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2割特例は2026年9月末を含む課税期間で終わる
2割特例は、2026年9月末を含む課税期間までで終わります1。2026年10月という区切りで消費税率が動くわけでも、インボイス発行事業者の登録が切れるわけでもなく、変わるのは納付税額をどう計算するかという一点です。個人事業者には2027年分から、納付税額を売上税額の3割とすることができる特例が置かれていますが2、法人に同じ受け皿はありません。BtoB通販の事業者がまず決めるのは、自社の最後の適用期がいつ終わるかと、その次にどの計算方式へ移るかの二つで、そのうえで掛け売りの請求書処理を期限前に見直す順になります。
終わるのは特例であって、登録も税率も変わらない
2割特例は、インボイス発行事業者となった小規模事業者の負担を軽くするために置かれた措置で、適用できる課税期間には初めから終わりが決められていました1。ここで終わるのは、その負担軽減の措置だけです。消費税率が動くわけではなく、いったん受けたインボイス発行事業者の登録が自動で切れるわけでもありません。取引先に出す請求書の様式も、特例の有無とは切り離して考えるところです。
変わるのは、納付税額の計算のしかたです。特例のあいだは売上側の税額だけで納付税額が決まっていたため、仕入側の証憑を厚く揃えなくても申告は成り立ちました。特例が外れた課税期間からは、どの計算方式を選ぶかによって、仕入側にどこまでの記録が要るかが変わります。10月以降に効いてくるのは税率ではなく、この記録の厚みです。
「9月末で終わり」を自社の課税期間に置き換える
対象になるのは「2026年9月末を含む課税期間」までで、暦の9月末で一律に切れるわけではありません1。個人事業者は課税期間が暦年なので、2026年分が最後の適用年になります。12月決算の法人なら2026年1月から12月までの期間がこの日を含み、3月決算の法人なら2026年4月から2027年3月までの期間が最後に当たります。決算期によって、実際に計算方式が変わる申告が一年近くずれることになります。
自社の最後の適用期がいつ終わるかが決まれば、次の問いは、その後ろに何が用意されているかです。
2027年分から始まる3割特例は、誰に当たるのか
対象は個人事業者、対象年は令和9年分・令和10年分
令和8年度税制改正では、個人事業者向けに、令和9年分・令和10年分の消費税の確定申告において納付税額を売上税額の3割とすることができる特例が示されています2。暦年でいえば2027年分と2028年分の申告が対象です。個人事業者は2026年分までが2割特例の対象ですから、2027年分からの3割特例とは切れ目なくつながる形になります。
つながっているとはいえ、割合が変わる以上、同じ売上でも納付税額は増えます。手元の資金繰りを見るときは、特例が変わる年の申告と納付の時期を先に置いておくほうが安全です。
基準期間の課税売上高1,000万円以下という線
3割特例には要件があり、基準期間(適用を受ける年の2年前)の課税売上高が1,000万円以下であることが挙げられています2。2027年分でいえば、判定のもとになるのは2025年分の課税売上高です。すでに確定している数字なので、可否は先に見ておけます。
BtoB通販は一件あたりの金額が大きく、取引先が一社増えただけで基準期間の売上が線を越えることがあります。去年が線の下だったからといって、判定年も下だとは限りません。掛け売りの取引先が増えた年ほど、基準期間の課税売上高を数えるところから始めるのが確実です。
法人はこの受け皿の外にある
3割特例として示されているのは、個人事業者向けの特例です2。法人は、特例が外れた課税期間から、本則課税か簡易課税のいずれかで納付税額を計算することになります。どちらを選ぶかで、受け取った請求書をどこまで揃えて保存する必要があるかが変わり、経理の手間の見積もりもそこで決まります。
つまり、自社が個人事業者か法人か、そしてこれまで特例を使ってきたかどうかで、次に見るべき欄が分かれます。
ここまでで、2026年10月以降に変わるのは納付税額の計算のしかたであること、個人事業者には2027年分からの3割特例という続きがあり、法人にはそれがないことが決まりました。残るのは、どの計算方式に移るにせよ共通して効いてくる、掛け売りの請求と入金の処理です。

特例が外れる時期は暦ではなく課税期間の区切りで決まり、次に置ける受け皿も個人事業者と法人で異なります。自社がどちらの型に当たるかは、決算期と基準期間の課税売上高を並べてはじめて決まるため、最後の適用期が終わる前に第三者と突き合わせておくと手戻りが出にくくなります。
自社の課税期間のどこまでが2割特例の対象か、そして2027年分に3割特例の要件を満たすか。この二つを、手元の決算期と基準期間の数字で確かめられます。無料相談で要件を整理する
掛け売りに必要な5つの機能要件
掛け売りの取引が進む順、つまり注文時の与信から入金後の消込までの流れで並べた。
- 与信:取引先ごとに枠を決め、注文の時点でその枠の中に収まるかを判定する
- 締め請求:締め日ごとに期間内の取引をまとめ、請求する金額を確定する
- 請求書:確定した内容を、インボイスとして必要な記載事項を満たす形で発行する
- 保存:発行した請求書と受け取った請求書を、後から取り出せる形で保存する
- 消込:入金を請求の単位で突き合わせ、未入金を残高として把握する
取引の順ではなく着手のしやすさで見るなら、与信枠・締め請求・入金消込の3つを先に業務へ組み込み、請求書と保存はその出力として合わせるという並べ方になります3。
型ごとに見る、2026年10月以降の実務
| 型 | 2026年10月以降に効いてくること | 先に確かめる欄 |
|---|---|---|
| 2割特例を使ってきた個人事業者 | 2026年分を最後に2割特例が外れ、2027年分から3割特例の対象になりうる | 基準期間の課税売上高が1,000万円以下か |
| 2割特例を使ってきた法人 | 9月末を含む課税期間を最後に特例が外れ、個人事業者向けの3割特例には当たらない | 本則課税と簡易課税のどちらで計算するか |
| もともと課税事業者だった事業者 | 納付税額の計算は変わらず、掛け売りの請求書処理の側に論点が残る | 請求書・保存・消込が要件を満たしているか |
2026年分の次に来る、3割特例という受け皿
2027年分の可否は、2025年分の数字で見える
3割特例は基準期間、すなわち適用を受ける年の2年前の課税売上高で判定されます2。2027年分の可否を見るなら、もとになるのは2025年分の課税売上高です。すでに申告を終えた年の数字ですから、いま手元で確かめられます。
確かめる順は単純です。2025年分の課税売上高が1,000万円以下かを見て、下であれば2027年分は3割特例の対象になりうる、上であれば本則課税か簡易課税で計算する前提で準備する。この二つに分けてしまえば、2026年分の申告を終えたあとに慌てる場面が減ります。
特例を使う年でも、請求書の記載と保存は減らない
納付税額の計算が売上税額の3割で済む年であっても2、取引先へ出す請求書がインボイスとして必要な記載を満たしていることや、受け取った請求書を保存しておくことは別の話です。計算方式が軽くなることと、証憑の整備が要らなくなることは、同じではありません。
特に掛け売りでは、締め請求でまとめた一枚が請求書の役目を持ちます。まとめ方が変われば記載事項の満たし方も変わるため、締めの様式を触るときは記載事項と合わせて見るのが安全です。
| 確かめる欄 | 見るところ |
|---|---|
| 基準期間の課税売上高 | 2027年分なら2025年分が1,000万円以下か |
| 2026年分の申告 | 2割特例で申告できる最後の年として扱えるか |
| 請求書の記載 | 締め請求でまとめた内容が記載事項を満たすか |

特例の外に出たあと、計算方式を決め直す
最後の適用期の終わりから逆算して決める
法人は決算期によって、2026年9月末を含む課税期間の終わりがばらつきます1。12月決算なら2026年末、3月決算なら2027年3月が最後です。計算方式を決め直す期限は、この終わりから逆算して置くことになります。
決めるのは、本則課税と簡易課税のどちらで納付税額を計算するかです。個人事業者向けの3割特例は法人には当たらないため2、特例で一年待つという選択肢はありません。
仕入側の証憑が要る方式なら、受領請求書の保存が効いてくる
本則課税で計算するなら、仕入側の税額を積み上げるための証憑が必要になります。受け取った請求書がどこにどう保存されているかが、そのまま申告作業の重さになります。掛け売りで仕入を行っている場合、月まとめの請求書が届く形になるため、取り出せる状態で残っているかを先に見ておくところです。
どちらの方式を選ぶかが決まると、掛け売りの処理のうちどこを厚くすべきかも決まります。
| 決めること | 判断のもと |
|---|---|
| 最後の適用期 | 2026年9月末を含む課税期間がいつ終わるか |
| 計算方式 | 仕入側の証憑をどこまで揃えられるか |
| 移行の期限 | 最後の適用期の終わりから逆算した時期 |

変わらない側に残る、掛け売りの請求書処理
計算は変わらないが、処理の粗さは残ったままになる
もともと課税事業者だった場合、2割特例も3割特例も関係がなく、納付税額の計算は変わりません。ただし、掛け売りの請求と入金の処理が要件を満たしているかという論点は、特例とは無関係に残ります。与信・締め請求・請求書・保存・消込の5つが、掛け売りに対応するための機能要件として挙げられています3。
特例の話題が一巡する時期は、取引先の側で請求書の様式や締め日が動くことがあります。自社の処理が変わらなくても、受け取る側が変われば突き合わせの手間は変わります。
見直しは四つの順で下ろす
期限前の見直しは、自社の納付税額の計算方式を確かめること、締め請求でまとめた内容が請求書の記載事項を満たすかを確かめること、発行と受領の請求書の保存を確かめること、入金消込で未入金が残高として見えるかを確かめることの四つを、この順で進めるのが無理がありません。上から下へ、決めごとから日々の処理へ下ろす形です。
この四つのうち、手を入れると業務の形が変わるのは締め請求と入金消込です。与信枠と合わせた3つを先に組み込めば、請求書と保存はその出力として整います3。
| 見直す欄 | 満たしているか |
|---|---|
| 請求書の記載 | 締め請求でまとめた内容が記載事項を満たすか |
| 保存 | 発行分と受領分を後から取り出せるか |
| 消込 | 入金を請求の単位で突き合わせ、未入金が残高で見えるか |
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 2割特例の最後の適用期 | 2026年9月末を含む課税期間まで |
| 個人事業者の次の受け皿 | 令和9年分・令和10年分は納付税額を売上税額の3割にできる |
| 3割特例の要件 | 基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下 |
| 法人の選択 | 特例の外で、本則課税か簡易課税かを決め直す |
| 掛け売りの機能要件 | 与信・締め請求・請求書・保存・消込の5つ |
| 見直しの順 | 計算方式、請求書の記載、保存、入金消込の四つ |
掛け売りの機能要件は5つ挙がりますが、業務の形が変わるのは与信枠・締め請求・入金消込の3つで、ここは自社の現行の運用を見ないとどこが欠けているか判断できません。計算方式が変わる期の前に、外から見てもらうほうが直しの幅が小さく済みます。 与信枠・締め請求・入金消込が今の業務のどこにあるか、締め請求でまとめた請求書が記載事項を満たしているか、発行分と受領分の保存が取り出せる形になっているかを確かめられます。
よくある質問
2割特例は2026年10月から急に使えなくなるのですか。
暦の9月末で一律に切れるのではなく、2026年9月末を含む課税期間までが対象です1。個人事業者は2026年分が最後の適用年、12月決算の法人は2026年1月から12月までの期間、3月決算の法人は2026年4月から2027年3月までの期間が最後に当たります。
個人事業者は2027年分から必ず3割特例を使えますか。
要件があります。基準期間、すなわち適用を受ける年の2年前の課税売上高が1,000万円以下であることが挙げられています2。2027年分なら2025年分の課税売上高が判定のもとになります。
法人にも3割特例はありますか。
3割特例として示されているのは個人事業者向けの特例です2。法人は特例が外れた課税期間から、本則課税か簡易課税のいずれかで納付税額を計算することになります。
掛け売りの見直しは、どこから手を付ければよいですか。
与信枠・締め請求・入金消込の3つを先に業務へ組み込み、請求書と保存はその出力として合わせる形が取りやすいです3。掛け売りの機能要件としては、これに請求書と保存を加えた5つが挙げられています3。
- 1 出典:国税庁「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」(2023年) 経路
- 2 出典:国税庁「令和8年度税制改正特集」(2026年) 経路
- 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB EC掛売り決済の対応方法|2026年取適法と要件(EC-Rider B2B Ⅱ 公式サイト)」(2026年) 経路
画像の出典元
- オフィスの自席で納品書とノートパソコンを見比べる日本人の会社員/画像:生成AI(自社)
- Low angle view of modern skyscrapers in London. Urban archit/Photo by Andrea De Santis on Pexels
- Wide aerial shot of Dublin, CA suburbs showcasing a sprawlin/Photo by Deane Bayas on Pexels
- オフィスの自席で納品書とノートパソコンを見比べる日本人の会社員/画像:生成AI(自社)