『旧ECシステムの終了を転機に――在庫ゼロでも注文可能な特殊業態に対応、EC-Rider B2Bで業務を再構築』

営業部 高津 雅仁氏(左)

■企業名:株式会社ポディウム / PODIUM Co.Ltd.
■所在地:奈良県奈良市
■企業概要:欧州を中心としたスポーツ自転車部品の輸入・卸売り
■導入日:2025年3月10日~
■企業サイト:https://www.podium.co.jp/
株式会社ポディウム様は、ヨーロッパのスポーツ自転車部品を日本市場に提供する専門卸売り業者です。創業以来、BtoBでの業務用卸を中心に、専門性の高い知識と海外ネットワークを活かした提案力で多くの専門店や販売代理店からの信頼を得てきました。
商材は多岐にわたり、長納期かつ流通量が限られる高付加価値製品が多いことが特徴です。今回、長年使用してきたECシステムの終了をきっかけに、業務変革とEC基盤の刷新を迫られた同社が選んだのが「EC-Rider B2B」でした。
旧ECシステムの終了による危機と変革のきっかけ
――今回、システムを刷新することになった背景を教えてください
高津氏:きっかけは、長年使っていたECのサービス終了の連絡でした。長年使ってきたシステムは、自社のフローに合わせて何年もカスタマイズを積み重ねてきたので、「今後はどうなってしまうんだろう」という不安が大きかったです。
特に困ったのは、在庫ゼロでも受注できる運用や、納期が年単位で変動するといった、業界特有の複雑な事情に対応できる代替システムが、そもそも存在しないことです。

菅田氏:一方で、「せっかく変えるのであれば以前のシステムではできなかったことを新しいシステムで実現しよう」という意識もありました。
私たちの業界は、“少量多品種”で“在庫を持たない輸入卸業”で、“特注品”も多い特殊な商売ですから、完全に適したシステムはありません。しかもERP(基幹システム)は変えず、受発注だけを更新したいという条件もあったため、次のシステムの選定は非常に難しかったです。
在庫がなくても受注―業界構造に適応した柔軟性
――いくつかある選択肢の中でEC-Rider B2Bを選定いただいた理由は何でしたか?
高津氏:一番は「未来在庫」※の管理ができるところです。私たちのビジネスは予約を受けてからメーカーへ発注することも多く、欠品していても受注をしたいというケースもあります。
他社の多くのパッケージは、在庫ありきの仕組みを前提とされていたので、「うちの仕様では無理ですね」で終わることが多かったんですが、EC-Riderの担当者さんは、「どうすればできるか?」を考えて提案してくれました。また、購入履歴が管理できるところも重要でしたね。
※未来在庫=実在庫がゼロでも入荷情報がある場合に注文受付ができるEC-Rider B2BⅡ独自機能

菅田氏:単に機能があるかどうかではなく、“どう運用に落とし込めるか”という視点が最も重要でした。我々は直接何社ものメーカー様とやり取りを行うので、すべての商品の在庫を持つなんて不可能です。だからこそ「未来在庫」への対応ができないと、この業界は回りません。
また、卸である私たちのお客様は「お店」です。つまりお店が最も忙しくなるのは私たちが休んでいる土日などの休日です。そんな時に、代わりにしっかり働いてくれる存在として、ECサイトがどれだけ対応できるか最大のポイントでした。
単なるツールとしてではなく、できる限り業界の商習慣をなじませることを意識して構築を進めました。
2万点の商品を整理―業務の棚卸しが効いた導入プロセス
――システム移行時にどのような苦労がありましたか?
菅田氏:商品マスタやカテゴリの整理からやり直しだったので、現場は大変でした。2万点くらいあった商品登録もだいぶ精査しました。プラットフォームを変更する上でどうしても必要な作業になりますが、以前のシステムと操作概念が異なるので、社内オペレーションの切り替えが必要で、慣れるまで感覚的な不自由さはどうしてもありました。
ただ、「どう見せるか」「どう運用するか」をアップデートする機会にもなり、商品情報の見直しや分類の再構成ができたので、今はやって良かったと思っています。

――システム導入後に感じられる効果はありましたか?
高津氏: サイトの利用率の高さを実感しています。今はネット注文で商品を購入することが当たり前になってきていますので、操作性も意識していました。EC-Rider B2Bは、写真一つとっても見せ方が大きく変わり、カタログを開いているようなイメージで使ってもらえています。
画像のバリエーションが増え、お客様から「これはどんな製品?」といったお問い合わせも減りました。視覚情報が充実したことでお客様の「迷い」が減り、判断できるようになったのだと思います。 菅田氏:EC経由で上がってくる受注の店舗数が増えましたね。
以前より電話やメールで連絡を受けて手入力をする作業が激減したので、EC利用が増えている実感はあります。FAXも減りましたね。かなりのお客様がECでの注文に移行しています。

――スタート直後の反応はいかがでしたか?
菅田氏:お客様から検索性が悪いというフィードバックを受けて、検索キーワードの見直しや検索対象の設定を調整しました。また、お客様の注文後の確認メールに商品型番を表示させるなど、細かなシステムの改善にも柔軟に対応していただいて、そこから反応が良くなりましたね。
| EC-Rider B2B導入後の変化 ・スタート直後は検索性の課題があったが柔軟に対応し反応は改善された ・EC経由の注文が増加し、FAXや電話対応の手作業が減少 ・商品画像の充実により、カタログ的な見やすさを実現 ・商品の見た目、デザインや仕様に関するお問い合わせが減少 |
理想と現実のギャップを埋める継続的なサポート体制
――現在の課題や今後改善したいと感じている点はありますか?
菅田氏:EC-Rider B2Bは、基本的には「在庫のある商品を販売する」という一般的なプラットフォームの考え方に沿っているので、ギャップが生じることもあります。
未来在庫は、『納期が未確定だけれど、注文を先に受けたい』商品が多いため、実運用とのギャップが生じることもあります。例えば、画面上は入荷予定や仕入れ数が表示されていても、実際にはメーカーや仕入れ先の都合で変動することもあり、自分たちではコントロールできない領域だけに、どう伝え、どう受け付けるかが課題です。
高津氏:また、「在庫ゼロ=注文不可」という仕様が一部に残っている点もあります。納期が未定の段階でも予約を受け付けたいので、「仮受注」のような仕組みが柔軟に使えるようになるとありがたいですね。
菅田様:まだ完全に理想の形というわけではないですが、私たちの声を聞いて段階的に対応してもらえている実感がありますし、在庫ゼロの状態でも注文を受けたい、という当初の希望は仕様の調整と運用の工夫でカバーできているので、アップデートを重ねながら、よりフィットした形に進むことを期待しています。
できない理由より「どう実現するか」を考える―“育てるEC”の共創パートナー
――当社のサポート体制や対応についてはいかがでしたか?
高津氏:こちらの要望に対して、ただ「できません」というのではなく、「こういう方法ならできます」と代替案をプラン立ててくれたのは非常に安心材料となりましたね。納得できる落としどころをつくっていただけたと思っています。
菅田氏:頭を抱えるような相談もさせていただきましたが、「お金をかけてカスタマイズしてください」ではなく、「こういう方法はどうですか」と提案してくれて、非常に良心的な対応でした。一緒にシステムを“育てていく”姿勢を感じられました。システムは入れたら終わりではありません。
OSやサーバーの進化についていけず、更新が止まってしまえば、再構築が必要になります。前回のシステムではそこに失敗がありました。今回は継続的にアップデートし、長く付き合えるパートナーとして継続的に進化してくれる期待感があります。

――今後、どのようにECを活用していきたいとお考えですか?
菅田氏:今後は、再入荷通知機能や、代理店ごとの購入履歴をもとにしたレコメンドなども活用して、より販促力を高めていきたいです。
検索機能も強化し、「あなたへのおすすめ」や「バンドル提案」など、お客様の購買傾向を解析して、ECサイトを“見るだけ”じゃなく“提案してくれる存在”に進化させていきたいです。
高津氏:以前のパッケージだとソフトとしての進化が留まっている感じがして、そこに未来はないという印象がありました。フライトソリューションズさんはEC-Rider B2Bのパッケージをアップデートしていたり、進化を続けているので、長期的なお付き合いができると思ったんです。
菅田氏:業界全体としても、同じシステムが入るといいなと思います。色んな問屋さんが仕様の異なる様々なシステムを導入しているので、統一してくれたらお客様にとって使いやすさが上がります。
なにより、長く使えるシステムが最終的に「強み」になると思うんですよ。一般的なECパッケージを使うのは難しい、だからこそ、「長く使える仕組みを、信頼できるパートナーと一緒に育てていく」、この視点で、これからも取り組んでいきたいです。
(以上)