力の自由度をあえて狭めます。前回の発注履歴からの呼び出し、単位の固定表示、数量の刻みの制限が効きます。手で文字を打つ欄が減るほど、読み取りの誤差も減ります。ただし品目の名称が現場の呼び名と違えば、選ぶ段でつまずきます。

スマホだけでは解決しない領域の見極めが、導入の分かれ目になります。在庫の引き当てや与信の判定は、基幹側の情報が最新でなければ答えを返せません。承認の権限が決まっていない状態では、起票はできても発注が確定しません。画面だけを整えても、判断の材料は増えないからです。

電子で授受した注文書や見積書は、電子のまま保存する義務の対象です3。紙に印刷して残す運用へ戻すと、保存の要件から外れます。スマホ発注へ移す判断は、記録の保存の設計と同じ時期に決める必要があります。

必要な知見は1領域では収まりません。画面の設計、通信が細い場所での挙動の検証、基幹システムとの連携、電子取引データの保存要件の確認が並びます3。内製で組む場合、この4領域を担う人員を同時に確保する必要があります。要件の整理から始める場合は、外部の設計支援を挟むほうが手戻りを抑えられます。

変えられる範囲を先に決めておくと、社内の期待の持ち方がそろいます。発注の入口を短くすることと、在庫の正確さを上げることは別の取り組みです。前者だけを進めても、後者の遅れが成果を打ち消してしまいます。

受注側で変わるのは、入力代行の量と問い合わせの内容です。数量と型番の照会が減る代わりに、品目登録と単位の整備という準備が残ります。準備の担い手を決めないまま始めると、負担が受注側へ寄ります。

移動中でも止まらない発注環境の要件

移動中でも止まらない発注環境の要件は、片手操作と屋外での視認性、表示速度と通信が細い場所での挙動、承認・与信・権限の扱いという3区分で整理できます。どれか1つが欠けると、現場は紙と電話へ戻ります。表示の速さは公開された指標で確かめられ、LCPは2.5秒以内、INPは200ミリ秒以下、CLSは0.1以下が良好の目安とされています6。区分ごとに確かめる項目を決めておくと、仕組みの比較がしやすくなります。

片手操作と屋外での視認性は、現場の装備を前提に確かめます。手袋のままでの操作を想定すると、押す領域の大きさと押し間違いの戻し方が要点になります。直射日光下での視認性も、色の濃淡だけに頼らない表示かどうかで差が出ます。

表示速度と通信が細い場所での挙動は、事務所の回線では確かめられません。表示速度のしきい値は、モバイルとデスクトップを分けた75パーセンタイルで評価する考え方が公開されています6。通信が途切れた場合の下書き保持があるかどうかで、入力のやり直しの有無が変わります。実際に使う現場の回線で確かめる段を、選定の中に入れておきましょう。

承認・与信・権限の扱いは、機能の一覧だけでは判断できません。承認の権限設定では、金額の段と代理承認の扱いを決めておきます。与信と取引条件の参照は、基幹側の情報が反映される間隔に左右されます。誰がどこまで確定できるかを決めないと、起票が滞留します。

機能の呼び名だけで比べると、同じ言葉が別の中身を指していることがあります。在庫連携という表記も、参照の範囲と更新の間隔は製品によって違います。要件の側から書き出し、確かめる観点として持ち込むほうが取り違えが起きません。

端末の側の条件も見ておきます。世帯のスマートフォン保有割合は2024年度の調査で90.5%ですが、これは世帯単位の保有であり、業務で使える端末が現場に行き渡っているかは別の話です2。私物の端末を使うか業務用の端末を配るかで、権限の設計と控えの保存の扱いが変わります。

操作のタイミングは、機能の要件と同じ重さで決めておきます。運転中の操作を前提にせず、停車中や作業の合間、移動の前後に限る取り決めを先に置きます。画面の側も、短い時間で終わる操作の並びにしておく必要があります。

要件は自社の現場の条件で決まります。屋外か屋内か、通信が細いか、承認の段が何段あるかで、優先する項目が変わります。同じ業種でも拠点ごとに条件が違うため、拠点の代表例を2か所以上見ておくと偏りが減ります。

片手操作と屋外での視認性では手袋のままでの操作と直射日光下での視認性を確かめ、表示速度と通信が細い場所での挙動では表示速度のしきい値と通信が途切れた場合の下書き保持を確かめ、承認・与信・権限の扱いでは承認の権限設定と与信と取引条件の参照を確かめます。
移動中でも止まらない発注環境で確かめる要件の区分

既存の受発注のしくみとの併存

既存の受発注のしくみとの併存は、入れ替えるか併せるかの二択ではありません。継続取引は標準化されたデータ交換、現場からの随時の発注はスマホ発注、在庫と与信の参照は基幹システムとの連携という住み分けで考えます。標準仕様は発注・出荷・受領・返品・請求・支払の6業務、8種の標準メッセージとして公開されています5。範囲を知らずに経路を重ねると、同じ取引が二重に流れます。

標準化されたデータ交換との住み分けは、取引先と品目の固定度で決まります。品目と単価が定まった継続取引では、標準の様式に沿ってやり取りするほうが照合が楽になります。6業務の範囲に収まる取引をスマホ発注へ移すと、後の照合の作業がかえって増えます。

電子取引データの保存義務への対応は、経路を増やす前に確かめます。注文書や見積書を電子で授受した場合、その電子データのまま保存する義務があります3。取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態を保ち、原則として7年間残す前提で設計します3。経路が増えるほど、どこに原本があるかを決めておく必要が生まれます。

基幹システムとの連携範囲の決め方は、参照と更新を分けて考えます。在庫と与信は参照だけでも現場の判断を助けますが、更新まで繋ぐと整合の管理が増えます。連携する項目と反映のタイミングを先に決め、書き戻しは段階的に広げるほうが安全です。

住み分けを1枚に並べると、社内の合意が取りやすくなります。手段ごとに向いている取引と確かめる観点を対応させ、抜けている経路がないかを見ます。

二重に流れる取引は、締めの段で表に出ます。同じ発注が電話と画面の両方から入ると、受注側が重複かどうかを判断することになります。どの経路で受けた発注を正とするかを、経路ごとに決めておきましょう。

併存の期間は想定より長く続きます。取引先の側の準備が整わなければ、FAXの経路も残ります。残る経路を前提に、受注側の確認の手順を1つに束ねておくほうが混乱が少なくなります。

データ化の水準は取引全体で見ると4割を超えています。2024年のEC化率は43.1%、市場規模は514.4兆円と公表されました1。ただしこの割合は取引の金額を母数にしたもので、現場からの発注件数の割合を示す数値ではありません。

受け渡しの手段 向いている取引 確かめる観点
標準化されたデータ交換 取引先と品目が固定した継続取引 対応する業務と標準メッセージの範囲
スマホ発注 現場からの随時の発注 承認の権限設定
基幹システムとの連携 在庫と与信の参照が要る取引 連携する項目と反映のタイミング
Construction worker with safety gear placing concrete block.
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スマホ発注の導入ステップ

導入は、現場の発注実態の棚卸し、対象商品と対象拠点を絞った試行、定着状況の確認と改善の回し方という3段で進めます。棚卸しを省くと、事務所の作業がそのまま画面へ移るだけになります。試行の範囲を絞れば、うまくいかない原因を品目と拠点の条件に分けて確かめられます。進め方は取引の条件で変わるため、段ごとに立ち止まって続けるかを判断できる形にしておきましょう。

現場の発注実態の棚卸しでは、発注の起点と経路を1件ずつ書き出します。誰が必要を判断し、どの手段で伝え、どこで基幹システムへ入るかを並べます。発注の件数と品目の種類、締め時間との関係も同時に記録します。書き出した表の上で、待ちが生まれている段に印を付けます。

対象商品と対象拠点を絞った試行では、繰り返し発注される品目から始めます。品目の登録と単位の整備が済んでいる範囲に限れば、準備の負担が偏りません。拠点は通信の条件が違う2か所以上を選び、屋内と屋外の両方を含めます。

定着状況の確認と改善の回し方では、使われた件数と使われなかった理由を分けて見ます。画面から起票された発注の件数、電話へ戻った件数、やり直しの件数を並べます。理由が品目の名称にあるのか、通信にあるのか、承認の段にあるのかで打ち手が変わります。

段ごとに立ち止まる判断を残しておくと、投資の失敗を小さく抑えられます。試行の結果が振るわなければ、要件の側へ戻って画面と品目の整備をやり直します。全拠点へ広げてから直す進め方では、現場の信頼を取り戻す手間が加わります。

内製で組む場合に要る知見は、画面の設計、モバイルでの表示速度の検証、基幹システムとの連携、電子取引データの保存要件の確認という4領域です36。1人でこの4領域を担うのは難しく、領域ごとの担い手を決める必要があります。要件の整理と検証の段だけ外部の支援を挟む形も採れます。

補助金や助成金の活用を検討する場合は、制度名と募集の要件を所管の窓口で確かめます。金額と対象は年度ごとに変わるため、資料の数値をそのまま前提にしない進め方が安全です。

現場の発注実態の棚卸しで発注の起点と経路を書き出し、対象商品と対象拠点を絞った試行で繰り返し発注される品目から始め、定着状況の確認と改善の回し方で使われた件数と戻った理由を分けて見ます。
スマホ発注の導入で踏む3段の順序と確かめる範囲

現場に定着させる運用と注意点

定着を決めるのは機能ではなく、操作のタイミングと担い手の広げ方です。運転中の操作を前提にせず、停車中や作業の合間、移動の前後に限る取り決めを先に置きます。発注担当者以外へ広げる段では、権限の範囲と承認の段を合わせて決めます。受注側の準備が追いつかなければ、負担が受注側へ寄って続きません。

安全を優先した操作タイミングの取り決めは、書面で残します。移動の前後と停車中に限る、作業中は手を止めてから操作する、といった線を引きます。画面の側も、1回の操作が短い時間で終わる並びにしておきましょう。

発注担当者以外への展開と教育では、覚える範囲を絞ります。品目の呼び出しと数量の入力、送信の確認までを1枚の手順に収めます。全機能の説明よりも、繰り返し使う3操作の反復のほうが定着につながります。

受注側の負担を増やさない設計は、品目の名称と単位の整備から始まります。現場の呼び名と台帳の名称がずれていると、問い合わせが受注側へ集まります。呼び名の対応表を作る担い手を決め、更新の間隔も決めておく必要があります。

記録の残し方も運用の一部です。電子で授受した注文の控えは電子のまま保存し、取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態を保ちます3。運用の途中で紙の控えへ戻すと、保存の要件から外れます。

定着の判断は数値で見ます。画面から起票された発注の件数、電話とFAXへ戻った件数、やり直しの件数を月ごとに並べます。画面からの件数が増えない月が続けば、要件の側に原因が残っていると考えられます。

注意したいのは、機能の呼び名を成果と同じ扱いにしないことです。在庫連携や承認の機能があっても、基幹側の情報と権限の設計が伴わなければ結果は変わりません。要件と運用の取り決めを先に書き、仕組みはそれに合わせて選びます。

現場の条件は拠点ごとに違い、2024年のEC化率43.1%という全体の水準がそのまま自社に当てはまるわけではありません1。自社の発注件数と経路を数えたうえで、どこから移すかを決めるほうが確かです。日米独の3か国を比べた調査でも推進の段に差が示されており、自社の位置を数値で押さえることが出発点になります4

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よくある質問

私物のスマートフォンで発注しても差し支えありませんか

権限と記録の設計を決めてからであれば運用できます。端末の紛失時の扱い、起票できる金額の範囲、控えの保存先を先に決めておきます。電子で授受した注文の控えは電子のまま保存し、取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態が要ります3。業務用の端末を配る場合と比べ、権限の設定に手間がかかります。

通信が届きにくい現場では発注できませんか

下書きの保持と再送の仕様があれば、通信が戻った時点で送れます。選定の段で、通信が途切れた場合に入力内容が残るかを実機で確かめてください。表示速度はモバイルとデスクトップを分けた75パーセンタイルで評価する考え方が公開されており、LCPは2.5秒以内が良好の目安です6。事務所の回線ではなく現場の回線で測ることが前提になります。

電話やFAXの受付はやめる必要がありますか

やめずに併存させる前提で設計します。取引先と品目が固定した継続取引は、発注・出荷・受領・返品・請求・支払の6業務、8種の標準メッセージとして公開された標準仕様に沿う経路が向いています5。現場からの随時の発注をスマホ発注が受け、どの経路で受けた発注を正とするかを経路ごとに決めておきます。

費用はどのように見積もればよいですか

画面の設計、基幹システムとの連携、現場での検証、保存要件の確認という4つの範囲に分けて積むと比較しやすくなります。範囲を決めずに見積もると、連携と検証の工数が後から膨らみます。補助金や助成金を充てる場合は、金額と対象が年度ごとに変わるため、制度名と募集要件を所管の窓口で確かめてください。

導入の効果はどの数値で確かめますか

自社の件数で見ます。画面から起票された発注の件数、電話とFAXへ戻った件数、入力のやり直しの件数を月ごとに並べ、増減の理由を品目・通信・承認の段に分けます。2024年のEC化率43.1%といった市場全体の数値は自社の到達点ではなく、比較の背景として扱う位置づけです1

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025) 経路
  2. 2 出典:総務省「令和6年通信利用動向調査の結果」(2025) 経路
  3. 3 出典:国税庁「電子取引データ保存義務対応サイト」(2026年時点) 経路
  4. 4 出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」(2025) 経路
  5. 5 出典:流通BMS協議会(一般財団法人流通システム開発センター/GS1 Japan)「流通BMS標準仕様」(2026年時点) 経路
  6. 6 出典:Google「Web Vitals」(2024) 経路

画像の出典元

  1. Aerial view of expansive industrial warehouses in Serang, Ba/Photo by Tom Fisk on Pexels
  2. A detailed view of industrial structures and machinery at an/Photo by Kerim Eveyik on Pexels
  3. Construction worker with safety gear placing concrete block./Photo by Mukhtar Shuaib Mukhtar on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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