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Web受発注システムの差別化は何で見る?取引先の使いやすさと連携から判断する

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • Web受発注の違いは機能の数ではなく、取引先が使い続けられるか、既存システムとつながるか、自社の注文条件を扱えるかで見る
  • 共通EDIの報道が示すように、取引先が導入しなければ運用できないため、取引先側の負担とFAXとの並行期間の扱いを先に確かめる
  • 連携は方式の名前より、誰のシステムを変えるのか、データが渡った後に何の確認が残るのかで判断する
  • 掛率や納期の条件は、データがあることと画面で扱えることを分け、実際の注文書で再現を試す
  • 効果は外部の削減率ではなく、Web利用割合・転記時間・確認の問い合わせ件数を自社で導入前後に記録して確かめる

Close-up of office workers engaged in a tech project at a modern workplace.
▽ 写真の出典元

電話・FAXの注文処理が重いとき、Web受発注のどこを見て違いを判断するか

電話やFAXで届いた注文を、担当者が受注台帳や基幹システムへ打ち直します。
読みにくい数量や納期があれば、取引先へ電話で確かめます。
その手間を減らそうとWeb受発注システムを調べても、似た機能名が並んでいて違いが見えにくくなります。
差別化を見分ける手がかりは、機能の数ではありません。
取引先が使い続けられるか、既存システムとつなげるか、自社の注文条件を扱えるかの3点です。
共通EDIをめぐる報道では、取引先が導入しなければ運用できないという課題が指摘されています1。
なかでも、取引先が参加できるかどうかが判断の前提になります。

転記・確認に時間がかかる場面

たとえば、朝のうちに届いたFAXの注文書を、担当者が一枚ずつ読み取って受注台帳や販売管理システムへ入力しているとします。
品番、数量、希望納期、納品先を拾っていき、手書きの数字が判別しにくければ取引先へ電話をかけて確かめます。
電話で受けた注文はメモから入力します。
メールで届いた注文は添付の注文書を開き、同じ項目を同じ画面へ打ち直します。

このとき時間を取られているのは、入力の操作そのものより、その前後の作業です。
担当者は、紙や音声の注文を読み取り、自社の品番や取引先コードに置き換え、入力後に元の注文書と見比べます。
後から訂正のFAXが届けば、どの注文を直すのかを台帳から探すところからやり直しになります。
注文の受け方が電話・FAX・メールの三種類あれば、それぞれの入口で同じ確認が繰り返されます。

Web受発注システムは、取引先が画面から注文を入力し、受注側がその内容をデータとして受け取る仕組みです。
取引先が自分で入力するので、受注側の担当者が注文書を読み取って打ち直す作業は減ります。
ただし、それだけで受注処理が軽くなるとは限りません。
取引先が画面を使わなければ、FAXは届き続けます。
受け取ったデータを販売管理システムへ移す作業が残れば、転記する元が紙から画面に変わるだけです。
取引先ごとの単価や納期の判断を画面が扱えなければ、担当者が一件ずつ確かめる作業も残ります。

見る3つの軸

製品の紹介ページには、受注一覧、出荷状況の表示、取引先ごとの設定といった機能名が並びます。
項目名が似ていると、どの製品も同じように見えてしまいます。
機能の数が多いことは、それだけでは自社に合う理由になりません。
自社の注文で使わない機能が多ければ、取引先の担当者が画面で迷う原因にもなりえます。
違いを見分けるには、機能があるかどうかを数えるより、前の段落で残ると書いた三つの作業がどこまで減るかを問うほうが判断に結びつきます。

  • 取引先が使い続けられるか:注文を送る取引先の担当者が、電話やFAXより手間なく注文できるか
  • 既存システムとつながるか:受け取った注文を、販売管理や基幹システムへ打ち直さずに渡せるか
  • 自社の注文条件を扱えるか:取引先別の単価、納期、在庫の条件を、担当者の確認なしで画面に反映できるか

この並びには順番の意味もあります。
二つ目と三つ目がどれほど優れていても、取引先が注文を入力しなければ、データは一件も届きません。
そのため、まず取引先が参加できるかを確かめ、そのうえで連携と注文条件の扱いを見ていきます。

取引先が導入しなければ使えない:差別化の前提になる条件

取引先の参加が前提になる

取引先の参加がなぜ前提になるのかは、国の取り組みをめぐる報道からも読み取れます。
日刊工業新聞の2021年の報道は、中小企業の受発注を電子化するための共通EDI(EDIは企業間で注文などのデータを電子的にやり取りする仕組み)について、取引先が共通EDIを導入しなければ運用できないという課題を伝えています1。
自社だけが仕組みを整えても、相手が同じ仕組みを使わなければ注文は電子で届かない、ということです。

この指摘は共通EDIについてのもので、民間のWeb受発注製品すべてを調べた結果ではありません。
それでも、取引先が操作して初めて注文がデータとして届くという構造は、受注側が用意するWeb受発注でも変わりません。
受注側にとってのWeb受発注は、自社の設備であると同時に、取引先に使ってもらう道具でもあります。

取引先の立場で考えると、迷いどころが見えてきます。
たとえば取引先の購買担当者が、十社ほどの仕入先に毎週注文を出しているとします。
そのうち一社からWeb受発注への切り替えを頼まれても、残りの仕入先にはこれまでどおりFAXを送ります。
その一社のためだけに、別の画面とIDを覚えることになります。
いつもの定番品を電話一本で頼めていたのに、画面ではログインして品番を探す手順が増えるなら、FAXへ戻りたくなるのは自然です。

そこで、製品を比べる段階で、取引先側の負担を具体的に聞いておきます。

  • 取引先のアカウント発行や初回の設定を、誰が行うのか
  • 取引先に費用や専用の端末、ソフトの準備が必要か
  • 繰り返し頼む定番品を、電話やFAXより少ない手順で注文できるか
  • 操作に迷ったとき、取引先は誰に問い合わせるのか

こうした点は製品ごとに異なり、一般論では決まりません。
実際の取引先に近い条件で画面を試してもらえるかどうかも、提供元に尋ねておきたい点です。

FAX併用の可否は確認項目にする

取引先の参加を前提にするといっても、すべての取引先が同じ日にWebへ切り替わるとは限りません。
切り替えに応じてくれる取引先と、当面はFAXを続けたい取引先が混在する期間を想定しておく必要があります。
その間、受注側には二つの入口から注文が届きます。

入口が二つになると、新しい種類の見落としが起きます。
Web受発注の受注一覧にはWeb経由の注文しか載らず、FAXの注文は従来どおり台帳で管理しているとします。
この場合、一日の受注全体を把握するには二か所を見比べることになります。
取引先が念のためWebで入力したうえでFAXも送ってくれば、同じ注文を二重に受けるおそれもあります。

移行期間の扱いは、製品ごとに確かめる項目です。
FAXで届いた注文を受注側の担当者が同じ画面へ代わりに入力できるか、Webの注文とFAXの注文を一つの一覧で見られるか、取引先ごとにWeb切り替えの状況を把握できるかを尋ねておくと、並行期間の作業が見えてきます。
取引先の切り替えに時間がかかりそうな場合ほど、この期間の扱いが毎日の作業に直接響きます。

取引先の送り方 受注側に届く形 受注側に残る作業
Web画面で注文する 画面で入力された注文データ 基幹システムへの受け渡しと注文条件の確認
FAX・電話を続ける 紙の注文書や通話のメモ 読み取り・転記・取引先への確認
自社の別システムから送りたい 取引先側システムが出力したデータ 形式の違いを合わせる作業と照合
電話・FAX・メールの注文を受けてから入力と確認を終えるまでの流れ
注文の読み取り、品番の置き換えと入力、見比べ、訂正対応の順に進む受注処理の流れ1注文が届く電話・FAX・メール2紙や音声の注文を読み取る3品番や取引先コードに置き換えて入力する4元の注文書と見比べる5訂正が届けば台帳から探して直す

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 注文が届く(電話・FAX・メール)
  2. 紙や音声の注文を読み取る
  3. 品番や取引先コードに置き換えて入力する
  4. 元の注文書と見比べる
  5. 訂正が届けば台帳から探して直す

既存システムを変えずにつなぐ:連携の範囲をどう見極めるか

取引先ごとに異なる受発注システムとの接続

取引先が画面から注文してくれるようになると、次に気になるのは受け取った注文のその先です。
受注データを販売管理や基幹システム(在庫、出荷、請求などを管理する社内の中心的なシステム)へ担当者が打ち直しているなら、FAXを読み取る作業がWebの受注一覧を読み取る作業に置き換わっただけになります。
取引先の中に、自社の発注システムから注文データを送ってくる大口の取引先がいれば、その形式をどう受け取るかという別の問題も加わります。

取引先ごとにシステムが違うという問題については、中小企業庁が開発する「データ連携基盤」を伝えた2021年の報道が参考になります。
報道によると、この基盤は業界やサプライチェーンの系列ごとに異なる電子受発注システムに接続し、入力データを自動変換する構想です1。
取引先を含めて既存システムを変更せずに運用できるとも伝えられています1。

これは報道時点の開発計画の説明です。
現在の提供状況や、個々のWeb受発注製品がこの基盤とつながるかどうかを示すものではありません。
製品選びに生かせるのは、その考え方の部分です。
前の節で見た共通EDIの課題は、取引先に新しい仕組みの導入を求めることでした。
連携基盤の構想は、それぞれが今のシステムを使い続け、間でデータを変換するという方向を示しています。
製品を比べるときも、つなぐために誰のシステムを変えるのかを問うと、取引先の負担と自社の作業の両方が見えてきます。
変えるのが自社なのか、取引先なのか、それとも間で変換するのかによって、お願いする相手と準備の量が変わるからです。

連携方式の確認項目

Web受発注と社内のシステムをつなぐ方法として、製品の説明にはCSVやAPIという言葉が出てくることがあります。
CSVは、注文データを表の形のファイルとして書き出し、別のシステムで読み込む方法です。
APIは、システム同士が決められた手順で直接データをやり取りするための窓口です。
どちらに対応しているか、どの項目を受け渡せるかは製品ごとに異なります。
ここでは、方式の違いが日々の作業のどこに表れるかを考えます。

ファイルで受け渡す場合は、誰が、いつ、どの画面からファイルを書き出して取り込むのかという作業が残ります。
一日に何回取り込むかによって、取引先がWebで入れた注文が基幹システムに反映されるまでの時間も変わります。
システム同士が直接やり取りする場合は、こうした人手の作業は減ります。
その代わり、基幹システムの側が受け入れられる形になっているかが問われます。
どちらが合うかは、受注の件数、基幹システムの作り、社内で設定を担える人がいるかによって分かれます。

方式の名前より大事なのは、データが渡ったあとに担当者が何を確かめるかです。
取引先がWeb画面で選んだ品番が基幹システムの品番と一致しない、新しい取引先のコードが未登録で取り込みに失敗する、といったずれは方式にかかわらず起こりえます。
提供元には次のような点を尋ねると、連携後に残る作業を具体的に見積もれます。

  • 受注データをどの形式で、どの項目まで出せるか
  • 品番や取引先コードを、基幹システムのコードと対応づけて管理できるか
  • 取り込みに失敗した注文に、誰がどうやって気づけるか
  • つなぐために、取引先側のシステムや操作の変更が必要になるか
Web受発注の違いを見分ける三つの軸と問うこと
三つの軸それぞれで確かめる内容を分けた図三つの軸それぞれで確かめる内容を分けた図取引先が使い続けられるか取引先の担当者が電話やFAXより手間なく注文できるか既存システムとつながるか受け取った注文を打ち直さずに基幹システムへ渡せるか自社の注文条件を扱えるか取引先別の単価・納期・在庫の条件を確認なしで画面に反映できるか

▼ 図の内容を文字で読む
  • 取引先が使い続けられるか
    • 取引先の担当者が電話やFAXより手間なく注文できるか
  • 既存システムとつながるか
    • 受け取った注文を打ち直さずに基幹システムへ渡せるか
  • 自社の注文条件を扱えるか
    • 取引先別の単価・納期・在庫の条件を確認なしで画面に反映できるか

導入状況から見る、取引先に負担をかけない進め方

受注側・発注側の導入率

取引先に参加してもらうことの難しさは、電子受発注の普及の度合いからも考えられます。
中小企業庁の「令和3年度取引条件改善状況調査」を引用したオリックス・レンテックの記事によると、電子受発注に2021年までに対応したと回答した受注側の企業は48.5%でした2。
発注側企業の電子受発注システム導入率はそれより低く、全体で40.9%と紹介されています2。

この数字は民間企業の記事による引用で、調査の原典とは照らし合わせられていません。
「対応」や「導入」をどう数えたかも記事からは分からず、2021年度時点の値なので現在の水準を示すものでもありません。
そのうえで言えるのは、当時、注文を送る発注側の企業で電子受発注システムを導入していたのは半数に満たなかったということです。
受注側の自社から見れば、注文を送ってくる取引先の中に、電子で注文を出す仕組みを持たない企業が少なくなかったことになります。

普及の度合いは、国も課題として扱っていました。
先の報道では、データ連携基盤の構築によって電子受発注システムの導入率を、2023年をめどに当時の約2割から約5割へ引き上げる目標が示されています1。
この約2割という値と、上の48.5%や40.9%は、別の資料の別の数え方による数字なので、並べて増減を読むことはできません。
どちらの資料からも、2021年の時点で電子受発注が広く行き渡ってはいなかったことがうかがえる、という範囲で受け止めるのが妥当です。

取引先任せにしない進め方

同じ記事は、電子受発注を導入した主な理由が取引先からの要請だったことから、普及には乗り越えるべき壁があると推察しています2。
壁が具体的に何なのかまでは、記事は示していません。
ただ、自社で選んだからではなく、相手に求められて始める導入が中心だったという指摘は、受注側が自らWeb受発注を用意する場合の進め方を考える手がかりになります。

受注側が導入するWeb受発注では、立場が逆になります。
今度は自社が、注文を送る取引先へ使ってほしいとお願いする側です。
取引先にとっては、使い始める理由がなければ、慣れたFAXを続けるほうが楽です。
二つの資料を合わせて読むと、普及が進む途中でも、取引先の参加が導入の前提であり続けると考えられます。
対象も時点も異なる資料からの読み取りではありますが、製品を選ぶ段階で取引先側の負担と連携方式を先に確かめる理由にはなります。

取引先に負担をかけずに切り替えを進める手順として、たとえば次の流れが考えられます。

  1. 注文の件数が多い取引先と、FAXの読み取りや確認の電話が多い取引先を、受注台帳から洗い出す
  2. その中から数社に普段の注文を画面で試してもらい、手順の多さや迷った点を聞く
  3. 切り替えに応じた取引先から順にWebへ移し、残る取引先とはFAXを並行して受ける
  4. 操作の問い合わせ先と、FAXとWebで二重に送られた場合の扱いを、取引先に伝えておく

一斉に切り替えを求めるより、受注側の手間が大きい取引先から進めるほうが、少ない協力で転記の減り方を確かめやすくなります。
どの取引先から始めるかは、自社の受注台帳を見れば判断できます。

区分 割合 示している内容
受注側企業 48.5% 電子受発注に2021年までに対応と回答した割合
発注側企業 40.9% 電子受発注システムの導入率(全体)
FAXとWebが並ぶ期間に提供元へ尋ねる三つの確認事項
代行入力、一覧の一本化、切り替え状況の把握の三つに分けた確認事項代行入力、一覧の一本化、切り替え状況の把握の三つに分けた確認事項FAXで届いた注文担当者が同じ画面へ代わりに入力できるかWebの注文との一覧Webの注文とFAXの注文を一つの一覧で見られるか取引先ごとの切り替えWeb切り替えの状況を把握できるか

▼ 図の内容を文字で読む
  • FAXで届いた注文
    • 担当者が同じ画面へ代わりに入力できるか
  • Webの注文との一覧
    • Webの注文とFAXの注文を一つの一覧で見られるか
  • 取引先ごとの切り替え
    • Web切り替えの状況を把握できるか

自社の状況別に、重視する違いを選び分ける

取引先が少なく条件が単純な場合

三つの軸はどれも大切ですが、自社の状況によって先に確かめるべきものが変わります。
ここでは、取引先の数、基幹システムの有無、注文条件の複雑さで優先順位を分けて考えます。
公的な資料が示す導入パターンではなく、ここまでの説明から組み立てた考え方です。

取引先が十数社ほどで、単価や納期の条件も取引先によってあまり変わらないなら、先に見るのは取引先の使いやすさです。
取引先の数が少ないと一社ずつ説明に回れる反面、一社が使わないだけでWeb経由の注文の割合が大きく下がります。
条件が単純なら、画面の条件設定で差が出る場面は多くありません。
取引先の担当者が普段の注文を何回の操作で終えられるかが、そのまま受注側の転記の減り方に表れます。
選ぶ前に、主な取引先の担当者に実際の画面を触ってもらえるかを確かめておくと、判断の材料になります。

基幹システムがある場合

販売管理や基幹システムで在庫や出荷、請求を管理しているなら、先に見るのは連携の方式です。
受注件数が多いほど、Webで受けた注文を基幹システムへ打ち直す作業が残ったときの負担が大きくなるためです。
この場合は、前の節で挙げた品番や取引先コードの対応づけ、取り込みの頻度、失敗したときの気づき方を確かめます。
その際は、基幹システムの保守を担う社内の担当者や委託先も交えます。
Web受発注の提供元だけに尋ねても、基幹システムの側が受け入れられるかどうかは分からないからです。

取引先別条件が多い場合

取引先ごとに掛率(定価に掛けて取引先別の単価を決める割合)が違う、納品先や締め時刻によって納期が変わる、在庫の引き当て方が取引先で異なる、といった条件が多い場合は、その扱いを先に見ます。
画面がこれらの条件を扱えなければ、取引先がWebで入力した注文を担当者が一件ずつ確かめて修正することになるからです。

ここで区別しておきたいのは、条件のデータが社内にあることと、それを使って画面が動くことの違いです。
基幹システムに取引先別の単価が登録されていても、Web受発注の画面がその単価を取引先ごとに表示し、注文に反映できるとは限りません。
掛率や納期の条件をどこまで扱えるかは、製品ごとに確かめる必要があります。

確かめ方として役立つのは、実際の注文書を使うことです。
条件の違う取引先の注文書を数枚選び、その単価、納期、在庫の扱いを画面上で再現できるかを提供元と一緒に試します。
説明資料だけでは見えないずれが、ここで分かります。
再現できなかった条件は、導入後も担当者の確認として残る作業の一覧になります。

複数の状況に当てはまる場合もあります。
たとえば取引先は少ないものの、基幹システムで受注を管理し、取引先ごとに掛率も違う会社なら、三つの軸のどれも外せません。
その場合は、最初の節で見た受注処理の流れに沿って、いま担当者が最も時間を使っている作業がどこかを見直し、その作業を減らす軸から確かめていくと、比較の順番が決まります。
読み取りに時間がかかっているなら取引先の参加、打ち直しなら連携、確認の電話なら注文条件の扱いが、それぞれ最初に見る軸になります。

確認項目 提供元に尋ねること 自社で用意する材料 先に確かめたい状況
取引先の使いやすさ 取引先側の設定・費用・問い合わせ先と定番品の注文手順 注文件数の多い取引先の一覧 取引先が少なく条件が単純
連携方式 出力できる形式と項目・コードの対応づけ・取り込み失敗への気づき方 基幹システムの取り込み仕様 基幹システムで受注を管理している
取引先別の注文条件 掛率・納期・在庫の条件をどこまで画面で扱えるか 条件の違う実際の注文書 取引先別の条件が多い
連携方式ごとに残る作業と、方式にかかわらず起こるずれ(模式図)
ファイル受け渡し、直接のやり取り、共通して起こるずれの三つに分けた比較ファイル受け渡し、直接のやり取り、共通して起こるずれの三つに分けた比較ファイルで受け渡す誰が、いつ、どの画面から書き出して取り込むか一日に何回取り込むかシステム同士が直接やり取りする人手の作業は減る基幹システムの側が受け入れられる形か方式にかかわらず起こるずれ品番が基幹システムの品番と一致しない取引先のコードが未登録で取り込みに失敗する

▼ 図の内容を文字で読む
  • ファイルで受け渡す
    • 誰が、いつ、どの画面から書き出して取り込むか
    • 一日に何回取り込むか
  • システム同士が直接やり取りする
    • 人手の作業は減る
    • 基幹システムの側が受け入れられる形か
  • 方式にかかわらず起こるずれ
    • 品番が基幹システムの品番と一致しない
    • 取引先のコードが未登録で取り込みに失敗する

導入後に効果が出ているかを、何で確かめるか

自社で記録する指標

導入した後、効果が出ているかを確かめるときに、外部の資料にある削減率を当てはめたくなるかもしれません。
しかし、企業間の取引をどれだけ電子化できたかという数字と、自社の担当者の転記がどれだけ減ったかは別のものです。
自社の効果は、自社の受注処理を導入の前と後で記録して比べるのが確実です。

記録しておきたい指標は、ここまでの三つの軸にそれぞれ対応させると読み取りやすくなります。

  • 取引先のWeb利用割合:一定期間の全注文のうち、Web経由で届いた注文の件数の割合で、取引先が使い続けているかを表す
  • 転記にかかる時間:注文を受けてから基幹システムや台帳への入力を終えるまでに担当者が使った時間で、連携によって打ち直しがどれだけ減ったかを表す
  • 確認の問い合わせ件数:数量、単価、納期などを取引先へ確かめた電話やメールの件数で、注文条件の扱いや入力のしやすさを表す

数値の動きから、どこを見直せばよいかも分かれます。
Web利用割合が伸びないなら、取引先側の手順や説明の仕方を見直します。
Web利用割合は伸びたのに転記時間が減らないなら、受け取ったデータを基幹システムへ渡すところに作業が残っています。
確認の問い合わせが減らないなら、画面で扱えていない注文条件がないかを、問い合わせの中身から探ります。
どの指標も自社で定義して測るものです。
導入前に、何を一件と数え、どの時間を転記時間に含めるかを決めておくと、前後の比較がぶれません。

確認する時期

指標は、導入前、切り替えの直後、並行運用が落ち着いた頃の三回に分けて見ると、それぞれで分かることが違います。

導入前は、比べる基準を作る時期です。
繁忙期など特別な時期を避けた一定期間で、注文の受け方ごとの件数、転記の時間、確認の問い合わせ件数を記録します。
この記録がないと、導入後に楽になったかどうかを担当者の感覚でしか語れません。

切り替えの直後は、取引先の反応を見る時期です。
Web利用割合がどの取引先で伸び、どの取引先で止まっているかを見て、止まっている取引先には迷った点を聞きます。
この時期は操作の問い合わせが一時的に増えることもあります。
件数だけでなく中身を分けて記録しておくと、操作の不慣れと注文条件の扱いの問題を区別できます。

並行運用が落ち着いた頃は、残る作業を見極める時期です。
FAXを続けている取引先や、Webでも確認の電話が必要な注文の種類が、ここで絞り込まれてきます。
残った作業は、連携や条件の扱いを見直す対象であり、次に取引先へお願いすることの候補にもなります。

取引先に負担をかけずに切り替えを進める手順の例
取引先の洗い出し、試用、順次の切り替え、問い合わせ先の周知の順に進む手順1件数や確認の電話が多い取引先を受注台帳から洗い出す2数社に普段の注文を画面で試してもらう3応じた取引先から順にWebへ移し、残る取引先とはFAXを並行して受ける4問い合わせ先と二重に送られた場合の扱いを伝える

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 件数や確認の電話が多い取引先を受注台帳から洗い出す
  2. 数社に普段の注文を画面で試してもらう
  3. 応じた取引先から順にWebへ移し、残る取引先とはFAXを並行して受ける
  4. 問い合わせ先と二重に送られた場合の扱いを伝える

取引先の顔ぶれ、基幹システムの有無、注文条件の複雑さは会社ごとに違います。三つの軸のどれを先に確かめるかは、一般論だけでは決めにくいためです。

取引先の一覧と代表的な注文書をもとに、先に確かめる軸と、提供元へ尋ねる質問の優先順位を整理できます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
取引先の使いやすさ 電話・FAXより少ない手順で注文でき、取引先側の設定や費用の負担が分かっているか
移行期間の扱い FAXとWebの注文を一つの流れで管理できるか
連携方式 受注データを基幹システムや社内のファイルへ打ち直さずに渡せるか、取り込みのずれに気づけるか
注文条件の扱い 掛率・納期・在庫の条件を実際の注文書で再現できるか
効果の確かめ方 Web利用割合・転記時間・確認の問い合わせ件数を導入前後で自社が記録する
導入の前後で指標を確認する三つの時期
導入前、切り替えの直後、並行運用が落ち着いた頃の三つの時期ごとの確認内容導入前、切り替えの直後、並行運用が落ち着いた頃の三つの時期ごとの確認内容導入前切り替えの直後並行運用が落ち着いた頃

▼ 図の内容を文字で読む
  • 導入前
    • 注文の受け方ごとの件数を記録する
    • 転記の時間と確認の問い合わせ件数を記録する
  • 切り替えの直後
    • 取引先ごとのWeb利用割合を見る
    • 問い合わせの中身を操作と条件に分ける
  • 並行運用が落ち着いた頃
    • FAXを続けている取引先を見る
    • 確認の電話が必要な注文の種類を絞り込む

導入前の記録の取り方や、どの作業を転記時間に含めるかを決めておかないと、導入後の比較がぶれるためです。 自社の受注処理の流れに沿って、指標の数え方と、数値が動かないときに見直す箇所を確かめられます。

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よくある質問

取引先がFAXしか使えない場合、Web受発注は導入できるか

一部の取引先がFAXしか使えなくても、導入そのものができなくなるわけではありません。
ただし、その取引先の注文は、受注側で読み取りと転記が続きます。
FAXで届いた注文を担当者が同じ画面へ代わりに入力できるか、WebとFAXの注文を一つの一覧で扱えるかを提供元に確かめておくと、並行期間の作業を見積もれます。
FAXの取引先が受注の大半を占める場合は、Web受発注で減る作業が限られます。
まず注文件数の多い取引先が画面を使えるかを確かめてから判断します。

基幹システムがない場合でも連携の確認は必要か

必要です。
基幹システムがなくても、受注後に出荷指示書、在庫表、請求書などを表計算ファイルや会計ソフトで作っているなら、そこへ受注データを打ち直す作業が残ります。
どのファイルへ何の項目を移しているかを書き出し、受注データをその形で出せるかを確かめると、連携が要るかどうかを判断できます。

取引先別の掛率や納期条件が多い場合、何を確認すべきか

条件のデータが社内にあることと、画面がそれを使って動くことを分けて確かめます。
条件の違う実際の注文書を数枚選び、単価、納期、在庫の扱いを画面上で再現できるかを提供元と試します。
再現できなかった条件は、導入後も担当者が確認する作業として残ります。

導入後の効果は何で確認するか

外部の削減率ではなく、自社の記録で確かめます。
取引先のWeb利用割合、転記にかかる時間、確認の問い合わせ件数を導入前に記録し、切り替えの直後と並行運用が落ち着いた頃に比べます。
どの指標が動かないかによって、取引先の参加、連携、注文条件の扱いのどこを見直すかが分かれます。

発注側と受注側で、選び方はどう変わるか

受注側は多くの取引先に注文を入力してもらう立場なので、取引先の使いやすさとFAXとの並行期間の扱いを重く見ます。
自社が発注側として仕入先へ注文を送る場合は、仕入先が受け取った注文を処理できるか、仕入先ごとに異なるシステムとどうつなぐかが中心になります。
2021年度の調査を引用した記事では、発注側企業の導入率は40.9%で、受注側より低いと紹介されています2。
どちらの立場でも、相手が参加できるかを先に確かめる点は共通です。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:日刊工業新聞社(ニュースイッチ)「中小企業庁が中小企業の電子受発注実現へ開発する「データ連携基盤」の全容」(2021年)
  2. 2 出典:オリックス・レンテック株式会社「受発注のデジタル化は製造業にどんなメリットをもたらすか」(中小企業庁『令和3年度取引条件改善状況調査』の引用、2021年度)

画像の出典元

  1. Close-up of office workers engaged in a tech project at a modern workplace./Photo by cottonbro studio on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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