◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- BtoB通販は機能の比較からではなく、商品点数・取引先数・掛け売りの要不要という3つを数えることから始める。
- 掛け売りを扱うなら、与信枠・締め請求・入金消込を業務に組み込むことが対応の実体で、決める事柄の量が大きく変わる。
- 商品点数は、移行に合わせて2万点を精査した例と、最初から2万5,000品をそろえた例の幅に自社を当てて見当を取る。
- 期間は、実質的な開発期間が約4か月、カットオーバーまで2か月という事例の幅を目安に、構築と取引先の移行を分けて考える。
- FAXと電話は一度に止めず、並行させたまま注文の数が多い取引先から順に移し、残す経路は後から決める。
目次

BtoB通販は「自社の規模を数える」ことから始める
BtoB通販は、システムや機能の比較から入ると迷います。先に数えるのは自社の規模です。商品点数、取引先数、掛け売りの要不要という3つを数えると、必要な機能の範囲と、今は外してよい機能が分かれます。掛け売りを扱うなら、与信枠・締め請求・入金消込を業務に組み込むことになります1。期間は公表されている事例で2か月5から4か月4という幅があり、既存のFAXや電話の注文をどこまで残すかを決めてから、移行の順番を組み立てます。
数えるのは商品点数・取引先数・掛け売りの要不要の3つ
最初に手を付けるのは、製品の比較ではなく数を数えることです。数えるのは、商品点数、取引先数、掛け売りの要不要の3つです。この3つが決まると、見積りを頼むときの前提がそろい、相手ごとにまるで違う話が返ってくることも減ります。
商品点数は、今の在庫管理表や販売管理の台帳に登録されている件数をそのまま数えます。取引先数は、年に一度でも注文がある先を数え、そのうちサイトから注文しそうな先に印を付けます。掛け売りの要不要は、今の取引が締め日と請求書で回っているかどうかで決まります。
商品点数は、公表されている事例の幅に自社を当てる
点数の見当が付かないときは、実際に動いたサイトの幅に自社を当てます。欧州を中心にスポーツ自転車部品を輸入・卸売りする会社では、移行の前に2万点ほどの商品登録があり、移行に合わせてだいぶ精査したと述べています2。工業用粘着テープやテープ貼り機器を扱う会社のサイトは、最初からグループの商品が2万5,000品そろった状態で立ち上がっています3。
自社の点数がこの幅より小さいなら、登録の手間も確認の手間もその分だけ軽くなります。逆に、登録済みのデータが数万点ある場合は、そのまま載せるか、絞ってから載せるかを先に決めておく必要があります。前者の会社が移行に合わせて精査したのは、この判断を先に済ませたということです。
掛け売りの要不要が、範囲をいちばん大きく変える
掛け売りを扱わず、前払いや代引きだけで足りるなら、必要なのは注文を受け取る仕組みが中心になります。掛け売りを扱うなら、決済の方法を選ぶ話では終わりません。対応の実体は、与信枠・締め請求・入金消込という3つの機能を業務に組み込むことにあります1。また、掛け売り対応に必要な機能は5つに整理でき、実施の順序に沿った優先順が示されています1。
この違いは、決める事柄の量にも、社内で手を動かす人の数にも効きます。今の取引先が締め日と請求書で回っているなら、掛け売りは後回しにできない前提です。反対に、新規の小口だけをサイトで受けるつもりなら、最初は掛け売りなしで始め、後から広げるという選び方もできます。
ここまでで、商品点数、取引先数、掛け売りの要不要という3つの物差しがそろいました。自社が掛け売りを扱う側に当てはまるなら、次に確かめるのは、業務のどこへどの機能を置くかという順番です。
規模の数え方は自社だけで決めると抜けが出やすく、同じくらいの規模で実際に動いた事例を知っている相手に当てたほうが早く固まります。
商品点数と取引先数、掛け売りの要不要を書き出して持ち込めば、必要な機能の範囲と、今は外してよい機能の線を確かめられます。無料相談で要件を整理する
掛け売りを扱うなら業務に組み込む中核機能
掛け売りの取引が進む順(注文を受ける前・請求を起こす時・入金を確かめる時)に並べた。
- 与信枠 ― 取引先ごとに売掛の上限を持ち、注文を受ける前に確かめる
- 締め請求 ― 締め日ごとに取引をまとめ、請求を起こす
- 入金消込 ― 振り込まれた金額を請求と突き合わせて消し込む
取引先が数社のうちは締め請求から手を付けても回りますが、先が増えるほど与信枠を先に決めておかないと、注文を止めるかどうかの判断が現場の人に残ります。
型ごとに見る、始め方と進め方
| 型 | 当てはまる状態 | 最初に決めること |
|---|---|---|
| 受注置き換え型 | 掛け売りを使わず、前払いや代引きで足りる | どの注文をサイトへ寄せるか |
| 掛け売り対応型 | 締め日と請求書で取引が回っている | 与信枠・締め請求・入金消込をどこで持つか |
| 品揃え移行型 | 登録済みの商品データが数万点ある | 載せる商品をどこまで絞るか |
| 段階移行型 | FAXと電話の注文が今も主力 | 残す経路と、移す取引先の順番 |

掛け売りを使わずに始める型
向いているのは、前払いと代引きで足りる取引
新規の小口や、単発の注文が中心なら、締め日も請求書も要りません。この型では、注文を受け取って、内容を間違いなく社内へ渡すところまでが範囲です。決める事柄が少ないぶん、社内で用意する資料も、取引先へ出す案内も軽く済みます。
この型で始めておき、掛け売りは既存の取引先を移す段になってから広げる、という順番も取れます。最初から全部を載せようとすると、決められない事柄が増えて止まります。
最初に決めるのは、どの注文をサイトへ寄せるか
注文の経路が複数あるなら、そのうちどれをサイトへ寄せるかを先に決めます。全部を一度に寄せる必要はありません。件数が多く、内容が定型の注文から寄せると、効果が数で見えます。
| 決めること | 確かめ方 |
|---|---|
| 載せる商品 | 注文の多い順に並べ、上位だけで足りるかを見る |
| 公開の範囲 | 誰でも見られるか、ログインした取引先だけかを決める |
| 価格の出し方 | 取引先ごとに違う価格が要るかを、今の見積書で確かめる |
与信・請求・入金まで受け持つ型
3つの機能をどこで持つかを決める
掛け売りの対応は、与信枠・締め請求・入金消込を業務に組み込むことが実体です1。この3つを、サイト側で持つのか、今の販売管理の側に残すのかを決めないまま進めると、注文は取れても請求と入金が手作業に戻ります。
必要な機能は5つに整理でき、実施の順序に沿った優先順が示されています1。全部を同時に作るのではなく、順番に組み込む前提で見積りを取ると、費用も期間も切り分けられます。
社内の誰が受け持つかも、あわせて決める
小規模の会社では、与信枠を決める人と、請求を起こす人と、入金を確かめる人が同じ場合があります。その前提で仕組みを選ばないと、権限の設定だけが細かくなって使われません。今、誰がどの判断をしているかを書き出してから相談すると、要る設定と要らない設定が分かれます。
商品データの点数から範囲を決める型
数万点を抱えるなら、載せる前に絞る
移行の前に2万点ほどの商品登録があった会社は、移行に合わせて登録をだいぶ精査したと述べています2。点数が多いほど、写真も説明も価格も点数分だけ確認が要ります。載せる前に絞るかどうかは、期間にも社内の負担にも直に響きます。
絞る基準は、注文の実績が素直です。直近で注文のあった商品から載せ、残りは後から足す形にすれば、立ち上げの荷物が減ります。
最初からそろえる選び方もある
一方で、工業用粘着テープなどを扱う会社のサイトは、最初からグループの商品が2万5,000品そろった状態で始まっています3。取引先が「そこへ行けば全部ある」ことを期待する品揃えなら、絞らずにそろえる判断もあります。自社の取引先がどちらを求めているかで、答えは変わります。
| 点数の状態 | 先に決めること |
|---|---|
| 数百点までにおさまる | 写真と説明をどこまで整えるか |
| 数千点ある | 注文の実績で載せる順番を付けるか |
| 数万点ある | そのまま載せるか、精査してから載せるか |

FAXと電話を残したまま切り替える型
期間の見当は、公表されている事例の幅で取る
飲食店向けに業務用食材の通販直販サイトを運営する会社では、実質的な開発期間は約4か月でした4。カラーコンタクトを小売店向けに卸販売する部門では、2か月後のカットオーバーを目指して構築が進んでいます5。範囲の広さと、社内で決める事柄の量で、この幅は動きます。
自社の期間を見るときは、構築の期間と、取引先へ案内して実際に注文が移るまでの期間を分けて考えます。前者が終わっても、後者は取引先の都合で進みます。
移す順番は、注文の数が多い先から
FAXと電話を一度に止める必要はありません。当面は並行させ、注文の数が多い取引先から順に移すと、手作業の減り方が数で見えます。逆に、注文が年に数回の先は最後に回してもかまいません。
並行の期間は、同じ注文が二重に入らないよう、どちらで受けたかを社内で分かる形にしておきます。この確認の手順を決めずに並行させると、切り替えの途中でつまずきます。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 並行 | FAXと電話を残したまま、サイトでも受けられる状態にする |
| 移行 | 注文の数が多い取引先から、サイトへの注文に切り替えてもらう |
| 集約 | 残った経路を、どこまで閉じるかを決める |
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 商品点数 | 登録済みの件数を数え、そのまま載せるか絞るかを先に決める |
| 取引先数 | 年に一度でも注文がある先を数え、サイトから注文しそうな先に印を付ける |
| 掛け売り | 締め日と請求書で回っているなら、与信枠・締め請求・入金消込を組み込む前提で見る |
| 期間 | 2か月から4か月という公表事例の幅で見当を取り、構築と取引先の移行を分けて考える |
| 既存の注文経路 | FAXと電話を残す範囲と、移す取引先の順番を先に決める |
移行の順番と期間の見立ては、構築だけでなく取引先が注文を移すまでを見た経験がないと、社内の負担を読み違えます。 今のFAXと電話の受け方をそのまま持ち込めば、どの取引先から移すか、並行の期間をどれくらい取るかを確かめられます。
よくある質問
BtoB通販は、何から手を付ければよいですか
商品点数、取引先数、掛け売りの要不要の3つを数えることからです。この3つが決まると、必要な機能の範囲と、見積りを頼むときの前提がそろいます。
掛け売りは、最初から対応しないといけませんか
今の取引が締め日と請求書で回っているなら、前提として見る必要があります。対応の実体は、与信枠・締め請求・入金消込という3つの機能を業務に組み込むことにあります1。新規の小口だけをサイトで受けるなら、掛け売りなしで始めて後から広げる選び方もあります。
始めるまでに、どれくらいの期間がかかりますか
公表されている事例では、実質的な開発期間が約4か月4、カットオーバーまで2か月5という例があります。範囲の広さと、社内で決める事柄の量で動きます。
商品は全部載せないといけませんか
どちらの例もあります。移行の前に2万点ほどの登録があった会社は、移行に合わせて精査しています2。一方、最初からグループの商品が2万5,000品そろった状態で始まったサイトもあります3。取引先が求める品揃えで決まります。
FAXや電話の注文は、やめないといけませんか
一度に止める必要はありません。当面は並行させ、注文の数が多い取引先から順に移し、残った経路をどこまで閉じるかは後から決められます。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB EC掛売り決済の対応方法|2026年取適法と要件(EC-Rider B2B Ⅱ 公式サイト)」(2026年) 経路
- 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年) 経路
- 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社様)」(2020年) 経路
- 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(フーヅフリッジ株式会社様)」(2017年) 経路
- 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(フリュー株式会社様)」(2016年) 経路
画像の出典元
- Aerial view of a vibrant city skyline at night with illumina/Photo by Erik Mclean on Pexels
- 20代後半の日本人男性が大規模な交差点の横断をしている場面/画像:生成AI(自社)
- Five adults in casual wear using phones and tablets indoors,/Photo by fauxels on Pexels