まずは卸売ECを小規模でスタートしたい方へ。リーズナブルなSaaS(ASP)版『EC-Rider Primo(プリモ)』誕生! 詳しくはこちら

Web受注システムで窓口を一本化するには?電話を残す範囲・移行の順序・停止時の備え

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 窓口の一本化は受付手段を一つにすることではなく、電話・FAX・メール・Webのどこから届いた注文も同じ受注システムに登録することと捉えると、電話を残しながら進められる。
  • 得意先は「自分でWebに入力できるか」「電話をやめてもらえるか」で振り分け、Web直接入力・併用・電話代行入力を使い分ける。
  • 代行入力を残すなら、入力者の記録や修正履歴の扱いを契約前にベンダーへ確かめ、復唱と確認メールで誤りに気づく時点を出荷前に寄せる。
  • 移行は抵抗がない先での試用から始め、併用期間を挟んで広げ、得意先ごとにWebで届いた割合などを見て電話の縮小を検討する。
  • SLAは稼働率だけでなく除外条件・サポート受付時間・補償の形まで読み、停止時は電話・FAXで受けて復旧後に入力し、重複を照合する手順を決めておく。

30代前半の日本人男性が備品棚の棚卸をしている場面

電話の注文が抜ける・間違う場面で、Web受注の窓口一本化は何を一つにすることか

電話で受けた注文をメモに取り、手が空いてから受注画面に打ち込む。
その途中で品番を聞き違えたり、担当者の不在で伝言が埋もれたりすると、Web受注システムに入口を寄せたくなります。
ただ、電話でしか頼まない得意先もいて、全員をWebへ切り替えるのは現実的ではありません。
そこで、一本化する対象を受付手段ではなく、注文データの登録先と考えます。
電話は社内で聞いてWebへ入力する代行入力として残し、得意先を移しやすさで3つに分けて、抵抗の少ない先から併用期間を挟んで移します。
停止に備えて、SLAの除外条件とサポート時間を確かめ、電話で受けて後から入力する手順を決めておきます。

転記漏れ・聞き間違い・不在時の取りこぼしが起きる工程

電話注文の流れを、受ける側の手元で追ってみます。
得意先の担当者から電話が入り、受けた社員が品番、数量、納期、届け先を聞いてメモを取ります。
手が空いたところで、そのメモを見ながら販売管理や受注の画面に入力し、出荷の指示へ回します。
この流れの中で、注文が抜けたり変わったりする場面は大きく三つあります。

  • 聞く場面:似た読みの品番、ケースとバラの取り違え、言い直された数量の聞き落とし
  • 書き写す場面:メモから画面への入力が後回しになり、入力そのものが漏れる。
    別の人が入力してメモの字を読み違える
  • 不在の場面:担当者がいないときに受けた伝言が、本人に届かないまま埋もれる

三つに共通するのは、口頭で受けた内容がいったん紙や記憶を通り、別の場所へ書き写されることです。
聞き間違いは電話という手段の弱さですが、転記漏れと取りこぼしは、受けた場所と登録する場所が離れていることから起きます。
得意先が自分でWeb受注システムに入力すれば、この書き写しは受注側からなくなります。
代わりに、品番の選び間違いや数量の打ち間違いは得意先の手元で起こりうるので、誤りそのものが消えるわけではありません。
誤りが起きる場所と、それに気づく人が変わる、と捉えるほうが実態に近いでしょう。

では、得意先にWebで入力してもらう前提はどこまで置けるのでしょうか。
中小企業庁の令和3年度取引条件改善状況調査を引いた解説記事によると、2021年までに電子受発注に対応したと答えた受注側の企業は48.5%、発注側の企業は40.9%でした1。
回答は22,757社、調査期間は2021年9〜11月で、数年前の全体の値です1。
電話注文の割合や転記ミスの発生率を示す数字ではなく、自社の得意先一社ごとの状況もここからは分かりません。
それでも、発注する側の半数以上が対応したと答えていなかった時点の数字を見ると、Webの受け口を用意すれば電話が自然に消える、という前提は置きにくいことが分かります。

受付手段の統一と注文データ登録先の統一の違い

窓口の一本化には、二つの意味があります。
一つは受付手段の統一で、電話やFAXの受付をやめ、すべての得意先にWebで注文してもらう形です。
もう一つは注文データの登録先の統一で、電話・FAX・メール・Webのどこから届いた注文も、同じ受注システムに1件の注文として登録し、出荷や請求はそこから進める形です。

前者は、電話を手放せない得意先にも画面の操作を求めることになります。
急ぎの追加や、在庫を聞きながら決める注文まで画面に寄せようとすると、得意先の手間が増え、取引の関係にも響きかねません。
後者なら電話は残せます。
電話で受けた注文も、社員がその場で同じ受注システムに入力すれば、Webから届いた注文と同じ一覧に並びます。

登録先をそろえて減るのは、紙のメモや個人の手帳、メールの受信箱に分かれていた「まだ台帳に載っていない注文」です。
担当者が不在でも、受けた人がシステムに入れれば、ほかの社員が同じ画面で注文を確かめられます。
出荷担当が電話の伝言とWebの注文を別々に突き合わせる手間も減ります。
一方で、電話で聞いた内容を画面へ打ち込む作業は社内に残ります。
社員が得意先に代わって受注システムへ入力するこの作業を、ここでは代行入力と呼びます。
どの得意先を代行入力で受け、どの得意先にWebで入れてもらうかが、次に決めることです。

立場 導入率(%)
受注側 48.5
発注側 40.9
窓口の一本化の二つの意味と登録先をそろえたときの変化(模式図)
受付手段の統一は電話をやめて全得意先にWeb入力を求め、登録先の統一は電話を残したまま同じ受注システムに集め、台帳外の注文が減り代行入力が残ることを示した図
▼ 図の内容を文字で読む
  • 受付手段の統一
    • 電話やFAXの受付をやめる
    • すべての得意先にWebで注文してもらう
    • 電話を手放せない得意先にも画面の操作を求める
  • 登録先の統一
    • 電話・FAX・メール・Webの注文を同じ受注システムに1件ずつ登録する
    • 電話は残せる
    • 出荷や請求はそこから進める
  • 登録先をそろえて変わること
    • 減る:まだ台帳に載っていない注文
    • 残る:電話の内容を画面へ打ち込む代行入力

電話を使う得意先を残すとき、Web直接入力・電話代行入力・併用をどう選ぶか

得意先を3つに分ける軸

得意先の分け方について、Web発注システムの移行手順を解説した記事は、取引先を「抵抗がない先」「少しのサポートで移行できる先」「強い抵抗がありそうな先」に分け、全取引先を一斉に移行させないことを勧めています3。
民間の解説記事による考え方で、分けた結果どれだけ電話が減るかを示すものではありません。
それでも、得意先ごとに受け方を変えるという出発点は、登録先を一つにそろえる考え方とよく合います。

では、自社の得意先リストを前にしたとき、何を見て3つに振り分ければよいのでしょうか。
手掛かりになるのは、注文の頻度、1回の注文に含まれる品目数、パソコンやスマートフォンでの発注への慣れ、電話をやめにくい事情の四つです。
いずれも、得意先の担当者がWebで注文するときの手間と、電話でしか伝えにくい事柄の多さに関わります。

注文の頻度が高く、毎回似た品目を頼む得意先は、入力に慣れれば電話より手早く注文を済ませられる可能性があります。
反対に、品目数が多く、在庫や代替品を相談しながら決める得意先にとって、電話は単なる受付ではなく相談の場です。
操作への慣れは、得意先の事務所や店舗に発注に使える端末があるか、担当者が画面の操作に抵抗を感じないかで変わります。
電話をやめにくい事情には、現場から急ぎで追加を頼む場面や、長年の取引の習慣などがあります。

四つをそのまま点数にすると判断が複雑になるので、「自分でWebに入力できるか」と「電話をやめてもらえるか」の二つの問いにまとめると振り分けやすくなります。
どちらにも答えられる得意先は抵抗がない先、入力はできても電話を残したい得意先は少しのサポートで移せる先、入力そのものが難しい得意先は強い抵抗がありそうな先、という対応です。
この二つの問いは記事としての整理なので、自社の得意先の事情に合わせて組み替えてかまいません。

手段ごとの向き不向き

三つの分類に、受け方を一つずつ当てはめると次のようになります。

受け方 向いている得意先 受注側に残る作業 起きやすい問題
Web直接入力 抵抗がない先(自分で入力でき、電話をやめることにも抵抗が小さい) 届いた注文の確認、操作の問い合わせへの対応 得意先側での品番の選び間違いや数量の打ち間違い
併用 少しのサポートで移せる先(入力はできるが、急ぎや相談では電話を使いたい) 電話分の代行入力、Webの注文との突き合わせ 同じ注文がWebと電話の両方から届く重複
電話代行入力 強い抵抗がありそうな先(入力が難しい、または電話をやめにくい) 聞き取り、復唱、受注システムへの入力 聞き間違いや入力の誤りが社内に残る

表の中で判断が分かれやすいのは併用です。
併用の得意先は、普段はWebで入力し、急ぎや相談のときだけ電話をかけてきます。
このとき起きやすいのが、Webで送った注文を念のため電話でも伝える、という重複です。
電話を受けた社員がそのまま代行入力すると、同じ注文が2件登録され、出荷の段階まで気づかないこともありえます。
電話を受けたら、まず受注システムでその得意先の直近の注文を開き、すでに入っていないかを見てから入力する、という順番を決めておくと、重複の入口を一つ閉じられます。

電話代行入力の得意先は、受注側から見ると以前の電話受付とあまり変わりません。
違うのは、メモを経由せず、Webの注文と同じ受注システムへ入れる点です。
そのため、電話代行入力を「移行できなかった残り」と見る必要はありません。
登録先がそろっていれば、窓口の一本化の内側にある受け方の一つです。
ただし社内の転記は残るので、誰がどう入力するかの決めごとが必要になります。

代行入力を残す場合の入力者・権限・履歴の確認

代行入力で困るのは、誤りが見つかったあとです。
得意先から「頼んだ数量と違う」と連絡があったとき、その注文を誰がいつ入力したのか、得意先が自分で入れたのか社員が代わりに入れたのかが分からないと、聞き取りの誤りなのか入力の誤りなのかをたどれません。
入力できる社員が多すぎると、同じ注文を別々の人が入れる重複も起きやすくなります。

これらを運用で抑えるには、受注システムが代行入力をどう扱うかが前提になります。
社員が得意先に代わって注文を登録できるか、入力者の記録や修正の履歴が残るか、といった仕様は製品ごとに異なり、すべての製品に備わっているとは限りません。
契約前にベンダーへ次のような点を尋ねておくと、運用で補う部分が見えてきます。

  • 社員が得意先に代わって注文を登録できるか、その場合どの画面から入力するか
  • 代行入力した注文に、入力した社員の名前と日時が残るか
  • 得意先自身の入力と社員の代行入力を、一覧で見分けられるか
  • 修正や取消をしたとき、変更前後の内容と操作した人が残るか
  • 代行入力できる社員を、権限で限定できるか
  • 代行入力した注文を、得意先が自分の画面で確認できるか

機能が足りない場合でも、入力担当を決めておく、入力した人が備考欄に名前を残す、といった運用で一部は補えます。
ただ、手で残す記録には書き忘れが起きるので、システムが自動で残す記録と同じようには頼れません。
代行入力で受ける得意先を多く残す見込みなら、この点は製品を選ぶときの比重を上げてよい項目です。

復唱と確認メールの置き方

聞き間違いは、受けた直後に読み上げて確かめる復唱で見つけやすくなります。
品番、数量と単位、納期、届け先を、得意先の担当者が電話を切る前に読み上げて確かめる方法です。
復唱を受注画面に入力しながら行えば、メモを取ってあとから写す工程そのものがなくなり、転記漏れの入口も一つ減ります。
画面に表示された商品名で読み上げれば、品番の言い間違いにも気づきやすくなるでしょう。

電話を切ったあとに誤りを見つける手段としては、登録した注文の内容を得意先へメールで知らせる方法があります。
電話で頼んだ注文が文字になって届けば、得意先の担当者は出荷前に数量や納期の違いに気づく機会を得ます。
代行入力した注文でも確認メールが自動で送られるかは、製品と設定によります。
送られない場合は、手作業で受注確認を送る範囲を、急ぎの注文や初めて頼まれた品目の注文などに絞る方法もあります。

復唱も確認メールも、誤りがなくなることを約束するものではありません。
変わるのは、誤りが見つかる時点です。
出荷後に得意先から指摘されて気づいていたものを、電話口や出荷前の段階で見つけられる場面を増やす仕組み、と考えるとよいでしょう。

得意先の分類と受け方 自分でWebに入力できる度合い 電話をやめてもらえる度合い
抵抗がない先(Web直接入力) 2 2
少しのサポートで移せる先(併用) 2 1
強い抵抗がありそうな先(電話代行入力) 1 1
誤りに気づく時点の流れ:電話口、出荷前、出荷後(模式図)
電話口の復唱、出荷前の確認メール、出荷後の指摘の順に、誤りに気づく機会がどこにあるかを示した図
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 電話口
    • 受注画面に入力しながら品番、数量と単位、納期、届け先を復唱する
    • 画面の商品名で読み上げる
  2. 出荷前
    • 登録した注文の内容を確認メールで得意先へ知らせる
    • 代行入力でも自動で送られるかは製品と設定による
  3. 出荷後
    • 得意先から指摘されて気づく
    • 復唱と確認メールで、ここまで残る誤りを減らす

電話からWeb受注へ、どの得意先から・どの順で移すか

スモールスタートの進め方

得意先を振り分けたら、抵抗がない先から始めます。
先に触れた解説記事は、抵抗の少ない数社で1〜2か月ほど試し、その後に従来の手段との併用を3か月〜半年程度設け、移行の状況を見て従来手段の縮小や廃止を検討する流れを示しています3。
期間は一つの記事が示す目安で、得意先の数や注文の量、繁忙期の位置によって変わります。

最初の数社には、注文がある程度定期的にあり、使いにくさを率直に伝えてくれる関係の得意先が向いています。
注文の少ない先だけで試すと、受注側の処理が回るかを確かめる機会が少なくなるためです。
試している期間は、得意先側と受注側の両方を見ておきます。

  • 得意先側:商品を探すのに迷った画面、入力をやめて電話に戻った場面、問い合わせの内容
  • 受注側:Webで届いた注文が出荷指示や請求まで途切れずに流れるか、電話で受けた注文との突き合わせに手間が残っていないか

この期間に出た問い合わせは、次の得意先への案内にそのまま使える材料になります。
どこでつまずくかが分かれば、少しのサポートで移せる先に何を用意すればよいかが具体的になるからです。
その材料をもとに、少しのサポートで移せる先へ広げていく段階が、併用期間と重なります。

併用期間と縮小の判断

併用期間は、得意先がいつでも電話に戻れる期間です。
得意先にとっては、Webで迷っても電話で頼めるという安心があり、受注側にとっては、Web受注で見つかった問題を取引を止めずに直せる余裕になります。
一方で、受け口が二つある状態が続くと、重複注文の確認や、電話とWebの両方に目を配る手間も続きます。
併用は、いずれ終えるか形を変える前提で置いておくほうが、社内の負担が膨らみません。

終わりをいつにするかは、期間の長さよりも得意先ごとの様子で判断するのが筋です。
たとえば、その得意先の注文のうちWebで届いた割合、電話での代行入力の件数の推移、Webで送ったあとに確認の電話がかかってくる頻度などを月ごとに見ていくと、移行が進んでいるのか止まっているのかが分かります。
これらは自社で数えられる指標の例で、何割を超えれば終えてよいという決まった基準があるわけではありません。

縮小は、電話を一律に止めることだけを指しません。
電話で受ける時間帯を絞る、急ぎの追加や相談に限る、代行入力で受ける得意先を決めて残す、といった段階もあります。
解説記事が示しているのも、移行の状況を見て縮小や廃止を検討するという流れで、電話をどこまで残すかの線引きは各社が決める部分です3。
登録先が一つにそろっていれば、電話をどこまで残しても、注文が台帳の外に散らばる心配は小さくなります。

得意先への案内の要点

得意先にとって、注文の手段を変えるのは自社の仕事のやり方を変えることです。
受注側の事情だけを伝えると、手間を押しつけられたように受け取られかねません。
案内では、得意先の担当者の側で何が変わるかを先に伝えます。

  • 注文の送り先がどこになり、いつから使えるか
  • 受付時間を気にせず注文を送れる、送った内容を画面で見返せるなど、得意先にとっての使い勝手(導入する製品で実際にできることに限る)
  • いつまで電話でも受け付けるか、併用期間の後も電話で頼める場面はあるか
  • 入力に困ったときの問い合わせ先と、最初の操作を一緒に行う支援の有無

受注側にとって大きい転記ミスの削減も、得意先から見れば「頼んだものが頼んだとおりに届く」ことにつながります。
伝えるときは、誤りがなくなると約束するのではなく、注文が文字で残り、食い違いを確かめやすくなる、という変化として伝えるほうが誠実です。

30代前半の日本人男性が提案書の説明をしている場面

強い抵抗がありそうな先には、無理に期日を区切らず、電話の代行入力で受け続ける選択肢を残しておくと関係を損ねにくくなります。
発注する側の事情もさまざまです。
先に挙げた調査の引用では、2021年度の発注側の電子受発注の導入率は40.9%でした1。
また、2021年9月の報道では、中小企業庁が中小企業の電子受発注システム導入率を、2023年をめどに約2割から約5割へ引き上げることを目指すとされていました2。
二つは数字の取り方が違う別の資料なので、並べて増減を読むことはできず、目標がその後どこまで達成されたかもこの報道からは分かりません。
ただ、国が電子受発注の普及を目標に掲げていたことは、受注側だけの都合でお願いしているのではない、と説明する際の材料にはなります。

併用期間の良い面と続いたときの負担(模式図)
併用期間は得意先にとって電話に戻れる安心、受注側にとって問題を直せる余裕になる一方、受け口が二つ続くと重複確認などの手間が残ることを示した図併用期間は得意先にとって電話に戻れる安心、受注側にとって問題を直せる余裕になる一方、受け口が二つ続くと重複確認などの手間が残ることを示した図得意先にとってWebで迷っても電話で頼める安心受注側にとってWeb受注で見つかった問題を取引を止めずに直せる余裕受け口が二つ続くと重複注文の確認の手間電話とWebの両方に目を配る手間いずれ終えるか形を変える前提で置く

▼ 図の内容を文字で読む
  • 得意先にとって
    • Webで迷っても電話で頼める安心
  • 受注側にとって
    • Web受注で見つかった問題を取引を止めずに直せる余裕
  • 受け口が二つ続くと
    • 重複注文の確認の手間
    • 電話とWebの両方に目を配る手間
    • いずれ終えるか形を変える前提で置く

Web受注システムが止まったときに受注を止めないために、SLAと代替手順で何を確かめるか

稼働率の定義と除外条件

Web受注に寄せるほど、システムが止まったときに注文が入らなくなる不安は大きくなります。
その備えを考えるとき、まず目に入るのがSLA(サービス品質保証)、つまり提供者が稼働率などの水準と、それを下回ったときの扱いを約束する取り決めです。
SLAの内容は提供者ごとに違うため、ここでは株式会社ショーケースがAI-OCRサービス「NaviCast AI OCR」について公開しているSLAを、読み方の例として取り上げます4。
受発注システムのSLAではないので、数字や条件をそのまま受注システムに当てはめることはできません。

このSLAでは、稼働率を(月間総稼働時間-月間サービス停止時間)÷月間総稼働時間×100で算出します4。
そのうえで、事前に告知したメンテナンス、AWSなど第三者のサービスの障害、不可抗力などは測定から除外されています4。
つまり、こうした理由で止まった時間は、稼働率の数字を下げません。

受注の側から見ると、ここが読み落としやすいところです。
稼働率の約束が高くても、除外される停止のあいだは注文を受けられません。
受注システムのSLAを読むときは、稼働率の数字と並べて、何が測定から外れるのかを見ておく必要があります。
たとえば、計画メンテナンスがいつ、どれくらい前に告知されるのかは、朝の受注が集中する時間帯や月末の繁忙期と重なるかを判断する材料になります。
製品がクラウドの基盤の上で動いているなら、その基盤の障害がどう扱われるかも同じように見ておきたい点です。

サポート受付時間と補償

止まったとき、誰に連絡できるかも確かめておきたい点です。
例に挙げたSLAでは、電話の受付は平日10:00〜19:00で土日・祝日を除き、時間外のシステムダウンや全面停止は緊急窓口へメールで連絡できるとされています4。
自社の受注が早朝から始まる、土曜も出荷している、といった事情があれば、サポートの受付時間と受注の時間がずれる時間帯が出てきます。
その時間に止まった場合、提供者からの回答を待つあいだも、注文は社内で受け続けなければなりません。

補償の中身も見ておきます。
同じSLAでは、稼働率が99.5%以上なら返金なし、95%以上99.5%未満なら月額利用料の10%、95%未満なら25%が返金されます4。
これは1つのサービスの条件で、受注システムの水準や相場を示すものではありません。
読み取れるのは補償の形で、戻ってくるのは利用料の一部です。
止まっているあいだに受けられなかった注文や、得意先がほかの仕入先へ頼んでしまった分の損失を埋めるものではありません。

SLAは、提供者がどこまで責任を持つかを知るための資料です。
稼働率の高い契約を選ぶことには意味がありますが、それだけで受注が止まらなくなるわけではありません。
止まったときに注文を受け続けられるかは、社内の手順で決まります。

停止時に電話で受けて後から入力する手順

停止時の受け方は、新しく考えるより、普段の代行入力の延長に置くと無理がありません。
電話で聞いて受注システムに入れる作業を日常的にしている社員がいれば、停止のあいだは電話で受けて記録し、復旧後に入力するという、同じ手順の後半を遅らせる形で対応できるからです。
電話を代行入力として残しておくことは、得意先への配慮であると同時に、停止時の受け皿にもなります。

  1. 停止を判断する:誰が、どの状態になったら停止とみなして代替の受付に切り替えるかを決めておく
  2. 得意先へ知らせる:Webの画面が見られない前提で、メールや電話で、電話・FAXでの注文を受け付けることを伝える
  3. 電話・FAXで受けて記録する:品番、数量と単位、納期、届け先、受けた人、受けた時刻を決めた様式に書き、復唱で確かめる
  4. 復旧後に代行入力する:記録を受けた順に受注システムへ入力し、入力済みの印を記録に付ける
  5. 重複を照合する:停止の直前に得意先がWebで送っていた注文が登録されていないか、電話の注文と同じものがないかを確かめる
  6. 得意先へ確認を送る:入力した注文の内容を、確認メールや電話で得意先に伝える

このうち手間がかかりやすいのは、復旧後の照合です。
停止の直前に得意先が送信した注文が届いているのか、届いていないのかは、得意先にも受注側にもすぐには分かりません。
得意先が念のため電話でも頼んでいれば、同じ注文が二つの経路で入ります。
記録の様式に受けた時刻を必ず書いておくのは、Webの注文の登録時刻と並べて見比べるためです。

記録の様式は、止まったシステムの中ではなく、紙や別の場所に用意しておきます。
手順は定期的に実際に回してみると、連絡先が古くなっていた、様式の項目が足りなかった、といった点が見つかりやすくなります。
停止時の受け方まで決まっていれば、Web受注に入口を寄せても、受注そのものが止まる場面を小さくできます。

停止時に電話・FAXで受けて平常の受注へ戻るまでの流れ(模式図)
停止の判断と連絡、電話・FAXでの記録、復旧後の代行入力、重複の照合と確認を経て、平常の受注へ戻る循環を示した図
▼ 図の内容を文字で読む
  1. 停止の判断と得意先への連絡
  2. 電話・FAXで受けて記録(受けた時刻を含む)
  3. 復旧後に受けた順で代行入力
  4. Web注文との重複を照合し、得意先へ確認を送る
  5. 平常の受注へ戻る(手順を見直して次の停止に備える)

得意先を3つに振り分ける判断は取引の事情を知る社内が中心になりますが、電話・FAX・メール・Webのどこで書き写しが起きているかは、受注の流れを外から一緒に並べ直すと見えやすくなります。

いまの受け方を並べ、どの注文を同じ登録先にそろえられるか、代行入力で残す得意先の範囲をどこに置くかを確かめられます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
一本化の対象 受付手段ではなく、注文データの登録先を一つの受注システムにそろえる
受け方の振り分け 自分でWebに入力できるか、電話をやめてもらえるかの二つで得意先を分ける
代行入力 入力者の記録・修正履歴・権限の扱いを契約前にベンダーへ確かめる
移行の順序 抵抗がない先で試し、併用期間を挟んで広げ、得意先ごとの様子で縮小を検討する
SLA 稼働率の数字と除外条件、サポート受付時間、補償の形を合わせて読む
停止時 電話・FAXで受けて記録し、復旧後に代行入力して重複を照合する
20代後半の日本人女性が年度末の書類整理をしている場面

代行入力の扱いやSLAの除外条件は、自社の受注時間や繁忙期と照らし合わせて初めて、どこに備えが要るかが分かります。 ベンダーへ尋ねる確認項目と、停止時に電話・FAXで受けて後から入力する手順のうち、自社の受注で決めておくべき点を洗い出せます。

BtoB通販システムのご相談

貴社の商習慣に合わせたご提案をいたします。

無料相談はこちら

よくある質問

電話注文を代行入力するとき、入力者の権限や履歴は残せますか。

残せるかどうかは製品によります。
社員が得意先に代わって注文を登録できるか、入力者と日時、修正の前後の内容が記録に残るか、代行入力できる社員を権限で限定できるかは、契約前にベンダーへ具体的に尋ねておく項目です。
記録が残らない製品でも、入力担当を決める、備考欄に名前を残すといった運用で一部は補えますが、書き忘れが起きうるため、システムが自動で残す記録と同じようには頼れません。

併用期間の終わりは、どの指標で判断すればよいですか。

決まった基準はありません。
得意先ごとに、注文のうちWebで届いた割合、電話での代行入力の件数の推移、Webで送ったあとの確認電話の頻度を月ごとに見ると、移行が進んでいるか止まっているかを判断しやすくなります。
解説記事では併用を3か月〜半年程度とする目安が示されていますが3、得意先の数や繁忙期の位置で変わります。

得意先に電話を減らしてもらうとき、どう案内すればよいですか。

受注側の事情より先に、得意先の担当者の側で何が変わるかを伝えます。
注文の送り先と開始時期、いつまで電話でも受け付けるか、困ったときの問い合わせ先、注文が文字で残り食い違いを確かめやすくなる点などです。
期日を区切って一斉に切り替えるより、抵抗の少ない先での試用と併用期間を挟むほうが、関係を保ちながら進めやすくなります。

SLAの稼働率が高ければ、受注が止まる心配はありませんか。

稼働率の約束が高くても、事前告知のメンテナンスや第三者サービスの障害などが測定から除外される場合があり、そのあいだも注文は受けられません。
例として見たAI-OCRサービスのSLAでは、補償は月額利用料の一部返金で、受けられなかった注文の損失を埋めるものではありませんでした4。
停止時に電話・FAXで受けて復旧後に入力する手順を、SLAとは別に決めておく必要があります。

FAXや電話しか使えない得意先は、最後までそのまま残してよいですか。

注文が同じ受注システムに登録されていれば、代行入力で受け続けることは窓口の一本化と矛盾しません。
ただし、聞き取りと入力の作業、それに伴う誤りの確認は社内に残ります。
電話・FAXの窓口をどこまで残すかに決まった基準はなく、その得意先の注文量と社内の入力負担を見比べ、復唱や確認の送付で誤りを見つけやすくしたうえで、自社で決める部分です。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:オリックス・レンテック株式会社「受発注のデジタル化は製造業にどんなメリットをもたらすか」(中小企業庁『令和3年度取引条件改善状況調査』の引用、2021年度)
  2. 2 出典:日刊工業新聞社(ニュースイッチ)「中小企業庁が中小企業の電子受発注実現へ開発する「データ連携基盤」の全容」(2021年)
  3. 3 出典:@SOHO編集部「WEB発注システムの導入ステップ|取引先に負担をかけない移行計画 2026」(2026年)
  4. 4 出典:株式会社ショーケース「NaviCast AI OCR サービス品質保証基準(SLA)」(2026年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

記事内容に関するお問い合わせ:お問い合わせフォーム

BtoB EC(受発注)サイト構築システム「EC-Rider B2B Ⅱ」への
各種お問い合わせ

ページTOPへ戻る
無料相談を予約 お見積
平日10:00~18:00
page
top