◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 紙で受け取った注文書は、200dpi以上での読み取り、入力期間内のタイムスタンプ等の措置、取引年月日・取引金額・取引先の3項目での検索という要件を満たして保存すれば、原本を破棄できる
- 注文書は見積書・検収書と並ぶ一般書類に当たり、グレースケールでの保存が認められる一方、同じファイルに綴じた請求書や納品書は重要書類として別の設定で読み取る必要がある
- 手書きか印字かでスキャナ保存の要件は変わらず、手書きで問題になるのは保存要件ではなく、画像から文字を起こす際の読み取り精度と入力の手間である
- 入力期間の期限を過ぎた読み取りは要件を満たしたことにならず紙の原本が必要になるため、破棄は要件の充足を確認してから行う
- メールやクラウドでデータのまま受け取った注文書は電子取引として別の制度で扱われ、紙に出力しても保存書類にはならない
目次

紙の注文書が溜まったら何から確認するか
取引先から届いた手書きの注文書をファイルに綴じ、キャビネットの一段が年ごとに埋まっていく。
スキャンして紙を減らそうと考えたとき、最初に引っかかるのが「原本を捨ててしまってよいのか」という点ではないでしょうか。
結論から言えば、電子帳簿保存法のスキャナ保存制度が定める解像度・入力期間・検索の要件を満たして保存すれば、紙の原本は破棄できます。
注文書は資金や物の流れに直結しない一般書類に区分され、重要書類より要件はやや緩やかです。
ただし入力の期限を過ぎるなど要件を欠いた保存では破棄が認められず、紙を残す必要が生じます。
破棄の可否は、書類の区分と要件の充足という二つで決まります。
紙の注文書が溜まる背景
紙の注文書がなぜ溜まるのかを分解すると、届く量が多いからというより、捨ててよい条件が分からないから残っている、という面が大きく出てきます。
注文書は法人税法上の帳簿書類に含まれ、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間の保存が求められます1。
この年数だけを見ると、7年分の紙を持ち続けるしかないように読めます。
負担として表に出るのは、置き場所そのものよりも取り出すときの手間です。
取引先から「先月お願いした数量を確認したい」と連絡が入るたびに、年月の見当をつけて束をめくることになります。
食品業(小売・卸売業)の受注業務担当者106人への調査では、注文書の管理(保管義務)が煩雑だと答えた人が30%でした4。
業種も母数も限られた調査なので全体の傾向とまでは言えませんが、保管義務そのものを負担として挙げる担当者が一定数いることは読み取れます。
一方で、保存期間が7年と定まっていることと、紙のまま7年持ち続けなければならないこととは別です。
紙を電子データへ置き換える道筋は電子帳簿保存法に用意されていて、条件を満たせば置き換えが認められます。
そこで確認すべきなのは「捨ててよいか」という一般論ではなく、自社の読み取り方と保存の仕方が条件に届いているかどうかになります。
結論:要件を満たせば原本破棄は可能
スキャナ保存制度では、定められた要件を満たして保存した国税関係書類について、紙の原本を破棄することが認められています。
さらに、令和4年1月1日以後にスキャナ保存を行う書類では、事前に税務署長の承認を受ける手続きも不要になりました2。
つまり「届出をしていないから捨てられない」という状態ではなく、手続きの有無ではなく運用の中身が問われる形になっています。
判断は二段構えになります。
ひとつは、その注文書がスキャナ保存制度のどの区分に当たるかという点です。
もうひとつは、その区分に必要な要件を実際の運用が満たしているかという点です。
区分が決まらないと必要な要件も決まらないので、まずは注文書の位置づけから確認していきます。
注文書はスキャナ保存制度上『一般書類』にあたる
重要書類と一般書類の違い
スキャナ保存制度では、国税関係書類を重要書類と一般書類に分けています。
分け方の基準は、その書類が資金や物の流れに直結・連動するかどうかです2。
代金の受け払いや物の受け渡しそのものを記録している書類は重要書類、取引の途中でやり取りされる書類のうち資金や物の流れに直結しないものは一般書類、という整理になります。
この区分は、書類の大切さに順位を付けるためのものではありません。
内容が書き換えられたときに税額の計算へ及ぼす影響の大きさが違うため、読み取りに求める精度に差を設けている、という趣旨で理解しておくと迷いにくくなります。
したがって一般書類だからといって保存しなくてよいわけではなく、保存義務はそのままに、電子化の要件だけが一段緩やかになります。
注文書・見積書・検収書は一般書類
注文書は、見積書や検収書と並んで一般書類に当たります2。
注文の意思を相手に伝える書類であり、その一枚で代金が動くわけでも物が引き渡されるわけでもない、という位置づけです。
これに対して、契約書・納品書・請求書・領収書は重要書類の側に区分されます。
実務で混乱しやすいのは、同じ取引の書類が一つのファイルにまとめて綴じられている場合です。
手書きの注文書と、その後に届いた納品書や請求書が同じクリアファイルに入っているなら、電子化の扱いは書類ごとに分かれます。
注文書は一般書類の要件で読み取れても、同じファイルに入っている請求書は重要書類の要件で読み取る必要があります。
ファイル単位ではなく書類単位で区分を見る、というのがここでの勘どころです。
自社が発注側として作成し、控えを手元に残している注文書についても、考え方は変わりません。
受け取った側か出した側かで区分が入れ替わるのではなく、書類の性格そのもので決まるためです。
受注分と発注控えを別々のルールで運用すると手順が二重になるので、注文書はまとめて一般書類の要件で扱うと整理しやすくなります。
原本を破棄するために満たすべきスキャン・保存の要件
解像度・カラーの要件
読み取りでまず決まっているのが解像度です。
スキャナ保存では、25.4ミリメートル当たり200ドット以上、いわゆる200dpi以上で読み取ることが求められます2。
これは書類の区分を問わない共通の基準で、一般書類である注文書にもそのまま適用されます。
業務用の複合機であれば初期設定で満たしている水準ですが、保存容量やメール送信を意識して解像度を下げた設定のまま運用していると足りなくなることがあるので、スキャン設定は一度開いて確かめておきたいところです。
色については区分で差が出ます。
重要書類は赤色・緑色・青色の階調がそれぞれ256階調以上、つまりフルカラーでの読み取りが求められます2。
これに対し一般書類は、カラー画像ではなくグレースケールでの保存が認められています2。
手書きの注文書を白黒で取り込んでも、解像度など他の要件を満たしていれば読み取り方としては足ります。
ただし、要件を満たすことと、後から読めることは別の話です。
鉛筆書きや複写式伝票の二枚目のように筆圧が乗りにくい注文書をグレースケールで取り込むと、濃淡が潰れて数量の桁や訂正印の有無が判別しにくくなることがあります。
要件の上では問題がなくても、数年後に取引先から問い合わせを受けたときに読めない画像では意味がありません。
原本を捨てる前に、実際に保存された画像を開いて数量と金額が読めるかを確かめておく手間は、この段階でかけておく価値があります。
タイムスタンプの付与期限
読み取った画像が後から差し替えられていないことを示すため、タイムスタンプの付与などの措置が必要になります。
ここで注意したいのが期限です。
記録事項の入力には期間の定めがあり、その期限を過ぎてしまうと、スキャナで読み取っていてもスキャナ保存の要件を満たしたことにはなりません2。
期限の数え方は、受け取ってすぐに読み取る運用か、業務処理のサイクルを一区切りとしてまとめて読み取る運用かで変わります。
どちらを採るかを先に決めておかないと、月末や決算前にまとめてスキャンする段階で、すでに期限を越えた分が混じっていることに気づけません。
自社の締め処理の周期と読み取りのタイミングを並べたうえで、具体的な日数は国税庁の一問一答の該当箇所で確認しておくのが確実です2。
段取りとして効くのは、注文書を受け取る場所と読み取る場所を近づけておくことです。
営業担当が持ち帰った注文書が数週間デスクに留まると、経理へ回った時点で期限の残りが読めなくなります。
誰が何日以内に読み取り担当へ渡すかまで決めておくと、期限の管理は保存システムの機能に頼らなくても回せます。
検索要件(3項目)
保存した画像は、後から探し出せる状態になっている必要があります。
求められる検索項目は、取引等の年月日・取引金額・取引先の3項目に限定されています2。
限定されているという言い方を裏返せば、商品名や数量で検索できるところまでは求められていない、ということです。
注意が要るのは、この3項目を誰がどこで入力するのかという点です。
スキャンした画像そのものには検索の手がかりがないため、ファイル名の付け方、台帳への記録、保存システムの入力欄のいずれかで3項目を持たせる運用が必要になります。
手書きの注文書を月に何十枚も受け取っているなら、この入力をどこに置くかが、電子化を続けられるかどうかを分ける実務上の分岐点になります。
手書きであることは要件に影響するか
法令上は手書き専用の要件はない
ここまで見てきた解像度・入力期間・検索の要件には、手書きか印字かによる区分はありません2。
取引先が手書きの伝票で注文してきても、システムから出力した注文書を郵送してきても、紙で受け取った以上は同じスキャナ保存の要件で扱います。
「手書きは筆跡が証拠になるから紙を残すべきではないか」と考えて判断を止めてしまう例もありますが、区分と要件はあくまで書類の性格で決まる仕組みです。
読み取り精度は実務上の課題として残る
制度上の扱いが同じでも、実務の手触りは違います。
手書きの注文書は、字の癖や記入位置のばらつきによって、画像から文字を起こす精度が印字の書類より落ちやすいためです。
ここで言う読み取りは、保存要件としての画像の取り込みではなく、画像から数量や商品名を文字データに変換するOCRの話です。
この二つを混同すると、「OCRの精度が出ないから原本を捨てられない」という誤解につながります。
保存要件として求められているのは画像であり、文字データ化の精度ではありません。
参考になる数値として、6自治体の実帳票73種、くせ字を含む手書きサンプルを対象としたAI-OCRの実証では、正読率が約93%という結果が報告されています5。
これは地方自治体の行政帳票を対象にした2019年の検証であり、企業間でやり取りされる手書き注文書そのものの数値ではありません。
それでも、手書きの帳票を機械で読み取ると一定の割合で読み違いが残る、という目安としては手掛かりになります。
読み取り結果をそのまま受注データに流すのであれば、金額や数量など間違えると影響が大きい項目だけは目視で突き合わせる、といった線引きが現実的です。
この差が効いてくるのは、検索の3項目を人手で入力している場合です。
先ほどの食品業の調査でも、注文書の手入力に手間がかかると答えた担当者は60%でした4。
スキャンによって紙の保管はなくなっても、取引年月日・取引金額・取引先を台帳へ写す作業が残れば、担当者の負担の総量はあまり変わりません。
原本を捨てられるかどうかという問いと、入力の手間をどう減らすかという問いは別なので、分けて考えたほうが判断が前に進みます。

要件を満たさず破棄した場合に生じるリスク
入力期限を過ぎた場合の扱い
要件を欠いた状態で電子化すると何が起きるのかは、入力期間の話がいちばん分かりやすい例になります。
期限を過ぎてから読み取った書類は、スキャナで読み取っていてもスキャナ保存の要件を満たしたものとして扱われず、紙の原本を保存しておく必要があります2。
画像が手元にあるかどうかではなく、要件を満たした保存かどうかで判断される、ということです。
厄介なのは、この判定が読み取りの後になって分かる点です。
期限を越えたと気づいた時点で紙がまだ手元にあれば、その分だけ原本を保存期間まで残せば済みます。
ところが読み取った直後にシュレッダーへかける運用にしていると、後から不備に気づいても戻せません。
電子化を始めた直後の数か月は、読み取りから破棄までに一定の間を置き、期限内に処理できているかを確かめてから紙を処分する運用にしておくと、取り返しがつきます。
紙原本を残しておくべき場面
破棄を急がないほうがよい場面はいくつかあります。
ひとつは、保存システムやスキャンの手順を切り替えた直後で、検索項目の入力漏れやファイルの取り違えが起きていないかを確認できていない時期です。
もうひとつは、自社の運用が要件を満たしているかどうかを社内で判断しきれていない段階です。
注文書は原則7年間の保存が求められる書類ですから1、判断がつかないうちは紙を残しておいても、失うのは保管場所だけで済みます。
すでに要件を満たさないまま原本を破棄してしまった過去分については、保存書類の不備として扱われる可能性があります。
どのような取扱いになるかは取引の内容や不備の程度といった個別の事情によるため、一律の結論をここで書くことはできません。
読み取った画像、受発注の記録、入金や納品の記録など、取引の事実を示せる資料を先にそろえたうえで、顧問税理士や所轄の税務署に相談するのが現実的な進め方です。
同時に、これから受け取る分については要件を満たす手順に切り替えて、不備を増やさないようにすることが実務としては優先されます。
メール・FAXなど電子データで受け取った注文書は扱いが異なる
電子取引データ保存の対象
同じ注文書でも、最初から電子データで受け取ったものは別の制度の話になります。
メールに添付されたPDFやクラウドサービス上でやり取りした注文のデータは電子取引に当たり、データのまま保存することが求められます3。
ここまで説明してきたスキャナ保存は、あくまで紙で受け取った書類を電子化する場合の制度です。
FAXについては、入口がどちらに当たるかを自社の受信方法で見分ける必要があります。
複合機から紙が出力され、その紙を担当者が受け取って処理しているなら、扱いは紙で受け取った注文書と同じです。
一方、FAXをパソコンやクラウド上でデータとして受信し、紙に出さずに処理しているなら、電子的に受け取ったデータとしての保存を検討することになります。
同じ取引先からの注文が、時期や担当者によって紙とデータで混ざっている会社もあるので、受け取り経路の棚卸しを一度しておくと、その後の判断がぶれません。
紙に印刷しての保存は認められない
電子取引のデータについては、紙に出力して保存する措置が廃止されており、出力した書面は保存書類として扱われません3。
メールで届いたPDFを印刷してファイルに綴じ、紙が揃っているから安心していると、データ側の保存ができていない状態になり得ます。
紙の注文書を減らそうとしている会社ほど、この逆方向の抜けに気づきにくいところです。
整理すると、紙で受け取った注文書はスキャナ保存の要件を満たせば原本を破棄でき、データで受け取った注文書はそもそも紙に出しても保存したことにならない、という関係です。
どちらも画面で注文書を見られる状態には見えますが、根拠となる制度も必要な要件も別です。
自社の注文書を経路ごとに分けて数えるところから始めると、どちらの手順を整えるべきかが見えてきます。

自社で破棄可能な体制にするには何を整備すればよいか
現行制度で必要な点検項目
ここまでの内容を自社の運用に当てはめると、確認するところは絞られます。
・スキャナの解像度設定が200dpi以上になっているか2
・受け取ってから読み取りとタイムスタンプ等の措置までが入力期間に収まる段取りになっているか2
・取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる形で保存されているか2
この3点が、注文書を一般書類として電子化するときの骨格になります。
点検の順番としては、いま手元にある注文書を数枚使って、受領から保存までを実際に一往復させてみるのが早道です。
保存された画像を開いて数量と金額が判読できるか、保存先で取引先名から目的の一枚を引き当てられるか、受け取ってから読み取るまでに何日かかったか。
紙が大量に溜まっている状態でいきなり過去分から始めるより、日々届く分で手順を固めてから過去分へ着手したほうが、期限の管理も画像の確認もしやすくなります。
以前より軽くなった体制整備の負担
以前のスキャナ保存には、紙の段階での改ざんを防ぐことを目的とした適正事務処理要件があり、読み取る人と確認する人を分ける相互けん制や、定期的な検査の体制が求められていました。
この要件は令和3年度税制改正で廃止され、令和4年1月1日以後に保存する書類については、定期検査のための体制を整える必要はなくなっています2。
事前の税務署長承認も不要になっているため2、少人数の経理・総務でも着手しやすい形になりました。
要件が軽くなったぶん、判断は自社の運用側に移ったとも言えます。
誰がいつ読み取るか、検索の3項目をどこで入力するか、原本をいつ破棄するか。
この取り決めが担当者の頭の中にしかないと、担当が替わった時点で要件の充足が崩れ、破棄してよいかどうかを毎回ゼロから考え直すことになります。
細かな規程の形にする前でも、受領から破棄までの手順を一枚にまとめ、読み取る人と確認する人が同じ手順を見られる状態にしておくことが、破棄を続けられる体制の実質です。
書類の区分で変わる要件と、区分にかかわらず共通する要件を並べると、自社で確認すべき点がはっきりします。
要件そのものは公表されていても、自社の注文書が紙とデータのどちらの入口に当たるか、読み取りまでに何日かかっているかは、社内の受け取り方を見ないと判断できません。
受注から保存までの流れを一緒にたどり、どの注文書がスキャナ保存の対象で、どこに期限や検索項目の抜けが出やすいかを整理できます。無料相談で要件を整理する
一般書類と重要書類のスキャナ保存要件比較
スキャナ保存の要件のうち、書類区分によって変わる点と区分にかかわらず共通する点で並べた。
- 区分の基準:資金や物の流れに直結・連動するかどうかで分かれ、注文書・見積書・検収書は一般書類、契約書・納品書・請求書・領収書は重要書類
- 色の要件:重要書類は赤緑青の階調がそれぞれ256階調以上のカラー、一般書類はグレースケールでの保存が認められる
- 解像度:200dpi以上(25.4ミリメートル当たり200ドット以上)は区分を問わず共通
- 検索要件:取引年月日・取引金額・取引先の3項目は区分を問わず共通
- 入力期間:期限を過ぎた読み取りは、どちらの区分でも要件を満たしたことにならず紙の原本の保存が必要
同じ取引で受け取る納品書や請求書は重要書類側に当たるため、注文書と一緒に読み取る場合は重要書類の要件に合わせて設定する。

要点の整理
| 確認する軸 | 判断の基準 |
|---|---|
| 書類の区分 | 注文書・見積書・検収書は一般書類、契約書・納品書・請求書・領収書は重要書類 |
| 読み取り設定 | 200dpi以上が共通、一般書類はグレースケール可、重要書類はカラー256階調以上 |
| 入力期間 | 期限を過ぎた読み取りは要件を満たさず、紙の原本を残す必要がある |
| 検索 | 取引年月日・取引金額・取引先の3項目を、ファイル名・台帳・システムのいずれかで持たせる |
| 受け取り経路 | 紙はスキャナ保存、メールやクラウドのデータは電子取引データとして保存 |
| 破棄のタイミング | 要件の充足を確認できるまでは間を置き、確認後に紙を処分する |
原本を破棄できるかどうかが決まっても、検索3項目の入力や読み取り結果の確認をどこに置くかは、受注件数と担当者の人数で答えが変わります。 現在の手順のどこに転記や確認が残っているかを洗い出し、電子化を続けられる段取りにするための課題を具体的に確かめられます。
よくある質問
見積書や検収書も注文書と同じ一般書類の扱いになるか
なります。
スキャナ保存制度では、資金や物の流れに直結・連動しない書類が一般書類とされ、注文書・見積書・検収書はこの区分に当たります2。
そのため、グレースケールでの保存が認められる点も注文書と同じです2。
ただし同じ案件のファイルに綴じている契約書・納品書・請求書・領収書は重要書類側なので、読み取り設定を書類ごとに分ける必要があります。
注文書をメールやFAXでデータのまま受け取った場合も紙原本と同じ手順で破棄してよいか
同じ手順にはなりません。
メール添付やクラウドサービス等で電子的に授受した取引情報は電子取引に当たり、紙に出力して保存する措置は廃止されているため、出力した書面は保存書類として扱われません3。
この場合は「破棄してよいか」ではなく、受け取ったデータをそのまま保存できているかが論点になります。
FAXは、複合機から紙で出力されたものを受け取っているのか、データのまま受信して処理しているのかで入口が分かれるため、自社の受信方法から確認してください。
すでに要件を満たさないまま保存してしまった過去の注文書はどうすればよいか
紙の原本が残っているなら、まずはそのまま保存期間まで残すのが安全です。
入力期間の期限を過ぎた読み取りは要件を満たしたことにならず、紙の原本を保存しておく必要があるとされています2。
注文書の保存期間は原則7年間です1。
すでに紙を破棄している分は、保存書類の不備として扱われる可能性があるため、読み取った画像や受発注の記録をそろえたうえで顧問税理士や所轄の税務署に相談し、これから受け取る分は要件を満たす手順へ切り替えるのが現実的です。
スキャナ保存に対応した専用システムを使わず自社で要件を満たすことはできるか
制度上、特定の製品を使うことが条件になっているわけではありません。
求められるのは、200dpi以上での読み取り2、入力期間内のタイムスタンプ等の措置2、取引年月日・取引金額・取引先の3項目での検索2といった要件を、実際の運用で満たすことです。
事前の税務署長承認は不要になり2、相互けん制や定期検査といった適正事務処理要件も廃止されているため2、体制面の負担は以前より軽くなっています。
判断の分かれ目は、改ざん防止の措置と3項目の検索を、自社の手順とツールで無理なく続けられるかどうかです。
- 1 出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」(確認時点の現行制度)
- 2 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(確認時点の現行制度)
- 3 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(確認時点の現行制度)
- 4 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 5 出典:株式会社NTTデータ「町田市、郡山市、市川市、つくば市、横浜市、福岡市におけるAI-OCR実用性の検証結果について」(2019年)
画像の出典元
- Two adults conversing in a library archive aisle surrounded/Photo by Antoni Shkraba on Pexels