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業務の二重入力をやめる方法:入力元と入力先で見極め、CSV・連携・RPAを選ぶ手順

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 二重入力は、入力元と入力先の組で書き出すと減らし方が見えてくる
  • 入力先に取り込み口があればCSVや連携製品、なければ提供元への依頼やRPAを検討する
  • RPAは画面・仕様・手順の変更で止まるため、例外処理と直す担当者を先に決める
  • 試行は件数の多い一組に絞り、作業時間・手戻り・停止理由を前後で比べる
  • 正とする入力場所、変更の連絡、例外の戻し先を決めると、照合の手間が戻りにくくなる

Close-up of adult typing on laptop in bright, modern office.
▽ 写真の出典元

業務の二重入力は「入力元」と「入力先」で見ると原因が切り分けられる

受注メールを見ながら販売管理システムに打ち込み、同じ内容を請求用のExcelにもう一度入れる。
業務の二重入力は、こうした打ち直しのたびに時間を取り、転記ミスの手戻りを生みます。
システムを入れ替えなくても、減らせる部分はあります。
まず「どこで受け取り、どこへ打ち直しているか」を組にして書き出すと、手段を選べるようになります。
入力先にCSVやAPIの取り込み口があればCSVや連携製品を使います。
取り込み口がなければ、例外処理を組み込んだRPAを一部の業務で小さく試します。
どちらの場合も、保守できる人と、止まったときに人が引き取る戻し先を先に決めておきます。

打ち直しの場面を入力元と入力先の組で書き出す

二重入力をやめたいと思っても、困りごとが「入力が多くて大変」という一つの塊に見えているうちは、手段を選べません。
同じ情報を打ち直している場面は、たいてい「どこで受け取った情報を」「どこへ打ち直しているか」の組に分けられます。
受け取る場所を入力元、打ち直す先を入力先と呼ぶことにします。
入力元にはFAX・メール・紙・Excel・他のシステムが、入力先には基幹・会計・販売管理などのシステムや帳票が並びます。

仮の流れで考えてみます。
取引先からメールで届いた注文を、受注担当者が販売管理システムに入力します。
出荷後には、同じ注文の取引先名と金額を請求用のExcelへもう一度写しています。
このとき打ち直しは「メール→販売管理」と「販売管理→請求用Excel」の二つの組に分かれます。
前者は、文面を人が読み、品番や数量を拾い出して入力する作業です。
後者は、すでにシステムに入っている値を別の場所に写しているだけで、人が判断する余地はほとんどありません。
同じ「二重入力」でも、この二つでは減らし方が大きく変わります。

書き出すときは、組ごとに次の項目を並べておきます。
こうしておくと、後で手段を比べるときにそのまま使えます。

  • 入力元:情報を受け取る場所と、その形(紙、FAX、メール本文、添付のExcel、他システムの画面など)
  • 入力先:打ち直す先のシステムや帳票
  • 写している項目:取引先名、品番、数量、金額など
  • 件数と頻度:1日や1か月で何件あるか、月末に偏るか
  • 担当者:誰が入力し、ミスに誰が気付いて直しているか

件数は、数日分でもかまわないので、実際に数えた値を書いておくと役に立ちます。
手段を選ぶときに「手作業の整理で足りる量か」「仕組みを作るのに見合う量か」の見当がつきます。
試した後に前後を比べる土台にもなります。

受注の場面で手入力を負担と感じる人は少なくありません。
食品の小売・卸売で受注業務に携わる人を対象にした2023年3月の調査があります。
FAX・メール・電話で受注していると答えた90名のうち、60%が注文書の手入力に手間がかかると回答しています4。
ただし、これは複数回答の設問で、対象も食品業の受注担当者に限られます。
社内の転記全般にそのまま当てはまる数字ではありません。
それでも、受け取った注文書を人が読み直して打ち込む作業が、現場で手間として意識されていることはうかがえます。

書き出した入力元を見比べると、データとしての状態に差があることに気付きます。
紙やFAXは、そのままではシステムが読める文字になっていません。
メール本文は文字ではあっても、取引先ごとに書き方が違います。
どこが品番でどこが数量かは、人が読み取っています。
一方、Excelの決まった列や他システムの画面に入った値は、項目ごとに区切られています。
これを構造化されたデータ、つまり機械が項目を見分けられる状態と呼びます。
入力元が構造化されているほど、人を介さずに写す手段が使いやすくなります。

入力先に取り込み口があるかを確かめる

もう一つ見ておきたいのは入力先の側です。
入力先のシステムに、外からまとめてデータを受け取る口があるかどうかで、選べる手段が分かれます。
代表的なのは、CSVファイルを読み込むインポート機能と、APIです。
APIは、外部のプログラムがデータを受け渡すために公開された窓口のことです。

確かめ方は難しくありません。
まず、管理画面に「インポート」「データ取り込み」といったメニューがあるかを見ます。
操作マニュアルにCSVの取り込み形式が載っているかも確かめます。
APIは画面からは分かりにくいので、提供元の開発者向け資料を探すか、サポート窓口に「外部からデータを登録する方法があるか」を問い合わせると確実です。
あわせて、入力元の側にCSVを書き出す機能があるかも見ておきます。
受け渡しは、両側がそろって初めて成り立つからです。

先ほどの例に当てはめてみます。
「販売管理→請求用Excel」の組は、販売管理からCSVを書き出せればExcel側で読み込めるため、写す作業そのものを置き換えられる見込みがあります。
「メール→販売管理」の組は事情が違います。
販売管理に取り込み口があっても、メール本文が構造化されていないので、取り込む前のデータをどう作るかが残ります。
入力元の状態と入力先の取り込み口、この二つを組ごとに見ておくことが、次の手段選びの前提になります。

項目 回答割合(%)
注文書の手入力に手間がかかる 60
受注の仮の流れで見る二つの打ち直しの組と、減らし方の違い(模式図)
メールから販売管理への入力は人が文面を読んで拾い、販売管理から請求用Excelへの入力はシステム内の値を写すだけで、減らし方が違うことを示した図1メール→販売管理2文面を人が読み、品番や数量を拾って入力する3取り込む前のデータをどう作るかが残る4販売管理→請求用Excel5すでにシステムに入っている値を写している

▼ 図の内容を文字で読む
  1. メール→販売管理
  2. 文面を人が読み、品番や数量を拾って入力する
  3. 取り込む前のデータをどう作るかが残る
  4. 販売管理→請求用Excel
  5. すでにシステムに入っている値を写している

手段は少量の手作業からCSV・連携製品・個別開発・RPAへ、規模と条件で選ぶ

少量なら入力元の一本化と手作業の整理から

仕組みで写す手段に目が向きがちですが、件数が少ない組では、手作業を整理するほうが負担が軽い場合があります。
kintoneと外部システムの連携を説明した提供元の資料は、連携の方法を転記・CSV・連携製品・個別開発の4つに分けています。
そのうえで、少量であればまず転記を検討し、規模や複雑さに応じて順に進む考え方を示しています1。
これはkintoneを前提にした説明です。
それでも、仕組みを作って保守する手間が写す手間を上回ることがある、という点は、他のシステムどうしの組を考えるときにも参考になります。

手作業の整理とは、写す作業を残したまま、写す量と迷う場面を減らすことです。
たとえば、同じ注文をメールでもFAXでも受けている取引先があるとします。
受け取り方を一本にそろえてもらうだけで、どちらが正しいかを照合する手間が消えます。
請求用のExcelに、実際には使っていない項目まで写しているなら、項目を削ると転記の量もミスの入り込む場所も減ります。
どの組から手を付けるか決めかねているときも、この整理を先にしておくと、後で仕組みを入れる範囲が小さくなります。

CSVで受け渡す場合の前提(形式・文字コード・実行タイミング)

入力元からCSVを書き出し、入力先で読み込めるなら、人が一件ずつ写す作業はファイルの受け渡しに置き換わります。
CSVは、項目をカンマで区切って並べた文字のファイルで、多くの業務システムが入出力に対応しています。
ただし、書き出せることと、そのまま読み込めることは別です。
前述の資料は、CSVで連携する場合、次の点を事前に合わせる必要があるとしています。
ファイルの形式、文字コード、改行コード、ファイルサイズ、実行タイミング、ファイルの置き場所です1。

先ほどの例でいえば、販売管理が書き出すCSVの文字コードと、請求用Excelや会計システムが読み込める文字コードが違うと、取引先名が文字化けします。
列の並びや日付の書き方が違えば、項目のずれが起きます。
金額が別の列に入ったり、日付が読み込めなかったりするのはこのためです。
実行タイミングも見落としやすい点です。
販売管理の書き出しが夕方で、請求側の取り込みが翌朝だとします。
その間に入った修正がどちらに反映されているかを、誰かが確かめることになります。

形式がどうしても合わない場合は、間にファイルを変換する処理を挟みます。
この処理について資料は、運用担当者が保守できる言語で作ることを挙げています1。
作った人しか直せない変換処理は、入力元のシステムが項目を増やしたときに止まります。
そうなると、二重入力が手作業に戻る原因になりかねません。

連携製品と個別開発の違い

受け渡す件数が多い場合や、複数のサービスをまたいで順番に処理したい場合は、連携製品や個別開発が候補になります。
連携製品には、システムに追加して使うプラグイン、ETL・EAI、iPaaSがあります1。
ETLはデータを取り出し、形を変えて書き込む仕組みです。
EAIは社内の複数システムをつなぐ仕組み、iPaaSはクラウド上で提供される連携の基盤を指します。
資料では、ETL・EAIは比較的コストが高くなりがちだとしています1。
iPaaSは複数のクラウドサービスをまたぐ処理の順序を制御するのに向くとされ、どの製品も提供元ごとの制限事項を事前に確認する必要があります1。

個別開発は、REST APIやWebhookを使って、自社の業務に合わせた連携を作る方法です。
Webhookは、あるシステムで出来事が起きたときに、別のシステムへ知らせる仕組みです。
個別開発は自由度が最も高い一方で、開発の知識が必要になり、作った後も保守の負担が続きます1。
入力先に外部向けのAPIがない場合は、自社で作るより、提供元に開発を依頼するほうが現実的だとも述べています1。

連携製品と個別開発の違いは、つなぐ部分を誰が作り、誰が直すかにあります。
連携製品では、つなぐ部分の仕組みを提供元が用意します。
自社が担うのは、設定と、提供元の制限の範囲内での運用です。
個別開発では、つなぐ部分そのものを自社か委託先が持ち続けます。
入力元や入力先のシステムが更新されたときの影響も違います。
連携製品なら提供元の対応状況に左右され、個別開発なら自分たちで直すことになります。
どちらが合うかは、社内や委託先に保守を任せられる人がいるかで変わります。

連携口がない場合にRPAを使う

入力先にCSVの取り込み機能もAPIもない場合、残る選択肢の一つがRPAです。
RPAは、人が画面上で行うクリックや入力の操作をソフトウェアに覚えさせ、同じ手順で繰り返させる技術です。
Microsoftは2019年の発表で、RPAをAPIやコネクタを持たないアプリケーションを自動化するための技術と位置づけています3。
これはプレビュー段階の製品発表での説明なので、現行の製品仕様をこの記述から判断することはできません。
それでも、RPAが連携口のない画面を相手にする手段だという位置づけは、手段を選ぶうえでの目安になります。

ここまでの手段を、使える条件・前提・残る負担という同じ観点で並べると次のようになります。
どれが優れているかを決めるための表ではありません。
自分の組がどの条件に当てはまるかを見るための整理です。

Close-up view of a programmer coding on a laptop, showcasing modern software development.
▽ 写真の出典元

表を見ると、判断が分かれる境目は二つあります。
一つは、入力先に取り込み口があるかどうかです。
あれば、CSVか連携製品、個別開発のいずれかで、人の操作を介さずに値を渡せます。
なければ、提供元に依頼するか、画面を操作するRPAに頼ることになります。
もう一つは、作った後に誰が直すかです。
CSVの変換処理、個別開発、RPAのシナリオは、いずれも入力元や入力先が変わると手直しが要ります。
削減できる手間だけでなく、この手直しを引き受けられるかまで含めて比べると、導入後の負担を見落としにくくなります。

手段 使える条件 前提 残る負担
手作業の整理 件数が少ない組 受け取り方の一本化と写す項目の見直し 写す作業そのものは残る
CSV 入力元に書き出し・入力先に取り込みの機能がある 形式・文字コード・改行コード・ファイルサイズ・実行タイミング・置き場所を合わせる 変換処理は運用担当者が保守できる形で持つ
連携製品 件数が多い・複数のサービスをまたぐ 提供元ごとの制限事項の確認 ETL・EAIは比較的コストが高くなりがち
個別開発 外部向けAPIがある・提供元に開発を依頼できる 開発の知識 開発後も保守の負担が続く
RPA APIやコネクタのない画面を操作する 手順が定型で例外処理を組み込める 画面・仕様・手順の変更で止まり切り分けと修正が要る

RPAは「例外」と「変更」で止まる。入れる前に残る負担を知る

画面変更とファイル仕様の変更で止まる

RPAは画面の上で人の操作をなぞるため、画面やファイルが変わると、手順どおりに進めなくなります。
日立ソリューションズのRPAコラムは、RPAに起こりがちなエラーの原因を「例外」と「変更」に分けています2。
例外には、ハードウェアに起因するものと、ソフトウェアに起因するものがあります。
ソフトウェア起因の例は画面の変更やファイル仕様の変更で、これらは事前に通知されないことが多いとしています2。
変更は、業務の手順や成果物を自分たちで変えたときに起きるものです。
このとき、既存のシナリオ(RPAに覚えさせた一連の手順)を修正する際にミスが起きやすいと指摘しています2。

先ほどの例で、販売管理の画面から値を読み取り、請求用のExcelへ書き込むRPAを作ったとします。
販売管理のシステムが更新されて入力欄の位置が変われば、RPAは目的の値を見つけられずに止まります。
経理の都合で請求用Excelに列が一つ増えた場合も問題が起きます。
その修正をシナリオに反映し忘れると、金額が隣の列に書き込まれることもあります。
前者は外から来る変化、後者は社内で起こす変化で、防ぎ方も違います。

想定外データへの例外処理

画面の変化のほかに、業務そのものの例外もあります。
コラムは、対策の一つ目に例外処理の組み込みを挙げています2。
ここでいう例外処理とは、想定どおりに進めなかったときにどう振る舞うかを、あらかじめシナリオに書いておくことです。

受注の転記でいえば、たとえば次のような場面です。
未登録の取引先からの注文、数量欄が空の行、いつもと違う書式の注文書などで、人なら一目で気付いて判断しています。
RPAにはこの判断を任せられません。
そこで、条件に合わない行は処理せずに人の手元へ回し、どの行をなぜ回したかを記録に残す、という振る舞いを最初から決めておきます。
例外を考えずに作ると、問題が二通りに出かねません。
途中で止まって後続の注文まで滞るか、誤った値のまま入力先へ書き込まれるかです。
どちらも、転記ミスの手戻りと同じ手間を生みます。

設計で止まりにくくする5つの工夫

コラムが挙げる対策は次の5つです2。

  • 例外処理の組み込み
  • 設定ファイルの分離
  • 処理の共通化
  • シナリオの分割
  • 統合運用管理ツールの活用

設定ファイルの分離は、変わりやすい値をシナリオ本体から外に出しておく考え方です。
ファイルの置き場所や取引先の一覧などを外に出しておけば、変化があっても設定だけ直せば済みます。
処理の共通化は、複数のシナリオで使う同じ操作を一か所にまとめるものです。
画面が変わったときの修正箇所を減らすことにつながります。
シナリオの分割は、長い一続きの手順を区切ることです。
止まった場所を特定しやすくなり、一部の修正が全体に響きにくくなります。
統合運用管理ツールは、複数のロボットの稼働や停止をまとめて見るための仕組みです。

どれも、止まらないRPAを作るというより、止まったときに早く直せるRPAにするための工夫です。
コラムは、現場の部門で運用する場合、止まった原因がハードウェアにあるのかソフトウェアにあるのかを切り分ける力が求められるとしています2。
そうした人材を置けない場合は、ログの自動収集や外部パートナーの支援も選択肢になるとしています2。
RPAを入れると写す作業は減っても、止まったときに原因を見て直す役割が新しく生まれます。
この役割を誰が引き受けるかが決まっていないうちは、導入を急がないほうが安全です。

残る負担はRPAに限りません。
CSVの変換処理や個別開発も、作った後の保守が続く点は同じです1。
違いは、RPAが画面の見た目に頼っていることです。
そのため、事前の通知がないことが多い画面の変更の影響を直接受けます2。
外から来る変化にどう気付くかを、他の手段よりも先に考えておく必要があります。

RPAが止まる原因の区分と、それぞれで生じる負担
RPAの停止原因を、ハードウェア起因の例外、ソフトウェア起因の例外、業務手順や成果物の変更の3つに分け、それぞれの特徴を示した図1例外ハードウェア起因2止まった原因の切り分けが必要3例外ソフトウェア起因4画面の変更5ファイル仕様の変更

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 例外(ハードウェア起因)
  2. 止まった原因の切り分けが必要
  3. 例外(ソフトウェア起因)
  4. 画面の変更
  5. ファイル仕様の変更

自分の状況ではどの手段から試すか:連携口・データ形式・件数・担当者で決める

見る順番:入力元、取り込み口、件数、直せる人

ここまでの話を、自分の組に当てはめて最初の手段を選ぶ順に並べ直します。
見るのは、入力元のデータの状態、入力先の取り込み口、件数、作った後に直せる人の4つです。
この順番は記事としての提案です。
何件以上なら仕組みにすべきといった、決まった基準があるわけではありません。
件数の見当は、最初に書き出した実際の件数と、そこにかかっている作業時間を手元に置いて判断します。

順番に意味があるのは、前の条件が後の選択肢を絞るからです。
入力元がデータになっていなければ、どれだけ良い連携の仕組みを用意しても渡す値がありません。
取り込み口の有無で、値を直接渡せるか、画面を操作するしかないかが決まります。
件数が少なければ、仕組みを作る手間に見合わないことがあります。
そして最後に、選んだ手段を直し続けられる人がいるかで、続けられるかどうかが決まります。

入力元が紙・FAXのとき

入力元が紙やFAXなら、入力先の手段を選ぶ前に、入力元をデータにする方法を考えます。
紙のままでは、CSVも連携製品もRPAも、写す元の値を持っていないからです。

考えられる進め方は二つあります。
一つは、取引先や社内の依頼元に、受け取り方の切り替えを相談することです。
メール添付のExcelや決まった書式のファイル、Web上の発注画面などへ切り替えてもらえないかを尋ねます。
相手の事情で切り替えられない取引先が残るのは自然なことなので、件数の多い相手から順に話をしていきます。
もう一つは、紙やFAXからの入力を一度だけに絞ることです。
受け取った注文は最初のシステムに一度入力し、その後の請求用Excelや会計システムへは、最初のシステムから書き出して渡します。
こうすれば、人が打ち込む回数は一回で済みます。

紙の注文書を読み取って文字にする仕組みを検討する場合もあるでしょう。
その場合も、読み取った結果を誰がどこで確かめるかは残ります。
読み取りの精度や対応する書式は製品ごとに違うため、自社の注文書で試してから判断することになります。

入力先に取り込み口があるとき

入力元がデータになっていて、入力先に取り込み口があるなら、まずCSVでの受け渡しを考えます。
入力元に書き出しの機能があり、受け渡しが日次や月次のように決まったタイミングで済むなら、比較的始めやすい手段と考えられます。
文字コードや列の並びが合わない場合は、変換処理を誰が保守できるかを先に決めます1。

受け渡しが一つの組で終わらないこともあります。
販売管理から会計へ、会計から別のクラウドサービスへと順番に流したい場合は、処理の順序を制御できる連携製品が候補になります1。
個別開発を考えるのは、入力先にAPIがあり、社内か委託先に開発と保守を任せられる人がいる場合に限ります。
保守の当てがないまま個別開発を選ぶと、作った人が離れた後に誰も直せない連携が残ります。

取り込み口がなく手順が定型のとき

入力先に取り込み口がない場合も、すぐにRPAへ進むとは限りません。
その前に、提供元に取り込みの機能やAPIの予定がないかを尋ねる価値があります。
外部向けのAPIがない場合は、提供元への開発依頼が現実的だという考え方も示されています1。

そのうえで、毎回同じ画面を同じ順番で操作し、判断の分かれ目が少ない手順であれば、RPAを検討します。
反対に、取引先ごとに書式が違う組や、人の判断で値を直す場面が多い組もあります。
こうした組では、例外として人へ戻す件数が多くなり、RPAに任せられる部分が小さくなります。
その場合は、先に入力元の書式をそろえるか、手作業の整理にとどめるほうが、手戻りと保守の手間を合わせた負担は軽くなりえます。

最初の手段を選ぶときに見る4つの条件の順番(記事の提案)
入力元のデータの状態、入力先の取り込み口、件数、作った後に直せる人の順に確かめて手段を絞る流れを示した図1入力元のデータの状態2入力先の取り込み口3件数4作った後に直せる人

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 入力元のデータの状態
  2. 入力先の取り込み口
  3. 件数
  4. 作った後に直せる人

一部の業務で試し、止まった理由と手戻りで続行・見直しを決める

試す範囲の絞り方

最初の手段が決まったら、いきなり全部の組に広げず、一つの組で試します。
向いているのは、書き出した組のうち、件数が多く、手順の分かれ目が少ないものです。
件数が多い組なら、短い期間でも記録がたまり、前後の違いを比べやすいからです。
例外の多い組から始めると、例外の扱いに時間を取られます。
そうなると、手段そのものの良し悪しの判断がつきにくくなります。

期間は、比べたい状況を含むように決めます。
月末の詰まりを減らしたいのが動機なら、試す期間に月末をまたがせる必要があります。
そうしないと、いちばん知りたい場面の記録が取れません。
何日、何件あれば十分という決まった基準はありません。
実施前の記録と、同じ長さ・同じ時期の条件で比べられるかを優先します。

記録する項目

記録は、実施前と実施後で同じ項目を同じ期間について取ります。

  • その組の作業にかかった時間
  • 転記ミスによる手戻りの件数
  • 例外として人の手に戻った件数と、その理由
  • 仕組みが止まった回数と、止まった理由
  • 止まったときの修正や設定変更にかかった時間

作業時間だけを見ると、仕組みを入れた効果は大きく見えがちです。
止まった回数や修正にかかった時間も一緒に残しておきます。
削減できた手間と、新しく生まれた保守の手間を、同じ表で見比べるためです。
止まった理由は、前の節で触れた区分に沿って書いておきます。
画面やファイルの変更、手順の変更、データの例外のどれに当たるかが分かれば、後で対策を選ぶ手掛かりになります。

続行・見直しの見方

記録がそろったら、三つを並べて判断します。
作業時間の減り方、例外で人に戻った割合、保守にかかった手間です。
作業時間が減り、例外も少なく、止まっても短時間で直せているなら、同じ手段を次の組に広げることを考えられます。

見直しの手掛かりは、止まった理由と手戻りの中身にあります。
例外で人に戻る件数が多いなら、手段よりも入力元の書式や受け取り方の整理が先に必要だというサインです。
止まった理由の多くが画面や手順の変更なら、手段を替える前に、変更を知らせる手順が欠けていないかを見ます。
修正にかかる時間が、減らした作業時間に迫ることもあります。
その場合は、取り込み口のある別の手段に切り替えるか、手作業の整理に戻ることも選択肢です。
見直しは失敗ではありません。
次に試す組と手段を選び直す工程の一部です。

一つの組で試し、記録をもとに続行か見直しを決めて次へ進める流れ(模式図)
件数の多い組を選び、実施前を記録し、同じ期間で試して停止の理由を記録し、手間を比べて続行か見直しを決め、次の組へ戻る繰り返しを示した図1件数が多く手順の分かれ目が少ない組を一つ選ぶ2実施前の作業時間と手戻りを記録する3同じ期間で試し、例外と停止の理由を記録する4削減できた手間と保守の手間を並べる5続行するか、手段や範囲を見直して次の組へ

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 件数が多く手順の分かれ目が少ない組を一つ選ぶ
  2. 実施前の作業時間と手戻りを記録する
  3. 同じ期間で試し、例外と停止の理由を記録する
  4. 削減できた手間と保守の手間を並べる
  5. 続行するか、手段や範囲を見直して次の組へ

再発を防ぐ:データの持ち主・入力ルール・変更時の連絡を決める

どこを正とするかを決める

手段を入れても、運用の決めごとがなければ、二重入力は形を変えて戻ってきます。
たとえば、入力先で値を直したのに、入力元が古いまま残るとします。
次の受け渡しで古い値が上書きされるか、どちらが正しいかを照合する作業が新しく生まれます。

これを避けるには、項目ごとに、どこで入力した値を正とするかを決めておきます。
先ほどの例なら、取引先名や品番、数量は販売管理で入力した値を正とします。
請求用のExcelでは直さず、直す必要があれば販売管理で直してから受け渡し直す、という決め方です。
正とする場所が決まっていれば、誤りに気付いた人がどこを直せばよいか迷いません。
二か所を照らし合わせる確認も減らせます。
あわせて、正とする場所での入力ルールもそろえておきます。
取引先名の表記や日付の書き方がそろっていれば、受け渡しのたびに起きる項目のずれを抑えられます。

仕様変更の連絡と例外の戻し先

RPAの停止原因のうち、画面の変更は事前に知らされないことが多く、変更時のシナリオ修正ではミスが起きやすいとされていました2。
外から来る変更は防ぎきれませんが、社内で起こす変更は連絡の手順で拾えます。
請求用Excelの列を増やす、帳票の書式を変える、業務の手順を入れ替えるといった変更があります。
こうした変更をする人が、影響を受ける連携の担当者に事前に知らせる流れを決めておきます。
入力元や入力先のシステムについては、提供元から届く更新の案内を誰が読み、連携への影響を見るかを決めておきます。
そうすれば、変更に気付くのが遅れる場面を減らせます。

もう一つは、例外の戻し先です。
仕組みが止まったときや、例外として人に戻すデータが出たときに、誰が受け取り、いつまでに処理するかを決めておきます。
戻し先が決まっていないと、止まったことに気付かないまま注文が滞りかねません。
その結果、月末にまとめて手で打ち直すことになります。
これらの決めごとで事故がなくなるわけではありません。
ただ、変更や例外に気付いてから直すまでの迷いと、二か所を照らし合わせる確認を減らせます。

入力元と入力先の組を書き出しても、自社のシステムに取り込み口があるか、どの組から試すかは、提供元の資料や契約条件を読み合わせないと判断しにくいことがあります。

書き出した組と件数をもとに、取り込み口の有無と最初に試す手段の候補、その手段で残る保守の役割を整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
切り分け 打ち直しを入力元と入力先の組で書き出す
入力元が紙・FAX 先にデータ化を相談するか、入力を最初のシステムへの一回に絞る
取り込み口あり CSVから考える。複数サービスの順序制御は連携製品、APIと保守人材があれば個別開発
取り込み口なし 提供元に機能を尋ね、手順が定型ならRPAを例外処理込みで
試行 件数の多い一組で、前後同じ項目・同じ期間を記録
再発防止 正とする入力場所、変更の連絡、例外の戻し先を決める
50代後半の日本人男性が手順の指導をしている場面

試行の記録を取っても、止まった理由が手段の選び方にあるのか、運用の決めごとにあるのかは、社内だけでは切り分けにくい場合があります。 記録した作業時間・手戻り・停止の理由を見ながら、続行するか、手段や範囲を見直すかの判断材料を整理できます。

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よくある質問

二重入力を減らすとき、最初に何を書き出せばよいですか。

入力元と入力先の組ごとに、次の項目を書き出します。
受け取る場所とその形、打ち直す先、写している項目、件数と頻度、入力とミスの修正を担っている人です。
件数は数日分でも実際に数えた値にしておくと、手作業の整理で足りるか、仕組みを作るのに見合うかの見当がつきます。
試行後に前後を比べる土台にもなります。

入力先に取り込み口があるかは、どう確かめますか。

管理画面に「インポート」「データ取り込み」などのメニューがあるか、操作マニュアルにCSVの取り込み形式が載っているかを見ます。
APIは画面から分かりにくいので、提供元の開発者向け資料を探すか、サポート窓口に外部からデータを登録する方法を問い合わせます。
外部向けのAPIがない場合は、提供元への開発依頼が現実的な選択肢として示されています1。

CSVの受け渡しで文字化けや項目のずれを防ぐには何を決めますか。

受け渡す前に、両側で次の点を合わせます。
ファイルの形式、文字コード、改行コード、ファイルサイズ、実行タイミング、置き場所です1。
列の並びや日付・金額の書き方も、書き出す側と読み込む側で一覧にして照らし合わせておくと、項目のずれに気付きやすくなります。
形式を変換する処理を挟むなら、運用担当者が保守できる言語で作ります1。

RPAが止まったとき、現場の担当者は何を見て切り分けますか。

まず、止まった原因がハードウェア側かソフトウェア側かを切り分けます2。
次に、直前に入力元や入力先の画面、ファイルの仕様が変わっていないか、社内で帳票や手順を変えていないかを確かめます。
例外として処理されなかったデータがないかも、記録やログで見ます。
現場に切り分けられる人を置けない場合は、ログの自動収集や外部パートナーの支援も選択肢になります2。
止まっている間の処理は、あらかじめ決めた戻し先で人が引き取ります。

入力元が紙やFAXの場合、二重入力の削減はどこから始めますか。

入力先の手段より先に、入力元をデータにする方法を考えます。
一つは、件数の多い取引先から、メール添付のExcelや決まった書式のファイル、Web上の発注画面などへの切り替えを相談することです。
もう一つは、受け取った注文の入力を最初のシステムへの一回に絞り、後工程へはそのシステムから書き出して渡すことです。

小さく試すとき、どの期間・件数で記録すればよいですか。

何日・何件なら十分という決まった基準はありません。
件数の多い一つの組に絞り、実施前と実施後を同じ長さ・同じ時期の条件で記録します。
月末の詰まりが動機なら、月末をまたぐ期間にします。
記録するのは、作業時間、転記ミスによる手戻りの件数、例外で人に戻った件数と理由、止まった回数と理由、修正にかかった時間です。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:サイボウズ株式会社「kintoneと外部システム連携の方式ごとのポイント」(2026年閲覧)
  2. 2 出典:株式会社日立ソリューションズ「RPAに起こりがちなエラーは「例外」と「変更」」(2026年閲覧)
  3. 3 出典:Microsoft Corporation「UI flows(RPA)に関する発表」(2019年)
  4. 4 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)

画像の出典元

  1. Close-up of adult typing on laptop in bright, modern office./Photo by Burst on Pexels
  2. Close-up view of a programmer coding on a laptop, showcasing modern software development./Photo by cottonbro studio on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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