◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 取引先別の指値は、得意先個別・得意先グループ・全社共通の3層と商品軸を掛け合わせて持ち、狭い範囲の値から順に当てます。
- 単価マスタは有効期間の開始日と終了日を持たせ、上書きせず行を追加すると過去の受注を当時の単価で再現できます。
- 改定は申請・承認・反映・確認の4段階に分け、見積・受注・請求の3つの場面で同じ値が出るかを確かめます。
- 委託取引では協議に応じない一方的な代金決定が禁じられ、支払期日は受領日から60日以内に定めます。
- 適格請求書の記載事項6項目に単価は含まれないため、単価管理は請求書要件とは別の目的で設計します。
目次

取引先別の指値設定とは
取引先別の指値設定とは、同じ商品でも取引先ごとに異なる販売単価をあらかじめ取り決め、見積から請求まで同じ値を使い回せる状態にしておく仕組みを指します。本記事では、個別に取り決めた販売単価を指値、業界で目安として流通する標準的な価格を建値、実際に納入する単価を仕切価格、定価に対する比率で単価を示す方式を掛率と呼び分けます。語義は業界や社内で揺れやすいため、まず4つの語を分けて押さえることが出発点になります。
指値は、取引先との交渉や契約で決めた個別単価です。建値は業界内で共有される目安であり、そのまま請求できる値とは限りません。仕切価格は実際に納入する単価を指し、指値を適用した結果として決まります。掛率は定価に対する比率で単価を表す方式で、単品数が多いときに扱いやすくなります。
指値の対象範囲も、定義に含めておく必要があります。本体価格だけを指すのか、送料や販促協賛の負担まで含めた実質単価を指すのかで、同じ数字でも意味が変わります。後から取り決める割戻しを別建てにする場合は、指値と別の項目として管理し、請求上の扱いも分けて決めておきます。
価格の並びは、定価と標準単価を土台に置き、その上に取引先別の指値を重ねます。受注時にどの値を使うかは、より狭い範囲に向けて決めた値を優先するのが基本です。全社共通の値より得意先グループの値が優先し、さらに得意先個別の指値が優先します。この上下関係を先に決めておかないと、担当者ごとに違う値が使われます。
取引先別に価格を持つ場合、管理単位の切り方が運用の負荷を左右します。単位は取引先の軸と商品の軸の2つに分かれ、それぞれに個別と集合の段があります。取引先の軸では得意先個別と得意先グループ、商品の軸では商品別と商品グループが代表的です。組み合わせが細かいほど設定は正確になりますが、維持の手間は増えます。
4つの語を分けて定義しておくと、社内の会話が単価の話か比率の話かで混ざらなくなります。見積書には掛率だけを書き、受注では指値を入力するといった食い違いも避けやすくなるでしょう。用語の呼び方を単価マスタの項目名と揃えておけば、システム移行時の対応表づくりも短く済みます。
取引先別の指値設定の目的は、単価の再現性を確保することにほかなりません。同じ取引先・同じ商品・同じ数量帯であれば、誰が見積を作っても同じ値が出る状態を目指します。再現性があれば、価格改定の影響範囲を件数で数えられ、改定の作業計画も立てられます。
一方、取引先別の価格を増やすほど、管理する組み合わせは掛け算で増えていきます。取引先が増え、商品が増え、数量帯を2段や3段に分ければ、設定件数はその積になります。どこまでを個別に持ち、どこからを共通に寄せるかの線引きが、最初の設計課題になります。誰がいつどの根拠で決めた値かを追える形にしておけば、価格協議の場でも説明の材料が残ります*1。
| 語 | 本記事での定義 | 主に使う場面 |
|---|---|---|
| 指値 | 取引先ごとに個別に取り決めた販売単価 | 見積と受注 |
| 建値 | 業界で目安として流通する標準的な価格 | 価格の土台 |
| 仕切価格 | 実際に納入する単価 | 請求と採算の確認 |
| 掛率 | 定価に対する比率で単価を示す方式 | 単品数が多い設定 |

指値設計で先に決める5点(順位根拠:後の工程がその決定を前提にする依存の順序)
- 用語の定義。指値・建値・仕切価格・掛率の意味と、単価が本体価格だけを指すのか実質単価を指すのかを社内で1つに揃えます。
- 管理単位。取引先の軸を得意先個別と得意先グループと全社共通の3層に、商品の軸を商品別と商品グループ別と数量帯別に切り分け、どこまで個別に持つかを決めます。
- 適用の優先順位。得意先個別・得意先グループ・全社共通・定価の判定順を文章で定め、同じ層で候補が重なった場合は有効期間の開始日が新しい値を採ると決めます。
- 有効期間の持ち方。開始日と終了日を必須項目にし、改定時は上書きせず行を追加する方式にして、過去の受注を当時の単価で再現できるようにします。
- 承認と履歴。改定の申請・内容の承認・マスタへの反映・反映後の確認を別の担当に分け、変更履歴を行単位で残します。
指値が取引先ごとに分かれる理由と実務の課題
指値が取引先ごとに分かれるのは、値引きの積み重ねではなく、取引条件そのものが取引先ごとに違うからです。発注量、納品先の数、決済の条件、返品や物流の負担割合が違えば、同じ商品でも採算が変わります。単価は、条件を織り込んだ結果として分かれます。問題は分かれること自体ではなく、分かれた値が台帳や記憶に散らばり、見積・受注・請求の3つの場面で違う値が出ることにあります。
単価が分かれる理由の1つ目は、数量です。まとまった数量を継続して発注する取引先には、段ごとに単価を切り替える数量帯の設定が使われます。2つ目は物流の負担で、センター納品か店舗直送か、パレット単位か小口かで、1件あたりの配送費用と付帯作業が変わります。3つ目は決済と与信の条件であり、支払サイトや請求単位の違いが資金負担に跳ね返ります。
条件を反映した単価が、担当者の手元の表計算に置かれたままになっている運用が見られます。表計算は作り始めが早い反面、同じ取引先の単価が複数のファイルに分かれ、どれが最新かを判別できなくなります。担当者の異動や退職によって、値の根拠が引き継がれないまま数字だけが残ることもあります。
価格改定のときに、影響を受ける取引先と商品の件数を数えられない点も課題です。対象を絞り込めなければ、反映漏れの確認は目視に頼ることになります。漏れた単価は受注時ではなく請求や入金の突合で見つかり、遡っての訂正作業につながります。
単価の食い違いは、3つの場面で表面化します。見積では旧単価、受注では新単価、請求ではさらに別の値が入ると、取引先の検収で差異が止まります。誤りのある請求は修正した適格請求書の交付が必要になり*4、経理と営業担当の双方に手戻りが生じます。入金消込が止まれば、売掛金の管理にも影響が及びます。
BtoB ECや受発注EDIを導入すると、食い違いは即座に表に出ます。画面に表示する価格は、ログインした取引先ごとに正しい指値でなければなりません。人が最後に目視で直す余地がないため、マスタが唯一の拠り所になります。標準化されたメッセージで受発注データを交換する場合も、単価の項目はそのまま相手先へ流れます*5。
単価の誤りは、取引先との交渉ごとに発展しやすい点でも負担になります。誤って低い単価で受注すれば、その差額は原則として自社が負います。逆に高い単価で請求すれば、返金と訂正の手続きに加え、価格の決め方そのものへの不信を招きかねません。取引上の地位に差がある関係では、一方的な単価変更と受け取られない進め方が欠かせません*3。
本節では単価が分かれる理由と、分かれた値を持て余す場面を整理しました。次節では、分かれた単価をどの単位で持ち、どの順で当てるかという設計側の答えを扱います。理由の把握と設計の決定は別の作業であり、順に進めることで検討の重複を避けられます。
自社の商流に合わせた要件整理を進めたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。
指値設定のパターンと適用の優先順位
指値の設定は、取引先の軸と商品の軸を掛け合わせた組み合わせで整理できます。取引先の軸は得意先個別・得意先グループ・全社共通の3層、商品の軸は商品別・商品グループ別・数量帯別に分かれます。決めるべきは、この組み合わせをどこまで作るかと、複数が同時に当てはまったときにどれを優先するかの2点です。優先順位は、狭い範囲に向けた値ほど先に当てる、有効期間の内側にある値だけを候補にする、という2つの原則で組み立てます。
取引先の軸の3層から見ます。得意先個別は、特定の取引先だけに適用する指値で、交渉の結果をそのまま反映します。得意先グループは、本部や商流が同じ取引先をまとめた単位であり、系列単位の条件を一括で持てます。全社共通は、個別の取り決めがない取引先に当てる標準の値で、定価や標準単価がここに入ります。
商品の軸も同じ考え方で分かれます。商品別は単品ごとの指値、商品グループ別はブランドやカテゴリー単位でまとめた指値です。数量帯別は、発注数量に応じて単価を段で切り替える方式で、2段や3段に分けて設定します。単品数が多い場合は、商品グループ別を土台にし、例外だけを商品別で持つと維持しやすくなります。
複数の条件が重なったときの優先順位は、具体的な条件を上位に置くのが基本です。得意先個別の指値があればそれを使い、なければ得意先グループ、それもなければ全社共通、最後に定価という順で当てます。同じ層で複数の候補が残る場合は、有効期間の開始日が新しい値を採ります。判定順を文章で決めておけば、システム設定の検証項目にもそのまま使えます。
数量帯を使う場合は、判定に使う数量の定義を先に決めます。1明細の数量か、同一受注内の合計数量か、月間の累計数量かで結果が変わります。累計を使う方式は締め後の遡り計算が必要になり、受注時点で単価が確定しません。BtoB ECで価格を表示するなら、受注時点で確定する定義を選ぶほうが運用は安定します。
期間限定の特別単価は、通常の指値と分けて持ちます。終了日を必ず入れ、終了後は通常の指値へ戻る設計にしておけば、解除漏れを防げます。終了日のない特価は、時間が経つほど根拠が失われ、価格改定のたびに判断を止める要因になります。
組み合わせの件数は、掛け算で概算しておくと規模がつかめます。取引先100社に対して商品グループ20区分と数量帯2段を設定すれば、それだけで4,000行を抱えることになります。ここに得意先個別の商品別指値が加われば、件数はさらに積み上がります。設定に着手する前に概算の件数を出しておけば、維持できる範囲かどうかを先に判断できます。
組み合わせを増やすほど設定は精密になりますが、確認すべき件数も増えます。まずは全社共通と得意先グループで大半を賄い、得意先個別は交渉で決まった分だけに絞る形が扱いやすいでしょう。次節では、ここで決めた優先順位をシステム上のマスタとしてどう持たせるかを扱います。
販売管理システム・BtoB ECでの指値マスタ設計と連携
システム側では、単価マスタ設計・価格の出し分け・データ連携の3段階で考えます。単価マスタ設計では、誰に・何を・いつからいつまで・いくらで、という4要素を項目として持たせます。価格の出し分けでは、ログイン後の表示価格とカタログ公開範囲を分けて制御します。データ連携では、受発注EDIと基幹システムのどちらを単価の正とするかを先に決めます。この順序を守ると、後戻りの少ない設計になります。
単価マスタの項目は、取引先コード・商品コード・単価・有効期間の開始日と終了日が基本の組です。ここに数量帯の下限と上限、通貨、単位、改定の申請番号を加えると、後から経緯を追えます。単価そのものを金額で持つか、掛率で持つかも設計事項です。掛率で持てば定価改定に自動で追従しますが、端数処理の規則を別に定める必要があります。
有効期間の持たせ方は、価格改定の運用を左右します。既存の行を上書きせず、終了日を入れて新しい行を追加する方式なら、過去の受注がどの単価で処理されたかを再現できます。上書き方式は行数が増えない反面、遡っての検証ができません。取引先からの照会に備えるなら、追加方式のほうが説明しやすくなります。
BtoB ECでは、ログイン後の表示価格を取引先ごとの指値に切り替えます。未ログインの状態で価格を出すかどうかは、商流への影響を見て決めます。カタログ公開範囲も同時に制御し、取引のない商品や終売品を表示しない設定にします。表示価格と受注確定価格が別経路で計算されると差異の温床になるため、同じマスタを参照させます。
受発注EDIとの連携では、標準メッセージの項目に単価が含まれます。標準的な運用ガイドラインは改訂が重ねられており、基本形はVer2.2が公開されています*5。参照時点の版数と対応するメッセージ種類を確かめたうえで実装します。取引先ごとに版や項目の使い方が違う場合もあるため、接続先ごとの差分表を用意しておきます。
基幹システムとの関係では、単価の正をどちらに置くかを一本化します。EC側で単価を別に持てば二重管理になり、改定のたびに同期の確認が要ります。公開されている業務システムの仕様でも、取引先や商品や数量の組み合わせで単価の取り決めを保持し、有効期間で切り替える設計が示されています*6。
設計の難所は、項目の追加ではなく既存の値をどう移すかにあります。表計算に散らばった単価を集め、重複と失効を判定し、優先順位に沿って並べ替える作業が必要です。移行時には旧方式と新方式で同じ受注を計算し、結果が一致するかを1件ずつ確かめます。

指値の設定・改定を回す運用フローと体制
指値の運用は、改定の申請・内容の承認・マスタへの反映・反映後の確認の4段階で回します。申請では、対象の取引先と商品、新旧の単価、適用開始日、根拠を1つの様式にまとめます。承認では、申請者と承認者を分け、権限の範囲を金額や掛率の幅で定めます。反映は担当を限定し、反映後の確認では見積・受注・請求の3つの場面で同じ値が出るかを検証します。
改定の申請で押さえるのは、適用開始日と対象範囲の2点です。適用開始日が受注日基準か納品日基準かで、境界にある受注の扱いが変わります。対象範囲は、得意先個別なのか得意先グループ全体なのかを申請の時点で明示します。範囲が曖昧なまま承認へ進むと、反映の段階で解釈が分かれます。
内容の承認では、金額の妥当性と法令面の2つを見ます。原価や物流費の変動を根拠とする改定であれば、その根拠資料を申請に添付させます。委託取引にあたる場合は代金の決め方に法令上の要請があるため、取引先との協議の記録も承認の材料になります*1。
マスタへの反映は、作業者を限定し、反映した日と作業者を記録に残します。まとめて反映するときは件数を事前に数え、反映後の件数と突き合わせます。一括更新の機能を使う場合は、更新前のデータを退避してから流すのが安全です。
反映後の確認では、代表的な取引先と商品を選び、見積・受注・請求の順に同じ単価が出るかを追います。BtoB ECを併用しているなら、ログイン後の表示価格も確認の対象に加えます。数量帯を持つ商品は、段の境界にあたる数量でそれぞれ試し、切り替わりを確かめます。
権限分掌は、申請・承認・反映を同一の担当者が兼ねない形にします。改定履歴は、いつ・誰が・どの値をどう変えたかを行単位で残し、過去の受注をその時点の単価で再現できる状態を保ちます。履歴があれば、取引先からの照会にも記録で答えられます。
この運用を社内だけで組み立てるには、価格の決め方に関する業務知識、マスタ設計、EDIの項目定義、法令要件の読み込みという4つの領域が並行します。担当が1人に集中すると、異動の時点で運用が止まります。設計と初期移行を外部の専門家と分担し、日々の運用を社内に残す分け方も選べるでしょう。
価格協議と法令面で押さえる注意点
価格運用で押さえる法令面は3つです。1つ目は委託取引の代金決定で、協議に応じずに一方的に代金を決めることが禁じられています。2つ目は取引上の地位の差への配慮であり、優越した地位を利用した不利益な条件の設定が問題になります。3つ目は請求書の記載事項で、適格請求書に求められる6項目に単価は含まれません。単価管理の必要性は、請求書の要件ではなく取引の再現性から説明します。
委託取引に関する法令は改称と改正を経て、2026年1月に中小受託取引適正化法として施行されました*1。旧法の親事業者・下請事業者という呼び方は、委託事業者・中小受託事業者に改まりました。適用の対象は資本金の額で線引きされ、製造委託等では3億円超、情報成果物作成委託等では5,000万円超が基準です。改正では従業員数による基準も加えられました。
従業員数の基準は、資本金による線引きを補う位置づけで加えられたものです。製造委託等では従業員300人超、情報成果物作成委託等および役務提供委託では従業員100人超が、委託事業者側の目安となります*1。資本金の額が基準に届かない場合でも、従業員数の側で対象に入ることがあります。自社がどちらの立場に当たるかは、資本金と従業員数の両方で確かめる必要があります。
代金の決定と支払には、書面の交付と期日の定めが伴います。給付を受領した日から起算して60日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めることが求められます*1。期日を過ぎた場合は年14.6%の遅延利息が生じます。指値の適用開始日を明確にしておくことは、この期日管理の前提にもなります。
運用の状況は年度ごとに公表されています。直近で公表された年度の資料では、勧告や指導の件数と、中小受託事業者へ返された金額が示されています*2。件数は年度で変わるため、社内資料に引用する場合は公表年度を必ず併記します。価格の決め方を記録に残す運用は、こうした確認への備えにもなります。
取引上の地位の差については、独占禁止法上の考え方が公表されています*3。取引先が取引の継続を強く望む関係にある場合、単価の一方的な引き下げや費用負担の押し付けが問題となり得ます。価格改定を進めるときは、通知だけで終えず、協議の場と記録を残す手順を組み込みます。指値の変更履歴は、その記録の一部として働きます。
2023年10月に始まった方式では、請求書の記載事項は6項目です*4。発行者の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した対価の額と適用税率、税率ごとの消費税額等、交付を受ける事業者の氏名または名称の6つで、単価は含まれません。税率は10%と軽減税率8%を区分して記載します。
登録番号のない相手からの仕入れには、控除割合を段階的に縮小する経過措置が置かれています。2023年10月から2026年9月までは仕入税額相当額の80%、2026年10月から2029年9月までは50%を控除できます*4。取引先の登録状況によって自社の実質負担が変わるため、指値を取り決める段階で登録の有無を確かめておきます。
単価管理は、請求書の要件を満たすためではなく、対価の額を正しく算定するための土台になります。指値が確定していれば、数量を掛けた対価の額と税額の算定が一意に決まります。逆に単価が揺れていると、記載事項そのものは満たしていても、取引先との認識が合いません。
ここまでの内容を社内だけで整えるには、条文の確認、価格運用の設計、システム設定、移行時の検証という4つの作業が並行します。条文は改正の前後で用語が変わるため、旧用語のまま作られた社内様式の見直しも要ります。誰がいつどの根拠で決めた単価かを残す仕組みは、取引先への説明と社内の統制の両方に効きます。指値の設計は、法令の要請を満たしながら価格の再現性を確保する作業だと言えます。
よくある質問
指値は金額と掛率のどちらでマスタに持つのがよいですか
定価改定の頻度で選びます。定価が定期的に見直される商材では、掛率で持つと改定に自動で追従し、更新する行を減らせます。一方で端数処理の規則を別に決めておかないと、計算結果が1円単位でずれます。定価を持たない受注生産品や、交渉で金額そのものを決める取引では、金額で持つほうが誤解を生みません。
取引先から単価の引き下げを求められたとき、どのように進めればよいですか
協議の経緯を記録に残しながら進めます。委託取引にあたる場合、協議に応じずに一方的に代金を決めることは禁じられており、要請を受けた側でも同じ考え方が当てはまります*1。原価や物流費の状況を数字で示し、合意した内容と適用開始日を書面で残します。合意後は指値の改定申請として同じ手順に載せ、履歴に残します。
価格改定の適用開始日は受注日と納品日のどちらを基準にすべきですか
受注日基準を既定にすると運用が安定します。受注の時点で単価が確定するため、見積と受注と請求の値が揃い、後からの遡り計算が要りません。納品日基準は、長納期品で原価変動を反映したい場合に選ばれますが、受注済みの案件の単価が動くため、取引先への事前の説明が欠かせません。どちらを採るかを社内で1つに決め、例外の扱いも明文化します。
BtoB ECで未ログインの利用者に価格を表示してもよいですか
商流への影響を見て決めます。取引先別の指値は交渉の結果であり、公開すれば他の取引先との条件差が外部から見える状態になります。未ログインでは商品情報と規格のみを見せ、価格はログイン後に取引先ごとの指値で表示する切り分けが取りやすい形です。カタログ公開範囲も併せて制御し、取引のない商品を出さないようにします。
表計算からマスタへ移行するとき、最初に何を確認すべきですか
件数と重複の把握から始めます。取引先と商品の組み合わせで何行になるか、同じ組み合わせに複数の単価が存在しないか、終了日のない特価がどれだけ残っているかを数えます。重複が残ったまま移行すると、優先順位の判定で意図しない値が選ばれます。移行後は同じ受注を旧方式と新方式で計算し、結果が一致するかを確かめます。
- 1 出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」(2026年) 経路
- 2 出典:公正取引委員会「令和7年度における取適法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組」(2026年) 経路
- 3 出典:公正取引委員会「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(2026年) 経路
- 4 出典:国税庁「インボイス制度について(適格請求書の記載事項)」(2023年) 経路
- 5 出典:一般財団法人流通システム開発センター「流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)標準メッセージと運用ガイドライン(基本形Ver2.2)」(2025年) 経路
- 6 出典:Microsoft「Sales trade agreement prices(Dynamics 365 Supply Chain Management 公式ドキュメント)」(2026年) 経路
画像の出典元
- Business professionals discussing financial graphs and chart/Photo by Adventure Studio on Pexels
- Business team analyzing financial graphs at a meeting table, fostering collaboration in an office environment./Photo by Yan Krukau on Pexels
- A diverse team engaged in a productive meeting in a modern office environment./Photo by Mikhail Nilov on Pexels