◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 締め請求は、取引先ごとに決めた締め日までの取引を1通の請求書にまとめる方式です。掛け売り対応に必要な機能要件は与信枠・締め請求・入金消込の3つとして整理されています12。
- 適格請求書には6項目の記載が要り6、消費税額の端数処理は税率ごとに1回だけです8。帳簿及び請求書等の保存期間は7年です7。
- 2026年に施行される取適法は2、支払期日を物品等の受領日から60日以内と定め、遅延利息を年14.6%としています1。
- 手形と小切手の交換業務は2027年3月に終わります3。でんさいの発生記録請求は2024年に802万件で、2014年の62万件を上回ります4。
目次

締め請求と都度請求の違い
締め請求とは、取引先ごとに決めた締め日までの取引をまとめ、1通の請求書で代金を請求する方式です。BtoB ECの掛け売りに必要な機能要件は与信枠・締め請求・入金消込の3つに整理され12、2026年に施行される取適法は支払期日を物品等の受領日から60日以内と定めています1。
締め請求と都度請求の違いは、請求書を出す単位にあります。都度請求は出荷のたびに1通、締め請求は締め日までの取引をまとめて1通です。BtoB EC化率は2024年に前年から3.1ポイント上がりました5。取引がオンラインへ移るほど受注は細かく分かれますから、出荷ごとに請求書を組む形は、件数の増加をそのまま事務の量として受け取ることになります。
月末の17時、経理の机に出荷伝票の束が積まれます。EC側の受注明細と基幹側の出荷実績を、担当者が1行ずつ指でなぞって突き合わせていきます。単価が合わなければ営業に電話をかけ、「あの先は特別価格です」と返ってくるのを待つ。BtoB ECを開いたあとも、請求書だけは手元に残っている。そういう月末を過ごしていませんか。
そうした月末の作業の元にあるのが、商品を先に渡し、代金を後から受け取る掛け売りという取引です。渡してから入金までの間、代金は未収のまま自社の手を離れています。取引先ごとに上限と期日を決めておかなければ、未収が積み上がっても気づく手立てがありません。締め請求は、その期日を取引先ごとに固定するための仕組みでもあります。
月末に伝票を1行ずつ指でなぞって突き合わせるこの時間は、どの請求書にも載らないまま、毎月の人件費として出ていきます。
締め請求を支える3つの機能
掛け売りの請求を回すには、与信枠の設定・締め処理・請求書の発行・入金消込という4段の処理が要ります。公表されている整理では、BtoB ECの掛け売り対応に必要な機能要件は与信枠・締め請求・入金消込の3つです12。ここに適格請求書の要件が重なり、請求書の発行が1段として挟まります。順に見ていきましょう。
与信枠と与信管理の流れ
与信枠の設定は、取引先ごとに「いくらまで未収を許すか」を決める作業です。公表されている手順では、与信管理の導入は5つの段に分かれます13。決算書や信用調査の情報を集め、基準を作り、枠を割り当て、日々の受注で枠を照合し、定期に見直す。この照合が受注の画面の中で働かないと、枠を超えた注文がそのまま通ってしまいます。
取引先ごとの締め日と支払サイト
締め処理は、締め日までの受注と出荷を1通ぶんにまとめる作業です。締め日は取引先ごとに分かれ、支払日もそれに応じて動きます。取引先の数だけ締め日と支払日の組み合わせが生まれますから、これを人の記憶や表計算で持つと、担当者が替わった月に取り違えが起きます。締め日の設定が取引先の台帳と一体になっているか。ここが見る所です。
入金消込までの流れ
入金消込は、振り込まれた金額と請求の明細を突き合わせる作業です。振込名義が請求先と違う、複数の請求がまとめて1件で入る、端数だけが残る。この3つが重なると、消込は手作業へ戻ります。入金の明細を取り込み、請求との組み合わせを機械が当て、残った差異だけを人が見ます。ここまで通して初めて、締め請求は運用に乗るのです。
この形を続けるかぎり、請求書1通ごとに6項目の記載6を人の目で確かめる時間が、締め日のたびに戻ってきます。
適格請求書が課す記載要件
適格請求書には、記載が要る事項が6項目あります6。締め請求では1通に明細が多数載りますから、様式を決める段でこの6項目を織り込んでおくと、後の手直しが減ります。対処は3段で足ります。記載事項の反映、端数処理の設定、電子での保存です。
1段目の記載事項の反映では、請求書の様式に6項目を入れます6。発行者の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率、税率ごとの消費税額等、交付を受ける事業者の氏名または名称です。締め請求では取引年月日が期間にまたがりますから、明細行の日付をそのまま載せる形にしておきます。
2段目の端数処理の設定では、税率ごとに1回だけ端数を処理する形に直します8。明細の行ごとに端数処理をして積み上げる形は認められていません。締め請求は明細の行数が多い分、ここを取り違えたときの差額も月ごとに積み上がります。計算の順序は、様式の決定と同じ段で確かめておきましょう。
3段目の電子での保存では、保存先と期間を決めます。仕入税額控除のために帳簿及び請求書等を保存する期間は7年です7。紙で出した控えを7年ぶん置く場所と、必要なときに1通を取り出す手間を思えば、電子で保存する形のほうが後の負担は軽くなりますね。
取適法が変える支払期日のルール
2026年に施行される取適法は、代金の支払期日に上限を置きます2。物品等の受領日から起算して60日以内が上限で、これを超える支払条件は認められません1。締め請求の仕組みを選ぶときの判断軸は3つです。支払期日を受領日から自動で計算できること、手形以外の決済手段を扱えること、期日を過ぎた債権を一覧で拾えること。この3つで見てください。
60日以内の支払期日
支払期日の設定は、物品等の受領を起点に置きます。受領日から60日以内が上限ですから1、締め日と支払日の組み合わせによっては、月ごとに上限を超える取引先が出てきます。締め日から起算した日数ではなく、受領日から起算した日数で見ることが出発点です。取引先ごとの条件を並べ、超える組み合わせを洗い出す作業から始めます。
手形払い禁止と14.6%の遅延利息
代金の支払に手形を用いることは、取適法で禁じられます1。支払条件に手形の条項が残っている取引先については、振込や電子記録債権への切り替えを先に決めておく必要があります。契約書の支払条項と、締め請求の仕組みの側に持っている決済手段の区分。この2つが食い違ったまま運用に入ると、請求書の支払条件の欄だけが古いまま残ります。
代金の支払が期日を過ぎた場合、遅延利息は年14.6%です1。受け取る側から見れば入金の遅れは資金繰りに直に効きますし、支払う側から見れば利息が積み上がります。どちらの側にとっても、期日を過ぎた債権をその日のうちに拾える一覧が欠かせません。締め請求の仕組みを選ぶ段で、この一覧の有無を確かめておきましょう。
以降は、自社の条件が標準の形から外れる方に向けて、型ごとの選び方をさらに詳しく述べます。
ここまでの手順を自社の条件で確かめたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。
電子交換所が閉じる2027年3月
続く型ごとの分かれ目は、公表された調査に基づく順位に沿って並べます3。
順位根拠:公表された調査
- 与信枠・締め請求・入金消込の3つの機能を先に揃えます。掛け売り対応に必要な機能要件はこの3つとして整理されており12、ここが整わないまま決済手段だけを替えても、請求と入金の突き合わせは手作業のまま残ります。
- 取引先ごとの支払期日を、物品等の受領日から60日以内に収まるよう置き直します1。2026年に施行される取適法の定めで2、締め日と支払日の組み合わせによっては、今の条件のままでは上限を超える月が出ます。
- 支払条件から手形の条項を外します。取適法は代金の支払に手形を用いることを禁じており1、契約書の支払条項と請求書の支払条件の欄の双方を直す必要があります。
- 決済手段を電子記録債権へ移します。でんさいの発生記録請求は2024年に802万件で、2014年の62万件から増えています4。受取側の登録が済んでいないと、切り替えの日に入金だけが止まります。
- 2027年3月に電子交換所の交換業務が終わりますから3、それまでに取引先への周知を済ませます。紙の手形が即日使えなくなるわけではありませんが、交換の受け皿が無くなる点は決まっています。
この順序に自社の行が見当たらない方は、次の型の表から近い条件を探せます。
条件別に見る締め請求の始め方
| 型名 | 当てはまる条件 |
|---|---|
| 与信体制を持たない新規参入 | 与信の判断基準と審査の担い手が社内になく、取引先の数もこれから増える段にあります |
| 数万点規模の卸売 | 取扱商品が数万点にのぼり、取引先ごとに価格と締め日が分かれています |

与信体制を持たない新規参入者の選び方
与信体制を持たない新規参入では、先に述べた与信枠の設定が、そのままでは動きません。枠を決める材料になる取引実績が、まだ手元に積み上がっていないからです。決算書を取り寄せても、読み解いて基準に落とす担い手が社内にいない段では、与信管理の5つの手順13のうち最初の段で止まります。
この型で見る軸は、法の要件への適合ではありません。始めるまでの日数と、試せる範囲、扱える上限の3つです。公表されている料金では、申込から最短3日で使い始められる区分があり、無料で試せる期間は30日、その間に扱える商品数は500SKUまでとされています15。有料の区分では30,000SKU、取引先は10,000件までです15。月額は88,000円(税抜)から始まります15。
頼まずに済ませる道もあります。取引先が数社にとどまり、締め日が全社で同じで、支払も振込だけという段であれば、表計算と銀行の入金明細でも請求と消込は回ります。取引先が増え、締め日が分かれ、与信枠の照合が受注のたびに要るようになった時点が、仕組みに載せ替える境目です。
| 確認の対象 | この型での基準 |
|---|---|
| 始めるまでの日数 | 申込から最短3日で使い始められること15 |
| 試せる範囲 | 30日の無料の期間で、500SKUまで試せること15 |
| 扱える上限 | 有料の区分で30,000SKUと取引先10,000件まで伸びること15 |
| 月々の費用 | 月額88,000円(税抜)から始められること15 |
取扱商品が数万点規模の卸売事業者の選び方
取扱商品が数万点規模の卸売では、標準の形の上限に先に触れます。商品数は30,000SKU、取引先は10,000件という上限が公表されていますから15、数万点を扱う段ではこの区分の外側で考えることになります。取引先ごとに価格が分かれ、締め日も分かれる。組み合わせの数が、そのまま設定の量になります。
この型で見る軸は、扱える量と、基幹システムとの接続です。ベースエンジンの利用料は月額170,000円から、モデルケースの月額ASP利用料は260,000円と公表されています14。費用の水準そのものより、取引先別の価格と締め日を基幹側から受け取れるか、与信管理の5つの手順13を誰が回すかのほうが、後の運用を分けます。
既存の販売管理システムに締め処理が乗っているなら、そこを動かさない選び方もあります。ECは受注の入口に限り、締めと請求は今の仕組みで続ける。この形なら、入れ替えの範囲は受注データの受け渡しだけに収まります。商品マスタの持ち方を変えずに済む分、立ち上げも早くなります。
| 確認の対象 | この型での基準 |
|---|---|
| 商品数と取引先数 | 30,000SKU・取引先10,000件という上限に触れないか15 |
| 与信の手順 | 5つの手順を誰が回すかが決まっているか13 |
| 月々の費用 | ベースエンジンの利用料が月額170,000円から、モデルケースで月額260,000円14 |
| 基幹との接続 | 取引先別の価格と締め日を基幹側から受け取れるか |

この型に当てはまる場合は、判断の抜けによる手戻りを防ぐために、無料相談で自社の条件を持ち込むのが確実です。
要点の整理
| 判断軸 | 基準 |
|---|---|
| 請求の方式 | 締め日までの取引を1通にまとめるか、出荷ごとに1通出すか |
| 機能の範囲 | 与信枠・締め請求・入金消込の3つが揃っているか12 |
| 請求書の要件 | 6項目の記載と、税率ごとに1回の端数処理に対応しているか68 |
| 支払期日 | 受領日から60日以内に収まり、手形以外の決済手段を扱えるか1 |
| 保存 | 帳簿及び請求書等を7年保存できるか7 |
| 規模 | 30,000SKU・取引先10,000件という上限に触れないか15 |
よくある質問
締め請求の仕組みを導入する費用はどのくらいかかりますか
公表されている料金には、月額88,000円(税抜)から始まる区分があります15。取扱商品と取引先の数が増える段では、ベースエンジンの利用料が月額170,000円から、モデルケースの月額ASP利用料が260,000円と示されています14。取引先数と商品数、それに基幹システムとの接続の有無で、当てはまる区分が変わります。
導入までにどのくらいの期間が必要ですか
申込から最短3日で使い始められる区分があります15。無料で試せる期間は30日で、その間に扱える商品数は500SKUまでです15。ただし、与信の判断基準づくりと取引先ごとの締め日の設定は、社内で決める事柄です。ここに要る時間は、取引先の数と決裁の段取りで変わります。
免税事業者からの仕入れはどのように扱いますか
適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れには、経過措置が置かれています。令和8年度税制改正の大綱では、一の事業者からの課税仕入れについて年間1億円を上限として経過措置が認められる旨が示されています11。仕入れ先の登録の有無を台帳で持ち、上限に触れる先を見分けられるようにしておきます。
消費税額の端数処理はどう計算しますか
一の適格請求書につき、税率ごとに1回だけ端数を処理します8。明細の行ごとに端数処理をした金額を積み上げる形は認められていません。売上税額を積上げ計算で求める場合は、交付した適格請求書の写しに記載した消費税額等の合計額に78%を乗じます9。計算の方法は、請求書の様式と一緒に決めておきます。
値引きや返品があった場合、請求書はどうなりますか
売上げに係る対価の返還等が生じた場合は、適格返還請求書を交付します。ただし、税込価額が10,000円未満の返還等については、交付義務が免除されています10。締め請求では、値引きを当月の請求書の中で相殺する形と、別に返還請求書を出す形の2つが出てきます。どちらで運用するかを先に決めておきましょう。
支払が期日に遅れた場合はどうなりますか
2026年に施行される取適法では、支払が遅れた場合の遅延利息が年14.6%と定められています12。期日の上限は、物品等の受領日から起算して60日以内です1。締め請求の仕組みの側で、期日を過ぎた債権を日々の一覧で拾えるようにしておくと、督促の遅れを防げます。
- 1 出典:公正取引委員会「委託事業者の義務(取適法の支払期日・遅延利息規定)」(2026年) 経路
- 2 出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」(2026年) 経路
- 3 出典:一般社団法人全国銀行協会「電子交換所の交換廃止時期の決定および手形・小切手交換廃止時期の明確化について」(2026年) 経路
- 4 出典:一般社団法人全国銀行協会「紙の手形・小切手利用廃止へ」(2026年) 経路
- 5 出典:経済産業省 商務情報政策局情報経済課「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年) 経路
- 6 出典:国税庁「タックスアンサー No.6625 適格請求書等の記載事項」(2025年) 経路
- 7 出典:国税庁「タックスアンサー No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」(2025年) 経路
- 8 出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問57」(2024年) 経路
- 9 出典:国税庁「タックスアンサー No.6383 課税標準額に対する消費税額の計算」(2025年) 経路
- 10 出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問70」(2023年) 経路
- 11 出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱(4/9)」(2025年) 経路
- 12 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB EC掛売り決済の対応方法|2026年取適法と要件」(2026年) 経路
- 13 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB ECの与信管理の進め方|取適法対応の手順」(2026年) 経路
- 14 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B Ⅱ 料金プラン」(2026年) 経路
- 15 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo 料金」(2026年) 経路
画像の出典元
- Aerial view of downtown Sacramento showcasing the Capitol Bu/Photo by Stephen Leonardi on Pexels
- Close-up of a contactless payment transaction in a retail se/Photo by Kampus Production on Pexels
- 50代前半の日本人男性が請求書の封入をしている場面/画像:生成AI(自社)