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展示会の受注システムで転記は減る?効果の見極め方と導入前の確認点

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 転記の手間は、会場での記録・会場後の再入力・後工程への引き渡しのどこで生まれているかによって、効く打ち手が変わる
  • 会場で端末に入力すると手書きの読み取りは減るが、販売管理へ渡す手段がなければ打ち直しは残る
  • 専用システム、既存の販売管理、Excelやフォームは、会場での入力方法・後工程へ渡す方法・追加の費用と設定の3つの軸で確かめる
  • 導入前に1回の展示会分の転記時間と訂正件数を原因別に測り、同じ種類の展示会で1件あたりに直して比べる
  • デジタル化・AI導入補助金の通常枠は導入時の役務も対象経費に含むが、対象ツールかどうかと申請要件は公募要領で確かめる

60代前半の日本人女性が展示会のブースでの説明をしている場面

展示会の注文を打ち直す手間は、どの工程で生まれるのか

展示会から戻ったあと、紙の注文票や会場で使ったExcelを見ながら販売管理へ打ち直し、品番や数量、納期の確認で営業担当と何度もやり取りしていないでしょうか。
受注システムで転記がどこまで減るかは、システムを入れたかどうかより、会場で入力したデータが販売管理や出荷・請求の担当までそのまま渡るかで決まります。
減り方を一律に示せる数値はないため、まず自社で転記が起きている工程を洗い出し、会場入力、連携、運用の整備のどれで減らせるかを切り分けます。
そのうえで1回の展示会分の転記時間と訂正件数を測り、小さく試して判断します。

会場での記録

転記の手間は、販売管理へ打ち込む場面だけで生まれるわけではありません。
原因の一部は、会場で記録した時点の形にあります。
ブースでは、担当者が来場者と話しながら注文や見積依頼を受け、紙の注文票、持ち込んだノートパソコンのExcel、名刺の裏のメモなど、その場で書けるものに残します。
来場者が続けて訪れる時間帯には、品番の一部だけを書いたり、「前回と同じ」と略したり、届け先を後で聞くつもりで空けたりすることもあるでしょう。
書いた本人には意味が通じても、会社に戻って入力する人には判断できない記録になります。

会場で残す情報が、後で販売管理に入れる項目とずれていることもあります。
販売管理では顧客、品番、数量と単位、単価、納期、届け先といった項目を決まった順に入力しますが、会場の注文票は来場者に書いてもらいやすい並びで作られていることがあります。
展示会特価や会期中だけの条件は、販売管理側に入れる欄がなく、備考に手書きで残されがちです。
会場での記録の形が、そのあとの照合の量を左右します。

会場後の再入力

会社に戻ると、営業事務の担当者が注文票やExcelを受け取り、販売管理の画面へ1件ずつ入力します。
ここで手間がかかるのは、打つことそのものより、打つ前の照合です。
品番が途中までしか書かれていなければ商品マスタ(品番・品名・単価などを登録した台帳)から候補を探し、来場者が初めての取引先なら顧客情報を新しく登録します。
読めない数字や、ケース単位かバラ単位か分からない数量は、会場にいた営業担当に聞くしかありません。
営業担当が外出していれば返事を待ち、営業担当にも分からなければ顧客に問い合わせることになります。

ミスが入りやすいのもこの段階です。
桁の読み違い、似た品番の取り違え、単位の取り違えは、照合の途中で起きます。
入力した人が気づかなければ、そのまま出荷指示や請求書に載り、顧客からの指摘で初めて分かることもあります。
転記の手間とミスは、同じ箇所から生まれていると考えると、どこを変えるべきかが見えやすくなります。

後工程への引き渡し

販売管理への入力が済めば転記が終わる、とは限りません。
出荷担当が別の出荷表で動いている、請求を会計ソフト側で起こしている、といった体制では、受注の内容をもう一度別の表やメールで伝え直すことになります。
販売管理の項目に収まらなかった展示会特価、分納、届け先の指定は、備考欄や口頭で伝わり、引き継ぎの途中で抜け落ちやすくなります。

このように工程を3段階に分けると、受注システムで何を減らしたいのかがはっきりします。
会場での記録があいまいなことが問題なら、入力の仕方を変えるのが先です。
会場後の打ち直しが重いなら、会場の記録を販売管理へ取り込めるかが鍵になります。
後工程への伝え直しが多いなら、問題は販売管理と出荷・請求の間のつながりにあり、展示会向けの仕組みを入れても減らない部分です。

会場で端末に直接入力すれば後入力が減る、という例はあります。
株式会社KITの展示会支援システムは、アンケートをタブレットに直接入力するため、展示会後にアンケート結果のデータ入力が不要になると製品情報で説明しています1。
ただし、これは来場者アンケートの後入力についての記載で、受注や見積の転記が同じように減ることを示したものではありません。
受注データは品番・単価・納期など後工程で使う項目が多く、会場で入れた記録が販売管理まで届くかどうかで結果が変わります。

展示会の受注で記録の形が次の工程の転記と確認を生むつながり(模式図)
会場での記録、会場後の再入力、後工程への引き渡しの順に、前の工程の記録の形が次の工程の確認や伝え直しを生むことを示した図1会場での記録2会場後の再入力3後工程への引き渡し

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 会場での記録
    • 品番の略記や空欄が会場後の照合を生む
    • 展示会特価などの条件が備考にだけ残る
  2. 会場後の再入力
    • 読めない数字や単位を営業担当や顧客に問い合わせる
    • 桁・品番・単位の取り違えが入る
  3. 後工程への引き渡し
    • 出荷・請求へ別の表やメールで伝え直す
    • 備考の条件が引き継ぎで抜けやすい

受注システムの会場入力で減る作業と、残る作業

減る作業

会場で端末に入力すると、会場後の再入力のうち、手書きを読み取る作業はなくなります。
文字が読めない、数字が4か9か分からないといった問い合わせは、記録が最初からデータになっていれば起きません。
入力画面で品番を一覧から選ぶ形にできれば、品番の略記や取り違えも会場の時点で抑えられます。
必須の項目を空欄のまま保存できない仕組みであれば、届け先や納期の聞き漏れにもその場で気づけます。

会場の通信は、使い方を左右します。
先のKITの展示会支援システムでは、タブレットはスタンドアロン(通信せずに端末単体で動かす使い方)でもネットワーク接続でも使え、スタンドアロンの場合は必要に応じてデータベースへ登録できると記載されています1。
会場で通信が不安定でも記録は端末に残し、後でまとめて登録する、という流れを想定した作りです。
会場入力を検討するときは、この「通信がない時間に何ができるか」が最初の確認点になります。

残る確認作業

一方で、会場で入力しただけでは消えない作業があります。
いちばん大きいのは、端末に入った記録を販売管理へ渡す部分です。
取り込みの手段がなければ、営業事務の担当者は紙の代わりに端末やシステムの画面を見ながら、販売管理へ打ち直すことになります。
読み取りの迷いは減りますが、打ち直しの時間と打ち間違いは残ります。

KITの製品情報でも、SFA(営業支援システム。
商談や顧客の情報を管理する仕組み)との連携は「将来的には可能」という記載にとどまり、対象はアンケートと商談情報です1。
販売管理への受注データの取り込みについては記載がありません。
これは1製品の掲載情報で、ほかの製品にそのまま当てはまるものではありません。
それでも、展示会向けの仕組みを選ぶときに、会場で記録できることと、販売管理まで渡せることを分けて確かめる必要があることはよく分かります。
どの形式で、どの項目を、どの連携先へ渡せるかは、製品ごとに確かめることになります。

会場で確定できない情報も残ります。
在庫の引当、正式な単価、納期の回答は、会場で販売管理や在庫を参照できなければ、会社に戻ってから確認するしかありません。
スタンドアロンで使った場合は、後でデータを登録するときに、登録漏れや同じ注文の二重登録がないかを見る作業が加わります。
会場入力で減るのは主に「読み取り」と「打ち直し」の一部で、「照合」と「確定」がどこに残るかは、商品マスタの持たせ方と連携の方法で決まります。

会場の記録方法ごとに減る作業と残る作業の違い(模式図)
紙やExcelでの記録、会場の端末入力のみ、端末入力と販売管理への取り込みの3つについて、減る作業と残る作業を比べた図紙やExcelでの記録、会場の端末入力のみ、端末入力と販売管理への取り込みの3つについて、減る作業と残る作業を比べた図紙やExcelで記録手書きの読み取りと問い合わせが残る販売管理への打ち直しが残る品番・単価・在庫の照合が残る会場で端末に入力手書きの読み取りは減る画面を見ながらの打ち直しは残る品番を選択式にできれば略記は減る端末入力して販売管理へ取り込む打ち直しは取り込み作業に置き換わる取り込み前の項目と重複の確認は残る在庫・単価・納期の確定は会場で参照できなければ残る

▼ 図の内容を文字で読む
  • 紙やExcelで記録
    • 手書きの読み取りと問い合わせが残る
    • 販売管理への打ち直しが残る
    • 品番・単価・在庫の照合が残る
  • 会場で端末に入力
    • 手書きの読み取りは減る
    • 画面を見ながらの打ち直しは残る
    • 品番を選択式にできれば略記は減る
  • 端末入力して販売管理へ取り込む
    • 打ち直しは取り込み作業に置き換わる
    • 取り込み前の項目と重複の確認は残る
    • 在庫・単価・納期の確定は会場で参照できなければ残る

専用システム、既存の販売管理、Excelやフォームのどれで進めるか

比較の3つの軸

会場入力を実現する手段は、展示会向けの専用システムに限りません。
すでに使っている販売管理を会場で使う方法や、Excelやフォームの入力画面を整える方法もあります。
どれを選ぶかは、前の節で見た「減る作業」と「残る作業」を、それぞれの手段でどこまで動かせるかで比べると判断しやすくなります。
比べる軸は、会場での入力方法、後工程へ渡す方法、追加で要る費用・設定の3つです。

会場での入力方法は、来場者を前にした短い時間で、間違えずに入れられるかを見る軸です。
品番を選べるか、必須項目を決められるか、通信がなくても使えるかが分かれ目になります。
後工程へ渡す方法は、打ち直しが残るかどうかを決める軸です。
販売管理に直接入るのか、ファイルを取り込むのか、画面を見て打つのかで、営業事務の担当者の作業が変わります。
追加の費用・設定は、利用料だけでなく、項目の設定、商品マスタの準備、会場用の端末、会場で入力する担当者への説明にかかる手間まで含めて見ます。

展示会向けの専用システムは、会場での記録を主な目的にした作りなので、確かめるべき点は後工程への渡し方に集まります。
前の節の例のように、渡し先がアンケートや商談情報の管理で、販売管理への受注データの取り込みは明記されていない場合もあります1。
会場入力の使い勝手が良くても、営業事務の担当者が画面を見て打ち直すなら、減るのは読み取りの部分にとどまります。

既存の販売管理を会場で使えれば、会場後の打ち直しはそもそも生まれません。
代わりに、会場で使えるかが問題になります。
持ち出せる端末から使えるか、通信のない場面でどう動くか、利用者を増やすと費用が増えるか、ブースで立ったまま操作できる画面か、といった点です。
新規の来場者はまだ顧客として登録されていないため、会場で仮の顧客として受注を入れられるかも確認点になります。

Excelやフォームは、手元にある道具で始められる手段です。
項目の並びと形式を販売管理の取り込み形式に合わせておけば、打ち直しをファイルの取り込みに置き換えられる可能性があります。
ただし、それができるのは販売管理側にファイル取り込みの機能がある場合に限られます。
品番の選択肢を最新の商品マスタと合わせ続ける手間、複数の端末で入力した分をまとめる作業、通信がないと使えない形式の場合の会場での扱いも残ります。

公式仕様で確認する項目

この表は優劣を付けたものではなく、販売元や社内の担当者に確かめる問いを並べたものです。
同じ「連携できる」という説明でも、自動で送られるのか、ファイルを書き出して手で取り込むのかで、営業事務の担当者に残る作業は変わります。
問い合わせるときは、自社の販売管理の名前と、実際に渡したい項目(顧客、品番、数量、単価、納期、届け先、展示会特価の扱い)を具体的に伝えると、答えも具体的になります。

Two colleagues in a meeting room discussing financial charts and graphs on a laptop and paper.
▽ 写真の出典元

確かめた結果、どの手段でも販売管理への打ち直しが消えないと分かることもあります。
その場合は、システムの導入より先に、会場の記録の形を整える運用から始めるほうが、手間に見合う効果を得やすくなります。
どちらを先にするかは、次に見る会社ごとの条件で変わります。

比較の軸 展示会向けの専用システム 既存の販売管理を会場で使う Excelやフォームを整える
会場での入力方法 通信がない場面での記録と後からの登録の手順 持ち出せる端末で使えるか・新規来場者を仮登録できるか 品番を選択式にできるか・通信なしで使えるか
後工程へ渡す方法 販売管理へ受注データを渡す形式と項目 入力した受注がそのまま出荷・請求へつながるか 販売管理側のファイル取り込みに形式を合わせられるか
追加の費用・設定 利用料・端末・項目設定の範囲 利用者追加の費用・会場用の設定 商品マスタの更新と入力分をまとめる手間

受注件数や既存システムの条件で、導入の向き不向きはどう変わるか

会場の通信環境

同じ手段でも、会社の条件によって効果の出方は変わります。
受注件数が多ければ導入向き、と単純には言えません。
件数が多くても会場の記録の形が整っていて、打ち直しより照合のほうが重いなら、先に商品マスタを整えるほうが効くことがあります。

会場で通信が安定して使えるかは出展先によって違い、同じ会場でも混雑の具合で変わることがあります。
通信を前提にしたフォームやクラウドの画面は、つながらない時間に入力が止まり、結局紙に戻ることになりかねません。
KITの製品のように端末単体でも使えると記載された仕組みなら、会場では記録に集中し、通信できる場所で登録するという使い分けができます1。

ただし後からまとめて登録する場合、登録するまでのあいだ記録は端末の中にしかありません。
端末を複数使うなら、どの端末の分を誰が登録したかを決めておかないと、登録漏れや二重登録の確認が増えます。
通信を当てにできない展示会への出展が多い会社ほど、この後からの登録の手順まで含めて比べる必要があります。

商品マスタと連携先

会場で品番を選んでもらうには、選択肢になる商品マスタが必要です。
品番体系が商品ごとにばらばら、展示会だけの特価品や新製品が販売管理にまだ登録されていない、という状態では、会場の入力画面も自由記入に頼ることになり、会場後の照合が残ります。
展示会の前に、出展する商品の品番・単価・単位を販売管理と同じ形でそろえられるかが、会場入力の効果を左右します。

連携先の条件も分かれ目です。
販売管理がファイルの取り込みや他のシステムとの接続に対応していれば、会場の記録を渡す道があります。
対応していない、あるいは取り込みに追加の設定や費用がかかる場合は、会場入力で読み取りは減っても、打ち直しは残る前提で比べることになります。
受注を販売管理ではなくExcelで管理している会社なら、会場の記録とExcelの列をそろえることが、そのまま転記を減らす手段になります。

先に運用を整える場合

次のような状況では、システムを選ぶ前に運用を整えると、システムでしか減らせない作業がどれかが見えやすくなります。
・出展する商品の品番や単価が、販売管理の登録内容と合っていない
・会場の注文票の項目と、販売管理の入力項目の並びが違う
・問い合わせの原因が、略記や空欄など書き方の問題に偏っている
・出荷・請求への伝え直しが、販売管理に入力した後で起きている

たとえば、注文票の項目を販売管理の入力順に並べ替え、品番を記入式から出展商品の一覧に印を付ける形に変えるだけでも、会場後の読み取りと照合の一部は減らせます。
そのうえで残った打ち直しの時間が負担なら、そこが会場入力や連携で減らしたい部分です。
反対に、整えた時点で後処理が負担でなくなれば、システムの導入は急がなくてよいという判断になります。
どちらに当たるかを決めるには、整える前と後を同じ物差しで測る必要があります。

自社の条件ごとに導入後に残る作業が決まるつながり(模式図)
会場の通信環境、商品マスタ、連携先の3つの条件ごとに、導入後に残る確認作業を示した図会場の通信環境、商品マスタ、連携先の3つの条件ごとに、導入後に残る確認作業を示した図会場の通信環境通信が不安定なら端末単体で記録し、後で登録する後から登録する分は登録漏れや二重登録の確認が増える商品マスタ品番や単価が未登録だと自由記入に頼ることになる会場後の照合が残る連携先取り込みに対応していれば会場の記録を渡せる対応していなければ打ち直しが残る前提で比べる

▼ 図の内容を文字で読む
  • 会場の通信環境
    • 通信が不安定なら端末単体で記録し、後で登録する
    • 後から登録する分は登録漏れや二重登録の確認が増える
  • 商品マスタ
    • 品番や単価が未登録だと自由記入に頼ることになる
    • 会場後の照合が残る
  • 連携先
    • 取り込みに対応していれば会場の記録を渡せる
    • 対応していなければ打ち直しが残る前提で比べる

導入前に何を測り、どう小さく試すか

測る項目

測る目的は、転記の手間がどの工程で、どの原因から生まれているかを数で押さえることです。
次の展示会1回分について、営業事務の担当者が会場後の作業をするときに、注文ごとに次の項目を記録します。
・注文の件数と明細の行数
・販売管理への入力にかかった時間(照合や問い合わせの待ち時間とは分けて)
・営業担当や顧客への問い合わせの回数と、その理由
・入力後に見つかった訂正の件数と、その原因(品番、数量・単位、単価、納期、届け先など)
・出荷・請求へ伝え直した件数

時間は、入力そのものと、照合・問い合わせを分けて残すのが大事です。
入力の時間が大きいなら会場入力と取り込みが効きやすく、照合と問い合わせが大きいなら商品マスタや注文票の整備が先、と打ち手が変わるからです。
訂正の原因も同じで、読み取りの誤りが多いのか、会場で聞き漏らした情報が多いのかで、端末を入れて減るものかどうかが分かれます。
記録には特別な仕組みは要らず、表計算ソフトに1行1注文で付けていけば足ります。

測る作業で担当者の負担を増やしすぎないことも大切です。
すべての注文で細かく記録するのが難しければ、一部の日や一部の担当分に絞っても、原因の傾向をつかむには役立ちます。
ただし範囲を絞った場合は、次回も同じ範囲で測らないと比べられません。

試行の進め方

測った結果をもとに、打ち手を小さく試します。
入力・照合・問い合わせ・伝え直しのうち時間を取っている工程に合わせて、注文票の見直し、フォームの用意、システムの試用のいずれかを選び、同じ種類の展示会で、一部の商品や一部の担当者に限って試します。
試した後は最初と同じ項目で測り、残った作業を見て、範囲を広げるか別の打ち手に切り替えるかを決めます。
この判断は1回で終わらず、次の展示会の測定へつながっていきます。

比べるときは条件をそろえることが重要です。
来場者の多い大型の展示会と、得意先が中心の小さな展示会では、注文の件数も内容も違います。
総時間で比べると件数の違いがそのまま出てしまうため、1件あたり、または明細1行あたりの時間に直し、同じ種類の展示会どうしで見比べます。
試行で減ったように見えても、担当者が作業に慣れて速くなっただけということもあるため、どの工程の時間が減ったのかまで確かめると判断を誤りにくくなります。

システムを試用するときは、デモ用のデータではなく、前回の展示会で実際に受けた注文を数件使い、自社の販売管理へ取り込むところまで通してみることをお勧めします。
会場での入力画面がどれだけ使いやすくても、取り込みの段階で項目が合わず手で直すことになれば、営業事務の担当者の作業は減りません。
試用の段階で、取り込みのたびに誰が何を直したかを記録しておけば、本番で残る作業を見積もる材料になります。

展示会ごとに測って試し、次の展示会で測り直す流れ(模式図)
現状の測定、打ち手の選択、小規模な試行、同じ項目での比較、範囲の判断の5段階が、次の展示会の測定へ戻って繰り返されることを示した図
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 現状を測る(入力・照合・問い合わせ・伝え直しの時間と訂正の原因)
  2. 時間を取っている工程に合わせて打ち手を選ぶ
  3. 一部の商品や担当者に限って試す
  4. 同じ項目で測り、1件あたりの時間と訂正件数を比べる
  5. 残った作業を見て、広げるか切り替えるかを決める

費用負担を補助金で抑えられる場合の条件

補助額と補助率

試行で効果が見込め、導入を決める段階になると、費用をどう負担するかが次の判断になります。
中小企業庁のデジタル化・AI導入補助金(2026年度から旧IT導入補助金の名称が変わったもの)の通常枠は、ソフトウェアなどの導入にかかる費用の一部を補助する制度です。

通常枠の補助率は1/2以内で、最低賃金に関わる従業員の割合などの条件を示した場合は2/3以内になります2。
補助額はツールが対応する業務プロセスの数で区分され、1プロセス以上なら5万円以上150万円未満、4プロセス以上なら150万円以上450万円以下です2。
補助額には下限があるため、ごく小さな費用の導入は対象額に届かないことがあります。
自社の受注システムがどの区分に当たるかは、対応する業務の範囲によって変わります。

対象経費

対象になる経費は、ソフトウェアの購入費、クラウドの利用料(最大2年分)に加え、導入のコンサルティングや研修、保守サポートといった役務も含まれます2。
受注システムの導入では、項目の設定、販売管理との取り込みの調整、会場で入力する担当者への説明などに手間がかかります。
導入時の役務が経費の区分に入っていることは、ソフトウェアの価格だけで比べないための手がかりになります。
ただし、どの作業が役務として認められるかは、申請する内容と公募要領によります。

補助の対象になることと、導入の効果は別の話です。
補助で負担が軽くなっても、会場の記録が販売管理まで渡らなければ、打ち直しは残ります。
前の節で測った転記の時間と訂正件数をもとに、何を減らすための導入かを先に決めておくと、申請の内容と導入後の使い方がずれにくくなります。

申請前に確認すること

補助の対象は、制度上のITツールとして扱われるものに限られます。
検討中の受注システムが対象に入っているかは製品ごとに異なるため、販売元と公式の情報で確かめる必要があります。
また、汎用的なプロセスだけに対応するツールは申請できないとされています2。
受注処理や販売管理のどの業務に対応するツールとして扱われるかで、補助額の区分も変わりえます。

通常枠のページには、申請できる事業者の要件や申請の手順までは記載されていません。
公募の締切や回ごとの変更もあるため、申請を考える場合は、その時点の公募要領で要件と日程を確かめます。
販売元に問い合わせるときは、補助の対象かどうかと、対象になる場合にどのプロセスの区分で扱われるかを、あわせて聞いておくと比較がしやすくなります。

会場入力で打ち直しが減るかは、自社の販売管理の取り込み形式や商品マスタの状態によって決まり、製品情報だけでは判断しにくいため

現在の注文票と販売管理の項目を照らし合わせ、会場入力と運用の整備のどちらから手を付けると転記が減りそうかを整理できます無料相談で要件を整理する

受注システムの販売元に確かめる項目

会場での入力から販売管理への取り込み、費用の順に、受注データの流れに沿って並べた

  • 通信がない会場で入力した記録を、いつ・どの手順で登録するか
  • 品番や単価を選択式にでき、販売管理の商品マスタと同じ内容にそろえられるか
  • 新規の来場者を、顧客登録の前でも受注として記録できるか
  • 受注データを販売管理へ渡す形式(自動の接続か、ファイルの書き出しか)と、渡せる項目
  • 渡した後に手で直す必要がある項目は何か
  • 利用料のほかに、項目の設定や取り込みの調整にかかる費用と手間

販売管理へ渡す手段が確かめられない場合は、注文票やフォームの整備から試す

要点の整理

軸 基準
転記が起きる工程 会場での記録・会場後の再入力・後工程への引き渡しのどこで時間と誤りが出ているか
会場入力で減るもの 手書きの読み取りと、選択式にできる項目の略記
会場入力で残るもの 販売管理へ渡す手段がない場合の打ち直し、在庫・単価・納期の確定
手段の比べ方 会場での入力方法、後工程へ渡す方法、追加の費用・設定
導入前の測定 1件あたりの時間と訂正件数を、同じ種類の展示会で比べる
補助金 2026年度通常枠の補助率・補助額・対象経費と、公募要領での要件確認
40代前半の日本人男性がホワイトボードでの説明をしている場面

1回の展示会分を測っても、どの工程の時間をどの打ち手で減らすかの読み取りは、社内だけでは迷いやすいため 測った転記時間と訂正の原因をもとに、試す範囲と比べ方、販売元に確かめる項目を一緒に整理できます

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よくある質問

展示会の受注は、Excelやフォームの整備だけでも転記を減らせますか。

減らせる部分はあります。
注文票やフォームの項目を販売管理の入力順に合わせ、品番を選択式にすると、会場後の読み取りと照合の一部が減ります。
打ち直しそのものを減らせるのは、販売管理側にファイル取り込みの機能があり、形式を合わせられる場合です。
取り込みの機能がなければ打ち直しは残るため、整備の前後で入力時間と訂正件数を測り、残った分をシステムで減らすかを判断します。

会場に通信環境がなくても、タブレットで入力できますか。

製品によります。
KITの展示会支援システムは、タブレットをスタンドアロンでもネットワーク接続でも使え、スタンドアロンの場合は必要に応じてデータベースへ登録できると記載されています1。
ほかの製品やフォームには通信を前提にしたものもあるため、通信がない場面での記録と、後からの登録の手順を確かめてください。
後でまとめて登録する場合は、登録漏れや二重登録の確認が残ります。

既存の販売管理に取り込むとき、先に整えておくデータは何ですか。

まず、出展する商品の品番・品名・単位・単価を、販売管理の登録内容とそろえます。
展示会特価をどの項目で扱うかも決めておきます。
次に、新規の来場者を顧客としてどう登録するか、取り込みに使う項目の並びと形式、納期や届け先の書き方をそろえておくと、取り込み後の手直しが減ります。

導入前に測る転記時間は、何回分の展示会で見ればよいですか。

決まった回数の基準はありません。
まず1回分を測り、入力・照合・問い合わせ・伝え直しのどこに時間がかかっているか、訂正の原因は何かをつかみます。
打ち手を試した後の比較は、同じ種類の展示会どうしで、1件あたりの時間に直して行います。
種類の違う展示会に出展している場合は、種類ごとに分けて見ると判断を誤りにくくなります。

補助金を使うには、受注システムが事前登録されている必要がありますか。

デジタル化・AI導入補助金の通常枠は、制度上のITツールとして扱われるものが対象で、汎用的なプロセスだけに対応するツールは申請できないとされています2。
検討中の受注システムが対象かどうかは製品ごとに異なるため、販売元と公式の情報で確かめてください。
通常枠のページには申請要件が記載されていないため、登録の要否を含め、その時点の公募要領で確認します。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:株式会社KIT(イプロス掲載)「展示会支援システム 製品掲載ページ」(2026)
  2. 2 出典:中小企業庁/IT導入補助金事務局「デジタル化・AI導入補助金 通常枠」(2026)

画像の出典元

  1. Two colleagues in a meeting room discussing financial charts and graphs on a laptop and paper./Photo by Yan Krukau on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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