◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 「口座開設」は取引先登録・アカウント開設・支払口座の登録のどれを指すかが相手によって違うため、誰が誰を登録するのかを最初に聞いて切り分ける。
- 社内の確認と取引基本契約を済ませてから取引先マスタに登録する順にすると、条件が決まる前に発注できる状態になることを防ぎやすくなる。
- 取適法の対象かは事業者の規模と取引の内容で決まり、口座開設が済んでも条文上の義務を確かめる必要は別に残る。
- 取引先の登録番号は国税庁の公表サイトでTを除く13桁で検索し、会社名と突き合わせて確認日を記録しておく。
- 管理者アカウントや通知先、データの保存先を担当者個人に結び付けず、発注を入力するIDは一人ずつ分けておく。
目次

Web受発注システムで「口座開設」と言われて止まったとき、最初に確かめること
Web受発注システムで調達を始めようとしたところ、取引先から「口座開設をお願いします」と連絡が来ることがあります。
ただ、それが取引先として登録する話なのか、ログイン用のアカウントの話なのか、代金をやり取りする銀行口座の話なのかが分からず、返信できずに止まってしまいます。
この言葉は決まった定義で使われているわけではなく、システムや取引先によって指す中身が違います。
まず相手に「誰の、何のための登録か」を聞いて切り分ければ、自社が渡すもの、受け取るもの、承認を得る相手が見えてきます。
そのうえで、取引条件の決め方、取引先の登録番号の確認、最初の発注前の設定と記録を、開設の前後で順に整えていきます。
取引先登録・アカウント開設・支払口座の三つの違い
Web受発注システムの調達で使われる「口座開設」は、決まった定義のある言葉として使われているわけではありません。
ある取引先は、自社の販売システムに得意先として登録することを口座開設と呼びます。
別の会社は、ログイン用のアカウントを発行することをそう呼びます。
社内の経理部門に話を回すと、今度は代金を振り込む銀行口座の登録だと受け取られることもあります。
言葉の意味を一般論で決めてから動くより、目の前の依頼がどれに当たるかを見分けるほうが、結局は早く進みます。
見分ける手掛かりとして、ここでは三つに分けて考えます。
これは公式な分類ではなく、依頼の中身を整理するための見方です。
- 取引先登録:取引する相手を取引先マスタ(取引先の基本情報をまとめた台帳)に登録し、取引条件と結び付けること。
誰が誰を登録するのかが要点です。 - アカウント開設:システムの画面にログインして操作する人のIDを発行すること。
会社ではなく、操作する人の単位で考えます。 - 支払口座の登録:代金を振り込む、または引き落とす銀行口座を登録すること。
経理部門の処理に直結します。
迷いやすいのは、この三つが一枚の申込書やひとつの登録画面にまとめて並んでいる場合があるからです。
たとえば取引先から届いた申込フォームに、会社名と所在地、担当者のメールアドレス、振込先の銀行名が同じ画面で並んでいれば、三つの登録を一度に求められていることになります。
反対に、ログインIDの通知だけが届いた場合は、取引先としての登録は相手側で既に済んでいて、残っているのはアカウントの受け取りと初回の設定だけ、ということもあります。
どれが含まれているかで、社内で回す相手が変わります。
取引先登録なら取引条件を決める購買の責任者、アカウントなら実際に操作する担当者とその管理者、支払口座なら経理部門が主に関わります。
支払口座の登録は、立場によって向きも変わります。
自社が取引先を登録する側なら、登録するのは代金の振込先である取引先の口座です。
取引先のシステムに参加する側なら、相手が求めるのは自社の支払い方法に関する情報で、口座振替などを使う場合には自社の口座の情報を求められることもあります。
どちら向きの口座の話かが分からないまま経理に回すと、経理部門は何の手続きなのかを確かめるところからやり直すことになります。
相手に聞くべき三つの質問
依頼の中身が書類から読み取れないときは、推測で埋めずに相手へ聞くのが確実です。
聞くことは次の三つに絞れます。
- 誰が、どのシステムで、誰を登録するのか。
- 何を提出し、それが何に使われるのか。
- 誰の承認で、使える状態になるのか。
一つ目の質問で、自社の立場が決まります。
自社が導入したシステムに取引先を登録してほしいという話なのか、取引先が運用するシステムに自社を得意先として登録したいという話なのかで、準備の主体が逆になるからです。
前者なら登録作業をするのは自社の購買担当者で、後者なら自社は情報を提出する側に回ります。
二つ目の質問は、提出物の行き先を確かめるためのものです。
会社情報は取引先マスタへ、担当者のメールアドレスはログインIDや通知先へ、銀行口座は支払処理へと、同じ申込書の項目でも使われる先が違います。
行き先が分かれば、どの項目を誰に確認してから書けばよいかが決まり、分からない項目を空欄のまま抱えて止まる時間が減ります。
三つ目の質問は、いつ発注できるようになるかを知るためのものです。
相手側で審査があるのか、自社側で取引先登録の決裁が要るのか、システムの管理者が有効化の操作をするのかによって、申し込んでから使えるまでの段取りが変わります。
承認者が分からないまま登録を進めると、申込みは済んだのに誰も有効化していない状態で止まりやすくなります。
取引先への問い合わせは、たとえば「今回の口座開設は、御社のシステムに当社を得意先として登録する手続きでしょうか。提出する項目と、登録が有効になるまでの承認の流れを教えてください」のように、三つの質問を一通にまとめると返答も一度で揃います。
| 登録の種類 | 何を登録するか | 主に関わる人 | やり取りするもの |
|---|---|---|---|
| 取引先登録 | 取引する相手と取引条件 | 購買の責任者 | 会社情報・取引条件 |
| アカウント開設 | 画面を操作する人のID | 操作する担当者と管理者 | 担当者名・連絡先・権限 |
| 支払口座の登録 | 代金をやり取りする銀行口座 | 経理部門 | 振込先や引落口座の情報 |
▼ 図の内容を文字で読む
- 誰が、どのシステムで、誰を登録するのか(自社の立場が決まる)
- 何を提出し、それが何に使われるのか(社内の確認先が決まる)
- 誰の承認で、使える状態になるのか(発注できる時期が分かる)
発注者として登録する場合と、取引先に求められて参加する場合で変わること
発注者として取引先を登録する場合
自社がWeb受発注システムを導入し、そこから取引先に発注する場合、口座開設は主に自社が取引先を登録する作業を指します。
購買担当者は、取引先から会社情報や担当者の連絡先、振込先の口座などを受け取り、取引先マスタに登録します。
取引先側の担当者にもログインして注文を受けてもらう必要があるなら、そのアカウントの発行も自社側から案内する流れになります。
この立場で漏れやすいのは、登録した時点で発注できる状態になってしまうことです。
システムによっては、取引先マスタに登録すれば発注画面で選べるようになるため、取引条件の合意や社内の承認より先に登録が済むと、条件が固まる前の発注が出せてしまいます。
登録を入力する人と、登録を承認する人を分けておくと、この順番の逆転に気付く機会が一つ増えます。
発注者として取引先に仕事を委託する場合は、取適法(旧下請法)の対象になるかも、この段階で見ておく必要があります。
取適法の対象となる取引は、事業者の資本金規模または従業員基準と、取引の内容によって定められています1。
同じ取引先でも、何を頼む取引かによって扱いが変わり得るため、取引先の会社単位ではなく、取引の内容ごとに当てはまるかを見ることになります。
具体的な基準の値は、公正取引委員会の概要ページと条文で確かめてください。
なお、システムに取引先を登録したかどうかで、法律の対象になるかどうかが変わるわけではありません。
口座開設は取引を始めるための準備の作業で、対象かどうかは、事業者の規模と、何をどの相手に委託するかで決まります。
取引先から参加を求められた場合
反対に、仕入先が運用する受注システムに、自社を得意先として登録するよう求められることもあります。
この場合も自社は発注する側ですが、口座開設の手続きでは情報を提出する側に回ります。
仕入先の申込フォームに自社の会社情報、発注を担当する人の連絡先、支払い方法に関する情報などを入力し、相手の確認を経てアカウントが発行される、という形が考えられます。
何を求められるかは仕入先とシステムによって違うため、前の節で挙げた三つの質問がそのまま役に立ちます。
この立場で迷うのは、誰の名前で申し込むかと、利用規約に誰が同意するかです。
担当者が自分の判断で申込フォームを送ると、取引の開始や規約への同意を、社内で決められた権限を持たない人が行った形になることがあります。
取引開始の決裁が要るかどうかは社内の規程で決まっているはずなので、申込みの前にそこを確かめておけば、後から手続きをやり直さずに済みます。
また、相手のシステムで発注した記録は、相手側のシステムの中に残ります。
自社の購買記録として何を手元に持っておくのか、注文確定の通知メールなのか、画面から出力するデータなのかを参加する時点で決めておくと、後で探す手間が減ります。
記録の残し方は、最後の節でまとめて扱います。
取引先のシステムに参加する場合でも、自社が仕入先に何かを委託する取引であれば、取適法の対象になるかの考え方は同じです。
対象かどうかは、システムを運用しているのがどちらかではなく、事業者の規模と取引の内容で決まります1。
| 項目 | 自社が取引先を登録する | 取引先のシステムに参加する |
|---|---|---|
| 登録の作業をする人 | 自社の購買担当者 | 取引先の担当者 |
| 自社が受け取るもの | 取引先の会社情報・連絡先・振込先 | 自社用のアカウント |
| 自社が渡すもの | 取引先用アカウントの案内 | 自社の会社情報・担当者の連絡先 |
| 社内で確かめること | 登録の承認者と取引条件 | 申込みの決裁と規約への同意権限 |
| 発注の記録が残る場所 | 自社のシステム | 取引先のシステム |
▼ 図の内容を文字で読む
- 自社が取引先を登録する
- 登録した時点で発注できる状態になることがある
- 登録を入力する人と承認する人を分ける
- 取引先のシステムに参加する
- 申込みの前に取引開始の決裁が要るか確かめる
- 規約への同意は権限のある人が行う
- 手元に残す購買記録を参加の時点で決める
- どちらの立場でも
- 取適法の対象かは、事業者の規模と取引の内容で決まる
口座開設の前に決めておく取引条件と、発注時に示す内容
与信確認と取引基本契約の順序
取引先を登録する前に、どんな条件で取引するかを決めておく必要があります。
ここで決めることは、相手と取引してよいかの確認、取引全体に共通する条件の取り決め、その条件をシステムの取引先情報に反映することの三つです。
進め方として、次の順番を提案します。
法律で決められた手順ではなく、登録してから条件を詰めるという逆転を防ぐための並べ方です。
- 取引先から会社情報を受け取る
- 社内の規程に沿って、与信(取引先の信用状態の確認)や、反社会的勢力に当たらないかの確認を行う
- 支払条件や納品・検収の方法など、取引全体に共通する条件を取引基本契約として取り決める
- 決まった条件を取引先マスタに登録し、承認を得る
- 最初の発注を出す
この順番にしておく理由は、システム上の登録が、取引してよいという社内の判断を表す形になるからです。
確認や契約が済む前に取引先マスタへ登録すると、画面上は発注できる相手として表示されるため、事情を知らない別の担当者が発注してしまうことがあります。
確認が済んでから登録する順にすれば、画面に出ている取引先は確認済みの相手だと、見る人が判断できます。
与信や反社会的勢力の確認をどこまで行うかは会社の規程によって違い、取引の規模に応じて手順を変えている会社もあります。
購買担当者が一人で決める事柄ではないため、規程を持っている部署と、誰の承認で確認済みとするのかが分かっていれば、登録の順番は組み立てられます。
取引先のシステムに参加する場合は、この関係が逆になります。
仕入先が自社の信用を確認する側に回り、自社は申込みのときに求められた情報を出す立場です。
一方で、相手が示す支払条件や利用規約が、自社の支払いの仕組みや社内規程と合っているかは、自社で見ておく必要があります。
相手の規約の支払条件が自社の締め日や支払日と合わないまま参加すると、発注のたびに経理部門で個別の対応が生まれます。
発注のたびに示す事項
取引基本契約を結んで取引先を登録しても、それで発注ごとの確認がいらなくなるわけではありません。
取適法の対象となる取引では、委託する側である委託事業者の義務が第3条、第4条、第6条、第7条に、禁止事項が第5条に定められています1。
口座開設が済んだことと、これらの義務を満たしていることは別の話です。
どの事項を、どの方法で、いつまでに示す必要があるのか、支払期日をどう決めるのかといった義務の中身は、条文と公正取引委員会の説明で確かめてください。
紹介記事などで要約された内容を見かけることもありますが、自社の発注の仕組みに反映させる前に、原典で確認したほうが安全です。
そのうえで、システムの側で準備しておけることがあります。
一つは、発注データだけを見て、何をいくつ、いつまでに、いくらで頼んだのかが後から分かるようにしておくことです。
品目、数量、単価、納期、支払条件のうち、発注画面で入力できない項目があると、その項目は電話やメールで別に伝えることになり、発注の記録と実際に伝えた内容が分かれて残ります。
これは法律が求める事項の一覧ではなく、発注の記録として後から読み返すための目安です。
取引条件を決めた時点で発注画面の入力項目と見比べておくと、どの情報を別の手段で補っているかが分かります。
もう一つは、基本契約で決めた条件と、発注のたびに入力する条件の関係を決めておくことです。
システムが取引先ごとに支払条件などを持たせる設定に対応している場合、マスタに持たせて発注時に表示させるのか、発注ごとに入力するのかで、取引条件を変えたときに直す場所が変わります。
マスタに持たせれば発注のたびの入力は減りますが、条件を変えたのにマスタを直し忘れると、以後の発注すべてに古い条件が載ります。
条件を変えるときに誰がマスタを直すのかまで決めておけば、この食い違いが起きる場所を一か所に絞れます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先から会社情報を受け取る
- 与信や反社会的勢力の確認
- 取引基本契約で共通条件を決める
- 取引先マスタに登録し承認を得る
- 最初の発注を出す
▼ 図の内容を文字で読む
- マスタに持たせる
- 発注のたびの入力は減る
- 条件を変えたのにマスタを直し忘れると、以後の発注すべてに古い条件が載る
- 発注ごとに入力する
- 条件を変えたときに直す場所が、マスタの場合と変わる
- どちらでも決めておくこと
- 条件を変えるとき誰がマスタを直すのか
取引先の適格請求書発行事業者の登録番号を確認する
国税庁の公表サイトでの検索方法
取引先を登録するときに、あわせて確かめておきたいのが、取引先が適格請求書発行事業者(インボイス制度で、適格請求書を発行する事業者として登録された事業者)かどうかと、その登録番号です。
請求書を受け取ったあとで経理部門が取引先の登録状況を調べ直すことになると、購買担当者に問い合わせが戻ってきます。
口座開設の段階で番号を受け取り、確認した結果を取引先情報と一緒に残しておけば、経理部門は最初から調べ直すのではなく、その記録を見るところから始められます。
番号の確認には、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトを使います。
このサイトでは、登録番号のうち先頭のTを除いた13桁の半角数字を入力して検索でき、一度に最大10件まで検索できます2。
取引先から受け取る番号はTから始まる形で書かれていることがあるため、入力するときはTを外して数字だけにします。
- 取引先から登録番号を受け取る(申込書や取引先情報の提出物に記入してもらう)
- 公表サイトで、先頭のTを除いた13桁の半角数字を入力して検索する
- 表示された内容と、取引先から受け取った会社名などの情報を突き合わせる
- 確認した日と、確認した担当者を取引先情報に記録する
検索結果を、取引先マスタに登録しようとしている会社名などと突き合わせるのは、番号の書き間違いや、別の会社の番号を受け取ってしまった場合に気付くためです。
表示された名称が申込書の社名と一致しないときは、そのまま登録を進めず、取引先に番号を確かめ直します。
公表サイトでどの項目が表示されるかは、実際に検索した画面で確かめてください。
まとめて検索できることは、複数の取引先を一度に登録する場面で役に立ちます。
たとえば紙やメールで発注していた取引先を一斉にWeb受発注システムへ移すとき、一件ずつ調べるより、番号をまとめて入力したほうが確認の作業を一度に終えられます。
ただし一度に検索できる件数には上限があるため、取引先が多い場合は何回かに分けて検索することになります。
確認した日を残しておくのは、その結果が確認した時点の状態を示すものだからです。
取引が続く間に、取引先の登録の状況をどの時点で見直すのかを経理部門と決めておくと、その確認を購買と経理のどちらが受け持つのかがはっきりします。
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先から登録番号を受け取る
- Tを除いた13桁の半角数字で検索する
- 表示内容と会社名を突き合わせる
- 確認日と確認者を取引先情報に記録する
開設後、最初の発注を出す前の確認と記録の残し方
ID・権限・承認者の確認
取引先の登録が承認され、アカウントが発行されたら、最初の発注を出す前に、誰がどのIDで何をできるのかを見ておきます。
この段階で見落としやすいのは、アカウントを特定の担当者個人に結び付けてしまうことです。
たとえば、口座開設の手続きをした購買担当者が、自分のメールアドレスで管理者のアカウントを作り、通知もすべて自分に届くように設定したとします。
その担当者が異動や休暇で不在になると、取引先からの受注確認や納期回答の通知を誰も見ていない、パスワードを再設定しようにも案内が届くのは不在の担当者だけ、という状態が起こり得ます。
反対に、部署で一つのIDを共有すると、不在の問題は避けられても、どの発注を誰が入力したのかがシステムの記録から分からなくなります。
そこで、役割ごとに分けて考える方法を提案します。
管理者のアカウントや通知の届け先は、部署の共通のメールアドレスなど、担当者が替わっても引き継げる宛先に結び付けます。
発注を入力する人のIDは一人ずつ発行し、操作の記録が人ごとに残るようにします。
システムがこうした使い分けに対応しているかどうかは、提供元の案内や管理画面で確かめる必要があります。
権限については、発注を入力する人と、発注を承認する人を分けられるかを見ます。
一人が入力から承認まで操作できる設定のままだと、入力の誤りに気付く人がいないまま発注が取引先へ届きます。
承認の設定を入れれば、承認者が発注内容を見る段階が一つ増え、数量や納期の入力誤りを取引先に届く前に見つける機会ができます。
承認者については、システム上の設定と社内の決裁ルールが合っているかも見ておきます。
社内では金額や品目によって決裁者が変わるのに、システムでは一人の承認者しか設定していないと、社内の決裁を別に回すことになり、承認の記録が二か所に分かれます。
最初の発注は、取引先の担当者と一緒に、発注した内容が相手の画面でどう見えているかを突き合わせる機会にもなります。
単価や納期の表示が自社の画面と食い違っていれば、取引先マスタやアカウントの設定を、本格的な運用に入る前に直せます。
電子取引データの保存
Web受発注システムで注文書や注文請書、請求書などをやり取りすると、それらを紙ではなく電子データで受け取ることになります。
電子データでやり取りした取引情報の保存については電子帳簿保存法に定めがあり、保存の方法などの要件は国税庁の資料で確かめる必要があります。
自社に当てはめたときの判断は、経理部門や顧問の税理士と相談して決めることになります。
購買担当者の立場で先に決めておけるのは、要件に合わせて保存する前提となる、データがどこにあって誰が扱うのかです。
自社が導入したシステムなら、発注や受領のデータがシステム内にどれだけの間残るのか、契約終了のときにデータを取り出せるのかを、提供元の案内で確かめておきます。
取引先のシステムに参加している場合は、データは相手側のシステムの中にあるため、自社の手元に残すものを、誰がいつ取り出すのかを決めておきます。
取り出したデータの置き場所も、担当者個人に結び付けないことが大切です。
注文確定のメールが担当者個人のメールボックスにしか残っていないと、前の項で触れたIDの問題と同じく、担当者が替わったときに記録をたどれなくなります。
部署で共有する保存先を決め、ファイル名や取引先ごとのまとめ方をそろえておけば、経理部門が後から探すときにも、購買担当者に一件ずつ聞かずに済みます。
口座開設のときに確かめた取引先の登録番号の記録や、承認者の設定の記録も同じ保存先に置いておくと、取引先ごとに、いつ誰が何を確かめて取引を始めたのかを一か所でたどれるようになります。
▼ 図の内容を文字で読む
- 管理者と通知先
- 部署の共通の宛先など、担当者が替わっても引き継げる宛先に結び付ける
- 発注を入力する人
- IDは一人ずつ発行し、操作の記録が人ごとに残るようにする
- 発注を承認する人
- 入力する人と承認する人を分ける
- 社内の決裁ルールとシステムの承認者を合わせる
取引先から届いた口座開設の案内が、取引先登録・アカウント・支払口座のどれを含むのかは、案内の文面と登録画面を見比べないと判断しにくいことがあります。
相談では、届いた案内の項目ごとに、どの登録に当たり、社内で誰の確認が要るのかを整理する手掛かりを確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 「口座開設」の意味 | 誰が、どのシステムで、誰を登録するかを相手に聞いて切り分ける |
| 自社の立場 | 取引先を登録する側か、取引先のシステムに参加する側かで、渡すものと受け取るものが逆になる |
| 登録の順番 | 社内の確認と取引基本契約を済ませてから取引先マスタに登録する(提案) |
| 取適法 | 資本金規模または従業員基準と取引の内容で対象かが決まる。義務は第3・4・6・7条、禁止事項は第5条 |
| 登録番号 | 公表サイトでTを除く13桁で検索し、会社名と突き合わせて確認日を残す |
| IDと記録 | 管理者・通知先は引き継げる宛先に、発注IDは一人ずつ、データの保存先は部署で共有する |
IDの結び付け方や承認の設定、データの保存先は、利用するシステムの機能と社内の決裁ルールの両方に関わるため、購買担当者だけでは決めきれないことがあります。 相談では、自社の運用に合わせて、最初の発注までに設定しておく項目と、その確認を誰が受け持つかを洗い出せます。
よくある質問
取引先から「口座開設をお願いします」と言われたとき、最初に何を聞けばよいですか。
誰が、どのシステムで、誰を登録するのかを最初に聞きます。
この答えで、自社が取引先を登録する側なのか、取引先のシステムに得意先として登録される側なのかが分かり、準備するものの向きが決まります。
あわせて、提出する項目とその使い道、登録が有効になるまでの承認の流れを一通の問い合わせにまとめて聞くと、返答が一度で揃います。
取引先の適格請求書の登録番号は、どこで確認できますか。
国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで確認できます。
登録番号の先頭のTを除いた13桁の半角数字を入力して検索でき、一度に最大10件まで検索できます2。
検索結果は取引先から受け取った会社名などと突き合わせ、確認した日とあわせて取引先情報に残しておきます。
アカウントを担当者個人に紐づけると、どんな問題が起こりえますか。
担当者が異動や休暇で不在になったときに、通知を誰も受け取れない、パスワードの再設定ができないといった形で、発注や受注確認が止まるおそれがあります。
管理者アカウントや通知先は部署で引き継げる宛先に結び付け、発注を入力するIDは一人ずつ発行して操作の記録が人ごとに残るように分けると、引き継ぎと記録の両方を保ちやすくなります。
自社が取適法の対象になるかは、何で決まりますか。
事業者の資本金規模または従業員基準と、取引の内容によって決まります1。
同じ取引先でも、何を委託するかによって扱いが変わり得るため、取引の内容ごとに見ます。
基準の具体的な値は、公正取引委員会の概要ページと条文で確かめてください。
Web受発注システムで口座開設をしたかどうかで、対象になるかが変わるわけではありません。
電子取引で受け取ったデータは、どのように保存する必要がありますか。
電子データでやり取りした取引情報の保存については電子帳簿保存法に定めがあり、具体的な要件は国税庁の資料で確かめる必要があります。
購買の側では、データがシステム内にどれだけ残るか、契約終了時に取り出せるか、誰がどこへ保存するかを決めておくと、要件に合わせた保存の準備を進めやすくなります。
取引先のシステムで発注した場合は、データが相手側にある点にも注意が要ります。
画像の出典元
- Focused individual writing notes in a notebook with a laptop nearby./Photo by Polina Tankilevitch on Pexels