◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 「新規の問い合わせが来ない」は集客の問題と転換の問題が混ざった状態なので、先に数で切り分ける
- アクセス解析は会社を見分けないため、ログイン後を除いた訪問数と問い合わせ・見積り記録の社名を同じ期間で突き合わせる
- 展示会や商談で渡すURLに経路ごとの目印を付けないと、その経路からの訪問は後から数えられない
- 2025年の調査では展示会出展後に商談へ発展した割合が34.18%、新規契約・受注につながった割合が26.79%で、自社の段ごとの歩留まりを置く位置の目安になる
- 初回訪問の法人が探す価格の目安と掛売り・与信の条件は、会員登録の前に読める場所に置く

アクセス解析で新規の流入経路を確かめる
「新規の問い合わせが来ない」という状態には、サイトに新規の会社がそもそも来ていない(集客の問題)と、来ているのに問い合わせへ進んでいない(転換の問題)の二つが混ざっています。打ち手がまったく違うため、先に数で切り分けます。確かめる順は、経路が先、導線が後です。アクセス解析の流入経路と、問い合わせ・見積り依頼の記録を同じ期間で突き合わせ、新規の会社がどこから来てどこで離脱しているかを出します。その数を、展示会のように同じ型の経路で他社がどこまで進んでいるかと並べると、自社で欠けている段が絞れます。欠けているのが集客側なら展示会・業界専門媒体・既存顧客の紹介という経路を仕組みとして強め、転換側なら価格の目安と掛売り・与信の条件を会員登録の前に読める形へ整えます。
訪問の経路を四つに分けて数える
最初にやることは、新しい施策を足すことではなく、いま動いているサイトに誰がどこから来ているかを数で出すことです。アクセス解析で、訪問を検索エンジン経由、URLの直接入力、外部サイトからの参照、メールやQRコード経由の四つに分けて数えます。既存取引先の受発注に使われているサイトであれば、直接入力とブックマークからの訪問が大半を占めているはずで、その割合の偏り自体が「新規の入口がまだ無い」という答えになります。
展示会で名刺と一緒に渡したURLは、そのままでは直接入力か参照に紛れて見分けが付きません。名刺やチラシに刷る短縮URLとQRコードには、経路ごとに別の目印を付けておくと、後から切り分けられます。目印を付けないまま数週間が過ぎている場合は、この時点で「展示会からの訪問が何件あったのか分からない」という状態そのものが最初の発見になります。次の展示会や次のメールから目印を付け直せば、一か月後には比べられる数字が手元に残ります。
新規の会社かどうかを問い合わせ記録と突き合わせる
アクセス解析の数字は会社を見分けません。既存取引先の担当者が受発注のために毎日訪れる分も、初めて訪れた会社の一回も、同じ一訪問として数えられます。そこで、会員のログイン後の画面を除いた訪問を新規側の目安として見ます。商品一覧や会社概要、取引条件の説明ページだけを見て帰った訪問が、いま数えるべき対象です。
次に、同じ期間の問い合わせ記録と見積り依頼の記録を並べ、社名が既存取引先かどうかを手で分けます。件数が少ないうちは表計算で足ります。この二つを突き合わせると、「新規らしき訪問は月に何件あり、そのうち問い合わせに至ったのは何件か」という一行が出ます。この一行が出るまでは、集客が足りないのか導線が悪いのかを社内で議論しても結論は出ません。数が出たら、次はその数を何と比べれば多い少ないが言えるのかを決めます。
展示会経由の商談化率を基準に自社の経路を測る
展示会の後にどれだけ商談へ進むか
比べる相手が無いと、新規らしき訪問が月に十数件という数字は評価できません。手がかりになるのは、自社と同じ経路を使っている企業の成果の分布です。2025年の調査では、展示会に出展した後の成果として「商談や打ち合わせに発展した」が34.18%と最も多く、次いで「新規契約・受注につながった」が26.79%でした1。
この割合は出展した企業が答えた成果であって、サイト経由の問い合わせ率ではありません。そのまま自社の目標値に置き換えるものではなく、あくまで「展示会という経路は商談まで進みうる経路である」という位置の確認に使います。展示会で接点を持った相手から商談が生まれている企業が一定数ある一方で、自社では名刺を渡した相手からの会員登録も見積り依頼も一件も無いのであれば、差が生まれている箇所は名刺交換とサイト訪問の間か、サイト訪問と問い合わせの間のどちらかに絞られます。
自社の名刺から会員登録までの歩留まりを同じ形で並べる
自社の数を段ごとに置き直します。展示会で交換した名刺の件数、URLを送った件数、サイトに来た件数、会員登録または見積り依頼に至った件数。この四つを一列に並べると、どの段で数が落ちているかがそのまま見えます。
落ちている段が「URLを送った」と「サイトに来た」の間であれば、課題は集客側です。送ったメールが開かれていないか、URLが名刺の裏に小さく刷られているだけで打ち込まれていない、といった原因が考えられます。落ちている段が「サイトに来た」と「問い合わせ」の間であれば、課題は転換側です。人は来ているのに帰っている以上、広告や媒体を増やしても問い合わせは増えません。転換側に落ちている場合は、初回訪問の法人が何を探して見つけられずに帰っているのかを見ていきます。
価格・与信条件の導線が抜けていないか確認する
初回訪問の法人が探すのは価格の目安と取引条件
初めて訪れた会社の担当者は、買う前に「そもそも自社と取引できるのか」を確かめます。取扱品目と型番が自社の必要と合うか、価格はおおよそいくらか、最低ロットはどれくらいか、掛売りができるのか、支払いのサイトはどうなるのか、審査に何日かかるのか。これらが載っておらず「詳しくはお問い合わせください」だけであれば、相手は社内で稟議を起こす材料を持てません。問い合わせをためらう理由は関心の低さではなく、上長に説明できる材料が手元に無いことです。
既存取引先向けに作ったサイトでは、この層の情報が抜けやすくなります。既存の相手はすでに契約条件も単価も知っているため、ログイン後の受発注画面さえあれば用は足りるからです。新規の会社が見る画面は、そのログイン前の数ページだけだという前提で、もう一度見直します。
掛売りの条件を書き出して登録前に置く
BtoBの取引で問い合わせ前の関門になりやすいのが掛売りです。掛売り対応に必要な機能は五つに整理できるとされています2。自社が掛売りをどこまで扱えるのかを、その整理の区分ごとに自分の言葉で書き出すと、サイトに載せるべき条件文がほぼそのまま出てきます。新しい機能を入れるかどうかの判断は後回しでよく、まずは現状で答えられる範囲を文章にすることが先です。
書き出した条件は、会員登録の前に読める場所に置きます。登録してからでないと条件が分からない作りは、初回訪問の相手にとって先に審査を受ける形になり、そこで離れます。個別の単価まで出す必要はありません。価格の目安と取引条件の枠を登録前に、確定した単価を登録後に置く、という線の引き方であれば、既存取引先との条件差にも触れずに済みます。
ここまでが、来期の営業会議までに用意できる最小の手順です。経路を数え、段ごとの歩留まりを並べ、落ちている段に応じて集客か導線かを決める。新しい施策を足す前にいま動いている経路の数字を出しておくと、次にどこへ予算を付けるのかを理由付きで説明できる形になります。
流入経路をどこまで分けて記録できるかは、サイトを作った時の解析の設定と、受発注システムとの繋ぎ方で決まります。いまの設定のままで新規の会社を切り出せるのかどうかは、社内で画面を眺めていても判断が付きにくく、同じ形のBtoB受発注サイトを扱った経験のある相手に見てもらうほうが早く分かります。
現在の設定のまま新規の訪問と既存取引先の受発注を分けて数えられるか、分けられない場合に何を足せばよいかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
先に確かめる順に並べた五つの点検項目
新規の問い合わせが止まっている箇所を、少ない手数で特定できる順に並べました。
- 新規の会社の訪問が、既存取引先の受発注の訪問と分けて記録されているか
- 展示会や商談で渡したURLに、経路ごとの目印が付いているか
- 問い合わせ・見積り依頼の記録に社名が残り、既存と新規を分けられるか
- 初回訪問の画面から、価格の目安と最低ロットに辿り着けるか
- 掛売りと与信の条件が、会員登録の前に読める場所に置かれているか
この並びは自社の状況で入れ替わります。展示会で渡したURLに目印が無いと分かった時点では、二番目を先に片付けないと残りの数字が読めません。逆に、新規らしき訪問がすでに一定数あると分かっているなら、四番目と五番目から手を付けたほうが早く結果が出ます。

要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 切り分けの順 | 集客と転換のどちらが欠けているかを、議論ではなく数で先に決める |
| 経路の記録 | 展示会や商談で渡すURLに経路ごとの目印を付け、訪問を数えられる状態にする |
| 新規の判別 | ログイン後を除いた訪問数と、問い合わせ・見積り記録の社名を同じ期間で突き合わせる |
| 比べる相手 | 2025年の展示会出展後の商談化34.18%・受注26.79%を、位置の確認に使う |
| 導線の中身 | 価格の目安と掛売り・与信の条件を、会員登録の前に読める場所へ置く |

価格の目安や掛売り・与信の条件をどこまで会員登録の前に出すかは、既存取引先との条件差や、自社の与信の運用と絡んで決まります。サイトの設定だけでは線を引けないため、取引条件と画面の両方を並べて見る場が要ります。 自社の取引条件で登録前に出せる情報と登録後に回す情報の線をどこに引けるか、掛売りの運用をサイト側でどこまで受けられるかを確かめられます。
よくある質問
新規の問い合わせが無い状態で、まず広告を出すべきでしょうか。
先に切り分けてください。サイトに新規の会社が来ているのに問い合わせに至っていない場合、広告で訪問を増やしても問い合わせはほとんど増えません。訪問がそもそも無いと数で確かめられてから、経路への投資を考える順になります。
アクセス解析だけで新規の会社を見分けられますか。
見分けられません。解析が数えるのは訪問であって会社ではないため、会員のログイン後の画面を除いた訪問を新規側の目安とし、同じ期間の問い合わせ・見積り依頼の記録に残った社名と突き合わせて手で分けます。件数が少ないうちは表計算で足ります。
価格をサイトに載せると、既存取引先との条件差が問題になりませんか。
登録前に出すのは価格の目安と最低ロット、取引条件の枠までに留め、確定した単価は会員のログイン後に置くという線の引き方があります。初回訪問の相手が社内で稟議を起こすのに必要なのは、まず概算の水準と取引可否の条件です。
展示会出展後に商談へ発展した割合が34.18%という数字は、自社の目標にしてよいですか。
そのままの目標値には使えません。これは2025年の調査で出展企業が答えた成果の割合であり、サイト経由の問い合わせ率ではありません。展示会という経路が商談まで進みうることを確かめ、自社の段ごとの歩留まりを置く位置の目安として使ってください。
- 1 出典:マナミナ(株式会社バリューズ)「BtoB展示会、出展回数を重ねている企業ほど成果を実感!出展経験の蓄積が成果の捉え方に影響【リンクストラテジー調査】」(2025年) 経路
- 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB EC掛売り決済の対応方法|2026年取適法と要件」(2026年) 経路
画像の出典元
- Diverse group of professionals working on laptops at a brigh/Photo by cottonbro studio on Pexels
- Aerial photo showcasing suburban Lisle, IL with roads, trees/Photo by Choco Kitty on Pexels
- 20代前半の日本人女性が畳み直しと陳列整理をしている場面/画像:生成AI(自社)