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多頻度小口注文の受注締切、設定の効果と進め方|他の対策との選び方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 受注締切は、締切時刻までの注文を1回の出荷に束ねて、件数と便数に紐づく作業と配送の負担を下げる仕組みである
  • 締切時刻は、集荷時刻からの逆算と、取引先が実際に発注している時間帯の分布の両方から決める
  • 既存の取引条件を一方的に変更すると独占禁止法上の論点になりうるため、理由の説明・猶予期間・例外条件を示した合意の手続きを伴わせる
  • 締切が効くのは時間の分散であり、1件の数量には最低ロット、便数には共同配送、日単位の山には平準化が対応し、これらは併用できる
  • 2023年の政府ガイドラインは荷待ち・荷役時間の目標を示すもので、受注締切の設定を定めるものではない

30代前半の日本人女性が店舗カウンターでの受注をしている場面

多頻度小口注文が出荷側にかける負担の中身とは

午後に届いた数個単位の注文に出荷指示を出し、伝票を発行し、当日の便に間に合わせる。
1件あたりは小さくても、件数が積み上がるほど庫内の作業も配送費も膨らんでいきます。
受注締切(出荷締切)は、締切時刻までに届いた注文を一つの出荷にまとめることで、この1件あたりの負担を下げる仕組みです。
ただし、これまで随時受けていた注文に締切を設けるのは取引条件の変更にあたり、一方的な通告として進めると独占禁止法上の論点になりうる場面があります。
締切のほかに最低ロット、共同配送、発注の平準化という選択肢もあり、負担がどこで生まれているかによって向く対策は変わります。

出荷回数の増加が引き上げるコスト

多頻度小口の注文がつらいのは、扱う量が増えたからではなく、件数が増えたからです。
受注を1件受けると、内容の確認、在庫の引当、出荷指示、ピッキング、梱包、送り状の発行、出荷実績の登録、そして請求時の突き合わせまで、一連の作業が必ず一度ずつ発生します。
この作業は、注文された数量が10個でも1個でも、かかる手間がほとんど変わりません。

数量に比例して増えるのはピッキングと梱包の一部だけで、それ以外の工程は件数の側に張り付いています。
つまり、同じ月間出荷量でも、10件でさばくのと100件でさばくのとでは、発生する作業の総量がまったく違います。
「忙しいわりに数字が伸びていない」という感覚は、この構造から来ていることが少なくありません。

配送費も同じ構造を持っています。
1回の便に積める量には上限があり、その上限に対してどれだけ積めたかで1個あたりの運賃負担が決まります。
同じ届け先へ1日に2回、3回と少量ずつ運べば、便数の分だけ費用が重なり、1件あたりの配送単価は上がりやすくなります。

荷役・在庫管理への影響

便が増えると、その影響は庫内の動き方にも出ます。
出荷のタイミングが1日のなかで分散するため、ピッキングの人員を一度にまとめて動かせず、検品や積み込みも小刻みに繰り返すことになります。
集荷に来る車両の着車時刻も分かれ、そのたびに担当者が手を止めて対応する必要が生じます。

在庫管理では、引当の単位が細かくなることが効いてきます。
同じ商品に対して1日のうちに何度も引当が走ると、どの注文にどの在庫を充てたのかが追いにくくなり、欠品が起きたときに次の入荷をどの注文へ回すかという判断も増えます。
返品や訂正が入ったときに、どの出荷分の話なのかを特定する手間も、出荷回数に比例して増えていきます。

ここまでを整理すると、負担は「数量」ではなく「件数」と「便数」に紐づいて発生しています。
どの対策が自社に効くかは、この件数と便数のどちらが、そしてどの工程が一番苦しいのかによって変わります。

受注締切(出荷締切)を設定すると、なぜ負担が減るのか

注文をまとめることで下がる配送単価

受注締切(出荷締切)とは、その日の出荷に載せる注文をどの時刻までに受け付けるかを決めた区切りのことです。
締切を過ぎて届いた注文は、翌営業日の出荷分として扱います。
やっていることは単純で、時間で線を引き、線の内側に入った注文を一つの束として処理するだけです。

この束ね方が効くのは、前に見た固定的な作業が、注文の件数ではなく出荷の回数に付け替えられるからです。
同じ届け先から午前と午後に別々の注文が来ていた場合、締切を1日1回にすれば、引当も梱包も送り状の発行も1回分で済みます。
配送側では、1便に積む量が増えるため、その便の費用を分け合う数量が大きくなります。

ただし、どの程度まで下がるかは届け先の分布や商品の荷姿によって大きく変わります。
同じ届け先へ1日に何度も出している取引先が多ければ効果は出やすく、届け先がばらばらで1件ずつしか注文が来ないなら、締切を設けても束ねる相手がいないという結果になります。
自社の受注データで、同じ届け先から1日に複数回の注文が入っている割合を見ておくと、効果の当たりがつきます。

締切時間を決める際の考え方

締切時刻は、集荷時刻から逆算するのが出発点になります。
運送会社の集荷が夕方に決まっているなら、それまでにピッキング、梱包、検品、送り状の発行が終わっている必要があり、その所要時間を引いた時刻が物理的な上限です。
ここに、欠品や住所不備といったイレギュラーが起きたときの余裕をどれだけ見込むかを足し引きして、実際の締切を置きます。

もう一つ見ておきたいのが、取引先が実際に何時に発注しているかです。
過去の受注データを時間帯別に並べると、締切をどこに置いたときに何割の注文が翌日扱いになるかが分かります。
締切を早めるほど束ねられる注文は増えますが、そのぶん取引先から見た発注の期限も早まります。
集約の効果と発注のしやすさは正面からぶつかるので、どちらをどこまで優先するかを決めないと、締切の時刻は決まりません。

締切は、決めた後に守られるかどうかで意味が変わります。
締切後の注文を電話一本で受けてしまう運用が続けば、取引先は締切前に発注する理由を失い、束ねる効果は出ません。
例外を認めるなら、誰がどの条件で認めるのかをあらかじめ決めておくほうが、結果として運用は安定します。

締切までの注文受付から、まとめた庫内作業を経て1回の配送になるまでを示した流れ図
受注締切で注文を束ねる流れ

受注締切以外にどんな対策があるか

共同配送

締切は注文の「時間」を束ねる対策なので、負担の源が時間の分散にない場合には効きません。
そもそも同じ方面へ走る車両が確保できない、という制約に突き当たっているなら、別の軸で手を打つことになります。
共同配送は、同じ方面へ荷物を出す他社と車両を共有し、1台あたりの積載を埋める方法です。

締切が自社の注文だけを時間でまとめるのに対して、共同配送は自社の枠を越えて荷物を集めます。
そのぶん、荷姿や伝票の様式、積み込みの順序を相手に合わせる必要があり、出発時刻を自社の都合だけで動かせなくなります。
調整の相手が取引先ではなく、同業他社や物流事業者になる点も、締切の話とは性質が違うところです。

最低ロット制

最低ロット(最小発注数量)は、1回の注文で受け付ける数量に下限を設ける方法です。
締切が時間を束ねるのに対して、こちらは1件あたりの「量」を引き上げます。

両者の違いは、変えているものがどちらなのかにあります。
締切は出荷の回数を減らしますが、注文1件の大きさそのものは変えません。
最低ロットは注文1件の大きさを変え、その結果として件数が減ります。
その代わり、注文を溜めてから出すのは取引先の側になるため、在庫を持つ負担が相手へ移ります。

発注の平準化・EDI活用

月末や特定の曜日に注文が集中している場合は、1日の中で時間を区切る締切では山を崩せません。
締切は1日の内側を整える対策であり、日をまたぐ偏りには届かないからです。
発注の平準化は、取引先の発注日そのものを分散させたり、定期発注に切り替えたりして、週や月の単位で山を均す考え方です。

EDIによる発注データの受け取りは、この平準化と組み合わせやすい仕組みです。
注文書やメールを見ながら受注入力する運用では、注文の件数がそのまま入力作業の件数になりますが、発注データを直接受け取れれば、件数が増えても入力の手間は増えにくくなります。

ただし、データを受け取れることと、受け取った内容がそのまま自社の出荷指示になることは別の話です。
商品コードや発注単位が自社のマスタと揃っていなければ、どこかで人が読み替える作業が残ります。
件数に比例して増える作業のうち、どこが自動で片づき、どこに人の確認が残るのかは、導入前に工程単位で見ておく必要があります。

締切設定を検討する前に確認すべきこと(契約・法律上の留意点)

既存契約との整合

締切の時刻に見当がついたら、次はそれを取引先へどう反映するかです。
まず確認したいのは、取引基本契約書や個別の覚書に、発注方法や納期に関する定めがあるかどうかです。
「発注日の翌営業日に納品する」といった条項があれば、締切を設けて翌々日納品になる注文が出る運用は、契約条件の変更にあたります。

明文の定めがない場合でも、そのまま進めてよいわけではありません。
長年「何時に発注しても翌日届く」という運用が続いていれば、取引先はその前提で自社の在庫や店舗の補充を組み立てています。
書面になっていない運用ほど、変更したときの影響が相手の業務のどこに出るかが見えにくく、事前の擦り合わせが必要になります。

独占禁止法上の留意点

取引条件の変更で気をつけたいのが、優越的地位の濫用です。
公正取引委員会の考え方では、取引上の地位が優越している事業者が一方的に取引条件を設定・変更し、相手方に正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題となるとされています2
ここでいう優越的地位は企業の規模で決まるものではなく、相手が今後の取引への影響を懸念して要請を受け入れざるを得ない関係にあるかどうかで見られます2

注意したいのは、締切を設けること自体が問題になるという話ではない点です。
該当するかどうかは、取引依存度や他の調達先への切り替えやすさなど、個別の取引実態を踏まえて判断されるもので、一般的な考え方から自社の事案の適法性を結論づけることはできません。
読み取っておくべきなのは、「何を決めたか」だけでなく「どう決めたか」が見られる、という点です。
一方的な通告として進めれば手続きの面で弱く、説明と合意を積み重ねて進めれば、その経緯そのものが自社を守る材料になります。

取引先への事前説明

説明は、結論から入るより理由から入るほうが受け入れられやすくなります。
集荷時刻が決まっていること、そこから逆算すると庫内作業にこれだけの時間が必要なこと、そのうえで締切をどこに置きたいのかを、順を追って伝えます。
相手の発注担当者にとっては、自分の業務の段取りが変わる話なので、「なぜ今なのか」が分かるかどうかで反応が変わります。

あわせて決めておきたいのが、移行の進め方です。
周知から適用までにどれだけの猶予を置くか、締切後に届いた注文をどう扱うか、緊急時の例外を認めるならその条件は何か。
これらを文書にして示し、相手からの意見を聞く場を設けたうえで適用する形にすれば、一方的な変更という位置づけにはなりにくくなります。

対象が多数の取引先に及ぶなら、条件の近いグループごとに順を追って進めるほうが、個別の事情を拾いやすくなります。
最初のグループで出た質問や反発は、次のグループへ説明するときの材料になります。

A group of coworkers engaged in a collaborative meeting at a
▽ 写真の出典元

物流業界の規制強化(2024年問題)と発注側に求められる対応

政府ガイドラインが荷主に求める対応

取引先との調整を進めるとき、背景として知っておくと役に立つのが、物流の担い手不足をめぐる政策の動きです。
2023年に、国土交通省・経済産業省・農林水産省の連名で、荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドラインが策定されました1
荷物を出す側・受け取る側の事業者と、運ぶ側の事業者の双方に、物流の負荷を軽減する取組を求める内容です1

このガイドラインは、荷待ちや荷役作業等にかかる時間を2時間以内とし、それを達成した場合や既に2時間以内となっている場合には、1時間以内を目標にさらなる短縮に努めることを示しています1
運送を委託している荷主の立場から見ると、自社の出荷場でドライバーを待たせていないか、積み込みに時間をかけすぎていないかが問われる項目にあたります。
法律上の義務ではなく、努力義務としての取組指針という位置づけです1

個社の対応検討における位置づけ

ここで混同しないでおきたいのは、このガイドラインが示す目標は荷待ち・荷役の時間に関するものであり、受注締切の設定を求めたり、その内容を定めたりするものではないという点です1
締切を設ける根拠として「国のガイドラインでそうなっているから」と取引先へ説明することはできません。
自社の集荷時刻や庫内の作業時間という具体的な事情から説明したほうが、話は通ります。

それでも背景として押さえておく意味はあります。
運送会社から集荷時刻や受付締切の見直しを求められる場面が増えているのは、この流れと無関係ではありません。
取引先の側も、自社の物流について同じような見直しを進めている可能性があり、荷待ち時間や積み込み時間をどう減らすかという共通の課題として話を始められることがあります。
相手にとっても他人事ではない話題として持ち出せるかどうかは、最初の打診の通りやすさに関わってきます。

自社の状況に応じた対策の選び方

取引先との関係性で選ぶ

判断の起点になるのは、負担がどこで生まれているかです。
1日のなかで注文の時間帯が散らばっているなら締切、1件あたりの数量が小さすぎるなら最低ロット、便数そのものが減らせないなら共同配送、日や週の単位で山ができているなら平準化というように、発生源に対応する対策から検討します。

そのうえで、取引先との関係性が実行できる範囲を決めます。
契約に発注方法の定めがあるなら、変更には相手の合意が要ります。
相手が自社の売上の大半を占めている場合、条件変更の話はそのまま取引継続の話につながるため、影響の小さい範囲から試すという選択もあります。

逆に、自社が相手にとって代えがたい供給元にあたる場合は、優越的地位の濫用という論点が自社の側に向く可能性を意識しておく必要があります2
相手が断りにくい関係にあるほど、進め方の手続きを丁寧にする理由が増える、と考えておくと整理しやすくなります。

緊急対応の必要性で選ぶ

もう一つの軸は、緊急注文がどれだけあるかです。
締切は、締切後の注文を翌日へ送ることで成り立つ仕組みなので、当日中の対応が常に求められる取引が中心だと機能しません。
まず見るべきは、実際の緊急注文が受注全体のどれくらいを占めているかと、そのうち本当に当日でなければならなかったものがどれくらいあったかです。

「緊急」として処理されている注文のなかには、発注担当者が締切を知らなかっただけ、あるいは社内の承認が遅れただけ、というものが混じっていることがあります。
このタイプが多ければ、締切の周知と、締切前に発注するとどう扱われるかの明示だけで件数が減る余地があります。
本当に避けられない緊急対応が一定量残るなら、それを例外として設計に組み込みます。
認める条件と手続きを先に決めておけば、締切を守る運用と緊急対応は両立します。

対策は一度にすべてを決める必要はありません。
締切だけを先に入れて数か月の受注データを見れば、束ねられた注文と、締切をまたいで残った注文の傾向が見えます。
そこで初めて、最低ロットを足すのか、平準化の相談を持ちかけるのかという次の判断ができます。

受注締切は、注文を時間で束ねて1件あたりの負担を下げる、仕組みとしては単純な対策です。
難しいのは時刻の決め方よりも、既存の取引条件をどう変えるかという手続きの部分にあります。
負担の発生源を見極めて対策を選び、理由の説明と移行の進め方をあわせて設計することが、遠回りに見えて確実な進め方になります。

負担の発生源と、それに対応する対策を上から順に並べた図
負担の発生源から対策を絞り込む

締切を何時に置くか、例外をどこまで認めるかは、自社の集荷時刻と庫内作業の所要時間、そして取引先ごとの発注の偏りが分からないと決められず、一般的な考え方だけでは最後まで詰め切れません。

受注データを時間帯別・届け先別に見ながら、締切を置いた場合に何件が翌日扱いになり、どの作業がまとまるのかを具体的に確かめられます。無料相談で要件を整理する

負担の発生源から対策を絞り込む

負担が受注のどこで生まれているか(時間の分散・1件の数量・便数・日単位の偏り・入力作業)という発生源ごとに並べています。

  • 受注締切:1日のなかで散らばった注文を時間で束ねる。出荷の回数そのものを減らしたいときの対策
  • 最低ロット:1回の注文の数量に下限を設ける。束ねても出荷が小さいままのときに効く
  • 共同配送:他社の荷物と積み合わせる。自社の出荷量だけでは車両を埋められないときの対策
  • 発注の平準化:発注日や発注サイクルを分散させる。日や週の単位で山ができているときに検討する
  • EDIでの受注:注文の件数と入力作業の件数を切り離す。件数自体は減らないが、処理の手間を抑える

緊急の注文が日常的に入る取引先が中心なら、どの対策より先に、例外運用の条件を決めるところから検討が始まります。

対策ごとの適用条件と、導入前に詰めること

対策 向いている受注の状況 優先したい判断
受注締切(出荷締切)の設定 定期的な発注が多く、緊急対応の頻度が低い取引先が中心 まとめ出荷で配送単価を下げたいとき
最低ロット(最小発注数量)の設定 小口注文の一部が極端に少量で、締切だけでは件数が減らない 1件あたりの処理コストを直接抑えたいとき
共同配送の活用 同一エリアに配送する取引先が複数あり、自社単独では便数を減らせない 配送車両・ドライバーの絶対数不足に対応したいとき
発注の平準化・EDIによる自動化 月末や特定の曜日に注文が集中し、繁閑差が大きい 締切設定だけでは繁閑差が解消しないとき

受注締切が向く場面と、導入時に決めること

発注のリズムが読める取引先に向く

ここからは、四つの対策がどんな受注状況に向くのかを、対策そのものの性質から整理します。
どれが優れているかを示すデータがあるわけではないので、自社の受注の実態と照らして読み替えてください。

受注締切が力を発揮するのは、定期的な発注が多く、緊急対応の頻度が低い取引先が中心の場合です。
発注のタイミングがある程度読めるなら、締切を挟んでも取引先は業務の段取りを組み直せますし、翌日扱いになる注文も予測の範囲に収まります。
選ぶ判断としては、まとめ出荷による配送単価の低下を優先したいときが当てはまります。

曖昧にしやすい二つの論点

実際に動かすうえで曖昧になりやすいのが、締切をまたいだ注文の扱いです。
翌営業日の出荷分として自動的に繰り越すのか、取引先へ確認してから確定するのかで、受注担当者の作業量は変わります。
自動繰越なら手間は少ない代わりに、取引先が納品日の変更に気づかないまま待つという行き違いが起きます。

もう一点、締切を取引先ごとに変えるか一律にするかも先に決めておきたいところです。
配送方面や集荷時刻が違えば締切が変わるのは自然ですが、個別対応が増えるほど、締切そのものが管理の対象になっていきます。
方面や便でグループを作り、その単位で締切を持つ形にすると、例外を増やさずに実態へ寄せられます。

50代前半の日本人女性が倉庫事務所での受注対応をしている場面

最低ロット制が候補になる場面

締切だけでは件数が減らないとき

最低ロットを検討するのは、小口注文の一部が極端に少量で、締切を設けても件数が思ったほど減らない場合です。
1件あたりの処理コストを直接抑えたいときに選ぶ対策になります。
締切で束ねた後の出荷内容を見て、それでも数個単位のまま残る届け先が目立つなら、この軸を足す余地があります。

導入の前に整理しておきたいのは、下限を下回る注文が来たときにどうするかです。
受け付けないのか、次の発注とまとめてもらうのか、条件を変えて受けるのか。
ここを決めずに下限だけ通知すると、現場は例外対応を都度判断することになり、かえって手間が増えます。

もう一つ意識しておきたいのは、下限の設定が取引先に在庫を持たせる変更でもあるという点です。
締切の変更より相手の業務へ深く踏み込むため、保管場所や商品の回転によっては受け入れられないこともあります。
取引条件の変更として、説明と合意の手順は締切のとき以上に丁寧に踏むことになります2

自社だけでは便数を減らせないときの選択肢

制約が車両側にあるときに検討する

共同配送が候補になるのは、同一エリアに配送する取引先が複数あり、自社単独では便数の削減が難しい場合です。
配送車両やドライバーの絶対数が足りないという、自社の受注の整え方だけでは解けない制約に向き合うときの選択肢になります。

検討で時間がかかるのは、相手探しよりも条件の擦り合わせです。
パレットや段ボールの規格、伝票の様式、届け先での荷降ろしの手順が揃っていないと、積み合わせても手間が別の工程へ移るだけになります。

また、共同の便に乗せる以上、出発時刻は自社だけでは動かせません。
受注締切を先に決めているなら、その締切が共同配送の時刻設計と噛み合うかを確認する形になります。
締切を後から動かすことになる可能性もあるため、両方を検討しているなら、時刻の話はまとめて詰めたほうが手戻りが少なくなります。

繁閑差が残るときに足す対策

山そのものを動かせるかを見る

発注の平準化やEDIの活用を検討するのは、月末や特定の曜日に注文が集中し、繁閑差が大きい場合です。
締切を設けても、忙しい日の中で注文をまとめているだけで、忙しい日そのものは動かないという状態が続くなら、この軸で手を打つことになります。

平準化は自社だけでは完結しません。
発注が月末に寄るのは、取引先側の締め日や棚卸のサイクルに理由があることが多く、そこを動かせるかは相手の事情次第です。
定期発注への切り替えや、発注日を取引先ごとにずらす提案は、相手の業務を変える依頼にあたるため、締切と同じく合意の手続きが必要になります。

EDIの導入は、繁閑差そのものを減らすわけではありませんが、山が来たときの入力作業の量を抑えます。
そのためには、商品コード・発注単位・納品先コードといったマスタを取引先と揃える作業が前提になり、この整備に相応の手間がかかります。
いずれも締切の設定と同時に進められる性質のもので、どれか一つを選ばなければならないという関係にはありません。

20代前半の日本人女性が店舗カウンターでの受注をしている場面

要点の整理

基準
負担の発生源 時間の分散なら締切、1件の数量なら最低ロット、便数なら共同配送、日単位の山なら平準化
締切時刻の決め方 集荷時刻から庫内作業時間を逆算し、取引先の発注時間帯の分布と突き合わせる
取引条件の変更手続き 一方的な通告ではなく、理由の説明・猶予期間・例外条件を示したうえで合意を得る
緊急対応の扱い 当日対応が常態化している取引では締切は機能しない。例外の条件と承認手順を先に決める
政策の位置づけ 政府ガイドラインは荷待ち・荷役時間の目標を示すもので、締切設定を定めるものではない

対策は一つ選んで終わりではなく、締切を入れた後に残った注文をどう扱うか、最低ロットや平準化へ進むかという判断が続きます。 現在の受注の受け取り方から出荷までの工程を整理し、どこが注文の件数に比例して増えているのか、取引先への説明をどの順で進めるのかを相談できます。

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よくある質問

受注締切を新しく設定する場合、既存の取引先にはどう伝えればよいか

集荷時刻や庫内作業にかかる時間といった、締切が必要になる理由から順に伝えます。
そのうえで、周知から適用までの猶予期間、締切後に届いた注文の扱い、緊急時の例外を認める条件を文書で示し、相手の意見を聞く場を設けてから適用する形にします。
取引条件の一方的な設定・変更が相手に不当な不利益を与える場合は独占禁止法上の問題となりうるため2、通告ではなく合意の形で進める意味があります。
対象が多数の取引先に及ぶなら、条件の近いグループから順に進めると個別の事情を拾いやすくなります。

緊急の注文には、締切設定後もどう対応すればよいか

例外を認めないのではなく、認める条件と手続きを先に決めておくのが現実的です。
どの事由なら締切後でも受けるのか、誰が判断するのか、その場合の出荷はどの便に載せるのかを決めておけば、現場が都度悩まずに済みます。
あわせて、締切後の注文がどれくらい発生しているかを記録しておくと、例外の設計が妥当かどうかを後から見直せます。
締切を知らなかった、社内承認が遅れたといった理由が多い場合は、周知の仕方を直すほうが効きます。

受注締切と最低ロット制は同時に導入してもよいか

仕組みとしては併用できます。
締切が注文の時間を束ね、最低ロットが1件あたりの数量を引き上げるもので、調整している対象が違うためです。
ただし取引先から見ると、発注のタイミングと発注量の両方を同時に変えられることになり、相手の在庫や補充の組み立てへの影響が重なります。
締切を先に入れて数か月の受注の変化を見てから、それでも少量の注文が残る届け先に絞って最低ロットを相談する、という順序のほうが説明はしやすくなります。

独占禁止法上問題にならないか不安な場合、どこに相談できるか

考え方の確認という意味では、公正取引委員会が優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方を公表しており、どのような行為が問題となりうるかの枠組みを読むことができます2
ただし、自社の締切設定が該当するかどうかは、取引依存度や他の調達先への切り替えやすさなど個別の取引実態を踏まえて判断されるもので、一般的な考え方だけで結論は出ません。
取引の規模が大きい相手や、相手が自社に強く依存している関係が含まれる場合は、契約書の条項とあわせて法律の専門家に見てもらうのが確実です。
相談の前に、現行の契約条項、これまでの運用、変更後の条件と猶予期間を整理しておくと話が早く進みます。

発注の平準化やEDI活用は締切設定と併用できるか

併用できます。
締切は1日の中の注文の散らばりを、平準化は日や週をまたぐ山を整えるもので、対象とする偏りが違うためです。
EDIでの受注は偏りそのものを減らしませんが、注文の件数がそのまま入力作業の件数になる状態を切り離せます。
ただし、データを受け取れることと、その内容がそのまま出荷指示として使えることは別です。
商品コードや発注単位が自社のマスタと揃っていなければ読み替えの作業が残るため、導入の可否はマスタ整備を含めて判断することになります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:国土交通省・経済産業省・農林水産省「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」(2023年)
  2. 2 出典:公正取引委員会「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(2010年)

画像の出典元

  1. A group of coworkers engaged in a collaborative meeting at a/Photo by Moe Magners on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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