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展示会受注システムの効果とは?転記が減る条件と導入前に測る項目

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 展示会受注システムで会場の端末から入力すれば、会期後に紙から打ち直す二度目の入力はなくせる。
  • 基幹への受け渡しがCSV取込か、一体運用か、単独運用かによって、会期後に残る作業が変わる。
  • マスタと基幹のコードの一致、仮品番の切り替え、会場の通信とオフライン対応が、転記が残るかどうかを左右する。
  • 公開資料には削減率の数値がなかったため、導入前に自社の転記工数を測り、導入後に1件あたりで前後を比べる。

50代後半の日本人男性が展示会のブースでの説明をしている場面

展示会の注文が会期後に二度入力になる場面と、展示会受注システムで変わる工程

展示会が終わった翌週に、紙の台帳やオーダーシートを横に置いて、受注管理の画面へ一件ずつ打ち直す。
件数の多い会期ほど、入力ミスと処理の遅れが重なります。
展示会受注システムで会場の端末から直接入力すれば、この会期後の打ち直しはなくせます。
ただし、手作業がどこに残るかは条件で変わります。
基幹・販売管理へデータを渡す方式(CSV取込など)、商品・得意先マスタの整い方、会場の通信環境の3つです。
公開資料では、削減時間や削減率の数値は確認できませんでした。
そのため判断の材料になるのは、転記が消える工程と残る工程の見分け方と、導入前に測った自社の転記工数です。

紙の台帳・オーダーシートから打ち直す流れ

会場では、担当者が商談しながら得意先名、品番、色やサイズ、数量を台帳やオーダーシートに書き込みます。
来場したバイヤーが自分でオーダーシートに記入して置いていく形もあります。
どちらの場合も、この時点の注文は紙の上にあり、社内の受注管理からは見えません。

会期が終わると、紙を持ち帰った担当者か事務担当が、内容を受注管理や販売管理の画面へ入力し直します。
一つの注文が、会場で書いたときと社内で打ち直したときの2回入力されることになります。
アパレル業向け販売管理の事例ページでも、導入企業の声としてこの状況が語られています。
展示会のたびに台帳へ注文数を記入し、社内に持ち帰って転記していたというものです1。

二度目の入力では、問題がまとめて表に出ます。
読みにくい手書き、品番の書き間違い、得意先の取り違えなどです。
会場では文脈が分かっていた担当者も、数日後に紙だけを見て入力するときは、どの商談の何だったかを思い出しながらの作業になります。
誤りに気づけば会場の担当者に問い合わせ、場合によっては得意先に確認を取り直します。
件数が多い展示会ほどこの確認待ちが積み重なり、受注確定が遅れます。

もう一つの問題は、転記が終わるまで受注の全体が見えないことです。
どの品番にどれだけ注文が集まったかは、打ち直しが済んで初めて集計できます。
生産や仕入れの判断を早く始めたい会社ほど、転記の遅れがそのまま次の工程の遅れになります。

会場入力に変えると消える工程

展示会受注システムでは、会場でタブレットなどの端末に注文を入力する形があります。
先の導入企業の声も、台帳への記入が会場でのiPad入力に変わったというものです1。
会場で入力した時点で注文はデータになっているため、持ち帰った紙を画面へ打ち直す工程は不要になります。

消えるのは、同じ注文を2回入力することです。
入力が1回になるので、手書きの読み違いや転記時の打ち間違いが起きる場面も減ります。
また、注文が会期中からデータとしてたまるので、会期後の転記を待たずに品番別の状況を見られるようになります。
ただし実際にそうなるかどうかは、会場で入力したデータを社内からどう参照できるかに左右されます。

一方、入力が1回になっても、会場のデータがそのまま基幹(在庫・出荷・会計などを管理する中心のシステム)や販売管理に受注として登録されるとは限りません。
展示会受注システムの中にたまったデータを基幹へ移す作業が、別に必要になる場合があります。
会場での打ち直しはなくなったのに、会期後にファイルを出力して取り込み、エラーを直す作業が残ることもあり得ます。

大塚商会のページに載っているのは、アパレル業向け販売管理ApaRevoのモバイル展示会オプションについての、匿名の顧客の声です1。
削減できた時間や件数は書かれていません。
打ち直しがなくなったという変化の方向は読み取れますが、自社でどれだけ減るかの目安には使えません。

紙で受けた展示会の注文が受注確定に至るまでの流れ
会場での台帳記入から、持ち帰り、打ち直し、確認、受注確定までを上から順に並べた図

展示会受注システムの公表された効果は何を示し、何を示していないか

事例を読む3つの確認点

展示会受注システムを調べると、製品ページや導入事例に「効率化」「手間を省く」といった言葉が並びます。
今回確認した公開資料は、転記の廃止やFAX処理の手間の削減といった変化を述べるところまででした。
削減時間や削減率の数値は載っていません12。
展示会受注について、社名と事業が分かり、測定条件まで書かれた削減実績は見つかっていません。

数値がないことは、効果がないことを意味しません。
ただ「効率化」という言葉は、どの作業を指すかで中身が大きく変わります。
事例や機能説明は、次の3点に注目して読むと、自社の転記にどう関係するかが見えてきます。

1つ目は、減ったのが会場での入力なのか、基幹への取込なのかです。
会場入力に変えた事例なら、打ち直しは消えても、基幹への受け渡しは別に残っているかもしれません。
反対に、基幹との連動で省力化したと書かれている場合は、会場の入力方法が紙のままかどうかを見る必要があります。

2つ目は、誰が入力しているかです。
自社の担当者が会場で入力するのか、来場したバイヤーが自分で入力するのかによって、減る作業がどちら側のものかが変わります。

3つ目は、数値が載っている場合の測り方です。
何件の注文を、どの期間、どの作業について比べたのかが書かれていなければ、自社の展示会の規模や商品の複雑さに当てはめられません。
検索で見つかる削減の数値には、展示会とは別の作業の転記を測ったものが混じることもあります。
対象の作業が自社の転記と同じかどうかを先に見ておくと、数字に引きずられずに済みます。

自社入力かバイヤー入力かで効果の意味が変わる

Relationshipは、アパレル・ファッション向けのWeb展示会受注の製品です。
バイヤー自身がデータを入力する形でオーダーをデータ化し、FAX処理や入力確認などの手間を省くと説明しています2。
ここで省かれるのは、バイヤーが書いたオーダーシートやFAXを受け取って、受注側が読み取りながら入力する作業です。

自社の担当者が会場で入力する方式では、商談しながら端末へ入力する作業が新たに発生します。
打ち直しは消えますが、入力そのものは会場へ移っただけ、とも言えます。
会場での入力に手間取れば、商談の進み方や、対応できる来場者の数に影響が出ることも考えられます。

バイヤー入力の方式なら、受注側の入力作業はさらに減ります。
その代わり、バイヤーへの入力方法の案内や、入力された内容の確認が受注側に残ります。
製品ページのいう入力確認の手間の削減で、どこまでの確認が不要になるのかは、ページの記載からは分かりません2。

効果を比べるときは、この違いをそろえておく必要があります。
自社入力の事例を参考にするなら、会期後の打ち直しが消えた分から、会場での入力時間を差し引いて考えます。
バイヤー入力の事例なら、受注側の入力がほぼなくなる代わりに、取引先がその方式を使ってくれるかという別の条件が加わります。
紙やFAXで注文を続ける取引先が残れば、その分の転記はこれまでどおり残ります。

確認点 見る箇所 自社の転記との関係
減った作業 会場入力の話か、基幹への取込の話か 会期後の打ち直しと受け渡しのどちらが減るか
入力する人 自社担当か、来場バイヤーか 減る作業が受注側と取引先側のどちらにあるか
数値の測り方 件数・期間・対象作業の記載 自社の規模や商品に当てはめられるか
事例・機能説明を読むときの3つの確認点(整理図)
減った作業、入力する人、数値の測り方の3つに分けて、事例で確かめる内容を示した図

基幹・販売管理への受け渡し方式で、残る手作業が変わる

CSV取込方式で残る作業

会場で入力した注文がどこまで自動で流れるかは、展示会受注システムと基幹・販売管理の間の受け渡し方で決まります。
製品ページでは「基幹と連携」と一言で書かれていることがありますが、中身は形によって違い、会期後に残る作業もそれぞれ異なります。
以下に挙げる製品はいずれもアパレル向けで、方式の違いが他業種の展示会受注にそのまま当てはまるかは分かりません。
製品の優劣を示すものでもありません。

Relationshipの製品概要によると、オーダーデータはCSV(表形式のデータを文字で保存するファイル形式)で出力できます。
基幹システムにデータ取込機能があれば受注入力が簡単に行えるとし、カスタマイズが必要な場合は別途費用がかかると書かれています3。
対応する基幹システムの一覧は示されていません3。

この方式では、会期後にCSVを出力し、基幹の取込画面で読み込み、取り込めなかった行を直す作業が残ります。
一件ずつ打ち直す作業が、ファイル単位の取込と例外の手直しに置き換わるイメージです。
とくに注意が要るのは、展示会受注システム側の品番や得意先コードが基幹側のコードと一致していない場合です。
取込時にエラーになったり、変換表を作って手で置き換えたりする作業が生まれます。

判断の分かれ目は、自社の基幹に取込機能があるかどうかです。
取込機能がない、あるいは決まった形式しか受け付けない場合は、CSVを受け取っても画面へ入力し直すことになります。
それを避けるには、基幹側の改修やカスタマイズを検討することになります。
その費用は、製品の利用料とは別に見積もる必要があります。

基幹と一体で動かす方式

東光オーエーシステムのNBS受注管理は、アパレル業界向けの展示会受注として、得意先別の受注入力と品番別の受注配分入力ができると説明しています4。
生産管理や在庫・出荷管理と連動させて事務作業を省力化するとし、製造発注数を超える受注には警告が表示されるとしています4。

受注と生産・在庫・出荷が一つの仕組みの中でつながっていれば、展示会の注文を別のシステムへ移す工程そのものがありません。
CSVの出力や取込、コードの突き合わせは発生しにくくなります。
製造発注数を超える受注への警告のように、受注を入れた時点で後工程の制約と照らし合わせられる点も、手作業での照合を減らす方向に働きます。

ただしこれは、受注から出荷までをその仕組みで管理する前提の話です。
すでに別の基幹や会計システムを使っている会社では、どこまで置き換えてどこを既存システムに残すかによって、その境目に新しい受け渡しが生まれます。
製品ページにはオフラインでの入力についての記載が見当たらないため、会場でどう入力するかは別に確かめることになります4。

基幹と切り離す単独運用の場合

トヨシマビジネスシステムのアパレルゾーン3の展示会システムは、基幹システムと連携させることも、切り離して展示会システム単独で動かすこともできるとしています5。

単独で動かす場合、展示会の受注は展示会システムの中で完結し、基幹への受け渡しは運用で決めることになります。
ファイルで渡すのか、集計表を見ながら入力するのかで、会期後の作業は大きく変わります。
最後の受け渡しを手入力で行うなら、会場での打ち直しは消えても、基幹への転記は残ります。

単独運用が合うのは、まず展示会の受注を紙から切り離したい場合や、基幹の改修にすぐ手を付けられない場合だと考えられます。
その場合も、受け渡しの方法と担当を先に決めておかないと、会場は楽になったのに事務の仕事は変わらない、という状態になりがちです。
単独で始めて後から連携に切り替える道があるかどうかも、選ぶ前に聞いておく価値があります。

受け渡し方式 会期後に残る作業 確認すべき前提
CSV出力と基幹の取込(例:Relationship) CSVの出力と取込、取込エラーやコード不一致の手直し 基幹に取込機能があるか、改修が要るか(別途費用)
基幹と一体運用(例:NBS受注管理) 別システムへの受け渡しは生じにくい。既存システムとの境目に受け渡しが残ることがある 受注から生産・在庫・出荷までをその仕組みで管理するか
単独運用(例:アパレルゾーン3は連携も可) 基幹への受け渡しを運用で行う。手入力なら転記が残る 受け渡しの方法と担当を事前に決められるか
受け渡し方式ごとに会期後に残る作業(アパレル向け製品の説明にもとづく模式図)
CSV取込、基幹と一体運用、単独運用の3方式で、会期後に残る作業を分けて示した図

転記が残る条件:マスタ、通信環境、会場で決まらない商品

商品・得意先マスタの前提

会場で端末に入力するには、品番や得意先を選べる状態が先に必要です。
Relationshipは、バイヤーと商品のマスタ(品番や取引先などの基本情報を登録した一覧)を元にオーダーを受け付け、管理するとしています3。
光和コンピューターのタブレット受注管理システムも、書誌・書店・在庫などの基本情報を基幹から取り込んで使う仕組みです6。
こちらは出版業の書店訪問営業向けで、展示会の事例ではありません。
それでも、端末で使うマスタを基幹から持ってくるという考え方は共通しています。

マスタが基幹と一致していれば、会場で選んだ品番と得意先のコードがそのまま基幹で通じます。
前の節で触れたCSV取込時のコード不一致は、この段階で防ぐことになります。
その代わり、展示会の前に基幹のマスタを出力して端末側へ登録する作業が、会期前の準備として発生します。

マスタが整っていない場合、会場の担当者は品番を選べず、メモ欄や自由入力で注文を残すことになります。
そのデータは会期後に誰かが正しい品番へ置き換える必要があり、転記に近い作業が残ります。
初めて来場した相手のように、得意先マスタにまだ登録がない取引先も同じです。
会場で仮に入力した得意先を会期後に正式登録し、注文と結び付け直す作業が生じます。

仮品番で管理するサンプル商品

展示会では、まだ生産が決まっていない試作段階のサンプルを並べて注文を受けることがあります。
正式なマスタ登録の前であれば、基幹側にはその品番がまだありません。
会場で入力しようにも、選ぶべきマスタがないという状態です。

アパレルゾーン3の展示会システムは、仮品番(サンプル)の状態でデータベースに登録・管理でき、正式マスタとは分けて管理できるとしています5。
会場では仮品番で注文を受け、正式マスタとは混ぜずに置いておけるということです。

ここで残るのは、仮品番の商品が正式に品番化されたとき、仮品番で受けた注文を正式品番へつなぐ作業です。
仮品番と正式品番の対応を誰がいつ付けるのか、生産しないと決まったサンプルの注文をどう扱うのかは、製品ページの記載からは分かりません5。
自社の展示会でサンプルの割合が高いなら、この切り替えの手順をデモで実際に見せてもらうとよいでしょう。
会期後に残る作業の量が具体的に見えてきます。

会場の通信とオフライン入力

会場で入力する方式は、端末がデータを送れることを前提にしています。
展示会場の通信が混み合ったり、ブースの位置で電波が弱かったりすると、入力が途中で止まるおそれがあります。

光和コンピューターのタブレット受注管理システムは、オフラインでの受注入力ができ、タブレットで受けた受注情報を基幹へ連携するとしています6。
通信がない場面でも入力を止めずに済む仕組みの例です。
ただし、これも出版業の書店訪問向けの製品で、展示会での使われ方を示すものではありません6。

一方、Relationshipの製品概要では、作業はブラウザ上で行い、ファイルのアップロードはPCのみ対応とされています。
オフライン対応の記載はありません3。
NBS受注管理とアパレルゾーン3の展示会システムのページにも、オフライン入力についての記載は見当たりません45。
記載がないことは対応していないことと同じではありません。
ただ、会場の通信に頼る前提で準備してよいかは、導入前に製品ごとに確かめるしかありません。

通信が途切れると入力できない製品なら、会場用の回線を用意するか、通信が戻るまで紙に控えておくことになります。
紙に控えた注文は後でシステムへ入れ直す必要があり、減らしたかった転記がそこに戻ってきます。
出展する会場の通信事情と候補製品のオフライン対応は、組み合わせて考える必要があります。

転記が残る3つの条件と、会期後に戻る作業(整理図)
マスタ、仮品番のサンプル、会場の通信の3条件ごとに、会期後に残る作業を示した図

導入前に自社の転記工数を測り、導入後に検証する方法

直近1回の展示会で記録する項目

公開資料に削減率の数値がない以上、自社にとっての効果は、自社の転記を測らなければ見えてきません。
ここからは編集部の提案として、導入前の測り方と試算の組み方を示します。
実測された効果や業界の慣行ではなく、展示会の規模や受注の複雑さによって結果は変わります。

次の展示会、または記録が残っている直近の展示会1回分について、会期後の作業を次の項目で記録します。

・会期後に打ち直した注文の件数(注文書の枚数と明細の行数を分けて数える)
・1件あたりの入力にかかった時間(数件を計って平均をとる)
・読めない箇所の問い合わせと、入力ミスの訂正にかかった時間と回数
・会期終了から受注確定までの日数
・それぞれの作業を誰が担当したか(会場の担当者か事務担当か)

件数を注文書と明細行で分けるのは、1枚に多くの品番が並ぶ注文と1行だけの注文とでは、入力時間がまるで違うからです。
確認・訂正の時間を入力時間と分けるのは、システムで減るのが入力そのものなのか、確認のやり取りなのかを後で切り分けるためです。
受注確定までの日数は、転記の遅れが生産や出荷の判断をどれだけ待たせていたかを表します。

記録は厳密でなくてかまいません。
大事なのは、導入後にも同じ項目、同じ数え方で測れることです。

候補製品ごとの試算の組み方

測った作業を、受け渡し方式とマスタ・通信の条件に当てはめて、候補製品ごとに消える作業と残る作業に振り分けます。

たとえば、自社担当が会場で入力し、CSVで基幹へ取り込む製品を検討しているとします。
この場合、会期後の打ち直しの時間は消える側に入ります。
一方、会場での入力時間、CSVの出力と取込、取込エラーの手直しは残る側に入ります。
基幹に取込機能がなければ、改修の費用を別に見積もります。
サンプル商品の多い展示会なら、仮品番から正式品番への切り替えも残る側に加えます。

バイヤー入力の製品なら、受注側の入力時間の多くは消える側に入ります。
その一方で、バイヤーの入力内容の確認や、紙やFAXで注文してくる取引先の分の転記が残ります。
取引先のうちどれくらいがその方式を使いそうかは、試算の前提として書き出しておきます。

こうして並べると、製品ごとの差は、どれだけ減るかよりも何が残るかとして見えてきます。
残る作業が会期後の事務担当に集中するのか、会期前の準備や会場の担当者へ移るのかも、運用を決めるうえでの判断材料になります。
ベンダーに相談するときも、自社の記録と残る作業の見立てを示せば、デモで確かめるべき場面を絞り込めます。

導入後の前後比較

導入後の最初の展示会では、導入前と同じ項目を同じ数え方で記録します。
打ち直しの件数がなくなっていても、CSV取込の手直しや仮品番の切り替えに時間がかかっていれば、それが新しく残った作業です。
会場での入力時間や会期前のマスタ準備も、導入前にはなかった作業として加えて比べます。

比べるときは、展示会の規模や出品数の違いに注意します。
注文件数が大きく増えた展示会と比べると、合計時間は増えていても、1件あたりでは減っていることがあります。
合計ではなく、1件あたりの入力・確認時間と受注確定までの日数で比べると、条件の違いをある程度ならせます。

1回の比較で結論を急ぐ必要はありません。
初回は担当者が操作に慣れておらず、2回目以降で落ち着くこともあります。
残った作業のうち、マスタの整備や取込形式の調整で減らせるものがあれば、それを直して次回に測り直します。
自社の数字で前後を比べておけば、導入の判断と運用の見直しの両方の根拠になります。

会期後の作業 消える側に入る条件 残る側に入る条件
紙からの打ち直し 会場で端末入力する 通信が途切れて紙に控えた分
読み取りの問い合わせ・訂正 入力が1回になる バイヤー入力の内容確認
基幹への登録 基幹と一体運用、または取込機能がある 取込機能がない、単独運用で手入力
コードの突き合わせ マスタが基幹と一致している マスタ未整備や新規の得意先
サンプルの品番処理 正式品番が決まっている商品 仮品番から正式品番への切り替え
紙・FAXの注文 取引先がシステム入力に移る 紙・FAXを続ける取引先の分
導入前の測定から導入後の前後比較までの手順(編集部の提案)
直近の展示会の記録、候補製品ごとの振り分け、デモでの確認、導入後の記録、1件あたりの比較を上から順に並べた図

基幹の取込条件やマスタの状態は会社ごとに違い、製品ページだけでは会期後に何が残るかを見通しにくいためです。

自社の受注の流れと基幹の取込条件を並べて、候補の受け渡し方式ごとに残る作業を整理できます。無料相談で要件を整理する

導入前に候補製品へ確かめる項目

会期前の準備から会場での入力、会期後の受け渡しへと、受注データが流れる順に並べた。

  • 自社の基幹の取込形式で受注データを渡せるか、改修やカスタマイズが要る場合の費用の扱い
  • 商品・得意先マスタを基幹からどう取り込み、いつ更新するか
  • 正式マスタ登録前のサンプルを仮品番で扱えるか、正式品番へどう切り替えるか
  • 会場の通信が途切れたときにオフラインで入力できるか
  • 入力するのは自社担当かバイヤーか、入力内容をどう確認するか

受け渡し方式がすでに決まっている場合は、その方式で残る作業に関わる項目から確かめる。

候補製品へ確かめる項目を場面ごとに分けた整理図
会期前の準備、会場での入力、会期後の受け渡しの3つの場面ごとに、候補製品へ確かめる項目を分けた図

要点の整理

軸 基準
消える工程 会場入力で会期後の打ち直しが不要になるか
受け渡し方式 基幹の取込機能、一体運用、単独運用のどれで、会期後に何が残るか
入力する人 自社担当かバイヤーか。紙・FAXで注文する取引先が残るか
マスタ 品番・得意先コードが基幹と一致するか。仮品番を正式品番へ切り替える手順
通信 オフライン入力の可否と、出展する会場の通信事情
効果の測り方 導入前後で同じ項目を記録し、1件あたりで比べる

記録した転記工数をどう試算に落とし込むかは、基幹や取引先の事情によって変わるためです。 記録した項目をもとに、候補製品で確かめるべき前提と試算の組み方を一緒に確認できます。

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よくある質問

CSV取込と基幹との直接連携では、会期後の作業はどれだけ違うのですか。

CSV取込では、会期後にCSVを出力して基幹の取込画面で読み込み、取り込めなかった行を直す作業が残ります3。
品番や得意先のコードが基幹と一致していないと、置き換えの手作業も加わります。
受注から生産・在庫・出荷までを一つの仕組みで動かす方式なら、別システムへ移す工程そのものがありません4。
ただし既存の基幹や会計システムを残す場合は、その境目に受け渡しが生まれます。
差がどれだけ出るかを示す公開の数値は確認できなかったため、自社の取込作業を実際に測って比べるのが確実です。

商品マスタが未整備でも展示会受注システムは使えますか。

バイヤーと商品のマスタを元に受付・管理する製品もあり、マスタは多くの場合、会場入力の前提になります3。
マスタがないまま自由入力で注文を残すと、会期後に正しい品番へ置き換える作業が残り、転記に近い手間が戻ってきます。
正式登録前のサンプルについては、仮品番で登録し、正式マスタと分けて管理できる製品もあります5。

会場の通信が不安定でも、その場で受注入力できますか。

製品によって異なります。
出版業の書店訪問向けには、オフラインで受注入力でき、受注情報を基幹へ連携するタブレット受注システムがあります6。
一方、確認したアパレル向けの展示会受注製品のページには、オフライン対応の記載が見当たりませんでした345。
オフラインで入力できない製品の場合、通信が切れている間は紙に控えることになり、その分は後で入力し直す必要があります。

来場バイヤーが自分で入力する方式と自社担当が入力する方式では、効果の測り方はどう違いますか。

自社担当が入力する方式では、会期後の打ち直しが消える一方で、会場での入力時間が新たに加わります。
この両方を測って差し引きます。
バイヤー入力の方式では受注側の入力はさらに減りますが2、バイヤーへの案内、入力内容の確認、紙やFAXを続ける取引先の分の転記が残ります。
そのため、取引先がどれだけその方式を使ったかも合わせて記録します。

試作段階のサンプル商品の注文は、システム上でどう扱えばよいですか。

仮品番(サンプル)の状態で登録し、正式マスタと分けて管理できる製品があります5。
会期後には、仮品番で受けた注文を正式品番へつなぐ作業と、生産しないと決まった商品の注文の扱いが残ります。
この切り替えの手順は製品ページだけでは分からないため、デモで確かめておくと、残る作業を見積もりやすくなります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:大塚商会「展示会受注の入力を効率化したい(アパレル業向け)」(掲載年不明)
  2. 2 出典:ポヴァードエッジ「Relationship 製品ページ」(掲載年不明)
  3. 3 出典:ポヴァードエッジ「Relationship 製品概要」(掲載年不明)
  4. 4 出典:東光オーエーシステム「アパレル業界向け 展示会受注 NBS受注管理」(掲載年不明)
  5. 5 出典:トヨシマビジネスシステム「アパレルゾーン3 展示会システム」(掲載年不明)
  6. 6 出典:光和コンピューター「タブレット受注管理システム(出版業向け)」(掲載年不明)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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