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手書きの注文書は電子化したら破棄してよい?スキャナ保存の要件と紙を残す場合

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 手書きの注文書は、読み取っただけでは捨てられない。スキャナ保存の要件を満たして保存し、同等確認を終えてから廃棄できる。
  • 注文書は取引に関して受領した書類として保存の対象で、保存期間は確定申告書の提出期限の翌日から数える。
  • 要件は、読み取り作業・保存の仕組み・運用の三つの場面に分けて点検すると、担当と結び付けやすい。
  • 判読できない文字、読めない訂正、付属メモ、退色したFAXは同等確認が成り立たないため、廃棄を保留する。
  • 税法上は廃棄できても、取引先との契約や社内規程で原本保管を定めている場合は、その定めが別に残る。

50代前半の日本人男性が複合機での出力をしている場面

手書きの注文書は、電子化すれば紙の原本を捨ててよいのか

取引先から届いた手書きの注文書を読み取り、画像を見ながら受注入力も済ませた。
それでも棚にたまった紙を捨ててよいのかは分からない、という場面です。
読み取っただけでは紙を捨てられません。
国税庁のスキャナ保存の要件を満たして保存し、画像と紙の内容が同じだと確かめる同等確認を終えた後なら、廃棄できます。
注文書は法人税法上の保存が必要な取引関係書類です。
そのため、捨ててよいかは「どの要件を満たし、何を確かめたか」で決まります。
判読しにくい文字や付属メモがある紙は、扱いを決めるまで廃棄を保留するのが安全です。

読み取っただけでは「紙の代わりに保存した」ことにならない

受注担当者が手書きの注文書を受け取り、複合機で読み取って画像を共有フォルダに置きます。
受注内容はその画像を見ながら販売管理へ入力します。
業務の流れだけを見れば、この時点で紙の役目は終わったように見えます。

ただ税法の上では、その画像が紙の代わりとして認められる形で保存されているかが、別に問われます。
国税庁は、紙の書類を読み取って保存する方法をスキャナ保存という制度として整理しています。
その要件として、入力期間、解像度・階調、タイムスタンプ、検索、訂正削除の履歴、見読可能装置、事務処理規程を挙げています2。
原本は、こうした要件のもとで保存したうえで同等確認を行えば廃棄できるとされています2。
同等確認とは、読み取った画像と紙の内容が同じであることを確かめる作業です。

共有フォルダに画像があることと、紙を捨ててよい状態になっていることの間には、保存の仕方と確認の手順が挟まっています。
画像が手元にあっても、読み取りの設定が基準に届いていない場合は、紙を手放す根拠になりません。
後から差し替えられていないことを示せない保存先に置いている場合も同じです。

捨ててよいかを分ける三つの問い

紙の束を前にした判断は、次の三つの問いに分けると整理できます。

<ul><li>その注文書は、保存が必要な書類か</li><li>保存期間のうち、いまどの時点にあるか</li><li>スキャナ保存の要件を満たして保存し、同等確認を済ませたか</li></ul>

一つ目と二つ目は、注文書が法人税法上どう位置づけられているかで答えが出ます。
三つ目は、自社がどう読み取り、どこに保存し、誰が確認するかで決まるため、会社ごとに答えが違います。
税法が見ているのはこの三つ目の保存と確認までです。
取引先との約束や社内の決まりで紙を残す必要があるかは、別の問いとして残ります。

注文書はどんな書類として、いつまで保存が必要か

注文書は取引関係書類として保存の対象になる

国税庁のタックスアンサーは、法人の帳簿書類の保存期間を説明しています。
そのなかで、注文書、契約書、領収書など、取引に関して作成または受領した書類を保存の対象に挙げています1。
取引先から受け取った手書きの注文書は、この「受領した書類」に当たります。
保存の対象かどうかは、取引に関する書類かどうかで決まります。
手書きか印字か、郵送で届いたかFAXから出力されたかによって、保存が要らなくなるわけではありません。

保存期間はどこから数えるか

保存期間は、確定申告書の提出期限の翌日から数えます1。
注文を受けた日や納品した日から数えるのではありません。
注文書の日付を起点に数えると、実際よりも早く期限が来ると誤解することになります。

期間の長さはタックスアンサーに年数で示されています。
青色申告で欠損金が生じた事業年度などは、原則よりも長く保存することになっています1。
つまり、ある事業年度に受け取った注文書をいつまで残すかは、その事業年度の申告の状況によって変わります。
受注担当者だけでは欠損金の有無を判断しにくいため、廃棄の時期は経理の担当者と申告の状況をすり合わせて決めることになります。

この説明は法人税法上の扱いです1。
個人事業者の保存期間はこの資料には書かれていません。
個人で事業をしている場合は、所得税の側の説明で確かめる必要があります。

紙を手放せる時点は二つある

ここから、紙の注文書を手放せる時点が二つに分かれることが見えてきます。
一つは、保存期間が過ぎたときです。
もう一つは、期間の途中でも、スキャナ保存の要件を満たして保存し、同等確認を終えたときです2。

保管場所が足りないから捨てたい、という悩みに応えるのは後者です。
ただし後者を選ぶと、紙の代わりに画像を、残りの保存期間のあいだ保存し続けることになります。
紙のファイルを倉庫に置いておく手間はなくなります。
その代わりに、画像の保存先を維持し、必要なときに探し出して見せられる状態を保つ責任が移ってきます。
どちらを選ぶかは、紙の保管にかかる手間と、画像を要件どおり保存し続ける手間を比べて決めることになります。

注文書の保存期間の数え方(法人税法上の扱い)
事業年度の終了、確定申告書の提出期限を経て、その翌日から保存期間を数え始め、欠損金が生じた事業年度などは期間が長くなることを示す図

受け取った注文書やFAXは制度の対象になるか:受領書類と自作書類の写しの違い

受け取った注文書と、自社が渡した書類の控え

受注の現場には、取引先から届いた注文書と、自社が作って取引先に渡した書類の控えが並んでいます。
たとえば、手書きの注文書を受け取り、注文請書を手書きで書いて返送し、その控えを綴じておく流れです。
保存期間の説明では、取引に関して「作成または受領した」書類が対象とされています1。
そのため、受け取った注文書だけでなく、自社が作った控えも保存の対象になります。

両者を分けて考えるのは、手元の紙が示しているものが違うからです。
受け取った注文書については、販売管理に入力した受注データがあっても、取引先が何をいくつ求めたかを取引先の書いた形で示すのはその紙だけです。
自社の控えは、もとになった内容を自社が別の形で持っている場合があります。
電子化をどの書類から始めるか、どの書類の確認を厚くするかは、この違いを踏まえて決めると無理がありません。

スキャナ保存の要件は、紙の書類を読み取った画像の質と、その保存の仕方を問うものです2。
手書きの注文書でも、読み取った画像で文字や数字が紙と同じように読めるかどうかが実務の分かれ目になります。
また一問一答には、重要書類と一般書類の区分に関する問もあります3。
注文書をどちらとして扱うかで読み取りの細部が変わる可能性があります。
導入前に該当する問を読んでおくと、あとから運用を作り直さずに済みます。

FAXで届いた注文書はどう考えるか

FAXで届く注文書は、受け取り方によって二つに分かれます。
複合機が紙に印刷して出してくる場合と、紙に出さずに電子データのまま受信して保存する場合です。

紙に印刷されて出てきたFAXは、手元にあるのが紙の書類です。
そのため手書きの注文書と同じく、受領した紙の書類としてスキャナ保存の候補になりえます。
一方、電子データのまま受け取った注文書は、そもそも紙を読み取る話ではありません。
電子データで受け取った取引情報の保存は別の扱いになりうるため、スキャナ保存の要件を満たせば足りると考えないほうが安全です。
自社の複合機がどちらの受け方をしているかを確かめ、受信方法ごとの制度上の扱いを公的な説明で確かめてから運用を決めてください。

手元にあるもの 例 スキャナ保存との関係
取引先から届いた紙の注文書 手書きの注文書 受領した紙の書類として候補になる
自社が作って渡した書類の控え 手書きの注文請書の控え 保存の対象。書類区分の扱いは一問一答で確認
紙に印刷されたFAX 複合機から出力された注文書 紙の書類として候補になりうる
電子データで受信した注文書 紙に出さずに保存したFAX 紙の読み取りとは別の扱いになりうる
紙の注文書を手放せる二つの時点の比較(模式図)
保存期間が過ぎたとき、期間の途中で要件を満たし同等確認を終えたときの二つの時点と、後者で画像の保存を続ける責任が移ることを分けた図

紙を捨てるために満たすべき保存の要件:画質・期間・検索・履歴・規程

読み取りと入力期間の要件

国税庁の一問一答で整理されている要件は2、作業の場面ごとに分けると理解しやすくなります。
注文書を読み取る作業、読み取った画像をしまう保存の仕組み、その両方を誰がどう回すかという運用の三つです。

読み取りの場面では、三つの点が問われます。
画像の細かさを示す解像度、色や濃淡をどれだけ段階的に表すかを示す階調、受け取ってから読み取るまでの期間です2。
具体的な基準値と期限は一問一答に示されています。
複合機やスキャナの設定は、その値に合わせて最初に一度決めておきます。
担当者がその都度設定を選ぶ運用では、ある日の画像だけ基準を下回っていたことに後から気づく、ということが起こりえます。

手書きの注文書を扱う現場では、入力期間に特に気を配る必要があります。
受注入力を急ぐと、紙を見ながら販売管理へ入力し、読み取りは後でまとめて行う順番になりがちです。
この順番では、読み取りが期間を過ぎてしまう紙が出てきます。
受け取った日に、受注入力より先か同時に読み取る順番にしておくと、紙ごとに期限を追いかける必要が減ります。

タイムスタンプと訂正削除履歴

タイムスタンプは、電子データがある時刻に存在し、その後に改変されていないことを示すための仕組みです。
一問一答では要件の一つに挙げられています。
あわせて現行制度では、訂正や削除の履歴が残るシステムで保存する場合には、タイムスタンプに代えられる扱いが整理されています2。

迷いやすいのは、共有フォルダやクラウドの保存場所に画像を置くことが、履歴の残るシステムで保存することに当たるかどうかです。
ファイルを上書きしたり削除したりしても前の状態が分からない保存先では、注文書の画像が後から差し替えられていないことを示せません。
保存先を選ぶときは、画像を訂正・削除したときに、いつ誰が何をしたかの記録が残るかという観点で見ます。
そうすると、要件に照らした判断がしやすくなります。

手書きの注文書では、読み取り直しをする場面も出てきます。
斜めに読み取った、裏面の書き込みを読み忘れた、といった理由で画像を差し替える場合です。
差し替えの記録が残る仕組みであれば、後から見た人にも、なぜ画像が二つあるのか、どちらが最新なのかが分かります。

検索できる状態にする

検索の要件は、取引年月日、金額、取引先で画像を探し出せることです2。
基準期間の売上高が一定額以下の事業者などには緩和があります2。
ただし、自社がその条件に当てはまるかは、一問一答で条件の細部を確かめてから判断します。

手書きの注文書でこの要件を満たすには、三つの項目を誰かが紙から拾って登録することになります。
手書きの文字は、画像から自動で文字に変換しても正しく拾えるとは限りません。
そのため、取引年月日・金額・取引先を、保存システムの項目やファイル名として人が入力し、確かめる工程が残ります。

ここで受注入力の作業と重なる部分があります。
受注担当者は、注文書を見て販売管理に取引先や金額を入力しています。
その入力と画像の検索項目の登録を、別々の人が別々のタイミングで行うと、同じ注文書から二回転記することになります。
そうなると、どちらかの値がずれることもあります。
読み取りと受注入力を同じ流れに置き、一度拾った値を両方に使う形にすれば、転記の回数が減り、照合すべき箇所もはっきりします。

注文書の場合、「取引年月日」として何の日付を登録するかも決めておく必要があります。
注文書には、記入された日付、受け取った日、納期などが並んでいることがあります。
担当者ごとに違う日を登録すると、後で探すときに見つかりません。
どの日付を登録するかを社内で一つに決め、規程に書いておけば、担当者が迷わずに済みます。

事務処理規程と確認体制

事務処理規程は、スキャナ保存を社内でどう運用するかを定めた決まりで、これも要件の一つです2。
規程に何を書くかは、ここまでの要件を実際に誰が担うかを書き出していくと決まってきます。

書いておくと運用が止まりにくい項目は、次のようなものです。
要件の文言そのものではなく、ここまでの要件を社内で回すための整理として挙げます。

<ul><li>誰が読み取り、誰が同等確認をするか</li><li>読み取りの設定と、受け取ってから読み取るまでの手順</li><li>検索項目として、どの日付・金額・取引先名を登録するか</li><li>画像に不備があったとき、誰へ戻し、紙をどう扱うか</li><li>廃棄してよいと判断する人と、廃棄の記録の残し方</li></ul>

見読可能装置も要件に含まれます2。
保存した画像を画面に映したり印刷したりして読める状態にしておくための機器のことです。
税務調査などで画像の提示を求められたときに、特定の担当者のパソコンでしか開けない状態では困ります。
誰がどの端末で画像を開けるかも、規程と合わせて決めておくと安心です。

FAXの受け方による扱いの違い(模式図)
紙に印刷されたFAXは紙の書類としてスキャナ保存の候補になりうること、電子データのまま受信した注文書は別の扱いになりうること、自社の受け方を確かめる必要があることを分けた図

手書き特有のつまずきと、紙を残したほうがよい場面

判読できない文字と訂正

ここまでの要件は、読み取った画像と紙の内容が同じだと確かめる同等確認を前提にしています2。
手書きの注文書で問題になるのは、この同等確認がそもそも成り立たない紙があることです。
以下は公的資料が個別に挙げている場面ではありません。
同等確認の考え方から導いた、判断の提案です。

たとえば、数量欄の「1」と「7」の区別がつきにくい注文書を受け取ったとします。
紙を手に取れば筆圧やインクの濃さで読み分けられても、読み取った画像ではどちらとも読めない、ということが起こりえます。
この状態で紙を捨てると、あとで取引先と数量の認識が食い違ったときに、画像だけでは確かめようがありません。

訂正の扱いも同じ考え方です。
二重線で消して書き直した金額や、訂正印が押された欄は、元の記載・訂正後の記載・訂正印のすべてが画像で読めるかを見ます。
赤字の訂正が白黒の読み取りで本文と区別できなくなるなら、階調の設定を見直して読み取り直します。
それでも判読できない紙は、取引先に内容を確かめてから扱いを決め、それまでは廃棄を保留します。
この手順を決めておけば、担当者が一人で迷わずに済みます。

付属メモ・FAXの退色

手書きの注文書には、付箋や別紙のメモが付いていることがあります。
「納品は午前中に」「前回と同じ梱包で」といった補足が付箋に書かれていると、注文書本体だけを読み取った画像からはその情報が抜け落ちます。
付属物が取引の内容に関わるなら、付箋を貼ったままの状態と剥がした状態の両方を読み取るなどします。
紙で伝わっていた情報がすべて画像に残る形にしてから、同等確認をします。

感熱紙に印刷されるFAXは、時間が経つと文字が薄くなることがあります。
紙のまま長く置くほど読める状態から遠ざかるため、受け取った直後に読み取ることの意味が大きくなります。
すでに薄くなって判読できない紙は、画像と紙を比べても同じだと確かめられません。
取引先に再送を頼むなど、内容を確かめる手段を先に考えます。

契約や社内ルールで原本を求められる場合

スキャナ保存の要件を満たせば紙を廃棄できる、というのは税法上の保存の扱いです2。
取引先との基本契約で原本の保管を求められている場合は、その約束が別に残ります。
社内の文書管理規程で紙の保存を別に定めている場合も同じです。

受注担当者がこれを確かめるには、取引先ごとの契約書の保管に関する条項と、社内の文書管理規程の両方を見ることになります。
税法上の要件を整えたあとで契約上の制約に気づくと、一部の取引先の分だけ紙を残す運用を後から差し込むことになります。
電子化を始める前に、契約や総務を担当する人に原本保管の定めがないかを聞いておけば、廃棄の対象から外す取引先を最初から分けられます。

運用に慣れるまでの間は、同等確認を終えた紙もすぐには捨てず、しばらく並行して置いておく選択もあります。
読み取りの設定や検索項目の登録に不備が見つかったとき、紙があれば読み取り直せるためです。
並行して置く期間と、その後に廃棄する判断を誰がするかも、規程に書いておくと紙が置かれたままになりません。

紙の状態 画像で確かめること 確かめられないときの扱い
文字や数字が読み分けにくい 紙と同じように読めるか 取引先に確認するまで廃棄を保留
二重線や訂正印がある 元の記載・訂正後・訂正印が読めるか 階調を見直して読み取り直す
付箋や別紙のメモが付いている 付属物の内容も画像に残っているか 付属物も読み取ってから同等確認
感熱紙のFAXが薄い 文字が判読できるか 再送を頼むなど内容を確かめてから扱いを決める
スキャナ保存の要件を作業の場面で分けた整理(模式図)
読み取り作業、保存の仕組み、運用の三つの場面に、それぞれの要件を割り当てた図

受領から廃棄までの運用の流れと確認者の決め方

受け取ってから廃棄するまでの順番

ここまでの要件と手書き特有の注意を、受注の作業の順番に並べ直すと、次のようになります。
各社の取引量や体制に合わせて調整する前提の、運用の提案です。

この流れで大切なのは、同等確認と検索項目の登録を廃棄より前に終えることです。
受注入力も同じ段階で行えば、紙を手に取るのは一度で済みます。
画像、紙、販売管理の入力値を同じ場面で見比べられるため、転記の誤りにも気づく機会ができます。

廃棄するときは、どの注文書を廃棄したかが分かる記録を残します。
廃棄の記録がないと、画像が見つからない注文書について、紙が最初から届いていなかったのか、捨てたのかを説明できなくなります。
まとめてシュレッダーにかける前に、廃棄の対象と確認の記録を突き合わせる段階を置いておくと、確認が済んでいない紙が混ざることを防ぎやすくなります。

確認者を誰にするか

規程に書く項目のなかでも、同等確認を誰が行うかは迷いが出やすいところです。
読み取った人が自分で確認する形は手間が少ない一方、自分の読み取りの癖に気づきにくい面があります。
受注入力をした人とは別の人が確認すれば、二人の目で同じ注文書を見ることになり、見落としに気づく機会が増えます。

ただ、事務の人数が限られる会社では、毎回別の人が確認するのは負担になります。
その場合は、同等確認そのものは一枚ずつ読み取った人が行い、責任者は確認の記録や不備の扱いを定期的に見直す、という分担も考えられます。
大切なのは、誰がどの段階に責任を持つかを規程に書き、担当者の記憶に頼らないことです。

不備が見つかったときの戻し先も決めておきます。
画像がかすれていたら誰が読み取り直すのか、判読できない紙は誰が取引先に問い合わせるのかを決めます。
ここが決まっていないと、確認者が気づいても紙が机の上に残り続け、読み取りの期限も廃棄の判断も宙に浮きます。

仕組みを整えても、紙を残すか捨てるかの判断がすべて機械的に決まるわけではありません。
判読や契約の事情で残す紙は残し、要件を満たして確認を終えた紙だけを手放します。
この線引きを規程に書いておけば、監査や税務調査、取引先からの問い合わせを受けたときに、どの注文書がどの状態にあるかを説明できる土台になります。

同等確認が難しい紙の状態と扱い(本文の提案を整理した模式図)
読み分けにくい文字や訂正、付属メモ、薄くなった感熱紙のFAXについて、確かめられないときの扱いを三つに分けた図

要件の内容は分かっても、自社の受注の流れのどこに読み取りと同等確認を入れるかは、取引先の数や注文書の受け取り方によって変わります。担当者だけでは決めにくい部分です。

注文書の受け取りから受注入力までの現在の流れを一緒に見直し、読み取りと確認をどこに置けば転記が増えないかを確かめられます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
保存の対象 受け取った注文書も、自社が作った控えも、取引関係書類として保存する
保存期間の起点 確定申告書の提出期限の翌日から数える。欠損金が生じた事業年度などは長くなる
紙を手放せる時点 保存期間の経過後か、スキャナ保存の要件を満たし同等確認を終えた後
要件の点検 読み取り作業・保存の仕組み・運用の三つの場面に分けて確かめる
廃棄を保留する紙 読み分けにくい文字、読めない訂正、残っていない付属メモ、退色したFAX
税法の外の確認 取引先との契約や社内規程に原本保管の定めがないか
手書きの注文書を受け取ってから廃棄するまでの流れ(運用の提案)
受け取りと付属物の確認、期間内の読み取り、同等確認、検索項目の登録、確認の記録、廃棄と記録の順に並べた縦の流れ図

紙を残す取引先と捨てる取引先が混在すると、どの注文書がどの状態にあるかが担当者の記憶頼みになりやすくなります。 受注の流れのなかで注文書の保存状態を整理し、規程に書くべき確認の順番と担当の分け方を確かめられます。

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よくある質問

注文書をスキャンしたあと、保存期間が過ぎるまで紙も残しておくべきですか。

税法上は、スキャナ保存の要件を満たして保存し、同等確認を行えば、保存期間の途中でも紙を廃棄できます2。
ただし、取引先との契約や社内規程で原本の保管を定めている場合は、その定めが別に残ります。
運用に慣れるまでの間、確認を終えた紙もしばらく並行して置いておくことは、読み取り直しの余地を残す選択肢です。

FAXで受信した注文書は、スキャナ保存の対象になりますか。

紙に印刷されて出てきたFAXは、受領した紙の書類としてスキャナ保存の候補になりえます。
一方、紙に出さず電子データのまま受信して保存している場合は、紙を読み取る話ではないため、別の扱いになりうると考えたほうが安全です。
自社の複合機がどちらの受け方をしているかを確かめたうえで、公的な説明で扱いを確かめてください。

メールやPDFで受け取った注文書は、スキャナ保存と同じ扱いでよいですか。

スキャナ保存は、紙の書類を読み取って保存する制度です2。
最初から電子データで受け取った注文書は、この前提と異なります。
電子データで受け取った取引情報の保存は別の扱いになりうるため、スキャナ保存の要件を満たせば足りるとは考えず、別に確かめる必要があります。

訂正印や手書きの訂正がある注文書はどう確認しますか。

同等確認では、元の記載、訂正後の記載、訂正印のすべてが画像で読めるかを見ます。
赤字の訂正が白黒の読み取りで区別できなくなる場合は、階調の設定を見直して読み取り直します。
それでも判読できない紙は、取引先に内容を確かめるまで廃棄を保留するのが安全です。

個人事業者の場合も保存期間は同じですか。

この記事で扱った保存期間の説明は、法人税法上の扱いです1。
個人事業者の保存期間はその資料には書かれていないため、所得税の側の説明で確かめてください。

スマートフォンで撮影した画像でも保存できますか。

国税庁の一問一答には、読取機器や解像度に関する問があります3。
撮影した画像を使えるかは、使う機器で解像度・階調などの要件を満たせるかで決まるため、該当する問を読んだうえで判断してください。
撮影する場合も、付属メモや訂正部分まで判読できるかを同等確認で確かめる点は、スキャナで読み取る場合と変わりません。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:国税庁「タックスアンサー No.5930 帳簿書類等の保存期間」(現行制度)
  2. 2 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】Ⅱ 適用要件【基本的事項】」(現行制度)
  3. 3 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(現行制度)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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