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WEB受発注の初期費用はいくら?形態別の幅と、見積もり前に決める条件

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 公開されている初期費用は、竹田印刷の目安でSaaS型30〜50万円、同社の料金例で50〜150万円、COREC受注側は0円と開いており、単一の相場はない
  • 稟議は導入形態を先に決め、初期費用を最小構成と必要機能をすべて載せた場合の幅で示す
  • 総額は「初期費用+月額×利用月数」で揃える。料金例01と06の36か月試算では554万円と1,590万円になり、初期費用の差より大きく開く
  • 見積依頼は機能・利用者数・得意先の条件・連携・データ移行・利用年数を同じ形で渡し、見積書は含まれる作業と別計上の項目を揃えて比べる
  • 補助金は、事務局に登録されたITツールであることとIT導入支援事業者との連携が前提になる

30代前半の日本人男性が複合機での出力をしている場面

WEB受発注の初期費用に「ひとつの相場」がない理由と、稟議の数字の置き方

得意先からFAXや電話で届く注文を一件ずつ入力し直し、在庫を見て納期を返す。
その手間を減らすためにWEB受発注を入れたいのに、初期費用がいくらか分からず、稟議に数字を書けない。
公開されている初期費用は、SaaS型で30〜50万円という提供元の目安があります2。
同じ提供元の料金例では、機能構成によって150万円まで開きます1。
初期費用0円で始められる受注サービスもあり3、単一の相場はありません。
稟議は、導入形態を先に決めて初期費用を幅で示し、総額を「初期費用+月額×利用月数」で組むのが近道です。
見積もりは、必要機能・利用者数・連携の有無を揃えて取ります。
補助金を使う場合は、選ぶサービスが登録ITツールであることが前提です4。

導入形態ごとの目安の幅

WEB受発注とは、得意先がブラウザ上で注文を入力し、受注側がその内容を画面やデータで受け取る仕組みです。
電話・FAX・メールで届いた注文を手で入力し直していた作業を、得意先自身の入力に置き換える点が中心になります。
ところが導入費用を調べ始めると、数十万円とする説明もあれば、もっと大きな金額を示す説明もあり、どれを稟議に書けばよいか迷います。

迷う原因は、作り方の違うものが同じ「WEB受発注」の名前で語られていることにあります。
大きく分けると、提供事業者が用意したサービスを月額で使うSaaS型、既存のパッケージに自社向けの機能を足すハーフスクラッチ型、要件に合わせて一から開発するフルスクラッチ型の三つです。
受発注サービスを提供する竹田印刷は、自社調べとしてSaaS型の初期費用の目安を30〜50万円としています2。
ハーフスクラッチ型とフルスクラッチ型は、それを大きく上回る費用帯に置かれています2。
同じ記事の本文でも、SaaS型は導入までに50万円程度かかる想定として説明されています2。

形態が違うと、費用の決まり方そのものが変わります。
SaaS型はすでに動いている仕組みを借りるため、自社での開発やサーバーなどハードの購入が要らず、初期費用を抑えやすいとされます2。
ハーフスクラッチ型は既存パッケージを土台にするぶん初期費用を抑えやすい一方、追加で開発する機能が多いほど高くなる可能性があります2。
フルスクラッチ型は規模や搭載する機能の数で費用が変わり、完成後の保守も自社で担います2。
形態を決めないまま「相場はいくらか」と問うと、答えの幅が形態の数だけ広がってしまうのです。

目安は1社の調べであることの読み方

ここで挙げた目安は、受発注サービスを提供する1社が自社調べとして公開しているものです。
市場全体の価格を集計した統計ではないため、「業界の相場は30〜50万円」と読み替えるのは避けたほうが安全です。
実際、同じ竹田印刷が公開している自社サービスの料金例では、初期費用は50万円から150万円まで開いています1。
目安の30〜50万円は料金例のうち最も小さい構成に近い位置にありますが、目安がどの構成を想定した数字なのかは記事に書かれていません。

低い側には、さらに小さな選択肢もあります。
卸売向けのクラウド受注サービスCOREC(ラクーンホールディングス)は、受注側の初期費用を0円としています3。
ただしこれは、使える人数や注文フォームの数に上限のある無料プランを含む料金体系で、上の料金例と同じ機能範囲を比べたものではありません3。
0円から150万円までの開きは、同じものの値段の違いというより、「何をどこまで仕組みに任せるか」の違いとして読むほうが、稟議でも説明しやすくなります。

稟議には形態を決めてから幅で示す

稟議で「WEB受発注の初期費用は○万円」と一点で書くと、見積もりが出た段階で数字が動き、説明をやり直すことになりがちです。
先に決めておきたいのは、自社の注文処理をSaaS型のサービスに合わせて運用できるのか、自社独自の手順を仕組みに作り込む必要があるのか、という形態の選択です。
得意先が商品を選んで数量を入れ、受注側が在庫を確認して出荷を手配する、という流れであれば、SaaS型の範囲から検討を始められます。
承認の段階が多い、得意先ごとに注文の受け方が大きく違うといった事情があれば、SaaS型でもオプションやカスタマイズが必要になり、費用は目安の上側へ寄っていきます。

形態を決めたら、稟議の初期費用は一点ではなく、「最小構成の場合」と「必要な機能をすべて載せた場合」の幅で示します。
こうしておけば、後から見積もりが出ても、どちらの端に近い金額なのかで説明でき、筋が崩れません。
そして初期費用と同じ重さで、毎月の費用も並べておく必要があります。
料金例では月額費用も14万円から40万円まで開いており1、数年使えば初期費用より大きな金額になるからです。

導入形態 初期費用の決まり方 費用が増える場所
SaaS型 目安30〜50万円(竹田印刷調べ)・開発やハード購入は不要 アカウント数に応じた月額・オプション追加・独自カスタマイズ
ハーフスクラッチ型 既存パッケージを土台にするため抑えやすい 追加開発する機能の多さ
フルスクラッチ型 規模と搭載機能数で決まる 保守を担う技術者の人件費・数年ごとの改善対応・ドメインとSSL証明書
三つの導入形態の初期費用の決まり方と費用が増える場所の比較(1社の調べに基づく目安)
SaaS型・ハーフスクラッチ型・フルスクラッチ型の初期費用の決まり方と費用が増える場所を比べた図。SaaS型の30〜50万円は1社の目安
▼ 図の内容を文字で読む
  • SaaS型
    • 初期費用の目安は30〜50万円(1社の調べ・市場全体の相場ではない)
    • 自社での開発やハード購入は不要
    • 増える場所:アカウント数に応じた月額、オプション追加、独自カスタマイズ
  • ハーフスクラッチ型
    • 既存のパッケージを土台にするため初期費用を抑えやすい
    • 増える場所:追加で開発する機能の多さ
  • フルスクラッチ型
    • 規模と搭載する機能の数で初期費用が決まる
    • 増える場所:保守を担う技術者の人件費、数年ごとの改善対応、ドメインとSSL証明書

初期費用に含まれるもの、別費用になるもの

SaaSで初期費用に出にくい費用

初期費用の幅を見ると、「初期費用が小さいSaaS型なら安く済むのでは」と考えたくなります。
気をつけたいのは、SaaS型では費用の多くが初期費用ではなく月額のほうに乗る点です。
竹田印刷の説明では、SaaS型の月額はアカウント数に応じた従量課金が一般的で、保守や運用は提供事業者が行うとされています2。
サーバーの管理やシステムの更新を自社で抱えない代わりに、その費用を毎月の利用料として支払う形です。

アカウント数で月額が増える料金体系では、ログインする人を増やすたびに月額が上がる可能性があります。
注文を受ける担当者だけでなく、在庫を確認する人、出荷を手配する人、承認する管理者まで画面を使うなら、その人数分が費用に効いてきます。
たとえば、営業事務の2名で使う前提で見積もりを取り、運用を始めてから倉庫や営業の担当者にもアカウントを配ると、稟議の金額と実際の請求がずれていきます。
誰が画面を見て何を操作するのかを、見積もり前に人単位で書き出しておくと、月額の見込みが安定します。

SaaS型でも、初期費用や基本の月額とは別に費用が出る場所があります。
標準の機能にないオプションの追加や、自社向けの独自カスタマイズには、別途費用がかかると説明されています2。
「SaaS型だから30〜50万円」と置いた稟議でも、必要な機能がオプション扱いなら、その分が初期費用か月額のどちらかに上乗せされます。

スクラッチで別枠になる費用

ハーフスクラッチ型やフルスクラッチ型では、費用の出方がさらに変わります。
フルスクラッチ型は保守運用を自社で行うため、専門の技術者の人件費が運用費に影響すると説明されています2。
社内に担当者を置くのか、開発会社に保守を委託するのかで、毎月の負担の形は大きく変わります。
加えて、数年に一度の改善対応や、ドメイン・SSL証明書(通信を暗号化するための電子証明書)の費用は、開発費とは別にかかります2。

開発の見積書に載る金額は、あくまで「作るまで」の費用であることが多く、動かし続けるための費用は別の書類や翌年度以降の予算に分かれがちです。
稟議では、開発費と並べて、保守を誰が担うのか、改善対応をどの程度見込むのかを書き添えておくと、承認する側が初期費用だけを見て判断するのを防げます。

含有範囲が不明な項目の扱い

公開されている料金だけでは分からないことも残ります。
竹田印刷の料金例には、初期費用と月額費用、主な機能は載っていますが、初期費用にどこまでの作業が含まれるか、どんな場合に別費用になるかは書かれていません1。
導入時には、商品や得意先の情報を新しい仕組みへ登録する作業、既存の注文データを移す作業、社内担当者への操作説明、得意先への利用案内といった準備が発生します。
これらが初期費用に入っているのか、別料金なのかは、提供元ごとに見積もりで確かめるほかありません。

ここが曖昧なまま各社を比べると、作業を多く含む見積もりほど高く見え、含まない見積もりほど安く見えるという逆転が起きます。
安く見えた見積もりを選んだあとで、データ移行や得意先への案内を別に発注することになれば、稟議の数字はそこで崩れます。
初期費用の金額を並べる前に、同じ作業がどの見積もりに入っていて、どれに入っていないかを揃えることが、比べられる数字を作る前提になります。

導入にかかる費用を、支払う時期で初期・運用・別途に分けた構成
初期費用・運用費用・別途費用の三つに、本文に挙げた費用を振り分けた図。登録やデータ移行などは初期費用に含むかが提供元ごとに異なる
▼ 図の内容を文字で読む
  • 初期費用(導入時に一度)
    • SaaS型の導入費用(1社の目安30〜50万円)
    • ハーフ・フルスクラッチ型の追加開発
    • 登録・データ移行・操作説明・得意先への案内(含むかは提供元ごとに確認)
  • 運用費用(使い続ける間)
    • アカウント数に応じた月額利用料(SaaS型)
    • 保守を担う技術者の人件費(フルスクラッチ型)
  • 別途費用(必要になったとき)
    • オプション追加・独自カスタマイズ
    • 数年に一度の改善対応
    • ドメイン・SSL証明書

機能構成で変わる費用:料金例6件の読み方

料金例6件の初期費用と月額

費用の内訳が見えたところで、実際の料金例で金額の動き方を確かめます。
竹田印刷はTS-BASE受発注の料金例を6件公開しており、それぞれにプラン名、初期費用、月額費用、主な機能が載っています1。
プランは、受注業務を扱う「受注プラン」と、出荷業務まで含む「受注+出荷プラン」の二つです1。

6件の初期費用は50万円から150万円、月額費用は14万円から40万円の範囲に分かれます1。
最も小さいのは、受注+出荷プランで部署別在庫と送り状連携を備えた料金例01で、初期費用50万円・月額14万円です1。
最も大きいのは、同じ受注+出荷プランで複数配送先への一括注文を備えた料金例06で、初期費用150万円・月額40万円です1。
同じプラン名でも、載せる機能の違いで初期費用に3倍の開きがあるわけです。

機能の違いと費用の見え方

両端の間にある料金例を見ると、機能と費用の関係はもう少し入り組んでいます。
承認機能を持つ料金例03は初期費用63万円ですが、月額は26万円で、初期費用95万円の料金例04(月額25万円)より月額が高くなっています1。
初期費用が同じ150万円の料金例05と06でも、月額は25万円と40万円で違います1。
初期費用の高い順に並べても、月額が同じ順に並ぶとは限りません。

全体を眺めると、一括注文のように得意先の注文の仕方を広げる機能や、仕入先への発注まで扱う機能を含む例ほど、初期費用が高い位置にある傾向は見えます。
ただし、料金例には機能ごとの価格も、利用人数や得意先数などの規模の前提も書かれていません1。
竹田印刷のコラムも、費用は規模や搭載する機能の数、追加開発の範囲で変わると説明しています2。
料金例どうしの差が機能によるものか規模によるものかは切り分けられないため、「この機能を足すと何万円」と読むことはできません。

それでも料金例は、自社の状況に近い構成を探す手がかりになります。
電話・メール・FAXで受けていた注文をWEBへ移すのが目的なら、まず受注プランの範囲で足りるのか、出荷の手配まで同じ画面で扱いたいのかが分かれ目です。
出荷の手配を別の仕組みで続けるなら、受注データを出荷側へ渡す作業が残り、その転記をどう減らすかが次の検討になります。
料金例04のように仕入先マスタや発注書作成、仕入先へのFAX連携まで含む構成は、得意先からの受注と仕入先への発注を一つの仕組みで扱う場合の例として読めます1。

基幹連携・得意先別価格は見積もりで確認する

受注側でとくに気になるのは、販売管理や在庫管理などの基幹システムとつなぐ場合や、得意先ごとに違う単価を設定する場合の費用です。
WEBで受けた注文を基幹システムへ手で打ち直す作業が残れば、電話やFAXの入力はなくなっても、転記そのものは続きます。
得意先別の単価が仕組みに載らなければ、注文が届くたびに担当者が単価表と照らし合わせる確認も残ります。

Hands using a pink calculator to manage expenses amidst various receipts and documents.
▽ 写真の出典元

こうした連携や得意先別価格が費用にどう影響するかは、公開されている料金例やコラムからは読み取れません12。
ここは金額の見当を付けず、見積もりで必ず聞く項目として扱うのが確実です。
いま受注情報をどの画面からどの画面へ移しているかを書き出し、その転記をなくしたいのか、当面は残してよいのかを伝えると、提供元も連携の要否と範囲を判断しやすくなります。

料金例 初期費用(万円) 月額費用(万円)
料金例01 50 14
料金例02 67 18
料金例03 63 26
料金例04 95 25
料金例05 150 25
料金例06 150 40

初期費用だけで選ばない:月額を含めた総額と、導入形態の選び方

初期+月額×月数で揃える

料金例で見たとおり、初期費用の差と月額の差は同じ方向に動くとは限りません。
そこで稟議の数字は、「初期費用+月額費用×利用月数」という一つの式で揃えると、比べる基準がぶれなくなります。
ここでは利用期間を仮に36か月(3年)と置いて、料金例の総額を試算します。
36か月は計算のための例で、実際には自社が想定する利用年数に置き換えて使います。

初期費用が最も小さい料金例01は、50万円+14万円×36か月で554万円になります1。
初期費用が最も大きい料金例06は、150万円+40万円×36か月で1,590万円です1。
初期費用の差は100万円ですが、36か月の総額では1,036万円の差に広がります。
この試算は公開料金をもとにした仮の計算で、実際の契約金額や導入実績ではありません。

間の料金例では、順番の入れ替わりも起きます。
初期費用は料金例03(63万円)のほうが料金例04(95万円)より小さいのに、36か月の総額は03が999万円、04が995万円で、04がわずかに下回ります1。
月額が1万円違うだけでも36か月で36万円の差になり、初期費用の32万円の差を打ち消してしまうからです。
利用期間を長く置くほど、総額は初期費用より月額の差で決まっていきます。

形態をまたいで比べるときも、考え方は同じです。
フルスクラッチ型では保守を自社で行うため、技術者の人件費が運用費に影響するとされています2。
SaaS型で月額として支払う費用が、スクラッチ型では社内の人件費や委託費として現れるということです。
開発費だけでなく、同じ期間の運用費を同じ式に入れて並べると、初期費用の大小に引きずられた判断を避けられます。

最小構成から始められる選択肢の位置づけ

総額で考えると、月額の小さい構成から始めるという選び方も見えてきます。
COREC(ラクーンホールディングス)の受注側は初期費用0円で、無料プランと、月額2,980円(税別)のビジネスプランがあります3。
無料プランは会員登録した1名だけが使え、注文フォームは4種まで、出荷伝票や請求書は20件までという上限があります3。
ビジネスプランでは担当者を何名でも追加でき、注文フォームは200種まで、伝票や請求書は無制限とされています3。

この料金を、さきほどの料金例と同じ総額の表に並べて比べるのは正確ではありません。
機能の範囲や利用者数の前提が違い、同じ仕事をさせた場合の金額ではないからです。
また、この料金ページには取引に対する手数料の記載がないため、取引量に応じた費用が別にあるかどうかは契約前に確かめておく必要があります3。

それでも、最小構成で始められる選択肢があることは、稟議の組み立て方を変えます。
たとえば、一部の得意先にWEBからの注文を試してもらい、注文の入り方や社内の確認作業がどう変わるかを見てから、本格的な構成へ移るという段取りが取れます。
反対に、出荷連携や承認、一括注文といった機能が最初から欠かせないなら、小さな構成で始めても、後で仕組みを移し替える手間が生じます。
どちらを選ぶかは、最初に減らしたい作業が注文の受け付けにあるのか、その後の出荷や承認にあるのかで決まります。

初期費用の差が月額の差に打ち消される試算例(36か月は計算のための仮の期間・模式図)
料金例03と04を、初期費用+月額×36か月で比べた図。初期費用は03が32万円小さいが、月額が1万円高く、総額は03が999万円、04が995万円で逆転する
▼ 図の内容を文字で読む
  • 比べる式
    • 初期費用+月額費用×利用月数
    • 利用期間は仮に36か月(実際は自社の想定年数)
  • 二つの料金例
    • 料金例03:初期63万円・月額26万円→総額999万円
    • 料金例04:初期95万円・月額25万円→総額995万円
  • 差の出方
    • 初期費用の差は32万円(03が小さい)
    • 月額1万円の差×36か月=36万円
    • 総額では04がわずかに下回る

見積もりを依頼するとき伝える条件と、比べる項目

依頼時に伝える条件

ここまでで、費用が動く場所は、導入形態、アカウント数、機能の数とオプション、追加開発、そして利用期間だと見えてきました。
見積もりを依頼するときは、この動く場所を自社の条件として先に書き出して渡すと、各社の金額を同じ前提で比べられます。
竹田印刷のコラムも、選定の前に必要な機能を洗い出すことを重要としています2。

前提を揃えるために、依頼時に伝えておきたい条件を整理すると次のようになります。

  • 必要な機能:受注だけか、出荷・承認・一括注文・仕入先への発注まで扱うか
  • 利用者数:注文を受ける人、在庫を見る人、出荷を手配する人、承認する人の人数
  • 得意先の数と、得意先ごとに単価や注文の受け方が違うかどうか
  • 基幹システム・在庫・出荷の仕組みとつなぐ必要があるか、つなぐならどのデータを渡すか
  • 既存の商品・得意先・注文データの移行が要るか
  • 得意先への利用案内や操作説明を、どこまで提供元に頼みたいか
  • 利用を想定する年数

この整理は、どの提供元にも同じ形で渡せるようにすることがねらいです。
条件を打ち合わせで口頭で伝えるだけだと、提供元ごとに受け取り方が変わり、ある会社は出荷連携込み、別の会社は受注だけという見積もりが並んでしまいます。
同じ紙を渡しておけば、返ってきた金額の差が条件の解釈の差なのか、提供元の価格の差なのかを見分けやすくなります。

見積書で比べる項目

見積書が揃ったら、合計金額より先に、項目の並びを比べます。
見るべきは、初期費用に含まれる作業の範囲、月額の計算根拠(アカウント数によるのか、定額なのか)、オプションとして別に計上された機能、カスタマイズの有無と金額、保守や改善対応の扱いです。
ある見積書には書かれていて別の見積書には書かれていない項目があれば、それは「標準で含まれている」のか「見積もりから漏れている」のかを問い合わせる対象になります。

項目を揃えたうえで、各社の「初期費用+月額×利用月数」を同じ期間で計算すると、稟議に載せる数字が一本の比較表になります。
承認する側から「なぜこの会社なのか」と聞かれたときにも、金額の差がどの条件の差から来ているのかを示せます。
初期費用は高いが月額が低い、初期費用は低いがオプションが多い、といった違いも、同じ式に入れればどちらが総額で有利かを説明できます。

発注側の場合の分岐

ここまでは、得意先から注文を受ける側が仕組みを入れる前提で説明してきました。
受注側が導入するWEB受発注では、注文を入力するのは得意先です。
そのため「得意先に費用や登録の手間がかかるなら、使ってもらえないのでは」という心配が出ます。
COREC の受注側の料金ページでは、取引先は会員登録なしで発注でき、費用もかからないと案内されています3。
得意先側の負担の有無はサービスごとに異なるため、見積もりの際に、得意先がどんな手順で注文するのかもあわせて聞いておくと、得意先への展開の計画が立てやすくなります。

反対に、自社が仕入先へ発注する側として仕組みを入れる場合は、費用の考え方が少し変わります。
料金例04のように、受注の仕組みの中に仕入先マスタや発注書作成、仕入先へのFAX連携を持つ構成もあります1。
仕入先への発注だけを効率化したいのか、得意先からの受注と仕入先への発注をつないで扱いたいのかで、必要な機能も比べるべき見積もりも変わります。
依頼時の条件には、受注・発注のどちら側の業務を対象にするのかを最初に書いておきます。

見積依頼で伝える条件と、動く費用のつながり
利用者数・利用年数、必要な機能、独自の手順、連携・データ移行・得意先への案内の四つの条件が、月額・初期費用・別途費用・総額のどこに結び付くかを示した図
▼ 図の内容を文字で読む
  • 利用者数と利用年数
    • 月額費用(アカウント数に応じた従量課金の場合)
    • 総額(初期費用+月額×利用月数)
  • 必要な機能
    • プランの選択
    • 初期費用の大きさ
    • オプション費用
  • 独自の手順
    • 独自カスタマイズの別途費用
    • 追加開発の範囲
  • 連携・データ移行・得意先への案内
    • 初期費用に含まれるかを見積書で確認

補助金で初期費用を抑えられる条件

対象者と対象ITツール

費用の見込みが立ったところで、補助金で負担を軽くできるかも気になるところです。
中小企業庁と中小機構による「デジタル化・AI導入補助金」は、日本国内で法人登記され事業を営む中小企業・小規模事業者等が、生産性向上に役立つITツールを導入する場合を対象としています4。

注意したいのは、補助の対象になるITツールが、事前に事務局の審査を受けて補助金のホームページに登録されたものに限られる点です4。
また、申請にはIT導入支援事業者(登録されたITツールの導入を支援する事業者)との連携が必要とされています(複数者連携デジタル化・AI導入枠を除く)4。
自社が使いたい受発注サービスが登録ツールでなければ、ほかの条件が合っていても補助は使えません。
製品を決めてから補助金を探すのではなく、候補を絞る段階で登録の有無を確かめておく必要があります。

対象に含まれる費用

制度概要では、相談対応などのサポート費用やクラウドサービスの利用料なども補助対象に含まれると案内されています4。
SaaS型の受発注サービスでは月額の利用料が総額の大きな部分を占めるため、初期費用だけでなく利用料も対象に入りうるという点は、総額で考える稟議と相性のよい情報です。
ただし、補助率や上限額などは申請の枠や公募の回によって扱いが異なるため、具体的な金額を見込みに入れるのは、最新の公募要領で確かめてからにします。

稟議では、補助金を使わない場合の総額を基本の数字として置き、補助が採択された場合の減額は別の行に分けておくと扱いやすくなります。
採択されなかったときにも、基本の数字を組み直さずに済むからです。

見積依頼時に確認すること

補助金の利用を考えるなら、見積もりを依頼するときにあわせて聞いておきたいことが三つあります。

  • 検討中のサービスが補助金の対象ITツールとして登録されているか
  • 提供元、または連携先がIT導入支援事業者として申請を支援できるか
  • 見積もりのうち、どの費用が補助対象として申請できる見込みか

申請の締切や事業のスケジュールは、事務局の公式サイトで最新の案内を確かめてください。
導入したい時期と申請の時期が合わなければ、補助を前提にした数字は使えなくなります。
スケジュールは見積もりと同じ段階で押さえておくと、稟議の数字と導入計画を一度に固められます。

見積依頼の条件を揃える段階では、注文の受け付けから出荷までのどこをWEBへ移すかを社内だけで決めきれないことが多いためです。

いまの受注から出荷までの作業を書き出し、見積もりで伝える機能・利用者数・連携の条件を整理できます。無料相談で要件を整理する

TS-BASE受発注 料金例の36か月総額(試算)

竹田印刷が公開するTS-BASE受発注の料金例01〜06を、初期費用+月額費用×36か月の式で試算し、料金例の番号順に並べた。

  • 料金例01(受注+出荷プラン・部署別在庫/送り状連携):初期50万円+月額14万円×36か月=554万円
  • 料金例02(受注プラン):初期67万円+月額18万円×36か月=715万円
  • 料金例03(受注+出荷プラン・承認機能):初期63万円+月額26万円×36か月=999万円
  • 料金例04(受注プラン・仕入先マスタ/発注書作成/仕入先FAX連携):初期95万円+月額25万円×36か月=995万円
  • 料金例05(受注プラン・ユーザーグループ/ファイル一括注文):初期150万円+月額25万円×36か月=1,050万円
  • 料金例06(受注+出荷プラン・複数配送先一括注文):初期150万円+月額40万円×36か月=1,590万円
Top view of a desk with a laptop, calculator, and open notepad for work or study.
▽ 写真の出典元

36か月は計算のための例です。自社の想定利用年数に置き換えると、総額の差の大きさも変わります。

要点の整理

軸 基準
初期費用の目安 1社の目安や料金例は相場ではない。導入形態を決めて幅で示す
比べる式 初期費用+月額×利用月数を、同じ期間で計算する
費用が増える場所 アカウント数・オプション・カスタマイズ・追加開発・保守
見積依頼 機能・利用者数・得意先の条件・連携・移行・案内・利用年数を同じ形で渡す
見積書の比較 合計より先に、含まれる作業と別計上の項目を揃える
補助金 登録ITツールとIT導入支援事業者との連携が前提。減額は別の行に分ける

複数の見積書は含まれる作業や月額の根拠がそろっておらず、比較の軸がないと稟議の数字が決まらないためです。 見積書を同じ期間の総額と項目で並べ、金額の差がどの条件から来ているのかを確認できます。

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よくある質問

初期費用0円のサービスと数十万円のサービスは何が違うのですか。

使える機能と利用者数の範囲が違います。
COREC の受注側は初期費用0円ですが、無料プランは1名・注文フォーム4種・出荷伝票や請求書20件までという上限があります3。
一方、竹田印刷の料金例は出荷連携や承認、一括注文などの機能を含む構成で、初期費用は50万円から150万円です1。
同じ仕事をさせた場合の価格差ではないため、必要な機能と人数を揃えてから比べてください。

得意先(発注する側)に費用や登録の負担は出ますか。

サービスによって異なります。
COREC の受注側ページでは、取引先は会員登録なしで発注でき、費用もかからないと案内されています3。
ほかのサービスを検討する場合は、得意先がどんな手順で注文するのか、費用や登録が必要かを見積もりの段階で聞いておくと、得意先への案内を計画しやすくなります。

基幹システムと連携すると費用はどれくらい増えますか。

公開されている料金例やコラムからは、連携による費用の増え方は読み取れません12。
見積もりの依頼時に、いま受注情報をどの画面からどの画面へ移しているか、どのデータを基幹システムへ渡したいかを伝え、連携の要否と金額を個別に出してもらうのが確実です。

見積書のどの項目を見れば追加費用を見落としにくいですか。

初期費用に含まれる作業の範囲(登録・データ移行・操作説明・得意先への案内など)、月額の計算根拠、オプションとして別に計上された機能、カスタマイズの有無、保守や改善対応の扱いを各社で並べて比べます。
ある見積書にだけ載っていない項目は、標準で含まれているのか漏れているのかを問い合わせてください。
オプションや独自カスタマイズには別途費用がかかると説明されています2。

受注側ではなく、仕入先へ発注する側の場合は費用の見方が変わりますか。

必要な機能が変わるため、比べる見積もりも変わります。
料金例04のように、受注の仕組みに仕入先マスタや発注書作成、仕入先へのFAX連携を含む構成もあります1。
仕入先への発注だけを効率化したいのか、受注と発注をつないで扱いたいのかを依頼時に明記し、総額は受注側と同じく「初期費用+月額×利用月数」で比べます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:竹田印刷株式会社「TS-BASE 受発注 料金ページ(料金例)」(2026年)
  2. 2 出典:竹田印刷株式会社「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)
  3. 3 出典:ラクーンホールディングス株式会社「COREC(コレック)卸売向けBtoBクラウド受注システム 料金ページ」(2026年)
  4. 4 出典:中小企業庁/中小機構 デジタル化・AI導入補助金事務局「デジタル化・AI導入補助金 制度概要」(2026年)

画像の出典元

  1. Hands using a pink calculator to manage expenses amidst various receipts and documents./Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels
  2. Top view of a desk with a laptop, calculator, and open notepad for work or study./Photo by Jakub Zerdzicki on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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