◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 展示会受注システムで主に減るのは出展社側の入力で、発注側の社内の打ち直しは控えが紙やPDFのままなら残る
- 発注側の社内転記が減るのは、注文データを取り込める形式で受け取り、自社システムに読み込む入口と手順がある場合に限られる
- 発注側が選べるのは主に、控えの受け取り形式を出展社に伝えることと、自社の取り込み側を整えること
- 紙が残る出展社には、撮影・発注番号の記入・別担当の照合で紛失と見落としを減らす運用で対応する
- 導入・見送り・部分運用は、データ受領の可否、取り込み先、発注の頻度と件数、運用担当で分け、最初の展示会で自社の打ち直し時間と誤りを数えて確かめる
目次

展示会で書いた注文は、帰社後にどこで何度打ち直されるのか
展示会のブースで紙の注文書に品番と数量を書き、控えを持ち帰って、自社の購買や在庫のシステムへもう一度打ち込んでいる。
出展社が受注システムを入れたと聞いても、自分の打ち直しが減るのかは分かりにくいところです。
展示会向けの受注システムとして語られるのは、主に出展社や主催側が会場での受注入力を楽にする仕組みで、発注側が選べる範囲は限られます。
発注側の社内転記が減るのは、注文データを取り込める形で受け取り、自社システムへ読み込める場合です。
紙の控えのままなら打ち直しは残ります。
受け取る形、取り込み先、紙が残る割合を見れば、導入・見送り・部分運用を判断できます。
転記が起きる3つの箇所
展示会での発注を紙からシステムへ変えたときに何が減るのかを考えるには、注文の内容が誰の手を通って社内の記録まで届くのかを分けておくと見通しがよくなります。
同じ「転記」でも、書き写しているのは発注側だけではないからです。
1つ目は、会場で発注側が注文書に書き込む場面です。
カタログやサンプルを見ながら、品番、数量、希望納期、届け先を用紙に書き写します。
2つ目は、出展社がその注文書を持ち帰り、自社の受注システムへ入力する場面です。
3つ目は、発注側が手元に残った控えを見ながら、自社の購買・在庫・会計などのシステムへ同じ内容を入力する場面です。
帰社後に打ち直しているのは3つ目です。
この転記は発注側の社内で起きる作業で、出展社の受注入力とは担当者も入力先も違います。
出展社の側で2つ目の入力が楽になっても、それだけで3つ目が消えるわけではありません。
どの箇所の転記をどの手段で減らすのかを分けて考えることが、受注システムに何を期待できるかを見極める出発点になります。
ミスと手戻りが出やすい場面
手入力の転記が問題になる理由は、展示会に限らず受発注業務全般で指摘されています。
中小企業庁の解説では、電話やFAXで受けた注文は経理システムへ手入力する必要があり、入力ミスや書類紛失のリスクを抱え、生産性を下げる要因になると説明されています2。
受発注のデジタル化の利点として「データの手書きや入力、計算における人的ミスの削減」を挙げる解説もあります1。
どちらも展示会の注文を対象にした説明ではありませんが、紙を見て別の画面へ打ち込むという作業の構造は同じです。
展示会の発注に当てはめると、ミスが入りやすい場面はいくつか考えられます。
たとえば、会場で立ったまま記入して崩れた数字を、帰社後に別の担当者が読み違える場合です。
出展社の品番と自社の品番が違い、どちらの番号で登録するか迷う場合もあります。
数量の単位が「ケース」なのか「個」なのか、注文書の欄からは判別しにくいこともあるでしょう。
複数の出展社から受け取った控えが同じファイルに挟まって混ざり、1枚が入力から漏れることも起こりえます。
こうした誤りは、入力した時点では気づかれにくいのが厄介なところです。
納品された数量が違う、請求書の金額が社内の発注記録と合わない、といった後工程で初めて見つかり、控えを探し出して出展社へ問い合わせる手戻りになります。
減らしたいのは打ち込む手間そのものに加えて、この照合と問い合わせの手間でもあるはずです。
受注システムがそのどちらに効くのかを、3つの箇所に当てはめて見ていきます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 会場で注文書に記入:発注側がカタログを見て品番・数量・納期・届け先を書き写す
- 出展社の受注入力:出展社が注文書を見て自社の受注システムへ入力する
- 発注側の社内入力:発注側が控えを見て購買・在庫・会計のシステムへ入力する
展示会受注システムで消える転記と、発注側に残る転記
出展社側の入力が減る場合
展示会向けの受注システムとして紹介されているのは、主に出展社や主催が導入し、会場での受注入力を楽にするための仕組みです。
ブースの担当者がタブレットやスマートフォンで注文内容を入力し、そのまま出展社の受注データとして登録する、といった使い方が想定されています。
この形なら、2つ目の転記、つまり出展社が紙の注文書を帰社後に打ち直す作業は減ります。
担当者が聞き取って入力する運用であれば、会場で発注側が手書きする量も少なくなります。
ただし、ここで減っているのは主に出展社の作業です。
発注側にとって変わるのは、注文書に自分で書き込む手間が減るかどうか、そして控えがどの形で手元に届くかという点です。
控えが紙の印刷物や画面の表示、PDFを添付したメールであれば、帰社後に社内システムへ打ち込む作業はこれまでと同じように残ります。
出展社が受注システムを入れたという話と、自社の打ち直しが減るという話は、別々に確かめる必要があります。
発注側の社内入力が減る条件
3つ目の転記が減るのは、注文の内容をデータとして受け取り、それを自社のシステムへ取り込める場合です。
条件は2つあります。
1つは、出展社や主催の仕組みから、注文データを自社で扱える形式、たとえば表計算ソフトで開けるCSV(項目をカンマで区切ったテキストファイル)などで受け取れることです。
もう1つは、自社の購買や在庫のシステムに、そのデータを読み込む入口があることです。
中小企業庁は企業間のデータ連携について、帳票をデータで管理できれば手入力のミスがなくなり、過去の取引も検索しやすくなると説明しています2。
これは受発注の当事者同士がデータでやり取りする仕組みについての説明で、展示会の受注システムを対象にしたものではありません。
それでも、手入力のミスがなくなるのは「データのまま受け取り、データのまま取り込む」場合に限られるという点は、展示会の発注にも当てはまる考え方です。
途中で一度でも紙や画面を目で読み取って打ち込めば、その箇所には転記が戻ってきます。
取り込める形式で受け取れても、項目の並びや品番の体系が自社システムと合わなければ、取り込む前に整える作業が発生します。
出展社の品番を自社の品番へ置き換える対応表を用意する、日付の書式をそろえる、といった作業です。
全件を手で打ち直すより軽く済むことが多いと考えられますが、出展社ごとに形式が違えば、そのたびに準備が要ります。
「データで受け取れる」ことと「そのまま取り込める」ことの間には、この調整の段階があります。
データ連携は双方の対応が必要
ここまでの話を裏返すと、片方だけが仕組みを整えても、もう片方の転記は動かないということになります。
中小企業庁は、注文書や請求書などを企業間で電子データとして交換するEDIについて、1社だけでは効果を得られず、取引先の状況や環境を考慮して導入の要否を判断する必要があると説明しています2。
この説明は、平成28年度補正の次世代企業間データ連携調査事業で行われた12件の実証にもとづくもので、展示会の受注システムについて調べた結果ではありません。
とはいえ、構図は展示会でも同じです。
出展社が会場で入力したデータを持っていても、発注側に紙で控えを渡せば、発注側の社内では打ち直しが続きます。
逆に、発注側が取り込みの入口を用意しても、出展社からデータが出てこなければ使う場面がありません。
発注側の転記が減るかどうかは、出展社の仕組みの有無よりも、それが発注側の社内システムとどうつながるかで決まる、というのがここでの整理です。
| 転記の箇所 | 担当 | 受注システムで変わること |
|---|---|---|
| 会場での注文書記入 | 発注側 | 出展社が端末で聞き取り入力する運用なら手書きは減る |
| 出展社の受注入力 | 出展社 | 会場で入力した内容が受注データになれば打ち直しは減る |
| 発注側の社内入力 | 発注側 | 取り込める形式で受け取り自社システムに入口がある場合だけ減る |
発注側が自分で選べる範囲:自社導入か、出展社・主催の仕組みを使うか
出展社・主催の仕組みを使う場合
展示会の会場で注文を受ける仕組みを用意するのは、出展社や主催です。
来場して発注する側が選べるのは、その仕組みで注文するかどうかと、控えをどの形で受け取りたいかを伝えることにほぼ限られます。
発注側が「展示会受注システムを自社で導入する」という選択は成り立ちにくく、そこを前提に検討を始めると、比べる対象を取り違えやすくなります。
出展社の仕組みで注文したとき、発注側に起きる変化は2つ考えられます。
1つは会場での記入の手間が減ることです。
もう1つは、出展社がその場で入力した内容を画面で見せてもらえるなら、品番や数量をその場で突き合わせられ、出展社側の読み違えによる食い違いを防ぎやすくなることです。
一方で、控えの形が紙やPDFのままなら、社内の打ち直しは減りません。
出展社の仕組みを使うだけで期待できるのは、主に会場から出展社の受注までの区間の改善です。
帰社後の作業を減らしたいなら、その先の区間、つまり自社の側に目を向ける必要があります。
自社の取り込み側を整える場合
発注側が自分で手を入れられるのは、注文データを受け取ってから社内システムに入れるまでの区間です。
具体的には、購買や在庫のシステムにファイルを読み込む機能があるか、出展社の品番を自社の品番へ置き換える対応表を誰が管理するか、取り込んだ後に誰が内容を確かめるか、といった点を決めていきます。
展示会の受注システムそのものを選ぶのではなく、どこからデータが来ても受け止められる入口を社内に作る、という考え方です。
受け取り側だけを整えるやり方は、展示会以外の受発注でも検討されています。
中小企業庁が紹介する中小企業共通EDIの仕組みでは、発注側は対応するプロバイダー(データの変換や中継を担う事業者)と契約すれば、共通の辞書に沿って注文情報が変換され、独自に構築した自社システムを引き続き使えると説明されています2。
これは中小企業共通EDIという特定の標準についての説明で、展示会の受注システムが同じように変換に対応しているかどうかは別の話です。
参考になるのは、自社システムを入れ替えなくても、受け取ったデータを自社の形に合わせる層を間に挟めるという発想のほうです。
社内システムにファイルを取り込む入口がまったくない場合は、事情が変わります。
取り込み機能の追加やシステムの見直しは、展示会の発注だけのために行うには大きな判断になりやすく、ほかの取引先との受発注も含めて検討することになるでしょう。
展示会での発注がどれくらいの頻度と件数なのかによって、そこまで踏み込む意味があるかどうかが変わります。
発注側で対応が遅れている現状
受け取り側を整えることに目を向けたいのは、電子的な受発注への対応が発注側で遅れているという調査結果があるからでもあります。
中小企業庁の令和3年度取引条件改善状況調査を引用した解説記事によると、電子受発注に2021年までに対応したと回答した受注側の企業は48.5%で、発注側企業の電子受発注システムの導入率は全体で40.9%と報告されています1。
記事はこの状況を、特に発注側で対応の遅れが見られると説明しています1。
この数値は電子受発注システム全般についての調査で、展示会の注文に限ったものではありません。
確認できたのは製造業向けの引用記事に載った値で、調査の原本との照合はできていません。
受注側は「2021年までに対応と回答」、発注側は「導入率」と、示している内容にも違いがあります。
そのため、この差を展示会での発注にそのまま当てはめることはできません。
それでも、送る側にデータがあっても受け取る側の準備が整わなければ社内の転記は残りやすい、という構図は前の節の整理と重なります。
出展社の対応が先に進んでいる場面ほど、発注側の入口の有無が打ち直しの量を左右しやすくなります。
自社で選べる範囲が限られているからこそ、選べる部分である受け取り側から手を付ける意味があります。
| 発注側の選択 | 発注側がすること | 減る作業 | 残る作業 |
|---|---|---|---|
| 出展社・主催の仕組みで注文する | 端末での注文に応じ控えの形を伝える | 会場での手書きと出展社側の読み違え | 控えが紙やPDFなら社内の打ち直し |
| 自社の取り込み側を整える | 読み込みの入口・品番の対応表・確認担当を決める | データで届いた注文の社内の打ち直し | 紙で届く注文の入力と取り込み後の確認 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 受け取る形式
- CSVなど自社で扱える形式で受け取る
- 紙やPDFでは打ち直しが残る
- 取り込み先
- 購買・在庫のシステムに読み込む入口がある
- 取り込み前の調整
- 出展社の品番を自社の品番へ置き換える対応表
- 日付の書式をそろえる
▼ 図の内容を文字で読む
- 出展社・主催の仕組みで注文する
- 会場での記入の手間が減る
- 入力内容をその場で突き合わせられる
- 控えが紙やPDFなら社内の打ち直しは残る
- 自社の取り込み側を整える
- 読み込み機能の有無を確かめる
- 品番の対応表の管理者を決める
- 取り込み後の確認担当を決める
紙との併用や、社内システムと連携しない場合に効果はどう変わるか
紙が残る場合の運用
展示会では、すべての出展社が受注システムを使っているとは限りません。
同じ会場で、ある出展社はタブレットで受け付け、別の出展社は複写式の注文書を使う、ということも考えられます。
紙の注文書が残る出展社については、社内の打ち直しはなくなりません。
ただ、打ち直しを前提にしたうえで、紛失と誤りの見落としを減らす工夫はできます。
ここからは運用上の提案です。
まず、控えは会場を離れる前にスマートフォンで撮影し、紙をなくしても内容を確認できるようにしておく方法があります。
帰社後は、控えに自社の発注番号を書き込んでから入力し、入力済みと未入力が一目で分かるようにします。
入力した担当者とは別の人が控えと入力画面を突き合わせる時間を取ると、読み違えが後工程に流れにくくなります。
出展社から注文確認の書面やメールが届く場合は、それと社内の入力内容を照合すれば、品番や数量の食い違いを納品前に見つけられます。
これらは転記の回数を減らす方法ではなく、転記に伴う紛失や見落としを減らす方法です。
紙が残る割合が大きい展示会では、システムの検討より先に、こうした受け取りと確認の手順を決めておくほうが手戻りに効く場合もあります。
連携しない場合に残る手作業
出展社が受注システムを使い、控えも電子的に届くのに、社内の打ち直しが残る場合があります。
控えがメールの本文やPDF、ウェブ画面の表示として届く場合です。
文字は読みやすくなるので手書きの読み違えは減ると考えられますが、その内容を見て自社システムに打ち込む作業は紙のときと変わりません。
画面を2つ並べて書き写す作業が残る、と言い換えてもよいでしょう。
取り込める形式のファイルで受け取れても、社内でそれを使う手順が決まっていなければ、担当者がファイルを開いて結局手で打ち込む、ということも起こりえます。
取り込みの機能があることと、それが展示会の注文で実際に使われることは別です。
誰が、いつ、どのファイルを、どの画面から取り込むのかを決めて初めて、データで受け取った意味が出てきます。
出展社ごとにファイルの項目や品番の体系が違う場合も、取り込みの前に整える作業が残ります。
件数が少なければ、整える手間が手で打つ手間を上回ることもありえます。
連携できている状態かどうかは、受け取ったデータが人の目と手を通らずに社内の記録になるか、という一点で見分けられます。
出展社に確認すること
残る作業を見極めるには、注文する前に出展社へいくつか確かめておくことになります。
迷いやすいのは、出展社が「システムで受け付けています」と答えたときに、それが発注側にとって何を意味するのか分からない点です。
出展社の社内で処理が速くなることと、発注側に取り込めるデータが届くことは別なので、聞く内容を発注側の作業に合わせて具体的にしておくと話が早く進みます。
・注文内容の控えを、紙・PDF・メール・取り込める形式のファイルのどれで受け取れるか
・ファイルで受け取れる場合、品番・品名・数量・単価・納期・届け先の項目が含まれるか
・品番は出展社の番号だけか、発注側の番号も併記できるか
・控えが届く時期は会場で即時か、会期後か
・注文を変更・取り消すとき、どの方法で連絡し、変更後の控えがどう届くか
中小企業庁は、データ連携は双方の対応が必要なため、取引先と方針を共有し、連携して取り組むことが重要だとしています2。
展示会の出展社とは会期中だけの取引になることもありますが、継続して発注する相手であれば、控えの形式を毎回そろえてもらえるよう相談しておく価値があります。
| 控えの受け取り方 | 発注側に残る作業 | 減らせる余地 |
|---|---|---|
| 紙の注文書の控え | 読み取りと社内システムへの打ち直し | 撮影・発注番号の記入・別担当の照合で紛失と見落としを減らす |
| PDF・メール・画面の表示 | 画面を見ての打ち直し | 手書きの読み違えは減るが入力の手間は残る |
| 取り込める形式のファイル | 項目と品番の整え・取り込み後の確認 | 取り込みの手順を決めれば打ち直しを置き換えられる |
自社は導入・見送り・部分運用のどれにするか
判断の分かれ目
ここまでの内容を、判断の材料として並べ直します。
見るのは、出展社から取り込める形式のデータを受け取れるか、自社に取り込み先があるか、展示会での発注の頻度と件数、取り込みを運用する担当者を決められるか、の4点です。
取り込める形式のデータを受け取れる出展社が多く、自社のシステムにも読み込みの入口があり、展示会での発注が繰り返し発生するなら、受け取り側を整える方向、つまり導入の検討に進む意味があります。
この場合に決めることは、取り込みの手順、品番の対応表、取り込み後の確認の担当です。
出展社の大半が紙の注文書で、展示会での発注件数も少ないなら、システムの整備は見送り、紙の控えの受け取りと確認の手順を固めるほうが手間に見合いやすいと考えられます。
打ち直しは残りますが、紛失や照合漏れによる手戻りは減らせます。
実際には、その中間に当てはまることもあるでしょう。
継続して発注する一部の出展社からはファイルで受け取り、取り込みで処理する。
それ以外の出展社は紙の控えを前提に、撮影と照合の手順で扱う。
こうした部分運用なら、取り込み先がある範囲から始めて、手間が減ったことを確かめてから対象を広げられます。
どれを選ぶにしても、件数や時間の目安を一般論で決めるより、自社の数字で比べるほうが確かです。
最初の展示会で数えること
判断の材料をそろえるために、次の展示会で一度、自社の作業を数えてみる方法を提案します。
展示会の発注で転記がどれだけ減るかは、出展社の対応と自社の入口の組み合わせで変わるため、一般的な削減量を当てはめるより、自社の数字を取るほうが確かです。
数えるのは次の項目です。
・受け取った控えの形(紙・PDFやメール・取り込める形式のファイル)ごとの件数
・紙1枚あたりの打ち直しにかかった時間
・入力後の照合で見つかった誤りの件数と種類(品番・数量・単位・納期・届け先)
・納品や請求の段階で初めて見つかった食い違いと、その問い合わせにかかった手間
・控えの紛失や入力漏れの有無
これを記録しておくと、どの形で受け取った注文に手間と誤りが集まっているかが見えてきます。
紙の控えが大半で、誤りの多くが読み違えなら、まず受け取りと確認の手順を見直す。
ファイルで受け取れたのに手で打ち直していたなら、取り込みの入口を整える価値がある。
次の展示会で同じ項目を数え直せば、手順を変えた前後で何が減ったのかを自社の数字で確かめられます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 会場で控えを撮影:会場を離れる前にスマートフォンで撮影する
- 発注番号を書き込んで入力:入力済みと未入力が一目で分かるようにする
- 別の担当者が突き合わせ:控えと入力画面を照らし合わせる
- 注文確認と照合:出展社から届く書面やメールと入力内容を納品前に照合する
出展社ごとに控えの受け取り方が違い、自社システムのどこへ取り込めるかは、入力画面の項目や品番の体系まで並べてみないと判断しにくいものです。
いま使っている注文書の控えと社内の入力画面をもとに、どの項目が取り込みで置き換えられ、どこに手入力と確認が残るかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 社内の打ち直しが減る条件 | 注文データを取り込める形式で受け取り、自社システムに読み込む入口と手順がある |
| 出展社の受注システムで変わること | 出展社側の入力と会場での記入。控えが紙やPDFなら社内転記は残る |
| 発注側が選べる範囲 | 控えの受け取り形式を伝えることと、自社の取り込み側の整備 |
| 紙が残る出展社 | 撮影・発注番号の記入・別担当の照合で紛失と見落としを減らす |
| 判断の軸 | データ受領の可否、取り込み先、発注の頻度と件数、運用担当 |
| 最初の展示会 | 形式別の件数、1枚あたりの打ち直し時間、誤りの件数と種類を数える |
▼ 図の内容を文字で読む
- 控えの受け取り形式
- 紙・PDF・メール・取り込める形式のファイルのどれか
- ファイルの項目と品番
- 品番・品名・数量・単価・納期・届け先が含まれるか
- 発注側の品番も併記できるか
- 届く時期と変更
- 控えは会場で即時か、会期後か
- 変更・取り消しの連絡方法と変更後の控え
▼ 図の内容を文字で読む
- 導入(受け取り側を整える)
- 取り込める形式で受け取れる出展社が多い
- 自社システムに読み込みの入口がある
- 展示会での発注が繰り返し発生する
- 見送り
- 出展社の大半が紙の注文書で、発注件数も少ない
- 紙の控えの受け取りと確認の手順を固める
- 部分運用
- 継続して発注する一部の出展社からファイルで受け取る
- それ以外は撮影と照合の手順で扱う
最初の展示会で数えた件数や時間を、導入・見送り・部分運用のどれに結び付けるかは、社内システムの事情と合わせて見ないと決めにくいところです。 記録した数字と出展社から受け取れる形式をもとに、受け取り側を整える範囲と、紙のまま手順で扱う範囲の分け方を確かめられます。
よくある質問
出展社が受注システムを使っていれば、自社の入力は自動的になくなりますか。
なくなりません。
出展社の受注システムで減るのは主に出展社側の入力です。
控えが紙やPDF、メール本文で届けば、発注側の社内システムへの打ち直しは残ります。
社内の入力が減るのは、取り込める形式のファイルで受け取り、自社システムに読み込む入口があり、取り込みの手順と担当が決まっている場合です。
紙の注文書をスキャンしてデータ化する方法は、展示会の発注でも使えますか。
控えを撮影やスキャンで画像として残すことは、紛失対策や照合に役立ちます。
画像から文字を読み取って入力に使う方法もありますが、手書きの読み取り結果には確認が要り、品番の置き換えなど取り込み先に合わせる作業も残ります。
効果は筆跡や書式で変わるため、試す場合は手入力と並べて、1枚あたりの時間と誤りの件数を比べると判断しやすくなります。
出展社ごとに受注の方法が違う場合、社内の取り込みはどう整えればよいですか。
社内の入口は1つにまとめ、出展社ごとの違いは取り込む前の整え方で吸収する考え方が扱いやすいです。
出展社の品番と自社の品番の対応表、出展社ごとの項目の並べ替えのルールを用意します。
ファイルを出せない出展社は紙の控えを前提に、撮影と照合の手順で扱う部分運用にすると、全社がそろうのを待たずに始められます。
受注システムを使うと注文内容の誤りの確認は不要になりますか。
不要にはなりません。
データのまま受け取って取り込めば、書き写しによる読み違えは起きにくくなります。
ただ、会場での品番の選び間違いや数量の誤りは、データにもそのまま入ります。
取り込み後に注文の意図と合っているかを確かめる作業は残り、確認の対象が書き写しの誤りから注文そのものの誤りへ移ると考えてください。
最初の展示会で、効果を確かめるには何を数えればよいですか。
受け取った控えの形ごとの件数、紙1枚あたりの打ち直し時間、照合で見つかった誤りの件数と種類、納品や請求の段階で見つかった食い違いと問い合わせの手間、控えの紛失や入力漏れの有無です。
次の展示会でも同じ項目を数えると、手順を変えた前後の違いを自社の数字で比べられます。
- 1 出典:オリックス・レンテック株式会社「受発注のデジタル化は製造業にどんなメリットをもたらすか」(中小企業庁『令和3年度取引条件改善状況調査』の引用、2021年度調査)
- 2 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)