◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 小規模かどうかは会社の人数ではなく、取引先の数・商品点数・受注の経路の量で見分けます。
- 小規模でも掛け売りへの対応は避けられず、必要な機能は与信枠の設定・締め請求・入金消込の三つに整理できます。
- 費用は小規模カスタマイズのモデルケースとして初期費用と月額の下限が公開されており、期間は開発そのものよりも商品データと価格の整理にどれだけ手が要るかで動きます。
目次

小規模のBtoB通販とはどこからどこまでか
従業員が数十名の規模でも、BtoB通販サイトは作れます。ただし進め方は、大手向けの仕組みをそのまま小さくすることではありません。いまFAXと電話で回している受発注のうち、どこをオンラインに移すかを先に決め、その範囲に見合う仕組みを選ぶ順序になります。取引先から「オンライン発注に対応してほしい」と言われた段階でまず確かめるのは、自社の取引先数と商品点数が小規模の範囲に収まるか、掛け売りをどこまで仕組みの側で扱う必要があるか、そして費用と期間が自社の予算と納期の感覚に収まるかの三点です。この記事では、その順に判断の材料を並べ、最後に依頼先を選ぶ基準を整理します。
規模は人数ではなく取引の量で見る
BtoB通販の規模は、会社の従業員数ではなく、仕組みが日々さばく取引の量で決まります。見るべきは、継続して発注のある取引先の数、サイトに載せる商品点数、そして一定期間に入る受注の件数です。この三つが、担当者が目で追える範囲に収まっているかどうかが、小規模と中堅以上を分ける実感に近い境目になります。
従業員が数十名の卸売業で、受発注をFAXと電話で回している状態であれば、取引先は営業担当が名前で言える範囲、受注も一日の件数を数えられる範囲に収まっていることが多いはずです。その場合は小規模の側に入ると考えて差し支えありません。逆に、商品点数だけが極端に多い場合は、取引先が少なくても商品データの整備に手が要るため、小規模の扱いから外れることがあります。
置き換える範囲を先に決める
小規模で失敗しやすいのは、受発注のすべてを一度にオンラインへ移そうとすることです。実際には、定番品の繰り返し発注だけを先に移し、特注品や価格交渉を伴う案件は従来どおり電話で受ける、という分け方が現実的です。置き換える範囲が決まれば、必要な機能も自然に絞られます。
そのため、見積りを取る前に、取引先の数・商品点数・受注の経路を紙に書き出しておくことをおすすめします。この四つの手順を踏むだけで、依頼先に伝えるべき条件がほぼ揃います。
必要な機能の輪郭が見えたところで、次に気になるのは費用です。小規模の案件がどのくらいの幅に収まるのかを見ていきます。
小規模でも掛け売りの対応は要るか
掛け売りは規模ではなく商習慣で決まる
掛け売りへの対応が要るかどうかは、自社の規模とは関係がありません。取引先が月末締めの請求書払いで発注してきたのであれば、通販サイトになってもその慣行は変わらないからです。むしろ、これまで電話とFAXで受けていた注文をそのままオンラインに移すのですから、支払い条件だけが変わるということは起こりません。
カード決済や前払いだけの仕組みを選ぶと、既存の取引先がサイトを使えず、結局FAXが残ります。オンライン発注に対応してほしいという要望に応えるという当初の目的からすれば、掛け売りへの対応は選択肢ではなく前提と考えたほうが話が早くなります。
掛け売り対応は三つの機能に整理できる
では、掛け売りに対応するために仕組みの側へ何を求めればよいのか。公開されている解説では、掛け売り対応に必要な機能は与信枠の設定、締め請求、入金消込の三つとされています1。逆に言えば、この三つが揃っていれば、小規模の取引を回すうえで足りないものは多くありません。
注意したいのは、これらを人手の運用で補えると考えないことです。与信枠を表計算で管理し、請求書を手作業で作り、入金の確認を通帳と突き合わせている状態は、いまの担当者の負担をそのまま残すことになります。オンライン化の効果は受注の入口だけでなく、その後ろの経理の流れまで含めて考える必要があります。
費用の目安が見えたら、あわせて確かめておきたいのが納期です。上司に報告するうえでも、いつ頃から使えるようになるかは必ず問われます。
ここまでで、自社が小規模の範囲に収まるか、掛け売りに何が要るか、費用と期間がどのくらいの幅に収まるかが揃いました。残るのは、この条件をどの依頼先に持ち込むかという判断です。
自社が小規模の範囲に収まるかは、取引先の数と商品点数を並べてみないと判断がつきません。同じ規模の受発注を扱ってきた相手に現状を見てもらうと、置き換える範囲の線引きが早く決まります。
現在の取引先数・商品点数・受注の経路を書き出した状態でご相談いただければ、どこまでを標準機能で賄えるか、どこから個別の対応になるかの見当をその場でお伝えできます。無料相談で要件を整理する
掛け売り対応で外せない三つの機能
- 与信枠の設定:取引先ごとに掛け売りで受けられる上限を決め、上限を超える注文をその場で止められるようにする。
- 締め請求:取引先ごとの締め日にあわせて期間内の受注をまとめ、請求の内容を自動で組み立てる。
- 入金消込:入金の記録と請求の内容を突き合わせ、どの請求がいつ支払われたかを追えるようにする。
この並びに優劣の順序はありません。
費用と期間を見積もる前提として、掛け売り対応で外せない機能を改めて並べておきます。見積書を読むときは、この三つがどこまで標準で含まれているかを確かめてください1。

何を基準に依頼先を選べばよいか
| 型 | 向いている状況 | 依頼前に確かめること |
|---|---|---|
| 既製の仕組みをそのまま使う型 | 取引先が限られ、価格も全社共通で、商品点数が多くない | 掛け売りの三つの機能が標準で入っているか |
| 小規模のカスタマイズを加える型 | 取引先ごとに価格や掛け率が異なり、帳票の様式に指定がある | どこまでが標準で、どこからが追加費用になるか |
| 基幹システムとの連携を含めて個別に作る型 | 在庫や売上を基幹システムで管理しており、二重入力を避けたい | 連携の範囲と、連携部分の保守を誰が持つか |
標準機能だけで足りるかを見極める
確かめるのは掛け売りの扱い
最も費用を抑えられるのは、既製の仕組みを設定だけで使う進め方です。判断の分かれ目は、掛け売りの三つの機能が標準で備わっているかどうかにあります1。BtoC向けの通販の仕組みを流用する場合、ここが欠けていることがあります。
また、取引先ごとにログインを分け、それぞれに見える商品と価格を変えられるかも確かめてください。BtoBでは全社同一の価格で売る場面のほうが少なく、ここが動かせないと結局使えません。
| 確かめる項目 | 確かめ方 |
|---|---|
| 掛け売りの三つの機能 | 標準機能の一覧に与信枠・締め請求・入金消込が載っているか |
| 取引先ごとの価格 | 取引先ごとに異なる単価を設定できるか |
| 帳票の様式 | 納品書や請求書の様式を自社の運用に合わせられるか |

標準機能の一覧だけでは、自社の掛け売りの運用がそのまま載るかどうかは分かりません。実際の締め日や請求の様式を見せながら確認するのが確実です。
いま使っている請求書と納品書の様式をお持ちいただければ、設定だけで対応できる範囲かどうかを確かめられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
費用の幅が最も大きい型
標準と追加の境目を先に聞く
自社の運用に合わせて手を入れる型では、どこまでが標準機能で、どこからが個別対応かによって費用が動きます。前半で挙げた初期費用と月額の目安は、この型のモデルケースとして公開されているものです2。自社の要望を並べたうえで、それぞれが標準の範囲かどうかを一つずつ確かめると、見積りの根拠がはっきりします。

小規模の案件では、要望を全部そのまま実現するより、運用を少し合わせて標準機能で済ませたほうが、費用も期間も納期も収まりがよくなる場面が多くあります。依頼先に「これは運用で回避できませんか」と聞ける関係かどうかも、選定の材料になります。
| 聞くこと | 聞く相手への問い方 |
|---|---|
| 標準と追加の境目 | この要望は標準機能ですか、追加開発ですか |
| 費用の内訳 | 初期費用に含まれる作業はどこまでですか |
| 月額の内容 | 月額に保守と問い合わせ対応は含まれますか |
費用の幅が最も大きいのがこの型です。要望の一つずつが標準か追加かを分けられる相手でなければ、見積りの根拠が読めません。
実現したいことを箇条書きでお持ちいただければ、標準機能で足りるもの、運用で回避できるもの、追加が必要なものに分けてお示しします。無料相談で自社の条件を持ち込む
連携の範囲と保守の持ち主を決める
二重入力を避けたいときの選択
在庫や売上を基幹システムで管理している場合、通販サイトの受注を手で基幹側へ入れ直すのでは負担が減りません。この型では、どのデータをどの向きで、どの頻度で渡すかを決めることが設計の中心になります。
小規模であっても、連携を含めると関係する担当者が増えます。基幹システムを保守している会社と、通販サイトを作る会社の役割の境目を、着手前に文書で決めておいてください。ここが曖昧なまま進むと、不具合が起きたときに調整だけで時間が過ぎます。
| 決めること | 決め方の目安 |
|---|---|
| 連携するデータ | 商品・在庫・受注・取引先のうち、どれを渡すか |
| 連携の向きと頻度 | どちら側を正とし、どの間隔で反映するか |
| 保守の分担 | 連携部分の不具合はどちらが一次対応するか |

連携は、どのデータをどの向きで渡すかを決めた時点でおおよその規模が決まります。着手前に整理しておくほど、後の手戻りが減ります。
現在の基幹システムで管理している項目をお聞かせいただければ、連携すべき範囲と、保守の分担をどう決めておくべきかを整理できます。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 規模の見極め | 取引先の数・商品点数・受注件数が担当者の目で追える範囲か |
| 掛け売り | 与信枠の設定・締め請求・入金消込の三つが標準で扱えるか |
| 費用 | 初期費用と月額を数年分で足し、月額に含まれる範囲を確かめたか |
| 期間 | 開発の期間ではなく、商品データと価格の整理に要る期間を見込んだか |
| 依頼先 | 標準と追加の境目を説明でき、運用での回避も提案してくれるか |
費用と期間は、要望の内容によって同じ規模でも幅が出ます。目安の数字だけで社内の検討を進めると、後から前提が変わりやすくなります。 自社の条件に当てはめた場合の費用と期間の見当、そして掛け売りの三つの機能がどこまで標準で賄えるかを、具体的な条件に沿って確かめられます。
よくある質問
BtoC向けの通販の仕組みを流用してBtoBに使えますか。
掛け売りの扱いが分かれ目になります。掛け売りに対応するには与信枠の設定、締め請求、入金消込の三つが必要とされており1、BtoC向けの仕組みではこれらが標準で用意されていないことがあります。取引先ごとに価格を変えられるかどうかもあわせて確かめてください。
既存の取引先がパソコンに不慣れです。それでも導入する意味はありますか。
意味はありますが、FAXと電話をすぐに止めない前提で進めてください。定番品の繰り返し発注から先にオンラインへ移し、従来の経路を並行して残す期間を設ける進め方が現実的です。移行の期間をどれだけ取るかは、依頼先を選ぶ段階で相談しておくとよい項目です。
商品点数が多いのですが、小規模の案件として扱えますか。
取引先が少なくても、商品点数が多いとデータの整備に手が要ります。公開されている導入事例でも、移行にあたって商品登録の内容を精査する工程が置かれています5。まず現在の商品マスタを棚卸しし、サイトに載せる範囲を絞ってから見積りを取ってください。
費用は初期費用と月額のどちらを重く見るべきですか。
両方を数年分で足して比べてください。初期費用が抑えられていても月額に含まれる範囲が狭ければ、保守や問い合わせ対応が別費用になります。月額に何が含まれるかを確かめたうえで、初期費用と合わせて総額で判断するのが安全です2。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB EC掛売り決済の対応方法|2026年取適法と要件(EC-Rider B2B Ⅱ 公式サイト)」(2026年) 経路
- 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
- 3 出典:株式会社イーシー・ライダー「EC-Rider B2B 導入事例(フリュー株式会社様)」(2016年) 経路
- 4 出典:株式会社イーシー・ライダー「EC-Rider B2B 導入事例(フーヅフリッジ株式会社様)」(2017年) 経路
- 5 出典:株式会社イーシー・ライダー「EC-Rider B2B 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年) 経路
画像の出典元
- 40代後半の日本人女性が電話での問い合わせ対応をしている場面/画像:生成AI(自社)
- 30代前半の日本人男性が電話での問い合わせ対応をしている場面/画像:生成AI(自社)
- 30代前半の日本人男性が電話での問い合わせ対応をしている場面/画像:生成AI(自社)
- 30代後半の日本人男性が倉庫事務所での受注対応をしている場面/画像:生成AI(自社)
- Empty hospital corridor in black and white, emphasizing open doors and healthcare environment./Photo by Oleg PavLove on Pexels