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Web受注システムの費用対効果|費用の見方と回収できるかの試算方法

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 費用は初期費用・月額・連携や設定・運用負担の4つに分け、含まれる作業を揃えてから見積りを比べる
  • 竹田印刷が示すSaaS型の目安(初期30~50万円、月額10~20万円)は条件の記載がない一例で、自社の見積りに差し替えて使う
  • 効果は転記・手戻り・問い合わせを自社で実測し、Web経由の注文割合を掛けて月額と比べる
  • 取引先がWebで注文しない場合や、連携できず二重入力が残る場合は、回収の見込みが大きく崩れる
  • 補助金を使うなら、交付決定前の契約・発注・支払いは原則対象外のため、導入時期を後ろにずらして試算する

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▽ 写真の出典元

Web受注システムの費用対効果を判断する前に、まず分けて考えること

FAXで届いた注文書を見ながら品番と数量を受注表へ打ち直し、読み取りにくい箇所は電話で確かめ、取引先からの「注文は届いていますか」にも答える。
この手間は重いのに、Web受注システムの費用を払って元が取れるのかは、社内でうまく説明できない。
この判断は、費用を初期費用・月額・連携や設定・運用負担の4つに分けて見積りを揃え、効果を転記・ミスの手戻り・問い合わせ・機会損失のうち自社で実測した時間と件数で測ると進められます。
ただし取引先がWebで注文しない場合や、既存システムと連携できず二重入力が残る場合は効果が出にくくなります。
公開されている費用の目安も、提供元が示す一例にとどまります。

見積額だけでは判断できない理由

受注担当者の一日には、FAXの注文書を見て品番と数量を入力する、手書きの数字が読めずに取引先へ電話する、メールで届いた追加注文を前の注文と突き合わせる、といった作業が細かく挟まります。
どれも毎日の仕事なので、合計でどれだけの時間を使っているかは、意識して記録しない限り数字として残りません。

一方で、システムの見積りには金額がはっきり書かれています。
片方だけが数字になっていると、社内では「月にこれだけ払う価値があるのか」という問いに答えようがありません。
費用対効果を説明できないのは、システムが高いからというより、比べる相手である受注業務の負担がまだ数字になっていないからです。

見積りの金額そのものも、並べただけでは比べられないことがあります。
たとえば、ある見積りでは商品データの登録作業が初期費用に含まれ、別の見積りではそれが別料金になっている場合、総額の大小はそのまま費用の大小を意味しません。
費用側も効果側も、まず中身を分けてから比べる必要があります。

費用と効果をそれぞれ4つに分けて並べる

費用は、導入時に一度払う初期費用、毎月払う月額、既存の会計や在庫のシステムとつなぐ連携や初期の設定、社内と取引先に使い方を浸透させる運用負担の4つに分けます。
効果は、注文を打ち直す転記の時間、入力ミスから生じる手戻り、注文状況や納期についての問い合わせ対応、受付の遅れや漏れで逃す機会損失の4つに分けます。

このうち運用負担は請求書に載らない費用です。
取引先にWeb注文へ切り替えてもらうための案内、担当者が操作を覚える時間、移行期間に電話・FAXとWebの両方で注文を受ける二重の手間がここに入ります。
見積書の金額だけで判断すると、この部分が抜け落ちたまま稟議が進んでしまいます。

分けたうえで結論を左右するのは、主に3つの条件です。
月にどれだけの注文を受けているか、取引先のうちどれだけがWebから注文してくれそうか、そして受注の後ろに会計・在庫・請求のシステムがあり、そこへ受注データを渡す必要があるかどうかです。
取引先が企業か個人の消費者かによっても、Web注文への切り替えをお願いする方法や相手の受け止め方は変わってきます。
同じシステムでも、この条件が違えば費用対効果の結論は逆になり得ます。

費用と効果を分けてから、月当たりで比べる
費用を初期費用・月額・連携や設定・運用負担の4つ、効果を転記・手戻り・問い合わせ・機会損失の4つに分け、最後に月当たりの金額で比べる3段階の図費用を初期費用・月額・連携や設定・運用負担の4つ、効果を転記・手戻り・問い合わせ・機会損失の4つに分け、最後に月当たりの金額で比べる3段階の図費用を分ける初期費用月額連携・設定運用負担効果を実測する転記の時間ミスと手戻り問い合わせ対応機会損失月当たりで比べる削減時間×時間単価月額との差

▼ 図の内容を文字で読む
  • 費用を分ける
    • 初期費用
    • 月額
    • 連携・設定
    • 運用負担
  • 効果を実測する
    • 転記の時間
    • ミスと手戻り
    • 問い合わせ対応
    • 機会損失
  • 月当たりで比べる
    • 削減時間×時間単価
    • 月額との差

Web受注システムの費用は何にいくら掛かり、見積りでどこを見るか

費用を4つに分ける

初期費用は、利用を始めるまでに一度だけ掛かる費用です。
アカウントの開設、受注画面の設定、品番・商品名・価格といった商品データの登録などが該当します。
取引先ごとに価格や取扱商品が違う会社では、その設定を誰がどこまで行うかで初期費用の中身が大きく変わります。

月額は、利用を続けるあいだ毎月払う費用です。
何に応じて金額が変わるのかは提供元ごとに違い、利用する社内の人数、登録する取引先の数、受ける注文の件数などが基準になり得ます。
見積りを依頼するときは、自社の取引先数と月の注文件数を伝え、その数での月額を出してもらうと、後の試算にそのまま使えます。

連携や設定の費用は、Web受注システムに入った注文を、会計・在庫・基幹のシステムへ渡すための作業に掛かります。
受注データをファイルで書き出して担当者が取り込むのか、システム同士を自動でつなぐのかで、作業の量も費用も変わります。
この費用が初期費用に含まれているのか、別見積りなのかは、見積書の書き方だけでは分からないことがあります。

運用負担は、前の節で触れたとおり請求書には出てこない社内の時間です。
取引先への案内文の作成や問い合わせへの回答、移行期間の二重受付は、受注担当者の時間を使います。
金額にしにくい場合でも、何時間程度掛かりそうかを見積もっておくと、導入直後に効果が見えにくい理由を社内で説明できます。

公開されている費用の一例

受発注システムを提供する竹田印刷(TS-BASE運営)は、SaaS型の受発注システムのコストの目安として、イニシャルコスト(初期費用)を30~50万円、ランニングコスト(月額の運用費用)を10~20万円と示しています1。
同社は本文でも、導入までに50万円程度、毎月の運用に20万円程度かかる想定としています1。
SaaS型とは、提供元がインターネット上で運用するシステムを、自社で機器を持たずに月額で利用する形を指します。

この数字は「竹田印刷調べ」とされ、サービス事業者によって異なるとも断られています1。
どの程度の企業規模、機能、利用者数を前提にした金額なのかは書かれていないため、市場全体の相場ではなく、提供元の一つが示した目安として扱うのが適切です。
他社の料金や、作り込みの多い導入にそのまま当てはめることはできません。

それでも、社内で最初に規模感を共有するには役立ちます。
仮にこの目安の上限で計算すると、1年目の支払いは初期費用50万円と月額20万円の12か月分で290万円、2年目以降は年240万円になります。
下限で計算すると、1年目は初期費用30万円と月額10万円の12か月分で150万円です。
稟議では月額だけでなく、こうした年単位の総額で示すと、決裁者が他の投資と比べやすくなります。

実際の見積りがこの幅から大きく外れても、それだけで高すぎる、安すぎると決めることはできません。
連携の作業が含まれている、取引先の数が多い、サポートの範囲が広いといった明細の違いで金額は動くため、外れた理由を明細で照らし合わせるきっかけとして使います。

見積りを揃えて比べる項目

複数の見積りを比べるときは、金額より先に、次の項目がそれぞれどこに含まれているかを揃えます。

  • 商品データや取引先データの初期登録を、提供元が行うのか自社で行うのか
  • 月額が何の数(利用者数・取引先数・注文件数など)で決まり、増えたときにいくらになるのか
  • 会計・在庫・基幹システムとの連携が、初期費用・月額・別見積りのどこに入っているのか
  • 操作の問い合わせや取引先からの問い合わせに、どこまで対応してもらえるのか
  • 最低契約期間と解約の条件

最低契約期間は、回収の試算にも関わります。
初期費用を何か月で取り戻すかを考えるとき、契約期間より回収に長く掛かる計算になるなら、途中でやめにくい投資だという前提で社内に説明する必要があります。

見積りの明細を4つの費用に振り分けてから比べる
見積りの各項目を、初期費用、月額、連携・設定、運用負担の4つの欄に振り分ける図
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 初期費用(データ登録・画面設定は誰が行うか)
  2. 月額(何の数で決まり、増えたらいくらか)
  3. 連携・設定(初期・月額・別見積りのどこに入るか)
  4. 運用負担(案内・操作習得・二重受付の社内時間)

費用対効果は受注業務のどの負担で測るか

転記にかかる時間

費用の見積りが揃っても、比べる相手がなければ判断はできません。
どれだけ業務が減るかは、自社の注文の形と運用で決まります。
他社の削減率を借りるより、いまの作業を数えたほうが、社内で疑われにくい根拠になります。

転記の時間は、受付の経路ごとに分けて数えます。
電話・FAX・メールのそれぞれで、月に何件の注文があり、1件を受注表や基幹システムへ入力するのにどれくらい掛かっているかを記録します。
FAXの読み違いを確かめる電話や、メールの添付ファイルを開いて転記する時間も、この作業に含めます。

Web注文になると、取引先が入力した品番や数量がデータとして届くため、担当者がそれを打ち直す作業が減ります。
一方で、在庫が足りるか、指定された納期に出荷できるか、特別な値引きの条件がないかといった確認は残ります。
削減の見込みを置くときは、入力そのものの時間と、内容を確かめる時間を分けておくと、減る部分を過大に見積もらずに済みます。

ミスと手戻り

品番の取り違え、数量の桁の誤り、届け先の書き間違いが起きると、訂正の連絡、出荷のやり直し、場合によっては返品の受け入れや送料の負担が発生します。
ここでは、月に何件のミスがあり、1件の後始末に誰が何時間を使い、送料などの直接の費用がいくら掛かったかを数えます。

Web注文に切り替えると、手書きの読み違いや、担当者が打ち直すときの入力ミスは起きにくくなります。
ただし、取引先が画面で商品を選び間違えたり、数量を誤って入力したりするミスは残ります。
ミスの記録を付けるときに、どこで誤りが生じたのか(取引先の記入、担当者の読み取り、担当者の入力)を一言添えておくと、Web化で減る種類のミスがどれだけあるかが見えてきます。

問い合わせ対応

「先日の注文は届いていますか」「いつ出荷されますか」といった問い合わせは、1件は短くても、作業を中断させるため負担が大きくなりがちです。
月の件数と1件あたりの対応時間を、注文の確認に関するものと、在庫や価格に関するものとに分けて数えます。

取引先が受付の状況や出荷予定を画面で確かめられる仕組みがあれば、確認のための問い合わせは減る余地があります。
ただし、その画面がどこまでの情報を表示できるかはシステムによって違い、出荷予定を表示するには在庫や出荷の情報とつながっている必要もあります。
問い合わせの削減を効果に入れるなら、見積りの段階で、取引先側の画面に何が表示されるかを具体的に尋ねておく必要があります。

機会損失

機会損失は、受付の遅れや漏れによって得られなかった売上です。
営業時間外に届いたFAXの処理が翌日に回り納期に間に合わなかった、返事を待つあいだに取引先が他社へ注文した、といった出来事が該当します。
実際に失った注文を正確に数えるのは難しいため、営業時間外に届いた注文の件数や、受付から回答までに時間が掛かった注文の件数を記録しておくと、説明の手掛かりになります。

他の3つと違い、機会損失は推定の幅が大きくなります。
稟議では、転記・手戻り・問い合わせの3つで月額を回収できるかをまず示し、機会損失は金額に含めずに別に添える形にすると、試算全体の信頼を損ないにくくなります。

記録の期間は、月の締め処理や繁忙期を含むように決めます。
受注の量に波がある会社で閑散期だけを測ると、効果を小さく見積もることになり、繁忙期だけを測ると逆に大きく見積もります。

受注業務の負担を自社で実測する手順
記録する期間を決め、受付経路ごとの件数と時間、ミスと手戻り、問い合わせを記録し、月当たりに換算する手順の図
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 記録する期間を決める(月の締めや繁忙を含める)
  2. 受付経路ごとに注文件数と入力時間を記録する
  3. ミスの件数・発生箇所・後始末の時間と費用を記録する
  4. 問い合わせの件数と対応時間を記録する
  5. 時間外の受付や回答の遅れを別に記録する
  6. 月当たりの時間と件数に換算する

受注件数と取引先の使い方で、回収できるかを試算する

試算式

実測した時間と件数がそろったら、月の効果を金額にして月額と比べます。
式は次のとおりです。

  • 月の効果額 =(転記の削減時間 + 手戻りの削減時間 + 問い合わせの削減時間)× 時間単価 + 手戻りで減る送料などの直接の費用
  • 月の差額 = 月の効果額 - 月額
  • 初期費用の回収月数 = 初期費用 ÷ 月の差額

時間単価は、受注担当者の人件費を労働時間で割って求めます。
社会保険料などを含めるかどうかは会社によって扱いが違うため、経理や人事が普段使っている計算方法に合わせると、社内で数字の根拠を問われたときに説明しやすくなります。

この式は、裏返すと「月にどれだけ時間が減れば月額を埋められるか」を示します。
月額を時間単価で割った時間が、必要な削減時間です。
竹田印刷が示す月額の目安10~20万円1を仮に置くと、時間単価をA円としたとき、月に10万円÷A円から20万円÷A円の時間が減れば月額と釣り合います。
この月額はあくまで分岐点を考えるための仮置きで、見積りが出たらその金額に差し替えます。

月の差額がゼロ以下になる場合、月額は毎月の効果で埋まらず、初期費用はいつまでも回収できません。
この結果が出たら、導入をやめるか、削減の対象を広げる方法(取引先の切り替え、連携による二重入力の解消)を検討するかの判断になります。

もう一つ注意したいのは、減った時間がそのまま費用の削減になるとは限らないことです。
残業が減る、増えた注文を人を増やさずに受けられる、担当者が別の仕事に回れる、といった形で時間が使い直されて初めて、効果は金額として表れます。
稟議では、減った時間を何に充てるのかを一文添えておくと、試算の数字に実感が伴います。

Web注文を使う取引先の割合を置く

転記の削減時間は、すべての注文がWebに移る前提で計算すると大きくなりすぎます。
実際には、Webから注文してくれる取引先の分だけが減り、電話やFAXで注文を続ける取引先の分は残るからです。
そこで、転記と問い合わせの削減時間には、Web経由になる注文の割合を掛けます。

割合を置くには、取引先ごとの月の注文件数を並べてみるのが近道です。
もし注文の多くを少数の取引先が占めているなら、その数社がWebに切り替えてくれるかどうかで試算の結果はほぼ決まります。
反対に、少量の注文を多くの取引先から受けている場合は、一社ずつの切り替えの影響は小さく、全体の割合が上がるまでに時間が掛かります。

割合は一つに決めず、低めと高めの2通りで試算しておくと、社内での議論が進めやすくなります。
低めの割合でも月の差額がプラスになるなら導入の根拠は強く、高めの割合でないとプラスにならないなら、切り替えの見込みを先に確かめる必要がある、と説明できます。
主要な取引先に事前にWeb注文の意向を尋ねておくと、割合の根拠になります。

実測値から月の効果額を出し、月額と比べる
削減時間にWeb経由の注文割合を掛け、時間単価を掛けて直接の費用を足した月の効果額を、月額と比べて回収月数を求める流れの図1実測した削減時間2Web経由の注文割合を掛ける3時間単価を掛け、直接の費用を足す4月額と比べる5差額で初期費用を割り回収月数を出す

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 実測した削減時間
  2. Web経由の注文割合を掛ける
  3. 時間単価を掛け、直接の費用を足す
  4. 月額と比べる
  5. 差額で初期費用を割り回収月数を出す

効果が出にくくなる条件と、導入形態による違い

取引先がWebで注文しない場合

前の節の試算で割合を低く置くと結果が厳しくなるのは、月額が取引先の利用にかかわらず毎月掛かるからです。
Webで注文する取引先が一部にとどまると、担当者は電話・FAXの受付を続けながらWebの注文も確認することになり、見る場所が一つ増えます。
この状態では、削減の対象が小さいだけでなく、受付経路が二つになることで確認の手間がかえって増える場面もあります。

取引先にとっては、Web注文は新しい手間に見えることがあります。
ログインの情報を管理する、画面から商品を探す、いつもの注文書に書く代わりに入力する、といった作業が増えるからです。
切り替えをお願いするときは、注文件数の多い取引先から順に、相手にとって何が楽になるのか(受付の確認が画面でできる、過去の注文から繰り返し注文できる、など)を、導入するシステムで実際にできることに沿って伝える必要があります。

そのため、取引先の利用見込みは導入後に期待するものではなく、見積りの前に確かめておく条件です。
主要な取引先の反応が鈍いなら、システムの比較より先に、取引先への説明の仕方を考えるほうが試算の結果を大きく変えます。

連携できず二重入力が残る場合

Web注文が増えても、受注データを会計・在庫・基幹のシステムへ担当者が入れ直しているなら、転記は場所を変えて残ります。
電話やFAXの注文書から受注表へ打っていた作業が、Web受注の画面から基幹システムへ打つ作業に置き換わるだけで、試算した転記の削減時間は大きく目減りします。

ここで区別したいのは、データを書き出せることと、それを受け取れることは別だという点です。
Web受注システムが受注データをファイルで出力できても、自社の会計や在庫のシステムがその形式のまま取り込めるとは限りません。
取り込めない場合は、ファイルの項目を並べ替える作業が毎回残るか、変換の仕組みを別に作る費用が掛かります。

見積りの前には、いま受注情報をどの画面からどの画面へ移しているかを書き出し、そのうちどの移し替えがなくなり、どれが残るかを提供元に確認します。
連携の費用が掛かる場合は、その金額を費用側へ加え、残る入力の時間を効果側から差し引いて、もう一度試算し直します。

既製のサービスか、作り込むか

Web受注の仕組みは、提供元のサービスをそのまま使う形と、自社の価格体系や承認の流れに合わせて作り込む形とで、費用の構成が変わります。
どちらが安いかは一概に言えず、どの作業が初期費用に入り、どの作業が月額や別見積りに入るかを、見積りごとに確かめる必要があります。

作り込みを含める場合は、その後の改修や、提供元のサービスが更新されたときの対応が誰の負担になるかも確認事項です。
初年度の費用だけでなく、契約期間を通した総額で比べると、構成の違う見積り同士でも判断しやすくなります。

連携の有無で、受注データの転記が残る場所
取引先のWeb注文がWeb受注システムに届き、連携がない場合は担当者が会計・在庫システムへ再入力し、連携がある場合はデータが渡る関係を示す図1取引先がWebで注文を入力する2Web受注システムに受注データが届く3連携なし:担当者が会計・在庫システムへ入れ直す4連携あり:受注データが会計・在庫システムへ渡る5担当者は在庫・納期・条件の確認に集中する

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 取引先がWebで注文を入力する
  2. Web受注システムに受注データが届く
  3. 連携なし:担当者が会計・在庫システムへ入れ直す
  4. 連携あり:受注データが会計・在庫システムへ渡る
  5. 担当者は在庫・納期・条件の確認に集中する

導入前に確認することと、補助金・稟議での説明

確認事項のチェック

ここまでの内容を、見積りを依頼する前と、見積りを受け取った後に分けて並べ直すと、次のようになります。

  • 見積り前:受付経路ごとの注文件数と入力時間、ミスと手戻り、問い合わせの実測が揃っているか
  • 見積り前:主要な取引先にWeb注文の意向を尋ね、利用の割合を低め・高めの2通りで置いたか
  • 見積り前:受注情報をどの画面からどの画面へ移しているかを書き出したか
  • 見積り後:初期費用・月額・連携や設定が、どの作業を含むかで揃っているか
  • 見積り後:自社の会計・在庫のシステムへ、受注データがどの形で渡るかを確認したか
  • 見積り後:最低契約期間と、回収月数の試算を照らし合わせたか

補助金を使う場合の条件

費用の一部を補助金で賄えるかを調べている場合、中小企業基盤整備機構のJ-Net21が紹介するデジタル化・AI導入補助金が候補になります。
以下は2026年6月改訂時点の記載に基づく内容で、公募の回ごとに要件や日程が変わるため、申請の前には最新の公募要領を確認する必要があります。

対象は、AIを含むITツールを導入して労働生産性の向上を図る中小企業・小規模事業者です2。
導入できるツールは事務局に登録されたものに限られ、申請は登録されたIT導入支援事業者を通して行います2。
検討しているWeb受注システムが登録されたツールかどうか、その提供元や販売店がIT導入支援事業者として登録されているかは、製品ごとに確かめるしかありません。

通常枠の補助額は5万円以上150万円未満、または150万円以上450万円以下で、基本の補助率は1/2、所定の賃金要件を満たせば2/3とされています2。
また、インボイス枠では会計・受発注・決済のソフトが対象に挙げられていますが、この枠の補助率や上限は製品の種類と事業者の規模で異なります2。
受発注のソフトだという理由だけで、自社の導入費用がどれだけ補助されるかは決められません。

判断を大きく左右するのは時期の条件です。
交付決定より前に行った契約・発注・購入・支払いは、原則として補助の対象外とされています2。
補助金を使うなら、導入の開始は交付決定の後になるため、回収の試算でも効果が出始める月を後ろへずらしておく必要があります。

稟議での説明の組み立て

稟議では、結論の金額だけでなく、その金額がどの前提から出たのかを順に示すと、決裁者が自分で妥当性を確かめられます。
まず、実測した期間と、受付経路ごとの注文件数・作業時間・ミスと問い合わせの件数を示します。
次に、見積りを4つの費用に分けて揃えた結果と、年単位の総額を示します。

そのうえで、Web経由の注文の割合を低め・高めの2通りに置いた月の効果額と、月額との差、初期費用の回収月数を並べます。
取引先が切り替えない場合や連携できない場合にどう変わるかを一緒に示しておけば、「うまくいかなかったらどうするのか」という質問にも前もって答えられます。

機会損失は、別枠で件数を添える程度にとどめます。
補助金を使う場合は、その有無を試算の前提として分けて書き、交付決定まで契約できないことによる導入時期のずれも記しておきます。
こうして前提ごとに数字を分けておけば、見積りが変わっても、どこを差し替えればよいかがすぐに分かります。

補助金を使う場合の、申請と契約の順番
登録ツールとIT導入支援事業者を確認し、支援事業者を通して申請し、交付決定を受けてから契約・発注・支払いを行う順番の図
▼ 図の内容を文字で読む
  • 登録ツールか、登録IT導入支援事業者かを確認
  • IT導入支援事業者を通して申請
  • 交付決定
  • 契約・発注・支払い

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(J-Net21)「デジタル化・AI導入補助金」2026年6月改訂時点の記載。公募回ごとに要件・日程が変わる

実測した数字や受け取った見積りを前にしても、どの作業がどの費用に入るのか、どの転記が本当になくなるのかは、自社の受注の流れを知る人と一緒に見ないと判断しにくいものです。

いまの受注の流れと見積りの明細を並べて、費用の振り分けと、連携後も残る入力作業に抜けがないかを確かめられます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
費用の見方 初期費用・月額・連携や設定・運用負担に分け、含まれる作業を揃えて比べる
公開されている目安 竹田印刷調べでSaaS型は初期30~50万円・月額10~20万円。規模や機能の条件が書かれていない一例
効果の測り方 転記・手戻り・問い合わせを受付経路ごとに時間と件数で実測し、機会損失は別に添える
回収の見方 月額÷時間単価が必要な削減時間。初期費用は月の効果額と月額の差で割って回収月数を出す
効果が崩れる条件 Web経由の注文割合が低い、連携できず二重入力が残る
補助金 登録ツールを登録IT導入支援事業者経由で申請。交付決定前の契約・発注・支払いは原則対象外

稟議に出す前に、試算の前提が社内で疑問を持たれやすい箇所に答えられているかを、第三者の目で確かめておくと手戻りが減ります。 Web経由の注文割合の置き方や、連携できない場合・補助金を使う場合の前提の分け方が、試算と説明で揃っているかを確かめられます。

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よくある質問

見積りを取る前に、受注担当者の作業時間は何を、どれくらいの期間で測ればよいですか。

電話・FAX・メールの受付経路ごとに、注文件数と1件あたりの入力時間、読み違いを確かめる電話の時間を記録します。
あわせて、ミスの件数と後始末の時間・費用、問い合わせの件数と対応時間も数えます。
期間は、月の締め処理や繁忙期を含むように決めます。
閑散期だけで測ると効果を小さく、繁忙期だけで測ると大きく見積もることになるため、受注量に波がある場合は両方の時期を含めます。

取引先の一部だけがWeb注文を使う場合、削減効果はどう数えますか。

転記と問い合わせの削減時間に、Web経由になる注文の割合を掛けて数えます。
電話やFAXで注文を続ける取引先の分は削減に入れません。
移行期間に両方の受付を続ける手間は、運用負担として費用側に加えます。
割合は低め・高めの2通りで試算し、低めでも月額を上回るかどうかを確かめると、判断の根拠が強くなります。

既存の会計や在庫のシステムと連携できない場合、費用対効果はどう変わりますか。

Web受注システムに届いた注文を、担当者が会計や在庫のシステムへ入れ直す作業が残るため、転記の削減時間はその分だけ目減りします。
受注データをファイルで書き出せても、自社のシステムがその形式のまま取り込めるとは限りません。
残る入力の時間を効果から差し引き、連携や変換に掛かる費用を費用側に加えて試算し直します。
その結果、月の効果額が月額を下回るなら、初期費用は回収できません。

補助金を使う場合、見積りと契約の順番で注意することは何ですか。

2026年6月改訂時点のJ-Net21の記載では、交付決定より前に行った契約・発注・購入・支払いは原則として対象外です2。
また、対象は事務局に登録されたツールで、申請は登録されたIT導入支援事業者を通して行います2。
契約は交付決定の後になるため、導入の開始時期と回収の試算の開始月を後ろにずらして考えます。
要件や日程は公募回ごとに変わるため、申請前に最新の公募要領を確認してください。

月額が安いサービスと高いサービスは、何が違うと考えて見積りを比べればよいですか。

月額の差だけで機能や品質の差を決めつけず、何が含まれているかを揃えて比べます。
具体的には、商品や取引先データの初期登録を誰が行うか、月額が利用者数・取引先数・注文件数のどれで決まるか、連携が月額に含まれるか別見積りか、問い合わせへの対応範囲、最低契約期間です。
そのうえで、初期費用と月額を合わせた契約期間全体の総額で比べると、構成の違う見積り同士でも判断しやすくなります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:株式会社竹田印刷(TS-BASE運営)「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)
  2. 2 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(J-Net21)「デジタル化・AI導入補助金」(2026年)

画像の出典元

  1. Workspace featuring hands typing on a keyboard, a coffee mug, colored pencils, and graphs on paper./Photo by RDNE Stock project on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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